2005


('05.12.27)昨日、マルチのリア兼FM再生用に使っている「マイクロアンプ」が故障してしまった。スイッチオンしても左チャンネルのリレーが降りない。右はOKだし、先日交換したコンデンサの関係は電圧がちゃんと出ているので、これは回路かリレーの故障だ。
 小さな基板に集積度も高い複雑な回路なので、いろいろやってみたがリカバリしない。AMP修理工房
(きっちり写真で修理例を説明していて、いろんなノウハウも載っているので、アンプやオーディオ製品は「経年劣化などでかならず故障する」ということを実感するためにも、一度はのぞいた方がいいサイトです。)などに送る方法もあるが、とりあえずボチボチとやってみる事にする。

 んで、、ここにはクリークが再登場。パッとつなぎには非常に柔らかくて良く広がるのだが、マイクロアンプのようなコクには乏しい。しかし、この辺は何とかできると思うので、クリークで行くことにする。

 と言う流れで、今日はクリークの電源回りやヒューズを触って、結構切れ込む感じや低域の押し出しが出てきた。もう一二箇所触るとほぼ問題は解決できそうな気がする。
 ま、これはケーブルが入手できないと話にならないので、越年決定。


('05.12.26)この間のいろいろを整理して。

1.12/15にRchのパワーアンプの出力管を交換した旨書いたが、実はその時にバイアス電流測定用ジャックの抜き差しを乱暴にしたおかげで、結局新しく挿した8417ペアをおシャカにしてしまった。
 ジャックの接点(接点抵抗約0.4Ω)に出力管の電流のアースへの流れが依存しているのは、クイックシルバーの一番の弱点でそのうち何とかしておかなくては、と思っていたところなので何ともいい訳のしようがない。
 結局、ダイオードの電圧調整抵抗が焼けていたので交換して、さらに虎の子の8417を1ペア投入したが、測定用スイッチを取り付けてちゃんとしなくては。


2.フロント側機器の電源ケーブルをGAIA、GAIA Spec2004、SCR ACに入れ替えた。基本的に機器側にSCR AC、後は主にGAIA Spec2004となった。これで、音の緻密さとエネルギーの来る感じが向上した。その他、引き回しも調整。
 順次入れ替えていったので、実はこれに一番時間がかかった。AC関係は基本ネジ止めと言っても、以前やったのを改めてみると「下手だなあ。」と思ってしまう。芯線の全てをちゃんとネジ止めするにはどうするか。結構大変な作業だ。


3.PADのシステムエンハンサーCDで約半日ブレイクインしたクライオ真空管6922をプリのラインアンプに投入する。彫りの深い緻密な方向になり、低音の響きがより深く低い方へ伸びていく。これはいい。
 クライオ真空管は供給元サイトが少しずつ増えており、新たな音の進展をもたらすかも知れない。とりあえず、あちこちから集めて挿してみて音を聞いてみよう。


('05.12.25)トン・コープマン&シックスティーンの「メサイア」(エラートLP)は、エネルギッシュな演奏は好きなのだが、DMMプレスのデメリットで、クリアではあるが音が縮こまっている感じで、今ひとつほぐれない。LPだと各面の曲はほぼ同じになるので、2面はホグウッド(英オワゾリールLP)というふうに聞いていくと、その違いがよく分かる。
 僕はジュディス・ネルソンよりエマ・カークビーの方が好きなので、その出番が少ないことと、少年合唱隊で全体にあっさり気味な事を除けば、ホグウッドに全く不満はない。昔、セレッションSL-6Sを買ったときに、その取説のお勧めディスクリストにこれが載っていて、早速買ったのがまだ昨日のことのようだ。

  カークビー達はバロック・ルネサンス的な「ノン・ヴィブラート」という発声法でうたっていて、オペラティックに派手な「ベル・カント」唱法に比べれば起伏が乏しくて、物足りないように聞こえるかも知れない。でも、こういう「白い声」は例えば声ののばし方や、アクセントの付け方など、どちらかと言えば弱音の方向にものすごく豊かなニュアンスを持っていて、それはとても心に沁みる。
 言ってみれば、チェンバロとピアノのような感じかも知れない。

 まあ、好きずきではあるけれど、僕自身が声を出してみた感じでも、ノン・ヴィブラートはとても体に対する負担が少ない、自然な歌い方のように思える。それに、良く溶けていく声だと思う。コーラスに、カテドラルの空間に。

 For unto us a child is born, unto us, a son is given.


('05.12.24)この素晴らしいSACD達。
 上の3枚は4ch録音。
 下の2枚は、ロシアの演奏家達。

 共通項は「ポリヒムニア」(Polyhymnia)
 1998年にフィリップス・クラシック録音センターの主要メンバーがMBO(いわゆる経営陣による会社買い取り)してオランダに設立した、ハイエンド録音の専門会社。機器類はin -houseつまり自社製も多く、HPには大型トラックでの「モバイル」録音設備も掲載されている。


 上の3枚はユニバーサルなどの統合のリストラでフィリップスから独立起業したペンタ・トーンのレーベルで、70年代にフィリップスが製作してお蔵入りになっていた4ch音源のテープをスチューダーA80の4トラからdCSのADコンバーターに入力してマスタリングしている。
 左からストラスブール・パーカッション・グループ(懐かしい!)の"East Meets West"、バッハの「フーガの技法」(マリナー/アカデミー)ホリガー&ニコレのオーボエとフルート協奏曲集(インバル/フランクフルト放送響)
 どれも折り紙付きの名演奏に、暖かみのある素敵な響きでとても素晴らしい。
 残念ながら日アマゾンでは取り扱いがないが、輸入盤で扱っているショップもあります。僕は米アコースティックサウンズから入手しました。


 そして下の2枚はロシアの新レーベル「カロ・ミティス」。日本ではマーキュリーで国内盤扱いで取り寄せできる。(MAレコーディングスのHPからも購入できます。)
 これも録音はポリヒムニアで、ADコンバーターはEMM。
 
 左はオリガ・マルティノヴァが弾くチェンバロ"The Great Transcriptions" 、ワイスのリュートからのチェンバロへの編曲やバッハがラインケンを編曲したソナタなどが演奏されている。演奏も素晴らしいが、空気感をたっぷり含んだ音もいい。ロシアの古楽器界は必ずしも層が厚くはなさそうだが、彼女のような素晴らしい奏者もいるので、これからもいろいろ登場してくるだろう。
 右はオーボエ奏者アレクセイ・ウトキン(上手い!)がオーボエ用に編曲したバッハのオーボエ作品集。演奏はエルミタージュ室内管。モダン楽器だが、これも素敵だ。


 マルチのページなどで、改めて紹介しますが、これらは全てSACDマルチ・ハイブリッド。
 こういう素敵な音源がヨーロッパからはどんどん登場してくる。これからのSACDはヨーロッパ頼みになりそうだ。しかもマイナーレーベルの元気がいいので、注目度大。


('05.12.15)パワーアンプの電流をはかってみると、右の電流が下がっている。しかも、昨日くらいからハム性のノイズが耳につき始めているので、これは出力管8417の劣化だと判断して、交換した。
 ゆっくりとなじませていくと、随分とスッキリした良い音になる。そして、ワイオミングに一番良さそうな8417の1ペアの注文を出した。まだ数はある程度あるようだが、程度の良いロットの揃ったペアは少なくなってきたようだ。もっとも、僕以外に買っている様子はほとんど無いので、ゆっくりと構えて選んでいるところだ。


 それと、先日試して良くなかったクライオ済み真空管の6922。これをダウンミックス・アンプに挿して、PADのシステム・エンハンサー(Rev.B)のCDで一晩中バーンインしてみた。超低温でクライオ処理した後、常温に戻すと分子配列が乱れるが、このCDのスイープ信号はそれを整える働きがある、という話をどこかで読んだことを思い出したからだ。
 正直、理屈はよく分からないが、結果はかなりいい。硬い感じが随分とほぐれてきたし、ダイレクトな感じはむしろ良くなっているので、DSDを聞くときのもどかしさがかなり無くなっている。。
 もう少し、時間をかけて効果を確かめて、ラインアンプなりフォノイコなりどの場所に使うか決めようと思う。

 いろいろ調べると、クライオした真空管の供給はこれから増えそうな感じだ。面白いことになるかも知れない。ま、8417のクライオは出てこないと思うが。


('05.12.12)昨夜は新宿で、「菅野沖彦先生を囲む会」。いろいろご配慮を頂いて、出席させていただいた。出席者には「音と戯れる会」などで知った顔もいたし、いろいろスケールの大きな話や凄い話しも聞かせていただいた。
 でも、一番感銘を受けたのは菅野さんの凛とした姿勢の立派さであった。レコード演奏家とまで呼ぶのは少し気恥ずかしい気がするが、音楽とオーディオでの音楽体験を大切にして、その輪を広げていきたい、という熱い思いは心に響いた。

 オーディオ界も明るい話はすくなさそうだが、とにもかくにも人の輪が広がるのが嬉しいひととき。

 病み上がりだし、今日は帰りに銀座の山野楽器によってヨーロッパのSACDなど物色する程度にしたが、ここでもいくつか良い手応えがあった。これについてはまた、改めて。


('05.12.11)昨日は午後からオフ会。神戸の鹿野さんと同じく阪神間のMASAさんに来ていただいた。
 前半はいろんなソフトをで現況を聞いてもらい、最後にお約束のSACDマルチ。耳のいい人達に聞いてもらうと、違う切り口が見えてきて、何かと発見があって楽しい。WAONレコードの新譜CDを高く評価していただいたのは、とても嬉しいことだった。
 マルチもソフトによる違いや、リアスピーカーの設定など、いろんな意見がでるが、ディスクによっては後ろから音が出ると言う事になじむのは時間がかかると言うことだろう。リアを少し抑えめにする方が長い時間聞くにはいいようだ。もっとマルチが評価されるべきだという意見が一致したが、何かとややこしいから普及はなかなか難しいだろうなあ。SACD自体が厳しいし。

 夜は食事の後、いろんなはなしをする。たわいない四方山話から、ヴィンテージ機器、電源、部屋のつくり、ホームシアターの配線配管など。とても楽しく、時間がもっとあったらと言う気もするが、それくらいがちょうどいいのかも知れない。

 皆さん、また遊びましょう!


