クロックはアナログ信号です。
ジッターは
アナログ量です。

妄言多謝


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「ON爺の独り言」2011はこちらです。
「ON爺の独り言」2010こちらです。(読者のご協力で復元できましたが、一部文字化けが残っています。)
「ON爺の独り言」2009 こちらです。


「音楽再生専用機のためのUbuntu Studio 10.04LTS (Lucid)カスタマイズ法」

「ON爺の独り言」2013に移行します。


2012年12月25日  Voyage MPDスターターキットの「アース」はリアパネル側では落ちない!
●冬期仕様のサブシステムは誠に良く鳴るもので、「これでもう良けるかなあ。」と思わせる瞬間も多々あり、点音源にちかいシャープな音場表現を来る出したりして、楽しませてくれました。
 カタツムリを動員する前に、CDをながら聴きしてチェックしたり、映画を見るには勿体ないくらいのシステム。メインとしても充分使えるシステムになってます。

●さて逸品館の清原社長の「逸品館メルマガ 2012-12-24」で、「Ustream 逸品館チャンネルでは、圧倒的に「セッテ
ィング」に注目が集まっています。」という中の4位に何と

4.Voyage MPD 試聴と御田先生との会談。
http://www.ustream.tv/recorded/15479410

が入っています。
 何か不思議な感じもしますが、このときはLAN環境のセッティングがなかなかうまく行かなかったことを思い出しました。ネットワーク・プレーヤーを別の環境に移して動かすのはなかなか大変で、これからワイスMAN301でも体験することでしょう。通信なので、時間も必要です。
 まあこういう実技をやっておられる評論家やライターの先生がたが殆どおられないというのも寒いことであります、はい。

●そういう事もあったので、我が家のVoyage MPDの現況をご報告しておきましょう。
 ラトックシステムRAL-24192DM1も届いたので、これとのペアで鳴らしたりていますが、そう言うことよりもまず関係者全員がスターターキットの「アース」について理解していないと思うので、そちらを。
 現在写真の通りヒートシンクがカバーになったタカチのケースに入れています。左はフロント側でUSB端子が出ています。

 基板が少しはみ出しますので、下の写真のようにリアパネルとの間に真鍮のネジを一つ嚙まして止めています。




そしてアースは赤で丸をしたUSB端子側で金属製のカラー(スペーサー)を経由してケースに落としています。


 「中からのノイズ対策」として写真のようにクロックやCPU、DSP周りなどクリティカルな場所に、TDKのグレーのEMIノイズ防止シートを貼っており、これは3GHz~10GHzあたりを中心にオヤイデあたりよりかなり抑制効果が高いシートです。

スターターキットのリアパネルをネジ止めしただけではアースは落ちない。
 皆さん分かっておられないのは、アルマイト加工や表面樹脂加工だと、ケースの外側の部分は導通がない、という事です。特に黒アルマイトは接触箇所をペーパーなどで剥がす必要があります。


 上記の図をよくみていただくと良く分かると思いますが、スターターキットのリアパネルは穴の打ち抜き部分の側面だけが導通していて、外側の皿ビスを受けるザグリ穴の部分には導通がありません。ねじ穴の嵌合(かんごう)では少し余裕があるのが普通なので、結局ネジを締めてもネジを切った部分は導通のある側面に接触せず、まして皿の部分は導通がありません。
 つまりスターターキットについてくる差し込むだけのスロットインケースは勿論、他のメタルケースでもリアパネルをネジ止めしただけではアースは落ちておらず、基板のベタアースが浮いたままです。多分どなたもテスターでさえ当たって確認されていない、と言うことです。
 なのでアースを落とすためには、基板のベタアースとつながっている基板の四隅のパターンと接触するようにして、ケースに金属でつながるようにしなければなりません。
 このケースの場合では、Starter Kitのサイズがぎりぎりなので、下記のように穴を開けてリアパネル側の穴の下端で基板を支え、反対側の基板にはベタアースが出ている穴の内の一方をメタルの、他方を樹脂(ジュラコン)のカラー(スペーサー)でケースにネジ止めし、メタルのカラーからケースにアースを落としています。

●基本的に皆さん分かっておられないのは「アース」は何のためにあるか、と言うことです。それはまずは電位の基準であり、「アースドレイン」と呼ばれるようにノイズを逃がす下水管です。回路にもよりますが、アースの安定のためには基板のベタアースだけでは心許なく、きっちりとケースに落とすのが基本です。
 ケース周りをノイズ防止シートでグルグル蒔きしても、それは外来ノイズの一部を防ぐだけで、特にコンピュータ系は電圧も低くかつ複雑なので、アースは必須です。とまあ、他にも山ほどあるんですが。

 また、USB出力側にフェーズメーションのUSB DDC基板を使っておられる方も多いと思いますが、裸のままでは折角の回路が泣きます。裸の状態で音質を云々されても、正直「なんだかなあ。」でしかありません。金属ケースかせめてノイズ防止樹脂のケースに入れてやってください。きちっとケースに入れてアースも落として、そこからようやく「オーディオ」が始まるのです。

●口を動かすだけでなく、手も動かしましょう。安いものですからデジタルマルチメーター(デジタルテスター)の1台くらい買いましょう。傷や火傷の一つもせずに自作的に「オーディオ」を語ろうというのは、僕の個人的意見では「ふてえ了見」です。この冬は頑張って金属加工にチャレンジしませんか?
 せめて紙箱にアルミホイルを張って、そこにアースを落とすなりいろいろ工夫してみてください。剥き出しはダメダメです。

●さて、今日は母の所へプチケーキを持って行きます。
 Happy Holidays!


2012年12月24日  復~活!& 冬期仕様のサブシステム
●気分転換に手を動かして、冬期仕様のサブシステムを立ち上げました。
 スピーカーはELAC CL-310 Jubileeモデル。全世界250ペア完全限定とのことで、「まあこんな値段では落ちないだろうなあ。」とヤフオクに入札しておいたら何と落ちてしまったというもの。マルチチャンネルのリアに初代の310 Jetを天井直付けで使っていて、そのスタンドも遊んでいたので丁度良かった。パイプの中に積める粒状樹脂フィラーも充填して、防振対策もばっちりで出番を待っていたものだ。



●パワーアンプは以前使っていた管球式のQuick SilverのMono Block。詳しくはこちらなど見ていただくと分かるように、70~80年代のハイエンドのアポジーとかマーティン・ローガンなどプレーナー型スピーカーに好んで用いられていた機種だ。元々は出力球はPhilips8417という結構レアな管だが、これを独特の設定で12BH7/12AU7のP-K分割でドライブしている。アメリカはDIYが盛んで、中古のアンプをレストアしたりMod(改造)して使うのが盛んだが、あるサイトに原回路は不安定なのでこうするべきだという回路が載っていたので、その値でコンデンサやグリッドリーク(抵抗)を入れ替えたら、見事に太く締まらない「フツーの管球アンプ」のつまらない音になったので、やはりマイケル・サンダースはこの回路を見いだしていたのだという事が良く分かった。


 フツーの管球アンプに見えるが、ペア球を前提として、2本分のバイアス電流の1つしか調整箇所がないF1のようなアンプだ。
 今回は一番音が良いと誉れの高い旧SEDのWingCマーク(実際にはSovtek工場製)のEL34/6CA7のクライオ球を使っているが、Philips8417の選別ペアもかなり持っているので、是非こちらも鳴らしたい。球をごちゃまんと持って死んでも仕方ないので、活用したいというわけです。

 今は亡き上杉さん激賞のQUADのきっちり直角に曲げる美しい配線法もありますが、このアンプをいじっていて、「最短距離ワイアリング」というものを学びました。

 たまたま来られていたラトックシステムの担当者が「音の飛んで来る様が凄い。」と驚いていたが、真空管は本来エコーマシン的性格もあるので、8417に換えたら相当雰囲気も変わることだろう。
 またこの数年間に音質の良いフィルムコンデンサとか良いパーツも出てきているので、順次換装する予定だ。
 あ、元々の整流管2本をやめてショットキーバリアダイオードにしているので、球や部品がラッシュ電流で損なわれないように、光城精工のソフトスターターを電源側に入れています。

●プリアンプはオーストラリア製でカナダから入手したもの。沖縄の友人にまずは聴いて欲しいので、ここではまだご紹介を控えるが、まあ値段が信じられない優れものだ。

●音源は勿論メインシステムからも、ワイスMAN301からも取れるが、主にワイスで聴いている。
 ワイス用にルーターや無線アクセスポイントも何機種か試して、賢い調整法が見えてきた。

 というような感じで、仕事そっちのけで遊び始めております。こういう遊びが本来ですからね。一番楽しい。


2012年12月21日  もうヴォランティアは一切やらない。滅ぶなら滅べ。
●非道い年末だ。歯茎は腫れまくって熱は下がらず、喘息も何もかも一気にやってきて本当に夜中に119番しようかと何度も思った。
 ドクターには「そんなストレスのかかる仕事なら、すっぱりと止めてしまいなさい。」とこれまで何回も言われてきた。熱で現か幻かの間に「そうだな、これは、もう無理だな。」と判断した。
 もう身体が保たない。残り少ない年月を大切に行きたい。

●ショップや輸入元へのサポートなどほとんど手弁当のヴォランティアでやっていたが、そういうことをするには「善意」あるいは「志」が続かなければできない。
 今回身内と思っていた奴らに裏切られて苦しんで、そんな善意は吹っ飛んだ。
 だからもうそういうヴォランティアは一切やらない。色々と支障が出る製品もあるかもしれないが、自分を犠牲にしてまでやることではない。
 一般のユーザーさんはこれまでどおり心地よく幻想に浸っておらればいい。
 オーディオの未来?たまさかの人材難だからと言って、そんなものを求められても、本来それにあたるべき者がいるはずだろうが。

●仕事として雑誌に書くようなことは続けよう。まだ書けていない大切な事は沢山ある。

●だが仕事以外は全て止める。各自勝手に自力更生されたい。ダチのサポートはするが、仕事でない業務サポートは一切しない。それで滅ぶようなものなら勝手に滅んでいけばいい。
 とにかく僕の熱意は消えた。僕がこれまでヴォランティアでやっていたことがどんなことであったか、それも分かる人にしか分からないだろう。

 技術的なことも状況も分からぬ愚かな経営コンサルタントとやらがエディター気取りで介入して、僕の気持ちを壊してそのとどめを刺し、理想も壊した。地獄に堕ちろ、という言葉しか出てこない。


201年12月14日  ちったあ己の小ささを反省せえよ。
だれも悪意で妨害しようとした、と言ってるんじゃない。
しかしTPOも読めず2か月もプロジェクト全体をかかえこんだということは出処進退を決定的に間違えていた、という事でしかない。
年末商戦には間に合わず、現時点から第1次の消費税アップまで1年半しかない。
いま1日も速く立ち上がらずして、いつ売るのか?

ちったあ己の小ささを反省せえよ。


2012年12月6日  百万人といえども我行かん。
和は尊い。
たしかに。
しかし和だけならば、それは単なるなれ合いの仲良しクラブに過ぎない。

義は共有すべき意味のある真っ当なものであり、伝えていくべきものだ。
伝える値打ちがあるものとして、時に勇気を持って義を選ぶのが長たる者の努めではないのか。その勇気のない者に長たる資格はない。

僕はそう信じて生き、そう信じて死ぬだろう。
百万人といえども我行かん。


2012年12月3日  俺は猛烈に怒っている。
I'm outraged!
俺はいま猛烈に怒っている。
当分オーディオごときのことで、俺を煩わせるな。


.2012年12月2日  新雑誌「Gaudio」
●少し体調が悪くて、書くのが遅れてしまいました。
 11月30日に共同通信社から新雑誌「Gaudio」が創刊されました。(Amazonはこちら
 どうぞ書店で手にとってご覧ください。そしてどのような紙面が望ましいか、今後の臨時発刊MOOK等にも反映されると思いますので、ご意見を編集部にお寄せいただければ、と思います。

 僕はBook in Bookとして巻末に統合された「PCオーディオfan」の中の「USB技術の新たな展開に向けて~ラトックシステム訪問記」(p029)『PC/デジタルオーディオの「新」基礎知識~機器の性能を充分に発揮させるために「電源周り」と「USBオーディオ」で知っておきたいこと』(p012)の2つの記事を書いています。

●前者のラトックシステム訪問記では、USBオーディオクラス2.0ドライバーがWindows8で実装されていない中で、オーディオクラス1.0ドライバーとUSB2.0コントローラーチップを使って、ドライバーのインストールなしにWin/Macともに24/192の安定的な再生を実現したオーディオ・インターフェース「RAL-24192DM1」を中心に岡村社長にインタビューしています。
 XMOS素子を使ったこの独自技術は、既に台湾のTenorとか外部技術を各社一斉に導入されているわけですから、できれば日本のオーディオメーカーにも採用を検討していただきたいという思いを持ちながら、取材しておりました。台湾からは各社一斉に「横並び」で技術導入しても、国内になると途端に「面子」とやらが顔を出す日本的組織では難しいかも知れませんが、そうこうしているうちに柔軟な海外企業が導入しちゃうかも知れません。足元の良い技術を評価・活用できない日本的組織とは何なのでしょう?

PC/デジタルオーディオの「新」基礎知識ではデジタルオーディオでもPCオーディオでも、電源側と信号ケーブルを通じて「グラウンドループ」ができており、ノイズが「ツーツー」と盛大に行き交っている現況と対策を整理しています。足元をおろそかにしては良い音の実現などできるはずもないからです。
 そして現在の日本の状況では、USBオーディオクラス2.0のオーディオ・インターフェースがその性能をフルに発揮しているユーザー宅は非常に少ないと筆者は考えています。つまり本格的なPCオーディオの音を実際に聞いている方は非常に少ないと思っています。それはUSBというインターフェースの性質を理解できていないからです。
 DSDで浮かれるのも結構ですが、こういうキホンをちゃんとおさえたシステム構成ができていなければ、所詮はおぼろな話なので、是非お読みいただきたいと思います。

 あ、ついでにDSDは音源の一つですが、ハイレゾPCMと同じく、それ自体が問題解決のネタ、つまりはソリューションではありませんので。

 全ての旗に背いて、よくこういう地味な記事を書き続ける物だと、自分でも感心しております、はい。


2012年11月29日  転落日本
●最悪なのは安倍・首相、石原慎太郎・入閣だな。さじ加減を知らないアホボンと老害妄想老人。日本は右傾化したと理解され、壊さなくても良い物が壊されてネガティブスパイラルに陥る。
 極の数がいくつになっても、ガラガラポンでも仕切りが整理されるなら良いが、結果は混乱し続けるだけで何も決まらないだろう。その場その場だけの転がしだけであっという間に転落が始まる。
 ギリシャ→スペイン→イタリア→フランス。この転落欧州の何処に転落日本は挟まっていくのだろう?

 海外旅行は早めに行っておいた方が良い。まあいまなら米ドル買いかな。なにドル建てのカードでAmazon.comから買えばいいのだ。(冗談でっせ。)

●この25日の日曜日で、僕は62歳になった。体調芳しからず、雌伏休養のなかいくつか決断をして、反応を待っている。休みたい。眠りたい。

●問題の一つは岡山AC2の熊代社長の手を借りて解決した。とても嬉しい。感謝。
 もう一つの問題はスイスから届く荷物で解決するだろう。善哉。


2012年11月22日  絶対に安倍を首相にしてはならない!
●絶対に安倍を首相にしてはならない。自民には投票してはならない。

●僕は基本的に政治に関してはあまり主義主張はしないが、今回の選挙は大きな分岐点、あるいは突発的な危機に陥る可能性が大きいので、声を大にして言おう。

1.まず安倍は日銀に国債を直接引き受けさせようとするくらい、経済財税の基本に無知である。国債直接引き受けは禁じ手であり、財政規律の違反事項として間違いなく、国際的にも追求を受け、市場の「日本売り」を招く可能性大である。

2.次に安倍は世間知らずで原則一本やりの外交下手で、日本しか知らないドメスティックな保守であり、中国・韓国などとの紛争を更に激化させ、中国・日本共に産業の衰退を招く可能性がかなり明らかである。
 日本は中国と密接に結びついており、もし中国がこけたら大きな経済的損失を蒙るだろう。

3.これらについても党・議会に協議しながら進めるならまだしも、彼は人を説得するのが下手だし焦りもあるので、幼児的に独走するだろう。そして一国の首相の発言は簡単に取り消せないし、舌禍には時として極めて高価な代償を支払わなければならない。

4.結果としてまた政権を投げ出すだろう。

 安倍を首相にしたら、何らかの災禍がもたらされるだろう。

●それにしても日銀を責めるしか知らない政治家の経済オンチ・無責任さ・無知さは、目を覆うばかりである。こいつらに歳出節減などは期待すべくもない。

 まともなタマがないのがこの国の惨状をさらに加速させるだろう。この国の政府には幼児しかいないのか?


2012年11月20日  怒りの日!
Dies irae (怒りの日!)

Dies irae,dies illa,     怒りの日!その日こそ、
Solvet saeclum infavilla世界が灰燼に帰す預言が満たされる。
Teste David cum Sibylla
            それはダヴィデとシビラが警告した通りである。

Quantus tremor est futurus, その恐ろしさはどれほどか
Quando judex ext venturus,  裁き主があらわれ、
Cuncta stricte discussurus!  すべてが裁かれる。


2012年11月20日  天下 人の我が心を知るなし
悲歌行
      (李白)
悲來乎
悲來乎
主人有酒且莫斟
聽我一曲悲來吟
悲來不吟還不笑
天下無人知我心



悲しみ来たるか
悲しみ来たるか
主人酒有るも且(しばら)く斟む莫(なか)れ
我が一曲悲来の吟を聴け
悲しみ来たって吟せず還(ま)た笑わず
天下 人の我が心を知るなし


2012年11月17日  まずは耳で聞けばよいのです。
●MAc miniをライオンから山ライオンにアップグレードした友人から、「山ライオンは音が良くなくてすぐに戻した。」とのメールあり。たまたま環境が元に戻せる状況だったので、セーフ。まあ、何も考えずに音は出せるので、それはそれとしても、スリープ中にもアップデートやバックアップとバックグラウンドで動き回るのは良い音を目指すにはちょいと手強すぎる気がして個人的には近寄らないことにしませう。

●この間、いろいろとUbuntu StudioのMacBook Pro 8.3へのクリーンインストールが上手く行かず、1段前からアップグレードで、12.04.1 Precise
や12.10 Qantalを試しました。勿論音を聴き安定性なども鑑みた結果では概ねの順位としては。
①11.10 Oneiric+Realtimeカーネル(Precise)
②12.04.1 Precise+Realtimeカーネル(Precise)
③12.10 Qantal+Lowlatencyカーネル(Qantal)
という判断です。

 え~いつも書いておりますが、とにかくオーディオですから、まずは耳で聞けばよいのです。理屈でRealtimeカーネルを選んでいるのではなく、Ardour+Jack+FFADOというDAW環境で蛇口全開的に迸るテンションの高い音が我が家の環境には良い結果となっているということです。人によっては環境によってはLowlatencyカーネルの細身で静かな音が好きな方もおられましょう。③のケースではUbuntu Studio環境自体はは非常に安定していて良い感じなのですが、もしRealtimeカーネルが出たら考えましょう、といった感じです。

 この間かなりの回数入れたり消したりしているので、一度まっさらにMacスノレパから②でストレートにインストールしてみようかとも考え中です。とはいえ、当分は①で十分じゃないかと思う次第です。
 時間ができれば、別ページにまとめましょう。

●新雑誌「Gaudio」はA4判で縦書きの記事と、Book in Bookで横書きのPCオーディオfanが合体した形だそうです。どのような感じか早くみたいものです。


2012年11月12日  夢もタスクも拡散していて、見えない。
●先週の金土は大阪ハイエンドオーディオショウへ行きました。2日間出ずっぱりに動いたのは久しぶりで、疲れました。トホホ。
 とはいえ人と会うのが目的で、デモはほとんど見聴きしていません。東京でも大阪でもあまり印象に残らなかったというブログが結構あったのですが、結局は「夢がない。」という事でしょう。

●5年ほど前に「PCfオーディオan」の執筆に加わったときには、「何せオーディオ界には新しい話題が何もない。当分これで頑張ろう。」という話でした。次世代メディアたるSACDなどがブレイクできなかった後、CD販売から今年で30年、閉塞感はまだ強く残っていて、将来目標、ロードマップみたいのものが業界にもユーザーにも共有されていない。
 ハイレゾPCMやDSDはブレイクスルーや格好良く言えばソリューション、にはなり得ません。相変わらず標本化定理の前提条件も実現できず、ビットパーフェクトどころかDA変換は継ぎ接ぎ状態の対症療法で、それでも実用レベルになっているのは技術陣の努力によるもので、なんて誰も知りませんよね。
 もうすぐ384KHz32bitとかいうものが、あふれ出すだろう。さすがに説得力は薄れてくるが、じゃあ次は768KHz何でしょうか?
 でもハードウェアデバイスの性能も頭打ち傾向で、何でもかんでもできるわけじゃないのでね。

●DSDデータにしてパソコンなしでは形にならない。んじゃ、やっぱりPCなん?
 PCありきじゃないんですけどね。音楽ありきの「道具」なんですが、どっか逆さまですね。

●録音の事とか、とにかくオーディオを知らないのが丸わかりな人が、パソコンや数学の話だけで「知ってるつもり」で並べる見当外れなご託も含めて、要するに夢もタスクも拡散していて、見えないのですね。何故でしょうね?

●夢を見るには、その力が必要です。


2012年11月6日  あれこれ
●書くことはいっぱいあるのですが、落ち着いてから詳しく。

Ubuntu Studio12.04.1PreciseMacBook Pro 8.3へのインストールについては、トリプルブートは最早どうあっても無理なようで、2台ある内の1台にOS X Snow LeopardでrEFItを使ってインストールして、ダブルブートで聴いています。Windows7が必要なので、もう1台はSnow Leopard、Ubuntu Studio 11.10 Oreiricとのトリプルブートです。このあたりもまとめてアップする予定です。

 12.04.1はXfce4デスクトップ環境がメインになっており、なかなか解像度の高い良い音で、時間ができたらもう少し環境を整えたいと思っています。まあ、あと4年あまり使えるのでLTS(長期サポート)はありがたいものです。

●この間検索してみると、UbuntuあるいはUbuntu Studioで音楽再生、というふうなブログがいくつもアップされていて、皆さんそれぞれの音の好みに基づいていろいろな試みをされているのが素晴らしいと思いマス。
 願わくば、それぞれの多様性を尊重しながら、楽しく良い音を出していただければと思います。

さてUbuntu Weiss(勝手名称)であるワイスMAN301は我が家で素晴らしい音で鳴っております。

 僕はメタデータや編集(Tagging)には全く関心のないiTunes嫌い派ですが、MAN301の場合ファイル形式がWAVEであれFLACであれAIFFであれ、ファイルへのひも付けなしに、つまりファイルが重くならない方法でメタデータ編集が実にシンプルかつ手際よく処理できる独自開発のタグ・エディターがあるので、リッピングが面白くなってきたところです。
 例えばジャケ画のアートワークなんか、画像部分をタップするだけでインターネットから集めてきた画像群が表示されますし、それも気に入らなければiPadで撮った画像を入れることもできます。
 しかも音質はネットワーク・プレーヤー随一の精緻さ・ 彫りの深さと、前後に広がる広大な音場感です。一度是非聴きに行ってください

共同通信の新雑誌「Gaudio」は11月30日発刊予定で作業中です。

日経BP社のMOOK(@1,280)も既に増刷しておりますので、是非最後辺りの14ページをご覧いただければと思います。イメージを掴んでいただくためにイラストを多用し始めたのは、この雑誌からです。


2012年10月20日  連続性と多様性
●Appleのアクセサリーとして発売されたThunderbolt→Firerwire800のアダプター(\2,800)を使ってMacBook Pro本体のFirerwire800端子と比較した。アダプターの音はショボくて、音質的にはネイティブの端子の方が良い。これはAirや最新MBPのようにThunderbolt端子しかないマシン用と思う方が良いだろう。
 それにしてもこれまでThunderboltのアダプターはSonnetのECOH ExpressCard変換ボックス(Pro,
Standard)の3種を試したが、現在はExpressCard変換ボックス(Standard)のみ音源HDDのFirewire入力として使っている。どれも音質の全帯域バランスという点では今ひとつだ。推測だが、あの小さなThunderbolt端子の中にはびっしりとパーツが載った基板が両サイドにあり、そこへ変換回路が入るので、いくら途中が早くても結果としてパスが長くいろいろあるのでは、という気がします。
 速きもの全て尊からず。コンピュータとデジタルオーディオは似て非なるものです。

●もう定点観測用ULRなど大幅に消して、最近は必要な都度しかPC/iPadを立ち上げないので、随分と雑音が減り、まとまった読書の時間もできました。オーディオなる電気仕掛けの張りぼては、げにあほらしき事のみ多かりき。

●いまホイジンガ「中世の秋」を読んでいます。
 ブルクハルトの「イタリアルネサンスの文化」は手元にありつつまだ途中までしか読んでいないのですが、正直こちらの方が面白い。E.ジルソンが言うように「中世は価値と観念の体系を豊富に生み出した時代」であり、その秋の実りとしてルネサンスがある、という理解は、単純白黒短絡なルネサンス観よりも連続性と多様性を濃く打ち出していて面白い。

 何せうぞ くすんで 一期は夢よ いざ狂へ(閑吟集)


2012年10月17日  基礎知識の一例:ワード長、ビット数
●望むらくは、僅かな光に向かっての期待であるということを、最終的にはどこに向けて発信しようとしているのかを、読み取っていただきたいのです。

●フォローして行きましょう。「基礎知識と言ってもどの程度のもんじゃ?」という方もおられると思うので、一例を。
 以下の質問に対して、大まかなイメージで結構ですので、整理してお答えいただけますかどうか。

(1)ビットとバイトの違いは?

