クロックはアナログ信号です。
ジッターは
アナログ量です。

妄言多謝


2015

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「音楽再生専用機のためのUbuntu Studio 10.04LTS (Lucid)カスタマイズ法」


新年に当たり、「ON爺の独り言」 2016のページに移ります。



2015年12月21日  ラトックシステムPCオーディオセミナーのことなど
●12日開催のPCオーディオミナーの参加者アンケート集計結果を見ながらこの原稿を書いています。概ね好意的な評価と今後への期待をしてくださいましたが、中には「セミナー」というときちっと確立された理論(!!)などを講師の個人的意見など交えずに客観的に説明せよ、というような意見もありました。はっきり言って現状のオーディオではとてもそこまで客観的に整理し切れていないので、まずは音を聞いていただこうという主旨だったのですが、とりあえずは「セミナー」という名称を考え直そうかなど相談しようかと思っています。



●共同通信のGaudio/PC Audio fanサイトに再掲した「ネットワークオーディオの深イイ話」ですが、これは「はじめてのネットワークオーディオ」(2013)で名古屋の(株)メイエレックさんというLAN/ネットワーク」の設計施工の専門会社に取材した記事の再掲です。
 同社の担当部逃散がオーディオマニアで、しかもPCオーディオをやっておられたので、ネットワークにはいろいろと都市伝説(要するにデマ)が多く誤解されないように、と綿密な準備をしてくださいました。
そのため濃い内容がぎゅっとコンデンスされており、数行毎に参考情報が集約されています。
 書き上げたときには集約しすぎたかなあ、もうすこし失敗談とかエピソードを交えて、文章全体を冗長化した方が良いかな、とも思ったのですが、結果的にはその懸念が経っているようで、皆さんすっと読んでしまって終わり、みたいな感じになりがちです。
 僕なりのまとめをしておきましょう。

○TCPが断片化したパケットの再送要求を行っているように、一般的なLANはリアルタイムな伝送路ではない。(Merging/NADACなどで採用されているRavena/AES67や、Dante、AVBなどLAN上でのリアルタイム伝送は別ものです。)
○また実際のネット上ではミクロではさまざまな事象が発生するので、GbitLANのような速度は「マージン」としては重要だが、速度重視だけでカテ7のような高規格を選ぶのは非効率的。
○「伝送周波数が100BASETXで約62.5MHz、1000BASE-Tでは約80MHzという、ほとんどFM放送電波帯の高周波信号であ」り、LANから発生するノイズはかなり大きく、「また外部からの誘導ノイズも簡単に引き込んでしまうレベルだということ」
 『つまりLANケーブルには「内部ノイズ」と呼ばれる高周波ノイズが常に乗っており、これは適切なカテゴリーを選択し正しく施工すればトラブルにはなりません。とはいえ「外来ノイズ」すなわち外部からの誘導にも弱い、ということをお忘れにならないようにお願いいたします。』
○「1カ所でも漏れがあればノイズが侵入しますので、特にコネクターなどは要注意」
○LANアイソレーターなどのフィルターについては「フィルターは基本的にカットするのが目的ですから、フィルター類が入りますと失われる部分が出てくる可能性がありますので、音質的にこだわる場合は気をつけられた方が良い」
○LANケーブルは外来ノイズに弱い『インバーター電源や無線などのノイズ源からは距離を取って、電源線とは平行には走らせず、どうしてもクロスする場合は、直角に「直交」』させる。
○『ハブではエラーチェックしながらスイッチングして、各ポートから送り出していくわけです。そのため、ハブ1段につき一定のレイテンシーという時間遅延が発生します。そのため、ハブは1段のみとしておくのが一番良い』
 つまり「オーディオ機器はまとめて一つのハブで動作させてください。」
○複数のルーターを混在させるとローカルIPアドレスを発行するDHCP機能がうまく動かないので、ルーターは『最新の「スループット」というデータの伝送量が大きいものを一つだけ選んでください。』
○「LANケーブルの場合、端子=コネクタも重要で、事前に調べた上で選択し自分の耳で音質評価しよう」


●どうもこの内容からいろいろと選択していけるのはある程度の経験とスキルを持つ方で、初心者さんには具体の機種を上げていかないと駄目かなあ、という気もします。

●まあ、アップしておけば、ここにあります、とすぐに言えるので、それだけでも楽になりますが。



2015年12月11日  1bit研究会/「ネットワークオーディオの深イイ話」がサイトに再掲
●早稲田大学・西早稲田キャンパスで第12回「1bit研究会」に参加してきましたが、Merging Technologiesのプロ用部門のPyramix機器説明と使いこなし等、なかなか興味深い内容が沢山ありました。土曜日のRatoc PAオーディオセミナー終了後に、本サイトでアップ予定。

●共同通信社のGaudio+PC Audio fanサイトに「はじめてのネットワーク(2013)」での取材記事「ネットワークオーディオの深イイ話」が再掲されました。



1.TCPが断片化したパケットの再送要求を行っているように、一般的なLANはリアルタイムな伝送路ではない。(Merging/NADACなどで採用されているRavena/AES67や、Dante、AVBなどLAN上でのリアルタイム伝送は別ものです。)
2.また実際のネット上ではミクロにサムざまな事象が発生するので、GbitLANのような速度は「マージン」としては重要だが、速度重視だけでカテ7のような高規格を選ぶのはあまり意味があるとは言えない。。
3.「伝送周波数が100BASETXで約62.5MHz、1000BASE-Tでは約80MHzという、ほとんどFM放送電波帯の高周波信号であ」り、LANから発生するノイズはかなり大きく、「また外部からの誘導ノイズも簡単に引き込んでしまうレベルだということ」
 つまりLANケーブルには「内部ノイズ」と呼ばれる高周波ノイズが常に乗っており、これは適切なカテゴリーを選択し正しく施工すればデータ伝送状のトラブルにはなりません。とはいえ「外来ノイズ」すなわち外部からの誘導にも弱い、ということをお忘れにならないようにお願いいたします。』
4.「1カ所でも漏れがあればノイズが侵入しますので、特にコネクターなどは要注意」
5.LANアイソレーターなどのフィルターについて
 「フィルターは基本的にカットするのが目的ですから、フィルター類が入りますと失われる部分が出てくる可能性がありますので、音質的にこだわる場合は気をつけられた方が良い
6.LANケーブルは外来ノイズに弱い『インバーター電源や無線などのノイズ源からは距離を取って、電源線とは平行には走らせず、どうしてもクロスする場合は、直角に「直交」』させる。
7.『ハブではエラーチェックしながらスイッチングして、各ポートから送り出していくわけです。そのため、ハブ1段につき一定のレイテンシーという時間遅延が発生します。そのため、ハブは1段のみとしておくのが一番良い』
 つまり「オーディオ機器はまとめて一つのハブで動作させてください。」
8.複数のルーターを混在させるとローカルIPアドレスを発行するDHCP機能がうまく動かないので、ルーターは『最新の「スループット」というデータの伝送量が大きいものを一つだけ選んでください。』
9.「LANケーブルの場合、端子も重要で、事前に調べた上で選択し自分の耳で音質評価しよう」

 もちろん現行のLANでは各方面のご努力もありデータは正しく伝送されているのですが、高い音質を要求する「オーディオ」におけるネットワーク活用の問題点の整理はまだまだこれからです。皆様のご支援よろしくお願いいたします。



2015年11月18日  ラトックシステム PCオーディオセミナー 2015 in 大阪
 ~リッピング環境で変わるCD音源を体験しよう
 『PCオーディオの原点「CDリッピング」環境の重要性を、聴き比べで体感できるセミナーです。講師は、オーディオ誌やオーディオ情報サイトでおなじみの御田照久氏。CD音源制作現場側からはJAZZレーベル澤野工房の澤野由明代表を迎え、パネルディスカッションをおこないます。
セミナー修了後、オーディオ関連グッズが当たる抽選会も実施予定です。』


 お申し込みはこちらへ。

●音探しの実際のプロセスを、参加者の皆さんと一緒に聴きながら探ります。

●制作側のプロデューサーやアーティストは、物理的なメディアであるCD盤に対して音楽的・音質的なOKを出します。環境によってばらつきのあるリッピング・データの音質は、プロデューサーやアーティストによってギャランティーされているものではありません。

CD盤上のデータ(CDDA)と、リッピングしてストレージに収録されるデータとはファイル形式が違います。つまりゼロイチすら違うわけです。そのことを皆さんは知っておられましたか?

●ではリッピングした後の「原盤」を処分したりするのは「ペケ」なんでしょうか?


●当日は強固なスチール製筐体とイノアック製セルダンパー(セル構造の発泡ウレタンエラストマ)で制震機能を強化したUSB3.0ドライブケース「RP-EC5-U3AI」と、そのベースモデル「RS-EC5-U3」の比較試聴なども行います。

●実にセンスも音も素晴らしいヨーロピアンジャズを、澤野工房のCDやそのリッピングデータを聞いていただきます。果たして、あなたの耳はこれらの音の違いを聞き分けられるでしょうか?



2015年11月8日 めっけ!io data「fidata」の凄いところ
●まだ試聴機が回ってこないので、詳細な記事はこれからですが、とりあえず一つio data「fidata」の凄いところを見つけました。ACインレット。



一言で言うと、「分かってるねえ!」

●この意味がぴんとこない人は、この電波スモッグの時代にオーディオをやるだけの知見がおありかどうか、辛いと言ったほうが良いかも。



2015年11月7日  もう少し外に出てみるか
●昨夜は久しぶりに心斎橋でワインを痛飲した。2人で2本空けてグラスを追加。おいしい料理と良い話し手と一緒なら時間はあっという間に過ぎる。

●いろいろあってこの間世捨て人傾向が少しずつ強くなっていたが、もう少し外に出てみるかと言う気分になって来た。
 といっても静かにゆっくりと。



2015年10月28日  Keith Jarrett At The Blue Note (Complete Recordings) [6 CD Box Set]
●さて当分音源の話をしましょう。
 スタンダードトリオの1994年6月3~5日のNYCブルーノートのライブ6枚組。以前は高かったので、1枚だけ買ったが、この4月に米アマゾンを見ると手頃な値段で出ていたので、この際とオーダーした。
 で届いたのを見るとⓒⓟともに1995年になっていて、音の方も全体に濃く雰囲気が出ていてすこぶる良い。どうやら売れ残っていたオリジナルプレスが届いたようで、誠にラッキーなお話。

●で、ご紹介しようかと米アマゾンを見ると「September12, 2000, Original recording reissued」となっており、再プレスのようだ。
 実は以前、ECMでもパット・メセニーの「First Circle」の同じ紙ジャケでも3年ほどの違いで、2010年代になると音がぐんとしょぼくなっていて参ったことがある。どうやら売り出し中とか力を入れているものはベテランが当たり、再プレスは若手に任せたりしているのだろう。売り上げ全体が低迷傾向にある音楽産業の内部の空洞化・劣化も着実に進んでいるようだ。

●まあこんな風にいろいろとあるし、リスクもあると思いますが、基本的に古い方が音は良いです。ブルーノートのライブ6枚組はまあ2000年だから、多分大丈夫な方だとは思いますが、ここは度胸を決めてどうぞ!



2015年10月28日  身の丈
●今月は喘息のぶり返しでかなり辛い状態が続き、思っていた予定の半分も進んでいない。ま、出来るところから出来るようにやっていくしかない。
 咳をしている間は気管支が痛んだりして何も考えられないが、身体を休めているときにはなんとなくいろいろなことを思う。

●ひとつ方針を決めたのは「頑張らない」という事だ。
 例えば国内外での技術動向にはかなりのずれが発生しているが、輸入代理店の採算がある限り、高価格品を少数効率的に取り扱って利益を出すしかなく、その差はますます広がり内容は「ずれ」の内容は多様化していくだろう。あれもこれも見ていくと嫌になってくるので、そういうときはポイントだけおさえれば良い。

●知らない人が多いのだが、Linux小箱の先駆け「Voyage MPD」が製品化されたことがある。「Auraliti」Bryston「BDP-1」だが、まだHPに記載はあって、特に話題にはならずにいままで来ている。
 結論から言うと、こういうものは自分で組んでシステムに合わせて構成し、運用にも手をかけていく方が良いのだろう(としておきましょう。)。

●一例だがこうした流れを見ていると、需給も含めた流れに結局は任せざるを得ないと思う。

●今日amazonの「fireTVstick」が届いた。amazon Prime Videoだけでなくいろいろと使えるわけだが、英米では既に昨年「amazon Prime Music」のサービスが開始されている。(「詳細はご自分でお調べあれ。」と突き放そう。)
 日本では相当にCDの売上高が高いので、Prime Musicはまだ先の話だと思う。また売れ先や音楽の内容は全てがオーディオ向けではなく、消費の主流はAKB48、嵐、エグザイルやジャニーズ系のような邦楽ポップスである。
 だからまあ、センセ方も「音楽鎖国だ!」などと見当違いはしないだろうと思うが、ネタは目の前にあるので、この辺も恥をかかないように自力更生していただきたい。
 僕もfire stickを使い始める気分にはなっていない。

●オーディオのことを何も知らないITやデジタルメディアや家電系のライターたちがこういう新しいメディアの記事を書いていることが多いのだが、はっきり言ってきっかけ程度にしておいたほうが良い。特にIT系の人たちは設定や音出しまでは書けても、結局「ハイレゾだから音が良い」の一本槍でオーディオの「音」の事は何も知らないのだ。自分の判断力を磨いておかないと変な話に振り回される。
 振り回されるオーディオ系の人たちも情けないと言えば情けない。

●まあ、僕は頼まれた仕事や書き置くべき仕事だけして、後は自分と身内のことだけすれば良いのだ。
 今日も十分寝ておこう。



2015年10月21日  CDリッピング約1,000枚越え
●この1週間ほど喘息で苦しんでいました。喉が過敏でちょっとしたきっかけで咳が止まらず、風邪っぽい炎症もあるようなので、ドクターに相談に行き、今までより少し強い薬を飲むことに舌が、端がなかなか切れ厨」睡眠が十分とれない。昨日くらいからようやく痰が切れ始めて、人間っぽい気分になりはじめてきました。

●仕方が無いので、できるだけ静かに横になりWindowsファイルサーバにCDリッピングしたりして過ごしました。715GBなので、約1,000枚完了したところ。ワイスMAN301のリッパーでジャケ画像をGraceNoteで取得するこつなども分かりかけてきた。音質第一なのでメタデータはあまり気にしていない。

●先日来のインターネットの入り口付近のノイズ対策もお休み中。あれこれ工夫してシステムのSNが良くなるとちょっとしたことでも音質が変わる。今の音は傅信幸さんが好きそうな精緻で小音量でもディテイルが手に取るように分かる音だ。
 カナダから10/29に出荷されるパーツがどの程度効果あるか、いまはそれ待ち。

●PCデジタル周りの高周波対策用のEMI電磁波防止シートが品薄で値上がりしているので、2枚ほど入手しておいた。

●一般的には我が家のような機器の中身までのノイズ対策はできないと思われるので、むしろ管球アンプなどでバンドパスフィルター特性をうまく活用した方が良いと思いはじめた。ノイズとの共存オーディオ。結構良いと思う。
 まあ管球アンプは最後まで生き残るだろうから、サバイバル的にも良いだろう。

●いろいろすることはあるが、体調回復が最優先。ああ、近場で良いからどこか旅に出たい。



2015年10月11日 サバイバル・オーディオ、LAN都市伝説
●前回はちょっと落ち込むような話が多かったが、要はこれからさらにオーディオを巡る環境は変化していくだろうし、ご自分の気に入ったスタイルや音源、機器があればそれらの予備機やメンテナンス態勢など、これからの年月オーディオで遊んでいくための態勢を着くっておかれた方が良いということです。
 時代は「サバイバル」です。自力更生するよろし。

●あちこちで今までCDのプレスを頼んでいた工場から業務廃止の話がきているそうだ。まあ、他にもプレスしてくれるところはあるのだが、エンジニアやスタジオは価格・納期だけでなく、音質を優先して選んでいるため、「あ、痛ああ。」という場合が少なくないそうだ。

●この2年あまりの間に300枚くらいCDを買ったので、海外中心にどのサイトに何がどれくらいあるかはなんとなく知っているが、それでも各レーベルがアイテムの絞り込みを行っているのが最近特に感じられるようになった。つまり音源CDも先細り傾向が明らかだ。今のうちに確保されるよろし。

ご近所、家電、暗号化…無線LANの不調、意外な原因
「切れる」「遅い」を自分で解決 つながるWi-Fi(3)


 内容多岐にわたりますが、1例のみ。


●いままでユーザーさんの思い込み=都市伝説にはいくつも遭遇しているが、最近では「無線LANを通すと音が良くなる。」(??)というのがFaceBookで、それも結構な人数おられた。有線LANの線がないだけでクリーニングされるように思いこんでいるらしい
 この記事には「自宅の親機以外のWi-Fiは“ノイズ”と同じ。」とあるが、電力で飛ばすのだからそれ自体がノイズになる可能性もあり、変調復調などいろいろプロセスが増えるので、問題点が増える可能性があるだけでLANの基本問題は何も解決しない

●あるいは「ハブなどにパルストランスが入っていて、これにアイソレーション効果があるのだ。」(??)と書いておられた評論家さんもおられた。確かにコモンモードの抑制効果は多少あるかも知れないけど、本来高周波信号は良いインピーダンス整合をきっちりやらないと反射によるロスが発生するので、パルストランスはそれも含め電力的にいかに信号を(高周波帯のノイズがあればそれも含めて)効率的に伝えるかという目的のためにあるので、アイソレーション効果は期待できない。

 まあ、皆さん都合が良いように思い込む能力は大したものです。地道な勉強はどこに行ったのだろう?



2015年10月9日  オーディオにとって良い季節はもう過ぎてしまった。
●浮き世の話をもう少し続けておきましょう。「オーディオにとって良い季節はもう過ぎてしまった。」ということの中身です。

各半導体メーカーがハイエンドオーディオ用DACチップの新規開発をほぼ停止したこと。
 AK(旭化成)がほそぼそと、ESSセイバーがハイエンド用から普及品へシフトしつつあるほかは、動きがないそうです。TI(テキサス)は既に開発チームを解散し、LINN DSで有名なWolfsonはCirrus Logicに買収されたそうで、新規開発はなし。
[主な理由]
1.ハイエンドオーディオ用DACチップはマーケットが小さく数がはけない。
2.電子デバイスの動作電圧は低電圧化の一途をたどっており、ダイナミックレンジが取れない。
3.回路パターンは微細化の一途をたどっており、電流を流しにくくなっている。
4.2&3に対応して行くにはクロックの高品質化などが必要になり、大きなコスト要因となるが、1により売れ行きは限られる。
 もう何年も前から分かっていた話けれど、ついに現実となってしまったというわけだ。

次々とメーカーが撤退する光学メディアに将来はあるか?
 「光学メディア事業から撤退する太陽誘電と光学メディアの将来」(2015/06/12)
 すでに撤退していたTDKに続き、太陽誘電も光学メディア事業から撤退している。

 「TDK、記録型CD・DVD生産から撤退」(2006年03月08日)

 「TDK、ブルーレイディスク事業から撤退へ 不採算事業の整理で」(2013.4.26 )

光学メディアがなくなっていく以上、プレーヤー、レコーダー、ドライブ関係も需要は減るのは間違いない。オンデマンド(ストリーミング)によるビデオや音楽の配信が増えていけば、クラウド側に各自のプレイリストを保存しておくだけで良くなり、メディアそのものへの記録保存が不必要になるので、拍車がかかることも想像に難くない。皆さん、常時静音設定・ノーマル読み出しができるPioneerのBDドライブなど確保しておいて下さいね。
 (PureReadなどはおまけ的なものと考えてお入り、特に関心はありません。ダメージCDのテスト用標準CDも決め得ない中ですしね)

オーディオ用の各種カスタムパーツはなくなったわけではないが、例えば2006/07に生産完了したBlackGateを越える電解コンデンサはいまだないようで、こういうカスタムパーツははメーカーなどの需要があればまだ続く可能性はあるだろう。

●問題のDACチップの新規開発停止のブレイクスルーにはオリジナルで高度なソフト開発能力が必要だが、いまのところ2つの方向があるように見える。
 一つはChord Hugo(TT含む)やDave、あるいはPS AudioのDirect Stream DACのように、FPGAに独自ソフトウェアを書き込み、周辺にハードウェア素子を配置するDAC。

 もう一つは米Schiit Audio が、AD(アナログデバイセズ)の医療用20bit DACチップとDSP、専用アルゴリズムを使ってマルチビットPCM用DAC(~24/192)「Yggdrasil(ユグドラシル)」を開発したように、今後とも発展が望める医療用DAチップを使う方法。「Yggdrasil(ユグドラシル)」など現地で$2,700だそうで、この程度の価格だとどんなに音質が良くても日本の輸入代理店は手を出さないだろう。
 例えばDSD128(11.2MHz)で有名なPyramix9を開発したMerging Tecnolodiesがコンシュマー向けに発表したリアルタイムLAN(Ravennna/AES67)駆動の「NADAC」のように、現地で約80万円エレクトリが扱って120万円 ぐらいの価格でないと輸入代理店は利益すら出せない。

●DACチップの新規開発停止により、どこまでいくのか呆れられつつも続く「スペックバブル」に歯止めがかかると思われるので、悪いことばかりではないかも知れない。
 例えばNDKのDucaronのような高品質クロック発信器を内蔵するとか、TI PCM1792のようにちょいフルだが、バランスが良く高音質な既存チップの使い込みに注力するとか、「音質」で勝負するネタはまだまだあるので国産メーカーには本来の土俵で尋常に勝負されることを期待します。



2015年10月5日  「呪いと祝福」
 『呪いも祝福も本質は一緒だよ、リンデル。どう受け止めるかだ。』

 『ようこそ。目まぐるしく、みにくくも美しい世界へ。いつか君も誰かに手を貸してあげられるよう...大きくなりな』

 『君は自由だ。君が呪いを抱えて生きても、その末にいつか堕ちても、全ては君の自由なんだ。』


(ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」vol.4)