('05.12.9)さてお約束の壁コンのお話。いずれもクライオされた良い製品だが、大きな違いが一つある。

左がアイソレート・グラウンドのHubbell IG8300
 グリーンのグラウンド端子が真ん中の取付フレームと接続されていないのが、お分かりになるだろうか。
こちらで入手しました。)

右は通常のホスピタル・グレードのHubbell 8300HI
 グリーンのグラウンド端子が取付フレームと一体化しているのが分かる。もし、コンセントボックスが金属であれば、グラウンド端子はそれにつながり、ボックスがアースされていれば、グラウンドも自動的にアースされる。
(カナダのTake Five Audioで入手しました。)

HubbellのHPの資料(P.8)では、次のように書かれています。
 「通常型のコンセントは人と機器に対して安全である。しかし、グラウンドの接続部分は巨大なアンテナとなり、さらにノイズの通り道としても働いてしまう。グラウンドを流れる大きな電流で引き起こされる電気的ノイズは、電磁的な歪みとなる。これは、ランダムな過渡的信号をアース系に作り出してしまう。
 その結果、敏感な電子機器はこの過渡的な信号を拾ってしまうのである。」

この2つの壁コンの音の違いは、恐らくこの辺りの問題が大きいと思います。実際に、AC電流の変化で磁場や振動が発生するようで、我が家のようにグラウンドへケーブルを接続しないでも音の違いが確認できたり、コンセント・プレート(カバー)で音の違いが発生するなど、これらにどう対策するかが音に与える影響は存外大きいようです。
  我が家の場合は、アイソレート・グラウンドにはプラスティックのコンセント・カバーを使い、コストの関係もあってプラスティックのボックスを使っています。
 磁場などの影響もあるので、金属で遮るよりもオープンにした方がよいのではないかと考えていますが、これは比較していないので、未確認です。ただ、金属のボックスを使うより、まずはコーリアンなどで振動しにくいボックスをつくり、そこにグリーンカーボランダムのような電磁波吸収体を入れた方がよいのでは、と思いますがまだ実行していません。

※表示について
 コンセントの表面に緑色の●がある場合 → ホスピタル・グレード
        〃   緑色の▲がある場合 → アイソレート・グラウンド
 (例)IG8300の場合は●▲

P.S. PSオーディオの”Power Port”の壁コンは、アイソレートされているようですが、まだ使ったことがないので、とりあえずそのことだけ触れておきます。


('05.12.8)仙台からいろいろ届いたので、LPを久しぶりにまとめて聞く。いろいろな効果が出てきて、アナログもとても良くなっている。人にアナログを勧めるときがあるが、本当はそこそこに普及してくれていた方が、競合しなくて楽だとも思う。野心家の人たちが皆、アナログに乗り出し始めたら、結構厳しくなることの方が多いだろう。

 SACDマルチについては、テストディスクを使って前後のボリュームが一致する点の設定表を作って、ソフトごとに再生レベル一応決めたので、随分と再現性と音の見通しが良くなった。これも、フロントのプリアンプにスイッチ・アッテネーターを使っているからできる事で、どちらも連続可変だったらなかなか難しいだろう。
 リアもインピーダンスを合わせて、リモートコントロールできるLED表示の電子ボリュームのキットを作ろうかとも考えているが、当分はパッシブプリで行くつもり。


('05.12.6)この間、更新してませんが、風邪にもめげず(めげろよ~)いろいろとやってました。
 基本的には電源サイドの改良。

1.ダウンミックスアンプなど新しい機器用のACコンセントがHubbellの15Aとはいえ間に合わせのものだったので、これをIG=アイソレート・グランド構造の壁コンに変更。(クライオ処理済み。この素晴らしい壁コンについては改めて書きます。)

2.リア用機器の電源も壁から機器まで同じコンセントにし、ケーブルも従来のAETのTWINから、QUADに変更。ついでにスイッチも付けて省エネする。プラグもマリンコのクライオ処理済みに交換。

3.AV機器の電源も同じコンセントに変更。プラグも同様に交換。

4.パワーアンプ用レギュレーター電源やDVDレコーダーなど、従来QUADを使っていた電源ケーブルを、GAIA ACに交換。


 結果?
 音離れというか、開放感・エネルギー感が改善され、ハイビジョンの画はさらにきめ細かい感じになってきたし、いいっすよ~。
 といっても、マルチのリアが少しきめ細かく聞こえすぎる方向になってきたので、これは様子を見て再調整ありか。やはり後ろからの音には難しい頃合いがあるようです。
 こういうメカニカルな変更は、音として落ち着くまで時間がかかるので、見極めが必要ですが。


('05.11.30)録画しておいた井上陽水「空想ハイウエイ」(BS2)を見る。

今回は押尾コータロー、山下洋輔など、いろんな楽器奏者とのデュエット。珍しいところではスティールギターの高田漣。独特の音を活かした演奏も良いが、父・高田渡の話などいい味だしてる。そして一番印象深かったのが超絶ウクレレのジェイク・シマブクロ。演奏が凄いのはもちろんだが、低くクリアな話し声とその人柄がいい。とても日本的な環境で育ち、感情をあまり表に出さない父母の影響で全てを内側に抱え込んでしまうので、ウクレレに出会って、自己表現や感情表現をできるようになった事がとてもラッキーだったと言う。そして、終了後30人あまりのスタッフ全てにちゃんと挨拶をして帰って行ったと、陽水も感心する。
 いい奴なんだ、彼は。何か、とても嬉しい気持ちだった。


('05.11.29)僕がマルチで目指しているのは、プラネタリウムのように音を配置していくのではなく、空間に音が満ちていく様をつぶさに味わいたいという事だ。つまりは、前後左右のSPの空間的な音のつながりをスムースにしていくことだ。
 うう、これでもまだ分かりにくいなあ。要は、ぽつぽつとした個々の音のコラージュではなく、シチューのように空間が音に満ちていて、その中の音がそれぞれしっかり聞こえるということ。その中に身を置いて聞きたい。それは僕がインティメイトな、親密な音が好きだと言うことでもある。

 ま、これくらいにしておいて、リアの機器の質が与える影響は非常に大きい、というのが今日の具体的なお話。勿論、手持ちのSPとプリメインでもマルチのおもしろさや、効果は分かるのだけれど、ビョークやベックのような稠密に音が満ちている空間を再現するには、フロントとしっかり質感やスピード感を合わせたリア機器群が必要になる。当然、ケーブルや電源などもできるだけグレードを揃えてやった方が効果的だ。

 いま、それを着々と進めつつある。前後のつながりはさらにスムースになり、いままで聞こえなかった細かい音が聞こえ始める。静かに溢れてくる音にしばしため息が出るが、まだまだ。


('05.11.28)訪問先については、あまり細々と書かない方針なのだが、やはり沖縄のOさん宅の音についての印象は、しっかり整理して残しておいた方がいいと思う。大阪に帰ってきてからも、ずっと考えさせられている。それくらい印象深い良い音だった。

 EMMのCD/SACDトラポ CDSDとデジタル・コントロール・センター DCC2(プリアンプ機能付き2チャンネルDAC)については、個体差やバーンインの具合など、難しいところのある機器のようだ。大阪・河口無線での試聴機とこの1月のOさん宅での別の試聴機と2回聞いた経験がある。河口無線での試聴機は力のないヘロヘロな音で、これはダメだと思ったが、1月に聞いた試聴機は独特の艶がある高分解能の精細きわまりない音という印象で、素晴らしい可能性を感じさせる音だった。

 この後、OさんはマルチのDAC6eも聞かれたが、それは良くなかったそうで、マルチにも関心あるものの、迷った末2chのDACを選ばれたというわけ。

 今回聞いて思ったのは、まずCDの音が凄い、と言うこと。以前に聞いた「艶」どころか、アナログに近い実在感というか生々しさがあって、音楽が生きて躍動している。これは素晴らしい響きだ。これまで、CDのPCMをDSDに変換した音は何回か聞いたことがあってそれなりの良さは知っているが、これはそれらを越えた音だと思う。正直、CDをこれだけの音で聞けるなら、がんばって買わなきゃならんかな、と思ったくらいだ。
 勿論、スピーカーのセッティングやいろいろと工夫が積み重ねられているわけだが、特徴的なのはプリアンプを使わず、DCC2のプリ機能を使っていること。この方がずっと良いのだそうだ。

 SACDはまだこれからの詰めだそうだが、録音の質がまちまちなので、さらに時間がかかるかも知れない。緻密なOさんの事だから、それも程なくまとめてしまわれると思う。これで、シンプルなアナログが横にあれば、音のまとめ方はさらに幅と深みを増すことだろう。
 沖縄に美音あり。