(2)WindowsなどのOSでの32ビットと64ビットの違いは何か?

(3)32ビット対応のDACチップの32ビットはどういう意味を持っているのか?

(4)2ビット対応のDACチップの音質的効果はどのようなものか?

(5)整数(インテジャー)と浮動小数点(フローティング)の違いはどのようなものか?
  [注]いわゆるインテジャーモードとは直接の関連はありません。

(6)オーディオインターフェースのミキサーなどで内部40ビット(例:RME Fireface400)とか80ビット(例:Metric Halo)とあるのはどういう意味なのか?

(7)ハードウェア処理でのビット数と、ソフトウェア上でのビット数の違いはどういうところにあるか?

(8)ハードウェア間伝送でのビット数の上限は何ビットか?

(9)DA変換後のアナログ物理特性は何ビットとれているか?

(10)デジタルファイルのフォーマットのワード長(ビット数)は音的にはどういう意味を持っているか?


 これらには深~い話もありますが、大半は入り口段階で知っている必要のあることばかりです。なので、基礎知識です。ただし皆が皆こういう知識が必要だというのではありませんので、誤解無きようお願いします。理屈を主張なさりたいのであれば、いろんなことを整理していきたいのであれば必要な基礎知識ということですので。

 答えを求めるだけでは何にもならないと思うので、答えはここには書きません。自力更生よろしくです。<(_ _)>

●アナログと違ってデジタルではそのプロセスが目に見えず、測定結果も何を・どのように・何故・測定しているのかが分かりにくいので、受け皿としてのユーザー自身の勉強の積み重ねと、イメージをアタマの中で操作して動かしていくという努力が必要です。「一言で要領よく分からせろ!」というのは我が儘の域を出ないと思います。(僕も実際こういう事は雑誌やこのサイトで結構繰り返し書いているので、書いただけでは分かってもらえないのだと言うことも実感しております。)
 また、問題のひとつはメディア(の中の書き手)がそれをどこまで整理できるかどうかと言うことでもあります。

●僕が書いたQ&A類について、あるメーカーの方が「これだけ全部きっちりと理解するのは凄く大変ですねえ。」と言っておられました。僕もそう思います。なので、これまでずっとそうだったように、ぼんやりとさせておくのも一つの方法だと思いますが、そうするとネットで各種情報をユーザーが直接得られる時代には、現状のような混乱が起こります。すぐに分かる・分かりにくい・分からない、というのはあるとは思いますが、現状ではやはり整理していく方向でなければ行けないと思います。

●出番です。上記の(4)について、河合一さんの「デジタル・オーディオの基本と応用」(p.133)『ここ数年のデジタルオーディオ機器における新たなキーワードに「32ビット」がある。32ビット信号処理、32ビット分解能、32ビットDAC等多くの場面で見かけることができる。この32ビットであるが結論から言えば、アナログ的にはほとんど無意味と言える(音質テストでの主観評価は別にして)。何が32ビットなのかを明確にしないまま、32ビットというワードを用いることは、=高性能化の誤ったイメージをユーザーに与えてしまう。』と述べられておられます。

 及ばずながら僕の意見としては、高性能なチップが使われることは基本的にはオーバースペックですが、結果として高音質化につながる可能性があるならば、その面では大いに結構かと思います。しかし、アナログ物理特性としての出力は、はるかにそれに及ばないので、「ハイビットだから高性能で音が良い」というイメージだけがユーザーとして理由づけを求める気持ちに「便乗」して、広告的効果として先行しているのではないかと思います。あくまで「結果としての音質」の向上につながれば、という点がユーザー的には大事だと思います。

 河合さんの本の勉強会などできれば素晴らしいなあ、と思っています。


2012年10月14日  ギロンの仕方
後先考えると筆が鈍るので、見直しせずに勢いで書いてしまいましょう。ご立腹の向きには、これを機会に真剣に勉強を始めて下さい。誤字脱字、乱筆乱文、妄言多謝。

●日経ウェブ版にMOOKに書いた記事の一部が「素朴な、でも奥深い「8つの疑問」 PCオーディオの世界(4) 」として載ったのですが、ウエブの論議の中で引き合いに出されたので、誤解を招かないようこの間一切触れないようにしておりました。

●真剣に論議していただくことは有り難いのですが、少しく論議の仕方を損ねておられるところがあります。

(1)そもそもCDプレーヤーとPCオーディオの優劣比較は一般的な方式論として必要なものと、あるいは意味のあるものと本当に考えておられるのでしょうか?そうであれば、既にそれ自体が問題です。

 デジタルオーディオとコンピュータは同じではありませんが、そもそもの「ロジック」が全然分からない旧体制のおじさんたちが苦し紛れにCDを悪者にしている事に引っかかっているのにまだ気がつきませんか?
 彼等は同じその筆でその声で、渡される資料に沿ってCDプレーヤーやSACDプレーヤーを別の場所で激賞するのです。ところがPCについては「ご説明」をしてくれるところがないので、ちゃんと勉強もせずに、苦し紛れにたまたま広く出回っているデマに乗っかっているという程度のものなのです。そんなもんに振り回されたらあきまへんがな。

(2)そもそも本来の論点をちゃんとキープすべきです。

 ドライブのサーボ電流?そんなものは、たまたま過去に浮き上がってきた論議で、メーカーサイドがデジタルオーディオと音質の論議を逸らすために使っていたネタ、くらいに思っておいた方が良い。ユーザーのネットなどでの探求は別にして、僕の知る範囲では、メーカーサイドでちゃんと解明した資料など見たことがない悪筋のネタです。思いつくのは、せいぜいがSONYのかないまるさんの、「電源に突き刺さる。」という名言くらいです。
 本筋はあくまでCDプレーヤーとPCオーディオの関係なんですから、こういうビーンボールを投げられておたおたしていてはいけない。

(3)情緒的文言ではなく、ロジックやフォーマットなどそもそものデジタル的中身を問題にすべきです。すなわち、CDやHDDについての基礎知識をふまえた上での議論かどうかが問題です。

 「データを丁寧に読む」というときに、①何処にある、②どのようなデータを、③どの機能が、④どのように読み出して、⑤何処に向けて、⑥どのようなフォーマットで出力しているのか?、ということを最低限きちっと詰めていくべきです。

 デジタルだったら常に「それは何ビットか?」、「サンプルレートは何KHzか?」と問い続けることを忘れないで下さい。CDプレーヤーは等倍で、CDドライブはいろいろありますが4倍速前後で、HDDは5400~7200回転/分というようなスペックの数字もちゃんと考えて下さい。

 そうすればこれがHDDやPCに無知な人の、内容のないただの戯言(ざれごと)であり、「丁寧に」という文言にはじめから結論に導く価値判断が織り込まれており、おまけに「精度をあげる」というアナログ的な理解しかそこにはない事が明確になるでしょう。

 サーボ電流の件でも「汗をかく」というような文言が同じく情緒的かつアナログ的文言であり、あらかじめ価値判断が織り込まれている事に気がつくでしょう。そもそもドライブのサーボ電流が影響を与えているのかどうか、与えているとしたらどういう仕組みなのか、どう音質に影響しているのか、文言だけでなく明確なイメージが確立されているのかどうか?
 HDDのこともちゃんと学習されていますか?そういう基礎知識も持っておられない現実はどこから来たのか、基礎知識もなしに論議することの危うさに気づいておられますか?

 PCのタスクマネージャーやシステムモニターを見れば、CPUが以下に変動しているか、まああれは割り当て時間ですが、実際に電流変化を測定したメーカーさんの話を聞くと、やはりああいう恐ろしいくらいのノコギリ的な電流変化が起きているそうです。これって丁寧に読んでるってこと?

4)結論ありきで、無理矢理CDプレーヤー丸ごとをHDDと単純比較するような、非論理的な議論には乗らないで下さい。

 CDプレーヤー全体ならDACの等時処理も含めてそら忙しいですわな。それとHDD単体を比較の対象にするなんて既に論理的に破綻しているわけです。なんでおじさん達がそういう事を書くかというと、結論が先にありきで強引にそこに持っていこうとしているからです。
 その論理の破綻や不公平さを真っ先に突くべきであって、それに乗るなどという愚かなことはしないで下さい。

もう書いてまっせ。
 そもそも日経BPのMOOKの最後の14ページに基本的な内容はちゃんと整理しています。真剣に読み込んでいただけましたか?

(1)方式論よりも「仕組み」の理解の方が重要だし、それがなければ違いも認識できない。

 100万円のCDプレーヤーと5万円のPCオーディオはどっちが上でしょうか?あるいは、ワイスのJason+とMedea+OP1BPという世界最高のCDトラポ+DACの音を聴いたことがありますが、これに勝てるPCオーディオは相当に難しいというのが、当然の事ながらの結論です。白黒短絡の方式論はこのように虚しい。

 もともと僕はCDプレーヤーとPCオーディオの優劣比較は、一般的な方式論としては馬鹿馬鹿しいと思っているので、「PCオーディオの仕組み」の中でCDプレーヤーとの違いについて整理しています。

 そもそもがCDプレーヤーでシステムクロックに同期して読み出されている階段状の信号は、ほとんど「アナログ信号」と呼ぶべきものです。それを苦労してDACまで持っていくだけで、アナログプレーヤーとは違うものの変調されたり、汚染されたりしてしまう繊細な機器です。メカトロも含めてある種のまとまりをもった音造りの世界になっていくのは当然の話です。CDやCDプレーヤーの内容はこの30年間に随分と理解が風化して、「知っているつもり」だけの方が圧倒的に多いと言うことを自覚しておられますか?

(2)理論通りのデジタル動作や回路は地球上に存在しない。

 用語集の中でちゃんと書いていますので、熟読して下さい。

(3)実際に音として聴けるアナログ物理特性では、最高でも20~21ビットしか分解能はない。

 用語集の中でちゃんと書いていますので、熟読して下さい。

(4)PCオーディオに於いて、CD再生とHDD再生は同じモードで動作しています。

 
これが結構なキモなんですが、もう、まずは、このことが、全く、全然、話にならないくらい理解されていません。CD再生もHDD再生も、再生時にはDACの等時処理の下、等時=アイソクロナス・モードで動作するのであって、リトライも行われないのです。しかもHDD再生の場合、フォーマットの演算による変換を経て、アナログ機器であるHDDとやりとりをするわけで、CD再生に比して余分な動作が発生しますが、このことを理解されていますか?これでCD再生はビジーだとよくもまあ言い切れるものです。
 「PCオーディオの仕組み」を熟読して下さい。


●これは声を大きくして言いたい。雑誌やメディアには真剣に書いている奴もいるのです。お願いですから、立ち読みしただけで、「分かったつもり」にならないで下さい。チャートをちゃんと読んでいない方が大多数です。そこらのサイトからパクって来た画像ではなく、真剣に議論して一から作った画やチャートもあるんですから、思いがこもってるんでっせ、センセ。

 まあできあがったMOOKが届いたのを読んだときには溜息も出ましたが。
 あ~あ、しんど。こっちは独りでやらんといかんのやからね。ワシが降りたら、頼りにしてくれる人達に申し訳ないし、ちゃんとした書き手はがたんと減るからね。死んだふりして、当分休みますワ。


2012年10月12日  閑吟集から
世間は霰よなう 笹の葉の上の さらさらさつと 降るよなう


梅花は雨に 柳絮(りゅうじょ)は風に 世はただ嘘に揉まるる


梅は匂いよ、花は紅(くれない) 人は心


2012年10月5日  ワイスMAN301の1台だけでできること
1.MAN301を「単なるLinuxパソコン」そのものだと思っておられる方に念のため、Linuxパソコン部分は全体の一部です。

 下図の赤色で囲った辺りにmini-ITXの基板があり、ここにUbuntu 64bitをベースにした専用Linux OSが収納されています。左上から中央にかけての電源部(アナログ、デジタル、PC)の他には、右上のDAC部、右下のCDドライブ、SSD、そしてフロント中央部に下部に開口したファン、というような構成です。(こちらのブログから)



 DAC部は単体として発売中の、DAC-202相当を搭載しており、これだけでも相当なコストが投入されています。
 SSDは高価格ですが、高性能なSLC(シングルレベルセル)32GBを搭載。

 もちろん各種制御や音楽再生などの心臓部として、Linux OSと殆どが新しく作り込まれたアプリケーション・プログラムなどが大きな役割を果たしていますが、あくまで音楽再生用プレーヤーであり、ハードウェアとしてのLinuxパソコンはその一部です。

2.「オーディオグレードのマスタークロック」でLinuxも動く
 全てのデジタルデバイスはクロックをタイミング信号として動作します。MAN301の内部には「オーディオグレードのマスタークロック」が組み込まれており、パソコンも含めてこのクロックで動作します。もし、クロックジェネレーター経由で、アトミック級のクロックをリアパネルのBNC端子から入力すれば、アトミック級の品位でMAN301も動くわけです。
 (将来的には10MHzアトミックを直接注入できるようにする構想もあるようです。)

3.フロントのスロットインCDドライブで再生とリッピングができます。
 既に高音質なCD専用ドライブが市場にはないので、ワイスは高品質なDVDドライブのメカトロのアルゴリズムを一から製作して、4倍速で直接CDを再生できるCD用ドライブとしています。また前述したように、このドライブを使って接続したHDDに向けてCDリッピングもほぼ自動的に行えます。もちろんメンテのためのパーツはワイスが手元にしっかり確保済みだそうです。
 スロットインについてCDが傷つくのでは、というイメージを持たれる方もおられるようですが、挿入角度さえ余程間違えない限りそれは大丈夫ですし、トレー式よりも稼働部品が少なく小さいのでエアフローなどの振動対策などでのメリットも大きいと言えます。以前、Plextorの担当者もスロットインの利点を強調しておられたくらいです。(勿論、単純な方式論では品質、音質は決まりませんが。)

4.DSDデータ再生は規格が決まれば対応予定
 Linuxはraw-DSDフォーマットをネイティブにサポートしています。また、DACはDSD対応チップを搭載していますので、再生アプリケーションやファームウェアさえ用意すればすぐにでも再生出来るそうですが、世界的に企画が固まるのを待ってアップデートで対応する方針だそうです。

5.最終的にはSACD、DVDオーディオのディスク以外には、市販メディアはほぼ全て再生可能です。
 なお、使い勝手はこれからの整備のようですが、インターネットラジオもとりあえずURL入力で聴けます。

6.CD以外に音源ストレージとしてNAS、USB/Firewire HDD、USBメモリが使え、LAN上の他のPC音源も再生できる。
 
ローカル接続のHDDを使えるのは以降も管理も簡単だし、初心者にも配慮したネットワーク・プレーヤーとして在るべき姿だと思います。

7.MAN301から外部出力できるDACとしては、Firewire、USBのオーディオインターフェース、S/PDIF、AES/EBU(XLR端子)接続のDACが挙げられます。

 ただしFirewire、USBにはLinuxに対応したインターフェースが必要なので、すべてのインターフェースに接続できるということではありませんので,そのあたりはこのサイトをお読みの方なら、よくご存じかと。

8.コントロールアプリを搭載したiPadが画像生成やリモコンなどを一手に行い、MAN301本体(ベーシック・ステーション)では、コマンドに従って粛々と再生のみを行います。
 MAN301本体にはごく僅かな情報だけが収録され、メタデータを含む大部分のデータは外部HDD(NAS、USB、Firewire)に収録されます。
 ついでにメタデータもプリセットでほぼ問題なく処理され、ジャケ画などアートワークの選択もできて専用のメタデータエディターも内蔵するなど、まあ相当マニアックなiTunes的メタデータ整理にも充分対応します。

9.既存の全てのネットワーク・プレーヤーに比べても、MAN301の1台だけで圧倒的に多機能であること。
 年配の方やコンピュータ的作業に自信のない方々は、ネットワークオーディオなどは後の楽しみに置いといて、最初はまずCDプレーヤーとして聴いて下さい。これでけでも第1級の音です。

 そしてこれが最重要なのですが、あのワイス・クオリティの音質です。

 ああ、しんど。いつまでもワイスばかりやっとれんので、とりあえずこれで一段落にします。気が向けばまたそのうちに。


2012年10月4日  どっちが、どっちが、どっちが、どっちが、.........
            短絡的白黒比較論はご勘弁
●ワイスMAN301とUbuntu Studioの音質上の差異について、ご関心の深い向きもあると思います。
 ただ、いつものことながら、すぐにどっちがどっちが、の短絡的白黒比較論になってしまうようです。第一、僕にそれを聴かれる皆さんの理解も実にまちまちです。つまりご自分のご都合の良いように思い込まれる傾向大です。

 ウブスタ君も、ぽっと出で何も手つかずで、周辺機器もごく普通のもの、という状態と、我が家のいじくり島倉千代子&カスタム電源などの重武装の世界とをおなじ「Ubuntu Studio」で括れるかどうかが問題なので、それくらい幅のある音の違いも大きい話だという事がなかなか理解していただけないようです。

 どっちが、どっちが、どっちが、どっちが、.........。sigh!

 ええい、ろうがわしい。
 ぽっと出のウブスタ君なら、確実にワイス君の方がずっと上です。それも凄く凄く上です。おしまい。
 素人がちまちまさわって、パソコンで到達できる世界ではありません。

●おしまい、と書いても「それでは分からん。ぶつぶつぶつ....。」という方もおられましょうから、少し補足します。

 例えば筆者もまだアトミック級10MHzクロックを注入したMAN301は聴いたことがありません。一方、我が家のUbuntu Studio再生時には、アトミック級10MHzクロックをOCX経由でオルフェウスに入力されています。
 また、我が家のUbuntu Studio再生用システムはソフトウェア上で各種設定をできる範囲で一応いじっているだけでなく、CDドライブやMacBook Pro本体の電源などハードウェアも自作始めカスタムなものが満載です。なので、これを単純にUbuntu Studioと呼ぶのは適切ではないでしょう。

 加えて
1.ハードウェアの条件の違い
2.ソフトウェア環境の違い
3.その他もろもろ

の条件面での違いがあるので、一言でどっちがどっち、などと短絡したものの言い方ができるはずもありません。それにどちらもアップデートなどによって音質も変わっていきますから、現時点での決めつけがどこまで意味があるかは難しい所です。

●道楽ですから、それぞれの音楽の楽しみ方ですから、どうぞ決めつけを求めずに緩やかな気持ちでご覧くださいませ。お願いですから、丸投げの質問はご勘弁くださいね。それがために言葉の限界はありつつもこうして経過も書き、写真も公開しているのでね。

 そして、MAN301がどんな機能を持っているか、これから少しずつ紹介していきましょう。


2012年10月1日  ワイス便り
●こっちからもワイス便り。
 ワオン・レコードの小伏さんからワイスの「AF11」Firewire to/from AES/EBU and ADAT Interface を入手し、Waon DAW環境を再構築するとのメール有り。「低い方の安定感がただ者ではない。低レイテンシーなので編集もやりやすい。」とのこと。さもあろう、さもあろう。
 ちなみに、Firewire⇔AES/EBUは相互に変換可能で、8chです。

 香港のKentのスタジオに行ったとき、デジタル系(AES/EBU)とコンピュータDAW系の接点にAF11があり、さらにアナログ系と3グループに機器群が分かれていた。「AES/EBUだけで音を触っていると、だんだん鮮度が落ちてきて面白くなくなる。だから一旦コンピュータ側に吸い上げるんだよ。」という話。

 ワオン・レコードの音はさらに良くなりそうだ。

Kentのブログによると、ワイスMAN301のファームウェア(OS)v1.0.4での今回の大幅な音質改善は、まず開発チームが低速度な音源NASなどでも対応できるようにオーディオ再生エンジンを再設計したこと、またマスコア技術を活用してCPUコアでの割り込み設計を書き直し、オーディオ再生が最高の 優先度を保てるようにした、とのことです。

 一度でも開発をやったら分かるけど、「早くシステムを安定させて、何でも良いからぐっすり寝たい。」というのがこの段階での人情だ。そこを最高を目指してアグレッシブに行くというのは、正直全部は分からんけど、プロの矜持かなにかとにかく凄いと思う。


2012年9月29日  2つのサプライズ
●一つはWave File Playerで有名な名古屋の和田芳道さんがプロデュースした牛嶋としこさんのヴォーカルとピアノトリオのSACD「Somebody Love Me」(10月1日リリース)が届いた。
 我が家には2つのDAW環境(Ubuntu Studio/Ardour+Jackd、Windows7/Nuendo4)があるので、実はDAW直出しの32bitFloat(浮動小数点)/96KHzハイレゾも聞かせてもらったことがあるのだが、ソリッドでシャープなPCMハイレゾとはまた違って、SACDは柔らかだが濃くてしっとりと迫る充実感のある音で、ワインなど開けてそのまま1枚聞き込んでしまった。
 SACDのオーサリングをしてくれるところは、今や日本では名古屋にたった1箇所しかないそうだが、そのマスタリングセンターがジャズでここまでの優れた録音とは、と驚いていたそうだ。
 げに宜なるかな。これは久しぶりに空気というものをしっかりと運んできてくれるディスクだ。@3,500。牛嶋さんのサイトへのメール、タワーレコード、そして追ってアマゾンから買えます。

●そしてワイスMAN301。1昨日届いたばかりで、LANやHDDなどいろいろと設定していて、今日はじめてUSB HDD(SeaGate 1TB/SATA)から軽く音出しをした。実は9月末に4回目のソフトウェアアップデートをしており、それからまた急速に音が良くなっている。
 今日は今井美樹(I Love a Piano )や手嶌葵(虹の歌集 )などを軽く聴いただけだが、リッピングの音もCDとは違うが落ち着いた良い音で、CDでは実在感濃く空気が来るようで、どちらも「何だこの説得力は?!」と圧倒される。
 いきなりこれは反則だろー。くそ、涙が出てくるじゃないか。