●FaceBookである人が「SNSにおける呪いと祝福」という投稿をされていた。それはSNSの中には人が貶められる(おとしめられる)のを見たい、という欲望が常にある、と言う内容で、愉しい「お友達」の世界だけはない人間界の縮図そのものが根底にあるというようなことだった。



●僕にとってオーディオについて記事を書いたりするようになって、何が変化しただろうか?
 「祝福」については、いままでなら会えなかった人たちと会えるようになったことが一番大きい。気をつけなければならないこともあるが、交友関係は変わってきた。ただ、行き来を重ねて結局は信頼関係を持って友人になれたのは数人で、やはりFB上のお友達のようには簡単に行かない。そして僕は書き始める前からの交友関係をとても大事にしている。
 またメーカー取材を担当させてもらったので、オーディオ以外のPC周辺機器などの会社を訪問させていただいたりしたのはもの凄く良い経験だったと思う。取材テーマはもちろんあるが、現地に行くことによって膨大な「背景情報」が得られるのがとても大きかった。記事に出来るのはほんの一部だが、様々なイメージや情報がつながることによって随分と理解が進み、全体像イメージに寄与したのは、本当にありがたいことだった。

●では「呪い」はどうだろうか?
 見なくて良いこと、知らなくて良いことを知ってしまったというのは、明らかにマイナスで、知らないままの方が雑誌やネットなどを愉しく見ることが出来ただろう。得られたこともあったが、そういう「趣味としての楽しさ」に影が投げかけられたので、トータルすれば明らかにマイナスが勝っている。
 そしていろんな形で明らかな害意をぶつけられたのは、本当に辛かった。オーディオ界は紳士の社交場で品位を持ってコミュニティを大事にして、なんてのは完全に吹っ飛んで、「俺が俺が」「うちがうちが」という負の感情を見せつけられると、率直な意見交換がどうたら以前に、「コミュニケーションが出来るかどうか?」という問題になる。「話せば分かる」などというお人好しをやっていたら傷つくだけで、コミュニケーション出来ない相手からはさっさと遠ざかったほうが良い、という結論になる。
 「明らかな害意」「攻撃性」を間近に感じて、僕の考え方は基本的に変わった。人間は怖い。まあ、サリン/オウム真理教あたりから村上春樹の中で「絶対的な悪」というのがテーマになったのと似ているかも知れない。

●先日FBでお粗末研究員と一緒に攻撃してきたショップオーナーは、自分の喧嘩っぱやさは棚に上げておいて、「評論家が偉そうに書いている」という思い込み・コンプレックスが強烈にあり、「上から目線の書き方、偉そうな物言いが気に入らん。」というのが根っこにあった。

 僕は「ですます調で淡々と丁寧に、分かりやすく、時として整理のためには箇条書きで」を心がけて書いてきたわけだが、それを「偉そうに、上から目線で書いている」と、思い込みで感情的に言われてもどうしようもない。「ございます」で思い切りへりくだって書けというのか?
 要するに僕が彼の言う「評論家」であることがそもそもから気にくわないので、「自分が見下されて偉そうに言われている」という被害感情を攻撃正当化事由として、攻撃的に絡んできたわけだ。彼のスレッドに少し書いてやりとりをして、僕がアナログノイズを問題にしていると向こうが思い込んでる(アホか)のが分かったり、多少の相互理解は成立したと思うが、「理論を基本から勉強しろ。」という主張は何も変わらなかったので、まあ気休めかも知れない。根っこの感情的問題が分かっただけで良しとして、さっさと撤退した。(→9月20日幕間劇

●まあ「評論家」というのは「総合産業」であり、雑誌サイトなどへ寄稿する文章を「核」にした経済規模の大きなものである。僕はそんな存在ではないし、そうなりたいと思った事や、メーカーや輸入代理店とおつきあいしたいと思った事も無い。僕は「ライター」で十分だと思うので、「センセイ」とは絶対に呼ばないように常々各方面にお願いしている。

●で、自分が「評論家」になりたい、というのなら「文章が採用されるかどうか」は分からないが、お粗末研究員よりは知識も経験もずっと広いと思われるので、このショップオーナーなど紹介してあげてもいいと思う。
 しかし、「祝福」だけでなく「呪い」も一緒にぶつけられることは覚悟しておいたほうが良い。我が意見だけ言いっ放しでは済まないのだ。例えば「ゼロイチ馬鹿」などデータが同じなら音も同じという自分が一番賢いという思い込み集団も相手にしてもらわなければ行けない。何も知らないギョーカイの人たちやユーザーにも、根気よく対応してもらわなければならない。それでもやるかね?

●僕もいま記事を1本と、イベント依頼など仕事を抱えているが、これは自分史の締めくくりにも必要なものなので、当分は頑張ろうと思っている。
 『呪いも祝福も本質は一緒だよ、リンデル。どう受け止めるかだ。』まさにその通りだと思っている。引き受けた以上、全体として受け止めて、良くなるように、自由になるように、志のしめすままに努力しようと思っている。
 もちろん、出来る範囲で、できるところまで、ですが。



2015年10月3日  速けりゃ良いってもんじゃない(マルチギガビットLAN・USB3.0)
●MergingのNADACが東京インターナショナルオーディオショウで披露されたのは良いが、みな「イーサネット接続のDAC」として紹介されており、普段からネットワークオーディオとか言ってるくせに、いかにオーディオ界がLAN/ネットワークについて何も知らないかが如実にあからさまに示されている。
 NADACのサイトでRavenna/AES67をちゃんと読んでいただきたい。

日経NETWORK 10月号はとても興味深い記事が掲載されており、一般書店では入手しにくいが是非読むことをお勧めする。
 一つは「特集2 マルチギガビットイーサネット技術で、建物内配線が大部分カテ5eまたはカテ6でこのままだと1Gbitが限界なのをどうするかという大きな問題だ。これは2つの動きがあり、業界団体での仕様書レベルだが、「マルチギガビット」が実現に向けて動き出している。2.5G/5Gビット/秒「2.5GBASE-T」「5GBASE-T」では、1Gbit(1000Base-T)の62.5MHzの周波数を高めて、既設の配線を流用しつつ高速化を可能にしている。
 しかし良いことづくめではないわけで、特にカテ5eでは余裕がほとんど無いところに周波数を高めるために、隣接ケーブルからの電磁的影響によるノイズ(エイリアンクロストーク)などが、データ伝送の正確性への影響も含めて、強く懸念されている。

●どっかのお粗末研究員は「インターネットは光で伝送されているのでノイズはない。あるとすればONU(光回線終端装置)のノイズだ。」と言い切ったが、僕はアナログノイズのことを問題にしたのではなく、62.5MHzなどの高周波ノイズのことを言っていたのであって、いかにお粗末な理解しかできてないかがよく分かる。62.5MHzや80MHzなどと言えば既に放送電波帯であり、外部への輻射や外部からの誘導ノイズの管理がいかに難しいかお分かりいただけるだろう。おまけにお粗末研究員はS/PDIFやAES/EBUでのデジタル伝送ではケーブル内部のサンプリングレートが32倍になるという基本的なことすら知らなかった。これでよくデジタルを基礎から勉強しなおせなどと、人に言えたもんだ。厚顔無恥。

●というアホな輩は切り捨てて、もう一つの注目記事は「ネットワークなんでも実験室」の「無線LANにUSB3.0が与える影響を調査せよ!」だ。
 以前の記事でUSB3.0はノイズが大きいのでオーディオには向かない旨書いたが、この記事では具体的で影響を分かりやすく実験で示してくれる。
 パソコンを2台用意して、1台には専用ソフトを使って施設内の無線LANアクセスポイント(AP)数を表示させるようにして、もう1台でUSB3.0接続のHDDを動作させてUSB3.0ケーブルを先のパソコンの無線LANアンテナに近づけてAP数表示の様子を見るという環境設定だ。実験ではUSB3.0ケーブルを近づけるほど、無線LANアクセスポイント数の表示は減っていき、現実に干渉が起こっていることが示される。またUSB3.0ケーブルの両端にフェライトコアを取り付けるとAP数の表示は改善され、干渉抑制に効果があることが示されている。
 またこれをスペアナでも見て確認をしている。

●だから「速けりゃ良いってもんじゃない」という訳です。USB3.0のオーディオインターフェースの数が限られているのも宜なるかなです。
 これらを総合すればかなりあなたの装置には問題があるかも知れないことが、察知出来るかも。

 なおインテルが「USB 3.0* Radio Frequency Interference Impact on 2.4 GHz Wireless Devices」というUSB3.0の輻射電波妨害のホワイトペーパーをpdfファイルで出しているので、まだ疑っている人は確認して下さい。



2015年10月2日  新しい世界
●先日名古屋でWave File Playerで知られる和田さんのところにお邪魔した。忙しい時間を割いていただいていろいろ聞かせていただき、また四方山話をした。Windowsの専門家の和田さんに「コンピュータの勉強が必要だ」などと説教するアホな人がいるというのには呆れたが、まあ世の中そんなもので、自分が一番賢いとしか思わない治癒不可能な伝染病とあきらめるしかない。

●そのお土産に「Alexandre THARAUD joue/plays RAMEAU(新クラヴサン曲集)」のCDをお届けしたが、いたく気に入られて聞いたすぐの夜にわざわざ電話を下さった。
 アレクサンドル・タローはバロックのチェンバロ曲を、チェンバロよりもチェンバロ的としか言いようのない、しかし見事にピアニスティックに弾いて世間を驚かせたわけだが、その馥郁としたタッチの微妙な表現には己をゆだねるしかないという気分になる。和田さんも見事にそうなられたわけだが、新しい世界を知って聞く楽しみが増えたと喜んでおられた。

ラモーを含めてバッハ、クープランの3枚組「Baroque」が買われるならお得です。クープランも面白い。

●実は和田さんにお会いする前夜は久しぶりのライブで「名古屋JAZZ2015」「エスペランサ・ スポルディング Presents Emily's D+Evolution」のユニットと、「日野皓正&ラリー・カールトンSUPER BAND featuring 大西順子、ジョン・パティトゥッチ、カリーム・リギンス」を聞きました。
 いまのエスペランサはどちらかと言えばヴォーカリストで、いろんあ社会や人間の問題を表現しているようで、英語の歌詞がよく分かればもっと愉しめただろう。
 もうラリー・カールトンはギターを持ち替えもせずに、出しゃばらずにリーダーシップを取って、余裕で愉しんで弾いており、フレーズの終わりのアルペジオなんかもう殺人的に素敵だ。ジョン・パティトゥッチは1曲以外は全てエレべーでこれがまた鉄壁。ラリーと見事に息が合っており、何も言うことはない。日野皓正がちょっと浮いてました。最後のアンコール曲だけミュートをつけていたので、はじめからミュートで行くか、フリューゲルホーンでやればもっと良いステージになったのに、と残念な出来。
 まあ深夜の栄のイタ飯屋さんでうまいパスタでビールを飲めたので、良い感じの一夜が暮れてくれました。



2015年9月29日  電源強化アトミック級クロック稼働!
●この間確保していた高音質・高性能なコンデンサやSiCショットキーダイオードなどを使って、SRS(Stanford Reserach Systems) SC-10アトミック級クロックの電源を強化していたが、短期安定性の所要スペックを達成する72時間の暖機時間を過ぎたので、音を聞いてみた。
●高価だがもの凄く音質が良いTRTのStealthCap(Audio Research,やVTLでも使われているそうだ)やSiCタンデムショットキーなどを投入したので、音質は従前よりも豊かさと厚みを増しており、空間表現もとても彫りが深い。72時間後でこれなら、1週間たてばさらに精緻になり、1ヶ月経てば盤石になるだろう。
 アトミック級クロックは電源で決定的に音質が左右されるので、努力してしすぎるところはない。そして良い状態のものが出来れば、ある絶対的なレベルをクリアできる。良い録音であれば、そこでは空気は澄み渡り、微風がそよぐ。

●繰り返し書いておくけれども、僕はクロックジェネレーターを外付けで使うことが絶対に必要だとか言っているわけではない音楽データには振幅情報だけが含まれており、時間j軸データ=クロック信号は全て実装回路で与えられる。だからクロックは実装機器側あるいはユーザー側で注力できるキモだと言っているわけで、例えば高品位なクロックを内蔵すれば、シグナルパスも短くなるしケーブルも不要なので、大変良い事だと思う。
●要はデジタル・オーディオのキモはクロックだと言うことを、もう少し理解していただきたいだけだ。
 なにせこのギョーカイでクロックジェネレーターを本格的に使っているのは僕一人だけなので、言っておかざるを得ないという面もあるわけです。



2015年9月28日  Merging Technologies 「NADAC」デビュー
●東京インターナショナルオーディオショウが昨日で幕を閉じた。講師連は大変だったと思います。この賑わいが続きますように。

●FaceBookを見ていると、エレクトリMerging TechnologiesのNADACを取り扱うことになったらしい。半年近く前から注目していたので、これは良いニュースです。
 「イーサーネット接続のDAC?」いやあ、ちょっと違うんですね。TCP/IPなど通信制御するわけですから、本来はイーサーネットはリアルタイムな伝送路ではないのです。
 コンピュータからASIO(Windows)またはCoreAudio(Mac OS X)ドライバで、イーサーネットのハードウェアをそのまま使って、リアルタイムに伝送するRevenna/AES67という規格を使って接続しているわけです。

●LAN/ネットワークのオーディオ利用については、まだまだこれからなんですが、正確な情報があまりにも少ないです。理屈じゃなくて、オーディオ側から見たときの観点です。理屈だけの頭でっかちは要らんよ。



2015年9月22日  待ちに待ったNAS
 「アイ・オー・データが“ネットワークオーディサーバー”のティザーサイトを公開中」

●同社から開発中の情報は聞いて待っていたところ、ようやくデビューとの情報が届いた。おそらくは「オーディオ用NAS」として磨き抜かれた機能が搭載されていることだろう。考えられるものとしては、LAN/ネットワークでの本格的なノイズ対策としてLAN端子に「LANアイソレーショントランス」を備えるとか、HDDの瞬発力に対応した電源の強化あたりだろうと推測している。
 旧RockDisk Nextでの各種設定機能も是非欲しいし、HDDもいろいろ使い分けられると嬉しい。10月1日の正式発表を楽しみにまとう。



●雑誌記事にはDSDの次の新ネタとばかりに、分かりもせずに「ネットワークを構築してネットワークオーディオで鳴らすのが最適」というような記事が平気で掲載されているが、オーディオ側からのLAN/ネットワークの基本的見直しについては、以前僕が「はじめてのネットワークオーディオ」(2013.11)に書いた専門メーカーの取材記事ぐらいだろうと思う。
 今回のアイ・オー・データのNASは、そういう観点から従来のNASを見直して、オーディオ側に踏み込んだ内容になっているはずだ。

●何回も言っているが、僕はネットワークオーディオを推奨しているわけではない。LAN/ネットワークでの音質改善対策は大変だからだ。もしPCベースでやるなら、あるいはパイオニアのようにUSBストレージに対応したネットワーク・プレーヤーなら、USB HDDを使った方が同じコストなら手間いらずで、良い音質を確保できるだろう。
 しかし既にネットワークオーディオを導入している方や、あるいはストリーミングなども含めた利便性その他のため取り組もうとしている方の事を考えると、「必要悪」などと切り捨てる気にはなれないし、努力はするべきだと思っている。

●その意味では、アイ・オー・データの「ネットワークオーディサーバー」のようなオーディオ向けの製品が出てくれるのでようやく紹介することができる。また、あまり高価なアクセサリーも普及が難しいので、LANアイソレーショントランスなどのより廉価な製品の登場を待ち続けているわけだ。
(フィルターは音質に影響あるので非推奨。)



2015年9月22日  毎度の事ながら
 毎度の事ながら、季節の変わり目で体調が優れない。めまいと言うほどではないが、時々だが、少し「ふら~っと」揺れる感じがする。経験的には一時的に血圧が凄く上がった時とか、喘息が悪化する前のような感じだ。
 腹が余り減らなかったり、面倒くさかったりして、あまり食事をとっていないので、そのせいもあるかも知れない。空腹時には少し胃も痛いので、十二指腸が悪くなったのかも知れない。
 そこそこ睡眠は取っているが、気温が高くて快調だった時に比べるとあまり休まっていない。まあ、取組み中のプリアンプやクロック電源などは全てうまくいって大きな効果が出ているので、気分は悪くない。
 今日は早く寝て、連休明けにはドクターに相談しよう。

p.s.どっちにしても東京インターナショナルオーディオショウに行く予定はありません。



2015年9月20日  幕間劇「男の嫉妬について」
ポローニアス「して王よ、今日のため息は何故でござりまするか?

「男の嫉妬は怖いとつくづく思うてな。女の嫉妬なら大体の見当が付くし、大抵は身に覚えがある。」

ポローニアス「ほう、覚えがございますか?」

「うむ、ある。」(笑う)
「だが男の場合は、いままで笑顔でいた奴から突然に脇腹を刺されたりする。そやつのプライドか何かが許さなかったのかも知れぬが、何せ手のひらをひっくり返したように来る。」

ポローニアス「男は皆一番になりたがりますし、一番だと思っておりますからな。」

「そうじゃ。怖いのはそれが嫉妬であるとは自覚しておらんことじゃ。むしろ自分が傷つけられたように思い込む。それ故に自分には攻撃する権利があるかのように、正当化する。」

ポローニアス「世の中で一番嘘をつきやすい相手は自分自身ですからのう。」

「ままならぬ世の中で、誰が望み通りの人生を送れようか。げに恐ろしきは男の嫉妬よ。」



2015年9月10日  ちょっと気合いを入れに
 頭は夏休みのままで、気に掛かることはあっても、どうせ伝わらないし皆さん関心も無いだろうし、「放っておけば~」気分で全然やる気が起きません。個人的にすることはちゃんと出来てるんですが。
 ま、ちょっと気合いを入れに名古屋に行ってきます。



2015年9月2日  アレクサンドル・タロー「Autograph」
●近年とみに気に入っているピアニストに、アレクサンドル・タロー(Alexandre Tharaud)というフランス人がいる。1968年生まれの46歳でかなりの数のCDを仏Harmonia Mundiなどから出している。
 細身の人で、実に細やかなタッチと幅広い表現力を持っている。僕はルビンシュタインのようにばりばり引くピアニストが嫌いで、どちらかと言えば女性ピアニストが好きなのは細やかな表現力に惹かれるからだ



●ずっと前に仏Harmonia Mundiと一緒に注文したERATOの「Autograph」(自伝)が、今頃amazon.comから届いたので聞いてみると彼の幅の広さと細やかさが実に良く出ていて素晴らしい。ラフマニノフのように強靱で厳しい曲も良いが、特に素晴らしいのはモンポウだ。
 彼が弾いたモンポウのアルバムがいつか出ないものかと心待ちにしている。

●でご紹介と思って日amazonを見ると何と982円という破格の廉価。といっても1枚だけの在庫なので、次は値段が上がるかも知れないがその値打ちは大いにある。是非このピアニストの音に触れていただきたい。
 SNの良いオーディオでどうぞ。



2015年9月1日  Firewire400伝送用PCIeカードのクロック換装
●Windows7とUbuntu Studio(11.10 & 14.04)を収めるデスクトップ機(ASRock Z77E-ITX + Core i 3)のFirewire400伝送出力用のPCIeカード(Unibrain製)のクロック(24.576Mhz)をNewClassD D-Clockに換装した。



●写真のようにカード上の小さな発信器とその直近のコンデンサ2個をはずして、左側の D-ClockのSMB端子からケーブル出しして、PCIeカード上のTI XIO2200A チップのPHYクロック入力に半田付けで接続する。これによってオーディオ・インターフェースに対して、より高品位なクロックでのFirewire400出力が可能となるし1394HDDや光学ドライブなどの出力をより高品位に受けることも出来る。

全ての電子デバイスはクロックに従って動作するので、このようにPCやデジタル機器では、各ステージに伝送などの作業用クロックが設けられている。もちろんUSBメモリやHDDなどストレージにもクロックが内蔵されている。これらのクロックの品質によってデジタル回路=超広帯域アナログ回路でのクロック波形が変わり、ジッター(アナログ量)やノイズなども変わってくるので、当然に機器毎に音質の差が出てくることになる。

●結果としては情報量や解像度など、かなり大きな音質変化があり、もっと早くやっておけば良かったと思ったくらいだ。特にWindowsでの音質向上の方がUbuntu11.10よりも大きいのが、面白いところだった。Ubuntu11.10では少しアラが見えてきたので、I/O辺りの電源でちょっとばかりノイズ対策などを講じようと思う。

●ただワイスMAN301 DSD(Ubuntu 64bit)に換えると、さあっと広がり感が出て、個々の楽器の音場定位や質感などもぐんと向上する。やっぱりプロは凄いとしか言いようがない。
 我が家のメイン機の座は不動のようだ。



2015年8月31日 Amazonプライムビデオ
●汗かき症なので、夏バテでへたっておりました。いやあ大阪も亜熱帯ですわ。しかも我が家は郊外で緑が多い地域だけれども、夕方になっても沖縄のようにしのぎやすくもならない。そこを寝まくって、なんとか社会復帰しました。

「Amazonプライム会員なら追加料金なしで見放題。」という「Amazonプライムビデオ」が9月スタートする。
 日本やアメリカの映画、TV番組、アニメはじめ「日本向けの新しい作品、アワード受賞オリジナル作品」、また「パーソナライズされたおすすめ新コンテンツを提案」もある。
NetFricksに続区話なので、アメリカと同じくBD/DVDは売れなくなるだろうし、映像パッケージメディアは終焉の時を迎えて行くのだろう。
 さて音楽メディアの世界はどうなって行くのだろう?