('05.11.20)10月31日にFMチューナー導入のことを書いたが、実はこれにはある対策を施してある。と言うのも、マンションの共聴アンテナは雑音と歪みだらけで最悪だからだ。以前、FMチューナーからのインタコをプリにつないだだけで、見事なくらいのっぺらぼうな音になり、ニュアンスが吹っ飛んでしまったことがあるぐらいだ。そこで、

1.共聴アンテナ回路とのアースをアイソレートするために、シカゴのミュージック・ダイレクトからマジックボックス(MONDIAL - MAGIC BOX)を買って、アンテナ端子とチューナーとの間に取り付けた。TVの方で効果は確認済みで、アナログ・ノイズもかなり減る。

2.パッシブプリでの入力切り替えスイッチは、ホット・コールドを同時に切り替える方式にした。よって、SACDマルチを聞くときにはFMチューナーとはアースも含めて一切つながっていない。

3.FMチューナーの電源もプライトロンのアイソレーション・トランスから取っているので、フロント側への電源サイドからの干渉も排除している。

そして、音は誠にアナログ的に和む感じでなかなかいい。結構FMを見直したなあ。


('05.11.18)マルチのリア用のアンプをアルプス・アルチメイトヴォリューム使用のパッシブプリ + 仏マイクロメガの「マイクロアンプ」に変更した。
 クリークのボリュームより、パッシブプリの方が音の品位が高く、クリークよりマイクロアンプの方がよりコクのある音を聞かせるからだ。マルチの音場の広がり、特に中低域の厚みが良くなった。海のように、というイメージには一歩近づいた感じだ。ケーブルなどのクオリティもあるから、高域の抜けが今ひとつなのは物足りないが、もう少し工夫してみよう。

 クリークの方はふわっとした音場感豊かな音に良さもあるので、AV用サブシステムの方でしばらく使ってみようと思う。


('05.11.17)昨日届いたPearlの「クライオ真空管」Sovtek 6922 は、結論としてはペケだった。1本$99.50(送料別)もしたのに。がっくり。

 プリのラインアンプに挿して聞いてみた。かなりくっきりとした音で、パーカッションなどはとてもいい。しかし硬い感じで、音がほぐれない。はじめはこんな物かな、と思って説明書を見ると、クライオ処理後に36時間バーンインしてあるとのこと。
 そのまま鳴らすが、音離れが悪く、音場の広がりが出てこない。これを聞き続けるのも楽しくないので、結局元のRAMチューブ(スーパーローノイズ・グレード)に戻した。

 いくつか考えること、思いつくことはあるが、対策品が必ずしも優れているとはかぎらない、ということのいい例なのかもしれない。パワーアンプへの導入は見送り。


真空管のお話

 これを書くと長くなっちゃうんですけど(笑)、昨日届いた「クライオ真空管」だとか、友人がへんなもの掴みした事とかいろいろあるので一度書いておきます。

1.「ブランド」だけで買うたらあかん。

 大阪では、素性や真偽の怪しげな商品を「バッタもん(物)」、偽物やコピー商品などを「パチもん」と言います。真空管の世界には結構これが多い。例えばテレフンケンのダイヤマーク。不良ではねられたロットがどこかの倉庫で見つかり、「新品・未使用品」として売り出される。友人がこれを買ったみたいで、ノイズは多い、マイクロフォニックは出る、当然音は悪いで、泣いてました。値段は聞かないでやってください。

2.伝説で買うたらあかん。

 テレフンケンだって後期は南米の工場で作ってましたし、東独の工場もあったそうです。ロットで音が違うのはもう常識にしなければ。つまり、NOS(New Old Stock)真空管の世界は総当たり、買ってみなくちゃ分からない、に近い世界です。「伝説」にはまっている人は結構いるので、その場合は無尽蔵の財布が必要になります。(笑)

3.「高信頼管」のいうたい文句も当てにはならん。

 高信頼管でテレフンケンECC802Sという、足を金メッキした誠に有り難そうな球を昔がんばって買ったことがあります。当時使っていたプリアンプに期待して挿してみたのですが、音が良くなったという感じは特になく、それどころかそのうちにノイズが出てくる始末。
 「何のための高信頼管やねん!」と怒った記憶があります。

 てな話はいろいろいあるのですが、あまり突っ込むと業界的に支障が出てきそうなので、ここらでボチボチ締めにかかります。

 結局、音の良さそうなブランドでも選別しないと行けない、ということは言えると思います。

 出力管8417を国内の通販も含め、海外のあちこちも当たった経験から言うと、日本の球屋さんはバイアスなどのペアマッチング・選別の精度が低いのですね。
 海外のコンピュータ選別などやっている球屋さんの方が、ずっといい。

 たとえばテレフンケンのダイヤマークの12AX7ここで選別したスーパーローノイズ・グレードが、$120で売られています。ムラードで$110。
 僕はこれを買って試したたわけではないのですが、他の種類のタマを買った経験からすると間違いなくOKだと思います。とすると....。


('05.11.15)12月のオフ会でもご希望があればプロジェクターでハイビジョン映像を見ていただこうと思うのだけれど、我が家のビジュアル再生は2系統あって少しややこしいのですね。

1.ハイビジョン(1080i)をプロジェクター(720p)で見るとき、DVDをプログレッシブ(480P)で見るときは、東芝RD-Z1音声は同軸デジタル出力(2ch PCM)。AVアンプがないので、DAC(パーペチュアル P-3A)で受けて2chアナログでプリに。

2.DVD音声を5.1chマルチで聞く場合は、マランツ SA-12 S1 で再生(ダウンミックスアンプ使用)。ただし、画質は通常のSD画質(480i)

 DVDにもよるが、比較的前の音楽ものはリニアPCMが多く、これは2chで再生するのが音もいい。最近、特にポップス系はドルビーデジタルが増えてきて、例えばジミー・ペイジ&ロバートプラント「ノー・クオーター」なんかはなかなか音もいいのだけれど、一般的には2chも5.1chも大した事がないのも多い。そういうのは5.1chしても侘びしいので、映像の美しさを優先して、東芝で再生する。

 もっとも、普段一番よく見ているのは、東芝で録画したBSモノをDELLの液晶ディスプレイで、というパターンですが。(笑)


('05.11.14)12月上旬に我が家で「音と戯れる会」会員中心にオフ会をする予定。主としてSACDマルチを聞いて欲しいと思ってます。実際に聞いてもらわないと分からないことがいっぱいあるし。

 アナログ・ダウンミックスするのは本当は難しくはない。プリアンプの入力にミキシング用のバッファアンプをいくつか加えるだけで良く、アマチュアがやらなくても、メーカーなら簡単にできる。勿論音質を追求すればコストはかかるが、単体で立ち上げるのに比べればたいしたことはない。その方が商品性も高くなると思う。
 要は必要性や効果を認識できるかどうかだ。あるいは4ch録音のSACDを増やすのでもいい。録音側としては機材や手間が減って楽になることばかりで、デメリットはないはずだ。


('05.11.11)クライオ処理した真空管は前から注目していたが、カナダのパーツコネクションでゴールド・グレードの6922を見つけたので、早速3本注文した。よければプリアンプに使おうと思う。いくつか検索したら、12AX7やEL34もあったので、結果を見て導入を考えよう。

 そしてダウンミックスアンプのFET化も含めて、これからのオーディオ関係のタスクを整理する。他には、新型のSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)導入、バイアンプ、300Bアンプ製作など。ただ、家のこととか母のこととかが先なので、その様子を見ながらと言うところだろう。
 


('05.11.10)エミネントのアームを再調整して、ZYXの音を追い込む。本当はディスク1枚ずつに最適角度という感じになりかねないのだが、何枚か聞きながら調整して、スイートスポットらしきポイントを見つけた。良く音場が広がって音の厚みもでる。よしよし。

 でも、アームからの出力のRCAジャックをカルダス製(クライオ済み)に交換するために動かすと、また調整しなくちゃならない。ま、仕方ないか。

                     


('05.11.6)今日コンサートがあった崎川晶子さんのチェンバロで、上畑正和作品集「夢見る翼」。友人の小伏さん(WAONレコード)が、一曲ごとに調律を変えた入魂のレコーディングをしてようやく発売になった。

 訳の分からない「現代作品」ではなく、ポップな色彩感と優しく穏やかな高揚感とがふんだんに盛り込まれた美しい作品。
 ほとんど全ての指を鳴らし続け不思議な世界に入っていく「結晶(Crystal)」、美しさが開花してゆく「Nike」、ある子供の誕生に書かれた「Lisa」(これはかなり泣かせる)。チェンバロという楽器の可能性が広がったと思う。
 オーディオ的にも、よくある「カリカリ、キンキン」した響きでなく、チェンバロのいろんな美味しい音を楽しめるし、もしキンキンと響くなら、それはシステム側に何か見直すべき点があるのを教えてくれているのだろう。

 作曲家が言うように「いつも傍に置いておきたい音楽」だ。多くの人に聞いてもらえれば、と願う。


('05.10.31)合間を縫っていろいろやっているので、書くことはいっぱいあるけれど、時間がないので後日まとめて。

 一つソースが増えた。FMチューナー(トリオKT-8300)をリア用のクリーク&ELACに接続した。プリセット&リモコンでデザインと音がよいチューナーを探したが、結局いい物が見あたらず、それなら手持ちの音の良いバリコンのチューナーを活用しようというわけ。
 空気清浄機を動かして、レコードキャビネットの横に目立たないように縦置きしたが、使い勝手はまあまあ。僕のように家にいる時間が長い人間には、まるでドライブをしているような感じのFMは格好のBGMだし、リア用機器のブレイクインにもなるという一石二鳥。