2012年9月27日  僕はリッピング否定派ではありません。
●リッピングかCD再生かという方式論が、いまもユーザーにとっては問題であるようで、僕も相談されることがあります。
 「高音質なCD専用ドライブがもう市場にない。」ということが、問題をさらにややこしくしています。電源の問題もそれに加わるかも知れません。
 要はそれらを含めての音質的なバランスと利便性とを比較考量して個々人のニーズや環境に応じて個別に考える他はないのです。
 リッピングサーバーのような大げさなものではなく、できればシンプルな構成でCDを再生してUSB経由などでWAVEを出力するドライブなどが市販されないものかと思います。

●またこの際ですからはっきりと言っておきますが、僕はリッピング否定派ではありません。

 世の方々、お歴々がPCオーディオを論じる際に、デジタルオーディオの基礎的なロジックも理解せず・理解できず、安直にCDを悪者にしてHDDは丁寧に読むから良い、などとはた迷惑なPCオーディオ肯定の論拠にしているのがあまりにひどい議論であるから、それに釘を刺しているだけです。

 良い製品は良いのであって、見当違い白黒方式論は不毛であると、恐らく死ぬまで言い続けなければならないのでしょうね。浜の真砂は何とかで圧倒的多数ですから。まあ、少数派はまず生き延びなければ行けません。都市ゲリラ、もとい年ゲリラですかな。
 あ、こんなこと書いちゃいけないんだった。ま、いっか。

●電源だって確かに変わるのですが、リニア電源でなくっちゃ駄目、と言っているわけではありません。音質を確かめたいからいろいろ努力しているだけであって、誰もが電源自作しなくちゃ、と考えているわけでは毛頭ありません。
 まずはいろいろと試みながら音楽を楽しめる環境作りをしましょう、という一手法として申し上げているわけです。

●現実にワイスMAN301という非常に簡便で高音質なリッパーがもうすぐ来るので、これからはもっと積極的にリッピングをしていこうと思っているくらいです。(Windows/Nuendo4というのはリッパーとしてはシンプルな方ですが、301に比べるとやはり面倒です。)
 でないと、例えば「Wave File Player」などの高音質を楽しめませんからね。また、何時もよく聴く曲ばかりのコンピレーションやプレイリストも作って楽しもうとおもっています。
 例えばトレ・チェント(1300年代)とかクワトロ・チェント(1400年代)というプレイリストで、今日は14世紀にしよう、などと1日どっぷりとその世界に浸るわけです。あるいはブラッド・メルドーの「泣かせるメルドー」とか「尖るメルドー」とかのプレイリストを作って聴く。まあ、特に前者はお酒を飲みたくなってしまうのが、多少の難点ではありますが。
 やっぱりCDは大切に聴きたいですからね。

p.s.最近のボックスセットなどは、シンプルな紙ジャケだけとかいうのも多いので、ELECOMの保護用ケースなど使って盤面の状態には気を遣っております。念のため。


2012年9月21日  ワイスMAN301がやって来る!
●疲れていたせいか、昨日は1日ほとんど寝て過ごしました。秋も少しずつ深まりつつあるようで、凌ぎやすくなってきました。
 僕の住んでいるところは紅葉がかなり見事なので、それも楽しみにしましょう。

●一昨日載せたドライブ電源は、Premium2だけでなく、自作DVDドライブ(Plextor PX-760A)や自作HDDにも使うので、全般的な音質向上効果がありますが、とりわけCDには、もとい良い録音のCDにはこんなに沢山の空気感や情報が入っているのだ、ということがよく分かりました。

 僕のことを「自作派」だと思われている方もおられるようですが、それは少し違います。自作は面倒ですし、求める機能、音質の市販品があれば価格にもよりますが、多分そちらを買うでしょう。そういうものが無いので仕方なしに、また音質的にどこまで効果があるかを確かめたいので自作してきた、と言うのが正直な所です。

●さて、これらの再生はUbuntu Studio 11.10 Oneiricです。実はMacBook Pro 8.3への12.04 LTS(12.04.1)のインストールはいろいろと試みましたが、まだ実行できていません。実際に成功例もまだ少ないようです。Ubuntu 12.04.1 64-bit Mac (AMD64) alternate install CDを使ってのアップグレード、そしてUbuntu Studioへの変更、という手もありますが、まあ、様子を見ながらぼちぼちと。

 11.10でさえ、最初にはMacOS X とWindows用に空けておくパーティション(ただしHFS+などで作成。)という外見上オールMacにして先にUbuntu Studioをインストールしておき、その後にWindowsをインストールしないといけません。もしFAT32のMBRパーティションなどがあれば、Ubuntu Studio が必ずそこに書き込むので、Windowsが起動できなくなります。
 つまりWindowsパーティションのバックアップと復元の研究が必要です。



従来、そういう状態だと焦ったものですが、今回は「まあそのうち何とかなるさ。来年4月まででだめなら11.10で固定して使うさ。」と結構落ち着いたものです。
 というのもワイスMAN301(DAC付きのバージョン)を自分用に発注して、もうすぐ届きそうだからです。いやまあ、あれこれ整理し処分しました。おかげで棚もすっきり。
 Ubuntu Studioとどっちが良いかって?
 まずどちらも音楽に没入できるレベルは軽く超えています。ウブスタ君の場合は自作のドライブ電源を始めカスタムハードウェアで重武装なので、その点の音質メリットは大きいです。しかしワイスもどんどんアップデートしていますし、スムースな使い勝手の良さは何物にも代え難い良さがあります。
 まあここは太っ腹に、良い勝負としておきましょう。

●上の写真は先月後半に輸入元からお借りして鳴らしていたときのものです。上に載せているのはAppleのタイムカプセル。
 このときは音質の良さと使い勝手に「あれまあ!」という感じで、どんどん日が経っていきました。何よりもCD再生の音質が素晴らしく、また再生と同時にはできませんが、内蔵された「CDパラノイア」というLinux/UNIXの定評あるソフトウェアで行うリッピングが、デフォルトのプリセット状態で非常に簡単かつスムースに行えて、音質も良いのに驚きました。EACなどのリッパーはもともと設定がややこしくて、結構変な音になっているケースも多いようです。そういうのに比較すると、「んなもん、やっとれんわ!」の一言でワイスの勝ちですな。リッピングサーバーなど不要です。

 CDを1枚通して聴いたり、ヘビロテCDをリッピングしておいたり、ハイレゾ音源をHDDに収録しておくとか、ともかくこれ1台起動すれば全て行えるのには驚きです。ダニエル・ワイスのドリームチームは単なるUbuntu 64bitのカスタマイズではなく、Ubuntuの新しい派生OSを新規に作り上げたといっても良いでしょう。言って見ればUbuntu Weissです。


●今、ワイス用に虎の子の日立GSTのHDD(IDE 500GB)を構築中です。
 Firewireアダプタ用クロックはD-Clockに換装して、Dexaの超ローノイズ・レギュレーターで回路用5Vを給電する自作のケースに入れ、音源を収録しつつあります。
 FLACはマスターHDDから、WindowsのFLAC Frontoendこちらの”Windows / FLAC for Windows with installer”)で解凍展開して第1世代のWAVEファイルを生成・記録します。
 DVD-R収録の音源は例のドライブ電源で駆動したDVDドライブ(Plextor PX-760A)からHDDにコピーします。
 リッピングはMAN301が来てから、楽しみながらじっくりとやるつもりです。
 久しぶりに楽しくなりそうな秋です。


2012年9月19日  音楽と僕だけが在る。
●最近自分に言い聞かせている言葉。「めげない、めげない。」
 皆さん、努力されておられるのです。
 例えば大阪アサヒ・ステレオセンターの「今から始めるピュアオーディオ」しめて\55,600なんてのもある。こちらで聴けるワイスMAN301のすぐ上にこれが載っているところなんか,最高だと思う。
 もちろんワイスMAN301も良いんで、明日書きますが。

●音楽を聴くときには余計なことは考えないようにしているし、最近は音楽の方が来てくれるようになりつつある。
 ありがたい事です。鶴亀鶴亀。

 CD/HDDドライブ用新電源が完成しました。CDドライブ(Premium2)にはCD読み出し用の33.9688MHzとFirewire送り出し用24.5760MHzの2つのクロックがあって,今回は左上の白いトロイダルトランス( Plitron製のWadia Digital用)をFirewire用に追加して、18VでDexa D-Clockに給電するようにしました。このトランスの内部シールド関係はアースに落としますが、回路のアースをどうするかで結局18Vからは落とさないようにしました。D-Clockがクロック出力をパルストランスでアイソレートしているので、こういう選択肢を持てるのですが、ひょっとしたらもう一つのクロック回路から何らかのノイズが流れるのかも知れません。ま、音の良い方を選んだ、と言うことで。



 左下をご覧いただくと分かるように、ケーブルはコネクタ(XLR 3pin & 4pin、Phone Jack)で、差し替えして切り替えるようにしました。いろいろコンデンサなども換えて音を聴いたりしましたが、概ねこれで行けそうです。

 音楽と僕だけが在る。
 その他は何も要らない。


2012年9月18日  Mac mini 復旧大作戦
●更新が途絶えていましたが、実はHP管理をしている事務用Mac miniが不調でうまく起動しなくなっていました。アップルに何ができるかできないかある程度経験があったので、コールセンターに電話などせず、何時も頼んでいる中古屋さんに全く同じ機種を1台もちろん中古でオーダーしました。様子から見て中のHDDには問題なく、I/Oか何かだろうと見極めをつけ、別個体にHDDを移し替えて復旧する作戦です。起動しなくなったのが金曜の夜、土日は中古屋さんも休みで月曜に急ぎの代引きで発送してもらって、最短で今日復旧したというわけです。
 (2010/06発売モデルですが、HDDの換装は工具も含めてかなりハードルが高いので、情報収集と気合いが必要です。)

●アップルに修理依頼したら、HDDの初期化もありうることを事前了承した上で火曜日に電話してから約1週間、費用も同程度はかかったでしょう。データやタイムマシンのバックアップは別HDDに保存していたので、仮にMac mini本体のHDDが初期化されても何とか復旧はできるものの、特にWindows環境再構築は恐ろしく時間がかかったと思います。

●今度来たMac miniはなかなか動きも小気味よく、やはり当たり外れはあったのだと思います。でもまあ、母の介護の関係の手続きなどで疲れました。よく冷えたソーヴィニョン・ブランで乾杯して、今日は早く寝ることにしませう。
 書くべきことは沢山あるのですが、それはまた改めて。


2012年9月11日  増刷決定!
●嬉しいことに日経BP社の「これ1冊で完全理解 PCオーディオ」が売れ行き好調で増刷が決定したそうです。
 日曜まで名古屋にいたのですが、そのときにも何人かの人に「書店ではどこに置いてあるの?」と聞かれたので、どうやらパソコンのコーナーにあるようです。
 ということはオーディオ関係者ではまだまだ読んでおられない方が多いという事のようです。
 巻末に基礎的なことを14頁ほどいろいろ書いております。イラストも多用し、これはデジタルオーディオの基礎を知るのに役に立つと思いますので、機会あれば是非ご覧ください。

●またその中の「素朴なギモン」の記事が26日頃に日経新聞に載るそうです。これも常にないことで嬉しく思います。
 日経BP社はコンピュータが専門であり、記事についての考え方などのチェックもきっちりと行われている。その中で基礎的なことを書かせていただいたのは非常に嬉しいことだと思っています。

ようするにPCオーディオはもちろんのこと、デジタルオーディオそのものの基礎知識が普及していないということが最大の問題なのです。で、大きくは別物ですが、根っこは同じような所もあるので、PCにこと寄せていろいろ整理を試みているわけです。

 大体が「CDドライブのサーボ電流が....」などと言いながら、どのメーカーさんも中身の解明は一切公表も何もせずじまいで、これでは話を逸らすためのネタだったと言われても仕方がありません。サーボ電流が影響するとすれば「アナログ丸出し」と言うことなんですが、ジャーナリズムの世界にもアタマの整理が必要な方がかなりおられるようですし、そうなるとユーザーさんも、というわけです。勿論、分かっておられるユーザーさんもおられるわけですが、いかんせん常識にはまだ道遠しです。



2012年9月2日  良い本とは、結局凝縮度なのかも知れない。
●来年第4巻が出るのを心待ちにしているコミック。白井弓子「WOMBS」
 かなりの未来、地球からの植民者同士と原住民との領星争い。原住民の胚組織を子宮に移植した女性は、苦難の果てに自分とその周囲を亜空間経由で転送できる能力を持つ。彼女ら「転送兵」の戦いの物語。
 この人の書くものは決して読みやすくはなく、目を凝らしていないと見過ごすディテイルが重要だったりする。子供をはらむ性としての女性の重みと壮絶さがリアルに迫って来る。
 小川一水「天冥の標」シリーズが、残念ながら少しずつ薄まっていく気がしている今、期待の星。

●短編集パトリシア・マキリップ「ホアズブレスの龍追い人」。この中の「音楽の問題」をもう何十回読み返しただろうか。
 王の血を引く領主の一族が70年前に不毛の地に住む「山の民」を蹂躙し、混血の子供達が両側に生まれてくる。山の民の血を引き、音楽学校から推薦されて領主の一族の吟唱詩人となった女性が、領主と共に両者の間に挟まれて、やがて山の民の死者達に選ばれてその吟唱詩人となる。
 時に狩りの場面の沼地や川での馬のいななきが聞こえ、時に不毛の地の影絵のような場面が展開し、短編ながら非常に印象的な一篇だ。シリラヤという楽器は恐らくリュートのような撥弦楽器だろうが、8本のリードと管を持つというコトホーンという管楽器が良く分からない。でもまあそんなことはどうでも良い。ここで書かれているのは、しかし、紛れもない「音楽の力」だ。それがいつまでも僕の心を揺さぶり続ける。

 マキリップの作品にはあたりはずれがあって、引っ越しの際に処分してしまって再度買い直した「イルスの竪琴」シリーズ(「星を帯びし者」「海と炎の娘 」「風の竪琴弾き」)や「妖女サイベルの呼び声」のように繰り返し読めるハイレベルな凝縮した作品から、悪くはないのだけれど「ああファンタジーね。」という感じのものまでいろいろある。
 この短編集もいろいろあるのだけれど、この一篇だけでも読む値打ちはあると僕は思う。こういう短編集は気づかない間にいつのまにか絶版になってしまう。


2012年8月28日   CD直接再生もリッピングHDDからの再生も再生時の方式(等時処理)には違いがない。
●翻訳の手を休めて、一足早く届いたばかりで明日発刊の「これ1冊で完全理解 PCオーディオ」(日経BP社)を読む。
 最近はあちこちで果敢な議論もなされているし、さすがに「CDはちゃんと読めてない。」という愚説はやや影を潜めつつあるかも知れません。一方で、「CDプレーヤーの内部動作は凄く忙しい。PCオーディオは先に記録しておいたHDDを再生するだけだからシンプルで音が良い。」などという主張も出てきていて、CDやCDプレーヤーを悪者にする手法もだんだん手が込んできたと言えるかも知れません。

●これについてはDACが等時処理(アイソクロナス)である以上、CD直接再生もリッピングHDDからの再生も同じ「オーディオストリーム」としての再生になります。HDDお得意のリトライもリッピング時には使えますが、オーディオストリーム再生時には基本使わないので、CD直接再生もリッピングHDDからの再生も再生時の方式(等時処理)には違いがない。ことを書いておきましたが、はてさてちゃんと理解していただけたでしょうか?

●で、チャートを見ていただくと一目で分かりますが、リッピングHDDからの再生の方が明らかに関所が多い。つまり途中のHDD本体やその電源などの選定いかんによって音質の品位が低下するリスクにさらされているわけです。一般的な環境を考えれば結果は大体想像がつきますよね?
 もちろん高音質なCD専用ドライブが既に市販されていない現状ですから、これはどちらが高音質と決めつける議論ではありません。「そこが知りたいPCオーディオの素朴な疑問」という記事に、「CD再生とリッピングでは精度的・音質的にどちらの方がよいか?」という項目も設けておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

それにしてもワイスのMAN301は光学ドライブを備えていて、CD直接再生もリッピングもできますが、市販CD専用高音質ドライブが既に無いため、DVDドライブにメカトロの自社製アルゴリズムをLinux上で搭載し、4倍速で回しています。音も素晴らしい。こういうのを、どこかのメーカーさんが作ってくれればねえ?

●巻末の記事「PCオーディオ用語のキホン」では最初にキーワードを整理し、そこには各機器やデバイスのアナログ特性値では最終的にはせいぜいー130dB強までしか対応できないので、理論ダイナミックレンジの24bit(約146dB)は最終的には実装機器では再生できないこと、実効的には20~21bit程度になってしまう、ということをとどめに書いております。デジタルデータのままでその音質が聞き分けられる(?)オカルト以上に人間離れした人達は別として、このことをもっとかみしめて、オーディオというのを考えるべきなのです。

●出典は元・テキサス・インスツルメンツ、現・評論家の河合一さんのEDN Japanサイト記事です。頼もしい!
 あちこちから聴くところによると河合さんの「デジタル・オーディオの基本と応用」(成分堂新光社)は随分とメーカーさん系列から嫌がられているようです。まあ、昨日までオーディオ用チップを提供されていた人から、痛いところを突かれているのでしょうから、この本を勉強する値打ちは裏打ちされたということですか。(笑)
 僕もお世話になった関係者に迷惑を掛けない程度に、しぶとくひっそりと生き残りながら存在し続ける事にしたいと思います。


2012年8月27日  「知ってるつもりだけのオーディオ知らず」
●日経BP社から29日に刊行される「これ1冊で完全理解 PCオーディオ 」にも、仕組みの説明や用語集やQ&Aなど、いつものインフラ的記事を書いています。
 今回はパソコンに比較的詳しい読者のオーディオへの誘い、というシチュエーションですので、「知ってるつもりだけのオーディオ知らず」向けに少し踏み込んでみました。

●その一つが「オーディオストリーム」です。時間をいくら掛けても良かったりする世界では絶対に分からない概念です。

 大体がパソコン系の人はDA変換の仕組みを漠然と知っているだけで、「分かったつもりだけ」の人が非常に多い。
 インターネットで見ただけで「分かった積もりだけ」の人達と同じパターンだ。

●昨年友人がUSBオーディオとLinuxについて記事を書いたというので、勇んでトランジスタ技術を買い込んで、愕然とした。前説にUSBオーディオについて書いている記事が、要するにアナログオーディオはオカルトだとしか書いていないのだ。一見して、この人はオーディオのことも、音がどのように音楽表現をどう変えていくかについても、全く何も知らない人だと言うことが明白だった。

 この程度なのだ。

●内容はここには書きません。雑誌を開いてください。で、考えてください。じゃなかった、アタマに付いている耳というものを使ってください。
 それなりの環境があり、耳があれば、ですが、あくまで。


2012年8月22日  タイムカプセルが認識されない。
 Apple タイムカプセルは使いやすいNAS 兼 WiFiルーターだが、そこはネットワークでアップデートに失敗したとかいろいろと起こってくれる。おかげで仕事が進まん。ああ、疲れた。
 しかしネットワーク抜きでは成り立たないし。ああ疲れる。


2012年8月21日  「これ1冊で完全理解 PCオーディオ はじめよう!音楽との新しいつきあい方」
 「これ1冊で完全理解 PCオーディオ はじめよう!音楽との新しいつきあい方」(日経BP社)8月29日発売です。

 今回は「PCオーディオの仕組みと考え方」、「そこが知りたいPCオーディオの疑問」や「用語集」などの記事を書きました他、「おすすめプラン」としてラトックシステム24192DM1の紹介もしております。
 PC系の方にも理解を深めて欲しい事など、図解も交えた内容になっています。

 是非書店で手にとって、その後は珈琲でも飲みながらアタマの中にイメージを浮かべてお読みいただけたらと思います。


2012年8月19日  CDドライブ回路の電源でさえも音質的にはまだまだ努力と向上の余地はある。
共同通信社の雑誌も9月9日発行の「オーディオ・ベーシック」など再編の予定。新雑誌名は「Gaudio」、イタリア語で「喜び」なのだそうだ。

●翻訳の合間に。前回のCD/HDD電源ですが、ケースの底板は東急ハンズに特注した厚さ8mmのアルミ合金板を使っています。10mmだと加工が少しヘヴィで、6mmだと薄く強度的にしなる可能性もあり、我が家は末広がりです。それにしても4年前は元気あったんだなあ。

●クロック電源の効果はほぼ予測したとおりだったが、かなりの情報量の変化はあった。
 あれまあ、と驚いたのがPremium2とFirewireアダプタの回路用5V電源(トランス30VA)の音質的影響だ。最初聞いたときは「嘘だろ?」とあきれる柔らかく暖かなアナログの音。但しエッジが立っていないので、細部は充分に見えない。電解コンデンサとフィルムコンデンサのメーカー、種類と接続方法、容量をあれこれ工夫して、その途中ではヴォーカルとピアノのエコーが違うことが分かるような超HiFiの尖った世界もあったが、落ち着いたのはアナログライクな厚みとディテイルが両立する耳で決めた組み合わせ。これはもう少し追い込む余地もあると思うが、当面はこれでブレイクインして、増設するFirewire用18V電源の様子も見ながら全体を決めていきたい。

●ともかくもCDドライブ回路の電源でさえも、音質的にはまだまだ努力と向上の余地はある。お伝えしたかったのは、そのことです。


2012年8月16日  原稿と翻訳の合間を縫って
             ~製作しましたがなCD/HDDドライブ用電源
日経BP社MOOKの原稿を出し終わりました。8月29日発刊予定の「これ1冊で完全理解 PCオーディオ」です。まあタイトルは欲張り杉かも。そこはご愛敬で。
 追って書きますが、今回はオーディオ関係者はもちろん、コンピュータ系の人も知らない事項で、踏み込んだ記事もあります。CDにせよHDDにせよ再生時とリッピング時ではパソコンの動作モードが違う、という事なのですが。

 リッピング作業は時間制限のない世界なのでリトライとか色々できて、それ自体の時間系の中で動きます。
 しかしリップされたファイルをHDDから再生するときはDA変換が等時処理となり、全体が等時性つまりはアイソクロナスとなり、リトライなどは基本的に行われません。今でも再生時にフロー制御とかリトライとか言っている人がいますが、分かっておられないのです。
 なので、コンピュータ系の人達も、まずまちがいなくここで転けます。デジタルオーディオとコンピュータは同じような部分もありますが、基本的には似て非なるものです。
 まあ寡聞かもですが、こちら以外にはネットでは見たことがありません。

 皆さん、パソコンの中だけしか見ていないから、そうなるんでしょうね。第一、DA変換しないと音としては聴けないのですから、そこまでを一つのプロセスとして捉えていかないと「オーディオ」にはなりません。パソコンの中だけで「変わらない」とか言っても人間の感覚には関知できない信号なので、要するに理論的と称する定義に基づき「音は同じはずだ」という理論的と称する主張をしているだけなので。あ、これってグルグル?