2015年8月25日  オンデマンド
「動画視聴、月650円から ネットフリックスが日本で配信 」(日経)
 TVは無料という感覚の日本で、「オンデマンド」というかたちがどう展開普及していくか。
 朝日新聞は「黒船」だって。あい変わらずですねえ。

●疲れが出たのか、体調悪くしんどいです。当分更新を休みます。



2015年8月23日  補足と雑感
●この間のOSなどの評価はあくまで我が家の環境でのものです。いちいち面倒なので書いてませんが。

●Windows/Ubuntu StudioはASRock Z77E-ITX/Core i 3でのデスクトップ機で、MacはMacBook Pro 8.3(両方ともメモリ16GB)。
 オーディオ・インターフェースはPrismSound / Orpheus。Antelope OCXとStanford SC-10によるアトミック級クロック環境。

亡き友はCLI(コマンドライン・インターフェース)の真っ黒な画面でiMacを立ち上げ、afplayコマンドを操作して音出ししていた。その時のMac OSはさすがのUNIXで恐ろしくハイスピードな立ち上がりの音だった。こういう音は他で聞いたことがない。
 PCもサーバ(NASを含む)も作り方と使い方次第だ。Windowsファイルサーバについては僕は専門家と相談しながら最終的に設定をお願いしたが、PCがえらく安い今時、ご自分で音源用にサーバを立てておられる方は結構おられるものだ。ソフトウェアに詳しいなら、ご自分でやってみたらいかがだろうか。

 ワイスMAN301の場合もLinuxの画面は一切出ない。コントロールや表示は全てiPadから行い、MAN301本体は粛々かつ軽快にCLIモードでコマンドを実行する。
 音が良いというのには、こういうCLIモードとか隔絶した造りが背景にある。


描画がPCの負担になっていることは、最近のメタデータ流行ですっかり忘れられ、皆さん誰でも分かる「目に見えるもの」をもっぱら追っかけて、音のことはどっかに置き忘れている。だけど、メタデータからは音は出ねえんだぞ。俺たちは音屋じゃねえのか?

Voyage MPDの初期のスターターキットのマザボのアースがどこにも落ちていないことは、2012年12月25日の日記のページに書いております。あれから3年近く、この意味が分かる人は非常に少なかった、というのがこの間の結果です、はい。

●アースや電源をはじめ、実装電子回路についての知識は、僕の見る範囲ではほとんど深まりも普及もしていない、という感じです。
 まず、デジタル音楽データに時間軸刻みは含まれておらず、これらは全て実装回路で与えられます。これが分からないし、分かってない。
 一方、クロックジェネレータ-を導入しても、DA変換のシステムクロックに影響があるだけで、それ以前の各種の伝送用クロックは個々の機器の内蔵レベルで動いており、HDDにしてもUSBメモリにしても全てクロックは内蔵されており、それぞれの仕様に従い動作しているのでので、個々の音の違いはがあるのは当たり前のお話です。
 CDプレーヤーでさえ、CDめかで読み出してからDACまでの経路が違うので。
 あるいはワイスMAN301の音がなぜ凄いかのキモはLinuxをオーディオグレード・クロックを搭載マザボで使っていることにあります。(こんなPCマザボは他にない。)
 これらはみな実装回路の問題です。これが通じない。困ったもんですが、致し方ない。あきらめましょう。

●要するに僕は自分の求める音と音楽を実現するためにやっていて、結果として波頭を走っているわけで、別に前へ出るのが好きなわけではありません。
 ただ、この国のオーディオ・ジャーナリズム界ではマクロ、つまり全体を見ようとしている人があまりに少ない。というかほとんどいない。日本の出版界ではゼネラリストが何でもやれる建前になっていて、技術編集などの採用形態がなくテキトーにやってるだけなので、特に出版社編集部の知識レベルも低い。
 僕みたいな素人にこうまでぼろくそに言われたら、少しくらい発憤して頑張ってくれても良いだろうが、まあ従来からの営業とおつきあいを少ない人数で回すだけでも大変だよな。だから、あまたいろんな物事がこぼれ落ちる。

●なので今更この特異なポジションから降りるわけにも行かないかと思って、仕方なくやっております。
 仕方なく、です。時々は吠えても、ちゃぶ台をひっくり返すわけにはいかない。ああ、ストレス溜まるわあ。



2015年8月22日  結局、音質はLinuxが一番だ
●いろいろと確認したが、我が家ではWeiss MAN301 DSD(Ubuntu 64bit)の音質が最高だ。それに次ぐのはUbuntu Studio 11.10だが、結構な差がある。Ubuntu Studio 14.04も折に触れ試しているが、すっきりしているものの線が細い。結局はリアルタイムカーネル搭載の11.10の方が音質的な厚みやエネルギーではまだ上だ。特にSamsung PM84 mSSDにしてからは一段と良い。
 そしてMAN301 DSDには凄みと深い表現力と圧倒的な情報量がついてくる。

p.s.僕はリアルタイムカーネルでなければ行けないと主張しているわけではなく、その音が好きなだけだ。

WindowsやMacもそれなりには頑張っているのだが、線が細い。
 いわば尻尾の先までむちむちっとあんこが充満しているLinuxには、残念ながら及ばない。


とはいえいろいろ限界もあるLinux小箱に行くつもりは全然無い。プラスティックのケースにいれたまま音出ししたり、アースも落ちないスロットインのケースに入れて使ったり、あげくはオヤイデの電磁波ノイズ防止シートをグルグル巻きにして「シールド」したつもりにしたり、およそ実装電子回路の知識を欠いた人たちが多いのでなおさらだ。マザボを1ポイントアースしているのさえいたくらいだ。
 僕がLAN/ネットワークの「アナログノイズ」を問題にしている(!!!???)と勘違いして批判している連中はLinux、それも裸厨パイがお気に入りだ。こういう連中も含めて密かに恐れている事の一つはUbuntu上のJRiver Media Center for Liunuxで一般ユーザーがいい音を出して、自分たちの「独占的地位」を脅かされることだ。

●JRiver MC21はUbuntuでは動くようだが、ワイスの開発チームがUbuntu 64bitをどこまで手を加えたか多少は知っている僕としては、どうせ問い合わせなどが来るだけでいちいちやっとられんし手間なだけので、それを使うつもりは全くない。なので安心していただきたい。
 まあお試しで使ってみたとしても、あちこち手を加えなければならないとしたらその方がよほどアホくさいので、公表するつもりは全くない。

●USBでやられるならTotemだけでも音は良いし、勉強するのが苦にならなければ14.10以降はAlsa Firewireも実装されているので、Ubuntu Studioは良いと思います。



2015年8月20日  Mac関係の確認作業がほぼ終了
リッピングソフトはJRiverのMac版の音質がXLD(CDparanopiaエンジン)より優れている。XLDだと微妙ににじんだり、ぼやける感じがつきまとう。
 とはいえJRiverのMac版でのリッピングはJRiver側で、エラー訂正無しはともかくとして1倍速を選択できるので、それでやっている。XLDよりよいとなると、Weiss MAN301をのぞいてほぼトップレベルの性能と言うことだ。さすがに64ビット浮動小数点採用のソフトの本領発揮なのかも知れない。

MacBook Pro 8.3、最後のスノレパ(10.6)プリインストール機でのシステムストレージは、結局日立GSTの500GB Feb 2012の2.5inchHDDに落ち着いた。
 経験的な推測で言うと、CPU、チップセット、メモリも含む全体のバランスが一番効くようで、本機の場合はSSDはきんきんしたやかましさが、SSDとのハイブリッドHDDは線の細さが目立って、「音質的には」ミスマッチだったわけだ。

●ローカル接続のHDDで音質が激良くなる方法を見つけたが、教えてやらない。
 I/OデータのRockDisk Next Kitは生産完了したが、その記事「ちょっと一汗、オーディオ用NASを組んで高音質を目指そう」は半年以上立った現在も5~6位にランクインしている。「この程度の内容でなぜわざわざ書くのか?」などとFaceBookで書いてた人もいたが、一部しか見ないから、実装回路も知らずに決めつけるから、そういう本音もばれるのだ。
 NASも使い方次第だ。それをRockDiskの何十倍かの金を使っただけで「NASは必要悪」と決めつけるのは頭の固さ以外のなにものでもないので、こういうのには何も教えたくない。大体が買う前にへぼなのを見抜けよ。それを見抜く眼力も無く、LAN対策にもろくに汗をかかず、金を使ったけど良くなかったからやっぱりだめだ、ではただのバブリーじいさんだろう。それがハイエンドというものなら僕には何の関係も無い。
 自分のことだけを言って済ますなら、どんなに言い放しに出来て楽なものか、全体を考えるのはどのくらいのエネルギーがいるものか、一度考えていただきたい。

●Macでの再生ソフトは広がり感ではJRiver、ドスのきいた深さという点ではAudirvana Plus(1.5)と見たが、もの凄い伏兵があった。Muse Labs Toolsだ。昔からUNIXに含まれているafplay(Audio File Play)というコマンドにMacの共通部品を組み合わせて選曲し、CoreAudioにデータを送ったら、自らはダウンする、シンプル極まりないソフトだが、解像度、押し出しのパワー感など全ての面で優れている。
 スノレパオンリーでもちろんDSD再生は対象外(スノレパ自身はCoreAudioまでrawDSDをサポートしているが)。しかも経由するシェルを選ぶことによって3種の音質を選択できる。

 「そりゃあそうでしょう!」と天国(だろうと思う....)で亡き友が呵々大笑しているのが聞こえる気がする。やっとりまっせ~。

●Muse Labs Toolsのホムペには「Macのクリーニング1・2」もあるのでMacユーザーの方は是非参考にして頑張って下さい。

●最後に何の根拠も無く「Macは音が良い」「Macは音楽向きだ」と言い散らす人たちは、「PCオーディオの限界」という謙虚な文章を読んでいただきい。
 方式だけで音質が決まるなら、世の中全てそうなっているはずではないか。勉強もせず、知ろうともせず、ただ単純におのれの立場を正当化して、思考停止するならどうぞご勝手に。



2015年8月17日 JRiver MC21 Mac版
「しっかりしてるのはシステムであって、個人ではない。日本のあらゆる組織に通じる話だ。」
石田衣良「池袋ウエストゲートパーク~非正規レジスタンス」
 思い当たる節がたくさんあるでしょ?
 組織の庇護を離れた個人は日本では悲惨だ。相当の覚悟と準備がいる。あるいは良い人脈が。

●僕が勤め人を止めて15年ほどたつ。会社の関係で逢う人は見事に昔のままだ。昔話、それも良いところしかしない。こっちは1個人でやってんだけどな、反吐が出そうだ。


●今日はJRiver MC21のMac版を集中的に使っている。
 マシンはMavBook Pro 8.3、最後のスノレパプリインストール17inchだ。香港のAlex Auは「Too Old.」と言ったが、そんなことはなく使い方次第だ。ストレージは手持ちのSeaGateの4GB SLC(SLC!!)SSDとHDDを組み合わせたハイブリッド500GBのMomentus XT(生産完了品)、メモリ16GB、バッテリーは端子を外して使わず、電源はFSP 19V180Wアダプタ+SiCタンデムブリッジ・パワータップだ。ThunderboltもFirewire800端子もあるが、いろいろ比べてみてEXpresscard34を挿してFirewire400を取り出して、PrismSound/Orpheusに接続した方がずっと落ち着いたいい音だ。もう1台のMacBook ProにはSamsung 840EVOベーシックキットを入れてあるが、SeaGateのハイブリッド500GBの方が存在感と落ち着きの方がずっと上だ。時々入れ替えて確かめてみるつもり。

●Pioneer BDR-S09J+Supra USB2.0で再生するCDも良いけれど、Windowsファイルサーバなど外部ストレージの音がすこぶる良い。Aidirvana PlusやWindows版JRiverよりもずっと広がり感があって、深い音だ。これは良いと思う。
 両方使う人ならMaster Licenseの方がお得だ。

●明日はJRiver MC21Mac版のCDリッピングの音を確かめてみよう。

P.S.たまたまこういう結果だっただけで、これで「Macは音楽向き」という何の根拠もない都市伝説に飛びついてはいけない。



2015年8月16日  TPP原案では著作権の保護期間は一律70年に
●アメリカにHDTT( High Definition Tape Transfers)というHiRes販売サイトがあり、著作権切れの名演奏名録音をリーズナブルな価格で販売している。
 僕が持っているのはラヴェル「ダフニスとクロエ」(ミュンシュ/ボストン)の24/96だがこれが凄い(サンプル音源もあり)。ナチュラルな録音で、テープの音が満喫できる。そしてシステムの情報量が上がると共に、どんどん音が出てくる。我が家にこられた人はオケのうねりに驚き、印象的なソースとしてたいていこれを挙げる。



●大部分が配信だが、CD-Rで販売している曲もある。非常に魅力的なメニューで欲しい曲が目白押しだ。配信より音質が安定したDVD-Rで送ってくれないかと何回かメールしているが、まだ返事はない。(「データが同じだから配信で良いじゃん。」という人はReference Recordingsやワオン・レコードがなぜDVD-Rにこだわっているのか、いつまでたっても分からないだろう。)

 いずれ円高になればまとめて買おうかと楽しみにしていた。

●ところがどうやらTPPの原案では著作権の保護期間は一律70年に延びるらしい。そうなるとHDTTの安くて高音質は難しくなるだろう。いつ買うか、見切りが大切だ。
 和田博己さん流に言うと「ビートルズはまだまだドル箱」である。
 日本のレコ-度会社の原盤権は大丈夫だろうか。

●また著作権法制そのものも、海外勢も含めた「公正な競争」が求められるようになり、見直しを迫られる可能性が高いだろう。役所が仕切って団体をつくり、そこへ天下りを送り込んで業界と権益を分け合うという図式はもう通らなくなっていくだろう。



2015年8月9日前回記事の使用機材補足
光学ドライブケース(5インチドライブケース)
 Ratoc System 「RS-EC5-EU3」USB3.0/eSATA出力だがローノイズかつ安定的にUSB2.0ケーブルを使って出力する。

[注1]Ratoc Systemさんに確認したが、ノイジーなUSB3.0ではなくオーディオ用にUSB2.0を使いたいならば、①USB3.0ケーブルで出力して、受け側で3.0対応してないので2.0に変換するよりも、②USB2.0ケーブルで出力して、全く3.0を使わないようにする方が、動作的には好ましいとの事であった。
 USB3.0ケーブルはオーディオには全く関係ないデータ分野でお使い願いたい。

[注2]ただしアップルのFace Timeのような役にも立たないアプリに2.0コントローラを占用されたりして、USB2.0コントローラが1個しか使えないノートをオーディオ用に使われるのであれば、USB2.0のUSB DACは使わないでいただきたい。USB2.0機器を2個以上使うとバス帯域の食い合いが起こって音質が劣化するからである。

[注3]筆者がFirewireオーディオインターフェースを常用するのは、バスマスタ転送が可能など音質的に優れていることに加えて、上記のようなバス帯域の食い合いによる音質劣化を回避できることも理由の一つである。ただし、使用中にFirewireケーブルを引っこ抜くようなアホな事故は避けるよう、ケーブルの固定など万全の対策を前提としてである。

[注4]ちなみにFirewire400ケーブルには、柔軟な取り回しなど実用性と音質からamazon.comあたりでAudioQuset「Carbon」をお勧めする。Firewire800ケーブルなら短いものはヨドバシで買える。

[注5]速度至上主義で全ての努力を無にしたいのでなければ、
eSATAはオーディオには全く関係ないデータ分野でお使い願いたい。

USB2.0ケーブル
 これは3つのケーブルを改めて聞いてみたので、整理しておこう。
(1)オヤイデ OYAIDE d+USB classA v2/1.0m
 音像はベターっと一揃い並ぶが、音場感はあまりなく、ディテイルも浮かび上がらない。
 オヤイデの各種ケーブルは音質がバラバラで、音質を評価する人の存在を感じない。筆者はオヤイデをオーディオ屋さんだとは考えていない。

(2)ワイヤーワールド Starlight/Series7
 パッと聴きには上手な音作りでとても良い。
 しかし次第にどれを聞いても同じ感じがつきまとい、飽きる。

(3)スープラ SUPRA USB 2.0/0.7m
 スウェーデンのメーカーで通常5m以内という規格を15mでも実現する高い技術力。
 パッと聴きにはおとなしい音。
 じっくり聴くと例えばタイコ(ケトルドラム)の音の起伏や、細かいディテイルの再現能力が高い。
 特に音の立ち上がりが良い。採用!

HDDケース
 Ratoc System 「RS-EC32-U3RW」
 3.5inch HDDを1枚だけ入れるSingle Modeの再生音がなぜかやたらと良い。
 USB3.0出力だがローノイズかつ安定的にUSB2.0ケーブルを使って出力する。
 電源は付属アダプタ(12V 3A)と米FSP製アダプタ(12V 12.5A FSP ABHAN1)を使い分けてリッピングしてみた。

Windows7 SP1 PC
ASRock Z77E-ITX/Core i 3 35W/16GB Memory/Samsung 840 Pro BasicKit SSD
電源は米FSP製アダプタ(12V 12.5A FSP ABHAN1)を基本に周辺を種々カスタマイズ。

オーディオ・インターフェース
 PrismSound / Orpheus 現在でも第1級のFirewireインターフェースである。



2015年8月8日  JRiver MC21はCDリッパーも秀逸な出来だ
JRiver MC21にマスターライセンスのアップデートをしたので、Windows、Mac、Ubuntu Studioにそれぞれ新モジュールを入れる作業をした。Mac版はまだMC20で表示されているが、クロスプラットフォームではなく基本的にはコードは全てC++で書いているそうで内容的にはアップデートされていると思う。Ubuntu StudioではDebianのモジュールがうまく処理できなかったので、次の修正版を待つことになるだろう。

●と言うことで、今日は主にWindows版で遊んだのだが、まずはテスト用のHDD(日立GSTサーバ用 1TB)をGuidパーティション、ExFATで、クラスタサイズを2MBにして作成した。ExFATはご存じの通りWin/Mac共用できるファイルシステムで古~~いFAT32に比べて随分と使い勝手がよくなり、映像データなどを想定して2TB越えのデータも処理できるくらいパワフルだ。クラスタ(アロケーションユニット)サイズも70MBを越えるくらいまで大幅に選択肢が増えている。まあCD1枚700MBとして、Waveで2MB、FLACで1MBあたりが上限と見て 2MBで切ったが、これが音質的にはとても良い。
 Macではここまで細かく設定できないので、やはりExFATはWindowsからやるのが一番だろう。

●でMC21はWindows10もにらんで細部が相当詰められてきたためか、かなりの音質向上がみられて、なおかつCDリッパーの音質がとても良い。
 「DSP」というファイル処理のコアでは、PCM⇔DSD変換には64bit浮動小数点を使っているそうで、処理の手順もあるだろうがCDリッピングもCDDAからファイル変換しながらのリッピングも可能なので、CDリッパーの主要部分には同様の高精度な処理が使われているはずだ。まずはこれが効いている。


光学ドライブはPioneer BDR-S09J(常時静音設定/Pure Readなし)を使ったが、読み込み設定はJRiverには何と1倍速設定もあったので、これでやってみた。光学ドライブがどこまでその設定を受けて動くかという問題もあるが、わずかな振動以外は全く感じられない静けさだったので、多分いけてるのだろう。普通はリッピングファイル再生には電源の影響がかなり出るものだが、今回はプアな付属アダプタでもなかなか骨太な音質に仕上がったのは、クラスタサイズもよく効いているようだ。

●実はイベントの話が動き出しており、来週あたりから我が家に試作品を担当者が持ってきてくれたりして打ち合わせが再開される。
 イベントでは分かりやすくするためWindowsノートの内蔵ディスクにリッピングする予定だが、再生ソフト&CDリッパーにはJRiverを提案しようと思っている。
 この音を聞かせれば納得してくれるだろうし、再生ソフトと一体というのは使い勝手も凄く良いので、多分OKを取れるだろう。

全くのビギナーならともかく、無料と言うだけでFoobar2000のような大して音の良くないソフトにいつまでもこだわる必要はない。5千円ではいまどき大したアクセも買えないのだから、再生とリッピング両方に使えるしっかりしたソフトを入手するというのは絶対に良いと思う。



2014年8月4日  
 イニスフリー 湖に浮かぶ小島
「イニスフリー 湖に浮かぶ小島」
  (ウィリアム・バトラー・イェイツ)

立ち上がり、今こそ出かけよう、イニスフリーへ。
そこに土と小枝で小さな小屋を作り、
豆を9列に並べて植え、ミツバチの巣箱を設けよう。
そして蜂の羽音とともに、独り暮らすのだ。

そこでは幾ばくかの平安を得られるだろう、静かに打ち寄せる平安を。
蟋蟀たちの音も打ち寄せてくるだろう。
深夜には煌々たる星明かりが、昼には野草に映えわたる光がある。
夕暮れには小鳥たちの羽音が満ちるだろう。

立ち上がり、今こそ出かけよう。
湖水が岸に打ち寄せる静かな音を、
夜も昼も常に、
道路に立つときも、灰色の舗道に立つときも、
その音に、私は魂の奥深くで耳を傾けている。(拙訳)


The Lake Isle Of Innisfree
         (William Butler Yeats)

I WILL arise and go now, and go to Innisfree,
And a small cabin build there, of clay and wattles made:
Nine bean-rows will I have there, a hive for the honey-bee,
And live alone in the bee-loud glade.

And I shall have some peace there, for peace comes dropping slow,
Dropping from the veils of the mourning to where the cricket sings;
There midnight's all a glimmer, and noon a purple glow,
And evening full of the linnet's wings.

I will arise and go now, for always night and day
I hear lake water lapping with low sounds by the shore;
While I stand on the roadway, or on the pavements grey,
I hear it in the deep heart's core.