 SACDマルチのリアchとは、パッシブプリのスイッチでホット・コールドとも切り替えています。

※写真の左側は、プライトロンのアイソレーション・トランス(500VA)。リア用のクリークのアンプ、プロジェクター、FMチューナーに給電。


('05.10.24)今日はほとんど新聞や藤原伊織の小説を読み、SACDマルチを聞いて過ごした。昨日からずっと新しいダウンミックス・アンプにバーンインCD(PADのシステム・エンハンサーRev.B)をかけてブレイクインし、体調も戻ってきたので、本格的に鳴らしてみたわけだ。

フォーレ/レクイエム(ヘレベッヘ・仏HM)
ブルックナー/7番(ヘレベッヘ&シャンゼリゼ管・仏HM)
スティング/セイクレッド・ラブ
J.サヴァール/イザベル1世の音楽(AliaVox)
ベック/シー・チェンジ
渡辺香津美/ギタールネッサンス2  など

 レベルや音場など、ようやく全貌が見えてきたような気がする。マルチ・トラックのあるものはマルチで聞かないと、ディスクの評価は十分ではないと思う。
 そして僕が望んでいるのは、このように音楽に、響きの海に包まれることだ。

 いろいろと聞きながら、はるばるとここまで来れたものだと、感慨を新たにした。
ここに謝辞を述べさせていただきたいと思います。

○StudioK'sの山本さん。道を開き、いろいろと手を貸してくれなければ、ここまで進化することは無かったと思います。
○WAONレコードの小伏さん。的確なアドバイスが、ノイズ対策やディレイの問題など、トラブルの克服に大きく役立ちました。
○音と戯れる会の皆さん。とりわけFET回路についてご教示いただいた石田さん、半導体について情報を頂いた辰巳さん、試聴・評価してくださった皆さん。
○豊橋の浦川さん。オペアンプについて、またパーツの入手先についてご教示いただきました。

皆さんのご助力に心から感謝いたします。


('05.10.18)いいソフトを見つけた。今日米アマゾンから届いたオホス・デ・ブルッホ「バリ」。$14.99(~安いので最近ご愛用です。日本のアマゾンのID・パスワードで入れます。ただし、住所などは英語で入力してやらなければなりませんが、軽いもんです。)

 バルセロナを拠点とする若いジプシー(ロマ)のミュージシャン達が繰り出す、ものすごくノリと切れ味の良いフラメンコベースの音楽。(バンド名は「魔法使いの眼」という意味らしい。カタロニア語かな?)

 「ビートサウンド」No.2(2003)のワールド・ミュージック特集(和田博巳、ケペル木村、ピ-ター・バラカン)で見て面白そうだと思いながら、掲載されている小さな写真がひげの親父に見えて、「ま、そのうち」で忘れてしまっていた。ところがこのサイトでの「ジプシー・ミュージックの真実 出版記念パーティDJパーティー」のプレイリストから、米アマゾンへのリンクで飛んで見て、踊る女性の写真とわかり、最近カンテ(歌)・フラメンコの魅力に目覚めたのと相まって、急遽お買い上げとなった次第。

 スクラッチやタブラ、打ち込みなどいろいろミックスしているが、何の違和感もなく来る。イントロのカンタオラ(女性歌手)の「オレ!」から始まって、もう全部通して聞いてしまう。身体がまず反応して、血が沸き立ち始める。
 理屈や理由でなく、生きるのは「エネルギー」の問題だと痛切に思い知らされる。「セラ・ウナ・ノーチェ」が好きな人なら、絶対気に入ってもらえると思う。


('05.10.14)「SACDマルチ お薦めソフト」に5枚追加しました。のマークを付けたので、すぐに分かると思います。


('05.10.10)以前、僕が改造したマランツ7のレプリカを音と戯れる会例会で鳴らしたとき、「相当のワイドレンジ志向とお見受けする。」と言われました。その時は詳しい話はしませんでしたが、好きな音質の傾向はともかく、僕自身は「単なるワイドレンジ志向」は問題が多いと思っており、前々から整理しなければ、と思っていたので、以下の題目でお話を一つ。

「ワイドレンジの落とし穴」、あるいは「ハイスピードの罠」について

 現代ハイエンドオーディオ機器の説明には判でついたように、この両方あるいは少なくとも一方の言葉が入っています。
 でも、以下に整理するように、これがよく分からないのですよね。定義は実ははっきりしない。要は「反応が早い」「敏感そうだ」というプラスイメージが強いので多用されている。
 で、確かにオーディオショーのブースに行くと、「いかにも」という音を聞かせてくれる訳だが、総じて「薄い」あるいは「味わいやコクがない」という評価がつきまとうことも多い。

●では何故ワイドレンジが必要とされるのでしょうか?

1.下限・上限周波数では「位相」が回転し、レベルが下がっていくので、なるだけ可聴帯域より広い再生レンジが望ましい、という基本中の基本のセオリーがまずあります。

※SACDは高域のワイドレンジ、例えば軽く100KHz超を必要とするという、誠にばかばかしいPRは論外です。(ソニーの広告を見たときは「こりゃアカンわ」と確信しました。)

2.もう一つは「ハイスピード」を主張する根拠として、「スルーレート」あるいは「ライズタイム」をよくするのに必要だ、と言う事です。

●「スルーレート」とは、下記によれば、「単位時間当たりに立ち上げ(立ち下げ)できる最大の電圧変化量」のことで,立ち下がりの変化率」で、1マイクロ秒あたり何ボルトの出力が最大で立ち上がる(下がる、以下同様)かを示します。
 しかし、これは「最大」の話であって、どの周波数か、どれくらいの出力電圧化によっても実際の動作時の数値は変わってきます。
http://210.224.199.226/~jp20364/timely/jp_pdf/TN008.pdf

    http://www.necel.com/linear/faq/op_amp_a16.html

 ライズタイムはこの逆数です。(立ち下がりは「セトリングタイム」というのでしょうかね?オーディオのサイトが少ないのですね。)

●ところが、これにも落としどころがあって、要するに周波数特性を広くすれば、スルーレートはどんどん高くなるわけです。
だから、例えばMHzまで再生するゴールドムンドやスペクトラルは当然スルーレートも高くなる。
では、周波数特性を広くすればハイスピードな音になるのか?
 例えば、ジェフ・ロウランドのアンプにはアンプ間、カートリッジとアンプ間にトランスが入っています。 ジェンセンやルンダール等、昔にはおよそ考えられないような高性能トランスですが、それでもMHz単位の周波数帯域など確保できません。
 ではジェフのアンプはナローレンジでしょうか?


●測定値でも定義できないとなるとやっかいなのですが、僕は以下のように考えています。
1.レンジは広く、スルーレートも高めであることは望ましいことの一つだが、必要条件とは言い切れない。

2.大切なことは信号が全ての周波数帯域や、出力レベルで「均等に」立ち上がり、立ち下がることではないかと思います。つまり、ある信号は早く届き、ある信号は遅く届く、と言う事ではなく、遅れてもいい(群遅延)が全てが同じタイミングで届く、と言うことです。
 この辺にズレがあると、高域はよく出るがローが今ひとつ、というようなバランスの悪さにつながると思うからです。

3.電気回路では信号経路をシンプルにして、また信号が均等に流れやすくする工夫が必要です。
(1)信号経路の短縮・シンプル化~ジェフやリンのように表面実装でのシグナルパスの極小化や配置の工夫。
(2)信号の到達時間が早くて、均一な素子の選択。例えば、JBLはS9800のネットワークに「高速コンデンサ」を採用しているとされています。
 JBL Reference Speakers

4.スピーカーとの関係は、非常に議論が難しいが、これも立ち上がり・立ち下がりの均一性、エンクロージャーなどの時間遅れを伴った共振の排除、位相ズレの少ないネットワークなどが必要だと思います。

 特に上記2について言いますと、生の音では「ハイスピード」の筆頭は多分トライアングルではないかと思います。あれは破裂音なので早く聞こえるのですが、ではピアノやオーケストラを聞くときは、そんなに「ハイスピード」な音でしょうか?
 つまり、「楽器に近接したオンマイク」で録った音だけを基準に考えると間違うのではないでしょうか?(オーディオ的には楽しいのですが、(笑)
 ある程度離れて撮らないと、またある程度ソフトフォーカスにしないとポートレート写真は雰囲気のある、臨場感のある写真にならないと聞きます。音も似たところがあるのではないでしょうか?