●いまは翻訳業務真っ最中ですが、出稿との間に数日あったので、CDドライブ Premium2と自作HDDドライブ用の兼用電源を製作してしまいました。
 詳細な構成図はこちらをご覧ください。
 下記の図をクリックすると大きな図に飛びます。


●Premium2にはCD読み出し用OCXO(0.05ppm)33.8688MHzと、Firewireの伝送用D-Clock 24.5760MHzの2個のクロックを搭載しており、それとドライブモーター 12V、Premium2/Firewire回路用 5Vの合計4電源が必要になります。
 現行は2つのクロックを1つの12V電源で給電しており、それと回路用5Vの3端子レギュレーターをBelleson 2A 超ローノイズ型に変更し、新たなケースに組み直しました。
 実はBelleson 12V 三端子はクロック用に換装して一度音を聴きましたが、音数が増え情報量が上がるの毎度のパターンでした。
     


 上の写真が製作状況で、音を聴きながらあちこち調整しているので、最終は少し変わるもののの基本的には同じです。
 左上の空きスペースには上記構成図にあるようにFirewire伝送用に18V電源を増設予定です。
 トランスはこちらの60VA (15V3A、15V1A)Plitronのトロイダルで、前回と同様「Wadia Digital」のロゴ入りです。
 これでFirewire400での伝送も一段とクオリティが上がることでしょう。
 USB3.0?eSATA?そんなものメじゃないです。これはオーディオの話ですから、早ければいいってもんじゃないので、ケーブルや電源も含むトータルでの音質の話ですから。


●ところでお願いです。
 前回の「Wadia Digital」のロゴ入りトランス48VA(24V×4)はあれからすぐになくなってしまいました。
 使いたいところがあるので、もし48VAを余分に買われた方でこの60VAと交換しても良いと思われる方、あるいは送料込み購入価格程度で譲っていただける方がありましたらトップページのメアドまでご連絡下さいませ。
 今回の60VAもすぐに無くなってしまうんでしょうか。んで、予備を確保してあります。


2012年8月6日  PCオーディオfanサイトの連載にアップしました。
●共同通信社のPCオーディオfanサイトの連載に、「第5回 音楽が生まれる現場の“智慧”(1)ジャズボーカル録音のSACD/CD化までを追う」をアップしました。

       (写真提供:flame colour)
 Wave File Playerで有名な名古屋の和田芳道さんがプロデュースした女声ヴォーカル+ピアノトリオの録音(市販されます)に立ち会わさせてもらって、その後の編集経過も逐一CD-Rで聴かせていただく、という得難い経験をしたので、その状況を報告させてもらっています。とはいえいろんなからみで全ての情報を書けているわけではないのですが、それでも情報満載です。
 是非ご覧ください。

●それにしても、先日の佐久間正秀さんのブログといい、ストレートな音の録音やそのノウハウがいかになくなりつつあるかを考えると愕然とします。
 我我は絶滅危惧種なのだと、つくづく苦笑いするわけですが、マイルスのように "So What?" というだけの気概も持っているつもりです。あきらめの悪さも定評あるし。


2012年8月1日  困りもののThunderbird(Windows版)
 常用のWindows7ではThunderbirdをメールクライアントとして使っているが、これが気が利いたつもりのクイックフィルターのおかげかペインの中に表示されないメールがあり、時々探し回らなくてはならない。友人から言われて分かったが、遂には出てこないメールすらあるようだ。
 何とかならないものですかねえ。


2012年7月31日  体は一つなので
●雑誌造りも、ようやくのことで校正段階に入ると形が見えてきてほっとしますね。

●暑い。いろいろやらねばならん事はあるのですが、体は一つなのでしんどいときは寝て、無理せずにやってます。お待ちあれ。


2012年7月21日  「彩雲国秘抄 骸骨を乞う」
 雪乃紗衣「彩雲国秘抄 骸骨を乞う」角川書店
 沖縄・那覇市美栄橋にはとても大きなジュンク堂書店があり、いろんな本に巡り会えるお気に入りの場所の一つである。で、ぶらりぶらりの間に、ふとこの本を手に取った。もともとラノベ(ライトノヴェル)で長くシリーズ化されていたことは知っていたが、読み始めた途端引き込まれてしまった。中国の朝廷、王家もめぐる何十にもレイヤーが重なった人物群像。僕はラノベの方は読んでいないので、人物など全く分からないのだが、それは読み進めていく内におおむね分かってくるので、むしろ謎解きのようで面白いくらいだ。

 何よりも著者の文章力、漢字と平かなの美しいバランスの表現力が素晴らしい。夜明けと共に昇り立つ朝の空の明るさ、雪の描写、死と隣り合わせの暗闇の底冷えのする令湿さと僅かな体温と人いきれ。
 なすべきこと。欲望と隣り合わせの、しかし己が人生のために見つけたいもの、見つけなければならないもの。喪失と別れ。時に胸を締め付けるような切なさ。
 読み始めでは一番うさんくさかった晏樹が読み終える頃には一番のお気に入りになったのは、少し不思議なくらいだった。

 これからも折に触れて読み返すことと思う。
 僕は中国漢字文化圏に属する日本語のネイティブスピーカーの一人として、同時代にこのような作家を知り得たことを言祝ぐ者である。


2012年7月20日  「ロスジェネの逆襲」
『「バブル世代は余裕じゃないですか」
森山の反論に半沢はグラスを見つめたまま小さく笑った。
「そう見えるか」
「見えますよ。チョー楽な就職をして、なんの特技もないのに一流企業で余裕ぶっこいているというか.........」
「それで、下が苦労していると。君と同じだな。」
森山は肯定の沈黙を返した。
「オレたちのときもあったぞ」
森山が顔を上げた。
「あったって、何がです?」
「世代論さ」
 半沢はこたえた。「オレたちは新人類って呼ばれてた。そう呼んでたのは、たとえば団塊の世代と言われている連中でね。」』(池井戸潤「ロスジェネの逆襲」p.158)


『自身が就職に苦労した経験があるだけに、森山には、そういう理由で職を辞する玉置の考え方が理解できないのだ。
「仕事の質は、人生そのものの質に直結しますから。」
玉置の返事は、森山をはっとさせた。瀬名が顔を上げ、「そのとおりだよな」、と独り言のようにつぶやく。』 (同上p.316)


『「戦え。森山」
半沢は言った。「そしてオレも戦う。誰かが、そうやって戦っている以上、世の中は捨てたもんじゃない。そう信じることが大切なんじゃないだろうか。』
(同上p.367)


胸のすく物語だが、これはあくまでお話だ。実際にはそんな結果には絶対にならない。
 それは、例えばFACTAを何ヶ月か購読すれば誰にでも分かる話だ。
 例えば居酒屋でサラリーマンらしき人達が飲んでいたとして、誰が上司かはすぐに分かる。だれか下手な冗談を言ったオッサンに皆がお追従で笑っていたとしたら、そのオッサンがその場での直近の上司だ。
 僕はそういう日本的組織が大嫌いで、かなりいろいろあったが覚悟を決めて早期退職で勤め人を辞めた。

●これは経験として言うのだが、長い人生の中で自分の「人間としてのパワー」あるいは「人力(ひとぢから)」だけで直面しなければならない難局に、遅かれ早かれ絶対に直面しなければならない時期が来る。人柄や人間性、責任感、一貫した言行に基づく信頼性、人間としての可愛げ、そういうもので勝負しなければならない時が必ず来る。
 本当に困難な時期に誰が助けてくれるか、すくなくとも応援してくれるか、それはひとえに本人の「人間力」にかかっている。正直な説明もなしに自分を守るためだけにKYして辻褄を合わせただけの理屈に誰がうなずいてくれるか?自分だけの理屈で手のひらをコロコロかえしておいて、継続的な人間関係を築くことができるのか?一貫性も何もない人間に一体だれが信頼を置いてくれるのか?

●一人一人は違う人間だから、どこかのアホな田舎のオッサンが言うように、僕は全て個々の人間性を見た上での判断しかしないし、世代論で一括りにしたいと思ったことはない。勿論、最近はあまりにも同じ反応しか返ってこないので、世代論で投げ捨ててしまいたい気分に陥る時はいやというほど多々あるが。

タイトルを見ただけで多くの人達がこの小説は世代論だと理解されているようだが、断じて違う!
 世代が違っても人間の質は基本的に共通する。分かる人には分かると、僕はそう信じている。
 これは自分の人生を賭けて、プライドを持って必死に戦い続けた人間達の物語だ。


2012年7月16日  行きつ、戻りつ、止まりつ
●LINN Klimax DS使いの友人から、「QNAP NASのHDDを日立GSTに入れ替えたら、あれれと言うほど音が変わって困った。」とのメールあり。
 念のためですが、音が違うのは僕の所為ではありませんので。まあ冗談抜きに沢山リッピングしておられる方などは悩ましいと思います。
 ただし環境的にその違いがどこまで音に出るか、ご本人にどう聴こえるかはケースバイケースだと思うので、僕のアドバイスとしては、まずは音の違いを「耳で」確かめてみられて、あまり大きな違いでなければ、あるいは別途何かの方法でカバーできると判断できれば、そのままにしておく。
 もし音の違いがご自分的に無視できなければ、メーカーの寡占化とエコを含む効率化追求で今後音の良いHDDが出てくるのは望み薄かも知れない、などと腹を括って再構築する、という事でしょうか。

 ただしブツが無くなると何もできないので、何らかの可能性があるならば確保されておくのが賢明かと。熱対策にはHDDの空いているねじ穴にヒートシンクを付けるという手もあります。

●もうすぐOS X Mountain Lionのリリースですが、僕は音楽再生用にはアップグレードする気は全然ありません。
 そもそもアップグレードというのは鬼門であるケースも多く、コンピュータの世界の新しきものはオーディオ的には全て良しでもないので、うまく動いているシステムの場合は相当考えてからやらないと後で後悔します。
 OS XはLionの時からiOSににじり寄っていて、LionプリインストールのMacBook Airなど電源が入っているときには、Mailが起動されていなくても iPadと同じようにメールの着信音が出ます。まあAirはもともと汎用性の高いiPadみたいな感覚で使っていますから、こちらはそれで良いんですが、Mountain Lionの場合さらに通知領域が当該アプリの起動に関係なくバックグラウンドで動いて表示されるようで、音楽信号以外は一切動いて欲しくないオーディオ用途には僕としては使う気になれません。
 CoreAudioがLionになってからraw-DSDフォーマットのサポートを止めているのは、考え方によってはすっきりしたと言えなくもないんですが、いずれにしてもはっきりしたメリットが特になければ、室内リスニングにはスノレパで十分だと思います。実際、スタジオ関係ではいまのところ主力はスノレパだそうです。

 もちろんモバイル/ヘッドフォンでの使用などであれば、別の考え方もあると思いますので、そのあたりは各自のご判断だと思っております。

●ついでに書きますと、OS XではCoreAudioが複数・マルチ対応でどうしても重いので、例えばNuendo4などのDAW系では重く太い感じが残ります。いくつか試した結果ではコマンド系の再生ソフトウェアがCoreAudioをぶった切って行くスピードと切れがあり、全体として良い感じだと思います。

 具体的にはBSDのコマンドである「afplay」、あるいはそれを発展させた「MuseLabs Tools」が、僕の感覚からはリソース消費も極小でエッジが立ってかつウェルバランスな再生でMacではとてもいいと思います。iTunesを使いたい方には、iTunes_afplayがありますので、こちらもお試しあれ。なおこちらも是非ご覧ください。
 OS XでのDSD再生にはまた別の局面がありますが、こちらはいずれまたどこかで。


2012年7月6日  ウブスタ君新サイト
Ubuntu Studio HOmeがリニューアルされています。
 
 現在、マルチブートについて熟読検討ちう。


2012年7月5日  佐久間正英さんのサイトのこと
●仕事もあれこれしてるんですが、書いておきたいことがいろいろあります。

●プロデューサー/ミュージシャン/作曲家/アレンジャーの佐久間正英さんのサイトが話題になっているそうです。

「音楽家が音楽を諦める時」2012.6.16
「昨夜の投稿の追加文」2012.6.16
「音楽における音情報」2012.6.19
「『漫画家が漫画を諦める時』を読んで」2012.6.27

 プロフィールを見ると1952年3月:東京都文京区生まれで僕より1歳半若いのですが、ほぼ同年齢です。「四人囃子」のベーシストだったんですね。う~む。

 で、読んでいて身につまされることが多いのですよ。その部分だけを以下掲載順にしかし脈絡もなく引用させていただきます。是非背景をちゃんと考えながら各自お読みいただければと思います。

「音楽家が音楽を諦める時」2012.6.16

 「23歳で職業音楽家としてスタートし、27歳でプロデューサーとなり。通算40年近い時間をかけて積み上げてきた録音物制作に関するノウハウがある。が、現在の状況、これからの時代を予想する限りその積み重ねた知識・経験は『伝承しようの無い』モノに過ぎなくなったと思う。
これだけ長い時間を真剣に音楽に掛けて『伝承しようの無い』様なことしか出来なかったのかと思うと甚だ情けないし残念だ。
しかもこれは日本固有の状況に思える。
もしこのまま、より良い音楽制作に挑めないのなら僕が音楽を続ける必然はあまり見あたらないと思えてしまう。

そんな風にして今音楽家は音楽を捨てるべきかの岐路に立たされている。」

「音楽における音情報」2012.6.19

 「音楽を作ることとはとりも直さずこの面倒クサイ”音”を扱い、それに向き合うことです。
ところがさらに面倒なことに、そこには何も”正解”がありません。何でもありなのが音楽であるが故に更に難しくなります。ところがそれが”自分らが愉しむだけのモノ”であれば明らかに不正解など存在しないのですが、これを不特定な人に聞かせる場合には”不正解”な場合が生じます。」

 「”正解”は存在しないのに”不正解”はある、と言う矛盾を孕んでいるのが音楽です。」



「『漫画家が漫画を諦める時』を読んで」2012.6.27

 「何となく似てる感じがするみたいな事を書いたけれど大切な相似点(と勝手に思うとこ)を書き忘れてた。

 それはお互い、ああ書いておきながら多分決して『諦めない』ことだろう。で、その『諦めない』理由は実は「何となく〜」しか無さそうなところだと感じた。(「何となく」なので”多分”と付けた)」

 「どこかのライターさんに『老害』『もう辞めちまえ!』などと言われずとも、僕らみたいなタイプの人間は、ある日急に禁煙を思い立って煙草を止めてしまうが如くその活動を止めてしまうものだ。
それは”諦める”こととは無縁だ。」



 この最後の『諦めない』というところと、『ある日急に禁煙を思い立って煙草を止めてしまうが如く』というところに、僕の場合は心のメーターが大きく触れました。状況は状況たりとも、我はかくあらむと。(分かる?)


2012年7月4日  さらなる低ノイズを求めて(主にデジタル系)
●これはデジタル系の低ノイズ化の話です。要するに超低ノイズ・ディスクリート3端子レギュレーターをCDドライブやHDDの回路、クロック電源などに投入する、ということです。
 要するにPCオーディオでも、リニア電源を使うなら中身はアナログの電源を勉強しなければ行けません。全てはアナログ回路上のことなので連続してつながっているわけです。



●写真上の左は New ClassD "Dexa Regulators"のDEXA-70908(5.0V 1A)。100倍のRipple Rijection、10倍の低ノイズとうたっているのに期待大。

 写真上の右の2つは Belleson の"SuperPower" Regulator で、2A, High Currentタイプで5Vと12V。

 下の写真がそれらの詳細です。


●Bellesonはこちらに詳細説明があり、Output Noise(RMS 20Hz-20KHz) 1to4 PPM or Volt、Line Rejection 110dBとあるのが凄い。

 今回入手したのはSPJ17, +5V 2A, High Current, Superpower Regulator(BELLESON-75619で検索)と、SPJ17, +12V 2A, High Current, Superpower Regulator(BELLESON-75623で検索)の2種。

●Dexaの方は、外付け単体HDDの回路に、Bellesonの2AはCDドライブやHDDの回路とクロック電源などに使う予定です。
 これまで使用してきたLM338のRipple Rejectionがコンデンサ10マイクロ外付け/120Hzで最大80dBだったのに比べると大きな改善になるでしょう。
 回り回ってアナログ系にも効果が期待できるかと。

 もちろんこれらはちゃんとケースに取り付ける所定の熱対策が不可欠です。

●またBellesonの方は24Vもあるので、アトミック級高精度水晶SC-10の電源にも使えます。現用のLM723電源(超低ノイズ基準電圧素子に変更)や既製品の組込用電源などとデータ及び音質の比較を行うのも面白そうです。あり得る話ですが、Bellesonが一番良かったりして。(笑)
 まあゆるゆるとやってみませう。


2012年7月3日  久しぶりに我が家のシステムの音について
●我が家に来られるお客様にはボリュームMaxにして、プリアンプとフォノイコの残留ノイズの音を聞いてもらう事にしているが、大抵は「嘘だろう?」と仰天した顔をされる。つまり殆どノイズが感じられず、流石にフォノイコは僅かにノイズ感はあるが遠くでごろごろしている感じがする程度である。

 なぜここまで低ノイズかというと、まずはラインアンプ CT-101が6dB増幅でS/N比-112dBという基本性能があって、それに直接給電するCT-102電源(±20v)の性能、さらにPlitronのシールド入り電源トランスを使った第1次電源(+48V)、アイソレーション・トランスなどによる総合的な効果だと思う。

●といいながら一つ悩ましい問題があって、CT-101はchセパレーション120dBの完全デュアルモノにするため、片chこの場合はRchの回路アースをケースに落としていない。このためどうしても回り込みノイズや誘導ノイズに弱く、あれこれ対策して微量だがノイズが残っていた。何とか解決すべく考えていて、ふと気づいた。
 AVつまりDVDレコーダーのアナログ出力を小型スピーカーで再生すべく、マルチのリアch再生用プリメインアンプ(英Arcam A-80)に接続しており、そこからSACDプレーヤーにはリア用出力のRCAケーブルがつながっている。
 もちろんこれらは「全て」電源にアイソレーション・トランスをあてがっており万全の態勢にある。とはいえセレクターまでRCAケーブルでつながっているのはどうもヤバそうだ。
 
 またアンテナ入力は我が家で立てたBSアンテナの他に、地デジをパススルーするために壁の共聴アンテナ端子(F型プラグ)からDVDレコーダーに接続している。もちろんマンションの共聴アンテナ端子はノイズの塊であるので、2005年のオーディオ日記('05.11.20)の記事にあるような「マジックボックス(MONDIAL - MAGIC BOX)」を使って共聴アンテナ端子に接続しグラウンドをアイソレートしている。(これはもう入手不可能なようで、JensenでIsoMaxなどの製品が入手できる。)

●これは一応万全だと思うが、ひょっとして回り込みが来ているのかも、とAV系からのRCAケーブルもアンテナ線も全て取り外してみた。AV系は完全に別系統にしたわけです。で、止まりましたがなノイズが。
 まあボリュームMaxだとかすかに回り込んできているのが分かるが、まあこれなら大丈夫。

 発生源を分離したわけだから、当然アナログ増幅系だけでなく、デジタル系にも全般的に効果があると思う。
 各種ノイズについての整理も、そのうちしなければなりませんな。

教訓
 アイソレーション・トランスもグラウンドアイソレーターも完全にアイソレートしたりノイズを切れるわけではない。

 電源トランス巻線と壁コンの容量結合や、機器間電位差がある限り、回り込みノイズは来ると思わなければならない。ましてやついでのRCAケーブルなど接続してはいけない。

●で、音の方ですが、左右の音場がぱっとクリアに広がり、音場感はひたすら広く、ダイナミックレンジ感も改善されて音が溢れてくる感じだ。いやあ、まいりました。我が家史上最高に見通しの良い音で、ノイズフロアーが低いので、弱音のニュアンス、例えばイーヴォ・ポゴレリッチのピアノの弱音のタッチやペダルもひしひしと分かる。LPではウェザー・リポートのライブ「8:30」(Teen Town)でジャコパスのベースとピーター・アースキンのバスドラがそれぞれに息づいて、躍動感が2桁くらい上がっている。
 まあ安心して音楽に浸れるレベルには数年前から既に到達していますが、これだと聞かないと損だなあと、日々聞いています。すみません、幸せを感じます。(って、日々営々と努力してきたんだからいいよね。)


2012年6月27日  Eterna Paces(永遠の平和)  
●僕は多様性を是とし旨とする者であるから、多様な考え方や理屈があって当然だと思っている、あまりに攻撃的なものでなくコミュニケート可能なものである限りは。
 そういう多様性の海の中から新しい何かが生まれてくるのだと思う。

ubuntuのCode of Conduct(行動規範)を思い出していただきたい。
 他者を思いやれ
 他者を尊重せよ
 協力せよ
 意見が合わないときは相談せよ
 自信がないときは助けを求めよ
 退任するときは慎重に


 できれば、そのような気風をネットオーディオ界でも育みたいというのが僕の個人的希望であり、少し空気が和らいできたと思える今、オープンな議論に向けての土壌を醸せればと思い、各方面の有力な司司を意識しながら、多少の地ならしをしているだけだ。
 それが無用というなら致し方ないが、Wikiまでいかなくともまだ全体的に未解明な事象が圧倒的に多い中で、最低限、いたずらに軋轢だけが増えて共倒れというのだけは何とか避けたい。

 その旨、どうかご理解ありたいと思ふ。


(注)誠に僭越ながら、表題の「エテルナ・パーチェス」というのは、キューバ危機の際に当時のヨハネス23世がヴァチカンから発した法王回勅のタイトルです。


2012年6月25日  あれこれ
●Ubuntu 12.04 Preciseの12.04.1のリリースが7月29日だそうです。そうするとウブスタ君の新サイトやオルタネート・ディスクの配布もこの辺りになるかも知れませんね。もちろん推測ですが。

●日経BP社が8月末にPCオーディオのムックを発刊予定で、原稿依頼があったのでいろいろとやり取りが始まっています。お楽しみに。

●人間は自己を正当化する存在ですから、自分のやっていることは実感があるだけについ筆も滑りがちです。しかし明確な定義と数学理論やモデルなど一般性を備えた論拠が無い限り、せいぜいが「基本的傾向」を「定理・法則」と書くのはいかがと思います。
 もちろん明確に確定されている論拠があれば素晴らしい事だと思うので、その場合は是非承りたいものです。
 といってもオーディオの世界は最後には音質という人間の官能評価に関わらざるを得ないので、科学的でありたいと思ってもその実現はなかなかに難しいものです。だからこそ論議に用いる言葉には気を付けたいものです。


2011年6月15日  ウブスタ君や~い
ウブマガ vol.08が出ています。ここには「デュアルブートはリスクの割に得られるメリットが少ないため、本誌ではあまりお勧めしない。」と書かれてあり、実際の12.04 Preciseも多分そういう方向だと思われます。
 ただ筆者にはトリプルブートは非常に役立つ環境なので、何としても維持したい。Mac OSでもLion環境では rEFItはいろいろと問題があるようで、その他のことも考え合わせて我が家では Mac OSはSnow Leopard で打ち止めにすることにして、MacBook Proのスノレパ・プリインストール機(Ver8.3)を2台確保している。(筆者は未経験ですが、Lionプリインストール機を Snow Leopard に戻すのは相当に大変な作業だそうです。)

 まああちこちのスタジオも同様なようでございます。

●というわけで、ウブスタ君は現在は「11.04クリーンインストール → すぐに11.10にオルタネート・ディスクでアップグレード」、という環境です。今後も行けるところまで何とかアップグレードで繋いでいく、という「打ちてし止まん」作戦で、12.04も色々ありそうなので、ここはやはりオルタネートの方が良いかとサイトのリニューアルを待っているところです。
 とはいえGnomeデスクトップ環境での11.10運用もなかなかに厳しく、日々スリルとサスペンダーでありまする。

●サンダーボルトもSonnetのECOH ExpressCard/34アダプターを、それも「Pro」バージョンまで2つ購入していろいろと試しましたが、高域は良い感じなものの低域も含む全体としてのエネルギー感がどうしても付いてこず、MacBook Pro17インチにはもともと付いているExpressCardポートの方が安定感が高いので、Sonnetのアダプターは各種HDDの増設ポートに使って重宝しています。13インチや15インチの拡張ポートとしての効果は大きいと思います。
 「Pro」バージョンかって?いえいえ、これも「Pro」だとハイ上がりな感じになって落ち着かないので、最初に出たバージョンです。「Pro」は休憩中です。
 やはりオーディオ的音質というのは、コンピュータ的に速くて効率的というのとは違いますね。以上、ヒトバシラーからの報告でした。

●で、オーディオ的音質の良さも一応あるかもと、日立のIDE/5400回転の2.5インチHDDを見つけたので、2台ほど確保しておきました。できればFirewireで使いたいのですが、しかし良いケースが無いんですよね。手持ちのアダプタで自作するのも大層だし勿体ない。バスパワーは嫌なので外付けACアダプタ方式のものをようやく一つ見つけたので、オーダーしましたが、はてさて。