2015年8月3日  「仙人」志望
●FaceBook書き込みを止めただけで、何人もの方が「ごくろうさん」メッセージを下さいました。ありがとうございます。

●で、僕の場合いま目指しているのは「仙人」です。
 いずくにありや知らねども、いずくにはあるやも、浮き世の事は我が事でなし、くらいの存在感が一番楽だからです。
 あるショップの社長さんに言われたのですが、「なるほどこれはいいなあ。」と即採用です。
 楽の音に惹かれて風の向くまま気の向くままに、勝手気ままの流れ旅。

●大体がPCオーディオに関わったのも、「他に書ける奴あんまりおらんし」位の話で必死扱いて勉強しながらやってたわけですから、PCオーディオ界のリーダー格なんてとてもそんな任ではないけど、「みんな他人事やし、他に書く人おらんし」ってわけで、今までなんとかかんとか来たわけです。

●まあPCオーディオの世界はそれぞれの「バベル」で、勝手な広がり方でばらばらに分極化しつつあるし、「...のはずだ。」とつぶやく人たちの蛸壺があちこちでぷかぷかと揺れてます。第一、オーディオの世界そのものがITの海の中にゆっくりと埋没しはじめてるように思います。

●ワシもぷかぷかと浮いていようか、と。でも音楽を大事にしたいですねえ。



2015年7月30日  あれやこれや
●昨日の記事は日付けを1日間違えてました。疲れとるなあ、修正しました。

●昨夜は13時間続けて寝ました。ここ数年の新記録だ。身体のあちこちが痛んだり全然快適な状態ではありませんが、それでも嬉しい。身体の言うことを素直に聞いていると、自分がいかに無理をしてきたかが分かる。

●例えば今時本はすぐに絶版になるので、読みたいものは持ち続けていなければしょうが無い。それでも捨てるものは捨てる。
 PC関係の不要なパーツ・機器はもちろん、オーディオ関係のパーツや機器類も必要なものだけ残してどんどん断捨離していく。雑誌はスクラップする。好きな機器のカタログ類は写真を見るだけで和むので、別途保存している。
 食器とか好きで集めていたが、まとまったセットなどは友人知人にお願いしてもらってもらう。衣類も着ないものは捨てる。

●FaceBookは以前にも書いたが、香港のKentの消息を把握し、連絡をとるためにアカウントを取得した。そして何人かの友人達とも連絡を取るのに役立った。しかし、忙しいKentはFBにも断片的な書き込みしかしないし、いざとなれば連絡も付くし当然、友人達とも連絡は付く。

●一方、FBでは頼みもしていないのに投稿(タイムライン)がどんどん流れてくる。絡みついてくる。不要なものやこれは違うなあというのはどんどん「フォローしない」で反映されないようにしていくのだが、僕は別にお友達を作りたいわけでも何でも無くて、しがらみばかり多い身では、はっきり言って読むのに苦痛を感じるようになった。なら止めたほうが良い。断捨離。

●それでも何人か理非を弁えた佳き人々と知り合えたのは喜ばしいことだった。
 FBのアカウントを残しておけばメール経由でメッセージを受けることもできる。いろいろなオーディオ関係のメモも書き残してあるので、多少は役に立つかもしれない。

●ここ何日か、好き勝手にネットサーフィンしたり、読書をしていて、別にFBの必要性など感じない。僕はこれでいいと思う。そう簡単に友達になんかなれっこないのだ。
 来月は遠方から友人が来てくれる。秋には僕は名古屋に行く。音楽を聴き本を読み、ゆっくりと動き、シンプルな生活をする。晴耕雨読。祈りと労働。



2015年7月29日  「ON爺の重点三要素」
●FaceBookも「しばし夏休み」して、心静かに巡ると面白い文章に出会った。
 2015/7/27付けのjuubeeさんの覚え書き「やっぱりクロックかなぁ」という副題で「今後は高周波ノイズはあって当たり前でいいのじゃないか、と思い始めました。音質はほどほどでも便利さを採るほうが楽しいのじゃないかと。」というあたり。
 ま、それもひとつの考え方でしょう。クロック、ノイズ、とくればこれに電源を加えればこの間取り組んできた「ON爺の重点三要素」になる。(リファレンスは音楽演奏。)

●「しばし夏休み」となると概ね1~2週間くらいだろうが、FaceBookを再開するかどうかまだ最終的に決めていない。
 サイトと両立が面倒くさいのと、いろいろ工夫したが煩わしさは変わらず、何よりもオーディオユーザーを含め大体の状況はもう分かったからだ。
 そして「ON爺の重点三要素」について分かっている人は分かってくれてるだろうが、根強くはびこるデジタル迷信のせいもあって大部分のユーザーにはどんなに力説しても伝わらないというか、あまり意味を持たないだろうからだ。だからさっさと断捨離しようかと。
 まあ、それでもPCの中を深掘りしている人たちも「ノイズ」を少しは考え始めてくれてるようで、多少の成果はあったかと思えるからだ。

●まあ、少し考えますが、多分サイトを中心に時々更新で書き置くくらいの話になると思います。
 もう、いいでしょ?



2015年7月25日  クロック入力端子があれば、より意欲的なグレードアップが可能になる。国産クロック期待の新製品。
●考えていただきたいのは、お手持ちのDACやプレーヤーにクロック入力端子があれば、DA変換の質に直接影響するだけによりダイレクトに意欲的なグレードアップが可能になると言う事だ。PCオーディオをやっておられる方には、そういう機種を使っておられる方が沢山おられるはずだ。
 例えばAntelopr OCXは13万円くらいで新品を買えるし、沢山出回っているので中古でも簡単に入手できる。まずはそれをお試ししただくのはどうだろうか?



●あるいはグラフを見慣れた方は、上記のグラフをご覧いただきたい。いま僕が注目しているクロック発信器の位相ノイズ特性だ。近傍位相ノイズとは短期安定性の指標で、ppmとかppbという長期安定性指標とちがってオーディオ的音質の直結する。詳しくはSFORZATOの下記ページを未読あれ。
マスタークロックジェネレーター PMC-01 BVA
 NDK(日本電波工業)が「ハイエンド・デジタルオーディオ用に開発」し、12月に量産販売予定の「超低位相雑音・恒温槽付・水晶発振器 DuCULoN®(デュカロン)」。位相ノイズに関してはおそらく世界最高レベルで相当の価格になると見込まれるが、44.1と48の2系統の製品があり、当然プレーヤーやDACへの内蔵組み込みも可能であるし、これを使ったクロックジェネレーターも製品化できる。こういう製品が日本で供給されるのは大きな福音ではないかと思う。



2015年7月24日  Henri Vieuxtemps :Cello concertos No.1 & No.2
●これまた日amazonにあるベルギーのマイナーレーベルCypres(シプレ)からの美しい紙ジャケの1枚。愛聴盤なので、かえって紹介が遅れました。

●アンリ・ヴュータンはヴァイオリン協奏曲で有名な作曲家で、この2曲のチェロ協奏曲は知られていないが、フランス的香気漂う良い曲だと思う。特にNo.1の2楽章が僕は好きで、よくこれを聞いている。指揮のグシュルバウアーはご存知の方も多いだろう。チェリストのマリー・アリンクはあまり知られていないが、とても線の太い豊かな音でよく唱う人だ。多彩な音のオケも良い。

●録音的には基本ワンポイントで、チェロと2楽章後半にでてくるフルート(美しい!)あたりにスポットマイクを潜ませていると言う感じです。とても豊かな音楽を聴いたと言う満足感。



2015年7月19日 鬼退治には桃太郎は必要ない。内閣支持率を危険水域の30%以下に下げて「死に体」にすれば良いのだ。
●アベという憲法さえ無視して権力を濫用しまくるロールモデルを見て、百田のアホを招いた自民党国会議員達は「自分たちは法律を作れるのだから、憲法に関係なしに好きに法律を作ればなんでもできる。」と性悪な鬼に覚醒してしまったのだ。これらの鬼をそのまま放置すればどうなるか? 知れた事だ。人は食われてしまうのだ。

●鬼退治には桃太郎は必要ない。ただ、内閣支持率を危険水域の30%以下に下げて「死に体」にすれば良いのだ。

●アベが拡大しつつあるこのクーデターはできるだけ速く息の根を止めねばならない。味を占めた鬼たちはすぐにうごめき出すからだ。



○『垂乳根翁「・・・わからぬぞ。おのれの前と後ろの区別しかつかぬでは、まるで畜生なみの悟性じゃ。人の”意”はどうした?」
遍照鬼「”意”か。〜さてそこよな。一人一人は変わっておらぬ。”意”も悟性も残っている。しかしものにつかれたように、ただ一丸となって前へ前へと走っていく人間達は、むしろ一匹の大きな畜生に似ている。」

佐藤史生「ワンゼロ」)』



2015年7月18日  1ビット研究会報告
1ビット研究会報告をアップしました。
11th_meeting_society_for_1bit_study.pdf へのリンク



2015年7月16日 河合 一 「デジタル・オーディオの基本と応用―アマチュアからプロまで、21世紀のデジタル・オーディオ技術を網羅」(1)
●さて、強力な友人達がいてくれるので誠に心強い限りだが、いつまでも徒手空拳では厳しいので、強力な援軍を要請したい。河合一さんは長年TI(テキサス・インスツルメンツ)で高精度リニアIC、デジタル・オーデイオ用コンバーターICなどのアプリケーション・エンジニアリングを担当され、日本国内のほとんどのオーディオ・メーカーをはじめ、海外の主要オーディオ・メーカーにも技術サポートに出向いておられ、このことが『半導体デバイス側からの観点とデジタル・オーデ イオ機器の開発設計・生産側からの観点の両者を経験』しておられるわけだ。

●簡単に補足させていただくと、メーカーがソフトウェアを作成したり直接触れる機会は今日ないと言って良い。つまりはチップメーカーがコードを書いてチップ上に実装したソフトウェアをどのように、どこまで使いこなすかがポイントとなっている。オーディオメーカーのアッセンブルメーカー化である。それゆえにチップの動向がきわめて重要になってくるわけだ。

本書執筆の意図は以下の前書きの文章に集約されている。
一方、オーデイオ、デジタル・オーデイオに関係す る書籍、雑誌は多くの種類があり、購買層も様々である。 また、個人/企業ブログ等でのデジタル・オーデイオに関する記事も多く見ることができる。そんな中にあって、著者の個人主観ではあるが、特に商品/技術解説における、不可解、説明不測、誤った理解、誤解 をあたえる説明といったケースに頻繁に遭遇する。個別の指摘は避けたいが、デジタル・オーデ イオに携わる者として看過できないものもあり、ユーザーに「デジタル・オーデ イオの真実」について理解してもらうこ とが重要であると本稿の執筆を決意した。従って、本稿ではデジタル・オーデイオの基幹技術について純粋な理論、技術、仕様 (ス ペ ック )、実測 デー ターを用いながら正しくデジタル・オーデイオを理解していただくように解説している。読者諸氏 の技術的レベルアップと正しい認識が広がれば幸いである。

●つまり適切な情報が流布していない、という事に尽きるのだが、この中には業界サイドの「売らんかな」で最終的には意味が無い過剰な水増しスペックや誤解を招く説明など目に余るものにも、都度都度触れており、決してユーザーサイドのブログなどばかりを問題にしているのではないことが重要だ。

●それにしても本書がまだ配本されているのはとても嬉しい。
推薦した友人から「内容が難しすぎる」と言われたこともあるが、「確かに初心者には難しいが、持っていればいずれ分かることもあるし、なによりもこの本には類書がない。これがなくなるとある意味では日本のオーディオ界のアラームランプが消えるようなものだから、投資だと考えてほしい。」とお願いした。本稿は数回続けて、初心者にも分かりやすくツボを紹介していきたい。皆さんもよろしくです。



2015年7月15日 この秋の国産DACへの期待〜オーディオ用DACチップの新規開発がほぼ止まったここれからをどう乗り切るか?
●もともと全てのチップメーカーが音響映像関係のアナログを含むチップの開発を止めたがっていたわけだが、いろいろ情報を総合すると、旭化成が小規模に、ESSが普及品ラインにシフトしつつある他は、ハイエンドオーディオ用DACチップの新規開発がほぼ止まったようだ。

●ハイエンドオーディオDACは市場規模が小さいので半導体ビジネスとしてペイできないのが最大のネックで、動作電圧の低電圧化やプロセスの微細化が進み、アナログ回路でダイナミックレンジを確保するのも難しくなっているという周辺技術とのとり合いの問題もある。ハイエンドデジタルオーディオで独自性を出すには、メーカの工夫がますます求められることになる。

●現在も新規開発が行われ、リアルタイム環境はもちろんクリティカルに性能追求しているのは医療システムの分野なのだそうだ。Schiit audioマルチビットDAC「Yuggdrasil」AD製医療用20bit DACチップ4個とSpaltan DSPを使ったのも、そういう背景なのだろう。ただオーディオ用の各種ソフトウェアはチップには搭載されていないので、それを補う意味でもSpaltanのDSPとオリジナル・ソースコードを使ったのではないかと思われる。
 またCHORD HugoQuoteEXPS AudioのDirect Stream DAC「FPGA+オリジナル・ソースコード」を使ったDACも、その流れにあるのだろう。

●さて、スペック・バブルというかフォーマットのインフレもそろそろ頭打ちだろうし、スペックや新部品で訴求するのではなく、使いこなしと音質で国産オーディオメーカーには落ち着いて取り組んでいただきたいと望むところだ。

●ユーザーも浮き足立って新フォーマットや新規要素にばかり眼を向けるのではなく、そのブランドの音質と言うベーシックなところをじっくりとご評価いただきたいと思う。DSD256の場合アルバム1枚で10GBほどもストレージを食うし、ソース数も相当限られている。384KHzなどは相当に高品位なクロック環境でないと、結構厳しいし、これらのものが本当に必要なのか、ご自分のスタイルと照らし合わせて考えるべき時期に来ていると思うのだが。



2015年7月15日  ジェフ・ロウランドを「オカルトだ!」と呼んだ人達はいまごろどうしてるんでしょうかねえ?
「プリントパターンの寄生回路読み取り術。回路図に無い回路 [RSオンライン › ワンポイント電子技術講座]

●「プリント基板のパターンを直角に曲げてはいけない。」と言っていたジェフ・ロウランドの話をご存じの方も多いと思います。
 下記サイトにあるように、アートワーク(基盤設計)上では、もう常識中の常識になっているんですが、彼を「オカルトだ!」と呼んだ人達はいまごろどうしてるんでしょうかねえ?多分口を拭って知らんふりして、のうのうとやっておられるんでしょうね。

●今日のオカルト、明日の常識で泣いても知りませんよ。まあ、ノイズは耳で聴こえるんだからオカルトではないですが、使わないと耳も退化しますからね。
ちなみに、実装電子回路は理論通りには行かない、ということでこの記事は味読する価値があります。



●具体的には、「電子回路の高速化・高周波化そして高密度実装化によって、プリントパターンが回路特性に及ぼす影響度が増しており、下記サイトにあるように実装電子回路では「プリントパターンで形成される静電容量(C)やインダクタンス(L)、抵抗分(R)など寄生的に存在する回路要素」ができてしまい、「回路図に無い回路」が出来る訳です。
しかもこのような「プリントパターンに起因するトラブルは、開発の終盤に実装基板ができあがってから発覚するのでやっかいです。

●また同時に紹介されている簡単なクロック回路でさえ、「発振周波数はたかだか数MHz程度で、配線は水晶発振子と二つのコンデンサをつなぐだけの簡単な回路です。ところが、この回路はインピーダンスが高く、わずかな容量やインダクタンスで動作が不安定になりがちです。近くに他の信号があると発振波形が変調される可能性もあります。
 などなどの影響で、「パターンによるトラブルは直流でも発生します。



2015年7月14日  Vivaldi「マンチェスターソナタ」(ARCANA)
「XII Suonate a violino solo, e basso per il cembalo」という名の12曲のヴァイオリンと通奏低音ソナタ集の通称が「マンチェスターソナタ」。希少な仏ARCANAレーベル。
ジャケ絵のオットヴォーノ枢機卿は芸術のパトロンで何せ「協会の君主達」という地位で 権勢を誇ったものの、経済観念乏しく破綻する。ヴィヴァルディの楽譜も点々として、なんと英マンチェスターの図書館で発見される、という顛末です。



●そんなことはさておいて、まずは Fabio Biondi, Rinaldo Alessandrini, Maurizio Naddeo, Paolo Pandolfo, Rolf Lislevand という演奏陣が凄いし、録音も素晴らしい。時折「ふっ」と音を止めるビオンディの演奏にはっとしながら、暮れ果て行く栄耀のヴェネツィアをそこはかとなく偲ぶのも、また宜しかろうと思います。

我は既にかの国を訪うことも適わぬのか?是非もなし。



2015年7月14日  日アマゾンでかした!! 仏・ベルギーのマイナーレーベルが一番揃う(?)日本のサイト。
●「兄さん、ぼさっと口あけてるバヤイやおまへんで!早う買わなあきまへんがな!」

●実は日amazon には .com などを上回る仏 zig zag territoiresレーベルが品揃えされています。レーベル名で検索して行くと「naive」では同名のバンドも出ますが、しっかり仏 naiveレーベルのCDも出て、Vivaldiの各種Boxセットのお安い事。「arcana」で検索すると、なんと希少な同レーベルのCDもぞろぞろ出て来る。ベルギー「 Fuga Libera」もばっちりです。これは多分輸入代理店の「マーキュリー」あたりのご努力と、日amazon担当者のセンスの賜物かと推察します。でかした!



●上の写真はフォルテピアノ奏者インマーゼールが関わった、仏 zig zag territoiresレーベルから出ているBrandine Rannau のゴールドベルク変奏曲(2CD)です、何故2枚組かは聞けばすぐ分かりますが、スコット・ロス→ニコラウ・フィゲイレード→ブランディーヌ・ラヌーと師匠→弟子の流れで際立つ個性派チェンバリスト。僕は大昔のポゴレリッチのように「異形」と呼ばれる人たちがなんでそう呼ばれるのかよく理解できない人間で、パッショネートな良い演奏じゃん、と思う人間で、当然好きです。



2015年7月14日  フランスやベルギーのマイナーレーベル大集合!「Outhere Musc」サイト
フランスやベルギーのマイナーレーベルは多彩で、演奏がよく、優秀録音の宝庫です。しかも新しいレーベルが多いのに加えて、ほとんどオリジナルプレスのCDが入手できます。しかし旧Astreeレーベルや、もとERATOの名エンジニア Yolanta Skuraが設立した Opus111 レーベルが彼の引退を機に Naive レーベルに引き継がれたり、貴重な文化を残すよう努力はされているものの、1マイナーレーベルでは限界もあります。

●詳しい経過は分かりませんがAeon、Alpha、Arcana、Fuga Libera、PHI、Ramee、Ricercare、Zig Zag Territoiresなどの超優秀マイナーレーベルを集めた「Outhere Musc」というサイトが立ち上げられています。これらのレーベルの情報だけでなく、CDを直接買う事も出来ます。クラシックファンなら「わあ、こんな盤があったんだ。聞きたいなあ。」という気分になる事間違いありません。下記のように英語サイトもあります。
(まあ価格はamazin.comやamazon.frの方が安い事もありますが。)



●これらはアーティストやプロデュサーが音質についてもOKを出したファーストプレスばかりですから、いわゆるオリジナル盤を集めるのと同じ事です。
 ゆるりとお楽しみあれ。



2015年7月11日  今、沖縄にいます。
昨晩は友人たちと気のおけないゆんたくを楽しみました。
お店の主も沖縄に移るまでは、音楽関係の仕事をしていたので、そのあたりの話が愉しくも切なくもありました。
良い音楽に出会う事がどんなに大切な事かは、音しか聞かない人には分からない話です。
琉球は独立した方が良いけれど、まあ、国と似たようなもんで、アメリカや中国と交渉できるレベルの政治家がいないのが難点だそうです。
新しく出来たホテルのバーで打ち上げして、愉しい一夜を終えました。



2015年7月8日  精密ビットセット「trad 43pcs LT-43」
●精密ドライバーとかお持ちの方は多いと思うが、長さとかサイズがまちまちだったりするので、案外と使いにくいとか役に立たないと言う実感もお持ちだろうと思う。

これは小型のドライバーハンドルとビットのセットだが、トルクスやスターなどもあり、眼鏡のフレームは勿論、大抵の機器はこれで間に合う。例えばMac用の三角ドライバーなどは入ってないし、そういうのは追っかけっこみたいにいろいろ出て来るので、1セットでは全てには対応できないが、さほど多くはないだろう。

●気をつけてほしいのは、精密機器のネジ穴をなめたり機器を傷つけたりしないように、ハンドル内部にはゴム製かなにかのラチェットが組み込まれているので、力任せに回すと中でとぶちっとちぎれてしまうこと。実はそれをやってしまって、今回は2個目だ。

●力の必要なトルクスとか六角などは別にレンチセットを買っておく事をお勧めする。なお通常のトルクスレンチセットには入っていない細かい刻みのビットが入っているので、両方とも活用でき無駄にはならない。



2015年7月8日  HDD/SSDコピー・消去に
「センチュリー 裸族の双子 CRF25/35PRO」

●サンワのコピー機能付きSATAケーブルでも良いのですが、より高音質・高機能ならこれがお勧めだそうです。



●電源は12V/5Vのアダプタ。受け側の容量が送り側より小さくても途中までコピーするとか、コピー中のディスクの温度も表示するなど、なかなか使い勝手が良いです。その道のプロに聞きました。



2015年7月5日  USB 2.0ケーブルの方が3.0よりノイズ感が減って音質が良い
Windowsファイルサーバ〜外付けHDDケース間のUSBケーブルを換えました。

●USB3.0はノイズが多い、という事を先日報告したが、Windowsファイルサーバと外付けHDDケース間は従来WireWorld USB3.0ケーブルで接続していたが、やはり微妙な「ヒス感」が気になるので、USB2.0ケーブルに変更した。
●RatocのHDDケース出力はUSB3.0/2.0互換だが、3.0ケーブルで出力してサーバ側の受けで2.0にするより、はじめから2.0ケーブルで出力した方が良い。
2.0ケーブルは 「WireWorld」 の Starlight7 とスウェーデンのケーブル専業メーカー「SUPRA」のUSB2.0を用意して比較した。

●サエクコマースの上記サイトを見るとSupraは15m物まで載っているが、これは冗談ではない。通常max5m程度なのだが、Supraは15mでも規格内に収まっていると言う点で、優秀さが知れる。

WireWorld / Starlight7 は音作りの上手さを感じさせる音質で充実感があるが、逆にそこがネックになっているという限界も感じ、早晩飽きがくる。一方、Supraは一聴おとなしめだが、全帯域のレンジ感が安定して響きが豊かで、ピーク感やアタックもびしっと決まり、より落ち着いた大人の音という感じがする。
 ケーブルが柔らかいので、取り回しも楽だ。


よ〜し、これでテンションがやや高すぎる傾向が落ち着いた。
早けりゃいいってもんじゃないんですよ、御同輩。



2015年7月5日  USB3.0はノイジー
●ラトックシステムさんに教えてもらった話ですが、USB3.0はノイジーなのがはじめから分かっていたので、規格制定以前からEMI(不要輻射)ノイズについて対応策が考えられており、EMI(不要輻射)ノイズ対策として元から高い伝送クロック周波数をランダムにずらせる方式を採用しているそうで、オーディオ的にはやかまし気味なようです。

●つまりUSB3.0では5Gbpsと転送速度も早いので、伝送クロック周波数も高くてSB2.0のように固定(480MHz)にするとWiFiなどの妨害電波となりうるのだそうです。高調波が特定の周波数でピークにならないように、「拡散スペクトラム」という意図的にクロック周波数をランダムにずらせる方式を採用しているそうです。何のことは無い、ジッターの多いクロックを採用してピークを抑えるという仕組みです。

●むしろオーディオ用にはUSB2.0の方がPCやアンプなどに対するノイズの影響が少なくて良いのではないだろうか、とのご意見でした。音源用ストレージやドライブにしても、対USB DAC 出力にしても、USB2.0で帯域的・伝送速度的に問題はないそうです。

●また、Windowsでは8.1でも、依然USBオーディオクラス2.0標準ドライバすら実装されておらず、USB3.0オーディオインターフェース(DAC)は Thunderbolt と同様にオーディオ用共通規格にはなる見込みはなく、個別ハード機器メーカーの対応が続くようです。



2015年7月1日  母の年金情報流出に思う〜年金機構、政府は組織的に隠蔽しているのではないか?
●年金寄稿から手紙が来て母の「基礎年金番号、氏名、生年月日、住所」が漏れている事が分かった。一番ヘヴィなケースである。母(97歳)は認知症で僕が成年後見をしているので、おそらく実害は防げると思う.
 しかし、壮年で社会的に活動されている方だと大変だと思う。年金番号を変えても「氏名、生年月日、住所」という最強トリオの基礎情報が闇の世界に既に流れている以上、また情報を流出させて「名寄せ」すればすぐにヒットする。マイナンバーが連携していれば、他の行政情報も全部芋づる式に奪われると見て間違いない。

●現段階で非常に疑問に思うのは以下の点だ。
1.年金情報流出についての今後の対策は、果たして策定されているのか?
 この情報が全然伝わって来ない。何も活動していないのではないか?もしそうであるなら、その理由は何か?