 つまりは「電気くん」が走りやすい状況を作ってあげて、そのうえでパーツや回路など工夫しながら、薄味にならないように音質を詰めていく、という事だと思います。

●ついでに言うと、現代ハイエンドオーディオ機器とは違う形で、ヴィンテージ(あるいはアンティーク)オーディオ機器にも罠があります。これもレンジ・位相回りや経年劣化で発生する「コク」、などとからんだ別の問題ですが、これについては一部以前述べたので、ここでは控えましょう。

 いずれにせよ、思いこみや単純な断定は危険であると思います。


('05.10.8)故あって修理に出していたカートリッジZYXクライオが帰ってきた。嬉しい。
 ZYXは僕にとっては、「おいしい水」(Agua de Beber)のようなものだ。ややギャラントな あるいは繊細な音のように思われているようだが、エミネントのアーム(最近はカートリッジと思われる)では、VTAなど細かく追い込んでいけるので、スイートスポットが見つかったときのハイスピードめの音はライラの「タイタン」を思い出させるものがある。

※VTAの説明はこちらに移しました。


('05.10.7)SACDマルチを始めてから、クラシックでビョークやアヴァロン(ロキシー・ミュージック)のようにマルチの醍醐味を満喫できるソフトはないか、と思っていたが、遂に見つけたようだ。

 マルク・ミンコフスキ「ラモー/シンフォニー・イマジネール」(独アルヒーフ)。彼が22歳で結成した手兵のルーブル宮廷音楽隊を率いて、ラモーのオペラなどからオケ曲を抜粋して作り上げた「空想の管弦楽曲」。ステサン最新号のクラシック評者7人中5人の選を得た点でも異例だが、このディスクのマルチ・トラックの音は素晴らしい。
 40数人という演奏者の数、シンプルなマイク配置だから出来たのかも知れないが、豊かな音場空間が広がり、みずみずしい音達が飛び交う。特に冒頭のティンパニ連打の鮮やかさと空間の広さは、2chとはスケールが違っており特筆に値する。

 アルヒーフでは同じステサンで取り上げられているG.カルミニョーラ「ヴィヴァルディ/ヴェネツイア協奏曲集」
も素晴らしい。僕は独グラモフォンのSACD録音は素晴らしいとは全く思わないが、アルヒーフは違うチームがやっているのかも知れない。

 良いディスクに出会った日は幸せだ。


('05.10.5)すぐに入手できないソフトのことを書くのは多少気が引けるが、やはり触れておきたい。
 アラ・フランチェスカ「モンセラートの赤い本」(仏Opus111、CD)。
 カタロニアの修道院に残された赤い表紙の写本からの曲をメインとしたCD。アンサンブル・ジル・バンショワのメンバーにブリジット・レーヌ(ジェラールの妹)や古楽器群が加わったグループ。

 モンセラート(モンセラ?)は巡礼の聖地で、これらの曲も巡礼達に愛されたものらしい。伸びやかな声が柔らかく広がって、堅苦しさなどみじんもなく、特にカッチャ(カノン)が美しい。
 中古で1枚だけ出ていたのを僕が買ったので、米アマゾンでも在庫切れだが、どこかで見かけられたら迷わず買うことをお薦めする。

 しかし、この後「聖母マリアの賛歌集」(西イスパボックス、LP)の美しい響きを聞いて思ったのだが、このCDがSACDだったら更に素晴らしかっただろう。ましてや良いマルチなら陶酔の極みなのだけれど、CDで聞けるだけでも良しとせねばならないのだろうなあ。


('05.10.4)「ビニール・ジャンキーズ」という本が気になったので、アマゾンに註文してみた。2~3章読んでみて、とりあえずそのままにしている。面白いのだが、何となく微妙な違和感がある。気の向いたときに拾い読みする程度だろうと思う。

 LPを軽く千枚以上持っていて、年間100枚以上は増え続けているし、CDよりもずっと音がいいし、モノとしてのLPやジャケットも好きだ。でも、僕は「ジャンキー」つまり中毒者ではないのだと思う。

 「リ-ズナブルな価格であれば」オリジナル盤や初期盤に越したことはないが、やたら高価なモノやジャリジャリ言う物まで買おうとは思わない。程度のいい復刻盤で十分だと思うし、もしLPより音の良いメディアがあれば、迷わずそちらに乗り換えていくだろう。

 「いい音で音楽を聞きたい。」それに一番近いのがLPだと言うことで、そういう意味では僕はオーディオマニアなのだろう。
 ま、定義はどちらでもいいことなのだけれど。


('05.10.3)昨日は芦屋で僕と同じスピーカーを使っておられる方の所にお邪魔した。
同じスピーカーどうしというのは、微妙に難しいところがあって、手の内がいろいろよく分かってしまう分、気になるところも見えたりする。
 これまで僕の所には何回か来られていたので、そういう少し複雑な感じで聞いておられたんだろうなあ、と思いながら聞かせていただく。我が家よりはおとなしめの音量の鳴らし方で、しかしスパーツイーターのせいか、音の立ち方はとてもよい。最初耳が慣れるまで少し時間がかかったが、フォーカスをどこに当てているかが分かってくると、「ああ、こういうふうに鳴らしたいんだなあ。」と全体像がすっと入ってくる。
 例えばジェニファー・ウオーンズの声はブレスのあたりに特長がある。我が家なら、もう少し下の帯域の胸の鳴る感じや声の湿り気が強めに出るのだけれど、この辺りは好みの世界。ジャズもサックスが入っているものが好きとのことで、何枚か聞かせていただいたが、ホーンが強くブロウする感じよりも、もっと優しい吹き上がりの感じのところがサウンドの中心だ。ナグラとアリアのアンプ群の音は温度感や湿り気を、解像度としっかりと両立させている。

 うん、スピーカーが音楽へ向けた窓だとしたら、これは同じ窓枠とガラスを使って、異なる光と環境で開かれた窓だ。
 それにしても、半日お邪魔しただけで、いろいろな感覚が見えてくるものだ。オーディオというのは本当にパーソナルなもので、またそこが一番面白いところなんだと思う。


('05.10.1)jきょうは、ダウンミックス・アンプの仕上がりチェックのつもりで、マルチもいろいろ聞いた。

 ノイズなどはクリアできているので、後は響き方や音質の問題だが、これも問題なさそうだ。そこで懸案になっていたリアスピーカーの向きを調整する。

 富田&山本方式であるが、置き場所がないので僕はリアをELACの1ペアで鳴らしている。特に、JETツイーターの繊細な音が好きで、山本さんのところと配置(縦長or横長)や部屋の大きさが違うので、我が家なりにニアフィールドで精妙に鳴らしていきたいという志向とぴったり一致しているのだ。当初は、これにアンソニー・ギャロのマイクロサテライト(通称「目玉」)をパラって2ペアにしようと思っていたのだが、ELACが4オームのため、パラるとアンプが持たない事が分かった。

 で、リアの向きの調整で何とかクリアしようと、ELACの内振りの角度を小さくしてみた。つまり、より正面向きにしたわけだ。これは正解のようで、以前よりリアの音が耳に付きにくくなり、全体の広がりが改善された。勿論、以前のピンポイントな精妙な音場も捨てがたいが、トータルではこの方が適応性が高いと思う。リアのアンプ・SPともにまだまだブレイクインしなければならないので、様子を見ながら詰めていこう。


先日、宇田川貞夫さんが打ち上げで我が家へ見えられたときのこと。大部分の人が帰って「アナログを聞かせてください。」と言うことで、カラヤン・ベルリンのマーラー6番(DGG)を鳴らしたところ、「普通はこんな風に聞こえないよね?」との話。

 誠にその通りで、カラヤンのはどうも「こう聞かせたい」という風に録音・ミックス・プレスしているらしい。つまりは再生音場を前提とした「オーディオ的定位」の世界なので、分かりやすさと聞き映えするのが、よく売れた理由の一つではないかと思う。
 誤解されたくないのだが、僕もマニアの端くれなので、こういう「オーディオ的定位」の世界も好きだ。「書を捨てて、街に出でよ。」と言っているのではなく、ただ、全てにそれを求めるのはどうかと思うだけだ。
 実際にホールでオーケストラがどう響いているのか、大抵の指揮者はおそらくその響きを基準に考えるだろう。カラヤンは違うらしいというわけで、そのあたりをごっちゃにするとややこしくなる、という話だと思う。


('05.9.27)思い立って古楽のCDを米アマゾンにまとめて註文した。アラ・フランチェスカ「モンセラートの赤い本」が中古でマーケットプレイスに出ていたり、ジェラール・レーヌの5枚組CDが$18.99だったり、アンサンブル・ジル・バンショワのG.マショー3枚組があったり(これは普通で、$39.98)で、実質15枚で送料込み220ドル弱だから、結構得な買い物になったと思う。
 といっても、一度に全部が来ることはまず無いし、このうちの何枚かは結局来ないかも知れない。でもなにやかやで、欲しいソフトはもう相当に集まりつつある。嬉しい。

 これらがSACDだったら素晴らしいんだが、贅沢ばかり言ってはいられない。音楽はまず聴かなければ話にならない。だからCDで古楽を聴けるようになったことを喜び、さらに努力するしかない。とりあえずDACからプリへのケーブルなど、新型にしてみようか。


('05.9.26)作業の合間に、ダウンミックスアンプのノイズと音質をチェックする。OK。
 帰ってきたSACDプレーヤーの調子がよくなってきた。前よりも音の粒立ちが良くなっていると思う。

 深夜、フォーレのレクイエム(ヘレベッヘ/仏HM)の「ピエ・イエズス」を聞く。ダウンミックス・アンプのSNが良くなっていることもあり、細かいニュアンスがよく立って聞こえる。小音量でもしっかり広がり感が出る。こういうのはもう2chには戻れない。マルチっていいなあ。


('05.9.24)マランツSA12 S1が修理から帰ってきた。DAC(CS4397)の前段に入るSACDデコーダーのIC「FURORE」を交換している。フィリップス製なので値段も結構高い。
 この機種はEMMのベースモデルとなったSACD-1000と主要部分はほとんど同じで、キーパーツやメカはフィリップス製。どうやら日本初のマルチチャンネル・プレーヤーらしい。
 ま、それはどちらでもいいのだが、山本さんの777といい、故障の話を最近よく聞くが、問題は補修パーツがどこまで確保できるかだ。恐らく、あと10年もしたら、マルチのかかる音の良いプレーヤーはかなり少なくなっているように思う。大事に使わなくちゃ。と言いながら、DVDもかかったりして機能が多いので、トラブルもいろいろ起こりうるのかも知れない。

