2008 Part2
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('08.12.31)さて今年も最後になりました。

 振り返りますと、本当に変化の年でした。経済は言うに及ばず、万年不況のオーディオ業界では誰も気づかぬうちにデジタル・コンテンツが大変化を始めており、果たしてこれについて行ってちゃんとスタイルを確立していけるのか、飲み込まれてしまうのか、よく分からなくなってきました。
 でも考えてみればバブルの爆発に2度も出会い、LPそしてCDとメディアの興亡期にオーディオをやっているとは、結構面白い人生かも知れません。
 個人的には小なりとも雑誌にスペースを戴くようになった事が、とても大きな節目でした。もとより非才ですが、肩に力を入れすぎないように、しかし努力しようと思います。

 友人達の存在は本当に有り難く、深く感謝しております。滅多に会わなくても、たまのメールに心が通えば大きな支えになります。深謝。
 新しい出会いもありました。香港のKentとはあれよあれよという間に、事が進み始めましたが、グローバルな時の勢いというものは国が違えどあるようです。
 自分の知っている事など限られたことだと知ること、お互いのいろんな可能性を尊重すること、なによりも多様性が育つ環境を大切にすること、そこから育っていくものを大事にしたいと思います。

 皆様、今年1年本当にいろいろとありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。 


('08.12.30)今日はいろんな段取りや手配をしてから、1月11日のリニア電源製作講座のテキスト作りをした。人に「勉強せえ。」と言うだけでなく、自らもその役割を担おうとしているわけで、もちろん教えられる人数には限界がある。しかしネットで読んだりして頭だけで「分かったつもり」になっているのと、一から自分でパーツ選定して製作できるのとでは、実際にはもの凄いレベルの開きがある。それには全体の考え方を基礎的なレベルであってもはっきりと一貫してたたき込まねばならないし、言葉だけでなく、手も動かさねばならない。
 本人にとって見れば「ああ、こういうことだったのか。」ということでも、それは過ぎたから言える事であって、それにはやはり手ほどきがあった方がスムースに決まっている。僕も随分と無駄なトランスを買い込み、ヒューズも飛ばしたが、そういう紆余曲折を経ないと分からないこともいっぱいあるのだ。

 テキストには結構難しい話も頭出しし、参考文献も示しているのでその後も勉強する気になれば勉強できるようになっている。1日で出来る事には限りがあるのでそうは欲張ってないし、第一僕だって勉強途上です。生涯是勉強。
 さて、年が明けたら「バラックセット用ベース」を作ろうか。パーツを付け替えて音の違いまで聞き比べるには、そういうセットが要ります。


('08.12.29)【PCオーディオ雑感】
ハイ・サンプリングレートやハイ・ワードレングスのデータをどう呼ぼうか?こういうのは個人の思いこみだけで決めても普及しないので、整理をちゃんとする必要がある。
 ハイレートでは24/44.1などが入ってこないし、最近のヨーロッパ録音業界ではSRC(サンプルレート変換)は避ける方が良い、という意見もかなり強いらしい。実際に聞いてみても今後24/44.1は一定の地位を確保すると思うので、ハイレートという呼称は避けよう。
 となるともともと日本にはあってなきがごとしコンセプトなので、アメリカがらみになってしまいますが、そうなるとHD、Hi Res(High Resolution)Hi Def(High Definition)辺りです。HDだとAVのHDオーディオと混同されるのは馬鹿馬鹿しいので、後は語感の柔らかさを考えると、とりあえずHi Resでしょうか。


■ちなみにKentはブログで、Jazz3のデータで24/96と24/192の2種を何故両方とも入れたか、という理由について「ユーザー側でSRCすると音を汚染(pollute)するので、それぞれのフォーマットで別途収録した。また、それぞれを比較して聞いて欲しかったこともあります。」と書いてます。
 来年は僕もWEISSのソフトウエア・エンコーダーを使ってみようかと考えています。dCS924などと比べても圧倒的に安いし32bit floatで性能も上ですからね。寝ている間に変換出来ちゃうとか。

PCオーディオでマルチをやるとしたらやはりFireface系の業務用機器が良いだろう。ワイスならAFI1とDAC1 Mk2が良いだろうが、DAC1-Mk2は2chしか出力できないので、5.1マルチなら3台スタックすることになります。高~!しか~もAES/EBUケーブルの質がもの凄く影響するので、さら~にコストアップを覚悟しないと行けない。とりあえずAFI1と手持ちの2chDACで始めてそれからマルチについては様子を見て考えていくというのは賢い方法だと思います。
 一体型で行くならPrismSoundのOrpheusあたりだろうが、なにせ百万仕事なのでおいそれとは飛び込めない。しかしPCM系のマルチは可能性十分なので、今後様子をちゃんと見ていかなければ、と思っている。

、Hi Resの、しかもマルチをやりますとデータ量が非常にでかくなり、さらにでかい非圧縮のWAV/AIFFで転がすCubase /Nuendo系でも今まで起こったことのない様なトラブルがちょっとしたトラックパッド=マウス操作で起こるときがあります。やはり6chですから一時にかかるマシンの負荷が非常に大きいのだと思われます。言い換えればハイパフォーマンスで安定したマシンが必要になります。

 現在のCPUの方向はクロックアップではなく、マルチコア・マルチスレッドですから、CPU速度によるノイズはそれ自体としてはさほど増えないでしょう。ならば、速度をまず問題にすること自体が旧パラダイムになりつつあり、従来の「低速静粛マシン」の時代は終わったのではないかと言う気がします
 勿論、静粛大前提で、ノイズ対策はちゃんとやり、消費電力は出来るだけ低くすべきですが。これからはマルチコアの内、どれだけDAWソフトを割り当てるかとか、新たな悩みが生まれてくるのでしょう。そしてSSDがメインのストレージとして定着していくのでしょう。早く安く安定して高性能になって欲しいモノです。


('08.12.28)お茶の水で「Fireface 400で聴くPC AUDIO CONCERT Vol.1 @ Studio K's」をシンタックス・ジャパン主催で開催。やっぱり「聞いてなんぼ」の世界で、聞かなきゃ分からない事もいっぱいあるので、PCオーディオの普及に向けてこういう努力は大事だと思う。知識だけではなく、こういうプロモーションの役割も凄く大事なので、それぞれに努力が求められる訳です。
 CDと音源の24/96 Hi Res データとの聞き比べもあるらしい。関心のある方は是非脚を運んでみてください。

いやあ、ここに書いてることは実際にやってることの何分の一だろう?動作を確認して、音を確かめて、使い勝手を確かめて、などなどあちこち溢れる情報をインテリジェンスに集約するために足元を固めていく作業はいっぱいあって、駄目なモノは切り捨てて成果のあるモノからセレクトすると書くことはどっさり減る。まあ、配慮で書けないことも結構ありますし。

 でも、その過程は決して無駄ではなく何処かで活きるのですが、何はともあれ時間を取られます。いろんなフォーマットを取り混ぜて聞くといちいちクロックを切り替えて、Nuendo4からインターフェースも触って、とその煩雑さはおびただしいモノがあります。「こりゃー内部クロックで自動追従するDACでなきゃ『モニター』には使えんわい。」というエンジニアの気持ちがしみじみと分かります。万能の機器などないことはよくご存じの通りで、別にモニターから出るが音最高の音でなくても、エンジニアはその傾向や癖が分かっていれば、音の善し悪しは判断できますからね。「大事なのは最終の製品」であって、その点が「出る音が全て」という僕ら「聞き専」との違いですね。

 ま、年末年始はゆっくりしたかったのと、何処で引っかかって時間を取られるか分からないので、少し前倒しで作業しましたが、現段階では仕込みは完了しほぼイメージが見えてきました。やれやれ。
 そして夜中にFF400とヘッドフォンでビールなど飲みながら、ラリー・コリエル、バディ・アサド、ジョン・アバクロンビーの「スリー・ギターズ」など聞いてると、ああギターの音って良いなあ、と思わずにんまりと笑みがこぼれます。ブラジルのアサド兄弟の妹のバディはヴォーカルと言うよりもスキャットを随所で歌いますが、これがとても気持ちいいのですね。(あ、勿論聞いているのはCDではありません。)


('08.12.27)お約束の「DAT関連のお話と、それに気づかせてくれたこらまた凄いCDのお話」でしたね。

 「スペイン・ギターフェスティヴァル」の仕事をお手伝いしたことがある「アルケミスタ」レーベルから、ワオン・レコードの畏友小伏さんが「レーベルの販売権と数タイトルの原盤権を引き受けて発売開始しますよ。」との話だったので前から関心があったニコラウ・デ・フィゲイレドの「バッハ・チェンバロ曲集」のCDを送ってもらった。
 いや、凄い!何とも濃い演奏で、スコット・ロスを思い起こさせるが、やはりその弟子だったそうな。建築的で溢れるような自在で明晰な演奏。そして音も分厚くて濃い!小伏さんに問い合わせると、「DATで収録しているのだろう、データ変換をかけない方が素直で良い音がする。」との話。
 このCDももう1枚のCDもあと数十枚で販売終了し再発予定はないらしい。今年聞いた中ではラヌー「フォルクレ・チェンバロ曲集」(仏ZigZag)と並んで実にインパクトあるチェンバロだった。何やらセールもやってるので、一度サイトをご覧あれ。

で、我が家のDATデッキ、パイオニアのD-07Aを思い出した、という次第です。そういえばCDからDATに落としただけで音が良くなって不思議に思ったことがあった。ベータカムといい、直接接触メディアにはそれなりのメリットがあるのだろう。そういえば録音原盤をべーカムからCD-Rに変更するのに元の音とのデータ確認や長期保存の観点から警鐘を鳴らしていれたエンジニアがいたっけ。実際、あれだけ音がころころ変わるんじゃKentのように自分で責任持って焼くっきゃない、という話にもなるでしょう。

 とにかくDATデッキを腐らせておくのも勿体ないし、何かと遊んでみようと思い立ったわけです。但しデジタルでは同軸での入出力しかないので、ワイス君のクロックはAES/EBUでかけるしか方法がありません。そのためのケーブル探しですが、モガミ辺りを試そうかと思ってます。S/PDIFはWonderLink1もありますしね。


('08.12.26)短時間ですがDTR179Wを聞いてみました。少し小ぶりなサウンドステージですが、実直で芯のある音です。ベルデン1506AやアポジーWide Eye あたりよりずっと良く、中途半端に高価なケーブルを使うよりもずっと良いかと思います。ワイス君の内部配線にも使って見ませう。

ほぼ同時に多分DH Labs製だとおぼろげに記憶するAES/EBUケーブルと余り物のノイトリック・XLRプラグで製作してクロックケーブルに使ってみましたが、こっちはサウンドステージは全然出ないし、低域は膨らむわで聞く気になれませんでした。ここからクロックをとって東芝RD-Z1からTOSリンクで出力して聞いてみましたが、そんなこんなで音は大したことなく、やはりディスクに焼いてMacBook Pro で再生する方はずっと良いと思いました。まあRCA端子を譲るわけにはいかないんで仕方ないですね。
 とはいえ事情あって、クロックケーブル用に安くて音の良いAES/EBUの切り売りケーブルを探しております。

昨日IOデータのブルーレイ・ドライブがようやく届きました。ドライブ関係がやたらと安い南米密林からです。
 で、はりきって先日SACDマルチお薦めでもご紹介した「トロンハイム・ゾリステン/ディヴェルティメンティ」のブルーレイ・ディスクを入れると、Windowsはサポートしているデータ形式ではないと拒否。どきっ、悪い予感。Macでみると一番大きいデータは.bdxvというブルーレイビデオの形になっているらしい。「video only for menu guide」とあったので、メニューだけがビデオで出て24/192ステレオ&マルチのデータはLinearPCMつまりはデータかと思いこんでおりました。いろいろやったのですが、結局データの抽出は出来ませんでした。お騒がせして、誠にすみません。<(_ _)>
 それにしてもバンドルのWinDVDでも24/96にダウンコンバートして音声出力するし、24/192のまま高品位で音声出力できるBDプレーヤーも限られるだろうし、SACDは2chもマルチも素晴らしいのでやっぱ素のデータで入れてほしかったです、2Lさん。う゛う゛。

 でもさすがにUSB2.0で接続しても、BDドライブ&WinDVDでのDVD再生は非常に密度たかく綺麗でPX760Aも負けており、こりゃまたなんか考えにゃいけんわ、と思わされた一幕でもありました。

 明日は来年集中的に試そうと考えているDAT関連のお話と、それに気づかせてくれたこらまた凄いCDのお話。


('08.12.25)メロー・クリスマス!ハードな話が続いたので、久しぶりにコンテンツネタを。

 スガシカオは僕の中ではかなり特異なポジションにある。

 音楽を聴いていても生活をしていても、心や身体のなかに澱(おり)のようなもんが溜まっていくので、そういうときはバルトークやニールセンのような硬派な音楽を聴いてリフレッシュする。スガ・シカオはそういう硬派さと、はまってしまわないようにこれまで注意深く避けてきた毒や闇のようなものをしっかり併せ持っている。おまけに「おお、そう来たかね~。」と楽しませてくれるエンタテイメントでもあって、こういうのはちょっと他にありません。

 好きなのはなんと言っても「黄金の月」。デビューアルバムの「クローバー」からですが、これはコンプリとかいっぱいかかってますが、まあフツーの音です。まだデビュー盤であまり経費をかけてなかったとしたら、それが音的には幸いしたかも知れません。といってもオーディオ装置でしっかり聞きたいねん!、というほど良い音でもありませんが。
 好きな「アシンメトリー」
(カラオケレパートリーでもあります。どーでも良いことですが。)が入っているので買った「smile」は、しかし、録音スタッフも殆ど同じなのに、ProToolsが使われているせいかどうか、さらにコンプリ塊りの結構ヒリヒリする音です。これはいいステレオで聞くのは、かえって辛い。で、CDを買わなくなった。

 で、最近はどうしてるかというと、WOWOWなんかでヴィデオクリップを録画して、それをたらたらと見て聞いてるのですね。これがたらたらとして楽ちんで、音もそこそこでまたよろしいんですわ。そういえばドラゴン・アッシュもそうやね。
 でも、同時代にもっといい音でオーディオで聞きたい!と思う大きな音楽がないとして、他の世代の音楽はお勉強になってしまったらこれは辛いかもしれんね。「拡散しつつある音楽状況」って表現をどこかで見ましたが、オーディオの側の問題もあるだろうけど、コンテンツの問題もあるかも知れません。わしも日本の良い音楽を良い音で聞きたいねんけど。

 閑話休題。スガシカオとバルトーク、ニールセンなどと僕の中で共通しているのは、聞きながらお酒を飲まないこと。飲むとバッドトリップする可能性があると分かってるんでしょうね。一番良いのは台湾辺りの烏龍茶かと。ひたすら明晰にしかしゆっくりと沈潜していくところがいと佳き趣きかと。


('08.12.24)最近少し気をつけているのは我が家の PCオーディオ再生環境はPCオーディオの可能性を追求していて、どちらかといえばスペシャルな要素が多い環境だという事です。

 ソフト的には、例えばMacBook Pro は起動時設定でexplorer.exeも含めて15本のサービスが立っていますが、これは相当なスリム化をしている状態で、フツーはここまで追い込まないと思います。(explorer.exeは効果的ですが、いろいろなソースを再生する関係上必要があるときだけ限り停止、という我が家のポリシーです。)また、Nuendo4、Cubase4のような高価なDAWソフトはそれ自体音質に強力な影響力があるのですが、これもLilith、foobar2000、iTunesなどフリーウエアが実際には一般的だと思います。(余談ですが、υLilith開発でハイレート化への対応・NT系OSへの特化が進んでいるのは興味深いことです。)

 ハード的にはMacBook Pro とOCX、Fireface400の電源には、ACから出川式整流回路withCPMを介してDC化された140Vがそれぞれのスイッチング電源に給電されますが、それ以外の機器は全てリニア電源ですし、原則各機器に1個Plitronのアイソレーショントランスを使用しています。
 信号ケーブルはFirewireのみですが、全てカテゴリ7LANケーブルを使用した自作ケーブルです。

 ですので、これは多様なPCオーディオの一つのスタイルであると理解されるようにしていかねばならない、と考えております。また、WEISS/SDAC2など機器の音質評価についてもその点を考慮しておかなければならない、と思います。
 とはいえ、試聴のために高額のCDプレーヤーを買う必要はないと思いますし、また、僕はCDプレーヤー否定派ではありません。各自が使いやすいものを使えばいいと思っています。但し、時代の波はその方向に動いていると考えております。

一方でオーディを巡る環境は非常に厳しいし、ますます厳しくなると思います。
 団塊の世代が退職金でオーディオ機器を買うのでは、と相当当て込んでいたようですが、見事に肩すかしのようです。
 いい音で聞きたい!と思う今の時代の音楽は?というコンテンツの問題もあるでしょうが、アルミ削りだしなど豪華な意匠で機器の高額化も進み若い人達の参入ハードルは高くなり、我々の世代はどんどん居なくなりマーケットは縮小すると思われます。
 このまま行くと「音楽は滅ばないが、オーディオはほとんど滅び、ネットの海の中に薄く拡散していく。」と言うのが僕の現在の危機感の底にある長期的な予測です。

 PCオーディオに取り組んでいる理由は高音質もありますが、皆がある程度共通してすでに持っている環境にオーディオを組み込んで行ければ、そしてその中で良い音の再生拠点を作っていければ、という思いがあるからです。
 いわば広大なネットの海に、オーディオという再生環境の灯台を造り確保していきたい、それが僕の志の一つです。諸兄よ、その灯りを絶やさないようにしようではありませんか。


('08.12.23)この間オーディオで頑張っていたご褒美でしょうか、アメリカのサンタさんから一足早い荷物が昨日届きました。サンクスであります。

 そのサンタさんがご家族の居ぬ間にAudioNoteのDACを改造されています。(Listening Notes-blog 「雨の週末のプロジェクト 1」Monday, December 22, 2008)

 デジタル入力のRCA端子をWBTのAg(うちはお金がないのでCuですう。)に換え、RCA端子~DACボードへの接続をVH Audio のPulsarケーブルに換えて、B+電源用ケミコンをBGに交換。ぐわんばってマスねえ。プロジェクト 1があるからには2もあるでしょうし。次はあれかな~?

jillartさんはじめ皆さんが楽しそうにデジケーの自作などなさっているもので、僕もDTR179WとカナレのRCA75ohmプラグ(クライオのおまじない済み)で1m作成しました。芯線は極細だし、それをピンに半田付けしてピンをケーブル側から端子本体に押し込まなければならないので、この部分に苦労しましたが、熱収縮チューブ補強と溶剤不使用・即乾硬化の肉やせしない接着剤(セメダインスーパーXG)を併用してまとめ上げました。
 もちろんワイス君は一発で192KHzまでロック。まあ、音はオカンが帰ってから聞いてみます。

 あと、大したものではありませんが、余りの110ohmケーブル(お安い海外メーカーでどこかは忘れました。)とノイトリックXLRでAES/EBUのデジケーを作る予定です。これは東芝のDVDレコーダーRD-Z1からの音声TOS Link入力時に、ワイス君のクロック同期に使う予定です。

 ほんとはDTR179Wのケーブルは機器内部の配線用と、友人達が必要としたときのために買っておいたものなので、来るべきワイス君の改造時に威力を発揮して欲しいと期待してます。

ワイス君シリーズはこれでひとまず打ち止めです。
 かのBob Katz が「Holy DAC」と読んでいたワイスの製品ですから、うむうむと思いながら取り組んでいたのですが、いろいろ触ったかいあって拙宅になじんできたのかワイス君は「Normal Mode」でさらに化けました。コスト・パフォーマンスは凄いですね。ムンドほどではないにしてもスイス製だけあって(?)中身は結構空気もあって改造はやりやすそうです。といっても、もうすぐ届くHiFi Tuning のヒューズを追加するくらいで越年予定ですが。
 それにしてもこんな小さな機器から、こんな音が出るなんて誰も想像もしないだろうなあ。


('08.12.21)■Kentの“Audiophile Jazz Prologue - Part 3 Limited Edition”がステサンに載りました。おお、よかったね~、快挙だよ!