2.他の省庁のシステムでも大なり小なり問題点は絶対にあるはずで、普通なら総点検をするべきところ、これも情報が全然伝わって来ない。時間はいくらあっても足りないくらいのはずなのに、何も活動していないのではないか?

3.年金機構で担当係長から上司に報告するまで17日間かかったと1個人にかぶせる格好になっているが、御身大事の公務員がこのような一大事を一人の胸にしまっておくような行動をするはずが無い。しかも事実究明作業をしていれば、普段とは明らかに違う状況になるはずで、よほど鈍感な上司でも2週間以上もそれに気がつかないなどと言うことはあり得ないだろう。

●下記に参考記事を上げたが内部告発でさえ10ヶ月放置するくらい、年金機構、政府の隠蔽体質には根深いものがある。
 考えられるのは年金機構、政府は組織的に隠蔽しているのではないか?と言うことだ。

(1)外部公表せずに内々で済ませられないか、ぎりぎりまでシステム業者に調査検討させていた。

(2)隠し仰せない事が分かったので、警察にも連絡を取りながら、とかげのしっぽきりで庶務係長に因果を含めて、係長の報告遅れに仕立て上げた。

(3)28日に流出したデータを東京都港区の海運会社のサーバから発見した、と警察から連絡があり、これで抜き差しならなくなって大臣に情報を上げた。

●つまりは警察がデータを発見しなければ、そのまま隠蔽を続けていただろうと言う事だ。しかもこの間セキュリティ対策の強化策すら講じていないと言うのは、触らないでおこうと言う隠蔽そのものではないのか?
防衛・外交情報ではないから、と年金情報を軽く見ていた事も間違いないだろう。個人情報を責任を持って扱えるような組織とはとても言えないし、外部調査員会の話すら無く、内部調査しか行っていないのは、隠蔽がバレるのを恐れているからだろう。

第1次アベ内閣ではアベ&塩崎官房長官(当時)が「消えた年金などない」と言い切って、結局政権が瓦解した。今度は同一メンバー(塩崎厚生大臣)で、また年金で内閣が倒れたら悪夢だろうから、隠蔽してしまいたいのにも無理はない。


国会では安保=戦争法案が審議中で、引き続き70年談話や次期総裁選などもあり、この時期にマイナス材料をおもて出ししたくないと言う己の都合で、対策策定も含めて隠蔽し、封じ込めようとしているとしか思えない。
●政府は信用できない。マスコミなどのご努力を是非積み重ねて、是非1個人のしっぽきりで終わらせないよう、真相究明を進めていただきたい。ここで何もしないようであれば、マスコミの姿勢と調査能力には根本的疑問が突きつけられる事だろう。



[写真]衆院予算委員会で陳謝する日本年金機構の水島藤一郎理事長(手前)。だが、年金情報流出問題の真相は依然、ヤブの中、塩崎恭久厚労相(後方左)

「十字架」ひとりで背負う係長 年金情報流出の「不自然」(AERA 更新 2015/6/29 16:00)

日本年金機構が10カ月放置した内部告発 「消えた年金」まだあった(AERA 更新 2013/4/17 11:30)



2015年6月30日  さようならhiresaudio.jp。
●録音データの開示例です。
今日ダウンロードしたPieter Wispelwey「Britten:Three Suites for Violoncello Solo」(24/192)のChannelClassicsの録音データです。ちゃんと情報開示が行われていますね。


●EMM LabsのE.MeitnerデザインのDSD AD/DAコンバーターを使って、ミキシングボードを使って、MergingのPyramixのソフトウェアで編集した、ということが分かります。エンジニアの名前は記されていませんが、ProducerにJared Sacksの名前があるので、彼自身がやっているのかも知れません。

●こういうサイトが今日で新規登録停止、7/15でダウンロード停止、終了になるのはもったいないことです。謹んでこれまでのご努力に経緯を表します



2015年6月30日  hiresaudio.jpからダウンロードしてみた
●本日限りで新規購入できなくなる(DLは15日まで可能)のでやって見ました。
https://www.highresaudio.jp/index.cgi
●環境はノイズ対策を徹底したWindows7 SP1環境。このサイトのダウンロードマネージャーは柔軟で外付けストレージも選択できるので、ネットワーク上のWindowsファイルサーバを選択して難なくダウンロードできた。
事前に「ご利用ガイド」と「ダウンロード」のページをよく読んで、手順を頭に入れておくと良い。支払いにはセキュリティが高く相手方にカード番号を知らせない「PayPal」も使えるので、非常に行き届いている。

●支払いを済ませ、いよいよダウンロードのページに入ると、ダウンロードマネージャーを使うかどうか聞いてくる。使わないのもありだが、各トラック毎にダウンロードせねばならず、再ダウンロードなどをかんがえると煩雑なので、「使う」にして進んだが、これはいつでも「使わない」に変更できる。
さて「change」ボタンを押してのWindowsファイルサーバをダウンロード先に選択する。フォルダは自動的に生成されるので、サーバの「ミュージック共有」フォルダを選択してダウンロード開始する。1曲ずつダウンロードされていき、ブックレットのPDFファイルもDLされる。

●アルバムはDuo Basso「Progressive Duo」(DSF 2.8MHz,Exton)とPieter Wispelwey「Britten:Three Suites for Violoncello Solo」(24/192 ,Channel Classics)の2枚にした。音の良いChannel ClassicsのDSDがあればもっと落としても良かったが、既にSACDで持っているものもかなりあるので、絞ったというわけです。
 Wispelwey/Brittenは直に収録できたので、今回はWAVにしてみました。なにせHiRes用のサーバを仕上げたばかりで、まず相当期間はこのまま使うはずなので。ちなみに解像度保証の波形グラフもpngファイルで入ってました。
録音データもきっちりクレジットされています。

録音データ(Wispelwey/Britten)
 Microphones: Bruel & Kjaer 4006, Schoeps
 Digital Converters: DSD Super Audio/Meitner Design AD/DA
 Speakers: Audiolab, Holland
 Software: Pyramix Editing, Merging Technologies
 Mixing Board: Rens Heijnis, custom design
 Mastering Room: B+W 803d series speakers,
 Classe 5200 Amplifier
 Cables: Van den Hul
 Producer:Pieter Wispelwey, Jared Sacks


 15日までダウンロード可能なので、バックアップはどこかに取っておきます。

●いやあ、実にスムースで行き届いたDLサイトです。録音データの開示もちゃんとしているし、これが無くなるのは「惜しい。」の一言ですねえ。



2015年6月29日  「WAVのまま何回もコピー」する弊害を防ぐ、ハイレゾ音源のダウンロード(DL)と保存の仕方
○ダウンロードサイトによってダウンロード先をOSが収録されている「ルートディレクトリ」に限定しているもの、あるいは外付けストレージを選べるもの、があり直に再生音源用ストレージにダウンロード収録でき、かつそこから移動させないのであれば、WAVで直接ダウンロードすることをお勧めする。
これは非常にピュアなままの1発取り的方法だが、実現できる環境もレアである。

○しかし収録先をOSの「ルートディレクトリ」に限定しているダウンロードサイトでは、そこから再生音源用ストレージに最低でも1回WAVコピーが必要になる。

○システムの変遷やHDDの容量によって、どうしてもコピーして移さざるを得なくなるユーザーは実際には非常に多い。ここに紹介する方法は、そのような方のためにFLACでDLし保存し、そこから一度だけ解凍展開して都度都度フレッシュなWAVを収録するものである。FLAC解凍展開の環境やユーザースキルに影響されるが、総じて平均点は確保できるだろうという方法だ。

○ご自分のスタイルや、スキル、目的に合った方法を選定していただきたい。また、共通して良い電源を使うことは非常に効果的です。
いずれにせよ最終的なポイントはユーザーのスキルなので、その点ご努力をお願い致します。


主要手順
①FLACでDLする、
②FLACをDLファイル専用HDDに一旦保存する、
③FLACから解凍展開してWAVにする、
④解凍展開したWAVを再生用のHDD/NASに保存する。


①FLACでDLする。
 WAVで一度保存すると、コピーのたび毎に音質は徐々に劣化してしまう。
 しかも上記のように「ダウンロードマネージャー」が特定のフォルダにしかDLさせないので、確実にコピー回数が最低2回に増える。(おまけにDLした時のノイズが微妙について回るという可能性もある。)
  ↓
 そこで元から圧縮されたFLACでDLする。

②FLACをDLファイル専用HDDに保存する。
 この場合FLACはWAVに展開して聞くための元圧縮音源という考え方で、DLファイル専用HDDに保存しておく。元圧縮音源なので、2.5インチHDDなどでも十分だ。

③FLACを解凍展開してWAVにする。
 これにはソフトウェアが必要だが、沢山ある。
 昔あるメーカーのチーフエンジニアが「可逆圧縮だから展開しても必ず元に戻るので、解凍ソフトで音質が変わるわけがない。」と断言したことがあるが、こちらは「データは同じでも音質は微妙に、時としてかなり変わる。」という経験を積んでいたので、「はいはいはい。」と相手にせず放置した。いろいろと調べているとラトックシステムシステムの岡村社長から「実は1ファイルを丸ごと圧縮するのではなく、パーツに分けて圧縮し、解凍している。ところが解凍ソフトによっては、このつなぎ目でもたつくものもある。微妙だが、音質の違いが発生してもおかしくはない。」と教えていただいた。
 こういうファイル処理には、「画面を使わないコマンド処理が効果的で速い」という定評がある。FLACの開発元SorceForgeのサイトには、公式ツールやらサードパーティー製ツールが沢山紹介されている。
 筆者はWindows、Mac OS X、Linux用の公式ツールも試してみたが、開発時期が古かったり、同一ディレクトリでないと使えなかったり、かなり不便な面もあった。その中で、中身はコマンド処理を使い、異なるディレクトリ間で処理を分割できて効果的なツールにMac OS X用の日本製ソフト「XLD(X Lossless Decoder)」があった、筆者これをFLACの解凍展開に常用しているが、まあ他のソフトでもさほど大きな違いは無いので、お好きな解凍展開ソフトを使われれば良いと思う。

④解凍展開したWAVを再生用のHDD/NASに保存する
 これは解凍展開と同じ作業の中に入るので、良いHDD、良い電源を使った再生用のHDD/NASを解凍展開先に指定すれば良い。
 こうするとそのたび毎にフレッシュなWAVが生成保存されるので、コピーの弊害を逃れることが可能になる。



2015年6月28日  HIGHRESAUDIO.jp 配信サービス終了
●友人からの電話でHIGHRESAUDIO.jp 配信サービス終了を知ったので、急遽お知らせを。7月1日で新規購入を停止、ただしその後15日間購入作品のダウンロードは可能とのことです。

Acoustic Spectrum Analyzerを使った波形解析結果をもとに、「解像度補償」でHiRes本来の品質保証をするというユニークなポリシーや、ExtonなどのDSD音源などに注目しておりました。

[真正の24/192波形]

[CDからアップサンプリングしただけのFake24/192波形]

●今後の市場動向による判断かと思われますが、こういう信頼性の高いサイトの配信停止は残念です。
個人的にも、この機会にいくつか確保しておきたいと思います。



2015年6月24日  占領下・米軍統治下の沖縄と基本的人権
日本国憲法についての議論は置いて、口角泡を飛ばしている人たちも、表現の自由を初めとした基本的人権については当然の事、当たり前の事、と思っておられるだろう。
しかし「米軍統治下の我々には1972年に本土に返還されるまで、基本的人権は無かったんです。」と首里城のガードマンさんに聞いたとき、ちょっとしたショックを感じた。母を連れてはじめた沖縄に行き、首里城を観光したときの事だ。「我々には日本への復帰であるだけでなく、日本国憲法の庇護下に復帰する事だったんですよ。」つまり戦後から1972年までは我々と、沖縄の人々とは異なる法制下にあり、異なる権利の元にあった、という現実をここでは指摘しておきたい。

だからね、沖縄の人たちの思いが深く複雑になるのも、それなりの背景があるんだよ。それを分かってくれよ、兄弟。




2015年6月23日  高田大介「図書館の魔女(上)(下)」
 〜無益な戦争を止める言葉と理(ことわり)
●まだ6月だが、おそらく今年呼んだ本のベストになると言う気がしている。
2巻の大部の本で、ファンタジーと分類されているようだが、実際は言語と書物とを核にした、やや東アジアと東欧がミックスしたような中世的な世界の中での言語的でもある冒険物語と言っていいだろう

●その主役は大国「一の谷」の文化的・戦略的コアである図書館を蔵した「高い塔の魔女」と呼ばれる少女・マツリカだ。あまりに該博な知識と構成力ゆえに魔術ではないがそう思えるような知力を駆使し、断片的なデータから全体像を割り出し、鬼略のごとき策を巡らせて理(ことわり)を説き、益なき戦争を止めに行き、海峡3国の束の間の平和を確保する。

●しかし、印欧語比較文法・対照言語学を専門とし、現在リモージュ大 EDSHS EHIC(Espaces Humains et Interactions Culturelles)で博士論文を執筆中の筆者の真骨頂は、上巻で図書館で仕えるため山から下りて来た文盲の少年キリヒトが、耳は聴こえるが口をきく事が出来ないマツリカと出会い、文字と言葉と書物の世界と出会うところだろう。手話は言葉の代替物ではなく、それ自体の豊かな表現力と文脈を持つという下りは、コミュニケーションの奥深さに唸ってしまった。それでもマツリカのように溢れるほどの思いを持った人間には、手話さえ遅すぎてもどかしくてたまらない。

●そして少女の「声」となるべく訓練を始めた少年の感覚の鋭さに気づいたマツリカは、ほぼリアルタイムに伝達可能な2人だけの言葉を作り始める。韻律も含めて叙事詩の吟唱さえ可能な指の接触言語。2人の距離は急速に縮まるが、図書館の魔女を狙った暗殺者が何組も放たれる中で、キリヒトの隠れた役割があらわになり、一同が思い悩む。これはストイックなボーイ・ミーツ・ガールでもあるのだ。

●幾重もの伏線と骨太な展開の中で、読み終わった読者は明確な世界が心の中に出来上がっている事を知るだろう。

●一時的とはいえ、図書館を離れるキリヒトとの別れの場面は涙そうそうだが、次巻の「鳥の伝言」ではまだ彼は還っていない。
●キリヒトの帰参シーンをいろいろ思い浮かべながら、いまから続刊を心待ちにしている。



2015年6月23日マンハッタントランスファー「Extensions]
●ジェイ・グレイドンがプロデュースしたこの名盤をご紹介。いろんな意味でジェイ・グレイドンらしいテンションがかかっているのだけれど、いろんな助っ人が良い味付けになって、それが良い方向にまとまっている。ポップで濃い傑作。「Airplay」にも収録されていた「Nothin' You Can Do About It」はマントランの上手さが勝って、こちらの方が断然良い。ラストの「Foreign Affair」はマントランの数あるアカペラの中でも最高に数えられる名演。
●例えばボスカイオーラやアマトリチャーナのようなトマトソースを、時間をかけてきっちりと仕上げたパスタソースのように満足感がしっかりと残る。



2015年6月23日  Schiit AudioのマルチビットDAC「Yggdrasil(ユグドラシル)」 US$2,299
医療用高精度20bitチップAD5791を4個とScharc DSP上でカスタムソフトウェアを使って24/192までマルチビットで再生。当然にDSD非対応。デジフィルは352.8KHzまたは384KHzで動作して、元データはそのままで補間する機能を持つそうです。詳細は不明ですが、PCM7405チップ以外でマルチビットDACの話は近来稀で、これで音質が良ければ価格から見ても大変面白そうです。


ちなみに「FPGAのΔΣ DACなんか目じゃない。どれだけちゃんとしたDSD音源があるんだい?」そうです。ユグドラシルというのは北欧神話の「世界樹」です。

●気になるのはアナログを含むDACチップの新規開発がかなりフリーズしつつあるように思えること。確実なのはESSと旭化成くらいか。
 そうするとCHORDやPS AudioのようにFPGA上に書き込んだソフトウェアと周辺のディスクリート素子でDACを構成したり、Shiitのように医療用チップを使うのも、それへの対策のためかも知れない。
 もしそうなら、オーディオの物作りの世界はかなり寒くなっている。



2015年6月23日   Robert Glasper Trio
「Covered」ー Danilo Perez「. . . Till Then」


Robert Glasper Trio「Covered」
 グラミー(Best R&B Album)を2回受賞したRobert Glasper Experimentではなく、トリオのCD。かなり前に予約していて、届いたので久しぶりにPlextor - Windows7 - JRiver MC20 - Prism/Orpheusで聞いてみた。良い。スピリチュアルで、しかも大地にしっかり根を張ったようなグリップ感があって、時としてリリカルなフレーズが薫る。スタジオライブのライブ感も凄く良い。カヴァー曲と自作曲のストレート・アヘッドなピアノトリオだが、最後の方ではヴォイスが入ってExperiment風になり、ロバートがどんな世界に足元を置いているのかが伝わってくる。このドラマー好きだなあ。


●ちょっと違うが、引き続きの高揚感でDanilo Perezの「. . . Till Then」も聞いてしまった。世界には熱く真摯なミュージシャンが息づいているのだ、まだ捨てたもんじゃないと思う。



2015年6月22日  永続的な国民の個人情報の危機! ストップ・マイナンバー!
○年金番号だけ変更しても、「氏名、生年月日」は変更できないから、約120万人の人たちは、今後とも闇のシステム上で補足可能のままで永久に逃げられない。
○だだ漏れの政府系システムで、全ての国民を一層の危機にさらすマイナンバー!
○ストップ・アベ! ストップ・マイナンバー!