 音はまだほぐれてこないが、マルチがちゃんと聞けるだけで嬉しい。ダウンミックスアンプが里帰り・調整中だが快調なので、どんどん鳴らしてみよう。


('05.9.14)部品が届いたので、東京のShu-ksさんからお預かりしているML-1用電源の改良がようやく完了した。スイッチング電源は、聞いていてどうしてももどかしいところが残るので、今回は外付けにさせていただいた。

 チェックのため、JC-1 ACにつないで、夕方からずっとLPを聞き続けた。とてもいい。ビゼー「アルルの女」組曲(A.ロンバール/ERATO)の美しいこと。マイルスの「アラウンド・ザ・ワールド」もいい。ジョニミッチェルのデビューアルバムなど、すがすがしさと危うさの両方が、ちゃんと出てくる。

 正直言ってPLS電源より僕はずっと好きだ。と言うよりも、状態のいいPLS電源はどんどん無くなっているようなので、早いに越したことは無いのだから、悪くなる前にオーバーホールなど依頼した方がいいと思う。音が変わってしまうから、という気持ちは分かるのだけれど、パーツが傷んでしまえば元も子もない。


('05.9.12)久しぶりに会った知人に「HPを見るとオーディオの方は相変わらず過激に突っ走ってますなあ。」と言われてしまった。
 まあ、メーカー製のアンプを改造したりするのは、そう見えるのかも知れない。それはそれでそれで、どちらでもいいことなのだが、この機会に少し考えていることを整理しておきたい。趣味と自己満足の世界であることぐらい十分分かっている大人のつもりだが、たまには独断と偏見に満ちて言い切ってしまいたいので(快感!)、ご容赦願いたい。

1.僕が目指しているのは、「ハイエンド」オーディオであること。
 これは機器としてのハイエンドを揃えていくと言うことではなくて、音としての「ハイエンド」、つまり僕的に言うと情報量のアップの追求を続けていくということ。マルチもこれに含まれる。例えば、オーケストラの多数の楽器が醸し出す「豊かな感じ」「質感」を再生するのはどうすれば良いか。

2.シンプル&ストレート、電気が流れやすい環境作りを目指していること
 僕は位相が回ってしまうトーンコントロールなど使いたくない。パラメなどで補正しても副作用が出るのを正当化する度胸は僕にはない。傾向の確認や一時的な対応ならともかく、ストレートな構成で目指す音を出していくのが王道だと僕は思う。(あ、デジタル領域での補正については保留です。)
 例えばジェフ・ロウランドが何故バランス接続に半導体のバランス回路を使わずに、トランスを使うのか、ジェンセンの技術論文をご覧願うと、静特性と動特性がどれだけずれてしまうものか、ご理解いただけるだろう。

3.「「スピード」重視であること、ただし「ハイスピード」ではなく「全帯域のスピードを揃えること」を重視。
  基本的にはハイスピード=ワイドレンジなのだけれど、実際の生音やコンサートを聴くと、耳が痛くなりかねないような「ハイスピード」な音などほとんど無い。音は距離の二乗に反比例して減衰していくのは、よくご存じの通り。例えば、シンバルなど身近で聞くと大きな音だが、インパクトがあるのはむしろ低い帯域だ。
 勿論、ちゃんと確保しなくてはならない事だけれど、率直に言って「オーディオ的定位」と同じくらい「ハイスピード」は幻想だと僕は思っている。だからスーパーツイーターを使う気はない。[スーパーウーファーは使っているけど。(笑)]
 それよりも、生音の豊かな広がりと強い立ち上がりを「らしく」聞くには、「全帯域のスピードを揃えること」が重要だと思う。これはかなり難しい。

 信号の通り道を一つ一つ磨き込んでいく。でも理屈ではない。結局は耳で決める。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。


('05.9.9)今日は久しぶりにゆっくりと音楽を聴いた。最近、どうも音にエッジが立ちすぎる傾向があって、「俺ってこんなにクールな方向に締め上げてたっけ?」と思っていたが、アース回りが安定したシステムはやはり安定感と透明感が両立して出てくる。

これは他の機器でも経験した教訓。「不安定なシステムは線の細いエッジの立った傾向、つまり一聴ハイファイな傾向に聞こえる。」こういう場合は、要注意だ。

 そして、JC-1 ACヘッドアンプ電源で気になっていた定電圧電源の電圧調整ボリュームをバーンズの導電性プラスティック(0.5W)から、最近ようやく見つけたサーメット=酸化金属被膜(2W)に交換する。長時間揺るぎない電圧、圧倒的に安定した音。東京のShu-ksさんからお預かりしているML-1用電源もこれに替える予定だ。

 今日聞いた主な曲は、マーラー6番のアンダンテ・モデラート(カラヤン/ベルリン)、カンプラのレクイエム(ガーディナー ERATO)など。LP。


('05.9.8)SACDマルチのアナログ・ダウンミックス・アンプの改良にかかりきりになっていたので、オーディオ日記の方は長い間更新してません。

 お茶の水から里帰りして来るや、結構盛大にノイズが出て、「すわ!」とあちこちチェックして、アース回りなど「徹底的に強化して、接続するパワーアンプによってノイズの出方が変わったり、それでも「原因が分からん」と悩み続けてけて幾昼夜。

 結局は、CSEの電源レギュレーターを昔触ったときのリカバリ部分のアースが不安定になっていたため、と判明。これで、ノイズも含めて一挙解決。
 いやあ、ほっとした。
 ダウンミックスアンプVer.3.1の方は電源・アース回りなどあちこち強化して、リファインできたと思う。これで来週の例会には間に合いそうだ。


('05.8.24)SACDマルチに取り組み始めてから、検索もかけながらいくつかのサイトを回ってみたが、結構理解が混乱していると言うのが実感。
 とはいっても「ダウンミックス」という言葉が出始めただけでも嬉しいと思う。ただ、「デジタル・ダウンミックス」「アナログ・ダウンミックス」を区別せずに、ただ単に「ダウンミックス」とだけ混同して触れられているのは、どうにかならないものだろうか。(実際に同一機種で聞き比べないと分からないのだろうなあ。)

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 業界サイトを見ても、例えば、ソニーのAVアンプTA-DB790のページにはこう書かれている。

 「デジタルダウンミックスは、文字通りデジタル信号のままこの足し算を行う方法。デジタル演算回路は扱える信号レベル幅(ダイナミックレンジ)にリミットが数値として厳密にありますので、足し算してもこのレベル幅を超えないよう(クリップしないよう)、あらかじめもとの信号をデジタル領域で半分のレベルに圧縮したのち、足し算を行います。このため、わずかながら音場が狭くなったり、低域の音が硬くなる傾向が見られました。またランダムな成分で、圧縮の影響を受けにくいノイズと、圧縮された信号とのレベル差が少なくなることによりSN比も悪化します。アナログダウンミックスは、フロント、センター、サブウーファーといった各チャンネルをD/A変換したのち、アナログ領域で足し算を行う方法です。アナログ回路にはデジタルのようなクリップする数値というものはありませんので、デジタル領域でのレベル操作は必要ありません。アナログダウンミックスは、D/Aコンバーターが多数必要な方式ですが、デジタルダウンミックスの欠点をカバーする高音質が得られるのです。
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 必要なのは、(できれば機器内部で)「アナログ・ダウンミックス」ができることなのだが......。


('05.8.20)「サント・コロンブ師のトンボー」MAレコーディングス M069A
  国内盤はマーキュリー扱い
 マラン・マレ:ヴィオールのための作品集/アンドレア・デ・カルロ(バス・ド・ヴィオール)

 7月30日のこの日記でヒレ・パールのサント・コロンブ曲集のCDに触れたが、これはマラン・マレ、そして、すばらしいCDだ。
 MAレコーディングスはタッド・ガーフィンケルというセンスある人が日本で始めたレーベルで、勿論MAは「間」の意味。

 タイムロードの米谷淳一氏が作ったマイクで176kハイサンプリング&ワンポイント録音。昔から音の良いレーベルとして有名だが、この録音も素晴らしい。そしてアンドレア・デ・カルロの切々と深いバス・ヴィオル。
 この方面がお好きな方なら、迷わず買われるべき1枚だと思う。

 それにしても国内盤の「トンボー」と言うのは墓碑とか墓標とか、亡き人に捧げる曲らしい表題にならないものかなあ。(僕は銀座の山野楽器で買いました。)


('05.8.17)昨日は、よせばいいのに、思い立ってプリアンプの電源ケーブルを付け替えにかかった。差し替えるだけじゃん、と言われそうだが、我が家の機器は年代物が多く、接点を減らすためにできるものは全て直づけしているので、半田付けし直さなくてはならない。GAIA ACをSCR ACに交換。

 で、取りかかったら、定電圧回路の出力コンデンサ(250V 100μ ポリプロピレン・フィルム)もはずさなくてはならなくなり、結局取り替える羽目になった。結構時間がかかり、さんざんに疲れた。
 しかも、コンデンサは新品でブレイクインしていないので、スピード感がバラバラな音で、どれくらい効果があるのか音は判別が付かず、結局バーンインCDでブレイクインして、今夜ようやく何とか聞けるようになったという次第。