2012年6月11日  「名門メーカー、破綻の真相」
 Phile-webのコミュニティ最新ニュースを拝見して、知りました。

 「名門メーカー、破綻の真相 伊藤 瞭介氏インタビュー[山水電気・元社長]」インタビュー記事が日経ビジネス6月11日号に掲載されています。
 1週間の無料体験ができますので、ログインして記事を読むことができます。

 大変考えさせられる内容でした。
 マーケットを大切に思うなら、暗く厳しい話としていたずらに蓋をせず、企業文化がすなわちオーディオの文化であるような、そのような事どもも、ユーザーも含め多くの方に理解していただく必要があるように思えてなりません。そういう思いをもって謹んでお伝えいたします。
 


2012年6月10日  ネットオーディオ界をめぐる知的状況について(1)
●書かないで置こう、と思っていたのですが、まあ簡単に書いておくことにしませう。

●ネットオーディオ界というからにはジャーナリズムやメーカーなど業界筋はほとんど除外される事に、まずご注意あれ。このあたりが基本的な所につながるのですが、それはまた別のお話。

●最初はごくシンプルな内容です。すなわち「普通」という言葉を使わないでいただきたい。
 普通の反対語は何でしょうか?
 normal とすれば abnormalですね。
 「俺たち普通、あいつら異常。」と、まあこうなるわけです。
 ordinary とすれば extraordinary。
 やっぱり「俺たち普通、あいつら異常。」となるわけです。
 言葉狩りをするのではなくて、普通という言葉には自分たちが正常な当たり前の存在であり、その他(と一つに括られてしまうのが何とも恐ろしい。)は正常ではない、という非常に強い排他性、差別性があります。
 ましてや「?」など迷いを曖昧に漂わせながら無理して使うべき言葉では断じてありません。

 このむね、ご了知ありたい。

●さすがアメリカなどは多民族国家ですから、主にこういう場合は「Typical」(典型的な、ステレオタイプの)という言葉を使ったりします。

 ここでご注目願いたいのはTypicalにはいろいろなタイプがあるという意味があり、トータルとしては複数の価値も論理展開できることです。

己は多様性ということをどう認識しているのか?いたずらに自己正当化や可能性の否定をしていないか?
 自分の存在の底に潜って、自分と対面しながら、それを各自問うていただきたい。
 それがなければ何も始まらないし、文字通り「論外」なことは言うまでもない。
 自分に出会えない者は、他者とも出会えないのだ。


2012年6月8日  明日発刊のオーディオ・ベーシックvol.63
●明日発刊のオーディオ・ベーシックvol.63には2本書いています。
 「ちょっと趣向を変えまして」の第3回(p203)は「ヨーロッパマイナーレーベルへのお誘い」と題して音楽様式観の変化、ペアマイクなどの優秀録音といった背景のイントロです。「めぐり逢う朝」のDVDの話などもっと書きたかったのですが、続きはじっくりと。
 「実践的コンピュータオーディオ整理学」(p76)ではWindowsの環境チューニングツール「Fidelizer」の実際的なご紹介です。

●5月27日の記事に書いたように、ディスクリート・オペアンプを使ったマルチchフロントミキサーの音がとても良かったので、その1次電源部(+48V)の内容をグレードアップしました。Mundorfの4端子ケミコン(1000μF/160V)を3個おごって出川式第2世代整流回路とCPM、TL-783CKCレギュレーターの出力にはDynamicapを合計10μF使って、かなりしっかりした電源になりました。
 フロントミキサーのミキシングはセンターとサブウーファーを-3dBでミックスしていますが、いろいろなソースを聞いてこのまま-3dBか-6dBにするか決めるつもりです。
 聞いた方は殆どないでしょうが、ちゃんとやるとマルチは面白いんですがねえ。

●さて明日やってくる機器には真剣勝負で当たらなければなりません。新しいモノってホント大変なんですよ。


2012年5月31日  (日本人) かっこにっぽんじん
●おすすめ本は橘玲「(日本人) 」。この本はできるだけ多くの人に読んでもらえたらと思う。
 著者はもともと海外投資のライターで小説も書いていたが、3.11以来真剣に日本人論というか、その特性や行く末を考え書き始めている。

 日本が「無責任社会」であり、それは例えばタイのような農耕社会では共通する仕組みであることから始まって、あれよあれよと目から鱗がぽたぽたと落ち始めるだろう。こういう社会で普通にやれば責任を持った原子力管理など出来るわけが無いので、権限と責任を明文化した別の枠組みが必要になるのだろう。

 多分ぴんと来ないのは自由貿易に関するリカードの比較優位の理論くらいだろう。(100人に一人くらいは効果があるとして)日本ではもっと真面目に高校くらいから理論経済学を教えるべきだ、という僕の年来の主張を付け加えさせていただこう。
 岸田秀さんの社会心理学については僕は筆者と意見を異にするが、切り口の問題だろうし言わんとすることはよく分かる。

 なるたけ多くの方に、とにかく読んでいただきたい。

●月曜日にちょっとばかりまいった事があり、何となくローアンバーな気分ですが、いろいろと我がシステムをいじりました。

 一番効果的だったのは、カタツムリのチャンデバのアイソレーション・トランスの独立です。以前はHigh、Mid-Highのパワーアンプと共用の1.5KVAのアイソレーション・トランスから給電していたのですが、チャンデバのアイソレーション・トランスを独立させて400KVAに致しました。するとSNや見通しなどは良くなったものの、「ず~ん」という感じの深さ・重さや陰影が見事にどっかに行ってしまいました。

 そこで覚悟を決めて1KVAを2個注文し、月曜日に届いたので昨日はケーブルやスイッチボックス、コンセントを取り付け、今日聞いた次第です。そう、これこれ、これでなくっちゃ。まあ、聞いたことがなければ400VAでそのまま行っていたと思いますが、もう何年も聞いてしまいましたからね。

アナログはかように「余裕」を要求するのですが、面白い事にオルフェウス君やワイス君でのアイソレーション・トランス容量は400~500VAがベストです。デジタル動作の機器にはどうも音のスピード感的にトランス容量の適正な範囲があるようです。MacBook Proも同様の範囲が良かった経験があります。

コンピュータで言えば、Western DegitalのHDDは強いエコ志向に基づいて作られているようで、特にCavia Greenはその傾向が強いようです。これはエネルギー効率という観点からも立派な考え方だと思います。
 ただ、そのためかどうか、全体に安定してはいてもどこか丸い、あるいはおとなしい音質傾向があります。オーディオでは音楽信号以外は一切動かないという状況が求められるので、このあたりもコンピュータ的な効率追求とオーディオ的音質の良さには相反するモノがあるようです。


●前回のディスクリート・オペアンプはどこに入るのか?、というご質問があったので。
 我が家のプリアンプ機能は、①セレクター、②アッテネーター(ワイスATT-202)、③ラインアンプ(6dBゲイン DACT CT-101 & 102)という三部構成になっています。
 マルチチャンネルのセンターとサブウーファーのスピーカーをを使いたくないので、それらの信号をLとRにそれぞれミックスダウンするのがディスクリート・オペアンプ基板の役割です。いわばファンタムに音源をLRに割り振るので、センターもサブウーファーも左右カタツムリの間に定位します。
 これは①セレクターの中に、DACT CT-102電源基板(±20V)1枚と一緒に入っています。
 おかげでフロントはカタツムリ1対と、リアはELAC 301JETペアの合計4本で5.1cHを再生しているわけです。リア用のアンプは英Arcam A-80プリメインアンプです。


2012年5月22日  知性とは屹立するものである
●静かな日々が過ぎていく。左肩が痛かったりするが、今のところはまあ何とかなる。ゆっくりと動き、ゆっくりとものおもふ。
 癒されていくことを静かに感謝する。

●いろいろと本を読んでいる。読んではすぐにゴミ箱に捨てるものもあるが、最近はヘヴィなものを中心に読んでいる。堀田善衛「路上の人」徳間書店
 ヨナという主人公の名前から鯨に呑み込まれた旧約・ヨナ書の主人公かと思えば、ヨーロッパの道(街道)の路上生活者のことだった。このスケールの大きさと視点の鮮やかさ。解説は加藤周一氏で、思えばこういう知の巨人達とは結構のご無沙汰だった。知性とは屹立するものであり、屹立することを恐れないものだと言うことを、僕はこの人達から学んだ。
 目を洗れること請け合い。

「日本国債、フィッチが格下げ 円急落」
 格付け会社のフィッチ・レーティングスが、日本国債の自国通貨建て格付けを「ダブルAマイナス」から「シングルAプラス」に1段階引き下げたと発表したことが円売りを誘った。」
 Everything that has begining has end.


●今日嬉しかったのはカナダから届いたBursonのディスクリート・オペアンプで作った、マルチch再生用のダウンミックスアンプが無事動いたこと。友人設計の基板がくたびれてきたので、蛇の目スルーホール基板に裏面ハードワイアリングで新基板を作成し、セレクターにDACT CT102電源基板(20V設定)と共に収納した。
 先週末、集中して1日で製作したものの、もう無理が利かなくなっているので、完成してからどっと疲れが出て、結局今日の動作確認と相成った。

 やはりディスクリート・オペアンプはICベースのものとはクオリティというか情報量が基本的に違う。少しばかりセンターとサブウーファーのレベルが高いのでゲインを調整しなければならないが、ビョークなどよく知った曲のSACDマルチの新たな側面を発見して鳥肌が立った。勿論PCMのマルチもスイッチ切替で再生可能だ。
 これから我が家に遊びに来られる人は、新たなイリュージョンを体験されることだろう。


2012年5月17日  自作/改造は損か得か?
●今回いろいろと紹介した電源などの自作品は、概ね以下のポリシーで製作しています。
1.パソコン関係機器などの音質に電源が及ぼす影響やその度合いの確認用に製作。

2.できるだけ高品位なプレミアムパーツを使い、高音質・ローノイズを目指す。

3.回路的には10MHzアトミックのように超ローノイズを要求する機器以外は余り凝らずに、まずは製作しやすく性能の良い3端子などで、全電源のリニア化を優先する。その後必要な場合はグレードアップを検討する。

4.出力ケーブルを差し替えて、様々な機器に給電できるように効率化する。

5.これら各電源の前段階として、基本的に1機器・1アイソレーション・トランスを壁コンとの間に入れてアイソレートし、グラウンドループを切ってケーブルによる機器間漏洩電流を減らすことに努める。

自作/改造は損か得か?

1.まず汎用品については自作はあまりメリットがありません。

2.高品位なプレミアムパーツを使いはじめると、がらっと様子が変わります。
 こういうパーツはコスト面、また補修部品としての長期安定供給の不安、といった理由でメーカーではまず使いませんし、使えないケースが多いのです。
 個人の場合は1品モノですから、多少の予備があれば良いので、思い切り良いものを投入できるわけです。こうなると、音のクオリティもいつの間にか我が家の方が良い、という状態も起こりえます。(皆がそうはなりませんが。)あるいは市販品を使って気になる部分のパーツを交換して音質強化するという手もあります。

 これは皆さん自作/改造しましょう、ということを言っているのではなく、こういうやり方もあり、この場合はパーツなどとの音質の相関関係が実に良く分かってくるというわけです。電源もOEM外注するだけでは、トータルの音質について充分分からないと思うんですがね。


●やっとここまで来ました。

 例えばこのポゴレリッチのモーツアルトは実によくディテイルが録れており、木質感もちゃんと入っています。ピアノは単なる「パキパキ音」ではなく、指のキータッチによる音質・音量のコントロールやペダルによる響きのコントロールまで、恐ろしくニュアンスに富んだ楽器です。

 そしてこのCDのような細かい所の音は、楽器の近くにマイクがなければ充分に録れないもので、一般的なホールの中程などでは充分に聞けない音です。つまりこれはオーディオならではの可能性を意味しています。

 さあ音楽の時間です。


2012年5月16日  CD/HDDドライブ用電源の改良
●今回のシステム改良のもう一つは、CDドライブ/HDDの3トランス式電源の強化。ドライブモーター用のトランスを30VA→50VAに容量アップして、幅広い範囲のHDDを使用できるようにするのと、ノイズ対策など。
 右の写真のCDドライブにはしているので、本来はこれを専用トランス2台に分けて、4トランス式にするともっと良くなることと思います。
 トランスやケースなども用意してあるのですが、こちらは大工事なのでなかなか腰が上がりません。


●上の写真が3トランス式ドライブ用電源ですが、左上が今回50VAに容量アップした12V用トランスです。右上はクロック用12V、右下は回路用5Vです。
 CDドライブからリッピングなどする場合にはCDドライブ用にこれを使い、HDD用には別途12V4Aの電源を使います。
 ここまで改良した電源やクロックのCDドライブだと、HDD側のクオリティがなかなか追いつきません。これも別途いろいろと取り組み中なので、ご紹介するかも。


2012年5月15日  我が家でも再度Voyage MPDが浮上しそうな気配濃厚
●ラトックシステムからUSB入力付きDAC「RAL-24192DM1」がリリースされ、昨日実機を聴きました。写真よりもずっとスマートな縦長の、しかしずしりと重い薄型で、真正面からオーディオグレードのDAC。
 定番のΔΣ型ではなく、今やレアなラダー型の24bit/192kHz対応マルチビットDAC「PCM1704」を、L/R各Ch.専用に2個搭載しており、自社開発アルゴリズムで制御してノンオーバーサンプリングです。腰の据わった表現力でなかなか良い出来です。S/PDIF同軸入力でも信号からクロックをリカバリせずに、内部のローカルクロックを使います。
 USB入力にはX-MOS上の自社開発アルゴリズムでEHCIの「High Band Widthモード」を用いて、Windows/Macでドライバーインストールなしに24bit/192kHz対応していました。一体感のあるしっかりとした音です。

 若い人に是非本格的なオーディオとして使ってもらいたい、という同社の思いで実売は20万を切るそうです。2012年6月中旬出荷開始で、特典付き予約受付中。

●で、特筆すべきは「Voyage MPD対応」という点です。USB DDCとして以前から同社の24192UT1を外部電源付きで、ワイスDAC2に同軸接続して使っていましたが、UT1はUSBフロントエンドとしていささか物足りない感は否めず、さりとてアンテロープのZodiac Goldは非常に良い音ですがVoyage MPDには対応しておらず、どうしたもんかなあと思っていましたが、我が家でもDM1をUSB DDC+DACとして一体で使う前提で再度Voyage MPDが浮上しそうな気配濃厚です。
 これはVoyage用のグレードアップとしてお薦めです。

●また同社のフラッグシップとなるUSB入力付きDACも現在開発中とのことで、こちらは10MHzルビジウムも入力出来る仕様で、特にアナログ回路に注力するとのことです。これでVoyage MPDを鳴らしたら、どうなることでしょう。

●この秋に国内オーディオメーカーさんからネットワーク・プレーヤーの中上級機が登場するらしく、こちらも楽しみです。


2012年5月14日  「聴こえるべき音をマスクする要素」
●原稿はあと1本となり、今週中には仕上げる予定だ。
 左肩や腕が痛くて眠る時も気になるとか、しんどいことはあるが、ともかくも穏やかな日々が過ぎていくことを心からありがたく思う。

●いま出来るうちに、自分の音とシステムについて出来るだけ手を掛けておきたい。気になることや改良予定の箇所にはちゃんと手を入れて、心おきなく音楽を聴けるようにしたい。

●「いま、せせらぐものに何かのたよりがきこえさうだ。」と言う風に鳴るためには、ではどうすれば良いのだろうか?

 まずは「聴こえるべき音をマスクする要素」を減らして行かねばならない。これはコネクター類やケーブルのようなパッシブなパーツも含めて、出来るだけ情報量の多いもの、言い換えれば出来るだけロスが少ないものを選別して行かなければならない。僕はこの40年間コネクタ類などを含めパーツの音を聞き分けて来た。もちろんすべてを聞ける訳ではないが、自ずと良いものは分かってくる。ワイスATT-202もその文脈の上にある。
  
●そしてマスクする大きな要素としての「ノイズ」を減らす、具体的にはノイズフロアーを下げる事だ。
 具体例を挙げよう。上の写真で「Wadia Digital」というロゴがご覧いただけると思う。Plitronの余剰在庫トランスです。我が家のプリはデンマークDACTのラインアンプ基板CT-101をデュアルモノで鳴らすため、同社の電源基板CT-102を2枚 ±20V出力で使っているが、その元電源として+48Vが必要だ。デフォルトは付属スイッチングアダプタでしなやかな音も悪くないのだが、トータルのレスポンスが欲しくてトランス式電源を自作している。これはDACTの仕様ではないので、当然自己責任。
 で、下の写真(タイバンド結束前)のここに使うわけですな。回路図はこちら。1次2次それぞれにシールド付きで、恐ろしくノイズフロアーが下がる。ちなみに巻き線の「・」はコールド側につなぐという表示。外側の巻き線のインピーダンスが低くなるので、ノイズ耐性などが改善される方向になる。

 この24Vをシリーズにして48V、それをパラって出川式第2世代整流モジュール、CPM、ポリプロのフィルムコンや既にディスコンのBlackGate NXなどを使い、高耐圧用3端子TL-783CKCに電圧調整用ポテンショメーター(Vishay Spectrol)をつけて48V出力になるよう調整している。
 アナログもデジタルも、この部分の構成の仕方でもう相当に音が変わる。

●電源トランスにシールドがあるからアイソレーショントランスは不要だ、などと短絡しないこと。シールドの中身と働く箇所が違うので、もちろんアイソレーショントランスも使っています。ちなみにプリアンプはいまのところアイソレーショントランス容量1KVAがトータルの音質面でいい感じなので、大飯くらいですが仕方ありません。機器側のヒューズは当然入れてますが、アイソレーショントランスの方も温度ヒューズ付きを選び、スイッチをつけて最初のラッシュカレントを流してから機器をスイッチオンします。たんなる言葉の印象だけで温度ヒューズなしのタイプを選ぶ人がいますが、僕は安全は非常に大事な要素だと判断しています。

●またこれまでチャンデバとカタツムリの高域/中高域用アンプ2台とでアイソレーショントランス1.5KVA1台を共用して来たが、これを独立したアイソレーショントランスにした。
 これでまたノイズフロアーがさらに下がるのが面白く嬉しい。アースやアイソレーションは理屈とそれなりの経験である程度は見当がつくものの、実際にはなかなかに難しく物量も要求される。トライしてみるしかない。
 まあこういう事をしなくても「音は出る」ので、それで良しとされるのももちろん道楽の世界です。しかしコンピュータ関連機器もケーブルで接続している実態としては、壁コンとの容量結合で「グラウンドループ」ができており、ノイズは機嫌良くケーブル内を行き来していると言うことは、刻み込んでおいてください。

●で、まあオーディオというのはアナログ電子回路がベースでありまして、理屈と経験などに基づく使いこなし(≒広義のソフトウェア)によって選択されたハードウェアという物量を要求するものなのです。そういうのを「オカルト」とか言ったりするのは、オーディオの知識と経験が全くなかったり、オーディオを分かっているのかどうかも非常に怪しいレベルの話だということ、それを丸わかりに露呈しているだけだ、ということを言い切っておきましょう。デジタルのフロントエンドの、それもソフトウェアレベルだけでは達成できないものが山積していると言うことです。
 もちろん僕は何でもかんでもアルミ削り出しとかの「ハイエンド」が良いとか言っているわけでは全然ないので。それは上の写真やこれまでの記事を見ていただければ、分かる人には分かっていただけると思う。

 問題は世界はもっと広く深い、と言うことです。


2012年5月7日 ああ、いま、せせらぐものに 何かのたよりがきこえさうだ。
 「竹林の七賢」
 
 さても黄色い円月である。             
 さても閑雅な竹林である。
 七人(ななたり)の賢い人、風月の友、
 この幽人たちの面持、姿、 
 その清らかさはかぎりもないが、 
 あまりに世の中からかけ離れた、 
 それゆゑの月の出が、
 明るい間近な光である。 
 ああ、いま、せせらぐものに
 何かのたよりがきこえさうだ。
 さてもこの良夜に
 言葉を失くした
 ひとつひとつの霊(たましひ)である。 
 近いやうでもまた 
 遠い銀と紫の世界の中である。


(北原白秋「水墨集」より)


2012年5月4日  あれこれ
「ネットオーディオ」vol.6を読む。エスペランサ・スポルディングのインタビューなどもあって、音楽関係の記事とリーズナブル価格の機器紹介と使いこなし記事が以前に比べてずっと落ち着いた感じになって良いと思う。隔月は大変だと思いますが、頑張ってください。
 やはりこの分野もそれなりにこなれてきた感じがする。今年は著作権(国外)、OS、DSDなどおそらくいろんな意味で分水嶺の年の一つになるだろう。
 メディアは腰を据えて自らも変化しながら、しぶとく頑張らねば行けない。先をちゃんと見据えた落ち着いた議論が求められると思う。

●「ストレージ研究2」の『「コンピュータ的性能・スペック」と「オーディオ的な音質の良さ」には必ずしも明確な関係はない。』という結論には、戸惑いも反発もあると思っていますが、「はずだ。」というのはもう耳タコです。僕のように沢山買うと別だけど、2~3個ならさほどお金が掛かる話でもなく、各自自分の耳と装置で刻苦勉励されたし。意見はそれから言ってもらいたい、ですね。
 まず手を動かす。耳で聞く。口を動かすのはその実績をふまえてから。

●これまで落ち着いてできなかったHiRezダウンロードをせっせとやっています。フランスのquboz.comなんかみてもHiRszでは例えばChanell ClasiccsなどHD Tracksあたりと重複しているレーベルも多くてゲップも出るけど、著作権が片付いたら増えるんじゃないかと思う。
 こういうサイトは実際にダウンロードしてみないと分からない事も多い。とは言え、財布も大きくはないので、何でもかんでもというわけには行かない。自然と各自の好みに応じて分担されていく形になっていくだろう。いつまでもオーディオ関係者が音楽データ評論をやっている時代ではないと思うが、音楽関係者もそろそろオーディオの勉強をしていただきたい。


2012年5月3日  1冊の本
●ここ何日か我が家は工房と化しています。ケーブルがとぐろを巻き、作業用テーブルの上には例えば電源ケーブルのスイッチボックスにするため端子台とスイッチ、ケーブルストッパーを取り付けたアルミダイキャストボックスや、絶対位相をスプリットするためのスウェーデンLundahlのトランスや微少電流用トグルスイッチ、さらには工具やケーブル、熱収縮チューブなどが所狭しと並んでおります。
 左手の調子が今ひとつなので、気を付けてゆっくりと作業していますが、こうして手を動かしていると何も考えなくて済むので、最良の気分転換の一方法です。
 ノーチラスのチャンデバ電源のアイソレーショントランスをパワーアンプと完全に別系統にしたり、いままでやらなきゃと思いつつまとまった時間がないとできないのでそのままになっていたタスクを、一つ一つ実行しています。アタマの中では構想を練りつつ、もう少ししたら依頼の原稿を書く予定です。

河合一さんの「デジタルオーディオの基本と応用」(誠文堂新光社)を買った友人達から「ハードルが高い」とか「難しい。」というメールが来ています。
 確かにこの本はかなり高いレベルです。しかし手元にあるだけで、何時か役に立つときがきっと来るでしょう。
 こういう固い本は少部数しか刷られず、それが売れると品切れになり、そのまま動きがなければ絶版になります。そうなれば折角技術者が勇気と決意を持って書いた本を、どんな内容か見ることすらできません。後に続く人達も出てこないでしょう。

 本書の一番の特徴は類書がない、という事です。前回の記事に紹介したような危機感を持って問題点を整理した本は他にはありません。例えば流行の「32ビット」の内容について、残念ながらきちんと紹介した業界パブリシティや記事を見たことがありません。本書では詳しい説明をしていませんが、「この32ビットであるが、結論から言えば、アナログ的にはほとんど無意味と言える。(中略)32ビットというワードを用いることは、=高性能化の誤ったイメージをユーザーに与えてしまう。」(p.133)とあっさりと結論づけています。
 こんな感じで「拾い読み」しても、あるいは「眺める」だけでも、何らかの意味でイメージは少しずつでも伝わっていくと僕は思います。
 ウイーンの友人に送るべく、僕ももう1冊買いました。あまり普段聞かないSACDを1枚買ったと思って、本書に投資していただければ有り難く思います。