「年金情報流出、全国で101万人 全都道府県で被害(日経)」

 発表された内容は非常にひどい代物だ。今回、年金番号だけ変更しても、「番号と氏名の2項目だけ流出した約3万1千件」が救われるだけで、年金番号と「氏名、生年月日、住所」や「氏名、生年月日」が流出した人については、簡単に名寄せを行い新たな年金番号まで追跡する事が可能なはずだ。
 住所は変更できても、「氏名、生年月日」は変更できないから、約120万人の人たちは、今後とも闇のシステム上で補足可能のままで残り逃げられない。
 こんな状況でマイナンバーを強行すれば、名寄せできる情報を闇のシステム側に与えるだけで、現在の政府関係システムのセキュリティのだだ漏れの甘さではさらなる情報流出が発生し、国民の個人情報を全面的に来権威さらすだけだ。

(主な記事内容)
●「基礎年金番号、氏名、生年月日、住所の4項目の情報が漏れていたのが約5万2千件」
「4項目すべてが漏れた人は沖縄、福岡、栃木の3県に集中し」
●「基礎年金番号、氏名、生年月日の3項目が漏れた約116万7千件」
●「年金番号と氏名の2項目だけ流出した約3万1千件」
●「都道府県別では最も被害者が多かったのは大阪府の9万6884人。次いで東京都の9万6172人だった。以下、神奈川県(7万3826人)、埼玉県(5万9756人)、愛知県(5万5062人)が続いた。最も少ない山形県でも3383人に被害」
●「機構は今月中に該当者に郵送で文書を送り、基礎年金番号を変更することを伝える」



2015年6月17日  プレーヤーのインフラとしての組み込み用LinuxとHDDアクセス、電源
●今時のネットワーク・プレーヤーなどには、インフラとして組み込み用Linux(あるいはFreeBSDなど)OSが、ファームウェアと呼ばれる形でPCに入って収納されている。そうでなければLANやUSBのホストが立てられない。ちなみにFirewireであればバスマスタ転送と言ってCPU負荷の増加を招かずにチップからやりとりできるが、USBは伝送に当たってCPUパワーを必要とする。

●で、知人からも聞かれたのだけれど、例えばUSBのHDDを外付け増設して音質がどうもパッとしなくなった、完全に外付けを外したら改善された、という事例があったそうだ。USBは伝送にCPUパワーを必要とするし、HDDアクセスも増えるので、外付けUSB HDDによりインフラ側の負荷が増えることになる。
 結局は組み込みLinuxの①ハードウェア(特にCPU)のパワー不足、または②OSやアプリの不具合、のどちらかと見て良いだろう。②ならば今後のアップデートでの可能性はあるが、①であれば基本設計レベルの問題を抱えている可能性が高く、ハードを交換しない限り改善の可能性は薄いとみてよいだろう。

●HDDアクセスの頻度は音質にも影響する。音源用HDDのアロケーションユニットサイズ(クラスタサイズ)を最大にフォーマットした方が音質が良くなるというのも、結局はHDDアクセスが減って全体として負荷が軽くなる、というのが理由と考えられる。

●QNAPの現状は知らないが、以前のTS110やTSII9では、Linuxのシステムと音源を同じHDD上に切っていた。これはHDDアクセス増大となり、しかもCPUが500MHz程度の確かMarvelとか、ハードの能力が限定されていれば、より音質的には不利になるのと同じ事だと思われる。

●しかし世の中にはHDDで音が変わらないとかアホなことを言ってるのもいるくらい違いが分からない人やシステムが多いので、こういう音質の違いが分かるのは、かなり基本的なクオリティが高くて、ノイズ対策やアイソレーションなど対策などを丁寧にやっているシステムであろうと推察「される。今後ともこの方面の努力を期待したいところだ。
 ネットワーク・プレーヤーならば、高価なLANケーブルなど買わずに、LAN用アイソレーショントランスなどお試しいただきたい。激的な改善が見られることだろう。(アイソレーターという名のフィルターは不可。)

●通常の電源アイソレーショントランスにも結構フィルター内蔵のものが多く、相当に細心に設計されたフィルターで無くては、音がすっきりしても、その分どこか削られていることになる。

●そのような方でも電源対策は忘れられていることが多く、まだノイズがぐるぐると回り続けているところが相当残っていることだろう。

 ただしアースループ対策を講じるとしても、シャーシに切れ込みを入れて迷走電流を少しばかり減らしただけの「アースループレス構造」などといううたい文句の電源タップは、買ってもアースループ改善の訳にはたたない。
 大体が、アースループやグラウンドループについてちゃんと知っている人間がジャーナリズムを含めて余りに少ない。多少知っていても、我が処の製品を売りたいので、口をぬぐって売る。世も末だ。



2015年6月12日  太陽誘電 光記録ディスクから撤退
太陽誘電、光記録ディスクから撤退 CD-Rの生みの親



●ついにその日が来ましたか。時代の変化は恐ろしくスピードアップしているようで、かなりヤバそうです。
規模の不経済には勝てず、光学ディスクは世界的にも生産縮小撤退方向です。必要な方は確保よろしくです。

●とはいえストックすると言っても限界があるわけで、ワオン・レコードもCD-Rの確保に悩んでいるそうです。

●Pioneerのオーディオ対応BDドライブも今のうちに必ず確保しておいてください。



2015年6月12日  
見事な完成度と新しい才能の出現を言祝ぐ
 『日出ずる処、牧神の目覺め。』
●6月に入って湿潤な気候となり、身体の方は随分と楽になって来た。母が97歳で僕が成年後見をしているので、いつのことになるか分からないが、花粉がなく暖かい沖縄に行く事が出来れば、冬の血行不良も含めて随分と楽になるだろう



●5月までの寝たり起きたりもあった数ヶ月間にくり返し聴いたCDがある。フロラン・シャレール(オーボエ)/トマ・デルクロー(ピアノ)『日出ずる処、牧神の目覺め。』(ワオン・レコード)だ。もともとフランス音楽が好きで、サキソフォンを含む管楽器は本当に官能的で色彩豊かな音色で、このCDも「録音のこだわり」にあるように2人の名人芸とあいまって残響豊かで実に美しく、ゲインが高い金田式マイクの本領が発揮された音だと思う。弱った身体を横たえながら繰り返し聞いたのは、まずこの柔らかで陶然とする音色だ。

1~4:ケックラン:オーボエとピアノのためのソナタ op.58
   アレグロ・モデラート
     (パストラル~大地~農作業~夕べ)
   スケルツォ (牧神の踊り)
   アンダンテ (田園の夕べ)
   アレグロ(終曲)
5:平野 一郎:牧羊神α 
 上田敏の詩に拠る、無伴奏オーボエの為の田園曲
  (エクローグ)
6:ポール・デュカス:遥かなる牧神の嘆き
7:トマ・デルクロー:コスモス
8~10:フランシス・プーランク:
 オーボエとピアノのためのソナタ
  エレジー – スケルツォ – デプロラシオン
11:クロード・ドビュッシー:トッカータ
12:平野 一郎:牧羊神β 上田敏の詩に拠る、オーボエ&ピアノの為の田園曲(エクローグ)


牧神と言うヨーロッパの母胎である田園のそのまた主を、「日出ずる処」日本にも重ねたのが平野一郎氏の2作だ。ちょうど原 大地「牧神の午後 マラルメを読もう」(慶應義塾大学教養研究センター選書)」をちびちびと読みつつあったところへ届いたので、僕の中ではまどろむ牧神とニンフをドタバタと追いかける牧神の姿が、夢うつつでも鮮やかに見えていた。
 しかし、ケックラン、デュカス、プーランクなどの有数の作曲家と並べて聴いても平野氏の作品にはまるで遜色がない。聞けば、大学院を出てさほど年数もない若さで広瀬量平門下の逸材との事。諸兄よ、まずはこの大きな才能の出現を言祝ごうではないか。


●多分、タイトルも少しいかめしく、フランス音楽と邦人作品を含むオーボエソナタとソロ集、と聞いてコンピレイション物ぽい感じで何となくパスした方も多いと思う。しかしこの非常に高い一貫性は、コンセプト・アルバムと言ってよいほどの見事な完成度だ。
 半分くたばりかけの爺でも分かるくらいだから、皆さんならここからどれだけ多くの色彩と響きをくみ出してくださるだろう。是非お手元にお加えください。

p.s.続くワオンレコードの「花影の小径」にも平野氏のピアノ曲が収録されていますが、これはまた別のお話で。



2015年6月1日  作業仮説
ダイオードのスパイクノイズについてはご存じだろうか?
 整流部のダイオードはプラス領域からすぐゼロ電圧になるのではなく、一旦マイナス領域に突っ込んでからゼロ電圧になる。これに要する時間を「逆回復時間」といい、そのマイナス部分を「リカバリ領域」と呼ぶ。
 具体的製品としては、通常のシリコンダイオード→ファーストリカバリー(ソフトリカバリー)・ダイオード→ショットキーバリア・ダイオードと換えていくにつれて、「逆回復時間」が短くなり、金属とシリコンの接合を利用したショットキーバリア・ダイオードでは「逆回復時間」が存在しなくなると言われている。

●以前はオシロの波形も花盛りだったが、分かりやすく比較した記事としてはこちらをご参照下さい。

●スパイクノイズは聴感上も分かりやすく、周波数スペクトルが広いので微量でも害が大きい、と言われている。筆者は上記のダイオードの移行過程をリアルタイムで経験し、各種記事も読んで、自分でも換装して確かめてきたので実感として納得しているし、多くのオーディオファイルも概ね同様だと思う。

●実はあまり良質でないスイッチング電源や高周波ノイズの主役はスパイクノイズだという説も有力なのだが、システム内部での各種ノイズは同時多発的に発生し相互に影響し合うので、その波形などの確認は非常に難しい。ダイオードの例は商用AC電源(正弦波)→ダイオードといういわば単一の事象でオシロなどで非常に確認しやすいので明確だが、これとて例えばオーディオアンプの中では具体的にどのような経路やメカニズムで音質に影響を与えるのか?、という点になると一挙に複雑な話になり、最終的には聴感で確認するしかない。

●LAN/ネットワークのノイズになると関係する機器も多く、またシステムそのものの固有ノイズはもちろんもこと、LAN/ネットワーク以外のデジタル機器やPCとその周辺機器からの誘導ノイズなどにも大きく影響される。専門会社に聞くとそれらを考慮した上でも内外の各種機器や建物内の構内LAN配線を含めて、総合的に解析するのは手法上も非常に難しいそうで、ましてやオーディオ的にとなるとそういう試みさえほとんど無いそうだ。
 つまりPC的にデータが通るという通信的状況は基本中の基本であり、オーディオ上の各種問題はそれを踏まえてさらなる踏み込みが必要だと言うことだ。

●なので「音質を良くする」ことを目指す僕らオーディオの実践的立場としては、まずは①作業仮説をいくつか想定し、②実際に換えてみて、③音を聞き音質評価する、という作業を繰り返して、それらの中で比較的再現性に高いものについては繰り返し確認を重ね、経験的にある程度裏打ちされた対策としてまとめていく他は無いと思うし、実際にそうしてきた。

●もちろん一人でやるには限界があるので、我が家で実際に聞いてもらって効果の高かったものは友人宅でも試し確認してもらっている。特にクリティカルなものについては、録音されたエンジニアなどの友人に音源をお持ち願って確認したりもしている。

●とはいえこれらはあくまで我が家や少数の友人宅で確認されたことであり、機器も医療用やPC周辺機器の転用なので、まだまだこれからの分野だが、効果のあったものについてはお知らせした方が良いと思って、これまで少しずつ発信してきたわけだ。

●しかしこれらの作業仮説はいわゆる専門家にはいらだたしいものらしく、高周波ノイズの内容や、通信機器、PC、オーディオシステムなどに聴感の影響をもたらすメカニズムもまだまだ仮説の域を出ない状態では、理論上も明確に確立されたものにはならないことはよく分かっている。
 しかし確立された物ではないから存在しないと言うことにはならないだろう
。また「聴感上で確認できることも多々あるのだから、一度聞いてみてくれ」と言っても、鼻でせせら笑うような専門家にはとても期待できないと判断してもおかしくはなかろう。通信とオーディオを両方やっているというのは貴重な存在なのに、柔軟な感性を欠いているのは実にもったいないことだとつくづく残念だ。

●そういういちゃもんが付くなら記事もやめだ、とやけくそ気味に書いたが、実は国内メーカーでLAN/ネットワークのノイズ対策を研究し製品化に向けて作業されているところがあるやに聞いているので、そこが開発経過やデータを公表されることを期待して、当分は静観しようと思ってのことだ。それも内容を見て、試聴して良ければ紹介したいと思っているが、そのメーカーさんは苦労されることになるかも知れない。

●それと誤解の無いように願いたいが、僕はネットワークオーディオを推奨しているわけではない。たまたまWindowsファイルサーバというえらく音の良い音源ストレージに出会ってしまったがためにやむなく手を染めただけだ。
 しかし世の中には何となくネットワークオーディオはかっこよさそうだとか、雑誌で良いことが書いてあったから、とかで実際にかなりのユーザーがおられるので、僕ぐらいしかこういう基礎的なことをやっている奴はいないから放っておく訳にもいかないかと思って発信しているだけだ。ネットワークオーディオが一番良いとか一度も言ったり書いたりしたことはないので、方々ご理解願いたい。

●FaceBookのユーザーならど素人の僕とその専門家を比べて、比較検討されたり、いいとこ取りをされても良いので、ご自身で判断願えれば良いと思う。しかしご自分がネットワークオーディオに手を染めておられないからといっても、PCやその周辺機器をはじめとするノイズからは逃げるわけにはいかないことも、方々ご承知願いたい。知らんふりしてもノイズが消えるわけでもないし、それが聞こえないと言うならそれはそれでめでたい話、かもしれないというだけの事だ。

○他の参考URL
厄介なスパイクを除去して - リニアテクノロジー

[PDF]スパイクノイズの評価と低減方法



2015年5月27日  当分や~~めた
●FaceBookで通信の専門家とやらに絡まれた。ネットワーク/LANのノイズの話がお気に召さなかったらしい。インターネットは光で来るので、アースはつながっていない。よってインターネットのノイズはONUのノイズだろうと言う。これだけで、こいつは耳で何も確かめていないのが丸わかりじゃないか?
 そもそもが僕がクロックをつかっているのを「DA変換の精度を確保するためにクロックが必要なのか?」と絡んできたのが最初なので、クロックを使いたくない自分を理論的に正当化したい様子がありありだった。つまり耳なしの理屈野郎なのだ。

●僕は専門会社にも取材した上で、皆さんの参考になればとゆっくりと踏み込んでみたわけだが、FaceBookでこれだ。あほらしくてやる気にならない。どっちにしてもメーカー筋からクレームが入る可能性もないではなかったので、ネットワークネタはやめだ。皆さんノイズまみれでやり続けて下さい。
 電源ネタもやめだ。ご自分でノイズをグルグル回した音を愉しんで下さい。



2015年5月26日 サイト編集環境の改善
●最近はFaceBookへの書き込みが多くなって、Webでは更新が途絶えがちですが、FaceBookに移行するなどという気はさらさらありません。元々はKentを捕まえるためにFBのアカウントを取得したように、特定の相手を捕まえたりそこに向けて発信したりできるのと、ある程度ですが顔が見えるということで使ってます。
 それと僕の発言を気にされている向きもおられるようなので、もし文句を言われても「SNSはクローズドだから」と返しやすい、という事もあります。なので、パイロット的に石を投げて、それから様子を見てという使い方もしています。やれやれ。

●胸焼けするような飯の写真ばかり載せたり、あのねえ、と思わず言いたくなるような方もおられて、フォローするしないを整理しながら、どちらにしてもお友達リクエストはこの間放置しています。もともとこちらは「公開」だし、やたらタイムラインが増えると見るだけでも時間がかかるので、もう以前のように単純には増やしたくないわけです。メッセージも送れるし、メアド知ってれば直接メールされれば良いので、これにこだわる意味もあまりないと思います。
 いろいろありますが、この人とじっくり話してみたいというような方とも、ごく少数ですが知り合えたりするので、ま、いっかと。というか、少数で当然で、そういうものだと思ってます。

●もう一つはサイトの編集環境で、Windows7環境をMac mini(2011)にBoot Campで設けており、これが近頃全然よろしくありません。メモリを16GBにしてもテキスト入力中にフリーズしたりする!?で、結局ストレージを入れ替えました。高価なSSDを買うのは業腹なので、手持ちのハイブリッド、SeagateのMomentus XT 500GBにクローンコピーしました。これが大成功。
 まあこれでサイト更新も少しやる気でました。

●いろんな音質改善Tipsもなんでんかんでんすぐに書くわけにはいかんでねえ。
 FBは長い記事には向かないし、分割するとバラバラになって醜いし、そういうのはサイトの方がずっと良いので、工夫します。
 他方で、パテントのある製品だと、既存のメーカーさんに影響あったり、かなり多くの人が買っているアクセサリーに影響あると、ややこしいですからねえ。



2015年5月14日 届きました
 PoradaのPCデスクが届きました。以前使っていた円形のシェーカー・キャンドルスタンドよりもスペースが広く取れて、MakBook Airも使いやすそうです。
 ランプはPaul Smith とケネス・グランジのデザインでコンランショップから。

 FaceBookに投稿したら早速いまハイエンドショーでミュンヘンにいるKentから「僕も同じの使ってるよ。」とコメントが入ったので、「ダニエル・ワイスはんによろしゅう言うといてや。」と返信しました。
 日本からは傅信幸さんが言っておられます。ドイツでストリーミングどうなってるか聞いといて下さいね、とお願いしましたが、はてさて。



2015年5月12日 断捨離ちう
●重いものを持って遠くへは行けないし、いずれにせよ遠くへ行くわけだし、せっせと捨ててます。

●オーディオ機器の音をリファレンスにしている人は、どこか危うい。ハイエンドオーディオには凄い機器がたくさんあるが、一番驚いたのは例えば鉄線を鳥の羽の軸でかき鳴らすチェンバロが金線のようにきらびやかに聞こえるプリアンプとか、木管五重奏が金管五重奏のように聞こえるプレーヤーとか、およそあり得ない音を実に美しく奏でる機器だ。

●どんなに凄い技術でもそれを理解し、実際に使いこなし、いろいろ見通して統合してやっていける人がいなければ無いのと同じだ。世界は急速に変化しているし、日本は本当にのんきなガラパゴだ。ガラガラ、パゴパゴ。



2015年5月3日 いま企んでいること
●今日は母のグループホームでバーベキュー大会。良い季候だったが、屋内で親子孫で肉と野菜をいただく。母はいたって機嫌良く、とても可愛いかった。

●いま事情があってオーディオは一休みして、ひたすらのらくらと惰眠をむさぼり、その日の体調と成り行きで何となく過ごしている。お仕事はあるが、そろそろこういうパターンで休み休みいかないと保たなくなっている。
 で、ぼーっといろいろ企む。SACD/PCMサラウンド再生のリア用アンプには英Arcamのプリメインを使っているが、予備のmarantz proのパワーアンプPA-02(2台)をほとんど使えていないので、これを常時使えるようにしたい。プリにはBurson Soloistがあって、ゲインをきめ細かく調整できるので、リアSPのELAC CL-301ならレベルも低いし問題ないだろう。ただ入れ替えの作業が大変で、今は思うだけ。
 不調だった東芝のRD-Z1も使い続けると最近はとても良い状態だ。やはり機械ものは火を通さねば。一方で、Windowsファイルサーバが故障したときの対策も考えておかなければならない。

●で、一番難しいのはLP再生だ。
 いま結構ブームになりつつ、なかには「究極のハイレゾ」と手放しの人もあるが、ちょっとよく考えよう。
 録音過程を考えると、「アナログ」の名に値するのはまずはテープデッキだ。メカは難しいし、ヘッドにバイアス電流をかけて磁気/電気変換など誠に大がかりだが、19/38/76と回転速度を選択でき、4ch Stereo/2ch Stereo/マルチトラックとテープのトラック幅も選択でき、録音内容によって38cm2トラックとか選べるのは、ちょうどPCM/DSDのサンプリングレートを選択してデジタル録音するのと同じようなものだ。

●そしてLPはアナログ普及用のフォーマットである。詳細は省くがトーンアームもカートリッジも機械インピーダンスに配慮して設計しなければならず、その範囲はさほど大きくはなく、トレードオフつまり在る範囲で、なにを重視して設計するかが塩梅のしどころである。おまけに低電圧レベルでのノイズの他に、音を濁らせる「共振」対策も重要だが、「ちゃんと振動」してくれないと、信号も適切に取り出せないので、設計が難しい。これらは悪い意味ではなく、聞きやすい仕掛けとしての「フェイク」を必要としているわけだ。
 そしてどうやら、問題の一つはフォノイコのRIAAフィルタリングらしい。カッター特性や各社カーブの問題もありCR型でもNF型でも位相のずれが残るようだ。つまりカタツムリを使っても基本波と高調波が同一タイミングでは再生されない可能性があるとすれば、問題が残るわけで。
 確かにLPの良さは絶対にあるのだけど、クロックや電源を詰めにいったデジタルとはまた別のギミックであるとも感じるので、このあたりをもっと詰めてみたい。

●対策は亡くなった友人がDACのフィルターでも取り組んでいたように、どうも「LCR型のフォノイコ」に取り組んでみしかなさそうだ。まあ40dB近いゲインの増幅が前段に必要だし、今さら自作でもないだろう。ありがたいことに友人の縁が今も活きているので何とかなるだろう。もう少し我が家を整理してから、電話をかけることにしようか。



2015年5月2日 うたかた
●前回の記事更新の後は合間合間にCDリッピングや収録後の楽曲のタイトル補足など、音源のストレージ環境を整備していました。リッピングは単に音源を収録するだけでなく、頭の中の音楽的地図を構築したり整理したりする作業でもある。こんな盤を買ってたんだと驚いたり喜んだり、特に複雑な地層のレイヤーのような中世・ルネッサンス音楽は、CD解説を読んだり、聞き直してみたり興趣が尽きない。何物にも代え難い至福の時間だ。

●その後、また喘息の発作が起きて、抗生剤とか強めの薬を使いながら何とかリカバリしつつあります。気管支の炎症も収まりつつあって喉の痰は少しずつ切れていき、快方に向かっています。入院しても良かったけれど、サポートなしの一人では準備が大変だし、過去の経験では個室でなければ特に夜は咳をするたびに周りの患者さんに迷惑をかけるし、本人もストレスが溜まる。第一それでは音楽を聴けない。音楽は僕には薬の一つの形なのだし、それなしでは心が渇き飢(かつ)える。
 幸いすぐ近くの医院なので、点滴に通いながら、よいこで自宅療養しておりました。

●この間ずっと身辺整理がそろそろ必要だなと思い続けていました。幸い5月に入ってかなり楽になりつつあるので、無理せず少しずつ断捨離していこうかと。
 先日リサイクルショップに来ていただいたら、いろいろなPCパーツを中心に出して、かなり新品も入っていたので、液晶ディスプレー2台の処理費はサービスしてくれた。つまりそれだけ試して貯めこんでいたわけだが、まだまだたくさんある。まだまだたくさんあるので、ゆっくりと進めよう。

●イベントのお仕事が来ました、興味深い内容なので、是非参加して下さる方のお役に立つように努力したい。



2015年4月22日 サバイバル・オーディオ
●昨日の記事を見たFaceBookのユーザーは感情的になられたことと思う。そのように書いているので、少なくとも違和感くらいは感じてもらわないと意味が無かったことになる。
 そのように復活の仕込みをして、唸り木を仕掛けて、魔(ダーサ)マントラを流す。(佐藤志生「ワンゼロ」そのうちに復刊か)。僕にできるのはせいぜいここまでだ。

  画像はクープランの「ルソン・ド・テネブレ(真夜中の祈り)」。もうすぐやってくる復活祭に先立つ聖週間の、本来は午前2時に始めて、13本の蝋燭を歌い終わる毎に1本ずつ消していき、最後は全き暗闇の中で終わる祈りだ。「聖水曜日のための第3のルソン」が天国的に美しい。

●時代の変化速度とその幅はいよよ激しさを増し、それを見通すことなど誰にもできない。だからオーディオもこれからは「サバイバル」の様相を呈することになる。メンテも期待できないかも知れないし、あっという間に輸入も途絶えるかも知れない。
 なに、大したことは無い。自分のスタイルを維持するために必要な機器やソフトウェア(予備やバックアップも含む)や欲しい音源をしっかり確保して、思うとおりにやっていかれれば良い。同好の士との情報交換(ただし真摯な)も欠かせないだろう。
 各自自力更生よろしく。