 女性ヴォーカルとインストゥルメンタルのいろんなスタンダード。ヴォーカルとギター、ベースあたりがとても上手くて、良い感じです。ワンポイントなので、ドラムスは両マイクからかなり離れていて遠く、ギターはマイクに近接し、ベースは少し離れている、という感じで音場感の出るシステムで聞くと、ポジションがきっちりと見えます。
 曲的には一番最後の2曲「Afro Blue」と「Share and share alike」が好きですねえ。聞くよろし、買うよろし。

 CD-Rも1枚1枚スタジオで「手焼き」していて、ちゃんと測定結果も付いてるそうです。まさにハンドメイド。こっちも聞いてみたいもんです。


それでは WEISS/DAC2のレポートのとりまとめです。 
 
(注)本文でも触れていますが、今回はでデジタル入力端子交換の他は、本体下部にコーンとコーン受けを設置しただけで、他はいじっておりませんので、ほぼデフォルト状態での評価です。
 (改造したら激良くなることは分かっていますが、それは今後。)



MacBook Pro からのオペレーション・モードはNormalで設定できました。Safe Mode Level 1 に比べてもさすがに音質がかなり良く、これが本来の音だと思います。まずこの辺りでDAC2の能力を発揮できるかどうかの一つの分かれ目があります。
 Macでの音も良いのですが、我が家ではWindowsXP(32bit)をフルチューンしてNuendo4で鳴らしました。内部クロックの音も悪くありませんが、やはり高品位再生を目指して10MHz高精度水晶+Antelope OCXからワードクロックをS/PDIF入力でRCA端子に注入・同期して再生しています。
 左はクロック・ソースの選択画面です。











音質評価的には、圧倒的な見通しの良さ、広いサウンドステージと、その中での音の位置感覚が綺麗に立つことです。実際今までに聞けなかった音が聞こえてくるのは嬉しいものです。
 例えばセルジュ・チェリビダッケ&ミュンヘン響の1986年10月東京ライブでのブラームス4番のCDがあります。これまでどうも響きが広がりにくく伸びないことが不満でしたが、ワイス君はあっけなく広大なステージを聞かせてくれます。
 特筆すべきことはこのスペイシャスな響きに加えて低域がディープに伸びていることです。(Kentはアナログ増幅段のゲインが高く、いわゆるHotなアンプであることがこれに寄与している、と考えているそうです。ただ実際には音のダイナミックな伸びが凄いのですが、特に音量が高い、という風には我が家では特に聞こえませんでした。)
 だからチェリビダッケのライブでもホール感がかなり味わえますし、パイプオルガンなども凄い。もちろんウッドベースの床を這う感じも良く出ます。
 また単体DACとしての音質も素晴らしいと思います。

 いままで我が家でデモで聞かせてもらった機器もいくつかあります、具体の機器名は上げませんが、結論から言うとCDトラポ&DAC関係では当社比で最高の音でした。

そして決定的なのはハイレート・データの再生です。これはどのCDトラポでも絶対にかなわない世界が展開されていきます。空気感、そこで音楽をやっている、というリアル感、そして決して鮮烈な音というよりも、昔の38cm2Trackのマスターテープのようなナチュラルな生々しさです。ただし、38cm2Trackの分厚さとは違いやはりデジタル的な精緻さがあります。

特筆すべきは非常にシンプルで機能的な操作画面です。
 Windowsではタブが3枚あり、2枚目のAdvancedタブはPCの「オペレーション・モード」を選択するもので一度設定したら変更以外にはアクセスする必要はありません。



 3枚目のDPCタブDPCレイテンシ・チェッカーというソフトを走らせるもので通常は必要ありません。


 よって、1枚目の「バス(Bus)」タブで再生するコンテンツに合わせてフォーマットを選択します。Macの場合は1枚目の「バス(Bus)」のタブしかないというシンプルさです。
 Safe Mode Level 1 では44.1KHzで再生バッファサイズを288以下には下げられなかったのですが、Normalモードでは選択できます。しかしLINNのJudith Owenの24bitファイルなどではさすがにクリックルして使えなかったので結局128にしています。DVD音声など48KHzも同様に再生バッファサイズ128です。



















 問題はハイレート・データで、88.2KHz、96KHzともに一応安全を見て再生バッファサイズ512、176.4KHz、192KHzでは1024にしています。「大きいんじゃないか?」と言われる向きには、16/44.1に比べて24/192のデータサイズが何倍になっているかを考えていただければ、一度にバッファするデータの量も増えざるを得ない事がお分かりいただけるでしょう。




















デフォルトのS/PDIF入力のRCA端子はハイレートでクロックケーブルを選ぶので、全てのクロックケーブルに対応するためWBT NextGen Copper に変更しました。Kentは「DAC2はデジタル・クロック入力信号のアイ・パターンに敏感なので、WBT NextGenが効果あるわけです。」と説明してました。

 それとMinervaとの違いは脚=フット部分だそうで、DAC2では大きめの四角いゴムですが、全体に振動対策が必要と判断し、BDR(Black Diamond Racing)のピラミッド・コーンとラウンド・ピットを使って3点支持しました。ベースには13mm厚コーリアン、10mm厚アルミ合金2枚、岡山AC2特製の制震マットを敷いています。

で、総合評価ですが
1.広いサウンドステージと精緻な音質
2.簡易な操作画面、使い込みに耐える柔軟な機能と性能
3.DAC一体のコンパクトさと2ch専用というシンプルさ

と言う点で十分に推奨できる製品だと思います。
 音の良いインターフェースは欲しいが、PCの複雑な設定や操作は御免だ、という人には特にお勧め出来るものですし、各種フォーマットに柔軟に対応できますので、これからのハイレート・データ時代のハイエンド・オーディオファイルにもお勧め出来ます。


 手放しの外交辞令と思われても困るので、要望する点をあげると、さらに踏み込んだ音と言いますか凄み・ドスのある音、あるいは陰影や彫り込みがより濃くでると素晴らしいと思います。(個人的にはこの辺りは改造でさらにレベルアップしていく予定ですが、まあ当分はすこしずつやっていこうかと。)
 聞くところによりますと、日本ではこちらが代理店で、100V仕様・定価¥530,000(税抜き)だそうですが十分値打ちあると思います。

※この間Kentやワオン・レコードの小伏さんを始めいろいろとアドバイスを戴きました。
 また日頃沢山の人達に情報やヒントを戴いております。我が家のデジタルサウンドが前進したこの機会に、改めまして篤く御礼申し上げます。

 


('08.12.20)そういうことで我が家のPCオーディオは、ワイス君とFF400への2本の同軸クロックケーブル以外の信号ケーブルは全てFirewire400、つまりは「コンピュータ・データ」のケーブルだけになりました。(これ重要っす。試験に出ます。)
 まあFirewireでも音はころころ変わるんですけどね。

デジタルでは万全の信頼が置けるWBT NextGenですが、アナログ音声用には使いたいと思いません。75オームのインピーダンスを確保するには中心導体から外部導体までの距離が中心導体径の3倍あまりなければならず、それを稼ぐためにNextGenは外部導体を細切れにして螺旋状に延ばしています。中心コンタクトはともかくアース側が危なっかしいのですね。
 まあ、高いから気楽に試せない、ということもありますが。(笑)
 Airのチャールズ・ハンセンがRCAではCardas、XLRではNeutrickの錫メッキ導体のプラグが一番音が良いと書いてましたが、アナログ音声用にはCardasで行こうと思います。60W半田ごて必須です。

昨日ついでに、沖縄の友人に借りている大貫妙子の「アトラクシオン」ポスプロ・サンプル盤のCDをRに焼いていて、ようやく元のCDに非常に近い音のCD-Rが焼けました。日本橋で1枚890円で売っている太陽誘電のプロ用のCD-Rです。これをPremium2とPlexToolsのCD Copyでシミュレーション&ライト・モード、エラー検出レストア設定、4倍速AudioMasterで焼いて、ようやくです。いつもこれが最高とはもちろん限りませんので、今回・うちの環境では、という事ですが。
 音が良い悪いとか好き嫌いではなく、シンプルに元のCDと同じ音を得たいと思っているだけなんですが、今まで何十枚メディアを無駄にしたでしょうか?
 こりゃあ録音エンジニアがせっかく苦労して作った完パケをCDプレス屋さんに出すときにCD-Rで出したくない、というのはよく分かりますね。DDPファイルにしてDVD-RやHDDのまま、あるいはネットで送る(勿論ファイルチェックあり)など、いろいろ工夫するのもなるほどと思います。

 コピーするのでさえもこうですから、リッピングだって似たようなものです。(あ、これは理屈ではなく「実践」の結果からの実感です。)正直もうこういうメディアとはあまりおつきあいしたくないです。
 これからはデータで行きましょう。先日LINN Recordsから傅信幸さんが大阪ハイエンドオーディオショウでSACDでかけられたJudith Owenのアルバム「Happy This Way」を24/44.1FLACスタジオマスターというのでダウンロードしました。「なんで44.1なのにスタジオマスターなんだよ!」と思いましたが聞いてみると悪くないんですね。いろんな経験では24bitというのは効きます。

 16/44.1もレガシーになっていく時代がもうそこまでやって来ている。時代の足音が聞こえませんか?


('08.12.19)今回ワイス君の導入に当たって考えていたことの一つは、同軸のS/PDIFケーブルとRCA端子はできれば使いたくない、と言う事です。

RCA端子の規格のいい加減さは今回のクロックケーブルとRCA端子の件にもよく現れていますが、本来はBNCで行くべきだったのです。ではプロ用の110オームAES/EBUはどうかと言いますと、XLRプラグのインピーダンスはメーカーや機種にもよりますが約100オームでほぼ誤差と言ってもいいところにあります。
 じゃあXLRでやりゃあ良かったじゃん、という事になるかも知れませんが、Fireface400にはXLRのデジタル出力がないと言うだけではありません。

 
■レッドブック準拠のCDの読み出しにはCIRCというエラー訂正のシステムが備わっています。『しかし、残念ながらS/PDIFにはError検出はあっても、訂正や再送はありません。その場合は、別の通信手段でSink DeviceからSource Deviceに、再送を要求するしかありませんが、トランスポートやDACには実装されていません。したがって、S/PDIFは現状では一方通行、フロー制御、再送なしと理解しておいてください。』

 『実はHDMIのオーディオパケットもS/PDIFと同じですので、この機会に勉強しておくのもよいと思います。』

■というようなわけで、S/PDIF伝送には結構危ういところがいっぱいあるらしい。また、プロ用の場合でも、ずっとAES/EBUでエフェクト類やデジタル編集機器を接続していくと、タイミングが少しずつずれてくるのは致し方ないらしいです。ましてやS/PDIFの端子やケーブルの規格が全然守られていない現状では、音は出ているモノの大丈夫だろうか?という気持ちを持つのはお分かりいただけるのではないかと思います。
 よって、まずDAC一体型のデジタル・インターフェースを使えばこの問題からは逃れられる訳です。ワイス君の場合はこの点はともかくとして、クロック入力端子では逃れられなかったので、規格通りのWBTを使ったわけです。
 あるいはどうしてもデジタル・インターフェースとDACを分けたければ、例えばWEISSのAFI1やVesta、のようにXLRで出力できるインターフェースを選択するのが良いと思います

ついでに言うとケーブルの方も怪しいものが多いです。ワイス君の交換前のデフォルトのクロック入力RCA端子ではサンプルレートを上げていくとロックしなくなるケーブルが出てきました。

 AET SIN DG75が最初にロックしなくなり、次にWonderLink1、192KHzまで全部ロックしたのはBelden1506A+カナレRCAプラグの自作品だけでした。(XV2は貸し出し中。)

・AETは「デジタル・ケーブルとしては禁断とも言える非同軸構造を採用することで、従来品に比べ約150%もの断面積と表面積の向上を図ることができました。」ということで、75オームを歌っていますが、ある意味では確信犯的に音質優先しているのではないかという気がします。いや、実際いい音で僕は惚れています。(笑)
・WonderLink1はトータル75オームをギャランティしていますが、コネクタはM端子とRCAアダプタの組み合わせで、この部分のインピーダンスは必ずしもどうかよく分かりません。その辺が出たのではないかという気がします。
・Belden1506A+カナレRCAプラグは、カナレのきっちり75オームプラグが効いてると思いますが、残念ながら音は良くありません。

 よってHi Resファイルの再生を安心して行えるようにWBTに交換したわけです。
(わしゃCDだけでええねん!という人はデフォルトの端子で全く問題ありません。)
 あるいはいっそのことBNCに交換した方が良いという意見も出るかも知れませんが、クロックのレベルの関係などよく分からないのでとりあえずRCAにしたわけです。(笑)

■むやみにインピーダンスにこだわる必要は無いと思いますが、S/PDIF端子&ケーブルを通すと、どうも音のにじみや曖昧さが増えるような気がします。一方で、それが味わいや含みといったものに受け止められるのかも知れませんが、はじめてワイス君を香港で聞いたときに思わずKentに言った「like clear water from mountain side」(まるで山から流れくる清流のような)ともいうべき、何とも言えない見通しの良さ、空気感、清々しさを感じたのは、それなりに理由というか背景があっての事だと思っています。

 ぼちぼちDTR179Wをカナレのプラグで製作してみますかね。といっても細いケーブルでかなり工夫が必要なので、いろいろと考え中であります。


('08.12.18)「たもそ」さんのHP(12/17)で10MHzクロック(水晶)の電源をスイッチング電源・リニア電源と変えた場合の測定データがアップされています。

 この方面に関心を持たれる方は必見です。リニア電源に変えて数日暖機した後のさらなる変化とは?続編が待たれまス。

今日は朝からワイス君の試聴に入りました。

 昨日いろいろとMac側に仕込みをして、Nuendo4で聞いたらかなり良いのですね。次のOS雪豹で64bitが実現して、Windows側ではまだ32bitのままだったらこりゃMacに抜かれるかも、と思うときもあるくらい、厚みと充実感が良いです。しかし、空気感というか空間を感じさせる点ではWindowsの方が明らかに上で、あとはどれだけ厚みと充実感を実現できるか、と言うことになりそうです。

 そこはそれ、いろいろと手はありまする。で、またあちこち触ってしまいました。

■結局これで、周辺オプションとしての電源部やクロックはあるものの、
ドライブ+PC+再生ソフト+デジタルインターフェース(DAC含む)
という基本の4モジュールの形に落ち着いたわけです。
 でも、こんなシンプルな小さい機械でこんな音が出ているとは誰も思わないだろうなあ、と考えると少し痛快で楽しくなります。(笑)

WEISS DAC2の製品の特徴について整理しておきましょう。
 
○入力部にダブルPLLを用いたJET(JItter Elimination Technologies)PLLによるジッター低減回路
○入力に追随して44.1~192KHz・24bitまで対応
○ΔΣ8倍オーバーサンプリングの2chステレオDAC
○Windows&MacOS10対応(いずれも64bit対応)
○Firewireのデジタルインターフェースとしても、単体DAC(S/PDIF、AES/EBU、TOS)としても使用可能
○個別にレギュレーターを設けたリニア電源
○S/PDIF、AES/EBU、TOSの入力クロックに外部クロックとして同期可能、
などです。

 業務用機器に使われていたSharc DSPとアルゴリズムによるジッター低減回路は採用されておらず、これは業務用の多chのDACなどは内部でミキサー部などあるのでビットを稼ぐ意味でもSharc DSPが必要ですが、DAC2の場合は2chなので特に必要なく、同等の性能をJET PLL回路で実現できたのでそれを採用した、との事です。(すみません、以前間違ってお伝えした方がありました。<(_ _)>)

 DACは既製品のチップベースだそうで、この点についての質問にはDaniel Weissもうんざりしているようです。(笑)
「We use a standard DAC chip, but at least as important as the DAC chip is the surrounding analog and digital electronics. 」(我々は標準的なチップを使っている。しかし周辺のアナログそしてデジタル回路も少なくとも同じくらい重要なのだ。~拙訳)

 と言うことで、この辺の事情を汲んで内部写真の公開などはしないことにいたします。


('08.12.17)■昨日・今日はお勉強の日。そのうち画像付きで発表できるかも。

■ヤマモッさんとSkypeでいろいろ打ち合わせ。とにかく皆さん時代が変わりつつあるという事を分かってないので、音を聞かせるしかない、というお話とか、仕込みの話とか。うむ、がむばろ~。

■シンタックス・ジャパンのHPで『Fireface 800、およびFireface 400の最新のFireWire400ポートが搭載されないMacBook Pro(MB470J/A、MB471J/A)対応状況についてご報告』があった。チップセット&マザボがNvidiaになったグラフィック最重視の、いわゆるlate2008最新モデル。やっぱり今まで持っているlate2007までの旧製品を大事に使い続けるほかなさそうだ。
 あ、ドライバver.2.94でてまっせ。

■次のOS雪豹でもAV関係の発展はあまり望めないと思う。「新機能の追加はいったんお休みし」と言ってるのでブルーレイ対応したら超良い方で、その場合でもマルチなどは夢のまた夢だろう。
 QuickTimeエンジンはいい音だし、Core Audioも素晴らしいと思うのだが、64bitのQuickTime X下ではたしてどれくらいの進展があるのか。ま、64bitということでEFIのアップデートをとりあえずは期待するのみ。

 香港のKentがMac使いなので、最近影響を受けて例えばファイル変換はMac側でやるとか、音楽再生のサポートにMac側を使うなどと言うことを考えている。個地位の方がパワフルだろうし、成果も期待できるのではないかと。


('08.12.16)■業務用機器のマーケットというのは、コンシュマーとはかなり違うので、同列に比較できないところがあります。ユーザー自体が改造やメンテをやってしまうハイスキルな人が多い、というのがまずあって、美々しいパンフや資料を作らなくても良いし、むしろ内容本意な慣行みたいなものもあります。最近はブログを書く人も多いが、仲間内の口コミ評価が高いウエイトを持っているのも特徴でしょう。
 いずれにせよ、一つ二つの例で評価していけるものではなく、多くのスタジオで多くのプロのエンジニアに使われる製品というのはそれだけでひとつの意味を持つと思います。

■例えば以前僕も使っていて、今は友人の家に落ち着いているたRosendahlの「Nanosyncs」というクロックジェネレーター&ディストリビューターがあります。
 さほど高精度というわけでもないのですが、音質的な評価が高くてクラシック系のスタジオで一時かなり使われていたようです。で、音質ですがいまはやりのメリハリ系のクロックとは違って、これがパッと聞きに「おお!」と言うものではなくて、中低域を中心とした持続感の高さや、滑らかさのような部分がとても「音楽的に良い感じ」で、そのため静けさが出るバランスのシステムでないと良さがわかりにくいのですね。
 どうも精度や波形があるレベルをクリアしたら、むしろ「電源の質」や筐体がクロックの音質に一番影響があるように、今のところの経験では感じています。同じ発振器ユニットを使っても、堅い音のメーカーが作ると結局音も堅くなるし、その逆もしかりという事になるようです。クロックを極めるには電源も極めなければならないようですね、皆の衆。

■先日Dolonサンのお宅にお邪魔したとき、一番の関心事は「クロノス」でした。
 参考にするため入手できる限りの資料を集めて概略のイメージは持っていて、実物を見たときに最初に驚いたのが「大きい!」と言うこと。アルミの塊の存在感だけでなく、そのサイズを考えると僕のイメージよりもスペースはでかい。なるほどトランス(アモルファスでっせ)のサイズも馬鹿でかくはないが、小さくもないと言うことを納得しました。
 尊敬措くあたわざる米谷淳一さんがスイスのTEMEX(個人には売ってくれません。)に電源部の仕様変更を含めて何十個かオーダーしたルビのユニットが納まっているのだが、では音についてはどうかというと、自宅での試聴でもないし、別のルビと比較したわけではないが、「ぐっと沈み込む」感じが独特で深い陰影を持ち、Dolonサンもそれが特徴だと言っておられた。

 僕はルビの同じユニットで電源・シャーシが異なるものを2種、水晶で3種自宅聞いていますが、皆微妙ですが音は違っています。
 我が家のSC10についても正式に測定してもらってばっちりの結果なのであまり変に触る気はないのですが、電源については入手済みの超低雑音定電圧素子LM329や高スイッチング速度の出力FETなどいろいろと工夫してみるつもりです。

 「世界は深い。昼が考えているよりもずっと深いのだ。」(ニーチェ)

 いやあ勉強あるのみです。


('08.12.15)Kentに相談しながら、ワイス君のセッティングは完了しました。RMEはバックグラウンドでASIOドライバを解放してもしなくてもFireface setting は機能したのですが、ワイス君の場合は解放してやらないとセッティング画面がアクティブにならないとか、サンプルレートを変えると毎回Nuendo4のプロジェクト設定を確認する必要がある、とか少しややこしいのですが、確実と言えば確実で慣れるとどうということはありません。出力レベルが高い件は実際に使ってみて特に問題はありません。多謝 Kent Poon。

 ややクールなところもあり、空間の中での前後左右の位置感覚などディテイルの情報量が多いDAC2へのFirewire直接接続(クロックケーブルはAET)。ホットでエネルギー感に溢れたFireface400->S/PDIF->DAC2。どちらも魅力的ですが、いまのところはFireface400経由の音がStellavoxよりも相当情報量が増える感じで好きです。しかしまあ、ワイス君本体をもう少し「しばきたおす」(=どつき回す)ところまでいかないと結論を出すには早すぎます。
 なお、Fireface400はマルチ5.1の24/96や24/192の再生に使うので、手放すつもりは全くありません。

 Kentが今度リリースする「the Audiophile Jazz Prologue - Part 03 Limited Edition」
を24/192と24/96、24/44.1でDVDに焼いて同梱してくれたので、昨日少し聞きましたが圧倒的に「ナチュラル」でアナログライクな音でした。Hi-Resのスタジオマスターというと鮮烈きわまりない音をイメージするオーマニも多いと思いますが、CD用にマスタリングせずにストレートに焼いているので、むしろ空気感や雰囲気感がぐっと自然に、そこでやっているように聴こえるようになります。

 が、今日からオカンがお泊まりに来るので、聞けるのは週末です。が、また忘年会もあるしなあ。Anythin' goes.