2012年4月28日  いま自由な質問とオープンな議論を
今回の「PCオーディオfan 6」は全体として見ると、これからの動きやまとめ方をワイワイとやっている感じで、少しはこなれてきたと思います。自分がいま関心があることも関心がないことも、多様な流れの一つとして柔軟に捉えていただければ、とても有り難いです。
 
僕の「30のギモン」も、何でもかんでもCDを悪者にして、言葉の中身を詰めずイメージだけで説明してしまおうとする安易さに「待った」を掛けているだけで、これからの技術陣の活躍に期待しているわけです。大事なのはこれからのことで、過去の詮索など何の役にも立ちません。

河合一さんの「デジタルオーディオの基本と応用」(誠文堂新光社)についても、前書きの「また、個人/企業ブログ等でのデジタル・オーディオに関する記事も多く見ることができる。そんな中にあって、著者の個人的主観であるが、特に商品/技術解説における不可解、説明不能、誤った理解、誤解を与える説明といったケースに頻繁に遭遇する。」、あるいは後書きの「エンドユーザーは趣味の世界でオーディオを楽しんでいるが、一方での音楽ソフト制作、オーディオ機器設計・生産、デバイス開発・設計、雑誌メディア等はプロフェッショナルであり、ビジネスとして成立しなければ存続することはできない。そのための施策のひとつとしての販売促進方法やイメージ戦略を否定することはできない。但し、エンドユーザーに誤った印象や誤解を与える表現はある程度制限されるべきものである。」とあるのを見ると著者の危機意識も深いことが分かる。

 後書きに「著者自身は科学としての技術(理論と動作、実特性)と音質(聴感)との相関関係をより明確に出来る事を理想としているが、音質評価そのものが人間の感覚、主観要素に大きく影響されるものであることもあり、なかなかハードルの高い課題である。」とあり、年間100回以上ライブを聴きに行っておられると言うことも、強く共感できるところです。

「4.デジタルオーディオのキーワード」では以下の項目が上がっている。
 4.1.32ビット分解能の真実
 4.2.192KHzサンプリングの真実
 4.3.帯域外ノイズの真実
 4.4.SACDの真実
 4.5.オーディオDACの変換方式と音質

 そして「5.DA変換でのクロックジッター」は圧巻であると思う。

 
まだ全部を読了はしていないものの、これは全てのユーザー、業界関係者に必読書としてお読みいただきたいと思う。数式や測定グラフなどもあるが、文章は分かりやすく、繰り返し読む内にどこら辺りに問題点があるのかイメージが掴めてくるだろう。もちろん、もっと踏み込んで欲しいという箇所も散見されるが、本書のような必読書を少数の専門家だけのものにして絶版にでもしてしまったら、オーディオ界の大きな損失だと思う。
 ユーザーや業界関係者には随時参照できるよう、できるだけ座右においていただきたいと思います。

●もちろん本書はデバイス側からの見方であり、利用するオーディオメーカーさんなどのご意見もありましょう。しかし、自由な質問とオープンな議論が巻き起こり、それがこれからのオーディオ・マーケットを活性化していくことを何よりも望むものであります。


2012年4月27日  30のギモン
●昨日はUbuntu 12.04LTS Preciseが、今日はUbuntu Studioがリリースされている。といってもウブスタ君は Install/Live DVDでAlternate DVDではないので、そちらはもう少し待たなければならないだろう。
 現行の11.10 Oneiricも使っていますがなかなか大変で、どのデスクトップ環境でもJackを停止・終了できません。ま、様子見ですね。

●明日発刊の「PCオーディオfan 6」で一番力を入れて書いたのは「いまさら聞けない PCオーディオ 30のギモン」(P107)です。
 昨年はCD30周年ですが、もうCDの知識は風化しつつあり、デジタルオーディオの基礎知識もはなはだ心もとない実情です。その中で「CDはちゃんと読めてないが、PCオーディオではハードディスクで丁寧に読んでいるから、1.ビットパーフェクトだから、2.精度が高いから、PCオーディオの方が音質が良い。」などという見当違いも甚だしい話が蔓延し、あろうことかジャーナリズム各誌にも散見されるくらいです。この間全く音を聴かずに、ご自分で確かめもされずに、言葉のイメージとらしき理屈だけでついて行った、という構図が透けて見えます。まずこのあたりをちゃんと整理しておきたかった、というのが理由です。昨日のHDDでもそうですが「これはコンピュータの話ではなく、オーディオの話なんだ」と言うことが最近ようやく理解されつつあるように思います。
 もうひとつはPCオーディオと銘打ってはいますが、「デジタルオーディオの基礎知識」のイメージだけでも押さえておきたい、という意図もあります。

 いつも書いているように、僕はたまたまデジタルオーディオの手段としてコンピュータを使っているわけで、特にいろいろな事を調べて行くには各パーツに分けられるコンピュータが便利だとは思います。しかし結局はオーディオの中にコンピュータまたはその機能が包含されていく形が機能的・時代的に適切だと考えています。

●この間、支持してくれたり励ましてくれた方々は沢山おられましたが、実質一人で立ち続けているのは本当にものすごくエネルギーのいる事でした。血も流しましたし、傷も負いました。

●ただ、ここのところずっと気持ちが平安になっています。「30のギモン」の末尾にも紹介しましたが、干天の慈雨のような本が出たからです。
 河合一さんの「デジタルオーディオの基本と応用」(誠文堂新光社)です。ホンマモンの技術者が「ユーザーに『デジタルオーディオの真実』について理解してもらうことが重要であると、本稿の執筆を決意した」という意気込みで出版してくれたのです。ああ、これで無理して頑張らなくても済む、という安らぎがようやくにして訪れました。
 この本の事は明日書きましょう。


2012年4月26日  「コンピュータ的性能の高さ」と「オーディオ的音質の良さ」とはほとんど関係がない。つまりは「聞いてみないと分からない。」
●ちょっと前ですが、QNAPのNAS TS-119を買いました。写真でTS-119の後側の下の大きいのが12V4Aの自作電源「Power Cube 12」で、その上に載っている2つのキューブのうち上側のシルバーが5V約1.5Aの「Power Cube 5」です。左下の秋葉館製2.5inchケースに入っているのはFLAC等のマスターファイル保存用HDDです。
 写真は2.5incHDD上のFLACを解凍展開して、TS-119にWaveファイルを収録しているところです。ソフトはMac OSのXLD

●これまで常用にしていたTS-110の中身をアルミケースに収納しようかとも思ったのですが、まあVoyage MPDなど自宅での常用にはTS-119を使う事にして、TS-110は訪問先でネットワーク・プレーヤーなどに使えるようにするつもりです。それぞれのお宅のネットワーク環境はまちまちなので、その都度マニュアルで設定して追い込めるのを一つくらい持っていても良いか、というわけです。外に出て武者修行をしない人には何の関係も無い話なので放っておいていただければよろしいかと思います。
 
●28日発売の「PCオーディオfan 6」では「国産ネットワーク・トランスポートの粋を聴いていただこう」という趣旨で、読者宅にDPAT Technology 0037SFORZATO DST-01を持ち込み取材しています。残念ながら先方のDACとの相性によりDPATの方は音出しができませんでした。今回も他の複数機種DACなどで事前に動作確認した上で持ち込んだのですが、改めてこういう繊細な機器の持ち込みには入念な事前の接続機種確認とバックアップ用機材を十重二十重に準備しておく必要を感じました。
 内弁慶の人達からはいろいろと言われるかも知れませんが、僕の場合は外受けを気にして隠したりせず一つのステップとして、こういうことも前向きな材料として記事にしているわけです。

さて、この間、3.5inchハードディスクの音質評価をしていたことは既に書いたとおりですが、その結果を「ストレージ研究2」として「PCオーディオfan 6」に5ページにわたり掲載しています。
 一番強い印象は「コンピュータ的性能の高さ」と「オーディオ的音質の良さ」とは、ほとんど関係がない、という事です。今回は全て7200回転のHDDに統一したので、あとはキャッシュとかSATAの伝送速度や各種ハードウェアやファームウェアが異なるわけですが、「伝送速度が速いほうが音質が良い」とか「キャッシュが大きい方が良い」とかの一般的傾向や、決め手になるべき指標やスペックは特に見いだせませんでした。

 とはいえ、メーカー別に見るとかなりはっきりとした順位が見えてきて、とりあえずは
メーカーを手がかりに、その中で音の良いものを選別してシステムを構成していく、という作業が効率的かつ必要だと言えそうです。つまりは「聞いてみないと分からない。」と言うことで、これはプロオーディオの人達の感覚とも合致しています。

 おまけにSCSI(スカジー)はもう入手がほぼ完全に不可能なので雲の上に置くとしても、SATAよりは一昔前のIDE(PATA)のほうが音が良いんですね。「技術進歩はどうなっているのか?」というよりも、「コンピュータ的技術進歩は効率的なデータ処理のためのものであり、音質改善とは別物だ。」と考えるべきなのでしょう。
 詳しくは雑誌をご覧くださいませ。


●あ、ワオン・レコードのHiResサンプラー、それもPCMだけでなくDSDも沢山入っています。この機会にペアマイク録音の清々しい録音で、音場を空間を感じ取っていただき耳の洗濯をなさってください。


2012年4月22日  RMEとLinux
●LinuxのffadoドライバーがRME Fireface400/800にほぼ対応しているようです。

 数多く出ているRMEを鳴らせることはLinuxの普及にもつながるし、特にVoyage MPDでの良い知らせを各方面に期待したいものです。

絶対位相(Absolute Phase)の重要性をかなり前から感じていますが、まず一般的には何のことか理解されないだろうし、マッチングする効果は多分音を聴かないと納得してもらえないだろうと思って特に記事にしませんでした。
 昨日友人宅で、スピーカー端子の±を入れ替えて絶対位相を切り替えて試聴し、音質や音場のでき方がかなり変わることで、その重要性と録音によるばらつきに改めて感じ入りました。

 ちょいと仕込みをしておりますので、近日中には報告できるかも。

●遊ぶつもりが別の仕事が来たので、仕事の合間にとりあえず我が装置のあちこちをいじり始めています。ここ何日かはアースとSN。プリ電源に投入予定のPlitronのシールド入り電源トランスがカナダから発送ルートに乗ったので、このあたりが仕上げどころかな。


2012年4月18日  「PCオーディオfan6」校了
「PCオーディオfan6」は明日で校了、4月28日発刊予定で、Amazonでも予約受付中です。
 記事の内容はまた改めて書きます。

●IPv6恒久的対応のためにInternet Societyが提唱して世界的に実施されるイベント「World IPv6 Launch」(6月6日)が実施され世界的に以降が始まるまで、あと1月半を切ったが、先日書いたNTT東西のアホな話はそういう段階での事で、おそらく「サキオク~リ」されることは間違いなさそうだ。

 我が家は関電の「eo光」だが、これがレンタルの無線ルータを借りる契約している場合のみ認証し接続する、というわけの分からん状態です。問い合わせて「IPv6の主旨からしたら自分のIPv6対応ルータを使えないのはおかしい話ではないか?」と言うと担当者は「おっしゃるとおりですが、いまのところ無線ルータを使う場合のみ認証する事になっています。」との答え。
 「将来対応は?」と聞くと、「申し上げることは具体的には現在ありません。」との答え。「レンタル料金が惜しくて言っているのではなくて、性能的にも趣旨的にも自前のルータが使える状態にして欲しい。早急に上に上申せよ。」と要望しておいたが、はてさて上は維新の会で浮き足立って、できるだけ自前で課金したいというスケベ根性のままで何も考えていないのだろう。
 2000年問題は大騒ぎしたのにね。


2012年4月12日  オワネット、オワ日本
●ほらね。
次世代ネット「IPv6」移行 日本は乗り遅れるのか
NTTの「鎖国体制」に課題


要するにNTTの茶坊主どもが、ガラパゴスなNGNというのを作った。もう何年も前に警鐘は上がっていたが、これが日本的組織。仕方ナーイ。

先進サイト使えぬ恐れ グーグル副社長が警鐘


●え~コンピュータというのは基本的にはアホです。IPアドレスが重複するとか、何かにぶつかってしまうとフリーズして設定も変えられない、というのは良くあるケースです。こういう時は再起動、リセット。

 人間の場合、柔軟性はあるのですが感情の動物なので、気持ちの上で固まってしまい、意固地になるというのは良くあるケースです。再起動、リセットできないのが辛いところで、できるだけ考えないよう努力する他はありません。


2012年4月9日  「遊び」と「余裕」が無ければ楽しくない。
●3泊4日で東京滞在。取材や打ち合わせ、原稿書きですが、この機会にといろいろやるので、いやあ結構疲れました。今日は整理しながら残る原稿の段取りを考えましたが、体が水分のみ求めて食欲がないことや、必要な資料機材群が明日にしか届かないので、メールも開かず1日休養と決めてひたすらゆっくりとした。
 窓を大きく開けて外の空気を取り入れて、陽がかげりゆくにつれて移ろいゆく室内の暗さを楽しみながら、まどろみと追想のほの暗くゆったりとしたうねりに身を任せていた。

やはり趣味道楽なので、「遊び」と「余裕」が無ければ楽しくない。なのにどうも防衛的というかある種の守りの意識の高い人に会うことがとても多い。人を信じる方が結局周囲に振り回されてしまった被害者意識などが加わると結構根強くもなるようで、話がそこにさしかかると表情が硬くなり、こちらもそれと察するとインパクトの高い話題は避けるので、まあ無難に行った方が、となる。
 でも、心のガードを下げて武装を解いていただければ、本当はこんなものは何とでもやり様があるので、具体的に切り分けて、過去の資産を活かし、基礎的な知識にかなった形で、かつ新しい知識を活用して再構築していくことは充分に可能だと思う。(基礎知識が充分に普及していなかったため、時間が経って気持ちが先に固まってそれに併せて理論武装を重ね続けてしまったのでしょう。残念な事です。)

 本当にやる気と勇気があるなら、手づから試して「音を聴けば」AB比較系など半日もかからずにいろんな事が分かる。これだけの事だ。なのに「挙証責任」を相手に押しつけて、「納得させられるものなら、納得させてみろ。」という風に構えれば、結局は思い込みが耳を殺す事だってある。

 「うちはこれなんだ。これで行くんだ。」という決めつけが、このように遊び心を殺してしまうのはとても残念な事だ。違う可能性を同時に走らせていれば、その時々でいいとこ取りもできるだろうし、一時的にせよ問題を忘れられれば結構心は楽になって、また息づき始める。「ハイブリッド的生き方・やり方」って、そういう意味でも必要だと思うのですが。

ネットワーク環境の肥大化も今後問題になるだろう。動いてはいるがやたらにややこしい接続、優先無線入り乱れて、しかもネットワーク中継機器に古い機種が多ければ、パフォーマンスや信頼性低下も避けられない。
 どうもオーディオ用に既存ネットワークの抜本的な再編成をお薦めするか、別のネットワーク環境新規導入をお薦めするか、という時代が来ているようだ。


2012年4月2日  揃い踏み

●上の写真はワイス MAN301 。右下のApple タイムカプセルをWiFiルーター兼NASとして使い、iPadからリモコンする。
 スイッチオンして時間がたつとともに音はどんどん変貌して、抜けが良くてしかも深く精緻な音場が展開する。CDをリッピングしたタイムカプセルごときで、アトミック10MHzクロックも入れずにこんな一体感のあるハイグレードな音を出されたらとてもじゃないが溜まったもんじゃない。ながら聴きするつもりでもつい耳をそばだててしまう。USBメモリ Pico Boostに収録したHiResはこれまた凄い。精密感と彫りの深さではMacBook Pro+ウブスタ君+Orpheus+OCX+Stanford アトミック級10MHzクロックSC-10も負けているところがある。うむむ、どうしてくれようか。
 これはプロトタイプなので、まだ4倍速でのCDの音は聴けていない。ふむん。

●下の写真はDPAT Technology Model 0037 Continuum Perfectionで、アンテロープの10Mアトミック10MHzクロックジェネレーターがセットになっている、スタジオでの検聴機を母体とするプロの現場からやって来た超弩級機だ。このドーンと迫ってくる突破力の凄さには恐れ入る。ジャズやロックのファンは溜まらないと思う。


 高価なネットワーク・プレーヤーの揃い踏みだが、いずれ出てくると思われる欧米の超高級デジタル・ミュージック・プレーヤー群に比べればむしろ安く思えるようになるかも知れない。いずれにせよ、ハイエンド・デジタル・ミュージック・プレーヤーではインデペンデント系のDPAT TechnologyとSFORZAT(これも素晴らしい高音質機器!)が国産では気を吐くのみで、後は海外勢に持って行かれる事になるだろう。


2012年4月1日  巻線間シールド入りカスタム・トロイダルトランス
●少しばかりスペシャルな情報。カナダのPlitronのトロイダルトランスは高音質で知られている。
 そのe-catalogつまりオンライン通販のページの右下に「Surplus Stock 」というのがあって、そこをクリックすると様々なメーカーのOEM製品の余剰ストックが格安で販売されている。

 以前巻線間にシールドがきちんと入っている事に注目して、この「48VA Custom Toroidal Power Transformer. 4 Outputs: 24V x 4 」を買ったことがあって、届いてみたら何とWadia Digitalの表示があった。デジタル機器用の電源トランスですね。

 プリの電源には別のを使っていたので、フォノイコの電源トランスと交換したらノイズフロアがぐ~んと下がって驚いたのを覚えている。で、今日HDDのモーター用12V用を50VAにパワーアップする注文のついでに見たらまだあったので、プリ電源用に1個注文した。プリのSN比はスペックでは-112dBとなっているのだが、これで実質的なSNがぐ~んと上がるだろう。

 同種の巻線間シールド入りのものとしてはWadia用かどうかは分からないが、「60VA Custom Toroidal Power Transformer. 2 outputs: 15V @ 1A and 15V @ 3A. 」というのもあるので、まだまだ円が強い今だから試されては如何だろうか?

「日本株売買シェア、外国人が65%に 11年度 最高更新」という現在、「今年に入ってからの買越額は1兆1000億円を上回る。」のだそうです。消費税増税に失敗したら、「増税余地有り」というだけで保っている張り子のトラの日本国債格付けが崩れて、「日本売り」基調になる可能性は高いだろうから、本当に今の内かも。


2012年3月31日  旅への誘(いざな)
●さて3月も終わりだ。春の声が聞こえるようになれば、気分を変えたい。
 まあ立場上ですがこれだけネチネチと種蒔きすれば多少は伝わるはずなので、それで少しは答えを待ち望む下地ができるとして、一段落にしましょう。

●試聴機器がいろいろと届いているので、週末から来週前半はそれで遊ばせていただいて、後半は東京で取材などこなす予定です。

●4月後半からは怒濤のごとく遊ぶ。月末のPCオーディオfan No.6発刊まで自分のことをやる。ダチの手助けをする。音楽を聴く。それから旅行をする。

La, tout n'est qu'ordre et beaute,
Luxe, calme et volupte.
(L'invitation au voyage - Charles Baudelaire)

おお、そこでは一切が秩序と美、
豪奢と静けさ、そして逸楽。
(「旅への誘い」ボードレール 「悪の華」から)


2012年3月30日  微笑み返し
●トラブル解決が必要になり、サポートの依頼が掛かったので新大阪に急行した。無事解決してほっとしながら帰路についた。明日からはまた原稿書きと試聴だ。

●僕は皆が力を合わせればもっと良くなるのに、と考える人間だ。というか、だった。しかし昨今の状況はどうだろう?俺が俺が、俺は俺は、ばっかりで、おまけにKYして情勢が変わってきたと見れば、すぐに手のひらを返す。丸見えなのにね。
 もちろん何も決められない、先送りの、ツケ回しのジーサン・オジサンたちの責めも大きい。あちこちツケばっかり。花見酒の経済では済まなくなる日がくるのはそう遠い事ではなさそうだ。Sigh!


2012年3月26日  覚書のような、メモのような
●4月28日刊行予定のPCオーディオfan No.6の「ストレージ研究2」でのHDD関係の音質確認作業がようやく一段落しました。

こう沢山さわって音質の違いが見えてくると、メーカー毎に個性も見えてきて、少しかわいくなってきました。中のデータのそれぞれは見えないものの、メディアとしてのHDDの中にちゃんと存在していて、そこからCD-Rに焼いたりUSBメモリなどのメディアに書き出したりもできて、存在感は明確にあるんですが。HDDって磁気の強さでゼロイチ判別している立派なアナログ電子機器ですし....。

 何故愛情が持てないか?←技術的な事が良く分からずイメージが描けないから←なぜイメージや技術的な事が分からないか?←デジタルの基礎知識が普及していないから←何故デジタルの基礎知識が普及していないか?←情報が充分に行き渡っていないし、オーディオ関係者はハードディスクのことなど勉強しようとも思わないから。(調べもせず言葉のイメージだけで、平気でリッピングなどについて書く人達。)...続く。
 てな所ですか。やれやれ。

 ああ、ひとつ忘れていました。オーディオ製品と違ってパソコンやその周辺機器については、「ご説明」してくださるメーカーさんや代理店さんがおられない、というのも基礎知識面では大きな理由だと思います。

一番重要な情報はデジタル再生において、モデルである標本化定理の前提条件が現実には成立せず、あれこれカバーしながらも全体としては元のアナログ音の「近似」であると言うことです。近似であるからこそより良い近似に近づく努力ができるし未来に期待が持てるわけですから、何も「近似」であることを悪いと言っているのではありません。

 例えば昨年が発売30周年だったCD草創期の開発者の一人天外伺朗さんは「・・・標本化定理というのは、確かに指導的な定理なのですが、これはあくまでも理想状態の話であり、現実はこんなにうまくはいきまへん・・・・」とそれを指摘して、なおかつ特性を10倍以上改善したと胸を張っておられる。技術者として誠に素晴らしいではないですか!(天外伺朗「デジタル・オーディオの謎を解くーCD・DATの科学と開発」講談社ブルーバックス 昭和62年3月


さてオーディオ的に一番重要なDA変換はどこまで近似の度合いを高めているのでしょう?そんなこと急に言われても分からないですよね。ほとんど情報がないから。つまりやることはしっかり残されているわけですが、それが課題として浮かび上がっていないわけです。
 デジタルでやるべきことは沢山あります。それが表出しされていないから、例えばコンピュータ系の人達から「ああ、もう終わった話ですねえ。」とか言われて、参入者も少ないわけです。まあ、電子出版も本当にビジネスになるかどうかはこれからでしょうが、あちらの活気に比べて寂しいこと。


●Ubuntu Studio 11.10で、exFATでフォーマットしたFirewireの HDDがいつの間にか自動的にマウントされるようになっていました。といっても我が家はボガーニさん(ppa:abogani)のrealtimeカーネルに加えて、fuse-exfatもインストールしてしてある環境なので、既にアップデートされていたのかも知れません。exFATのUSBメモリはまだ自動的にマウントされないのですが、exFATは音質が良いのでHDDだけでもとても助かります。デスクトップ環境は、Xfceでは問題が多いので、いまはGnome Classic (No Effect)です。

 ちなみにUSBメモリやWin/Mac/Linuxで使うHDDのファイルシステムは通常FAT32ですが、MicroSoftが提案しMac OSもサポートしているexFATは4GBオーバーのファイル対応を含め、全体としてパフォーマンスが良くなっています。HDDもその例に漏れず、「コンピュータ的性能」と「オーディオ的な音質の良さ」は必ずしも、というか大抵は一致しないことが多いのですが、exFATは大当たりで、音質も良くなります。

 でも、リッピングし直すのは、4月末に雑誌を読むまで待ってくださいね

●MacBook Pro 8.3 上にインストールしたUbuntu Studio 11.10(64bit)上で、サンダーボルトが認識され動作しました。おお、いつの間に!やったぜウブスタ君。
 Linuxで良いことが続いてます。


2012年3月15日  アースの真実
●昨日回路について辛口のことを書いたのは、例えば「アースラインへの各接続ポイントは0ボルトだ。」と思い込んでいる人がいたりしたからだ。「電圧でゼロイチ判別するとしても、アースは0ボルトだから、そこを基準にした値は精確であり、やはりこれはデジタル回路じゃないか!」ですって。笑わせてくれるなあ。わはははは。
 電圧で取り扱う以上はアナログだという以前に、電圧もアースも不動のものじゃないっていうことなの!