●体調にもよるし、原稿は書くかも知れないし、書かないかも知れない。基本、依頼があれば書くことになるだろうし、物好きなイベントの依頼もあれば引き受ける。
 あとはマイペースでやります。

帰去来の辞(陶淵明)

歸去來兮(かえりなんいざ)
田園 将に蕪れなんとす 胡(なん)ぞ帰らざる
既に自ら心を以て形の役と爲す
奚(なん)ぞ惆悵として獨り悲しむ
已往の諫むまじきを悟り
来る者の追ふ可きを知る
実に途に迷ふこと其れ未だ遠からず
今の是にして昨の非なるを覚りぬ
舟は遙遙として以て輕く上がり
風は飄飄として衣を吹く
征夫に問ふに前路を以ってし
晨光の熹微なるを恨む




2015年4月21日 ちょっとお休み
●この何ヶ月かFaceBookで「お友達」の投稿にコメントしたり、「教えてくれ」と言われていたこともあったので、かなり抑えに抑えた内容で自分でも投稿した。
 しかし、それでも皆さん引くんですねえ。綺麗事は言っても、結局は不都合な真実や不愉快な現実に直面する気などさらさら無いのだ。自分が資金投下した機器について、ゆるゆると井戸端会議を続けていたいだけなのだ。自己正当化と思考停止。

●例えばネットワークオーディオ機器の音質を論ずる時でも、ノイズまみれでロッシーなLAN環境であれば本来の音質評価などできようはずもない。笑止。
 しかしこの様子では、ネットワーク/LANについての現況や問題点、ノイズなどへの対策について書いたところで、反応するのはごく一部の人々だけだろう。

●そのごく一部の人々ならば、この巨大ブラックホールのような徒労感について理解してもらえるだろう。喘息で途切れ途切れにしか寝られんし、ちょっと休まにゃとてもやっとられん。静かな音楽だけがささやかな慰めだ。
 Marcelloのアダージョが沁みる。 



2015年4月10日 ローレンス・ディッキーの思い出
●もう4月になってしまった。画像は14世紀末音楽のパイオニア「マーラプニカ Mala Punica」の「Helas Avril(おお、四月)」。ちょっとばかりマニアックな中世音楽ファン向きで入手困難。こんな機会でもなければ載せられないので、あくまで参考です。

●4~5年前だったろうか岡山でのイベントで、オリジナル・ノーチラスの設計者ローレンス・ディッキー氏と短時間だが話をしたことがある。クロスオーバーが気になっていたのでそのあたりを聞いたところ、少し遠い目をして「実際にプロトタイプを製作して、いくつかの環境で測定を重ね、いろんな環境でいろいろな音楽を聴いて決めていった。」とゆっくりかみしめるように答えてくれた。
 握手をしたときに大きな手である事と、ザラザラの手である事が特に印象に残った。この人は実践の人であり、自分の手を動かす職人であり、何よりも音楽愛好者なのだ、と感じたことをよく覚えている。ローレンスは妥協せずに積み重ねていたので、実際に「理想のスピーカーを作れ。」とスター・エンジニアを5年も遊ばせたトップは、最終の製品を見ることなしに亡くなったわけだが、試作品は何とか聞いてもらえたようだ。

●どのような回路や方式でも絶対的に優れていると誰しも認めるものであれば、全てそれに決まっているはずだが、どんな世界でもオールマイティというのはほとんど無い。そんな中で技術屋さんはまず何かしら選択しないと物作りすら着手できず、それをまとめていくのは大変だと思う。

●僕はLinux/Ubuntu Studioにかなりずぶずぶにはまっていた時期がある。途中で「音楽を聴くためのオーディオなのに、こんなことをしていても幸せにはなれん。」と気づいて、それ以来製作はしてもある程度距離を置いて、とにかく音質を詰めることを優先している。

●いままでグライコなどで音作りをしておられる方々も訪問したことがある。共通して、測定結果に一喜一憂され試聴中もつまみを操作しておられたという印象がある。
 いろいろと理屈はあるわけだが、測定と言っても多変数・多パラメーターの系をモデル化できる数学自体が存在しないので、実際にはある1点とか限定した手法にならざるを得ない。最近ではソフトウェアの進歩に従ってかなり多様な測定方法も出てきているようだが、結局は耳で音源を聴いて判断せねばならないとなれば、音楽を聴くための「環境作り」に多大なエネルギーと時間をとられるわけで、ユーザー諸氏の負担も分かるような気がする。

●我が家にはまだよく味わっていない音源も多数あり、これを聴き尽くさねば死ねるかという思いのこもった音源も当然にある。
 専門家のローレンスが積み上げたものに、素人測定で屋上屋になるかどうか積み重ねようとしても果たして良い成果が得られるものかどうか、浅学非才の身でははなはだ心許ない。まずは彼を信頼して、できることを工夫して少しでも良い環境で音楽を聴きたいと思っている。幸い今年に入ってから、部品が未入手のアトミック級クロック電源を除いてほぼ詰めるところまで詰められたので、当分は音源の入手・ストレージ環境の整備と、なによりも音楽を聴くことに集中したいと思っている今日この頃です。



2015年3月31日ゆっくりと静けさの中に還ろう
聖バガヴァッドがギーターで説いたように、ガンジーが伝えたように「重要なのは行為そのものであり、その結果ではない。」
なすべき事をなせば良い。
心の導くままに語れば良い。
理解と言うのは受け止める側の業だ。
期待などはするに及ばない。

さて、ゆっくりと静けさの中に還ろうではないか。



2015年3月30日 お詫びと訂正
●社会復帰しました。喘息の辛いところは、横になると咳が出て夜眠れないことで、一挙に体調が悪くなります。咳というのはもの凄い速度で出てくるので「気合」では何ともならずお医者さんに行くのが一番です。寝室の空気清浄機も大分古くて効いているかどうか不明なので、新しい機種をamazonにオーダーしました。

●咳が治まる徒然(つれづれ)に過去ログを見ていたら、適切な書き方ではないなあ、と思うのを見つけました。2013年9月5日の「伽藍とバザール」でのLinuxのGPLライセンスについての記事です。(こちらからページに飛んで9月5日記事をご参照下さい。)
 
●実はこの当時誠に非礼なやり方で僕を利用してあるメーカー/ショップに圧力をかけさせようとした方(天の川なんとか)がいて、うんざりするようなメールのやりとりが続いておりました。そこへもうお一方、商用Linuxのこともご存じなく「ワイスMAN301の価格は高すぎる。フリーウェアなんだからタダの部分が相当にあるはずで、もっと安くするべきだ。またできた製品についてはソフトウェアとハードウェア共に、またそのノウハウもちゃんと公開すべきだ。」というこれまた困った主旨の話をぶつけてこられました。
 こういういささか錯綜した状況であの記事を書き、さりとてLinuxの根幹に関わる大事な事なので、たまたま同じ仕事に関わることになった詳しいLinuxエンジニアの友人に、ほかのソフトウェアと組み合わされて実行されたり配布されたりするソフトウェアを対象にしたGNU Lesser GPLなど「商用ソフトウェア」での「実際の運用」についての詳細を教えてもらうことにして、続編をどこかでちゃんとまとめようと考えておりました。しかし、その後仕事は実質的に流れて、こちらも体調が悪化して気楽に東京に行くこともかなわず、そのままになってしまっていたわけです。

●改めてこの記事を単独のものとして読んでみると、公開の話と商用の話がごっちゃになっており、この表現は適切ではないと思い当たりました。
 LinuxはGNU GPL(General Public Licence:一般公有仕様許諾権)というライセンスに基づいています。
 ①ソフトウェアの著作権は作成者に帰属するものの、②その入手・使用は自由に行うことができ、③ソフトウェアは自由に改変でき、④そのコピーは有償販売も無償譲渡もできるが、⑤無保証であり、⑥GPLソフトウェアを再配布するときには、GPLをそのライセンスとして採用する(コピーレフト)。
 特に⑥は排他独占的な一般的著作権(コピーライト)に比べて、派生的な二次的著作物を配布する際もGPLライセンスに基づく頒布条件とする、と言う点で異なっており「コピーレフト」と呼ばれる。
 概ねこういうものだと理解しております。

●記事中で「何人ものスタッフが何年もかけて開発した膨大なソフトウェアを全て右から左へ公開せよというのでしょうか?この人達には霞を食って生きろというのでしょうか?例えばRedHat Linuxのように有償Linux市場がかなりの規模でしかも拡大しつつあり、著作権が成立している場合もあることを知らないのでしょうか?頭が伽藍伽藍しそうです。」というのは公開の原則と商用利用とがごっちゃになっており適切とは言えません。
 「GPLソフトウェアを含んでいる機器なら、GPLライセンスに基づいてソースコードを公開すべきですが、機器に組み込んだソフトウェアともにハードウェアとを製品として販売することには、Linuxの商用利用としてライセンス上の問題はないと理解しています。」と修正するのが適切でしょう。
 
●ただ、単純に修正するのは経過が不明になり責任の所在も含めて潔しとしないので、訂正内容が分かるようにして明確にするのが筆者の責務だと考えます。印刷物では別の媒体に「お詫びと訂正」を掲載しても、実際にはほとんど知れ渡ることはないのですが、Webサイトの特徴は速やかに修正が効くことですから、それを活かして明示的に訂正補足させていただきたいたいと思います。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。m(_ _)m

p.s.実際にワイスはソースコードのWeb上での公開をしているそうです。



2015年3月28日 種まきトカゲの弱音
●これからオーディオにも厳しい時代がやって来る。それに向けて僕の役割というかできることは播種がせいぜいだと思っている。つまり種まきトカゲだ。
●しかし一個人の素人には限界もある。特に今日のように体調が悪く、心も弱くなってくると、「たまたまその時にそこにいて、少しばかり知っているからと言って、何で俺が苦労してあちこち調べて先のことまで考えて、いろいろと配慮しながらも踏み込んで情報発信し、時には苦言も呈さなきゃならんのか?」と、つくづく思えてくる。

●大阪の誇るエンタテイナー嘉門達夫の超ローカルなヒット曲に「おまえがせー!」というのがある。そう、「文句があるならそれなりの立場のあんたがやれよ。」「みんな好き勝手にやってくれ。」と放り出したい気分になる。さっさと南の島に行って本を読み音楽を聴き、オーディオも我が事とダチの手伝いだけやりたい。つくづくそう思う。

●僕が放り出せばいくつかの物事は確実に消えていくだろう。でも少し見えてきたのだけれど、ひょっとして物好きな誰かが、やり方は違うにせよやってくれるかも知れない。それさえ腹をくくれるなら、決断できる時期は近いのかも知れない。

●いつまでもあると思うな、ON爺の小言。



2015年3月27日 書いてます。
●今日は母の97歳の誕生日だったので、弟と一緒にお菓子を持っておやつ時に訪問した。
 読み通りにプリンを無心に食べているのを見ると、なんだかとても愛しい。「100歳まであとちょっとやから頑張りや。」と言った分かってるのかどうか、とにかくうなずいていた。

●本日発売です。「麻倉怜士監修 いきなりハイエンド!ハイレゾ・オーディオ最強読本 2015-16 (アスペクトムック) 」
 『「JRiver Media Center MC20」を活用しよう』というタイトルで6ページ書いてます。ソフトの話だけではなく、OCと周辺機器についても解説し、一つのまとまりにしています。



2015年3月25日 日々是桂日
●少しくご無沙汰致しました。
 先々週は沖縄にいて、友人のクロックや電源関係のお手伝いをしたりしておりました。もう初夏と行っても良いくらいの温湿度で、花粉もなく体調は良かったのですが、帰ってくるなり鼻はむずむず喉はエヘン虫で、こらやっぱあかんわとつくづく思いました。

●工作も少し残ってますが、まだ寒さも消えやらずアレルギー持ちには厳しい季節なので、当分はお休みにしてせっせとCDリッピングしてストレージ環境構築に努めておりました。

●あまり書いてませんが、僕は中世、ルネッサンス音楽、とくにポリフォニーが好きで、CD/LPはかなりの枚数を持ってます。これらをどのようなフォルダ構成で収録するか、雑多な知識はあるものの、一度頭の中を整理してみようと、リッピングの傍らいろいろと本を読んでおりました。

●一方、少しでも数学を理解しようといろいろと読みやすい物を読んでいたのですが、数論では川端裕人氏の本がとても想像力を刺激してくれて、ピタゴラス学派では音楽も主要分野で、中世のスコラ哲学では音楽学は神の調和をしろ示すための学問であり、またリベラルアーツにも音楽と数学は含まれているので、このあたりも結構役に立ちました。
 いろいろと新旧雑多な知識しかなかったので音楽史の本でも新たな発見もあり、またリッピングする際にはラテン語やイタリア語、フランス語などの曲名にできれば日本語、少なくとも英語をつけるべくネットで検索し、iPadからワイスMAN301に入力するなどもやっておりました。

●多分厳しいだろうと思っていた仏マイナーレーベルがしっかりと日amazonに並んでいて喜んだり、見つからないものもありましたが、音楽のことをやっているのは本当に愉しく(オーディオは面倒だ)、久しぶりに至福の時間を味わいました。後日詳報します。



2015年3月12日 寝るぞお
●確定申告作業終わりました。明日から沖縄なので、郵送で提出します。

●今年は喘息もきつめで、睡眠も浅いみたいだ。沖縄で寝るぞお。



2015年3月10日 ハイエンドオーディオの話(3)
 ○メンテナンスとアップデート。
 ○末永く愉しむための選択とサバイバル。
●せっかく多額の投資をする「ハイエンドオーディオ」ですから、末永くいい音を出して安心して聞けないと困る。
先日友人が最先端の高性能DACを購入されたのだが、和文マニュアルはなく、ドライバー更新も海外メーカーサイトから直接やってくれ、で、しかもちゃっかり金額は上乗せしている。「どうせ国内で何もしないなら海外から買った方がすっきるするくらいだ。」と怒り目のお声でした。
 僕も今回別のDACについて知りたいことがあったのだが、代理店の担当者が分からない人だったので早々にあきらめた。
 これからは、どこからどんな風に買うか、も事前に十分検討されたほうが良い。

●今後のメンテナンスとアップデートについて筆者の例をご報告しておこう。
 僕が「ワイスDAC2」を香港に買いに行きKent Pooonとはじめて会ったことは以前書いたが、それこそ格安の香港ツアーで美味しいものをたらふく食べて帰ってきたし、同行した友人はスターアライアンスのゴールドメンバーだったので、空港でも宴会して帰ってきた楽しい思い出がある。
 とはいえ事前に各方面にリサーチはしっかりとした上で行った旅である。そのときはKentと英語で話したが、今やAsia WEISSには日本に留学していたスタッフがいる。日本側代理店が連携してしっかり対応しているし、アップデートはネット経由で301なら本体に表示が出る し、現在では事前に打ち合わせして、もし必要ならスイスから見てもらうこともできる。

●実はワイスの「Jason」と「Medea」という非常に高価なCDトラポとDACを以前ある別の代理店が扱っていた時期があるが、結局その魅力をうまく伝えることができないまま扱いを終了している。しかし購入されたユーザーは音の良さやワイスの実力を分かっている方ばかりなので、スイスが直接対応して現在まで、アップデートやFirewire仕様、最新のディスクリートオペアンプ仕様の「Medea Plus OP1BP」アップグレードまでしっかり対応している。
 またCDトラポ「Jason」も「Jason Plus」アップグレード対応しているし、PhilipsのCDメカは「ごちゃまんと」確保してあるので、ご安心願いたい、と言うことだ。

●また僕が使っているネットワーク・プレーヤー「MAN301 DSD」は確かにプライスタグは高いが、高すぎると思ったことは一度もない。高音質・高性能・多機能を考えると、大変リーズナブルだと僕は常々感じている。
 日本の代理店も香港と連携してしっかり対応しているが、メーカー側の対応が凄い。これはオーディオグレードのクロック発信器を積んだ特注マザボ上のLinuxが入出力やタイミングも含めて全てを制御している。なので内部の部品はケーブル一つをとっても換えるわけにはいかず、オーディオグレードのクロック発信器を積んだ完全特注のマザボも含めて、ワイスが部品を事前にストックしているのだ。
 生産予定全数+補修用の必要数をあらかじめ確保してあるので、その固定費だけでももの凄いことになる。確かにプライスタグは高いが、相当数が売れて初めてペイしていく厳しい事業スキームを前提として、時代の最先端プレーヤーとして取り組んでいるのだ。

○おまけに当初から余裕あるハードウェア設計の中で、ソフトウェアはOSのコアであるカーネルさえリアルタイム化してアップデートしているのだ。(全て無料)
 現状でもインターネットラジオや契約さえあればストリーミングも対応できるので、今後の諸変化に対しても、これが一番重要だが「高音質を保ったままで」対応していけるわけだ。

●これは単なるPRではない。変化の速度とギャップ(ある日突然その方式や製品がなくなることも含めて)を考えたときに、「サバイバル・オーディオ」という観点がなければ、僕ら自身が保たない、という前提でリサーチを続けている中で出会った現実だ。これからは「選択と自己のオーディオスタイル確立とサバイバルの時代」である。

●さて堅い話はこれくらいにして、素晴らしいBoxSetをご紹介したい。3枚組のチック・コリア「Solo Piano Improvisations/Children's Songs」。Piano Improvisations vol.1の1曲目「Noon Song」をまずお聞きいただきたい。1970年代の風が実に薫り高く鮮烈に吹いてくる。
 若きチックの志とパワーが伝わってくる。「Children Song」などドビュッシーを聴いている気にさえなるときがある。是非お手元に確保しておいていただきたい。ただし筆者の手元にあるのは2010年Copyrightのボックスだ。

●以前同じ紙ジャケ仕様のパット・メセニー「ファースト・サークル」で「2008/10/28」を買ってあまりに音がショボかったので、やや高価だったが「1999/11/16」を買って一安心したことがある。
 もうECMでさえ、「ADD」つまりアナログ録音のCD再発版はプレス年によっては買ってはいけないのだ。これからは音源入手も「選択と自己スタイルとサバイバルの時代」である。



2015年3月8日 ハイエンドオーディオの話(2)
●前回書いたように、ハイエンドオーディオ・スピリットというのは、「1点もゆるがせにせず、一つ一つ確かめてできるだけ良い部品や回路を選び、構成する。」という事に尽きると思う。デジタルも含めていわばアナログ的世界では、求めれば切りのないことだということも言えよう。

●そしてくせ者なのは、「ハイエンドオーディオ=高度で複雑な回路=アルミ削り出しなど精緻な構造と物量=ハイコスト」という「常識」の方だ。

●まず、とりあげたいのは、これは「高度成長期のバブリーな慣性・惰性」と実に重なっている部分があるのではないか、という事だ。「いずれは良くなる」という「右肩上がり成長信仰」。中身がスカスカのアベノミクスが走り出したとき、これで少しは取り返せるかもと尻尾を振って飛びついていったのが、その丸わかりの構図だ。
 「右肩上がり」の中には「結局オーディオはハイエンドに尽きる」とか「グレードアップ」というものもある。しかし、産業の変転が著しく、終身雇用で給与が上がり続けるのはもはやない世界で、「次はこれを買って」みたいな流れはとうに失われている。おまけに若い人たちにはお金がなく、気軽に買える価格帯の製品は、メーカーが従業員一人当たりの収益を優先して機種も絞られているから、世代のバトンはもう吹っ飛んでしまった。

●つまり「ハイコスト」が意味するのは「ハイ・プライス・タグ」だ。10万円の製品を1,000個売るのは社員の手間も大変だ。では1,000万円の製品を10個売る方が、会社的には効率が良い。
 当然輸入代理店の場合も限られた社員数で収益を上げるには、高単価のエキゾチックな製品を輸入して少数の顧客に売る方が効率が良い。

●そしてお金があるのは誠にうらやましい限りだが、金満=自己マンである。札びらで一見ひれ伏せさせて気持ちよさを味わうが、結局はいろいろと吹き込まれてメーカーや代理店の広告塔に成り下がっている自覚もない。まあマーケット的にはありがたい人々だが、金満=自己マン風を得意満面でふかされると、やる気が失せてくるのは僕だけだろうか。

●繰り返すが僕は「ハイエンド・スピリット」には強い共感を持ち、これからも勉強させてもらうつもりだ。その中には確実に進歩という成果がある。ただ、「ハイエンド」という綺麗な看板の中にうごめいている様々なものを見抜く確かな目が必要だと言うことだ。
 オーディオ全体もよく見えず地図も書けない中で、「良いときもあれば悪いときもある。」というふうに柔軟に考えて、家庭で良い音楽を良い音で聴く、そのためには「ハイエンド」含めて、これからIT環境も踏まえて様々な機能・音質・価格の製品を柔軟な対応で供給されることを願ってやまない。
 でないと中老年は少しずつ死ぬなり活動を低下・停止しつつある現在、確実に縮みと取り残される現実が待っているだろう。

●これはまだamazon.comにはあって、しかも安い。アンヌ・ケフェレック「Scarlatti: 13 Keyboard Sonatas」。鮮烈な音と柔らかい詩情。若さのほとばしりもある。あるうちにどうぞ。



2015年3月7日 MOOKの校正稿を出稿しました
「いきなりハイエンド!ハイレゾ・オーディオ最強読本2015-16 (アスペクトムック) ムック – 2015/3/27」

この中では「JRiver Media Center20の活用」記事を書いていますが、PCではオーディオ再生は等時処理で、速度よりもローノイズで粛々と安定した送り出しができる環境が第一であるとか、低速静音な光学ドライブ、音源ストレージの基本はUSB HDDなど、DSDへの変換はやってみる程度で良い、とさらっと6ページで御田ワールドを展開しています。他の筆者の中身は全く分からないので、ひょっとしたら面白い対比になっているかもかも知れません。