('08.12.14)昨日のクロックの件の続きですが、念のためOCXのBNC端子からアダプタで出力してDAC2のRCA端子に入力してもロックはしませんでした。そもそもRCA端子でのクロック同期は、様々な機器を接続する中でどれに同期させるのが良いかやってみなくては分からない、という世界の話ですし、この端子での同期はDTMや小型機器以外にはさほどありません。OCXはそういう業務用の世界向け故、各種端子を持っているだけの話で、様々なフォーマットのファイルを聞く身としてはむしろG-03Xの複数フォーマット出力は興味深いと思っております。(何で興味深いかというと、音声だけでまさか複数のフォーマットが同一システムで走らないだろうし、システムクロックは一つだからです。)
 またRCA端子はインピーダンスが75オームよりずっと低いものが多い(25~30オーム程度)ので、あまり好ましくないと思っています。実際、今回はクロックケーブルによってはロックしない場合があったので、DAC2のRCA端子をWBT NextGen Copper に交換した位です。これによって手持ちの全てのデジケーで192KHzまできっちりロックしていますので、結果は正解だったという事でしょう。
 とまれ今回はマッチングについての事実の指摘だけですので、その点をよくご理解いただきたいと思います。

PCオーディオでの機器の音質評価には結構難しいものがあります。通常のオーディオ機器ならいじるカ所が非常に少ないので、機器固有の音質というのをかなり早く把握できます。ところがPCオーディオの場合はいじれる箇所がやたら多いので、機器の音を聞いているのか環境の音を聞いているのか、いずれにせよ機器の性能や機能をよく理解した上で、環境も考えながら時間をかけてやらないとなかなか機器固有の音質把握に至らない、という面があると思います。

まあ、クロックなどその典型のような商品で、おまけに規格がきっちりと決まっていないという抜きがたい状況があるので、問題はさらにややこしくなりがちです。このギョーカイは全体にもう少し規格というものを明確にしてそれを遵守する機運が必要です。本来は適合機種などちゃんと発表する必要もありかも知れませんが、そうすると売れ行きに差し支えもあるかもしれません。昨日書いたロックレンジの問題などはクロックに限らずdCSをはじめ業務用機器ではよく発生する問題です。プロはまずそういう問題が存在することを知っていますし、その上であれこれ悪戦苦闘してこなしたり、あの機器とあの機器は相性が、という情報を交換して事前のトラブルを避ける、という智慧を持っているわけです。
 一体にメーカーは規格がきっちりと決まっていないという話をはじめとしてネガティブな情報を出したがりませんから、こういうマッチング情報は我々ユーザー・コンシュマー側で共有すべく情報交換していく必要があります。決して特定の機器に対する非難でも何でもないので、その機器や同一メーカーの別機器を使っておられたとしても意地にならずに前向きに受け止めていただければ幸いです。

また、使いこなしや環境設定に関する問題提起も、もし遠慮して曖昧にすれば結局は伝わるべきものも伝わらず後でややこしくなるだけなので、重要なことについては礼を失しないよう配慮をした上で伝える方が良い場合が多い、と基本的に考えています。正直が一番、というのが僕のポリシーです。

BTW、閑話休題。
 ワイス君は音の良い機械だと思いますし、買って良かったとしみじみ考えています。ただ、確認して聞くべき設定やデータが冒頭述べたようにたくさんありますし、今日は疲れたので、Kentとも連絡を取りながらもう少し時間をかけて整理したいと思います。


('08.12.12)今日はいろいろと荷物が届いた日ですが、メインイベントは当然WEISSのDAC2。一旦持ち帰りになり、届いたのが夕方6時だったので、すぐにマニュアルを読ンでインストールして設定した。
 フロントパネルは単なる白色と思っていたら、実際には磁器のような乳白色で品位があって、とても美しい。しかもさすがにスイス製のランプスイッチは目立ちすぎずに美しく点灯し、なかなか良いではありませんか。これは嬉しい。

FirewireドライバはVer.3.3で「Computer Audiophile」に載ったのと画面はかなり変わっているが、内容はほぼ同じだ。2chでミキサー部分もないのでFireface400に比べて圧倒的に簡単だ。これならパソコンに弱い人にも可能だと思う。

が、事態はそんなに甘くないのがこの道です。動作モードをちょっと欲張って低レイテンシ用では一番上のの「ノーマル」にして再生バッファサイズはデフォルトの512を256にしてスタートしたが、不定期にドロップアウトが起きる。このMacBook Pro の環境でバックグラウンドでもごもご動くアプリなど皆切ってあるが、Nuendo4も含めて再度チェックしていろいろ試みる。
 結局動作モードを同じく低レイテンシ用でデフォルトの「Save Mode Level 1」にして、ドロップアウトは止まり再生バッファサイズは下限の288にして安定稼働した。CD再生用なので、プロジェクト設定は44.1KHz/32bit float。

まあ、MacBook Pro も悪くはないが、やっぱりMacProクラスのスーパーマシンでないとノーマルにはまだ青い、と言うところでしょうか。
 誰も言わないので、この際疑問を呈しますが、音楽再生用には低スペックのマシンが低ノイズで良いという従来の説は、少なくともDAWソフトとヘヴィーなソースをぶん回すにはもはや古いのでは無いでしょうか?パワフルなソフトを転がすにはそれなりのマシンパワーが必要になっていると言うのが実感で、ましてや24/192などというマシンに負荷のかかるソースの時代になれば尚更ではないかと思う。ノイズにはそれなりの各種対策があると思います。諸賢のご検討を求めるところです。

閑話休題。OCXからRCA端子にAETの SIN DIGI75 で接続したワードクロックは一発で同期した。東京の知人がEsoteric G-03Xで同期しなかったとの事だが、これには理由があるようです。
 ワードクロックは正式に規格化はされていませんが、75Ωで1〜5Vp-pの矩形波でかなりのレベル差があります。「0.4V以下を"low"、2.4V以上を"high"としているため、3Vp-pくらいのワードクロックでは問題があり、少なくとも4Vp-pは必要と言われています。」

 例えばXLR端子から出力されるのはAES-11と呼ばれて、通常のデジタルオーディオ信号であるAES-3からオーディオビットを除いたもの、 つまり音の無いAES信号です。ですからRCA端子から出力されるのも同じようなレベルではないかと思われます。
 つまりRCA出力とBNC出力とはレベルが異なり、 G-03XやG-0RbにはBNC端子しかないのでDAC2は同期しないのではないかと思われます。OCXは業務用なので、多くのシチュエーションに対応するために出力端子も各種あるわけです。同じWEISSでもAFI1ならBNCクロック入力端子があるのですが、DAC2の場合はスペース上設けられなかったのでしょう。

「んで、音はどうなんだよ?」ですか。夜も遅くなったので大きい音は出せませんが、まず入力のジッター低減回路が聞いているようで、Kentが言っていたように内部クロックモードにしてもかなり音が良いです。勿論、10MHzクロックに同期させてやると透明感がぐっと上がります。総じて空間のなかでの音の出方のディテイルがよく分かるのが印象的でした。
 
 明日は忘年会が連チャンであってとても聞けないので、日曜日に聞いてちゃんと報告します。それまでワイス君は頑張ってヒートアップね。


('08.12.10)KentからのメールでWEISSのDAC2が昨日の朝香港を出たそうです。At Last!
 彼のブログによるとスイスからの入荷が遅れていたがようやく到着し、現地スイスでは増産体制をとっているので次以降のロットは大丈夫らしい。送料も1万数千円なので知れています。
 あ、現在の価格は「spacial promotional price」なので早晩値上げするそうで、欲しい人は早めに手当てした方が良いようです。

 さあ週末は忘年会もありますが、ワイス君と過ごしましょうか。


('08.12.9)今日発売のオーディオベーシック誌冬号では「グローバルに楽しみましょか!」連載第2回として『音楽データ配信「ディスクからデータへ」の流れ』を書かせてもらってます。
 詳しくは誌面に譲ることとして、紙幅の関係もあり少しだけ補足を。

 The Tide is turning. 潮目=流れが変わった、という表現があります。ガラパゴス日本だけ見ていては実感しにくいことですが、僕らはその境目にさしかかりつつあると思うのです。

 まずこれは配信がテーマと言うよりも我々コンシュマーが「データ」そのものを購入できるようになりつつある!ということが大事なのです。それによって、CD-DAやらリッピングやら光学ディスクのややこしい諸問題をすっとばせます。(バイナリ原理主義の皆さんも概ねご賛同いただける事でしょう。)
 さらにCDよりずっとハイレートなフォーマットであることです。特にマイナーレーベルはその高音質訴求を目的に配信を進めたり、さらにハイレートな大きなサイズのデータをメディアで供給しはじめています。
 
 たまたま一番身近な配信サイトからダウンロードしてみたサンプルデータの音がショボかったから、配信は駄目だとか決めつけている人も多かったり、本格的に音を聞いた事のない人が多い、というコンテンツ小国&ガラパゴス日本の現状では、国を超えたデジタル著作権管理についての態勢が整って自由にダウンロードできるようにならないとこれは一般的な認識にはなりにくいかと思います。しかしDVDなどのメディアで供給されるデータファイルは今でも買うことが出来ます。
 
 そして、これはPCなしでは出来ないこと=PCオーディオが必要なこと、さらにはCD用などにマスタリング加工がされていないスタジオグレードのデータを聞ける可能性が大きいこと、これはもの凄いことだとは感じられませんか?

 CDの時代は終わりを告げはじめました。これからはデータとそれを扱うPCとあなたの時代です。

PCオーディオには決まった機器構成は無く、それぞれの生活スタイルや音質へのニーズ・予算などに基づいて、自由に決めて行けば良いのですが、4つのモジュールはなんらかの形で最低限必要です。



 これらは別々の機器・ソフトの形でも、例えばiPodなど一体型でも構成できます。あるいはドライブとサウンドカードを備えたデスクトップPCの形にも出来ます。
 重要なことのひとつはこれまでオーディオでは意識されなかった「再生ソフト」ですが、これもOS付属のアクセサリーソフトや市販ソフトなどいろいろな選択が可能です。
 全然難しくないでしょ?


こうやって新しい時代が動いていくのに立ち会うのはとても面白い事です。
 一方、こういう変化の時代には柔軟な視野と発想が必要です。特に重要なのは意見やスタイル、考え方の多様性です。それが自由に交わせないと、何かがおかしくなります。とはいえデジタルの世界も結構迷信や伝説がはびこってますし、理由が分からないことでも分からないとはっきり認めたうえで、問題意識を抱きかかえたままとりあえず先へ進む、という力技も必要になります。

最近Eminentのアームを購入された方がセットアップに戸惑っておられたが、アサヒステレオさんに任せる事にされたそうだ。勉強は勉強として、ああいうものはノウハウを持ったプロに任せるのが一番です。


('08.12.8)音と戯れる会の「リニア電源製作講習会」は6人が参加され愛知県の会員のお宅で開催される事になった。
 とりあえずレギュレーター電源を製作できるようになることが目標だが、そうなると単にスイッチング電源に置き換えたりするだけでなく、素子、回路やパーツとその容量などにより音質をいろいろとコントロールすることが出来るようになる。つまりは音造りの手段が増えるわけです。
 長期的にはこちらの方がずっと効果が大きいと思っています。

SSDとHDDの併用組み込みはわずかながらスペース不足で断念。まあ、データは増える一方で64GBのSSDでは不足するのも目に見えていたので、当分128GBのHDDであちこち持って行くことにする。
 据え置き用は今後、新しく剛性の高いケースで工夫してみよう。

世間ではSMH-CD、HQCDあるいはブルースペックCDなどいろいろ話題になってますが、僕には全く関心がありません。
 古くはLP末期にもDMM(ダイレクトメタルマスタリング)だとか改良技術が出ましたが、同じような感じがしています。CDフォーマットはともかく、ディスクとしてのCDの時代は終わり始めようとしている、と言うのが僕の認識です。


('08.12.7)昨日は汐留で朝を迎え、オーディオベーシック編集部訪問の後、お茶の水のヤマモッさんのところに遊びに行った。
 フェーズテックのプリはガンダム化で随分とドスのきいた音になり、全体として濃くイケてる方向になっていた。ビクターのプレーヤー、オーディオクラフトのアームに付けたオルトフォンSPU Referenceはなるほどアナログ的でありつつ、これまで聞いたことのない軽やかで切れる方向の音だった。確かにアナログをはじめたり再開するのなら、これくらいのクラスではじめた方がずっと良い。これで終わっても良いくらいだ。

 だが僕はゴールドムンドのStudiettの音が好きだ。やはりリニアトラッキングでないと見えないような音場の広がりや空気感が素晴らしい。リュートのつま弾きと共鳴がつぶさに分かる。ハイエンドだが、これだって調整カ所は殆どなく、ボタン一つで動作するので、修理してくれるところがあるなら、中古でこういうのを買う方が手間いらずでいい音を入手できる。

 今日のジェネシス・デイに向けてSACDマルチのほうもばっちり気合いが入っていた。今日来た人は満足して帰れると思う。
 
今日はアメリカからEminentのパーツが届く。何か忘れてやせんかと気になったが、珍しくぴたりと合っていた。Bruce君、あんたもやれば出来るんじゃないの。
 アサヒステレオさんと連絡を取って、師走の喧噪の中ではなく、年明けに心静かにアップグレード作業をしてもらうことになった。

昨日、山野楽器で仕入れたり留守中にアメリカから届いたCDやSACDを聞いた。期待のオケゲムのSACDはカウンターテナーがへたくそで駄目。でも840円のヒリアードライブ(A.ブリュメル)は凄く良かった。
 Antelope OCX の電源に入れたパワータップの効果で、ウオームな感じでかつ音の伸びがぐっと良くなっているが、今ひとつCDらしい切れが弱いかな、と思えたので、こういう時のために目星を付けておいたサービスを1つ切って復元ポイントを作成した。そしてNuendo4のトランスポートパネルを消すと、ちょうど良いバランスになった。
 概して一つ事をやりすぎるとあとあと収拾がつかなくなりかねないので、こういうふうに少しずつバランスを取っていくのが良いように思います。

CDドライブのドライブケースが壊れて予備を使いはじめたので、不安で何とか入手したいが、とおたずねのメールあり。これがケースとしては勿論、Oxfordチップ指定となると国内では本当にもう無いんですね。アメリカ辺りでも友人がおられれば頼む手もありますが、チップ名まで表示してないモノも多いので見つかるかどうか?あるいは大変ですがヤフオクでまめに探すか。
 んで、後はアダプタを探すかですね。幸運を祈ります。


('08.12.6)11月26日に紹介したノルウエー2Lの「トロンハイム・ゾリステン/ディヴェルティメンティ」が何と第51回グラミー賞(来年2月8日発表)にノミネートされている!演奏したトロンハイム・ソロイスツは「Best Small Ensemble Performance」に、プロデューサーとエンジニアが「Best Surround Sound Album and Best Engineered Album」に。
 見れ!良いものはちゃんと評価されるのであります。まだ買ってない方、値段が上がらない今の内にどうぞ。
 (どなたかブルーレイ・ドライブをお持ちの方、データの吸い出しをお願いできれば嬉しいのでありまするが.....。)

載せた以上は自分でも検証しよう、というか好奇心に駆られて注文した 高性能絶縁トランス「ネットワーク分離装置」HT-100(11/25付け参照)が届いたので、早速iMacのLAN接続に使ってみた。MacBook Pro は普段はネット接続しないので、むしろダウンロードファイル用と雷対策に常用のマシンにつないでいるという訳です。回線も100Mなのでメーカーが気にしていた100BASE用だという速度の問題は全然感じない。これでグラウンドの分離やノイズ対策が出来るなら良いんじゃないかと思います。

Antelope OCX の電源に入れたパワータップは効果を発揮しつつあるようだ。滑らかさやエネルギーの持続感のようなものが向上している。

PCオーディオを広める立場からすれば、皆にDAWソフトを使って欲しいとは言えないので、いい音で機能的な再生ソフトのフリーウエアをいつも探しています。どうやらこれからはこれが決定版だと思うのを見つけたので、多人数で検証に励みたいと思います。

■SSDも今日届いたのですが、収納方法を考え中です。


('08.12.4)いつも貴重な測定データを掲載される「たもそ」さんが11月29日付けの記事で3種類のスイッチング電源と自作のリニア電源のノイズ測定結果を載せてくださっている。
 これを見るとスイッチング電源にもいろいろあり、総じてそれらよりもリニア電源が圧倒的に優秀な事がよく分かる。このあたりは聴感とも通じるモノがあるので、非常に意を強くしました。

音と戯れる会・中部地区の友人4人とで「リニア電源製作講座」をやる方向で調整中です。トランス、ヒューズ、ダイオードなどリニア電源には曖昧だったりややこしいモノがたくさんあるので、やはり導入部分で整理した方が後々スムースに行くのではないか、と言う主旨で、バラック製作など実技もやってみたいと思っています。We wanna be not soldiers, but solders!
 ソルダーには「半田」の他に「絆」と言う意味もあります。

『Windowsのレジストリチューニングのページ内に書かれているDWORD値「LargeSystemCache」に関して、「アプリケーション起動用メモリを開放する」と解説されていますが、結論から言えば、それは誤りです。 』とのこと。
 やっぱり~。レジストリだけでなくチューニング関係の情報はいまだにWindows2000ベースなど古いモノが多く、そのまま鵜呑みに出来ないものも多いと思っておりました。皆さんもよくリサーチの上ご注意あれかし。


('08.12.3)電源談義~トランスの容量、パラコン、電流の連続性と安定性→整流回路の重要性

■クロックなどの電源については、リニア電源の場合、トランスの容量や安定化電源の回路なども議論されていますが、僕は一番の基本はまず「整流回路で、できるだけ連続した電流の流れを確保すること」だと考えています。(この点に関してはスイッチング電源も同じです。)

 電源トランスを大きくするとレギュレーション=電圧変動率が良くなるから音が良くなる、という説がありますが、これだけではいまいちぴんと来ません。
 このブログではコンデンサに溜まる電荷が減ってくると、直接電源トランスから給電される、という現象が指摘されています。
 『本来電解コンデンサから電流が供給されることが理想で、それができなくなったときにトランスの抵抗(トランスの大きさが)効いてくるのです。電源トランスを大きくして音質が良くなったとすれば、電解コンデンサの容量が足りないという事を意味しています。したがってまずトランスの大きさ(内部抵抗)が効いてこない様に、まず電解コンデンサーの容量を大きくすることが重要で、そうするとトランスというのはあくまで、実用時の平均消費電力以上を供給できれば、小さくても良いのです。』

■そこで「コンデンサを大容量にしよう!」という話になると今度は導通角(平滑コンデンサに整流回路からの充電電流が流れる期間のこと)が小さくなって効率が低下します。だったら「コンデンサを多数パラでつけよう。」という話になるわけで、これは説得力あるのですが、スペースとかいろいろあって凡人には実現性に乏しい面があります。

■そこで僕が着目したのが出川式第2世代電源です。A&Rの説明自体はよく分からないところもあるのですが、要は整流回路をダブルにして、スタガーに動作=電流の位相をずらせて整流してから合成して、電流の連続した安定性を向上させて同時にノイズも減らす、というアイデアです。 Staggered Double Rectifier with Ultra-highspeed Shot-key Diode ってなとこでしょうか。これは真っ当なアイデアだと思いますし、実際に組み込んでみると相当に音質の向上も見られます。

■スイッチング電源も高周波に変換してから再度整流してDC-DCコンバーターで所要電圧・電流を取り出すわけで、理論的には電流の安定性からは高効率な電源だと思いますが、実際には高周波ノイズの問題も含めて良いスイッチング電源を作るにはそれなりのコスト、というかものによってはリニア電源以上のコストがかかるようです。
 いずれにせよ、まずは整流回路というか「連続した電流の流れ」の安定性に留意するのが、電源製作の第1歩だと考えます。


('08.12.2)■少し原点に立ち戻ろうかと考えています。このサイトはあくまでパーソナルなものではありますが、PCオーディ関係の情報を求めて閲覧される方も多いようです。また、最近の内容は難しい、という声も聞いております。スイマセン。(カウンターなど付けない方針なので、詳細は分かりませんが、何人かの人達からそう伺ってます。)

 で、「PCオーディオは難しくない。」というシリーズを検討中です。ヤマモッさんとも話していたのですが、こういうことは何回も何回もあちこちで繰り返していく必要がありますので、大きな括りで分かりやすくサーベイしたいと思ってます。

PCオーディオの基本構成は基本的には4つのモジュールから成り、それぞれに手持ちの機器なども活用しながら、グレードアップなどを進めて行けること。エントリークラスから、高音質追求のF1クラスまで、それぞれのスキルと目標に応じていろんな幅広い取り組みが出来ること。いろんなソースに対応できること。まあ、そういうところから。

■クロックとか、電源とか普段このページでもいろいろ書いてますが、上記の基本構成から見ると「オプション」になります。まあ、ページとして出していくのはもう少し先なので、ゆっくりとお待ちください。