 まあ、結果は良さそうだけど。ふあ。


('05.8.16)13日は「音と戯れる会」の例会。SACDマルチのためのダウンミックスアンプのVer 3.0は無事デビューを果たして今山本さんのところで心地よさそうにしているし、今、自分用にプリも含めて機能分けした、Ver 3.0 マイナスワン・モデルを製作中なので、これで僕的には製作については一段落ついたことになる。
 山本さんがHPに書いているように、今回、BECKの”Sea Change”のマルチの音の凄さは特筆ものだった。
 ただ、こういうマルチならではの積極的な音作りをしているディスクでなくても、総じて質感、あるいは実在感が高まるのがマルチの特長なので、引き続きよいディスク探しを続けたいと思う。
 
 そしてパーティーは圧巻だった。T藤さんなど懐かしい人たちともゆっくり話が出来たし、新しい出会いもあった。誰かが事前にメンバーをセレクトして開くオフ会ではこういう事はほとんど起こらないか、はじめからある範囲に限定される。
 出入り自由なパブリックな場だからこそ、いろんな出会いができる。分からない人には分からないだろうが、この違いは大きいと思う。


('05.8.7)一昨日、デンマークDACTから電源基板が届いたので、昨日、MCヘッドアンプJC-1AC電源の修理・調整をした。いろいろ、調整したので、音は一段と良くなっている。
 これでShu-Ksさんからお借りしているML-1用電源をようやくお返しすることができる。感謝、深謝です。m(_ _)m 

 左は、付属しているスイッチング電源アダプタ(48V)だが、これまでほとんど使っておらず、トランス+ショットキー・バリア・ダイオード+定電圧電源から基板に48Vを供給していた。
 今回、メーカーとやりとりしていて、メーカーはこのアダプタの使用を推奨しているので、ケースの中に組み込んで、スイッチで切り替え使用できるようにしてみた。

1.ボリューム最大時のノイズはスイッチング電源の方がやや少ないが、実用上は変わりなし。
2.スイッチング電源の方がすーっとした柔らかな感じはあるが、力感が弱い。「来るかな。」と思っていても、いまいち押しがきかないが、これはこれで伸びやかな音なのでマッチするディスクもあるかも知れない。
3.出力短絡時の保護回路などは、スイッチング電源側に設けているとのこと。

 Shu-Ksさんはベースの「ブルン」という力感がないとダメなので、スイッチング電源は向かないだろう。スペアで使うくらいでよいと思う。
 僕の方は、このまま切り替えられるようにして、ときどき通電がてらブレイクインして聞いてみようかと思う。せっかくあるものだし。
 それにしても、基板裏側には表面実装部品が多数張り付いているので、部品点数は少ないとは言えないが、煙草の箱より小さいこんなにコンパクトな電源でこれだけの音を出すのだから、げにスイッチング電源あなどりがたし。


('05.8.5)新しいダウンミックス・アンプはまだ、ブレイクインの途上だが、一言で言ってフロントが緻密になる。フロントのLRは通過段数を合わせるため、真空管を1段多く通した分おとなしめになるが、センター・サブウーファーと位相がほぼ合うせいか、フォーカスが合ってくる感じで、不思議とリアも繊細に響く。
 パワー感では前のVer2.0のほうがいいという人もいると思うが、ディテイルはVer.3.0のほうに分がある。


('05.8.4)ダウンミックス・アンプが完成して無事音出した。音の内容は詳細後報。

 今回遅くなってしまったのは、どうしてもあるケーブルを配線に使いたかったからだ。
 ジャシンタなどの録音で有名なFIM(ファーースト・インプレッション・ミュージック)の「ソリッドコア UPOCC モノ・クリスタル・ワイアー」。6NのUP-OCCでテフロン被覆、方向性が無くて、化学的にも安定し、しかも柔らかい。

 音については、まだよく分からないが、操作性は非常に高く、思ったようにカラゲ配線ができるのは嬉しい。
  撚線ではからげることはできるが、単線ならさらに「カシメる」事ができる。つまり、カシメだけで音が出る状態にして、固定するためにその上に半田を乗せるわけだ。当然、長期的な安定性も高いし、コードの張力で半田がはずれるようなこともない。その代わり、やりかえる時は大変だが。

 AETのクライオ銀線は音はいいのだが高価だし、柔らかさには少し劣る。モガミの銀線も、安価だが、効果のほどは分からない。その点、1□(スクエア)=1m㎡から、$1前後/フィートと非常に安く手にはいるのが嬉しい。


('05.8.3)世間はひどい暑さであるが、ひたすら「ダウンミックス・アンプ」(こう呼ぶことにした。)の製作にいそしむ。
 本日は、電源部の正常動作を確認。電圧バッチリでよしよし。明日には、基板モジュールを接続して回路の動作確認をする。おそらく明日中には組み上がるだろう。
 音出しまで行くかどうかは分からないが、ここまで来たのだから、トラブルのないように着実に進めよう。


('05.8.2)今日もがむばるぞー!


('05.8.1)アンプ製作は軌道に乗ってるので、今週中に何とかしたいと思っている。「ノリ」を大事に愉しみながらやるように心がけている。いろいろ工夫して、縦長にケースを使うことにした。

 今日は、マイクロアンプをはずして、パワーアンプをクイックシルバーに戻した。やはり、音離れというか、こなれ方・ほぐれ方が全然違う。児玉桃のピアノなど、ニュアンスがこんなにと言うほどCDでも出る。
 やはり基本的なところの違いは、結構大きい。今のところ、マイクロアンプ君は控え要員ですねえ。(でも、あきらめずに考え続けている。)



('05.7.31)SACDマルチのためのダウンミックス・アンプの心臓部になる真空管の基板モジュール。同じように見えるが、入出力部分が異なる。
 一番右は、センターchとサブウーファー(SW)をミックスし、センター+SWを2系統出力する。
 一番左は、フロントのL・Rをバッファで受けそのまま出力する。
 真ん中の基板では、それらをミックスして、L+センター+SW、R+センター+SWをそれぞれ出力する。これで、アナログ・ダウンミックスの一丁上がりというわけだ。

 明日からは、これをケースに組み込み、電源部と接続していく。おお、大好きな大好きな金属加工。ふうっ。暑いなあ。


('05.7.30)サント・コロンブを弾いたヒレ・パールのヴィオラ・ダ・ガンバ。
 東京の安西さんに教えていただいたのだが、これは素晴らしいCDだ。深く、切々と、しかし豊かに詠う。
 3曲目の「再びの発見」や6曲目の「悲しみの墓」(映画「めぐり逢う朝」!)などとても好きだ。

 折節、夜など、しみじみと何回も聞くことだろう。


('05.7.28)マイクロアンプには、少し「きかん気」というか「悍馬」という所があって、時として耳に付くことがある。これはこれで面白いのだが、少しゆるめる方がよいかも知れない。クライオヒューズも値上がりして、5本買うと8千円くらいかかるので、当分は鳴らし込みで変化を見ながら、チューニング方法を考えることにした。

 おそらくは、入力RCAジャックから基板へのケーブルあたりか。ツイストペアをウエスタン・ケーブルにするとか。F特に影響があるかも知れないが。


('05.7.27)マイクロアンプ化ける!
駻馬
 6月20日のこのページで述べているようにこの間、マイクロアンプのレストアを進めてきた。

1.電解コンデンサの交換
(1)16V100μ ニチコン・ミューズBP→同容量ブラックゲ-トNX
(2)50V330μ独ローデンシュタイン製→同容量ブラックゲ-ト
(3)40V6800μ同上85℃
  →Evox Rifa 63V4700μ105℃
          長寿命型(動作寿命 6000時間/105℃)
   これは、径が同じでも高さが高いため天板に穴開け

2.ヒートシンクの増設
 写真でご覧頂いたように、両サイドにヒートシンクを2個ずつ増設した。これで、全体の温度がずいぶんと下がった。

3.ショットキー・バリア・ダイオードへ(SBD)の交換
 パーツコネクションで新しく出たCREEのSBDに交換した。300V10A。躍動感が増す。

 低音量でならしているときは、クイックシルバーと似た彫りの深い感じだったが、音量を上げると俄然立ち上がりの早さが際だつ音になる。「スルーレイト:300マイクロボルト/秒以上」のデータは伊達ではなく、瞬発力で聞かせるだけの説得力がある。中域のどこかでわずかにエネルギーがへこんでいるところがあるような気がするが、中低域はかなりゴージャスでベース音域もしっかりと出る

 我が家の"We Want Miles"(LP)は、1C/1Dの文字通りファーストプレスではないが、一応オリジナル盤。引き締まった音像が気持ちよく、マーカス・ミラーのベースが小気味よく決まる。マイク・スターンのギターも良く響く。
 ヒレ・パールのヴィオラ・ダ・ガンバもなかなか良い。そしていろいろ聞いているうちに、この切れよく小気味のいい音はハードロックにぴったりではないかと思いつく。
 そこで最近の定番、、"Ten Years After/Greatest Hits"をかける。これこれ!