 さてLAN/ネットワーク原稿の仕上げにかかります。腹減った。



2015年3月6日  ハイエンドオーディオの話(1)
 わくわくしながら勉強した時期もあった
●僕は一部にアンチ・ハイエンドオーディオと思われているかも知れない。アンプや電源系は自作が多いし、改造もかなりしている。
 だが、実はハイエンドオーディオは大好きで、雑誌とかの特に海外メーカー製品の内部写真などは、それこそ目を皿のようにして見つめたものだ。実際、どんなパーツが使われていて、どんな構造で、などと興味は尽きなかった。もちろん様々な記事も含めて「ハイエンドオーディオ精神」というものを学んだと思う。
 それは「パーツ一つゆるがせにせず、一つ一つ確かめてできるだけ良い部品や回路を選び、構成する。」という事だと思う。アルミ削り出しがその象徴のように思われている向きはあるが、シームレスであると言うことのメリットやグラウンドの安定性は確かにある。しかし電磁波ノイズなどにはアルミも紙同然なので、やはりスチールが必要な場合もあるように、徹底した適材適所なのだと思う。

●回路についてはどうも高度な理屈で複雑な部品を沢山使った回路が良い、と考えられているのではなかろうか?では様々なオフセットや誤差をカバーするためのサーボ回路などはどんな意味があるのか?徹底した部品選別や例えば高音質なコンデンサ1個でカットする方が良い場合だってあるだろう。

●つまりハイエンドオーディオ=高度で複雑な回路=アルミ削り出しなど物量を投入した精緻な構造=ハイコスト、という「常識」が定着し始めたようだ。

●僕の場合は既製の管球アンプなどの改造を長いことやっていて、そうこうするうちにネット経由で、海外の高級パーツを楽に買えるようになってきた。使ってみるとどんどん音質が良くなってきたりして、中にはメーカー製ではこんな音は出ないよなあ、というのもあったりして、オーディオショーでわくわくすることがどんどん少なくなってきた。

●それやこれやで振り返ってみると、ハイエンドオーディオというのは、デジタルも含めていわばアナログ的世界で求めれば切りのないことに思えて仕方がない。(続く)

●さて各方面からCD紹介をどんどんやってくれ、と言う話なので、毎回少しずつ。このまえ書いたシンプソンもあっというまに売り切れたので、米amazonのこちらからお買い下さい。
  今日は引き続きSophie Watillonでマラン・マレのヴィオール曲集「La Rêveuse, & autre pièces de viole」。書いている時点では在庫1点だが、アメリカ辺りからの出品もあり、送料をにらむと米amazonより少しだけお得な感じがする。

 これは本当は「巡り会う朝」という映画を見ていただきたいのだけれど廃盤になってしまった。野心に燃える若きマラン・マレが田舎に娘達をつれて隠遁するガンバの名手、サント・コロンブに押しかけ弟子入りする。音楽映画として異例なほどの大ヒットとなり、大きな影響をフランス社会の各方面に与えたそうだ。

 このCDの最後には師に捧げるトンボー「Tombeau pour M. de Sainte-Colombe」が収録されている。トンボーというのは説明しにくいが英語だと「tombトゥーム」つまり墓標だから、「故人を悼む音楽」という感じだろうか。通奏低音のテオルボと彼女のガンバの演奏だが、途中でガンバが絶え入るように小さな音になり、少し間を置いてまた小さな音から再開する。ため息のようにも聞こえ、悲しみのような、消え入る命の揺らぎのような深い間がある。

 ガンバという楽器はチェロに近いサイズだが、チェロとは違う楽器だ。それはまたいずれ改めて。



2014年3月2日  超お勧めCD(仏「α」)
●気分を変えて、超お勧めCDの話に行きましょう。

●我が家に来られる方々からは「こんなのどこで見つけるんですか?」と1回くらいはお約束のように聞かれる。その筆頭の一つが、フランスのマイナーレーベル「α(アルファ)」だ。僕自身は大分前に「日本版Esquire」が付録CDをつけて特集したことから知り、それからマイナーレーベル漁りが始まりました。"ut pictura musica"というキャッチフレーズどおり分厚くゴージャスな絵画ジャケ、演奏家は必ずしも著名でないけれども腕は超一流。特に録音はユーグ・デショー(Hugues Deschaux)のようなワンポイントの名人が録っており、一聴広大な音場と厚みのある豊かな音でお勧め録音だらけのレーベルだ。

●特にこのイギリス・バロックの作曲家クリストファー・シンプソンの「Seasons Monthes & Other Divisions of Time 1 冬から春へ」は我が家で聴いた人が全員写真を撮るかメモる。それもそのはず、ソフィー・ワティヨン(Sophie Watillon)率いるヴィオル・コンソートの心地よい響きが、部屋いっぱいに広がっていく1曲目は誰もが目を見張る。
 1だけで後がないのは、素敵な笑顔のソフィー・ワティヨン自身がこの録音後40代の若さでなくなったからだ。いずこの国も才能ある良い人が若くして死んでしまう理不尽な世界のようだ。

●それとこれは絶対にお得なボックス「Bach/Concertos I to VI」。カフェ・ツィマーマンという腕っこきのアンサンブルが、ブランデンブルグはじめバッハのほとんどの協奏曲や管弦楽序曲を6枚組に納めて、ユーグ・デショーのとびきりの音と生き生きした切れの良い演奏で5千円台だ。
 買っておいて絶対に損はない。



2015年3月1日 日々できる範囲で努力する
●今日も本当は人に会いに無理してでも行きたかったのだけれども、体調不良で行けなかった。正直いやになってくるよ。

●例えばオーディオの将来は、かなりのシェアでTVやBDプレーヤーのHDMI端子に差し込む「HDMIスティック」になり、WiFiインターネット経由でそこからストリーミングするようになるかも知れないのですが、それで良いんですかねえ?
 と言ってもどうにもならないし。

●とりあえず手元のシステムから少しでも良い音を出せるように、日々できる範囲で努力する。そして音楽を聴く。
 規格違い・メーカー違いのSiCショットキーダイオードのブリッジを2組組み合わせる整流回路を、ワオン・レコードの小伏さんが「SiCタンデム・ブリッジ」と命名して下さった。用途により推奨の組み合わせが大体見えてきたかな。



2015年2月26日 友人達の息災と長命を祈る
●東京の友人が亡くなったことを、別の友人からお知らせいただいた。参った。

●かなり無理をしていて、酒も飲めなくなっていたので、厳しいとは聞いていたが、それでも年下に死なれるととても堪える。もう彼から電話がかかってくることはない。東京で会ったときにノンアルコールビールを前に語る彼の姿を見ることもない。どうしようもなく大きな欠落感がある。

●分かっているつもりで分かってない人がやたらと多いPC/デジタルオーディオの世界で、彼は「分かっている人」だった。お互いに数学もソフトウェアでもできないのだけれど、良い友人・知人達がいてイメージを動かして何とか理解しようとしていた。
 あきらめが悪い、とことん考える、という点では僕らは似たもの同士なところがあった。いろんなやりとりをして、アホな話もした。

●結局この数日は手作業に逃げてやり過ごして、飲んだくれた。3日ほど経つと左肩が痛み始めてきて、こんなことしてる身体でもバヤイでもないよなあ、とつくづく思って、仕事も再開した。
 この欠落感を抱えたまま、時には忘れ、また思い出し、少しずつ薄まって、そのうち自分もくたばって行くのだろう。

●遙かに離れている敬愛する友人達の息災と長命を祈る。できれば俺より先に死んでくれるな。できれば、で良いから。



2015年2月16日 フランスやベルギーのマイナーレーベル
●急ぐ原稿を期日通りに出せたのでほっと一息。ソフトの話だが、結構内容確認があって、開発側は掲示板が楽で良いかもしれないが、確認する側としては玉石混淆の内容を英語で読まなければ行けないのは面倒で、最終的には実機で動作させて確認した。まあ、あの6ページだけはMOOKの中で別世界になるだろうなと思うと少し愉快だ。

α、naive、Zig-Zag Teritoires、Mirare、Fuga Libera、cypres、Opus111
 これらはフランスやベルギーのマイナーレーベルでどれも良い演奏と音質です。なかでも「Opus111」はERATOのエンジニアであったヨランタ・スクラが創設したレーベルだけれど、彼の引退でナイーヴ傘下に入った訳です。
 とりあえずはファビオ・ビオンディが率いるエウロパ・ガランテのヴィヴァルディ「四季」を含むBoxSet「Vivaldi / Biondi, Europa Galante」
 これはnaiveからでているのはリマスターみたいで、$20.90。

 旧Opus111から出ていたセットが出品されていて、こちらは$30.18だが、送料はamazon.comよりも高いかも知れない。

 いずれも「四季」1枚買うのに少し足すくらいで4枚買える。

●傅信幸さんが実演を聞いてぶったまげられたというジュリアーノ・カルミニョーラの「四季」は演奏が凄いが、SONYがあれこれといじり回した録音は好きになれない。
 ビオンディの四季はソロをよく歌わせる良い演奏、伸びやかな音で僕はかなり好きだ。

●naiveからはR.アレッサンドリーニ/コンチェルト・イタリアーノのボックスなど沢山出ている。amazon.comあたりでお買い得。



2015年2月13日 マイナーポエット
●言葉で何かを伝えるのは難しいもので、それでもうまくいくときにはジャストな言葉を伝えることができる。

●しかし大きな物事では、人により見方も立場も違うだろうし、その全体像をとらえて共有することはかなり難しい。その中には語らない方が良いことすらありうる。
 そんな時はオルタナティブな別の視点があることを告げる方が良いこともある。リスクはあるが、違和感は思考の始まりになり得るからだ。マイナーポエットには、違う立ち位置からささやかな糸を紡ぎ出すのがせいぜいな業というものだろう。



2015年2月11日 有朋自遠方來。不亦樂乎。
●いま我が家では総リッピング真っ最中なので、床にCDケースが溢れているわけだが、大阪で時間ができたとのことで、ご多忙な名古屋の和田さん(pf:Wave File Player)が昨日我が家にトランジットされた。
 最近ずっとDACを探されていて、ワイスも聴かれたのだが、ソフトウェアの専門家だけあってPC部分はご自分でやりたいとのことで、最終的に選ばれたのは「Mytek Digital Manhattan DAC/プリアンプ」
 PC系だけでもUSB1.1/2.0、Firewire400と豊富なI/Oを備え、384kHz DXD/DDSD256 11.2MHzまで対応しているので、Wave File Playerの再生にも対応しているわけだ。電源が非常に充実していて、それが高音質につながっていることがよく分かるとのことだった。暖かくなったら聴かせて頂に遊びに行こう。

●当日は参考に音源をお持ち下さって聴かせていただいたわけだが、一方で話題のワンポイント録音のブルックナー8番(初回プレスほぼ完売)なども聴いていただいた。また、最近フランス音楽に関心ありとのことで、Anne QuffelecのRavelピアノ協奏曲2楽章などをはじめ、ストレージ内の音源を聴いていただいた。お勧めをいろいろお伝えしたので、新たな癒やしを見つけて下さると嬉しい。

●人間この年になってくると、会えるときに会多少無理してもっておかないとと実感としてひしひし感じる。過ぎてしまえば、また一期は夢だからだ。
 遙かにある友たちの命が皆長からんことを祈る。

●原稿仕上げなくちゃ。

●あ、RockDisk Next記事、ランキング2位まで上がりました。仮に返り咲き首位奪還したりしたら、一夜の夢でも嬉しい。



2015年2月7日 仏HMとNaiveのCD
●現在新しい電源を使ってストレージ環境を再構築中で、リッピングのために床にはCD入りの収納ケースが溢れています。



●そんな中、さらにHMVから仏Harmonia MundiとNaiveのCDが届きました。HMは2015年のカタログを全部見て欲しいものをHMVに注文し、一部はamazon.comに注文したもの。

●Naiveはなかなか素敵で、VIvaldiなど各種Boxsetもあって安くて美味しい。写真にのっているメゾのLeimeuxの「ChaussonのChansons Perpetuelles」柔らかい声は色っぽくて出色です。ChaussonのChansons Perpetuelles。聴くのが楽しみ。フランスの新しい演奏家達。ヨーロッパのマイナーレーベルは楽しい。

●ストレージと言えばパイオニアのN-70とN-50はUSBの外付けHDDに対応したのに、他のメーカーの頭のお堅いこと!USBメモリ挿せるならHDDと同じ「バルク伝送」で、ソフトの変更などは必要で若干のコストアップになるだろうけれど、ユーザーが格段に使いやすくなる。第一同価格帯レベルならLAN/ネットワークの制約を受けるNASよりも、USB HDDの方が音が良い。
 多少値は上がってもこれで沢山売れたらメーカーも潤うし、輸出にも向くと思うんですけどね。マランツのNA11S1あたりUSB HDDが接続できれば、ストレージ作りはぐんと楽になって楽しいと思うのに。ホントに頭がお堅い。



2014年2月4日 半田ごてから見た電子工作の今昔
I/O DateのNAS「RockDisk Next」の記事は現在ランキングの4位にある。嬉しいことです。

●最近電子工作をする人が減っていたり内容が変わりつつあるのが、amazonなどで半田ごての品揃えを見ていると分かってくる。僕が愛用しているのは白光のNo.456(60W)と既に生産完了したNo.455(40W)。何の機能もないハードボイルドなしっかりした半田ごてだ。
 よく出ているのは温度調整ダイヤル付きや普段は20Wでスイッチを押すとその間だけパワーアップする、というようなタイプ。

●あるところで、はんだの溶ける温度にダイヤルを合わせているのにうまく付かないという記事を読んで笑ってしまった。そりゃあくっつける先の部品が熱を奪うから、それぞれ半田付けする処に合わせて温度を変えなきゃいけないのは当たり前のことでしょう。
 それと例えばスイッチ類などは樹脂が金属接点を支えているので、熱を加えすぎると溶けて駄目になってしまう。だからワッテージの低いこてで丁寧につけるという人が多いが、これは大間違いだ。僕はまず配線を端子に強くからげたりカシメたりして、60Wを使ってできるだけ短時間で流し込む。

●半田にもアモルファスとか高級な「ハイエンド」半田があるが、こういうのは概して融点が高く綺麗に半田付けするにはかなりのテクが要る。この辺りは例えばケスターとか好みの問題でもあるが、僕はWBTの銀入り無鉛はんだを愛用している。これは「操作性」の高さがとても良い。つまりさっと溶けて部品間に流れ込み、はやく固まる。溶けている間に部品が動いて「す」ができたり、半田不良になっているケースはとても多いと思うので、操作性はとても重要だ。音質がどうこう言う人もいるが、しっかりした半田付けが第一で僕は考えたこともない。

●HakkoのNo.456(60W)とNo.455(40W)は調節機能がないので、コンセントBOXを自作してそこにシーソーの電源スイッチをつけてこまめに入り切りして温度を調節する。表面の色や状態や半田をあてた時の溶け具合で、それが分かるので、温度は2台のコテで調整する。微細な部品は別途25Wを使うが、大抵はこの2本で足りる。

●大きいワッテージのコテが売れないということは電源やアンプなど大きめの機器を作る人が減っていると言うことだ。
 デジタルにせよアナログにせよ、結局は電子回路が分からなければ、まず分からないと僕は実感で思う。はてさて。

●ちなみに僕はいわゆる自作派ではなく、欲しいグレードの機器がないから頑張って作って試しているだけです。



2014年1月30日 いつのまにか返り咲いて現在ランキング6位
●昨日も今日も寒いのだけれど、気功というか筋トレが功を奏したのか、この2日間凝ってるところはあっても腕とか肩の痛みがない。これはこの冬始まって以来だ。もう少し頑張ってみよう。

共同通信のGaudio/PC Audio fanサイトに掲載予定の「LAN/ネットワークの使いこなし」記事も詰めなければならないのだけれど、この世界変化が早く、「眺めせし間に」という感じです。
 I/O DateのNAS「RockDisk Next」の記事が、いつのまにかチャートに返り咲いて現在ランキング6位です。単独製品の紹介的記事としては珍しいロングヒットで、この方面の需要があるのは分かりつつ身は一つなので、「ま、いっか。」とともかく急ぐ方の原稿に着手しています。

●どうも音源を紹介するのが喜ばれるようなので、CDを一つ。
 Bayerischen Rundfunks、バイエルン放送交響楽団はバイエルン国立管弦楽団(Bayerische Staatsorchester)とは違い、放送専属オーケストラのようだが、これはBR-Klassikという独自レーベルのCD。
 放送局がバックだから録音もこなれたもので、ハイティンクのマーラー9番は先日紹介したアッバード/ベルリンの少しミッシュマッシュな音よりも、雄渾かつ骨太なうねりのある音になっている。第1楽章など本当に美しい歌だ。

●多分今年はかなりの無理をして海外に行ける最後の年になりそうなので、もしも可能ならばコンセルトヘボウにも行けたらと願っている。というかへろへろになって飛行機を降りて、ウイーンに長めに滞在して疲れたら休む、という無駄の多いマイペース旅にしてしまうだけの事ですが。



2015年1月29日 メタデータはおまけ。JRiver for Linuxもおまけ。
●音を確認しながら、リッピングなどストレージ環境の整備をやっています。
 調整をどこまでやるか、どこで止めるか、考えながら、片っ端からCDをリッピング。ワイスのリッピング速度が当初からかなり速くなっているのが、ありがたい。
 メタデータはなかなか完璧には行かないが、「メタデータからは音は出ない。まあおまけと考えよう。」と割り切る。

●急な原稿依頼があり、その関係もあって、またJRiver Media CenterのWindows/MacOS/Linuxの3バージョンを使える「マスターライセンス」を、1OS分の料金で買える割引購入が昨日までだったので、MC20のマスターを購入しました。
 3つのOSにインストールしましたが、さすがにLinux版がUbuntu Studio 14.04LTSでちゃんと動くか気になったのでこれだけは動作確認しました。
 本来は32bitのDebian用のモジュールなので、先にi386の32bitモジュールをいろいろインストールして、それからDebian用モジュールを入れます。一発で起動してきたのは嬉しかったのですが、肝腎のライセンスが入力できない。数字が表示も入力もできないとは、どないなっとるねん?
 途中で起動前に「Read Only Modeで起動する。変更は終了後は保存されない。」旨のシステム委表示が出てきたので、「やっぱり!」とため息。あくまでUbuntu14.0LTS/14.10のサポートだそうで、Xbuntuなど派生Ubuntuは「多分OK」だったので、「まあUbuntu StudioはデスクトップもXFCEベースだしなあ。」とあきらめモード。
 サウンドはALSAベースのようで、14.10ではALSA/Firewireがリリースされており、いずれ14.04にもバックポートされてくるようなのでまあ気長にまいろうかと。これも「おまけ」と考えよう。



2014年1月21日 Music steps into my room, and here comes air breeze.
●今年2回目の更新です。昨年末以来気分が晴れず、あまりパワーが出ません。

●この間沖縄に行って友人達と会ったり、オリジナル・ノーチラスのお引っ越しに立ち会ったりで、何とか充電しつつあります。

●へとへとになりながら何とか片付けようと、我が家のWindowsファイルサーバ2台(AS Rock Z77E-ITXとAS Rock Z87E-ITX、いずれもCPUはCore i 3)がフルに動ける電源&ストレージ環境を確保しました。次はクロック電源の再構築。
 商用電源からどれだけエネルギーをロスなく取り出せるか、整流回路の重要性、様々なノイズ対策、高域応答性やスルーレートの確保。SiCショットキーバリアダイオード整流回路のノウハウが大体分かってきたので、本格的なお楽しみはこれからです。
 Music steps into my room, and here comes air breeze.

カッサンドラ・ウイルソンの『Traveling Miles』。「Run The Voodoo Down」なんか格好良いよ。個々の楽器の存在とそれぞれの音量や音色の変化が手に取るように見える。
 「そんなの当たり前じゃん。大したことない。」とか言うであろう録音に詳しくない方も多いので念のため。
 マルチマイクで、しかも全ての演奏をを同じ場所で同時に録らず、コンソールなどで主に音量差で定位を割り振って、リバーブなどで一体感を持たせにいく、なんてのがほとんどなので、そのあたりの仕掛けがガチに見えてくると言うことだ。

●もう1枚。マイクの数の多さでは定評ある独Grammophon(Universal)のアッバード/ベルリンフィルのマーラー9番。でかいオケの中に前後左右各所にマイクを林立させ、演奏は同時に収録する。同時収録なのである程度の一体性はあるものの、ワンポイントのような全体音場感はない。スタジオではコンソールなどでステレオにミキシングしていくわけだが、そうなると前後感もほんの少しあるものの、やはり各楽器が主に前方に柔らかい繭に包まれたような感じで併存しているのが分かる。その中で各楽器の音量が上り下がりしているわけだ。
 フツーはもっと塊的に聞こえる。



2015年1月3日 新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。

久しぶりの更新です。

●2014年を振り返ると喘息の通年化など健康が悪化したり、特に筋力の低下で半日以上の戸外活動は困難になってきたりして、欧州などの長期海外行きは厳しくなりました。

●しかしオーディオではユニークな情報発信ポジションにいるので、無理をせず細々と注目すべきポイントを発信して行く予定です。i/O DataのRockDisk Nextの記事が共同通信サイトで約2ヶ月もチャートインし続けたのは、単独製品記事としては異例でネットワークがらみの読み物としての需要があったとの編集部の話なので、次の「LLAN/ネットワークの実際と使いこなし」記事に注力します。
 その次は「電源とノイズ」でしょうか。高級な市販電源タップやケーブルを使う方ほどグラウンドループを発生させやすいとか、まあいろいろあるんですが、全然知らず気にもしてないのどかな方が多いので、どうしましょうかね。

●今年はダニエル・ワイスが訪日する予定なので、どんな話を聞けるか楽しみです。

●我が家では何か音質改善手法を見つけると、反映できるものは全システムに反映ていきます。なので、我が家では生き物のように音が変わります。
 先日作ったSiCショットキー(2組パラ)+BlackGate VKのパワータップをWindosファイルサーバにつないでみると、「嘘だろ〜!」という大変化。



 なので、サーバ2台、同サーバ用HDD2台、計4個分のパワータップを製作中で、ちょうどストレージの入れ替え時期に当たっていたので、てんやわんやでした。
 HDDは日立GSTのサーバ用2TBを試しています。音楽ファイルはサイズが大きいので、HDDアクセス軽減・音質改善のためクラスタサイズ最大(64K)でNTFSをフォーマット。

●まあ、こんなかんじで日々音楽をどれだけ充実して聴けるかに、ぼちぼちと工夫を凝らし続ける日々でしょう。










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