今日は久しぶりにAntelope OCX と SRS SC10 の電源を切りました。OCXにパワータップを仕込む目的ですが。わずかの時間のブランクでも、再度電源を入れてOCXのアトミック10MHz LEDが点灯してロックするのに2~3分かかりました。
 音は聞いていませんが、この時点ではやはり安定はしておらず、一からの電源オンよりは早いにしても暖機が必要だと思います。


('08.12.1)12月になってようやくゆったりペースになってきた。もうすぐオーディオベーシック誌冬号も出るし、ささやかながら原稿を書かせてもらっている立場としては、いつまでも個人の思いだけで動くという訳にはいかなくなる。僭越ですが、常に裏打ちしながら大局を見て、前を向いていろんなことを見たり試したりしていきたいと思います。

 一方で活字メディアの影響は非常に大きくて、いくらアクセスが多くてもサイトには持てない影響力があるので、このHPに書けない事も増えてきました。といっても遅かれ速かれで、大事なことはいずれちゃんと整理していくのでタイミングの問題でもありますが。 

 ま、世界的に見てもオーディオの世界は高齢化が進んでおり、どんどんマーケットは小さくなり、失われる情報やモノもあるので、後の世代ほど大変だと思います。わしらが生きてる間のことだけでええんじゃ、と割り切ればしなくて良いこともはっきり言ってたくさんあるのですが、それはそれで各自出来ることをするとして、我々は負担にならない程度にむしろ先進的な老人を目指してぼちぼちと頑張りたいと思う今日この頃であります。ふがふが。


('08.11.29)トーンアーム(エミネントmodel2.5)のパーツが注文・決済依頼1ヶ月半しても音沙汰がないので、強い調子で確認したら「先週送りました。あと1週間くらいの内に受け取ることでしょう。来なかったら連絡してね。」との返事。ほんまかいな?そば屋の出前とちゃうやろな~。来えへんかったらしばきたおすぞ~、とゆ~だけの風呂屋の息子ですが。(あ、一応洒落ですねんけど、すんまへん。)


('08.11.28)トランセンドの 2.5" SSD 64GBを注文しました。インターフェースはSATAではなく、IDE。MLCですが、当面の目的には十分かと。何に使うかって?分かる人にはすぐ分かると思いますが、もう少ししたら具体的な用途もアップします。

■カナダドルも安いしPlitronに電源トランス4個、アイソレーション・トランス2個を注文。12V&5V電源用はドライブ電源などいろいろ使い道あるし、アイソレーション・トランスは予備も含めていろいろ試してみるつもり。

■こちらは米ドル建てだが同じくカナダの partsconnexion にパーツを注文した。来年組む予定のラインアンプ(chセパレーションー120dB)に使う、アッテネーター、スイッチ、電源用コンデンサ、ヒューズなどだ。ダウンミックス用のノイボックスに使うオペアンプ(ディスクリート)もある。15%オフセールだし、少し嬉しいかも。

■PCオーディオのソフト的な環境チューニングですが、いろいろと試したあげく、概ねこう考えています

1.レジストリのメモリ関係は物理メモリが高価な時代ならともかく増量が簡単にできる現在、あまり頑張って触る必要は少ない。むしろゴミが残らないようクリーンに保つように気をつけた方が良い。

2.サービスについては説明文や依存関係以外にも結構関連性があるようなので、少しずつ切って様子を見る。explore.exeについてはXP環境では21MBくらいメモリを食うので切るのは効果的ですが、僕のようにいろいろなソースの再生をする場合には切るとあまりにも不便なため、他に切りうるものを見つけるようにしてそちらを優先してチューニングしています。でもNuendo4を立ち上げるとSYNCOPOSIS.exeなどという馬鹿でかいドングルのソフトがどかんと立ち上がるので、あれまあ、と思ってしまいます。
 ま、svchost.exeの把握などぼっちらとやりますバイ。

3.プロセスの優先度も、結局は一つの環境の中の相対関係なので、あちら立てればという面が強いものです。例えばCubaseやNuendoの優先度を「リアルタイム」にすると一見良くなる感じはしますが、実際には聴感上伸びやかさが失われて良くない結果になりがちです。これは優先度を上げたプロセスが他のプロセスのパフォーマンスを「食って」しまうからだそうです。
 さりとて他の優先度を下げればよいかというと、各モジュールが実際にどのように関連しながら稼働しているかという明確な把握が出来ていない限り、あまり軽々に触らない方が良いようです。
 むしろ不要サービスそのものを削ってていく方が確実に感じますし、コントロールパネルの詳細設定で「バックグラウンドサービス」を選択するとASIOなどのパフォーマンスが上がるので、そちらで既にある程度のバランスが取れているようにも思えます。


 いずれにせよWindowsの勉強のためにやっているのではなく、音楽を聴くためですから、やりすぎて爪先立ったカリカリ・ヒリヒリの音を聞いてもつまらないので、耳で判断しながら順次塩梅を探って進めていく、というのが一番だと考えています。
 スタジオでマルチチャンネルのダウンミックスをするときには、再生バッファサイズは安全運転の1024を使ったりするそうです。いずれにせよ、速けりゃ良い、軽けりゃ良い、てなもんではないようです。
など使うそうです。


('08.11.27)業務用DACには外部クロック入力端子のないものが何故多いのか?DACに外部クロックは必要なのか?

■最近、マニアの間では業務用機器の人気が高まっているのですが、そのDACにクロック端子がないものが多く、果たして外部クロックは必要なのか?とばかりクロック論議が迷走しているようです。
 この点について何人かのエンジニアの方にお話を伺いましたので、以下にまとめてみます。

1.我々聞き専の場合は再生される音が最終目的です。ところがスタジオで音質を確認していくためのDACは「モニター用」であり、エンジニアにとっては最終目標はその再生音ではなく、最終製品はデータが収録されたメディアまたはファイル(HDDやネット伝送)である。つまり普段から使い込んで十分に音質を確認できるようになっていれば良いわけです。

2.スタジオでは異なるサンプリング周波数が録音現場で同時に使われる場合があり、その場合は速やかに別のサンプリング周波数に切り替わって再生してくれないと作業に差し支えるので、DACの内部クロックで動作した方が作業がスムースに行える。
 例えば、録音された音源以外の外部音源を使うこともあり、その場合フォーマットが同じとは限らないので、外部音源の音や録音位置などを確認するのに、いちいち外部クロックを切り替えていられない、など。


3.音質上、あるいはアナログのエフェクトを使いたいために、一旦アナログに変換してからダウンミックスして、再度デジタルに変換する場合があります。こういう場合には、アナログに変換するDACには通常クロック注入をすることが大半で、そのための端子も着いているのだそうです。

4.技術発展により1ppm程度の高精度クロックを十分内蔵できるようになっていること。あるいはジッター抑制(デジッタリング)のための何らかの機構を備えたDACもある。

5.総合すると10MHzなどの超高精度クロックの音質上の効果が必要なら、聞き専としては外部クロック入力端子を備えたDACを使えば良いわけです。もしDACが外部クロック入力端子を持っていない場合は、例えばWEISS AFI1VestaのようなFirewireインターフェースにクロックを注入して、そこからAES/EBUやS/PDIFでDACにデジタル出力してやれば良いわけです。


まあ、業務用機器については聞き専だけであれやこれや推測するのではらちが明かず、ではなくその筋(どんな筋やねん?)に聞くのが一番確かです。

■より具体的に、おなじみワオン・レコードの小伏さんにお話をお伺いしました。

Q:業務用機器のADCには外部クロック入力端子は大抵ついているようですが、再生系、特にDACには外部クロック入力端子のないものが多く、メーカー的には必要ない、という所も多いようですが、これには理由があるのでしょうか?

A: 『おっしゃる通り、業務機の再生系でクロック入力がついているのとついていないのとは半々くらいですね。
 特に最近の機種ではついていないことが多いです。ただ、出力されたアナログ信号が、その後の工程の音源となるような使い方、例えばマスタリングをアナログドメインでする場合の前段で使用するようなものについてはクロック入力はついています。

 つまり逆に言うと、モニター系の再生機器にはクロック入力がついていないものが多いです。
なぜかと言うとはっきりしたことはわかりませんが、おそらくこういうことでしょう。実際の現場には複数の系があることが多く(録音系、編集系、マスタリング系など)、系毎に異なるクロックで動いている場合もあるわけで、システムクロックがいくつかあると言うことです。しかしモニター系はそれらを統合してひとつでしていることが多いですから、異なるクロックを頻繁に切り替えて聞くことになります。モニター系が外部クロックで動いている場合、音源を切り替える毎にクロックもそのつど外から違うのが入ってくると、何をモニターしているのか(音源の音質差かクロックの精度差か)わからなくなってしまいますよね。しかもどんなものが来るかわからない外部クロックに完全に同期させるには実際には数分以上の時間が掛かりますから、作業効率もよくありません。それよりは、内部にしっかりしたクロックを持っておいて、素早くシンクロックできる機能を載せておいた方が効率的であり、音質的な安定が得やすいと言うことです。つまり良い音で聞くことも大事ですが、正確なモニタリングがより必要ですからね。

 うちの場合で言うと、DDCする時にソース側と変換後側を切り替えて音を聞きながら各パラメータを設定するわけですが、編集機に入れる時DSD→PCM(96)、マスタリング時PCM(96)→PCM (44.1)ということはつまり前後で別のシステムクロックが動いてると言うことで、モニターがこれに素早く追従して安定してくれないと微妙なパラメータの設定は出来ません。今、モニター系に使っているGrace Designのm902Bは外部クロック入力を持っていませんが、秒単位で実用的なシンクロックをします。実際の作業ではこの方がずっと使いやすいと言うことですね。ちなみに編集機のAudio I/FのLynx AES16は当然外部クロックで動きますが、5段階のシンクロックインジケーターがついていて(Unlockも入れると6段階)、2段階目の「使っていいよ」のインジケータが点くまでは10秒程度ですが、インジケータのラベル表示が完全同期(Locked)になるまでには約15分かかります。』


■録音製作の現場ではデジタルの世界でも、相性や実際に音が違うという現実を虚心坦懐に受け止め、経験値として蓄積しあるいは情報交換しながら良いアウトプットをするよう日々努力している訳です。
 以下は僕の個人的感想ですが、いわゆるバイナリ原理主義者・理論優先の人達は、「聞き専」の世界だから存在できているのでしょう。そういう人達は、機器や各種環境を駆使してまずは良い音と音楽を作り出していかねばならない録音製作の側にいたらまず飯を食えないンじゃないでしょうか。

 例えばLIVESPACE『ウナマス(UNA MAS)』でのジャズ録音のマスタリングは、小鐵徹さん担当でJVCマスタリングセンターで行われたそうだが、その時の逸話です。

 『小鐵さんは、1曲整えると、MOレコーダへ記録していきますが、やおら席から立ち上がって使っていない機器や照明などの電源をすべてOFFにして懐中電灯で手元をみながらトランスファーしていきます。クリーンな電源環境で記録するとサウンドも忠実なんですよ。とのことでした!』

 エンジニアの間では「最終アウトプットは裸電球の下で焼くもんだ!」という話が伝えられているそうですが、その通りにされているわけです。そもそも原理主義者・理論優先の皆さんはこんなことで音が変わるなんて認めないのでしょうね。ところが、こういう努力の結果製作されたCDなどで「バイナリ」がどうのこうのと言っているわけでして、なんだかなあ~、と思いません?

 科学を標榜するなら既存の理論やツールが絶対に正しいのかどうか、その限界が常に問われていることはよくご存じだと思うのです。ならば既存の理論やツールにあてはまらないからと言って、単純に排除するのではなく、自らがより深く新しいモデルや理論づくりに努めるべきでしょう。それから持論を展開して欲しい。あ、これって開き直りレトリックかな。いかん、いかん。(笑)


('08.11.26)■21日に素晴らしいSACDマルチのソフトを見つけた、と書きましたがそのご報告。

 ノルウエー2Lの「トロンハイム・ゾリステン/ディヴェルティメンティ」。弦楽オーケストラでブリテン「シンプルシンフォニー」、バルトーク「弦楽のためのディヴェルティメント」などが収録されている。

 クラシック系のマルチは残響音中心で食い足りないものが多かったのだが、このディスクではビョーク並みに整えられたパワフルなサラウンドが展開されている。弦楽アンサンブルという同質な響きが幾重にも重なり、それは美しいしサラウンドでダイナミックに展開していく力強さが素晴らしい。
 どの曲も良いのですが、特に気に入ったのは現代ノルウエーのテリエ・ビョルクルン「カルミナ(Songs)」という曲。これは名曲だと思う。北欧的な清潔感に満ちた森や湖のような透明さが聞く者を包み込んでくれる。聞きながらシベリウスの生まれた街ハメーンリンナの湖をとりまく風景を思い出した。


 実はこのディスクにはおまけがあってブルーレイディスク(ヴィデオはメニューのみ)に24/192のステレオ・5.1マルチのデータが収録されています。現段階でブルーレイドライブを持っている人は少ないと思うし、僕も次期Mac OS 雪豹での様子を見てから買う事にしているので今は聞けないけれども、将来のお楽しみというわけです。
 しか~も、現在HMVで2,119円というお買い得。toku1209さんとも強く意見一致しましたが、一家に一枚、買って損はしません。超推薦。

■「いい音はいくつもある。」tokuさんの言葉ですが、情緒的なことではなくとても含蓄のあるいい表現だと思います。ともすれば理屈に陥り科学を標榜して耳と心を開かなかったりする人達にも聞かせてやりたいですね。勿論、僕自身も十分弁えなければならないと改めて思います。

■沖縄のオーシロさんから、先日送ったBSアナログの録画DVDを仲間と一緒に聞いたらとてもいい音で驚いた、とのメール。非圧縮Bモードステレオ音声を16/48リニアPCMで録画したものですが、そう、いい音のソースは沢山あるんですね。
 2011年には無くなるので、せっせと録り溜めましょう。


('08.11.25)■千葉のSさんが高性能絶縁トランス「ネットワーク分離装置」について教えてくださいましたので、紹介させていただきます。
 CATVアンテナ線などと同様、LANではフツーに接続するとグラウンドが全部つながってしまう、というのがオーディオ的には問題点の一つでした。

 上記HPによると「医用電気機器と他の電気機器との伝送信号を電気的に分離することにより、他の電気機器からの漏れ電流や設置間(筆者注:おそらくは「装置間」)に生ずる電位差による電流を遮断します。また、LANケーブルに発生するコモンモードノイズを低減することができ、このノイズが原因による電気機器の誤動作や故障を予防することができます。」とのことで、メディアコンバーターのように電気⇔光変換回路・外部電源を使わないパッシブなものなので、音質への影響もより少ないのではないかと思われます。
 以前購入されたときは1万円程度だったとのことで、LINNのDSやDNLS系の方には好適かも。

■もうひとつこれは僕が買ってみたもので雷対策用の「サンダーブロッカーSPR-TB-P-A1」です。

 先日「アヴァンギャルドな1日」でCD再生中に雷が近くに落ちたようで、ノイズが入ったので試しに購入してみました。Antelope OCXにパワータップを入れて全てのデジタル機器がアイソレーショントランス+リニア整流回路を経由することになり、またQuiet Line を電源タップに差し込むので、結局オーディオ用には試していません。現在サンダーブロッカーはデータが圧倒的に多い常用iMacに使用しています。
 サンダーブロッカーから給電しても良いのですがこれはもろ音質に影響しますし、Quiet Line のようにパラにタップに接続するだけでも効果があるので、落雷の多い地方の人はこの方法で試すと良いかも。


('08.11.24)「かないまる」さんが「オーディオ・ビジュアルQ&A」で絶縁トランスについてのQ&Aに答えておられます。

 お二人の質問を元に再構成したそうですが、メーカーサイドとしてはこうなるでしょうねという答えもあり、一部にすれ違い的なQ&Aもあります。とにもかくにもご苦労様です。m(_ _)m
 ポイントは「ご質問6)」の回答「機器内部のトランスは捲線とシャーシの間に空間的な静電容量があり、シャーシの強度などに敏感に反応します。ですから、機器内部のトランスのほうが設計ははるかに難しいです 。」かと。つまり設計要件としては機器内トランスと機器外絶縁トランスとの違いは非常に大きい、と言う事です。

 あとこの資料によると「全変成」って『損失なく二次側に再現する』ことで一般的な電源トランスが概ねこれにあたり、絶縁トランスは『必要な周波数成分は伝達 するが有害な周波数成分は伝達しな い「周波数弁別変成」』だと思っていたのですが、用語は難しいようですね。

■で、誠に僭越ながら例えばPlitronの資料をここでは紹介しておきましょう。数式は正直よく分かりませんが、グラフは分かりやすく説得力ありますね。
http://www.plitron.com/technology.asp
http://www.plitron.com/advantages.asp
http://www.plitron.com/lono.asp
http://www.plitron.com/pdf/nbt.pdf
http://www.plitron.com/pdf/PQpaper.pdf

電源は単独では成立していないので、例えばアンプで電源のレギュレーション(電圧変動率)を低下させた方が音が良いという説もあるなど、回路との関係が常に問題になります。レギュレーションが音質にどういう影響をもたらすか、それ自体はダイナミックな現象でもあり、スピーカーとの関係もあり、動的把握はかなり難しいようですので、いろいろと説も立つのでしょう。まさにオーディオが仮説の総合であり科学理論だけで割り切れないという例の一つかも知れません。経済学が理論科学であると言い切れず社会科学部門であるのと類似して、オーディオが科学であるというのは半面の真実でしかありません。後の半面は?ヒント:多変数解析と実験(オーディオの場合は実践かな。)

■容量結合についても、そのルートでのノイズ混入は現代アンプのリニア電源ではパラに広帯域なコンデンサが入ってかなりのハイカットフィルターを形成しており、メーカーもノイズ対策を講じるという状況の中では、容量結合それ自体よりもそれから発生するグラウンドループの方が影響を持つ、という考え方も成り立ちます。
 実際かないまるさんも「絶縁トランスによる音質改善 その4) なぜよくなるのか」で、電源ループによる音質劣化を取り上げておられます。

もっと本を読もう!

 僕もそうですが、最近本を読むよりもネットで検索して事足れりという傾向が強くなっています。しかし、ネットでは「さわり」だけであったり、ボリューム的に省略が多かったり、メーカー各社はそれなりのポリシーや強調ポイントがあったりで、はっきりいってネットをちょいちょいとつまんだだけで大きなテーマをまとめられると思うのは、浅はかな間違いです。
 僕も文系ですから基礎の無さは痛感しています。だからとりあえず本を読みました。例えばもう廃刊ですが「アースと雑音」「アースと熱」などは「ケースバイケース」にしてもその基礎、切り口がじんわりと整理されていくので、随分と助かりました。

 若い人達に言いたいのですが、本はお金がかかるし読むのに時間もかかります。しかし大きな本屋さんで電気回路やエレクトロニクスの棚を徘徊すればいろんなことが分かります。高価な本は図書館で借りればただです。いきつもどりつ読み、そして考える。本ではそういうイメージの熟成作業が可能です。行間のいろんな情報がいずれ役に立ちます。
 
 こういう本の1冊や2冊も読み通せないで、オーディオの大テーマは語れないと僕は思います。(あ、無理に語ってくれなくて良いんですけどね。)

 若者よ!コンピュータを眠らせよ。街に出て、書をひもとこう!