 実際に電源でも何でも回路を組んでみて実測すると、シャーシアースを落としたポイントと、各回路のアースポイントとはミリV程度の電圧、つまりは電位差があることを知っているだろう。
 つまりは「アース」とは各回路のアースポイントの電位差を強制的にゼロにしようという仕組みの事である。ちなみに「0」というのはインド人が「発見」したとされているが、「0」は特定の値であるとともに、むしろ「設定した目標値」であることが多い。

●具体的に整理してみよう。


(1)上図のアナログ増幅回路でA回路とB回路のアースポイントがともに0ボルトである場合。
 この場合、E:A点・B点間の電位差、I:A点・B点間に流れる電流、R:アースラインの抵抗値、と規定しよう。
 オームの法則によりE=IR、つまり
 ①アースラインの抵抗値がゼロである場合
 ②A点・B点間に流れる電流が0アンペアである場合
 のどちらかの場合でなければ、A点・B点間の電位差は0ボルトにはならない。
 しかし現実の回路部品では基板のベタアースであれ、アース線であれ、抵抗値がゼロである素材はあり得ない。
 したがって、②の場合しか現実的にはあり得ない。しかし、これはB回路にはトータルとして全く電流が流れないことを意味するので、アースとしては実際の意味をなさず、増幅作用は期待できない。

(2)A回路とB回路のアースポイントがごく低い電位差である場合。
 この場合はR(アースラインの抵抗値)が有限の値であっても充分に低ければ、A回路・B回路の両アースポイントがごく低い電位差で有るというのはB回路に電流が流れる事を意味するので、こちらが適切なケースである。

 繰り返します。「アース」とは各回路のアースポイントの電位差を強制的にゼロにしようという仕組みの事である。
  デジタル的に見れば2値状態を閾値(しきい値)により電圧で判別して、1と0、あるいはHとLとするわけで、アースの実態を知れば、これらの信号値も閾値も電圧的には「不安定な状態」に置かれていることをイメージできるだろう。これらの信号値や閾値の揺れが「ジッター」をつくり出す。

(上がデジタル回路の入力電圧のイメージで、下がデジタル出力されるイメージ。実際はどちらも綺麗な直線ではなく、この図はどちらも理論モデル図である。)

●ちなみに今回はシャーシアースを取り上げたが、一方で他の機器のシャーシアースとの相対的な電位差や電源ケーブルのアース接続の状態、あるいは大地のアースなども実際の回路では考えなければならない。
 さらに壁コンと各機器の間がアイソレートされていなければ、機器間漏洩電流がケーブルのアース側を通じて流れるので、グラウンドループ・ノイズもまた厄介な問題である。
 庭に大地アースを打ち込む、といっても、現実には第三種アースをきっちりと実現するのは至難の業だ。

●デジタル機器やコンピュータといっても、中身はデジタル情報を取り扱う超広帯域アナログ回路である。なので、ノイズ対策を講じるにはこのような事をあれこれと総合的に考えなければならないのです。


2012年3月14日  電源団子3兄弟
ウブマガVol.7が発刊されています。オリジナルNASのところなど秀逸に面白いです。
 Mocchiさんもこのサーバー特集では本名で出ておられます。ヴォランティアとは言え、仕事の傍ら原稿書きは大変だったでしょうねえ。
 実は僕も基本的には同じような立場で、生涯最後の道楽と決めて採算度外視でパートタイムにほぼ執筆オンリーでライターをやっているので、むしろ彼等と同様に「オープンソースのライター」と言った方が適切なくらいです。あるいは技術系のライターさんもその部類の方が多いようです。
 なにやらjuubeeさんがオーディオ評論家業に同情を寄せておられますが、僕はその標準的な例とは全く言えない人間なので、先生方も同列にされてはお困りではないでしょうか。
 ああ、母の介護のことも成年後見人のこともちゃんとやらねば。

久方のご無沙汰でしたが、今月9日発行の「オーディオ・ベーシック」には、連載「ちょっと趣向を変えまして」第2回目としてウイーンの楽友協会ホールの響き、2つめの連載企画「実践的コンピューターオーディオ整理学」第1回として「サンダーボルトその後、ウインドウズとMac、そしてOS達のこれから」として基本的な展望を試みています。時あたかもスマホ&タブレットへの移行で、Windows PCは売り上げ減、MacはiPhoneやiPadのハロー効果で売り上げ増するも今夏のMountain LionでさらにiOSに近くなりつつあり、やはり目が離せません。またLinuxについては今回出揃ったプレーヤー製品はいずれも具体的なハードウェアを前提として、プロフェッショナルが細部まで作り込んだ環境であり、単なるディストリビューションと同じ扱いをされたとしたら、全く持って可哀想だとしか言いようがないです。
 そのワイスMAN301の概要にも触れているので、併せて読んで考えていただければと。


●4月下旬刊行予定の「PCオーディオfan No.6」が動きだし、確定申告もやらねばならず、でもあまりに寒いので先週末は沖縄に避寒行をしておりました。いやあ暖かいのは良いです。これからは毎年厳寒の頃の1月程度だけでも沖縄に住もうかね。
 っと、友人の所で①CDドライブ Premium2の総リニア電源化、②10MHzアトミッククロック Stanford SC-10の電源取り換えのお手伝いをしてきました。

 写真にあるのが①で、Premium2のドライブモーター12Vにはエルサウンド、Premium2とFirewire出力回路5Vにはラトックシステム、またPremium2内部のクロックをD-Clockに換装しているので、その専用電源15Vにはエルサウンド特注電源をそれぞれあてがっています。3台重ねて電源団子3兄弟。


 また②では市販の組込用電源を使って、よりノイズと高域応答性を改善しています。この配線はやや応急的な感じで、また関係先のノウハウに関わる部分もあるので、写真は載せていません。

 音の反応だけでなく、より深く静かに表現力がぐんとアップし、時間とともにさらにそれが強まり、良い効果が持続的に出てきたのには友人も驚いていました。

●でもね、上の写真を見るだけでは、肝心のポイントは何も分かりませんよ。
 配線のチェックも細かく行い、適切な半田付けの工夫もしていくには、コネクタの知識だけでなく、失敗も含めた経験から学ぶ謙虚さが必要です。失敗を恐れて自分のフィールドだけを狭く守ったりする昨今の風潮の人や、写真付きの記事の通りにやっていけば、などと言う俺は何でも知っている感覚の人には向きません。コンピュータはいざ知らず、オーディオというのは基本的にアナログ的な事に尽きるのですが、あるブログの記事を見て学習意欲のないところに学習能力はないと思い知ったので、友人達に役立てるほかにはそういうノウハウについては書くような無駄はせずに、墓場に直接持って行くことにしませう。


2012年2月25日  空気の音
●昨日はワオン・レコードの小伏さんが遊びに来られて、二人でSFORZATO DTT-01やVoyage MPD、Ubuntu Studioなどを聴いて遊びました。SFORZATOさんからはアクセサリーもお借りできたのですが、その辺りも含めていろいろと細部まで判断できたのは2人がかりのおかげです。

ワオン・レコードはamazonやiTunesなどでも扱われていて、いろいろと反響があるそうです。
 実はこのレーベルが基本としているペアマイク方式やワンポイントマイク方式で録音すると、位相特性が優れているため、部屋の中の空気が動いている音、つまり耳には「し~ん」と聞こえる音も収録されて、マイクで録ると「サー」という僅かな音が残ります。決してノイズではないのです。
 で、これがちゃんと聴こえるかどうか、どのように聴こえるかで、装置の素性がかなりよく分かります。
 良い録音には物凄く多くの情報量があることをご理解下さい。

●「サー」という僅かな音が入っている名演・名録音のひとつ。矢野顕子「ホームガールジャーニー」この1曲目「Paper Doll」で彼女が手を叩いてハンドクラップしていますが、その位置がピアノの鍵盤側に向かって動いているところや、1回ごとに叩く強さが変わっているところなど、ちゃんと「見えて」いますか?

●飛び込みの原稿にかかりつつ、我が家のネットワーク・プレーヤーVoyage MPDの電源などに手を入れています。本体ケースも入れ替える予定です。


2012年2月23日  シンデレラと1394b
●暖かくなって体が楽になってきたので、気分も和らいできました。寒がりの主人が暖房を入れるので、窓辺のシンデレラが花を咲かせてしまいました。すまんのう、みんなワシが悪いんじゃ。グス。

 入院中のお見舞いにもらったので、もう15年以上のお付き合いになります。サボテンはタフですわ。

●HDDとの接続用に、Firewire800(1394b)ケーブルでかなり使えそうなのを見つけました。Audioquest 「Carbon」です。両端9pinの1.5mを試しましたが、カテゴリ7(単線)+両端Sonnet アダプタに比べて少し甘いところがあって、スケールがややダウンしますが、かなり良いです。
 少し前の記憶なのでやや曖昧ですがアコリバの単線と、結構良い勝負するように思います。だったらコストパフォーマンスでCarbonというところでしょう。
 こちらも試しました。世界最上級とはまた大げさな。汎用品よりはメリハリがあって良いけれど、ちょっと大味な感じところもあるかな。でも値段は圧倒的に安いので、それを考えると頑張っています。


2012年2月21日  音楽あれ。
●いろいろ意見はあると思いますが、デジタルオーディオでは音質のためにやるべき事、出来ることが沢山あります。
 僕等の所に集まってくる質問を見ていると、CDスタート時から30年の間に、整理されていないことが沢山有ることが分かります。例えばクロックがデジタルのキモ中のキモであることが、殆ど理解されていないのは何故でしょう?デジタルオーディオの全体像や基本さえ広く理解されていないので、話の接ぎ穂もないケースがしばしばです。「一言で言え!」って?それは基本が出来てる場合に初めて出来ることですよ。基本も出来てないのに、一言二言できっちり出来るわけが無い。
 すぐにCDを悪者にして「言葉」で逃げる。デジタルの基本は時間軸・振幅軸のフォーマット、つまりはサンプルレートとビット数でしょう。CDプレーヤーは読み取りの「精度」が悪くて、PCオーディオになると丁寧にデータを読むから「精度」が良く音が良いって?
 CDトラポは基本等倍でHDDは7200回転とかですし、どちらもエラー訂正の仕組みを持っていますが、そのHDDがどのように丁寧なのですか?「精度」って何なんですか?16/44.1が勝手に18/48に増えたりして「精度」が上がるのですか?
 やれやれ、だから沢山あるんですよ。自分のツケは自分で払って下さいね。アノネオッサンワシャカナワンヨ。

●何故Linuxか?
 もちろん音の良いOSであり、Win/Macではサポート外になってしまうレベルまで音楽再生専用機に徹底的に環境整備できる、と言うことの他にももう一つ答えがあるからです。
 それはソフトウェアベースのコンピュータであり、かなりのことがソフトウェアで対応できるわけで、例えばワイスMAN301がDSD再生対応を予定しているのもこの一つです。勿論ハードウェアの制約はありますが、チップ&ファームウェアベースに比べて自由度・機能拡張度が大きい、と言えるでしょう。
 実は上記の「音質のためにやるべき事、出来ること」もいちいち説明しなくても、それがちゃんと製品に体現していれば良いわけです。
 おまけにGNU/Linuxなしにネットワーク・プレーヤーも、DVDプレーヤーも電気冷蔵庫も洗濯機も出来ないし、動きません。コンピュータ技術はインフラの最たるものであるのです。

●ヨハネス23世は法王メッセージの中で言っています。「教会のために人があるのではなく、人のために教会があるのである。」「もしイエスの御言葉が地上に実現されるならば、教会は無くなっても良いのである。」
 不遜ながら言い換えれば「音楽再生のためにPCは用いられるのであって、良き音楽再生が製品という形で実現されるならばPCはバックグラウンドの黒子であっても良いのだ。」そして新たな地図を作るために、PCを手に知的音楽的冒険の旅に出ることも、また人の子の技であるのです。音楽あれ。

 潮目が変わろうとしている。Tide is turning.
 刮目されよ。


2012年2月19日  ご当地滞在中
●お寒うございます。いやあ、少しリカバリしてきました。


 その理由の一つはご当地滞在中のこれです。





 もうすぐSFORZATOがやって来るさあ、と思いながら仕事していたら、先週末に来てくれました。
 DAPT Technology 0037SFORZATO DST-01WEISS MAN-301、これらのプレーヤー/トラポ達が一つの縦糸で結ばれて、冬の夜空のオリオン座のように輝き始めました。縦糸とは言うまでもなく「Linux」です。今年はこれらの星々を見上げようと、先月個人的にSFORZATOをメーカー訪問してきました。出会いは2(3?)年前の東京ハイエンドオーディオショウで、その時はまだ音が出ませんでしたが、設計者の思いはよ~く伝わりました。三浦孝仁さんが導入されたり、その後の令名はご存じの通りですが、「Linux」という新しい角度から光をあてるべくメーカーさんの御厚意で半月ほどお借りできました。

●AES3つまりXLR端子からのシングル出力で、後方左側に見えるWEISS DAC2に接続しています。DST-01はXLR端子2個でデュアルAES出力も出来て、DAC2もデュアルAES入力出来るのですが、ちょっと仕様が違って試せないのは残念至極です。
 あ、すぐ横のラタンのバスケットは香港で仕入れてきたアンティークです。

●重いです。恐ろしく重く、ずしりと言う重量感は本物です。無線ルーターなども送って下さいましたが、環境に対する対応は恐ろしく素早く、早速我が家のネットワークの一員となってぬくぬくと暖機中です。クロックジェネレーター単体としての出力もあるほどですから、その部分を味わわずしていかんせん、という一言に尽きます。写真はThe Moody Bluesの「Days of Future Passed」24/96(HD Tracks)再生中で、HiResにはプログレが一番良く合うのかも知れません。そしてこれなど届けば、また良きことかも。
 iPadでのMedia Link Playerリモコン(iPhone Apps2倍表示)は非常に良い感じで、NASの楽曲を「フォルダー」単位で表示してくれるのは大助かりです。(これができるとツリーに囚われないので、DBは不要。)

 では詳しい感想は後日、また場を改めるかどうか、は分かりませんがいずれまた。


2012年2月17日  凄く寒かった。その間、ずっと痛かった。
●先週から今週初めに掛けて凄く寒かった。その間、ずっと血行不良で特に左の肩と手が痛く、断続的にしか眠れなかった。60歳を越した一昨年くらいから特にひどいので、これではウチナーンチュ達の寒がりを笑うどころではない。目ざめて起きると手が縮かむので、部屋を暖めてストレッチしまくって、家の中で手袋もしてキーボードを打てるようになるまでかなりの時間が掛かる。寝るときは風呂に入って逆の手順。いまは冬ごもりだと思って、頑張るしかないか。ああ暖かい島に行きたい。

●MacのFirewire800端子にケーブルをどう繋ぐかには結構悩んでいる方も多いと思う。音の良いFirewire800ケーブルは、今週も一つ取り寄せてまあまあ程度の結果とか、探す努力はしているけれども一応速くても音質とは別物なので、これという抜きんでたものが見あたりにくい現況で書く気になるほどのものはありません。
 で、400のケーブルを使うとして、800-400アダプタのあちこちで入手できるものは結構ぐらぐらで、ときどきハードディスクの認識に時間が掛かったりします。いろいろやってみてアダプタの結論はこれです。
 「Sonnet FireWire 400 to 800 Adapter FAD-824 」。もう一つ「FireWire 400/800変換アダプタ SON-FW-000005 」というのもありますが、オーダーすると結局こちらが来ます。

 @1,940と高価ですが、樹脂製のハウジングが微妙なサイズでコンタクトは安定しています。ただし、全体に大きいので当然反対側は下がります。これを安定させるには下側にノートの高さに合わせてゴムなどを張るとOKです。両面テープは弱いので、カットしたソルボセインをゴム系接着剤で付けています。気になる向きはさらにマジックテープなどで隣り合う端子と縛るとモアベターです。


2012年2月5日 出ました、出ました。
 出ました、出ました。

 キットフォームで価格も頑張ってくれました。最新のルビジウムを使ってリニア電源のスイッチオン直後から約10分でウォームアップ完了。有償レンタルで効果を自宅で事前確認もできます。

 いやあ、ラトックシステムこれで本格的にオーディオ市場に殴り込みですねえ。


2012年2月4日  東京での収穫~SFORZATOとWEISS
●先週東京に行ってきました。
 一つにはSFORZATOを個人的にメーカー訪問してきました。いろいろありますが、BNC出力を持つ内蔵クロックが単体クロックジェネレーターと同程度の質であることを知ったときには、「こういう大事なことをもっとユーザーに伝えないと......。」と思わずアドバイスしてしまったくらいです。
 内容的にはARM周りの組込用Linux 64bitに必要最小限の機能を付加したLinuxベースのネットワーク・トランスポートです。実に清々しい音でした。
 改めてじっくりと自宅でも聴かせていただきたい旨お願いして、まだ雪が消え残るきりりとした日野市を後にしました。

●その翌日聴いたのは、KentがひっさげてきたWEISS MAN301です。詳細は記事で書きますが、これはUbuntu 64bitをベースに、あくまでベースにして、再生アプリや制御関係も全てワイスの開発チームが書いたアルゴリズムだそうです。その内蔵クロックもBNC出力を持っているように、あと必要なのはルビジウムなどのアトミック級クロックだけという質の高さでした。
 そして自社開発のDVDドライブを内蔵しておりCDプレーヤとしてもすぐに使えるのですが、これだけ書けば分かる人には分かってもらえると思いますが、それを「4倍速」で回転させるメカトロのアルゴリズムもリッパーもワイス製なのだそうです。つまり本機によってCDドライブ問題はほぼ決着してしまうだろう、と言うことです。
 USBどころかFirewireの外部HDDも使えるなど、予測していたよりもずっと多機能でした。制御や表示は全てiPad側に集めており、その専門の開発スタッフもいるくらいシンプルかつ高度な制御で、これはパソコン慣れしていないユーザーにも、しているユーザーにも人気を博すだろうと思います。本機1台だけであっけないくらいに簡単な操作で凄い音が出るがために。シンプルで画面遷移が少なくかつ多機能で、一方本体は一切の制御・表示にも関わらず粛々とコマンドベースで動いているがために。
 リリース予定の3月には我が家にも来てくれるので、さらに詳しい事を報告できるでしょう。

●これら2種の「Linuxベースの再生専用機」を聴いて、必ずしもコンピュータに詳しくないベテランオーディオファイル諸氏に告げたくなりました。夜明けはもうすぐ来るだろうと。価格相応あるいはそれ以上の値打ちがあるだろうと。

●KentのヒントでUbuntu Studioも強化できました。なんなのでしょうね、尻尾まであんこの詰まった鯛焼きのような、この充実感は?

2012年1月31日  「ダイレクトドライブはなぜ滅びたか?」~スペック盲信の果て
 もう時効だから書いてもいいでしょう。以下の話は僕の個人的推測も含めて、ほぼ当たっている話だと考えています。

○ダイレクトドライブと「クオーツロック」

 レコードプレーヤーのフォノモーターで「ダイレクトドライブ」というのがあります。本当はダイレクトドライブはかなり優秀な音の良いものがいくつもあったのに、一部DJ用以外では、オーディオ用としては全く消えてしまいました。もちろん基本的にはLPそのものの生産が一部をのぞいて実質的に終わったという背景がありますが、現在でも少数ながら発売されているレコードプレーヤーはあっても、ほとんどがベルトドライブになってしまったのはなぜでしょう?

 それは音質的に「クオーツロック」によるPLL制御と関係があると僕は考えています。僕が以前メインで使っていたデノン DP-80はクオーツをオンオフできる希少な機種です。(人に貸したのですが、何度メールしてもなしのつぶて。早く返してほしいなあ。)

 例えば分かりやすい説明としては「オーディオの足跡」サイトで、ヤマハYP-D71について
 「FGサーボは、ターンテーブルの回転に比例した周波数を発生するFG(Frequency Generator)の回転速度を制御する構造となってます。」
 「このクォーツロックPLLサーボはFGからの周波数と水晶発振器で発生させた基準信号との位相のズレを無くすように制御する方式です。これによりターンテーブルの回転精度は水晶の発振周波数精度まで高くすることができ、負荷変動や電圧変動、温度変化などに非常に優れた安定度を示します。」
と紹介されています。

○実際に聴いてみるとクオーツロックを入れない方が音が伸びやかで良い。

 ところが、デノン DP-80を実際に聴いてみると、どう聴いてもクオーツロックを入れない方が音が伸びやかで良いのです。実際にあれこれの盤で確かめたので自身を持って言えたわけですが、クオーツロックにすると音はぎくしゃくして悪くなります。そこで亡くなったアサヒステレオの先代の社長に相談したところ、「そらそうやがな。クオーツは早かったら遅らせて、遅かったら速めて、結果としてのスペックを上げるだけやからね。瞬間的に早くなったり、遅くなったりをギッタンバッタンと繰り返してたら、音が良くなる訳がない。」

 ところが当時は皆スペックが良ければ「音がいいはずだ。」と信じ込んでいたし、例えばビクターのTT-81のようにクオーツだけしかポジションがないものもあったくらいです。で、いつの間にかダイレクトドライブそのものが消えてしまったというわけです。厳密に言えば基本的なピッチだって、ベルトであれリムドライブであれ、実際には回転数は33.3ぴったりではなく微妙に違っています。しかし実際の製品として音楽を聴くのに何の支障もないわけです。

(注)例えばA=440Hzというのも1950年代辺りからの「申し合わせ」みたいなもので、日本人はたった一つしかない・一筋というのが病的に好きですが、純正調の調律法が一つではないように、別に決定事項でも何でもありません。だから実際の演奏ピッチは楽器により、演奏者の判断により違ってくるし、例えばパイプオルガンのような歴史的建築物のピッチもヨーロッパ各地で相当なばらつきがあるそうです。

○「結果としての回転数スペック」と瞬間瞬間の音の安定性

 例えばウイーフィルが弦だけでワルツを演奏すると、ヴァイオリンやチェロにはフレットが無く指のポジションだけで音程が決まるので、気持ちよくなって半音や一音平気であがってしまうのだそうです。しかし瞬間瞬間では音程は安定しているので、音楽を楽しむには何の問題もないわけです。一方、ヴァイオリンを習い始めた人の演奏はギコギコと音程も安定せず、とても音楽にまでまとまっておらず楽しめない、というのは皆さんご経験のとおり。音楽はシンセやメトロノームの代替物ではありません。

○同様のアナロジーが、クロック信号の長期精度と短期安定性にも重なってくる。

 この問題を「それはアナログのいい加減なところで、デジタルではそんなこととは関係がない。」と思う人は、例えばデジタルオーディオにおける「キモ」であるクロックの短期安定性と音質の関係を理解することはできないでしょう。まずクロックジェネレーターは一つ一つ毎にみな波形も中心周波数も微妙に異なるもので、一つとして同じ物は無く、その中心周波数の長期精度は「何万年に何秒しか狂わない。」という、いわば時計屋さん・測定器屋さん的なスペックです。

 一方で、「音質的には短期安定性・位相ノイズがスペックとして重要だ。」というのがプロオーディオ機器の業界的には定説になっています。上記の例で言うとウイーンフィルの方がこれに当たります。しかし、たまたま長期精度と短期安定性・位相ノイズには強い正の相関関係があって、結果として長期精度追求が音質向上につながっている、ということで結果オーライなのだそうです。このあたりはスタジオ・エンジニアに聞くとみな一家言持っているはずで、対してコンシュマーでは宝くじに当たってお金が有り余ったら買うことを考えはじめる高級アクセサリーとしか考えられていないのが実態です。トホホ。

○「結果としてのスペック」最優先で、角をためて牛を全滅させてしまった。

 要するにダイレクトドライブでは、スペックが良ければ「音がいいはずだ。」という「結果としてのスペック」最優先で、角をためて牛を全滅させてしまった訳です。なんともったいないことではありませんか。
 言い換えればオーディオでは音質の関する限り新しいものが必ずしも良いとは言えないことがあるのは、技術的な「はずだ」の功罪も大きいということです。


 あ、アトミックとか実際に聴いたこともない人の、「理論では」とか、「はずだ」とかいう理屈の切れっ端は不要です。音を聞くオーディオなのに、耳を使って実際の音を確認もしてないのでは、実践ではな~んの役にも立ちませんからね。
 といってもちゃんと聞いたことのある人って何人くらいいるんでしょうね。デジタルのキモ中のキモなのに、何で聞いたことのある人が少ないんでしょうねえ?