 と言うだけでなく、若者ではないにしても身内に集まってもらって「リニア電源製作講座」などやったほうが良いのかしら。


('08.11.23)昨日は初めての方も参加されて我が家でオフ会。我が家はソースが何種類もあるので、まずは一通り、でもできるだけいろいろなコンセプトを把握してもらえるように少しテーマ性を持たせて、今後の方向も含めて聞いていただいたつもりです。やりはじめるときりがないので、こちらのソフトはある程度絞り、皆さんが持ち込まれたソフトも聞かせていただく。
 夜は宴会モードに移行して、談論風発とても楽しい一夜だった。

 今日は京都のお宅でオフ会2日目。オサレなマンションの一室。以前お伺いしたときからPCオーディオが進みパワーアンプがブリッジでセパレート化していたり、いろいろと変化も見られて、ゴージャスな美音系のヴォーカルが映える。後半、ちょこっとCubase Essential4の設定を変え、explorer.exeも切ってみたが、ちょっとHiFi調すぎるやり過ぎの感じで、これは元に戻す。Cubase Essential4の設定変更だけでもソリッド感が出てきて良い感じになったと思います。楽しいひとときをありがとうございました。


('08.11.21)■香港のKent Poonが先日の訪問と、お土産に持っていったワオン・レコードCDの事をブログに書いてくれています。多謝(広東語で「ドーチェ」)。

 これを機会にKentとワオン・レコードの小伏さんとの交流が始まっておりまして、近々にも面白い成果を生んでくれそうです。士(もののふ)は士を知るのでしょうね。

■SACDマルチの素晴らしいソフトを見つけてあるので、改めて紹介します。考えるとそういうのが随分と溜まっている。オーディオネタもいろいろあるけど、ま、ぼちぼちと。

■今日は心暖かいメールをもらって、こちらの心も温まりました。志の低いのにはどうしてもむかつくのですが、そういう下らんことをやってる時ではなくて、こういう良い出来事に出会えるようにやっぱ自分の残り時間を大切にすべきだなあ。


('08.11.20)WEISSはまだ来ないので、週末オフ会は現行ラインナップで行く事にして、今日はオカンが帰った後Nuendo4の調整をした。使わない機能でも基本的なところは理解してカスタマイズしないと行けないので分厚いマニュアルに目を通し、いろいろと試行錯誤する。当初はとてもオーディオ的な音で、響きの豊かさというか音のふくよかさがあまり無い感じで、わずかだがヒリヒリ感がつきまとい、自然に空間に広がる感じがあまり出せなかった。こういう「やり過ぎ」な音が好きな人は結構いると思うが、僕は長時間音楽だけを聴きたいのでこのままというわけには出来ない。結局、メニューバーとツールバーをいろいろと触って、トラックコントロールはデフォルトに戻し、ほぼ落ち着いた。

 改めて聞いてみると、Cubase ST4 よりもぐっと濃く広がるようになり、空間の中での低域の描写力が格段に良くなっている。Steinbergらしい凝縮感がとても良いと思う。24/88.2や24/96のダウンロードファイルも同様のセッティングでバランス良く再生できたのでこれで行くことにして、後は急ぐ資料を読みつつながら聞きした。在米の友人にお土産で戴いたECMのトリオ・メディーヴァルのCDが素晴らしく、このあたりは改めて紹介します。


トランスについて

■トランスは電力・磁気の変換で電力を伝達するもので、電源トランスの場合は100V・117Vに対して回路が必要とする電圧を2次側で発生させ、それを整流したりして利用する。電力は一定、というかロスで少しずつ減っていく一方なので、電圧が変われば当然電流値も変化する。
 一方、絶縁あるいはアイソレーション・トランスでは基本は1対1である。(110->117のように昇圧したり減圧する場合もある。)

■電源トランスは出来るだけ効率よく通すのが目的であり、絶縁あるいはアイソレーション・トランスは必要な帯域のみ効率よく通すのが目的だ。
 用語が入り乱れているが、絶縁トランスは文字通り感電防止がそもそもの目的である。

 あるいはコアのロスを多くして、ノイズを熱や磁気損失に変換してノイズカットするトランスなどというものも存在する。
 一方、アイソレーション・トランスは人命にかかわる医療用機器などの誤動作防止のためのより高度な機能が求められている。
「近代の医療用絶縁トランス(アイソレーショントランス)は高品質、高い安全性、耐久性を備えているだけでは十分ではなく、出力側には高度な画像処理機器と高精細なディスプレイを備えている装置が多く、画像診断を正確にするために電源および周辺機器からのノイズの除去能力も厳しく求められています。」

■スイッチング電源に比べて単なる電源トランスでも容量結合という点では低いので、アイソレーション度という点ではリニア電源に有利な面がある。しかし、アイソレーション・トランスは上記のようにより高度な目的で用いられるのであって、両方を混同するのは全く適切ではない。
 またオーディオシステムに於いてアイソレーション・トランスを導入するかどうかは、その環境をふまえてノイズだけでなく機器間の干渉防止など総合的な観点から決めれば良いのであって、単純に付けるのが通例かどうかと言う問題では全然無い。スイッチング電源にアイソレーショントランスを用いても効果があるわけで総合的な判断によるべきものだ。

■このようなトランスについての基本的知識を欠いていては、リニア電源の製作などは不可能であろうし、十分なバックグラウンドをふまえて電源を論ずることは出来ないだろう。論を立てる前にきちっと基礎から勉強すべきものだ。

 一般論ですが、ときおり、日本語の読解能力に疑問を感じるケースがあります。自己正当化のための曲解能力なら十分ありそうですが、それを見抜けぬ付和雷同がもしいたりしたら自覚に至るのは難しそうです。やれやれ。


('08.11.19)『【速報】USB 3.0 「SuperSpeed USB」がついに公開』

アイソクロナス・モードの採用とか拡張規格はとかまだ不明ですが、いずれにせよ最大データ伝送速度が5Gビット/秒と超高速なのでノイズ対策は大変でしょう。

■WEISS DAC2 の出荷は今週末になるらしく、オフ会には間に合わないようだ。まあ、その方がじっくりとまとめられるのでこちらも助かります。

■真空管に倍音なんてあり得るわけ無いですよね。強いて言えば偶数次歪みが心地よく聴こえる、とかいう事でしょうが、ちゃんと設計すれば歪みは十分低いはずだし、そうでないんだったらギター用のディストーションアンプの世界で、ハイファイ再生というよりも音響「創造」の世界の話だよね。耳に心地良い言葉のみを紡いでいく作為。orz


('08.11.18)東京からの帰りの新幹線は岡山止まりだったので、寝ると乗り過ごす危険これありで、起きているために「Mac People」を隅から隅まで読んで過ごしました。

MacBook特集は非常に参考になった。 変更の大きなポイントはこれまでグラフィックとI/Oコントローラーの2チップで構成されていたものを、グラフィック側のチップセットで統合したことだ。特にMacBook ProについてはGPUを2セット積んでゲーム用とその他用途で使い分ける事になっている。つまりはグラフィック&ゲーム性能最重視だ。
 Firewireコントローラーは「FW-643」でこれはまあ、どうにかなるとしても、「HDオーディオコントローラー」として192/24対応で光り入出力付きのRealtekの「ALC885」を積んでおり、もしチップセットが外付けオーディオインターフェースとの相性問題を抱えていればどうしようもない。

 またEE PCのような低価格PCも明確に意識して小型軽量化・部品点数の削減をしており、Firewireポート削減もApple的には使用頻度が低下しているため、という認識に基づくそうだ。とはいいつつDVIを止めて同時発売の自社ディスプレイしか直接接続できないミニ・ディスプレイ・ポートに切り替えるなど、はいはいそうですか的な強引さでやってのけている。

 一方、光沢あり液晶についてはプロフェッショナルユーザーから選択できない事も含めて圧倒的な不評を買っているそうで、「アップルはいまやコンピュータ業界のB&Oになってしまった。」という意見もあるそうな。いずれにせよAppleにとってオーディオはもはや視野にほとんど入っていないのかも知れない。

 僕の場合は次のMacOS Snow Leopardで64ビット化されるときに、EFIが2.0にアップデートされて手持ちのMacBook ProにVista64ビットをインストールできるようになるかどうか、ブルーレイディスクが再生可能になるかどうかが、判断の分かれ目になると思う。もしそうなればSSDを組み込んで当分使えるだろう。
 もしこれが実現できないようなら、Macに別れを告げ腹をくくってVista~Windows7マシンの製作を考えざるを得なくなるだろう。でもディスプレイとキーボも場所もとるし、電源も別箱で製作せざるを得ないだろうし面倒だなあ。あまり期待せずに、Apple一応がんばってね~。


('08.11.17)いろいろとあった充実した東京での週末。久しぶりに元気な友人達の顔を見ることが出来て、とても嬉しい。今日は朝からオカンを迎えに行き、また寝る。さて次の週末はオフ会だし、まあぼちぼちと。


('08.11.13)聞き専的ねんど4報告(その3)
 
 でも。やっぱりNuendo4は凄いわ!

 昨日から今日にかけてマニュアルを見ながら、メニューバー項目を絞ったりインスペクター表示を止めたり、トラックコントロールなどわかりやすいものからNuendo4の表示のカスタマイズをとりあえず開始したのですが、今日聞くとかなり情報量が高まってきて、奥行き感など空間表現もかなり凄くなっている。例えばムラーノ・セッションのタップの位置関係やかかとと爪先の音の違いなど手に取るように分かる。
 ただ、OSのチューニングと一緒でやりすぎると細身で爪先立つ感じになっていくようで、今はとてもHiFi調だが盤によってはごく微妙に金っ気というかデジタル的な匂いも感じる。多分、いろいろやって聞きつつバランスを取っていかねばならないのだろう。

 あとやっぱりファイルのサンプルレート変換(例:192KHz→96KHz)では、Nuendo4でさえMedia Monkey より良いとは言え、同レートのネイティブのファイルと比較すると微妙にニュアンスというかディテイルが鈍る感じがします。小伏さんやKentの言うように、DD変換はどっとお金をかける(dCS 972、974)か手間(WEISS Saracon)をかけんとあかん、という事のようです。

 うむ、値打ちを認めるかどうかは人それぞれでしょうが、F1のエレクトロニクスのファームウエアをアップグレードした感じ、といったらいいでしょうか。ビョーキの僕はNuendo4値打ちあると思います。

※14~16日と東京行きなので、更新を休みます。


('08.11.12)聞き専的ねんど4報告(その2)

 今日はオカンのいぬ間に少しだけカタツムリで確認した。
 ほぼ同じ設定のCubase ST4 と Nuendo4 の再生音はやはりよく似ている。強いて言えば、Cubase ST4 の方が少し骨太い感じで、Nuendo4 は少しスリムな感じ。明朗闊達な弟と頭脳明晰な兄、でもやっぱり兄弟で血はつながっている、といった所でしょうか。

 ただNuendo4のシンバルの切れ方などは尋常でない感じも漂わせているので、追い込んでいったら化けるのではないかという大きな期待を持っております。今日はハイレートのダウンロードファイル中心に聞いたので、よけいそう感じたのかも知れません。さて、これから、であります。

 それにしても各種レートが入り乱れるのを切り替えて聞いていくのは、機器にとっても追従性が要求されるので、Fireface400は勿論、Stellavox ST2 も96KHzまでですが、しぶとくちゃんとついてくるので、さすがと思いました。しかしプロジェクトファイルの立ち上げ方や切替方法などは、よく確認してやらないと不安定になったり、ノイズが出たりするので、各種ファイルをマスタリングしていくスタジオではこういう苦労をもっといろいろしているのだろうなあ、と思わざるを得ませんでした。
 CDだけならシンプルなんですけどね。

 
 皆さん、各地でご自分の流儀でPCオーディオをおやりのようで、環境やニーズやスキルによってそれぞれに取り組まれるのはまことに慶賀すべき事と想います。一番重要なのは多様性だと想いますので、その中から自分に必要なものを選択し、できるところから取り組んでいけば良いわけです。
 マスタリング・エンジニア Bob Katz が"Bit Brain"という言葉を使っていましたが、速ければスペックが高ければ良いというわけではこの世界決してないので、最後は耳でちゃんと判断いたしましょう。


('08.11.10)聞き専的ねんど4報告(その1)

 助力を得ながらCD/DVD再生環境が整いました。いやあ、ほっとして風邪がぶり返しかけましたが、週末は東京・船橋方面なので、気合い入れて体調戻します。

 で、早速Nuendo4をRAMDriveにインストール。違うソフトというものの、インターフェースはCubase Studio4とほぼ同じなので両方とも同じ設定にして、とりあえずヘッドフォンだが聞き比べてみた。
 ゼンハイザーは優秀で僕も使い慣れているから多分まちがいないと想うのだが、音質的には殆ど変わらない。

 ここでNuendo、Cubaseのスペック比較をしておくと、
1.インポート・エクスポートのサンプリングレート   Nuendo4:384KHzまで(レコーディングは192KHzまで) 
                              (いわゆるサンプルレートは192KHzまでですが、384KHzのファイルを変換して192KHzにして取り込むことが出来ます。)
            Cubase4 & ST4:96KHzまで
2.マルチ対応
   Nuendo4:12chまで  Cubase4:6chまで   Cubase ST4: ステレオ2chまで
 
インターリーブ(誤り訂正符合の特性が十分に得られるようにデータを送る順序を並び替えること)したマルチソース、例えばDVDなども再生可能。
3.CDの読込・ストリーミング再生   Nuendo4、Cubase4 & ST4ともストリーミング再生可能
4.表示などのカスタマイズ   Nuendo4:かなりいろいろとカスタマイズできる。  Cubase4 & ST4:表示はデフォルトのまま、ほとんど変更できない。

と言う事になります。


 そこでオーディオ編集、CDマスタリングソフト「Wavelab6」の件も含めて、まずはヤマハに確認するのが先という事で電話してみました。

ヤマハさんの回答まとめ('08.11.10)
1.Nuendo、Cubase & STとも「3」シリーズからサウンドエンジンは同じものを使っているWavelab6では違うエンジンではあるが、同じくらいのレベルのものを使用している。音質の違いについてはコメントはいたしかねます。
2.インポート・エクスポートのサンプリングレート  Wavelab6では384KHzまでインポート可能
3.CDの読込・ストリーミング再生  Wavelab6でも同様にストリーミング再生可能
4.マルチ対応             Wavelab6ではオーディオ最大同時出力数は8chまでだが、ドルビー5.1のようにインターリーブして1つのファイルにまとめたDVDなどは再生できない。素の状態でのwaveなど6chなどは書き出し・再生できる。
5.
シリーズ3と4の違い  プラグインなど機能的には変化はいろいろあるが、音声エンジンとしては基本的に同じもの。

 整理しますと、コストパフォーマンス的には

1.ステレオしか聴かない人。
(1)96KHzあれば十分 → Cubase Studio4
(2)ハイレートも聞きたい → Wavelab6

2.マルチを聞きたい人
(1)96KHzあれば十分 → Cubase4
(2)ハイレートも聞きたい → wavなどのファイル再生だけならWavelab6、ディスク再生もしたいならNuendo4


という事になろうかと思います。(Wavelab6については使った経験がないので、音声エンジンが同等という前提での価格からの推定です。)

 こうしてみると、Nuendo4とCubase4は音声エンジンも同じだし、また3シリーズから4シリーズへの変化も機能的にはあるものの音声エンジンは変わっていないらしいので、あまりカスタマイズしない人にはCubase4で十分だという事だと想います。機能の違いもあるので一概に言えませんが、Nuendoをフラッグシップとして特別にありがたがるものではないと思います。

 「いや~、人柱は辛いね。」などと言いながら、
1.これでリファレンス・レコーディングのHRx(176.4KHz/24bit)や、Kent Poon のサンプルレコーディング(192KHz/24bit)をそのまま聞くことが出来る。(Kent の384KHz/24bitは192KHzへの変換になります。)
2.これで将来のPCMマルチ対応も何でも来いで余裕をもって出来る。
3.Nuendo4では表示などのカスタマイズを相当出来るので、余計な機能を殺して動作を軽くしていくことが出来る。(贅沢というか無駄というか......)OS環境のチューニングと同様の効果を期待。
ということでビョーキ系の人間としてはホクホクしておりまする。(笑)


ちょっと更新が滞っていたので、サービス(?)にパワータップの写真など。これはスイッチング電源のAntelope OCX に使用する予定で、常時通電するため電解コンデンサの交換などメンテ性にも配慮して、しかしコンパクトに詰め込んでいます。黄色いコンデンサはポリプロの Siderial Kaps と AuriCap で高周波対策です。出力側には余っていたBGを投入しています。

 スイッチ・ヒューズ付き、第2世代出川式モジュール、CPMなどお約束はばっちりです。はてさて音はどうなりますでしょうか?


('08.11.6)"Design w Sound"Studio訪問記(2)

Kentと話したことの中で一番印象深かったのは彼が音楽が好きで、そして「良い録音」への強い志向を持っている、という事です。
 録音手法としてはワンポイントを基本にしているとのことで、師匠のBob Katzのヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスを2本のマイクで録った録音も聞かせてもらいましたが、いや実に見事な空気感・距離感が感じられてそれでいてクリアに録れている、という魔法のような空間が目の前に出現しました。例えばバランス上離れて位置しているドラマーがバックコーラスで歌う声の存在感、柔らかいベースのドローン。

 この日は校正に出しているためスタジオにはありませんでしたが、スチューダーのアナログデッキ(Studer A-820 ~76cm)を大切にし、"Good recordings are forever!"と50年代のアナログ録音などのすばらしさを熱心に語る彼からは音楽への深い愛情を感じることができました。そして48chのDSD & 192/24録音が出来る高価な Genex 9048 を導入するなど、これからの時代に対応していく強い意欲を感じます。

●彼の録音については改めて語る機会を設けたいと思います。またWEISSのDAC2については、ほどなく我が家に届きますので、そこで改めてご報告します。
 
●ここでは彼が語ったことを、オーディオ的Tips的に整理してみたいと思います。

1.彼は聴く側、つまり我々聞き専の側もこの10年ほどでかなり変わっていくだろうと考えています。彼はコンピューターを使うオーディオをCAS (Computer As Source) と読んでいますが、それはアメリカで言うComputer Audio、あるいは我々がいうPCオーディオと基本的には同じであると僕は理解しています。
 また彼の場合はプロですからHDDを基準にして、CDもリッピングしています。CDドライブはPlextor Premiumです。


2.コンソールについては左側がデジタルのコントローラー類、右側がアナログのエフェクター類という事で左右に分けていて、アナログだけオフするというような使い方も出来るようになっています。

■"Crookwood Mastering Console"は優秀なADC・DACと操作性を持っており、それを中心に、エフェクター類を含めてデジタル信号的にはAES/EBUで取り回しています。興味深かったのはWEISSの"AFI1 Firewire to/from AES/EBU and ADAT Interface "の役割です。

■一方、Kentいわく「ずっとAES/EBUで各機器を接続していくと、どうしてもタイミングエラー=ジッターが増えてくる。Firewireを通すことにより、ここで一旦タイミングエラー=ジッターを断ち切ることができる。」とのことで、AFI1の役割には大きいものがあり、なるほどやはりコンピュータデータで伝送していくPCオーディオの効果はあるのだな、と実感しました。

3.どこをとってもデータはいつも同じだが、タイミングはそうではない。Data is always the same, but timing is not. 結局問題なのはタイミングエラー=ジッターだ。音質変化はそれによって起きる。」というのが彼の持論で、この点はもう少し話を聞きたいところでもあります。

4.「マイクは昔より悪くなってきているので、ちゃんと確保しておかなければならない。」というのが彼の意見でした。勿論用途により使い分けるわけです。

5.再生ソフトとしては彼はNuendo3も持っているのですが、実際にはSteinberg のWavelab6.0(Windows専用)を使っていました。

 確かによく考えるとNuendo4より安いし、こちらの方が機能的には良かったような気もしますが(笑)。「CDイメージの読み込み」は可能とあるもののCDのストリーミング再生は出来るかどうか確認する必要があります。しかしWavelab6ならば384KHz対応でマルチにも対応できそうで、検討に値するかと思います。(ワタクシはネンド4を買ってしまったので、調べる気がまるでありません。どなたかよろしく、であります。)

6.アップサンプラーは何が一番良いだろうか?という質問への答え。
 「ハードウエアで行う場合、dCS974はとても良いがAES/EBU入力の限界で24ビットまでしか展開できない。その点、ソフトウエア・デコーダーであるWEISSの「Saracon」は32ビットまで展開できるので、歪み・ノイズレベルも-180dBになり、dCSより40dBくらい低くなる。しかもPCMをDSD(DSDIF)に変換することも出来る。ただしデコードした後でなければ再生できないので、欠点はハードウエアと違いリアルタイムでは聞くことが出来ないことだ。」なるほどね。

To be continued.


('08.11.5)Kentのブログで紹介されたWEISS DAC2 新バージョンのフロントパネル。44.1~192KHzのサンプリングレートが表示されるのがポイントで、Minervaにはこの機能はないそうです。でも入荷は遅れる見込みとのこと。まあ、マナコイっす。

■fireface400のドライバが更新されているが、まだCDの音が聞けず、もう少ししたらWEISSが来る(だろう)という状態では身が入らず「どーしよっかな~」状態です。現役の皆さんは各自チェックの上ちゃんと更新するよろし。これが最後の業務連絡かも。

■ハイエンドオーディオショウでいつも楽しみにしているディスク売り場。面白かったのはCDとともに、スタジオで1枚ずつ焼いたCD-Rを売っていたこと。といっても結局買ったのは、EXTONのSACDサンプラーを2枚。

■オーディオファイルの中でSACD志向みたいなものが少しずつ強くなっているのかも知れませんが、一方で新規タイトル数激減はご存じの通り。しかし録音製作の世界ではDSDは高音質収録の手法としてしっかりと根を下ろしています。例えば「DSD録音」もその一つで、とりあえずきっちりとDSDで録っておく。それをDXD 384KHz/32bit Floating など変換後に編集加工して、最終的にはCDで商品化する、などです。
 この場合DSD録音したものがCDのベースになっており、ダウンコンバートやマスタリングのやり方にもよりますが、ダイレクトにPCM録音したものとはやはり音質的に違う可能性が高いのです。

■そしてもっとも楽しみなのは、現在はVAIO専用であるソニーのSonicStage Mastering Studioのようなソフトを一般のPCで使えるようになり、DSDファイルを直接再生できるようになれば、ダウンロードは無理でもDVDメディアなどでDSDスタジオマスターを提供するレーベルも増えるのではないか、と期待されることです。香港のKent Poonも「勿論それはちゃんと予定している。」と言っておりましたし、ワオン・レコードの小伏さんにも「考えておいてね。」とお願いしております。(SACDからDSDデジタルファイルを取り出すことは、超変態・劇ヤバの世界以外は不可能です。)
 著作権管理や再生ソフトとファイル形式の問題がある場合ハイサンプリングのスタジオマスターでも勿論良いと思います。

■ま、しかし、ちゃんとセットアップされた10MHzクロックを使って聞くPCオーディオでのCD再生は、録音にもよりますが音楽を聴くのに十分なクオリティに達していると思いますので、当分はこれで楽しめば良いと思いますね。


('08.11.4)あり得ない音、虚実を行き来する感性

 ハイエンドオーディオショウなどにいくとメーカーのブースなどで「あり得ない音」を結構耳にしたりします。昨日はとあるブースでヴァイオリンらしき音。でもジュンサイのような(あ、関西人しか分からん表現かも)、クラゲのような妙にぺったんことした粘っこい音。メーカーというか代理店の人に聞いてみると、イザイの「無伴奏ヴァイオリンソナタ」だという(溜息)。セッティングをしたこの人ヴァイオリンの音をよく知らないんだろうなあ、と思いました。でもさすがに高価な機器の出す音は、人工的ではあっても独特のハイテンションな「美しい」音で、「おお、これがハイエンドか~!」と思う人もおられると思います。

 オーディオというのはそれぞれの「音楽的真実」を実現する手段であって、生音すらない音楽も含めて自分のイメージに合うように自分勝手に構築すればいいのですが、どっこい、ずっと一人では聞いていられない。誰かに聞いて欲しい、確認して認めて欲しい、そして(これが一番重要かも(笑))ここまで一生懸命やってるのを褒めて欲しい、という欲求がむくむくと湧いてきます。
 問題は自分の出したい音楽と音のイメージをどれだけ持っているかですが、聞いたこともない音楽や音についてはそのイメージは当然頭の中のものに成らざるを得ません。で、言葉だけでそれをコミュニケートしようとしても伝わりにくいし、妙に押しつけがましくなるのですね。

 ここでは「生音を知らなくちゃ駄目じゃん!」と言っている訳ではありません。虚実を知り、その間を行き来するのが人間でしょうから、何が虚で何が実であるかを「一応」知っていた方が良いのでは?、というだけです。虚に溺れたって良い訳です、それを真だと人に押しつけない限りは。例えばベーゼンドルファー・インペリアルは普通のグランドの88鍵より多く、例えば97鍵とかあります。これは、「共鳴用に低音弦が足されている」ためだそうです。(であればベーゼンドルファーのスピーカーが長い「響板」を持っていたことは、まさにその通りなわけです。)でもスタインウエイもヤマハもいい調律をしてしかるべき人が弾けばとても素晴らしいのはよくご存じの通りです。

 ついでに言いますと僕は数学で虚数というのを知ってからその美しさにずっと惹かれています。あり得ない数、というのではなく、新たに補助線を引くだけで展開できる世界が広がることは素晴らしいではありませんか?だからヴィンテージの機器にしか伝えられないそれ自体が楽器のような音というのもあるわけです。要は経験を積んでいろんなものを美味しく味わえるように、目と耳をしっかりと開いておくことではないかと。そしてビルとビルの間をジャンプするのに一番必要なこと。「Free your mind.」


('08.11.3)今日は体調今ひとつでしたが、去年行ってないので頑張って「大阪ハイエンドオーディオショウ2008」に行ってきました。

 皆さんのブログとavcatさんのAVニュースで既に「行った気になっていた」ので、関心のあるところだけざくっと。メインは久しぶりに傅信幸さんのセッション。で、驚いたことに「地元大阪のCDをかけます。良く響くところを聞いてください。」ということでワオン・レコードの「うつろな瞳」(WAONCD-090)をかけてくださった。見ると試聴リストにもちゃんと載っていました。
 終わってからお話を伺うと何とこのHPを見て何枚か注文してくださったとのこと。いや、僕は全くの勝手連的個人的応援団ですが、オーディオベーシックなど各雑誌を含めて良いものを良いと評価してくださるのはとても嬉しいことです。ありがとうございます。<(_ _)>

 実はこのCDは一時僕がコンサート関係の仕事をさせていただいた大阪天満のアートコートギャラリーで録音しており、あるオーボエ吹きのひとが「ここは笛吹の天国みたいな所ですね。ずっと吹いていたい。」と言ってくださったように、7mあまりの高さの円形の天井で響きが長くしかも美しい。リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロ/ヴァージナルという楽器構成にもまことにマッチしており、ワンポイントの明確な音場は試聴・オーディオチェック用にもいいと思います。ワオン・レコードはいま全品アマゾンで買えますから、是非どうぞ。

 で、もう1枚最近の新譜、ラ・スフェラ・ムジカーレ「バロックな対話<Baroque Dialogues>」(WAONCD-110)にも実はぞっこん参ってます。「パーセルとかヘンデルとか歌曲なんでしょ~。難しそうで敷居高いなあ。」と思われる向きには一言だけ。「部屋の空気が変わりますよ~。」
 オーディオ的には冒頭のソプラノとカウンターテナーの無伴奏デュオではじまる部分など、ぞくぞくするような空気感とテンションに溢れていて、チェンバロやバロック・チェロのソナタなど、歌曲以外の器楽も盛りだくさんですし、なによりも俗事をしばし忘れて雅(みやび)な雰囲気に浸りたかったら是非どうぞ。アマゾンで買えまっさかい、よろしゅうたのんまっせ~。

 こうしてみるとつくづくと癒し系のレーベルですなあ。


('08.10.31)■Kentからの連絡ではどうやらWEISS DAC2 の新バージョンが我が家に届くのは再来週くらいになりそうです。

■「Weiss asia center」を自負するKentから教えてもらった情報をはじめDAC2/Minervaについて整理中です。盛大に横道にそれながら、ですが。(笑)
 やはり最新のシリーズらしくMedeaやAFI1などこれまでの製品とはいくつかの点で違っているようで、改めてKentに聞かなければならない事もあります。ただ、メーカーサイトなどで公表されている事柄以上に我々のような個人サイト・ブログで不必要に踏み込んでいくことは好ましくないとも思うので、その辺も含めて確認をしていかなければならないと思っています。

KentのスタジオでdCS974+954(DSD変換あり・AES/EBU接続)とDAC2(Firewire接続)を同一ソースで聞き比べた結果では、dCSらしく凄みのある音でしたが、エッジが効きすぎた感じで、Manleyモニターのタンノイのコーン紙がビリ付くような感じが出てきて、少しやかましいかな、という感じでした。一方、WEISSはずっとおとなしめですが、僕がKentに語った言葉で言うと「Clear Water from Mountaion side」というような清冽な感触がありました。勿論、接続など細かい部分も違うようですし、DSD変換の有無もありますから一概には言えませんが、Kentによれば「dCSに比べても非常に良いレベルだ。価格を考えても凄く良い。」との事でした。


('08.10.30)ニック・ドレイクについては破滅的に早死にした人、というくらいしか知らないものの気にかかっていて、ベスト盤「A Treasury」がSACDハイブリッドで出ていたので注文した。
 聴いた。

 ほとんどささやくように歌う人だった。
 でも彼が叫ばずにいるためにどれだけのエネルギーを無駄に費やしながら生きていたのか、なんでか切々とわかる気がした。
 疲れただろうなあ。
 柔らかく広がるギターの弦からは、吹き抜ける風と遠い焚き火の匂いがした。
 涙が、こぼれた。

 


('08.10.28)さてオーディオ的には今回の香港での目玉はMr.Kent Poon の「Design w Sound」スタジオ訪問です。ここでネタ明かししますと、彼は2008年北京オリンピックの「Olympic Torch Song」のマスタリング・エンジニアです。(すみません、五輪に興味ないものでどのように使われたか分かりませんが、随所で使われたものと思います。)
 歌ったのは100カ国以上の国から北京に集まってきたミス・ワールド参加者たちで、これは壮観だったろうと思います。

 さて、彼自身から聞いた経歴をご紹介すると、カナダ在住時の高校時代16歳から録音関係の仕事に加わり、その後NYで著名マスタリング・エンジニア Bob Katz の下で働くなどキャリアを積み、ご両親のおられる香港に戻って「Design w Sound」スタジオを立ち上げた、との事です。現在30代前半の少壮気鋭の躍進中マスタリング・エンジニアというわけです。

 一方でハードウエアについての研鑽も積み、現在香港でのdCS機器のメンテナンスを担当し、またHPで見られるように各種業務用スタジオ機器の販売も取り扱っているわけです。香港の各方面と強いネットワークを持ち、さらにレコーディングにあたっては世界各国からジャズ・ミュージシャンを集めて自社レーベル制作を行い、現在3作目をリリース中です。それも192KHz/24bitファイル収録のDVDと1枚ずつスタジオマスターから焼いたCD-Rがセットされた「2 Discs Special Limited Edition and CD Version」だそうで、近日中にリリース予定です。
 
 右の写真はスタジオのスペシャルメイド・コンソールです。設備リストはこちらの通りです。

 とても居心地の良いスタジオで3時間以上いたのですが、ほとんど話ばかりしていまして、そりゃあ良い情報を沢山教えてくれました。いやあ、プロと話をするのは勉強になるもんです。それで来年秋の東京IASの際にはkentが我が家に遊びに来ることになりました。(^_^)
 あ、もちろんWEISSのDAC2(Minerva)も聞かせてもらいました。良かったです。

 で、あまりにいろいろありすぎて、またここまで書いても?ということもあるので、整理しながらボチボチと、あるいは他の所で書くかも知れません。(笑)
To be continued, stay tuned if you like it.


('08.10.23)明日から香港行き。結局円高なのでDAC2も結構安くつきそうだ。新バージョンではフロントパネルにサンプルレートを表示するLEDが追加されるそうで、もちろんその方が良いので、香港では旧バージョンを聞き、後で送ってもらうことになりそうだ。この途15年のサウンドエンジニアのスタジオはどんなものか、とても楽しみです。

※24~27日と香港行きで更新を休みます。


('08.10.22)もし世界が小さな村であったなら

 「Phile-web コミュニティ 最新ニュース」が最近届くようなって、面白そうなのを拾い読みしてますが、今日のではビョークの新作シングルが出たニュースぐらいで、人は様々なんだなあ、皆発信したいし、情報をほしがっているのだなあ、と思うくらいです。個人で情報交換系サイトをやるのはそれはもう大変なので、営業上の圧力や、ネット上の人気取りのようなポピュリズムを廃して運営できるなら、こういう雑誌系などのサイトがあることは、読む人が判断して第1次情報=インフォメーションとして利用するにはいろんな意味で良いことだと思います。
 まあ、それを整理してインテリジェンスとして集約して行くには、スキルとセンスと大局観が必要なので、さらに大変な労力が必要ですが、受け身で自分が欲しい情報がぴったりと提供されることなどあり得ないので、それは本来個々人がやるべきものでありましょう。

 僕自身はこのHPでは整理した情報をある程度発信していくつもりですが、時間やエネルギー、煩わしさなどをいいわけにテキトーなところで納めておこうと思います。
 僕は来月58歳になります。正直あと何年生きていけるか、音楽を聴けるかよく分かりませんが、全てを貫けるような原理や理論のようなものは無いらしい、智慧というものは沈黙と共にあるものだ、ということぐらいは分かってきました。
 僕が今考えているのは、自分が信頼し共に心地よくいられる人達と過ごせる時間があればよい、という事だけです。所詮それは数十人で、数十人もあれば望外の幸せと言うべきでしょう。言葉は言葉であり、ネットはネットなので、世界は小さな村で良いとつくづく思います。


('08.10.21)「あんま簡単に僕らの話を信用しないようにね、いつも疑ってかかる精神は忘れずに。」
菊池成孔・大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー」キーワード編にはこういう言葉が出てきます。彼らはきわめて真っ当な人達だとつくづく思いましたね。

(そういえば第2巻の表紙のK地氏の横顔が千葉の畏友K崎氏にクリソツなんですが、やっぱ超頭のいい人達ってこういう顔してるんでしょうね。)

調性が確率されるバッハ以前の音楽と違って、平均率12音の世界は1.確立された「システム」により、2.ノイズを除去し可能な限りクリーンにし、3..世界各地に普及させよう、という近代西欧の強迫観念とともに発展していったわけで、「歴史編」はコンパクトながらその骨格を見事に展望していると思います。そう各論は世にいっぱいあるのですが、こういう「全体像」がほとんど論じられていないのですね。僕のような全体像マニアにはそれが非常に不満だったのですが、少し癒された気分です。

■読む前から「バークリー・メソッド」ってなんじゃろ?と思ってたのですが、要は「コードをふまえた音楽記述のシステム化」の方法だということが分かって、「な~んだ!」と思いましたが、それとモダンジャズ、特にビバップとの記述はな~るほど深いです。

■特にキーワード編の最後の「ラング・メソッドについて」ではラモーやツアルリーノなどが登場し和声理論の現状まで展開され、しかもブルーノートまで理論的裏打ちが試みられるなど、いやこれは凄いものに出くわしてしまいました。もちろん日本人である濱瀬元彦氏が堂々と展開するこの現代和声論も12音の機能和声理論の世界なのですが、思わぬ方へそれを延長することにより、いろいろなものが解明できます。ただし、「私は音楽理論はシステムだと思っています。システムはそれが有効な範囲と有効でなくなる領域を持ちます。システムの範囲内では真、でもその外側では偽となる本質を持っています。私の理論も同じです。」と実に冷静な規定をした上で、「表現者としての私」がこういう事を本に書いたりすることは「私という身体を通した、大げさに言えば、私の存在をかけて、音楽というものへの、その時点での構想力を提示したもの、と言う意味です。」と誠に潔いクリーンな認識を提示しておられる。いや、よく分からないところ多々ありますが、素晴らしいと感じました。

中世のスコラ哲学では全ての学問は神学の召使いであり、音楽学はいかにこの世界が神の調和と栄光に満ちているかを証明する、一種の数学のようなものだったわけですが、これを読んで未だスコラ哲学者の野望は達成されていないことが良く理解できました。

■とはいえ全2巻としての不満はいくつかあります。講義の時間制約から仕方ないと思うものの、ある方が言っていたように西欧外についての記述が欠けていることがその一つです。たとえば非西欧ということであればインド音楽は1オクターブを72音で構成するのですが、そういう西欧という「枠」の外への視線がとても薄い。もちろんアフリカ音楽にも触れているので五音音階とか触れてはいるのですが、12音の限界との関係の記述はありません。
 そして、それも含むもっと大きな不満は「12音」での「固定された音律の限界」、と言うものを明確に指摘していないことです。このあたりは「アヴァンギャルドな1日」に参加された方々には理解してもらってると思います。つまりはバークリーにせよ、モードにせよ、インプロヴァイゼーションにせよ、12音の範囲でしか書かれていない。
 一方、調性が確率されるバッハ以前の音楽はまさに、1つの曲の中で同じ音を違った高さで「歌う」そういう音楽であるのです。「純正調」という言葉でそれがただ一つしかないと思っている方も多いと思いますが、実際にはピタゴラス純正率(三度がきつい響きになる事で有名)とかいくつもあるわけです。つまり12音を超える音数の「非固定あるいは半固定の音律」の世界がバッハ以前の西欧には長くあったわけです。その意味では現在の西欧音楽体系はたかだか300年あまりのごくローカルなものでしかありません。それがこのように大きなシェアを持ったということは資本主義における簿記会計と同じく、機能的な「記譜法」の存在が大きいと僕は考えています。

■僕は調性感の明確な音楽も好きですし、移動ド世代(!)として平均率が身体の中にしみ通っているのでその調和感も好きですが、一方で調性感の希薄な、またポリリズムのように同時並行的にイベントが発生していく音楽も非常に好きです。例えばバルトークのような、電化マイルスのような音を聞くと体中の血と肉が賦活されていくようなワクワク感を覚えます。

■ま、この本のおかげでマイルスについてもいくつか頭の中が整理できましたし、やっぱりオーネット・コールマンは凄いけれどもまとまった理論なんかはなさそうだな、という直感も裏打ちされたように思います。気になるのは東大講義シリーズの続きである「M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究 」だが、これは読まない事にしました。
 せっかく全体イメージがつながったのだから、とりあえずあちこち、あれこれ聞くのがまず先決と言う事で、もっと身体でちゃんと受け止めて行きたいと思います。


('08.10.20)菊池成孔・大谷能生「東京大学のアルバート・アイラー」歴史編・キーワード編2巻を読み終わった。最終日の「ラング・メソッドについて」など「なるほど~!」という点もあり、全体としていまいち期待はずれの点もあったが、感想は改めて。

 僕は普段音楽に対する本をほとんど読みません。それよりも聞くことの方が先だ、という事と、たいして重要でないエピソードなどに音楽体験のじゃまをされたくないからです。まあ、ライナーノーツを読むだけで相当な情報が入りますし、必要な場合調べればよい訳ですから。
 とはいえ、こういう東大ジャズ講義録のような本は音楽に対する強い「思い」がなければ多分読まないだろうし、読み通せないでしょう。


 問題はここです。「客観的に」オーディオや音質について語ることができる、と考えている人達はどんな音楽を本当に「愛して」いるのでしょうね?

 で、オーディオに関して言えば僕は「音質」を意識して聞くのは、システムの何処かをさわって結果をチェックする場合ぐらいで、まずは表現者としてのアーティストが「どんな音楽」を表現しようとしているのか、いいかえれば音楽の構造や性質のようなものに真っ先に耳を傾けます。その中で、ああ美しい音だなあ、とか、こういう音になるのは録音に問題があるんじゃないか、などと「音」それ自体を追いかける場合もあるけれども、なんと言っても音楽です。
(アーティスト達がどれだけの努力でどれだけのものを捨ててまで表現を獲得していこうとしているか、それを知れば「レコード演奏家論」のような論議は音に自我肥大したオーマニ用の治療用作業仮説以上のものではない、と言うことが分かるでしょう。)

 で、ご注意いただきたいのは、それが僕自身の中で完結している行為だからこそ、「言葉」を介在させずに済むわけで、人が聞いているとしたらそうは行かなくなる。

 で、不十分な定義と曖昧なフレームのわりに大きな一般性を求めようとする「音質」論議には僕は正直うんざりしているわけです。人によって言葉の意味が違い、物理的にも異なる環境の中での「音質」についての言葉のやりとりはどれだけの意味を持ちうるのだろう。例えば住宅事情で大音量を出したくても出せない人や、ノイズの多い環境にいる人、部屋の制約がある人など、ひとによって関心事も大きく変わるだろうし、その文脈の中でしか概略であっても本質を把握することは難しいだろう。

 誤解しないでいただきたいのは、僕は「言葉が無意味だ」と言っている訳ではない事です。勿論、個別環境での試聴報告などはそういう限定付きではありますが、十分意味のあることです。それはおおまかな音の傾向やベクトルを情報として伝えることができますし、そういう情報はとても有用です。しかし言葉だけで沢山の人の感覚を全て重ねあわせることは出来ないという限界をふまえたい、と言うことです。
 にもかかわらず「言葉」でやっていくんだ!と言う場合には、お互い細心の注意と強い思いが必要でしょう。そしてそういう自身の思いを「語る」ことが必要でしょうし、そのうえでなければ成立しないコミュニケーションがあることを知るべきでしょう。時としてメタファーでしか伝わらないものがある事にも、思いを馳せるべきでしょう。音楽についてならそう語っても良いし、僕も語る気があるという事です。


('08.10.19)音楽性の評価に際して最も優先順位の低い項目は?、と聞かれたらどう答えるかという想定で書いてみました。

 僕の場合、それははっきりしています。「言葉」です。

 音楽評論が客観的なものだと考える人はいないと思います。ミスタッチをすれば何点とか言うわけにはいかないし、早く弾けば何ポイントとか言うわけにはいかないのと同じように。
 翻ってオーディオ評論というのは確かに理論やスペックがあるのだけれども、それが決定的でないので所詮は客観的らしさを見せかけるためだけに使われる事も多い訳です。勿論、言葉による紹介がなければ全く知らない機器やメーカーについて知ることも出来ないわけで、その意味では言葉による評論の情報としての意味は大きいのですが。

 しかし、全ての人の言葉が同じ意味ではあり得ないために、さらには最後は人間の官能・センスに依拠するため、言葉による評価は自ずと限界があります。それをはっきりと明示せずに展開しようとすることは、あまりにもナイーブであるか、あるいは知的・人間的怠慢でありましょう。
 具体に言葉の例を少しだけ引きますと、「音楽性」とは「音楽」の性(さが)=基本的性質と展開できうるでしょう。あるいは、音楽が音楽たり得る何か、音楽がよって来たるところ、とか。しかし、これは「音楽」が何であるか定義されない限り、何も生みません。トートロジー=同義反復の繰り返し、いや「同義」ですらない世界です。

 音楽についてもっとも大切なことは、おそらくその人を感動させる何かでしょう。ならば、それはその人自身を語るのと同じくらいの重い作業が、結局は必要になってきます。自分自身を開示する事なしに、こういうサンプルは集めることができません。仮に開示せずに十分有意な母集団になりうると思われるサンプル数を集めることができたとしても、その結果が有意であるかどうかは、サンプルに使われている言葉の定義の正確性との積であるより低い「確率」でしかあり得ません。全体が細部の総和でない以上に、それはあやふやな何かでしかないでしょう。

 僕があるディスクについてなど音楽について書いていることは、不完全な言葉しかコミュニケーション方法のない世界で友人達に僕の「思い」を伝えるためであり、友人達がそれを聞いて何かを感じてくれたらそれで良い、という「思い」でやっているだけのことです。
 オーディオするための建前でなく本当に音楽を必要としているのであれば、まずは裏表無く自分の思いを率直に出す。それしか良いコミュニケーションを始める機会は無いと思います。