2012年1月29日  技術進歩って本当に常にあるんだろうか?
●最近音質面で評価をしていくと、「技術進歩って本当にあるんだろうか?」と疑われる経験や情報にいくつも接します。すくなくとも音質との関係では昔の方式の方が断然音が良かったというのが何種類か有ります。新しいモノが絶対によいというのは、まあそうあれかしの希望のようなもので、はなはだ儚いです。
 コンピュータの世界でも速ければ必ずノイズなどの問題が発生します。まあサンダーボルトなどは既存をうまくまとめている方でしょう。今は変革期で、無くなるものは勿体ない事にあっという間に無くなるので、よく見極めて選ぶ必要があります。スペックだけで選ぶとカスカスを掴むおそれも充分あるような。

●音質というのは体では自然に分かってくるので、頭で思い込んでいても結局やかましかったりとげとげしいのは長続きせず、オーディオとしては残らないでしょう。残るのはアタマの中の思い込みだけだったりして。


2012年1月24日  ウブスタ君 一から出直しました。そのほか。
●あれこれ遠回りなインストールしたMacBook Pro 8.3でのウブスタ君のデスクトップ画面がおかしくなってきたので、覚悟を決めて週末にトリプルブートの入れ直しにリベンジしました。
 手順としては
.旧のデータが拾われたりしないように、Mac OSのディスクユーティリティでパーティションをゼロ1回書込で消去する。
2.Ubuntu Studio 11.04 Nattyをインストールする。アップデートなど一切しない。
3.Ubuntu Studio 11.10 OneiricのオルタネートDVDをドライブに挿入して、ディストリビューションのアップグレードをしますか?」というダイアログが出たら、アップグレードをクリックする。(インターネットからのアップデートも併用する。)


(注)ちなみにこのとき「Welcome to Ubuntu Studio 11.10 Oneiric」と出ても、こいつに乗ってはいけません。こいつはネットワークのリポジトリからインストールしてウブスタ君ではなくStudioなしのウブ君にアップグレードしてしまいます。そうなると、丸々アイコンのUnity画面が出てしまいます。
ま、慣れるとこれはこれで可愛いんですが、おらっちは先を急ぐもんで。

1と2は上手く行きました。パーティションも問題なくrEFItで動いております。
で、問題の3ですが、かなり時間が掛かってアップデート完了して再起動。が~ん
「Missing Operation System」が出た。もちろんWindowsも起動しません。

 このとき少しも慌てず、いやがっくり来ながらも、まずはMac OSを起動して、端末で
「diskutil list」を打ち込む。と、ちゃんと4つのパーティションになっている表示がされました。「これは行けるかも?」と思い、Ubuntu Magazine Japan付録のCD-ROMを挿入してライブCDで起動します。で、こっちもUbuntuのディスクユーティリティを起動してHDDをクリックすると、ちゃんと4つのパーティションが出ます。
 でウブスタ君がインストされているLinux基本パーティションをクリックして下の注釈のマウントポイントを見ると、何と
「マウントされていません。」との表示。「おらちゃんと『マウントポイントは「/」にして、grubのインストール先は/dev/sda3』と打ちこんだだよ~。」と思いながら、「マウントする。」をクリックしたら「/media/UbuntuStudioにマウント」と出て、ここまで来たら「ええい。行てまえ。」とクリックしました。
 んで、まあマウントされました。ウブスタ君もWindows7もちゃんとrEFItで起動したので、まずは一段落。




ライブCDの時はスクリーンショットを撮ってなかったので、再起動後撮ったら上図のごとく表示されきました。「いつのまにか『/』にマウントされとるがな?!」ですが、上手く行ったので文句は言いません。
 その後ですが、xfce4wm(ウインドウマネージャー)が起動しないとか、Xfce環境はいろいろありましたが、あの手この手でなだめすかして、何とか無事動いております。


 ということであくまで我が家のMBP 8.3 だけの事例ではありますが、起動しなくともめげずにマウントすれば何とかなるかな、というご報告でありました。

モニオさんが、大変勉強になるサイト記事を教えて下さいました。ありがとうございます。以下はその一部の大急ぎの拙訳です。
 Digital Audio: The Possible and Impossible

 
 「我々はデジタルサンプルを聞くのではなく、アナログ波形を聞いているのだ。」
 「ジッターの影響は振幅(強さ)、周波数(ジッターとオーディオソースの)、スペクトラム/波形(どのように変動するか)によって決まる。」
 「音楽に与える影響としてはジッターが全ての楽音を変調してしまうと言うことだ。」
 「次に問題になるのは、何がジッターの原因となるのかと言うことだ。それはいかなるものと言えるし、全てのものだと言えるだろう。一般にDACの内部は非常にノイズの多い環境である。DACとクロックに共通の電源ラインは、ビデオやマイクロプロセッサー、フロントパネルのディスプレイによるハイスピードデジタル信号を供給するものでもあるだろう。双方の電源ラインとDACのクロック回路にはフィルターが設けられているだろうが、全ての変動やこれらの変動がDACのクロックにもたらす微少な変動をなくずことは出来ない。このような理由により、ビデオやフロントパネル表示など不要な回路を切ることでジッターレベルを改善することが可能になるのである。」


 数学を駆使したコンピュータシミュレーションの結果とか、測定の話も出てきてなかなか歯ごたえがあります。数学のプロセスはよく分からなくても、そのロジックをもう少し知りたいなあ、と思いますが、意外と早く「なぜデジタルオーディオで音質が変わるか?」という原因の究明が「ジッターによる混変調歪み」という形の答えで一つ提示されたようです。
 時間が出来たら翻訳をアップしましょうか。招請期待。



2012年1月20日  スローオーディオ
大体同じような方向を向いているのだけれど、僕の場合は「スローオーディオ」だ。そもそもイタリアに始まったスローフード運動は「何かが違う。」という強い感覚から、食や暮らし全体を見直そう、と始まったものだ。
 そのカウンターパートは「グローバライゼーション」だ。世界をフラット化するのではなく、地元の貴重な食材や音源を発掘して大切にする。地元は近いので、距離だって本当は小さいはずなのだ。もちろんスローな動きを有効にしていくには、「グローバライゼーション」の事もちゃんと理解して使うべき所は使っていく必要がある。
 白か黒かの単純な2項区分ではないのだ。それはシンプルな数値化すら難しい、暮らしの、食の、音の「質」の問題だからだ。


先週の土曜日は神戸の北側で、61歳・60歳・58歳の3人で「残りの人生、良い音でゆっくり音楽聴きたいよね~。」と話をしていました。
 で、人間の7倍で過ぎるラットイヤーは早すぎて消耗するだけなので、僕は以前からペースダウンしてじっくりと質を求めるスローオーディオを目指している。例:バージョンアップなんてすぐにしなくても、じっくり見極めてからで良い。
 そのためのオーディオにおけるコンピュータ技術の活用であり、ワイスであり、アンテロープであり、待ちに待ったMAN301なのだ。まだMAN301の音は聴けていないが、昨年のサプライズをほぼ独占したように、実際の経験上ワイスの音の鮮度はずば抜けているから、いやがうえにも期待が高まるわけだ。


だからといって遊び方の可能性を限定する必要もない。コンピュータもいろいろ試せばいいし、アナログ技術も必要だ。事ここに至っては個々人のよって立つところとすら言って良いだろう。ひとそれぞれ音の・音楽の志向はまちまちであり、つまりは多様だ。当然やり方も様々であり、答えも一つではない。

多様性を尊重してこそ、お互いを尊重できてこそ、趣味道楽の世界としてのゆとりや愉しさが生まれるのです。

 事件は会議室=アタマの中で起こってるんじゃないんだ!事件は現場で=実装アナログ回路上で起こっているんだ!
 おしまい。やれやれ。

2012年1月14日  「大工よ、屋根の梁を高く上げよ。」
●いまラスヴェガスのCESにいるKent Poonから届いたビッグニュースは、Linuxベースのプレーヤー/トラポの WEISS MAN301だ。
 以前紹介したMAN202が開発途上でさらに進化を遂げたのが本製品で、3月にはリリースされるとのことだ。この製品は、いわゆるネットワーク・プレーヤー/ネットワーク・トランスポートといえばDLNAだろう、という固定観念を遙かに越えて、ユーザー本位なコンセプトの高機能な製品となっているようだ。
 32bit/192KHzのDACを内蔵する「DACバージョン」と、いわばトランスポートとして各種デジタル出力を備えた「サーバーバージョン」の2つの形態を備えている。

 黒地の資料には、特徴として次のポイントが紹介されている。

 ①All in One-RAM buffered CD Player
 ②All in One-CAS audio files Player
 ③All in One-Network Audio Player
 ④All in One-Perfect CD Ripper

 赤地の資料にはMAN301のベースモデルのフロントパネルとリアパネルの両方が示されている。「DACバージョン」と「サーバーバージョン」でリアパネルにどれだけの違いが出てくるかはまだ分からないが、音源としてはLANからのNASやネットワークとの接続(上記②③)、USB端子から外部ストレージから(上記②③)、またフロント側のスリットが示す光学ドライブからCDの直接再生(上記①)またはリッピング(上記④)を行うことができる。
 またリアパネル右側にアンテナがあるが、これはコントローラーとしてのiPad用で、そのソフトはワイスから供給される。
 アナログ出力はバランス、アンバランス双方があり、デジタル関係はAES/EBUの入出力、S/PDIFの入出力、TOS光の入力、Firewire800の出力を備えている。
 ワードクロックの入出力端子にもご注目ありたい。

●注目ポイントは何か?まず一番目は①、これ自体がCDを直接に、しかもコンピュータのメモリ(RAM)上にその音楽データを上げて再生出来る、一体型CDプレーヤーあるいはCDトラポとしての役割を果たせると言うことだ。外部ドライブで苦労しなくてもすでにビルトインされており、最初はまずiPad上(!!)に表示されるネット経由のカバーアートとともに、CD再生を目一杯楽しんでいただければ良い。
 そして④にあるように一体型のリッピングマシンとしても機能する。CD関係はもうこれで決まったようなものだ。

●そして②のCAS(Computer as Source)とは本気でCDデータを含むNASからの音源データやUSB外部ストレージからの再生を意味し、③ネットワークオーディオプレーヤーとは、USBも含めてネットワーク接続される全ての音源をiPad上で管理し再生出来ることを意味する。

●あるいは「DACバージョン」は同社DAC202を上回るという音質を一体型で楽しみ、「サーバーバージョン」では一般のDACへXLRまたはRCA同軸で、あるいはFirewireインターフェースにはFirewire800から出力出来るわけで、同社のFirewireインターフェース群やOrpheusのようなLinux対応機がその性能をフルに発揮できる事になるだろう。

●ダニエル・ワイスが作り込んだLinuxベースの中身は?どんなOS環境で、どんな再生アプリが使われているのか?何よりもその音は?使い勝手は?
 これらについては今月下旬辺りにKentが実機を抱えてやってくるだろうから、詳細は誌面で紹介したい。

●僕にとっても本命中の本命はこれだ。諸卿よ、これがコンピュータベースのプレーヤー/トラポのあるべき姿だ。

●これなら高音質でコンピュータのことに気を配らなくても高度な音楽再生が出来るのではないか?なによりも近未来オーディオの高音質を求めるベテラン・オーディオファイルに本気で本機の音を聞いていただきたいと思う。
 なぜなら、いまは高価な製品でも数が出れば当然価格は下がっていくだろうし、コンピュータ技術を駆使できるメーカーがさらに後に続くだろう。そうすればいずれもっと廉価に多くの方々に行き渡ると期待したいからだ。よろしければ後進のためにも、まずはベテラン達にこれをお手元に置いて生涯の友としていただきたい。すべての音楽ファンに、オーディオファイルに、この知らせを伝えたい。

 「大工よ、屋根の梁を高く上げよ。エアリーズさながらに、丈高き男の子に勝りて高き花婿来る。」(Raise High the Roof Beam, Carpenters./J.D.サリンジャー


2012年11月12日  ストレージや光学ドライブに関心が深まってきているらしきいま
●昼間のタリアセン3。見た目よりも存在感が穏やかなオブジェ。一度芦屋の旧山村邸などライトの建築を見に行って見ようと思う。あちら方面には友人もおられるので、そちらも訪問したらちょうど良いコースになりそうです。(*^_^*)


●土曜日にPCトラポに取り組んでおられるお宅にお邪魔するのだが、その準備がてら写真を撮影し、Premium2など光学ドライブの電源換装法や、外付けケースPremium2Uでの多OS対応USBアダプタと電源換装法、USB/Firewire両方で取り出せるようにするIDE/SATA変換アダプタと電源換装法などを一つのページにまとめました。

 PCトラポ探求もようやく足が地に着いてきているようで、ストレージや光学ドライブに関心が深まってきているらしきいま、諸卿のご参考になればと。ふう。

 IDE/PATA 光学ドライブ/HDDケースの電源等換装法

 (1)Mini DIN コネクターの電源端子に市販電源を接続するアダプタの製作

 (2)外付けドライブPremium2UのUSB変換アダプタ交換と市販電源接続方法

●サンドイッチ方式ドライブ【参考】



2012年1月11日  Well Living、Well Listening
●以前から欲しかったフランク・ロイド・ライト作の照明「タリアセン3」を入手しました。オブジェとしても、照明としてもさりげなく存在し、しかも美しく、疲れた心を癒してくれる。Taliesin、ウェールズ語で「輝く額」。

●Well Living is perfect revenge.という表現があります。仕返しを考えるよりも、良い人生を生きることが最大の復讐になる、という意味です。
 そういう意味なら Well Listening.......と表現しても良いでしょう。アホンダラな人や事にはできるだけ関わらないようにして、人も機器も選び倒す。残り少ない人生を楽しみ、良い音を聞くというポリシーです。ポリシーキット設定変更完了。

 「これだけの音が出るなら、もう音楽だけに集中できるなあ。」とつくづく思ったのが約1年半前の事。それ以来もどんどんと良くなってきているので、本音は同じ曲を何十回も聴かなければならない試聴などすっぱり止めて、ひたすらいろいろな音楽を聴きたい。まあ、そういうわけにもすぐにはいかないが、着実にその方向で行く。これは決定事項だ。それまでは、やるべきことはちゃんとやります。

オーディオシステム紹介のページを約4年ぶりにアップデートしました。電源や小物類は煩雑で煩雑でとても全部書けないし、細部はどんどん変わるので省略です。

●このページを見ると、自作や基板アッセンブル、「改」=改造が沢山あるのに気づかれるでしょう。
 自作は損か得か?
 汎用的な機器なら買う方が安くつくことも多い。ところがある時点からこれが逆に効き始める。それはメーカーが経済性や供給の継続性の観点から絶対に使わないようなプレミアムパーツを使い始めるときだ。僕の場合は回路設計などのスキルは無いので、自称ではなく本当に賢い人達が設計した回路や基板等を選んで使うスタイルですが、電源などを含め随所に自作又は手を入れるところがあります。勿論、その結果も耳で聞いて採否を決めるなど、物凄い手間暇を掛けているので、その労働コストも算入すると絶対にコスト高です。しかし、お金はさほど出ていかないケースもあり、そういうことをゴソゴソとやり続けていると、音の出方を調整できる幅がとても大きくなってきて、ある時点でメーカー製品に魅力を感じなくなったりするわけです。

 でもPCトラポあるいはデジタルオーディオ・フロントエンドは凄く手間が掛かります。世はDSDや近未来オーディオと浮かれている向きも一部にあるでしょうが、底流の向きは明らかで恐らく今年は大きな分水嶺の年になるでしょう。音楽を聴くために何が本当に必要なのか、トータルに考えて判断するべき時期かも知れません。



2012年1月10日  あれこれと
●寒くなって来ました。体のあちこちが血行不良で痛いけれども、ストレッチや一人気功で筋をほぐして何とかやっています。

いずれどこかで書いておくべき話を一つ。
 必ずしも充分に理解されてはいませんが、基本的にはCD/SACDプレーヤーなどのいわゆるデジタルオーディオとコンピュータの動作は同じではなく、似て非なるものです。
 良く「CDプレーヤーは単機能のコンピュータだ。」と言われますが、厳密には正しくありません。CD/SACDプレーヤーは基本的にはチップ(LSI)とそこに実装されたソフトウェアで順次動いていくものです。ファームウェアの更新などはありますが、基本は定められた動作を行います。
 それに対し、コンピュータの場合はCPUなどのハードウェア上にOSという音楽再生以外の汎用の基本システムが搭載され、その上でアプリケーション・プログラムが動きます。また、後からアプリを追加したり設定を変更したり出来る点でCD/SACDプレーヤーとは大きく異なるわけです。
 またクロック信号の同期の仕方も、CD/SACDプレーヤーでは読み出し時に行い、PCトラポの場合にはPCは関係なくコンピュータデータとして送り出していくだけで同期はインターフェース(DDC/DAC)でDA変換前に行うなど、大きく違います。

 つまるところCD/SACDプレーヤーが分かるからといってコンピュータが分かるとは限らないし、その逆もあり得るので、この点で敷居を越えるパワーが必要となるわけです。これが意味するところは、そのうちに理解される時期が来るでしょう。


●DCプラグ1個で接続できるオーディオインターフェースや2.5インチHDD、SATAの3.5インチHDDなどは比較的簡単に市販電源を接続できるので、電源の換装も容易でみなさん実行される方が多いのですが、PATA/IDEの光学ドライブや3.5インチHDDなどは5V/12V両電源が必要で、そのケースには5pinまたは6pinのMini DIN コネクターの電源端子が使われていることが多いので、DCプラグ1個というわけにはいきません。
 そこで付属電源アダプタのケーブルを利用して、途中でXLRプラグ(4pin)を介して市販電源に接続するアダプタづくりのページをアップしました。
 IDE/PATA 光学ドライブやハードディスクケースの電源換装法(1)
  Mini DIN コネクターの電源端子に市販電源を接続するアダプタの製作

 CDが主力ソースなら、入り口が肝心です。このページの中でも外付けドライブPlextor Premium2Uなどの電源に触れております。IDE/PATA接続のCD/DVDドライブの電源もグレードアップしていただいて、リッピングなどの効果も実際に耳で確かめてみてください。またIDEのHDDも音が良いので、機会があればお試し下さい。ただし工作は自己責任でよろしくお願いいたしますね。

 また工作が苦手な方のために、市販アダプタを使う方法など、もう少し簡単な方法も(2)として続けますので、またご覧ください。

●現在ヴェガスのCESに行っているKentからビッグニュースあり、詳細確認中。近日公開予定。招請期待。



2011年1月6日  Mac上のWindows7もサンダーボルトに対応しています!
●お詫びと訂正です。
 MacサンダーボルトはrEFItでトリプルブートしているWindows7上でも動作いたしました。HDDやオルフェウス君もサンダーボルトでちゃんと認識されて音も出ます。
 MacからみればBootCampと同じ状態なので、まずBootCampでも間違いなく動作するでしょう。Windows7でのメリットが大きく向上した喜びを込めながら、謹んで訂正いたします。

●今日はワオン・レコードのオーナー/エンジニアの小伏さんと久しぶりに会い、ワインで歓談しました。いろいろと情報交換しながら、ハードディスクはどこ製が音質が良いかなど意見の一致をみましたので、プロの知恵を誌上にも反映いたします。
 喜ばしいニュースとしては、傅信幸さんもイベントでの試聴ソースに使われている「夢見る翼~Dream of Nike」のDSDマスターから、直に24/192HiResを起こされているとのこと。この古楽器チェンバロとポップな現代曲とが見事に一つに溶け合った鮮烈な名録音・名演奏が新たな高音質で皆様の元に届くのもそう先の話ではなさそうです。その後にはDSD版のリリースが続きます。楽しみにお待ちください。



2012年1月5日  「PCトラポ」「デジタルオーディオ・フロントエンド」と呼んで使い分けるようにしよう。
●電話してくれる友人というのは本当にありがたいと思う。人間やはり接触なので、随分と気持ちが楽になってきます。賢いと思い込んでいるネットストーカーも自分からせっせと墓穴を掘ってくれてるので、「放っておけばいいや。」という余裕ありです。
 いやはや悩ましいのも嬉しいのも人間関係です。

●その友人の話ではないが、「PCオーディオ」という言葉は問題含みだと僕も思う。実際にはPCの中だけのこと、つまり従来なら「CDトラポ」にあたるデジタルオーディオの「フロントエンド」しかやっていないのに、DACやアンプ・スピーカーにいたる全体の系である「オーディオ」を示していると勘違いされては困るからだ。
 全体がコンピュータ制御された訳でもないのに、あたかもPCの中がすべてであるような知識をひけらかす言説に惑わされてはいけない。耳を使わず装置にもかまわない、そんなものをオーディオと勘違いされては困る。
 なので、これからはちょい古の言葉を復活させて、PCだけの話なら「PCトラポ」あるいは「デジタルオーディオ・フロントエンド」と呼んで使い分けるようにしましょう。単なるトラポです。それでもトラポですが。



2012年1月3日  ごあいさつ
初春のお慶びを申し上げます。

 今年の年始は徹底的にのらくらすることにして寝正月で、家族一同集まったりしても寝ていたりして、「よく寝る叔父さん」になってしまいました。ふあ。
 
●とりあえずウブスタ君のインストールについてのご報告です。
 今回のOneiric 11.10でインストールに難儀して、MacやWindowsの再インストールも辞さずに何回もトライして、MacBook Pro 8.3と4.1にどうにかこうにかトリプルブートで納めました。
 昨年末に沖縄に行ったときに、友人がMBP4.1で難儀していたのでサポートし、結局はMacとOneiric 11.10のデュアルブートにしました。

 もともと一つのハードディスクでのトリプルブートは難しいのに、11.10ではインストール時のパーティション設定に問題があるようで、どうやらデュアルブートの方が安全です。ただ、デュアルでもいろいろとあるので、Ubuntu Magazine Japaでは仮想でやった方が安全で良いと進めており、どうもデュアルでのインストール以上のイメージはないようです。
 その経過をこちらに[補足]としてまとめております。

●ああ、こんな面倒臭いことすぱっとやめて、さっさとワイスのトラポかなんかで気楽に音楽聞きたいですねえ。そうしたらうっとうしい怪かしの憑きものなんかはらりと落ちてしまいますかねえ。お祓いしようっと。唵(おん)!怨霊退散!数学お化けのバイナリ妖怪よ、去れ、去れ、去れ!

 「じゃあ、後よろしく!お疲れ!」 なんて言って妖怪うごめくアホな世界に颯爽とさよならして、実家のオーディオの世界に帰ったら気分良いだろうなあ。そういうのを夢に見ながら、当分しこしことやりますかねえ。なんて4月1日に言うべきか。いや半分本気かも。韜晦韜晦。落とし前も要ることだしね。静観静観。








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