('08.10.18)昨日の高周波コネクタとケーブルの記事が案外とあちこちで反響を呼んでいるようなので、念のための補足を。

 え~、まずこういう問題についての原体験は「デジタル用」RCAジャックに音声用の25~30オームのジャックが当たり前に転用されている「なんちゃって75オーム」の問題です。我がAVの師匠や業界人の方との意見交換にはじまって、実際にWBTに交換してみるとこれは相当に音が変わります。勿論、材質や振動などの違いもあるとは思いますが、音場感や空気感的なものが大きな変化だったので、インピーも関与している可能性大ではないかと感じました、明確な根拠はありませんが。(笑)
 ただ業界人の方もAVの師匠も口を揃えるようにギョーカイの安易さを強く批判していたのは印象的でした。ましてや業務用なら長さや数も半端ではないので、これは実体験に裏打ちされた言葉だと思います。

 で、75と50も反射4%ならどうよ?という考え方もあるのですが、ここにあげた図はカナレ工業のカタログからの転載です。この「インピーダンス不整合の影響」のグラフを見ていただきたいのですが、75オームケーブルの両端に50オームBNCコネクタを付けると「リターンロスは、100MHを超えたあたりからこのようになり、もはや正確な信号伝送ができなくなります」とのことです。
 まあ、フツーはこんなアホなことは絶対しないわけですが、少なくとも「合わせておいた方が無難そうだな~。」という判断は出来ると思います。


 ということで「不確定要素や問題点を出来るだけ減らしていく」、という主旨で僕は「合わせることが出来るならインピーダンスは合わせた方が良い」と僕は考えているわけで、インピーダンス絶対超重要!と原理主義的に考えているわけではありません。

 実際、WonderLink1の端子はM端子でこれにBNCまたはRCAアダプタを付けるのですが、このBNCアダプタもインピーダンス整合をとっていないタイプです。しかしながらメーカーがトータルでのマッチングをギャランティしているとのことと、あまりの音の良さと情報量の高さに現在もクロックケーブル(OCX->FF400)として使っています。
 ついでながらFF400のRCA端子も怪しいのですが、あまりに高密度な造りでStellavoxのように交換するわけにも行かず、そのままにしています。FF400のクロック入力はハイインピーダンス受けなので、もともと影響が限られているのかも知れませんが。
 一方、SC10->OCXは選べるので、SMA端子->RG142B/U->50オームBNC(アダプタ)というオール50オーム路線で行ってます。勿論、これは入出力側の機器の規格を確認しておく必要があります。

 ようするにはじめから「何でもええがな」といういい加減なのが大嫌いであり、規格を理解したうえでの現実的対応をしていきたい、ということです。パーツについてはこういう細部の蓄積が最後には効いてくると言うのは、経験的には真実だと思っていますので。

 ある時は「科学的」議論や根拠の追求、あるときは「気にせんでもええがな」の聴感えいやあ、というのははっきり言ってダブルスタンダードです。が、僕はこれは現実的な判断で、こういう判断が出来ることはむしろ健全なことだと思っています。ただし、その人がダブルスタンダードであることを明確に意識できて、かつできるだけ科学的に探求・検討したうえでの話ですが。つまり確信犯なら良かろうという、あ、これもダブルスタンダードかな。


('08.10.17)■お役立ち情報を一つ。高周波というとBNCというイメージが強いが、50オームも含めると実際には随分多くのコネクターがある。しかもそれぞれ扱える周波数範囲が違う。ほんとうにケーブル関係なら何でも揃っている米L-Comに「Connector Interface Frequency Chart」という一目見て分かる良いチャートがあったので拝借して再掲させてもらいます。 Thank you in advance.
  
 これをご覧になると、何故ワタクシがクロックケーブルにSMAを使う事にこだわっているか、ご理解いただけるでしょう。まあ、気休めのプラセボかも知れませんが。(笑)

■先日Antelope OCX のリアパネルを見ていて、面白いことに気づいた。Atomic 10MHz入出力のBNCジャックが中心導体の周りに白い樹脂が厚めに50オーム仕様っぽい感じなのだ。ひょっとしてアダプタによく見られるインピーダンス整合を取っていない兼用型かも知れない(WC出力はすべて75オーム)。内部の回路では特に抵抗を経る事無くチップに入っていたし、あるところで測定した話も実際には75でも50でも対応出来ると言う話だったので兼用型かも知れない。ならば10MHzクロックの出力インピーダンスに合わせてケーブルは選択すべきだろう。ということでワタクシはSC10からは50オームSMAケーブルを使っている。少なくともOCXの10MHz入力ジャックまではVSWRでの反射は発生しないはずだ。

 市販ケーブルのインピーダンス・規格がいい加減なものが多いからと言ってインピーダンス関係なしに聞いてみるなど、遊びは遊びで良いのですが規格という基本を押さえていかないと、結局はどこかでそのいい加減さのしっぺ返しを食らうことになります。


('08.10.16)



 どうもクロックの供給方式とその違いがよく理解されていないようなので、チャートを作りました。
 まあ、気が向けば説明は「PCオーディオあれこれ」のページなどで後から加えます。とりあえずはじっくりとにらんでください。
 (単純化のためアップサンプリングは勿論オーバーサンプリングにも触れていませんし、EMMはCD信号を変換していますが、あくまで概念図なのでそこんとこよろしくお願いいたします。)

 赤い線クロックまたはクロックの供給元・供給先
 青い線:クロック上で展開されたPCM音楽データ
 緑の線:クロックを使って読み出し・伝送・演算はするけれども、クロック上で展開されていない静的なコンピュータデータ

 最近は殆どのDACでアップサンプリング、ASRCするし、チップの性能が上がって簡単にDD変換してしまうので、オーマニはスペックの周波数に麻痺して「システムクロックは一つ」しかない、ということを忘れています。
 ワタクシが今取り組んでいるのは、基本に還ってCD再生のシステムクロック44.1KHzをきっちりと再現していく方向です。


('08.10.15)ヤマモッさんが関西でのお仕事で更新がないため、勝手に代打ちでとりあえず新しいMacBook Pro の話題。MacBook がアルミ削り出しになったとか、ボディの堅牢性はどちらも向上しているようだ。メモリは4GBまでで変わらず。グラフィックのメモリは大きくなりつつあるので、次のMac OS ではこれも使える可能性大。SSD(128GB)がオプションでついたのは今後に期待大。もちろんVista64bitはギャランティされているはず。

 問題は拡張性で、これまでFirewire400と800の2つあった1394ポートが800の1個に減っている。これでeSATA端子でもあれば納得なんだが他はUSB2個とGbit LAN1個で、どうも「手堅く」「余分」なものを減らして基本スペックを上げ、コストアップを抑えたという感じが濃い。(この辺りはCDドライブとHDDを同時にFirewireで接続しておきたい、というワタクシの個人的事情が噛んでおりますので、ExpressCardとFirewire800で2個あればOK、と言う人はセーフです。)
 液晶もiMacと同じくクリアワイドスクリーンで、これは過去のものと違い光沢があって見た目は綺麗だが写り込みが多い。
 それと僕らRMEユーザーからすると最大の問題は、2007年後期製以降のiMac・MacBook Proで問題となっている、オーディオインターフェースとの不適合性だ。これは使用実例を待つほかない。諸卿の情報収集結果に期待します。

 オーディオ的には現段階の印象では、総じて過去のモデルの価値が仕様によっては以前より少し上がったのもしれない。64bit対応を除けば、ですが。


('08.10.14)昨夜ドルが反発する前に、米Eminentに送金しました。以前から引き合いをかけていたトーンアームmodel2 を model2.5にバージョンアップするためのより太いエアーベアリングアッセンブリー(写真右下は直出しのケーブル)と、カーボンファイバー/アルミ/テフロン製の新型アームパイプを注文するためです。エアーフロート用のポンプはとりあえず現行品でいける仕様で依頼しています。

 限定少数量の販売のため、今後のことも考えてアーム本体を買う事も検討しましたが、大暴落でお金もないしデッドストックしてても仕方ないので、必要最低限に絞りました。第一あと20年経って手放しても、誰も使いこなせないだろうしね。(笑)
 
 これがアナログ改善の隠し球その1です。といっても届くのに1月近くかかるし、来月22日にはオフ会があるので、それが済んでからアサヒステレオセンターさんに交換を依頼するつもりです。
 何でかって?最終スイートスポットに落ち着くまでには、LPを取っ替え引っ替えして聞いて調整に軽く一月近くはかかるからです。ワタクシの場合でもね。

 隠し球その2はフォノイコ電源のコンデンサー交換。外装フィルムも剥がしたり、あの手この手で。


('08.10.13)toku1209さんがKENWOOD KP-9010とオルトフォンMC-3000でアナログ導入を果たされた。とても現実的で良いセレクションだと思います。これくらいから少しずつ経験を積み重ねていけば、手堅くノウハウが蓄積されるはずです。
 特にアナログでは大小のパーツもいろいろと必要になるので、先日「音と戯れる会」掲示板のなかに「アナログ支援隊」という仕組みを作らせてもらいました。使いこなしや、パーツで何かあれば、誰か会員が答えていくというもので、何十人もいれば誰かが手をさしのべてくれるものだし、そのための団体でもあるわけです。

■畏友・小伏さんが主宰するWAON RECORD のCDが全品アマゾンで扱われることとなった。良質なワンポイント録音のラインナップが全国どこからでも入手できるのは本当に素晴らしいことだと思う。
 オーマニの皆さんもカタログから好きな内容のものを選ばれて、チェック用として1枚持っておられてもいいと思います。システムが良くなってくるにつれ、「なるほど!」という良さが分かります。

香港のオーディオショップから連絡があって、もともと業務用機器のショップでオーナーも録音エンジニアなので「当日はスタジオでdCSと比較して聞いてもらうようセットしておきます。」とのこと。うむ、どうなりますか期待大。WEISSのDAC2にも新バージョンが出るらしい。こちらも楽しみだ。


('08.10.12)5日間BS2でオンエアされた東京JAZZ2008の録画を編集する。D.サンボーンなんかは聞き始めは良いが吹きっぱなしで変化が少なくすぐに飽きるし、ロン・カーターもぴんと来ない。Fourplayは案外と良かったし、リシャール・ガリアーノもバンドはそんなに面白くはないが、アコーディオンのソロ(自作「Aria」~LiberTango)は圧巻。日野皓正クインテットもハードっぽい感じで素敵だった。活躍が目立ったのは上原ひろみ。これまでも若手の中では僕的にはダントツの一押しだったが、タップダンサーの熊谷和徳との30分近い「ラプソディー・イン・ブルー」や自らのトリオがとても良かった。そう、僕はテンションの高い音楽が好きだし、ややこしい音楽が好きなのだ。
 ということで僕なりのセレクションでDVD2枚を焼く。勿論、音声は48KHz/24bit LPCM。

 今晩はドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」がオンエアされる。やはり映像がないとイメージが湧かないし、ストーリーも身体に入ってこないので、特にこういうマイナーなのはとても有り難い。


('08.10.11)【インターフェースあれこれ】
 マーケットウオッチングの傍ら、各サイト・ブログのIAS報告などを読んで楽しんでました。

■PCオーディオがらみの傾向としては、USB接続端子を備えたりiPod接続のDACなどが見られたのが面白く、LAN(RJ-45)接続については「おお!」というのもありました。
 まあPCオーディオはフツーのオーディオと違って「つなげば終わり」でないのがスキルの見せ所で面白いところでもあり、あまりスキルのない人には敷居の高いところです。コンシュマー用としてはシンプルなインターフェースでないと普及しないし、ハード的にもこれからだと思います。

SATAはコンピュータ側の外部機器との接続規格として、CD・HDDドライブなどに幅広く使われていくと思います。オーディオ用としての使いこなしにも興味が持たれます。

■録音製作でのデジタル・オーディオ・インターフェースについては、業界的にはADATなどからFirewire400(1394a)に業界標準が実質的に移行して現在も1394aが主力ですし、当分の間そうだと思われます。一定のバス帯域幅を確保できるアイソクロナスモードのメリットも大で、保守的な業界ですからコンシュマー側のフォーマット・チャンネル数などの飛躍的向上・変化がない限り簡単には変わらないでしょう。

■個人的には1394aにかわる高速インターフェースとしてMADIに強い関心を持っていますが、これは受けの機器がぐっと高価というか超ビョーキの世界になるので変態見習いのワタクシとしても手が出ません。(笑)
 ということでExpressCard34も出たRMEのPCI Expressインターフェース(Firewireコントローラーを介さないRME独自のハイスピード・シリアルオーディオ・データバス。PCI Expressの2.5Gbpsのラインスピードに対応。)がワタクシ的には実質的な関心の的です。といってもマルチ再生もやりたいのでマルチ対応DACの音の良いモノが必要だし、まあWEISSの音を聞いてからぼちぼちと考えます。お金もないしね、はい。


('08.10.7)半年ぶりの沈黙を破った任三郎さんが言われるように、東京インターナショナルオーディオショー「世の中の経済情勢からすると、このような贅沢なかたちで今後も続くとは限らないなどと思って、今年は3日間皆勤賞でした。ま、行けるうちに行っとこう、と。(笑)」というのは、本当だと思います。
(あ~VIVID audio 「G1 GIYA(ギヤ)」の「背面に消音装置の付いたツイーターユニット」はノーチラスと同じ形であります。パテントはどうなってるのかしらん?ま、いっか。)

 僕も経済情勢のおかげで当分な~んも出来ないものの、大阪ハイエンドオーディオショウには行っとこうと思っとります。誰かとお会いできればいいですね。

もうほとぼりもさめたと思いますので。(笑)先月発売の「オーディオベーシック」秋号(p234~235)から「グローバルに楽しみましょか?~オーディオファイルのための海外サイト活用術」という見開きのページに連載がはじまっております。
 以前このページを見られた方から海外通販の購入法についてお問い合わせのメールを戴きましたが、とてもメールでお答えできるようなボリュームではなく、お断りしました。そういう事もあり情報収集や通販について書かせていただきました。身が引き締まる思いです。
 といいながら実際の体型は相変わらずのブヨブヨ系ですが(爆)、ぼちぼち行きたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。<(_ _)>


('08.10.6)合間にブルックナー7番の聞き比べ。エテルナ盤LP(K.マズア/ライプツイッヒ)は一部に音がよいとされているが、東独(民主共和国)製だけあって設備の問題があるのか、コンバスなど低域のレンジやエネルギー的にもどかしいところ大。まあ、マイクが少ないのでスッキリしていて、そのあたりが良さか。独DGG盤LP(ヨッフム/ベルリン)はエテルナ盤よりもレンジも広く音的にはずっと良いが、演奏がゴツゴツしていて透明感には欠ける。米ノンサッチ盤LP(シューリヒト/ハーグフィル)は盤が盤だけに音質的に聞く気にならず、まあ一応参加という程度。テスタメントあたりで再発してくれないかしら。
 G.ヴァントのはケルン響とのLPを買い損ねているので、TEACが販売していたベルリンとのSACD盤。結局これがこの曲の透明感とスケールを一番良く出していて当選。でもLPも欲しいから引き続き探そう。BS放送で録画し損ねたアバド/ルツエルンも透明感が素晴らしかった。

 オケはやはりエネルギー感を備えながら低域がちゃんとうごめいて「見える」感じが、僕は好きだ。オーディオも楽しいが、もっとちゃんと聞いて手持ちの盤の整理をしていきたい。


('08.10.5)明日から5日間東京ジャズの放送もあるので、仕事の傍らBS録画の整理もしたが、結構手間がかかる。「クレメラータ・バルティカ」は素晴らしい。「パシフィカ・カルテット」という新しめの団体のメンデルスゾーン、とリゲティを聞いたがどちらも素敵で、才能ある人がどんどん出てくるなあ、と言う感じだ。

 今夜はアバド/グスタフ・マーラー・ユーゲントorchのマーラー9番もオン・エアされる。

 若い人達と話して気づくのは、いろいろあるんだろうが、コンサート体験やライブ体験が少ない人が結構多いことだ。例えばホールの空気感などと言ってもぴんと来ない人もいる。いろんな音の響きや反響がその差のビート(うなり)を生み、それがまたさらに響きを生み出す。
 以前サーロジックのスーパーウーファーを使っていたが、そのオンオフでヴァイオリン・ソロのCDの音が明らかに変わる。それは、こういうふうにそのハコつまりホールの響きや空気が動いているからだ。こういう響きはエアボリュームに大きく依存するので、リスニングルームで完全な再生は難しいが、CDにはちゃんと入っている。それを聴きに行かないのは、まことに、まことに勿体ないと思うのであります。
 ジャズのライブでできればドラムのそばに座ってみましょう、ちょっとやかましいけれど。シャーンというディスパージョンの音ばかり追いかけないで、シンバルの肉厚の金属板の音がどんなものか、味わってみましょう。ウッドベースとエレべーの音の違いも吟味しましょう。ピアノの1音がどんな複雑な響き(響版、隣接する弦、ボディなど)から成り立っているか、耳をすませましょう。
 知識やデータも大事ですが、音を出すときに一番問われるのはその人の思いと、センスと、そして経験値です。


('08.10.4)高校生の頃、友人に作ってもらった高一(1年生ではなく、高周波一段増幅)AMラジオにFMトランジスタラジオの出力をつないで、段ボールボックスに入れたパイオニアのロクハン(6.5インチ=16cm径スピーカー)で聞いていた。《最近注釈は付けない主義なんですけど、このあたりは約40年前と古すぎて.....(笑)》

 コルトレーンにはまったのもその頃で、当時はビンボーだったのでいつか生を聴きに行けるかなあ、と思っていたら勝手に死んでしまって、マッコイ・タイナーなんかが来日追悼コンサートをやってたっけ。その頃に聞いてぶったまげたのがマイルスの「アット・フィルモア」。「フライデイ・マイルス」なんか当時はグシャグシャの塊にしか聞こえず、こんなん聞けるかー、と思ったもんだった。

 そして今、カタツムリでLPを聞いてみると全然グシャグシャじゃなくて、パーカッションなど生々しくディテイルもよく見えて、むしろ低域辺りが少し心許なくさえ感じられる。うちの盤はオール1Aのオリジナルなので、一応再生バランスの問題とかんがえておこう。(実際、オンマイクで生々しさを求めすぎて低域がエネルギー的に薄くなっている録音を、スピーカーやアンプでいろいろ音を付加してらしき感じを出す、というのはヴィンテージのバランスとりの王道です。)
 ロックもそうなんだが、まあこの辺も情報量を犠牲にする事なく、エネルギー感をもっと引き出すという課題の一つ。音量ではなくて、浸透してくる力感の事です。フォノイコの電源など方策は見当が付いているし、アームの部品もアメリカに発注するつもりだ。イメージもむくむくといろいろ湧いているので、形になっていくだろう。
 でも今はこの音を楽しむ。

 WEISSのDAC2といい、Eminentといい、経済情勢から見ると何とか間に合った感じだ。昔から僕はこういう運はある方だと思っているが、過信しないように選択と集中を進めよう。なんとなく考えていた寝室のサブシステムは止める事にした。
 前から言ってますが、皆さんも欲しいモノがあれば今のうちに買っておかないと10年後はどうなっている分からんですよ。


('08.10.2)欲しくて欲しくてずっと探し続けていたCDを東京の友人が見つけて送って下さった。F.クープラン「ルソン・ド・テネブレ」(ジェラール・レーヌ&イル・セミナリオ・ムジカーレ 仏ハーモニック)。コピーは録っていただいてたのだが、こうして実物を手に取ってみると感無量だ。本当にありがとうございます。CDを再生できるようになったらまずこれをかけたい。ああ、有り難い。

先日パワーアンプについて聞かれたんですが、例えばウチはカタツムリを鳴らすのにパワーアンプが8個いるんですよね。ネイティブ・オーサカン語ではこれを「ハッコ」と読みます。高橋さんをタカハッさん、山本さんをヤマモッさんと呼ぶようなもんですな。かく大阪では軽快に物事が進むのであります。(ホンマかいな?)

 なにはともあれパワーアンプがハッコですから、もし改造とか変更とか自分でするとなると同じ事をハッカイ(8回)しなければなりません。おまけにユニットを飛ばしたりしたら概ね百万仕事です。
 なのでワタクシはパワーアンプはメーカー製「出来合」で行きたいのですね。でも Jeff なんぞは温度感が低すぎて駄目。クレルやリンなんぞのAV用には食指が動かんし。で、当分はマラプロっす。見ばは悪いしペコペコで安もんくさいけど、もうディスコンなんで言ってもしゃーないけど、こいつはなかなかのもんっすよ。でんがな、まんがな。

FF400なんかの「再生バッファサイズ」ですが、レイテンシを下げるために小さくすれば良い、と言うもんでもないと思います。これは一定の環境というか「器」の中でレイテンシと安定性のどちらを優先するか、というトレードオフの関係にあります。
 で、過去さんざっぱらやったのですが、バッファサイズを小さくしていくとより精細感は出てくるのですが、中低域が細って行き、だんだんと爪先立っているような感じになります。一般的には高域がシャープになると解像度が上がったように聴こえる傾向があるので、そういう音が好きな人はそれで良い訳ですが、肝心の美味しい響きやホールの空気感みたいなものが削がれるのは誠に勿体なく、少なくとも「これだけ小さい値で行けてる!」と言うほどのものではないと思います。で、結局ウチの場合はデフォルトか、そのすぐ下ぐらいにとどめておくようになりました。

 一方、WindowsなどOS環境のチューニングは不要なプロセスを減らして、実質的なメモリ容量=実効的なマシンパワーを上げていくわけですから、トータルの「器」が大きくなるわけで、これは全帯域的なスピード感など全体的に効いてきます。むしろこちらに注力する方がトータルでずっと効果的ではないかと僕は考えます。



('08.9.30)Nuendo4のインストールとか、来月にはWEISS DAC2 を持って帰れるだろう、とかいう今後の大きな変化が控えていることもあるが、今は半田ごてを握る気すら起きず、ひたすら音楽を聴きたい。一つ修理が終わればCDの再生も出来るし、もう音楽には十分な音が出せることが分かっているからだ。
 もちろんいじるカ所はあるし、それなりに変化はあると思うのだが、それも今はどちらでも良い。本音はオーディオ界の人間の世界に倦んだ、というのが正直な所です。出会いたいと思っている智慧にはほとんど出会えそうもないしね。皆さんお忙しそうなことで結構なんですが、僕はここしばらくは港に停泊し海と空と太陽をながめつすがめつしたいと思います。

 それにマーケットもまたぞろ風雲急を告げているしね。さて明日からは10月だ。


('08.9.29)【アヴァンギャルドな1日】(4)

 当日のディスクリスト。
コンセプトなどと併せ読んでいただくとよく分かるかと。
  【作曲者/曲名「全曲名」/演奏者/レーベルなど】CDと表記したもの以外は全てLPです。

F.モンポウ(1893-1987) レント「ムジカ・カラーダ(秘やかな音楽)」 H.ヘンク(p) 独ECM 重なる鐘のように透徹したピアノの響き。透明な時間のレイヤー。

T.タリス(1505-1585) イントロイトス(入祭唱)「ミサ・プエル・ナトゥス・エスト」 オクセンフォード・クラークス 仏カリオペ   冒頭のグレゴリオ聖歌の部分。幾重ものエコーの中に広がる教会旋法の響き。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179) アヴェ・ジェネローザ「セクエンツァと賛歌」 ゴシック・ヴォイス 英ハイペリオン   高く跳躍する単旋律の声と深い思い。神への恋歌。

ペロティヌス(ペロタン)(12世紀末~13世紀はじめ) 4声のオルガヌム「ペロタンとノートルダム学派の音楽 1160-1245」  アンサンブル・ジル・バンショワ 仏ambroisie(CD)    長く引き延ばされた旋律と独特のリズム、カテドラルを満たす多声の響き。まさに12世紀のアヴァンギャルド。

マッテオ・ダ・ペルージャ グローリア(ロゼッタ)「ミサ・カンティレーナ(1380-1410)」 ペドロ・メメルスドルフ&マーラ・プニカ 仏エラート(CD)    ロバート・クラフトが「ヴェーベルンは15世紀のポリフォニー作曲家マッテオ・ダ・ペルージャの弟子だ。」と書いた中世イタリアの複雑なリズムと恐ろしく洗練された繊細な音楽。「14世紀のアヴァンギャルド」

ピエール・ド・ラリュー(1460-1518) イントロイトス(入祭唱)「レクイエム」 アルス・ノヴァ デンマーク・コントラプンクト(CD)   いまだ全貌がわからない盛期フランドル学派の大作曲家。川の流れのようにゆったりとひろがる美しい純正調の響き。

ウイリアム・バード(1543-1623)  3声・4声のミサ「3つのミサ曲」 タリス・スコラーズ 英ギメル   激動の時代・死と隣り合わせながら、平明で素晴らしく美しい作品を作り続けた天才。

ヘンリー・パーセル(1659-1695) 束の間の音楽music for a while「歌曲とエレジー集」 ルネ・ヤーコブス他 ベルギー・アクサン   レチタティーヴォのように自由な歌とシンプルな伴奏の生み出す美しさ。ヤーコブスの声と相まって異様な表現力。

ヴィヴァルディ(1678-1741) 冬「四季」 G.カルミニョーラ/ヴェニス・バロック・オーケストラ ソニークラシカル(CD) 
  バロックは当時もっと前衛的な音楽だった、と最近見直しが進んでいるヴィヴァルディ。過激なこと最右翼の演奏。ディス・イズ・ア・バ-ロック。

シェーンベルク(1874-1951) 「浄められた夜」 P.ブレーズ/NYフィル 蘭CBS
ベルク(1885-1935) 「叙情組曲」 P.ブレーズ/NYフィル 蘭CBS     若きブレーズの熱い演奏。美しい。もはや古典。

ストラヴィンスキー(1882-1971) 「ペトルーシュカからの3楽章」 M.ポリーニ(p)   爽快なまでの切れの良さ。多分ポリーニ最高の快演。

G.リゲティ(1923-2006) ムジカ・リチェルカータ(アコーディオン版・M.ボネイ編曲) M.ボネイ ワーナーTELDEC(CD)
〃          〃     (原曲ピアノ版) P.L.エマール ソニークラシカル(CD)
  たった一つの音から12音まで自在に展開されるエスプリと透徹した響き。快作快演。

E.ショーソン(1855-1899) シチリアーノ「ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のための協奏曲」 ル・ミュジシャン 仏ハルモニアムンディ   故郷を遠く離れたラテン系の人を泣かせる曲?

C.ドビュッシー(1862-1918) 「美しい夕暮れ」 スゼー&ボールドウイン   ビロードの声のバリトンと美しいフランス語。

C.ドビュッシー(1862-1918) アンダンティーノ(第3楽章)「弦楽四重奏」 ヴィア・ノヴァ四重奏団 仏エラート   柔らかく親密でデリケートな音楽。これでフランス人も泣いてくれんかな?

ビョーク 「メダラ」(SACDマルチ)

八重山古謡 鷺の鳥~殿様節「失われた海への挽歌」 嘉手刈林昌 テイチクエンタテイメント   沖縄民謡の第一人者。なんという凛とした背筋の伸びた歌であることか。

時間の関係でかけられなかった曲
M.デイヴィス ファラオズ・ダンス「ビッチェズ・ブリュー」 米CBS
E.ドルフィー ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ「ラスト・デイト」 米ライムライト
J.コルトレーン マイ・フェイヴァリット・シングズ「アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」 米インパルス
セシル・テイラー 「グレート・パリ・コンサート」 米ゲットバック
ジェスロ・タル 「シック・アズ・ア・ブリック」 米クリサリス
G.リゲティ ラミフィカシオン
A.ヴェーベルン 「弦楽四重奏のための5つの楽章」 アルバン・ベルク・カルテット  独テレフンケン
O.メシアン 「鳥のカタログ」 仏アデ
□その他 アイルランド音楽、インド音楽など
  


('08.9.28)Windowsで「Remote Procedure Call」が突然終了してiMacが勝手に再起動するトラブルで結局昼過ぎまでつぶれてしまった。気を取り直して音楽でも聴く。最近現代曲を中心にたまっていたLPを片っ端から聞いており、合間にSACDをかけるという具合だ。P.ブレーズの「ル・マルトー・サン・メートル」(ブレーズ他、独HM/LP)など演奏も音も素晴らしい。これはデモディスクとしても使えるくらい生々しい音。

 CDだがHMVから届いた「サティ/ピアノ作品集」(アンヌ・ケフェレック VirginClassics)が素晴らしい。いままでバルビゼ、チッコリーニ、高橋アキなど聞いてきたが、どれもちょっとばかりもどかしく、決め手に欠ける気がしていた。ケフェレックのは実に見事なテンポで思い切りよく緩急自在に、しかもフランス的な色彩感覚も瑞々しくて美しい。元々EMIの録音をVirginが買い取って廉価版で出しているので2枚組で\1,291(3枚以上のマルチバイ)と実にお安いので、是非1家に1枚。というかここで買っておかないと多分次はない。

 結構建築的な曲もあってこんな曲も書いていたのか、と思わされるし、「家具の音楽」と標榜していた割には随分と耳を引きつける音楽だな、と思う。2枚目がジムノペディ、グノシェンヌなど有名曲が入っているので、ここから聞き始めるとよいかも。「ジュ・トゥ・ヴー(お前が欲しい)」などボードビル音楽の傍らゆっくりと口説いているようで実に面白く、しかし、そこはかとなき悲しさも漂う。


('08.9.27)たまっていたBS録画の整理などしながら、番組表を見ていると何と来月12日のNHK BS2でドビュッシー「ペレアスとメリザンド」がオンエアされるのが分かった。ずっと待っていたので、本当に嬉しい。東京ジャズも5晩にわたって放映される。これまた嬉しい。気合いを入れてレコーダーのHDDのスペース造りをしよう。いっときDVD-RAMにうまくムーブできなくてひやっとしたが、何とかクリアできて良かった。今や貴重なBSアナログチューナー付きのレコーダーなので、何とか放送廃止の2011年まで動いてもらわなければならないからね。

 LPやSACDも聞く。エリック・ドルフィーやルトスワフスキとかいろいろだが、現代曲は一種のエネルギー賦活剤でとても面白い。でも例えば懐かしいペイジズとか、そうディーリアスのピアノ協奏曲の2楽章など心のささくれを癒してくれるようだ。ウチナーグチで言えば「ぬちぐすい(命の薬)」かな。


('08.9.26)■早速Nuendo4のインプレ?と思われた方もおられるかも知れませんが、ちょっと支障が生じて治るまでの間CDは聞けなくなりました。まあ、本人はLPやSACDなど聞くものはたくさんあるのですが、やはり残念です。日頃の心がけが足りないのでしょうか?グス.........。

質問があったので、Cubase/Nuendoで扱えるファイルについて。LINNなどが出しているWMA(Windows Media Audio)はインポート可能です。ただし、そのまま再生するのではなくWAVに変換してから再生します。これらDAWソフトではWindowsではWAV、MacではAIFFが標準なのでこれに変換してから編集加工しますので、今後FLACに対応したとしてもWAV変換になるのは間違いありません。
 うちの場合はMediaMonkeyでFLACをWAVに変換していますが、サイズも倍近くなるので注意が必要です。


DSなどのDLNSの問題点
1.現在のPC/MacではGBit(ギガビット)LANがポートとしての標準で、ノイズ面で不安がある。
2.LANはアースが全部つながってしまうので、ケースによっては注意が必要。
3.ハブ、NAS、ルータなど機器数が増えてしまい、その機器のクオリティや電源の質など、音質に対して影響を与えるファクターが増加する。

などが挙げられます。
 それぞれに100Base-TXポートを使う(ノートの場合はほぼ交換不可)、メディコンでアースを切る(メディコンそのもののクオリティや電源などの質が音質に対するファクターとして増える。以下同文.....)、それぞれの機器を比較試聴するなど吟味して、それらに対する良質な電源装置&ケーブルを別途用意する、などといった対応が挙げられますが、かなりの力業なので、基本的にはやはり気軽に音楽を聴きたい人向き、と言えるかと思います。

LINNのDSが提案しているのは、現在オーディオ界で起こっている地殻変動への先進的な対応の一つなのだが、著作権対応後進国・日本のジャーナリズムも個々のメーカーや個人のサイトもほとんどそれを理解していない。読んでるあなたも何のことを言っているのか詳しくは分かってませんよね?
 ま、いずれにせよ、PCと音楽がようやく同じ土俵の上に上がるわけだから、わしらの出番もちょっとは回ってきそうだ。年はとっててもやってることは若い?からね。(爆)


('08.9.25)今日Nuendo4が到着。オカンがまだいるので明日からインストールする。

 CubaseとNuendoの違いは
1.「オーディオエンジンは基本同じ」と言われている。(「バージョン3と4の違いの方が大きいかも。」という話も聞きますが、持っていないので未確認です。)
2.プロジェクトのサンプルレートがCubaseでは最大96KHzなのに対してNuendoではインポート・エクスポートは384KHz(レコーディングは192KHz)までとなっていたり、チャンネル数がCubase4で6ch(ST4は2ch)・Nuendo4で12chであったり、表示などのカスタマイズがNuendoでは相当可能であったりなど、機能の違い。
3.Cubaseは音楽制作用としての機能が豊富なプリプロダクション用、Nuendoは編集加工を主としたポストプロダクション用と位置づけられており、音楽制作用機能をNuendo4に追加するための「Nuendo Expansion Kit」が別売されている。


 そこでデフォルト状態でどれだけの音の違いがあるか、とても楽しみにしています。まあ、リファレンス・レコーディングの176KHz/24bitファイルを直接再生するのが第一の目的だとしたら我ながら結構いかれていると思いますが。(笑)

CD-DAはいろいろと問題があるのは百も承知で、読み込む都度読み方はビミョーに違うはずだ。一方、HDDだってディスクイメージという点ではやはりデータのロケーションはリッピングの都度都度変わっていくようだ。どちらも要は回転系のメディアの問題だと思う。(バイナリが変わるという問題ではなく、同一バイナリでもイメージあるいはデータロケーションが異なるという問題なので、誤解無きようお願いします。)
 だから僕はこの間ずっとデータのダウンロードを追求していたわけです。で、ハード的な器としては今のところSSDかと。ただこれも思ったほどスピードが出ないようだし、高価だし。でもまあ、回転がないしデータを詰め詰めにしていくならこちらの方が良さそうです。
 といっても電源やインターフェースで音はころころ変わるのだろうなあ。結局は手を動かしてみないと分からないのでしょう。


('08.9.23)【アヴァンギャルドな1日】(3)

 このページでのソフト紹介でもクラシック関係のディスクが多いし、今回かけたディスクリストをあげると全くそうだと思われてしまうかも知れない。でも僕は「いい音楽」は皆好きで、人並みに青春時代もあったので、例えばレコード棚を2段ほど引き抜いてお茶の水に送れば、オールLPで「AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)&ブラコン(ブラック・コンテンポラリー)特集」の音楽喫茶を、LPの掛け替え(これが面倒っちい...)の合間のしゃべりだけでやってのける蓄積と自信は十分にある。
 でも「現在(いま)」「活きている」音楽に関心があるのと、他にも司司がおられて書く方もおられるので、ニッチな方を選んで書いているという所が多分にあるので、一応ちゃんと断っておきます。orz

 さて、今回の狙いというかコンセプトは、

1.調性が確立する以前の中世・ルネッサンス音楽では、人間の声という楽器によって一つの曲の中で求める「響き」に合わせて楽譜上は同じ音でも歌う高さを自在に変えられるので、高い自由度を達成していた。
 そして教会旋法とそのモードによる語法は近代フランスなどの音楽家やアイルランド音楽、モードジャズなどのなかに脈々と生き続けてきた。

2.人間の声から楽器に移行し、かつ調性を確立していくことにより、多様な調でのより多彩な響きや大きな音を出せるようになったが、楽器は機械であるので固定した音律=調律しか扱えない。つまり調性を採用することにより、響きの自由度など確実に失われたものもある。

3.妥協の極みである「平均率」に対して、「純正調」は唯一理想的な調律法であるようなイメージがあるが、「純正調」にもいくつかの種類があり、「ハモる」ということの定義にもよるが、例えばピタゴラス音律の場合三度がきつい響きになるなど、一つの調の中であっても全ての音の相互関係を理想的にハモらせる=調和させる事はほぼ不可能である。要は様式観、選択と集中。

4.シェーンベルクら新ウイーン学派(現代音楽ではなくもはや古典)の流れにも12音など語法追求とロマンティシズム追求が共存している。そしてこういう音楽こそ楽器の質感・ニュアンスが大切であり、「いい音」で聞かないと真価が発揮できない。

5.いわゆる「メインストリーム」のジャズはコードの上で、コードに沿ってメロディを即興で展開していく。モードジャズの場合、例えばピアノは多彩な音のフローティングコードを叩き、そのうえでコルトレーンのようにモードをベースとした即興を展開していく。もちろんもっとフリーな展開もあるし、リズムは複合的にポリリズム化していくことも多い。

6.非西欧世界では圧倒的にスケール・モードといった旋律重視の世界である。沖縄音階、インドのラーガなどなど。つまりは迸る歌にコードは後からついてくる。
 こうしてみると12音だけに限るのはむしろ音楽の可能性を限定する事になる。現代音楽では微分音やクラスターなどオクターブの中の細分化された音とその響きを捉えようとする試みも多々行われている。

7.そして現代や未来だけがアヴァンギャルドであるのではなく、過去も「フロンティア」として発掘の途上であり、まだまだ音楽の遺産は各地・各時代に沢山眠っている。

という壮大なものでありましたが、このうち5・6については時間の関係もあって殆ど出来ませんでした。
 とはいえ、何となくであっても「音楽の自由度」「調性と調律法の限界」というイメージは伝わったのではないかと思います。また日頃聞く機会の少ない中世・ルネッサンス音楽についてはざくっとですが系統的に聞いてもらえたと思います。

 参加者のもってこられたディスク(ストラスブール・パーカッショングループ+彗星の電波を音化したノイズ)やビョークをマルチで聞いたりして、遊んだりもしました。

 初回でもあり進め方もこなれていませんが、こういう切り口でまだまだいろんなことがやれそうです。大体「ものづくり」というのは企画して立ち上げていく段階が一番面白いもので、今回一番楽しんだのは僕自身だったと思っています。
 皆さん、ありがとうございました。


('08.9.19)【アヴァンギャルドな1日】(2)

(参加者への短信から)
以前コンサートを企画運営したことがあります。
そのときインド音楽のバーンスリーという笛の奏者(スペイン人)と話しながらまとめたコンセプトに「ムーンクロック・カレンダー・ミュージック」というのがあります。
太陰暦の音楽。
この星の上の大部分の地域は太陰暦で動いています。中国文化圏、インド文化圏、イスラム文化圏、アフリカ文化圏。
まことに月の巡りは人の営みと直結しているようなのです。
そしてこれらの世界では賛歌や嘆きや叫びや哀しみや喜びや、メロディーが、迸る歌が最初にあります。(しばしばそれは「スケール」「モード」として定着するのですが。)
ハーモニーは後から着いてくるものなのです。
沖縄には「歌三線」と言う言葉があり、三線は歌のための伴奏楽器であってソロ楽器ではない、と言うことを意味します。
北インドの音楽は宮廷音楽なので、1オクターブを72に分けたラーガと呼ばれる旋律、ターラと呼ばれるリズム拍節、ラサと呼ばれる音楽のシチュエーションについてのテキスト、という精緻な体系を持っておりますが、いかんせん記譜法がありませんでした。
そのため1子相伝という形を取らざるを得ず、演奏の普及については厳しいものがあったようです。
最近インドの若手演奏家達は記譜法を工夫し始めているそうですが、ヨーロッパ音楽が広く普及したのは資本主義における簿記・会計と同様、システム化された記譜法にあったのではないかと僕は考えております。

まあ、時間の関係もありますので、そういう事にも少しふれながら、幕間では「フランス人を泣かせる音楽は何か?」などと優しい音楽もかけたいと思っております。
床座りあり、居眠り自由、でゆっくりと秋の1日をたゆたゆとまいりませう。


('08.9.18)■写真やら図表やらでこのページの容量があまりに大きくなって、更新もはらはらするようになったので、9月15日以前を2008 part1 として別ページにしました。音楽は十分にいい音で聞けているし、オーディオには少し飽きたし、マーケットの状況も風雲急を告げていますし、イベントもあるし、なんだかんだでちょっと秋休みです。

■だって。そりゃそうだよ。デスクトップもこうしてあげなくちゃ。
http://community.phileweb.com/mypage/entry/1560/20080917/7196/


('08.9.17)【アヴァンギャルドな1日】(1)

 遊びに来たいという友人達がいるので、せっかくならと9月21日には「アヴァンギャルドな1日」というのをやる事にした。そこへパリから帰ってこられる音楽大好きのアーティストも加わる事になり、前日には奈良の友人宅で宴があり引き続いて我が家、という2日連続イベントで盛り上がりも出てきている。

 アヴァンギャルドというのは現代音楽と言うだけではなく、僕的には近代西欧音楽の中心にある「調性」から「前へ」というイメージです。
 「調性以前」のヨーロッパの中世・ルネサンス音楽や、
 「脱あるいは非調性」の(西欧系)現代音楽やジャズ、
 「調性外」の非西欧音楽、

といった感じになります。
 西欧系現代音楽をのぞいてこれらの音楽の基本にはまず溢れほとばしる「歌」=メロディーがあり、コードは後から着いてくるものです。グレゴリオ聖歌の旋法=モードがアイルランド音楽やコルトレーンらのモードジャズの基本となっていることは、そういう脈々とした流れがあることを示していると僕は思っています。
 さてさて、そのような補助線がちゃんと引けますかどうか。

 あ、何度も言いますが僕は「音楽第一」の人間であって、そのためにオーディオを一生懸命やってますので、ご理解よろしく。


2008年part1から続いています。2008 part1



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