 これは非常に品位の高い音だ。ソリッドステートらしさは多分にあり、やはり真空管とは感触が違う。これはこれでとても面白い。クライオ・ヒューズにすれば、更にエネルギー感が出てくるだろう。

 映画を見るときや、ロックはこちらになりそうな感じだなー。熱いといってもそこは半導体アンプで、かなり涼しさに貢献しそうだし、省エネにも効きそうだし。


('05.7.26)今朝は昨日の天神祭でまだ朦朧としている中、朝から宅急便が2本続けてきた。
 一つは東京の友人から譲っていただいた、貴重なLP。フランス盤を中心に古楽など欲しかった盤が手元に来たのは、本当に嬉しい。

 もう一つは、お茶の水の主から「音と戯れる会」で巡回してきたZYXのフォノイコ。見てすぐ申し込んだので、いの一番に聞かせてもらえることになった。夜になってから聞いたが、美音系のフォノイコ。

 いろいろな人の力を借りて、貴重な経験を積み重ねていける。これも嬉しい事だ。


('05.7.22)MCヘッドアンプの電源の故障した基板は、何回かのメールのやりとりの結果、デンマークのメーカーの好意で、修理ではなく、大幅割引・送料先方持ちで送ってもらうことになった。

 その間のアナログの音出しのために、東京のshu-Ksさんに無理を言って、僕が製作したML-1用電源を貸していただいた。今日、SBD(ショットキー・バリア・ダイオード)に換装して無事音出しが出来、東京から来てくれた友人にとりあえず全ソースを聞いてもらうことが出来るようになった。
 皆の好意でいろんな事が回っている。多謝大家。


('05.7.21)銀座の山野楽器で探していたアンサンブル・ジル・バンショワのCDを2枚買ってきた。これはその1枚で、デュファイの「ミサ・エッチェ・アンチルラ・ドミニ」が入っているので買った。もう1枚はノートルダム学派のペロティヌスの音楽

 上手い!だけではなく、凄い!暖かくしかもどこまでも伸びる深い声達。

 そして、音も良い。QRDの効果が出ているのだと思うが、良く拡がってスピーカーの外までの空間を感じさせる。CDでここまで聞けるとは、1年前には思わなかっただろう。いろんな、細かいことや大きな事の積み重ねの上に、この音は鳴ってくれている。

 んで、このHP用に写真を探して、米アマゾンに行くと、日本のサイトではない物がごろごろある。しかも安い、思わずアラ・フランチェスカやアンサンブル・オルガヌムと合わせて5枚ほど注文してしまった。それで送料込みで、95ドルほど。!(^^)!
 確かに仏ハーモニックなどのレーベルはなさそうだが、大抵の物は手に入りそうだ。イギリスやフランスのサイトを調べ始めていたのに、なんと足元に宝庫があったとは。


('05.7.19)東京物語

 16日(土)の「音と戯れる会」例会の白眉はジャズのオリジナル盤。圧倒されて言葉もなく凄い。こういうのはそこにいないと絶対に分からない。こういうゲストの方に来ていろいろ経験させてもらえるのは、この会のメリットだと思う。


 さて、夜はずっと憧れていた「汐留の達人」T澤さんのところにおじゃまする。宿泊するパークホテル東京とほんとに目と鼻の先の豪華なタワーマンションの高層階。雑誌にも何回も載っているが、ここも実際に行かないと分からないことが山ほどあって、とても書ききれません。強く感じたのは「センス」ということ。あるピアニストが「才能とは何か?」と聞かれて、「一言で言って想像力だ。」と答えていたが、そのような審美眼とはっきりとしたイメージで選ばれ、使いこなされていく機器達と部屋。QRDや部屋の響きについても勉強しましたし、映像も素晴らしかったです。

 そして、翌17日(日)は「荻窪の巨匠」のところへ。
 最初に聞かせていただいたパラゴンにまず驚く。CDでこんなに自然に厚みのある音がしっかりと立体的に定位して出てくるパラゴンはいままで聞いたことがない。パラゴンというのは物凄いスピーカーだったのだと認識する。
 そして、メインのウエストレイク。CDからかけてくださったが、まるで昨日のオリジナル盤のような厚みや熱さ、そしてエネルギー感がほとばしり出てくる。巨匠が愛するアンプジラ群の活躍や機器の選択、巨匠自作のケーブル類や端子類など、数限りない努力の末にこの音は出ているのだろうと思う。同じく手を動かす人間として、強い共感と敬意を覚える。


 続いて「新高円寺の達人」。以前のお宅でも聞かせていただいたが、新居ではタンノイ・モニターシルバーがさらに毅然と凛々しく鳴っていた。確かに高域は不足気味だし、ローエンドも出ていないだろう。でもこれは、英国紳士の「アンダーステートメント」のように、控えめだが伝えるべき事はっきりと伝えている。そして、何よりも音楽に没入できる。
 演奏家やCDについていろいろと教えていただいて、また音楽的な広がりを得たのは、大変に嬉しいことだった。

ご訪問させていただいた皆様、そしてご案内下さったco-forceさんにあらためて感謝、深謝であります。
Be Force with you. (Star Wars)


('05.7.15)プライトロンのアイソレーション・トランスには、CSEのFP-1000をつないで、パワーアンプ(クイックシルバー)に給電しているのだが、このトランス出力に、さらにプリとデジタル機器に給電しているCSEのR-100を2台、つないでみた。

 結果はペケ。全体に押さえられた感じがして、音が弾まない。R-100は出力トランスを搭載し、これにアイソレーション機能を持たせているので、アイソレーションの効果はもともと期待していなかったが、こんなに伸びない音になるとは意外だった。電源インピーダンスなどが変わるので、かえって良くない結果が出たのかも知れない。あるいは、CSEの機器同士の影響が出たのかも知れない。

 何事もやりすぎるのは良くないことの好例かも知れないな。元に戻す!


「SACDマルチ お薦めソフト」にビョーク「ヴェスパタイン」、イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭オーケストラ「ラフマニノフの交響曲2番」、長岡京室内アンサンブルを追加しました。


('05.7.13)これまでのエコー・バスターの吸音パネルに替えて、QRDの「ディフューザー」を導入した。我が家は床が総カーペットなのでもともとデッドな傾向があり、またSACDマルチをやっていて、部屋全体に音をうまく拡散していく必要があると感じたからだ。400Hz~3KHzを「吸音」するエコーバスターよりも、250Hz~8KHzを均等に「拡散」するQRDの方が、折角スピーカーががんばって出している音をより活用できるのではないか、という訳だ。

 コンソールテーブルと壁の間に挟んだだけだが、うまく固定されている。
 音はやはりかなり変化がある。エコーバスターの時の方が、奥に向かってすーっと引いていく「綺麗な」音場が出来ていた。いわば上品な澄んだコンソメだ。クラシックを綺麗に聴くにはこちらの方がいいかもしれない。
 QRDにすると、エネルギー感が上がって全体に濃くなり、音に実体感が強くなる。来る感じが強くなる。音場がスタティックに決まるのではなく、その中で「うごめいている」ようなヴァイタルな感じが強くなる。当然オケの豊かさも良く出るようになる。

 どちらもそれなりに良さがあるが、僕はQRDの良さを行かしていく方向を採ることにした。マルチもよく拡がって
楽しいし。


左奥のCD裏側にアイソレーション電源トランスが隠れている。センターの電源はCSEのFP-1000(1KW)。


('05.7.10)dCS初の一体型CD/SACDプレーヤー "P8i"
これは欲しい。150万だけど。

 心斎橋のホテルで三浦孝仁氏を講師に試聴会。機器類は、ジェフ/シナジー、ナグラ/MPA、ウイルソン/システム7。自宅に1,800枚のSACDを持っているという三浦氏の手持ちから、いろいろ聞いていく。

 従来のdCSが使っていたソニーのメカは供給がなくなったので、P8iはフィリップスのメカを使っている。回路的にはこれまでの先行機器とほぼ同様の内容で、CDも全てDSDに変換して5ビット、64倍の「リングDAC」でDA変換する。これまでと同様にディスクリートでDACを組んでいるので、チップの改廃に振り回されることなく独自路線をつらぬいているわけだ。当然メンテとアップグレードもも継続性・一貫性があるだろう。

 何よりも動作と音の安定感がいい。しっかりとしたいい音だ。


「SACDマルチ お薦めソフト」にHiromi(上原ひろみ)「アナザー・マインド」を追加しました。


 実は、パワーアンプ用のアイソレーショントランスだが、最初は少しソリッド過ぎる感じがしていた。もう少し開放感というか暖かい感触が欲しかった。そこで、出力側のコンセントのプレートカバーと止めネジを変えてみた。
 コンセントはHubellの8300HI(20A)をクライオ処理した物(20.49カナダ・ドル)で、Take Five Audio(カナダ)から入手した。こういうアース端子とフレームが絶縁されておらず、つながっているタイプは、従来の経験だと金属、それも銅のプレートが一番良かったので、はじめはそれをつけていた。
 それと「止めネジは非磁性体がいい」、と逸品館の清原社長から聞いてはいたのだが、何せ特殊なサイズの物で代替品がないので、やむなく鉄製のビスで留めていた。
 結局、聞き比べて
1.プラスティック・プレート
2.止めネジはなし。(両面テープでコンセントボックスに固定。)

が、一番良く鳴ったので、これに決定。
 開放感があって、音楽が楽しくなる感じだ。

 でも、こんなところまで聞き比べられるのも凄いと言えば凄いのだが、一方で「そこまでしなきゃならんのか?」という気がしないでもない。しかし、ぼくらは「物性」の違いを音の違いとして聞ける時代に生きている。やはり、長生きはするもんだ。


('05.7.9)実は東京の友人のお世話で、プライトロン(カナダ)の医療機器用アイソレーショントランスが先週末に届いていた。
 一次側 100v  ⇒ 二次側 115V
 (パラ)  120V     (パラ)
と言うもので、各種電圧に対応していて、昇圧もできる優れもの。
 MRIやCTスキャンのような命を預かる機器の電源に使う「ホスピタル・グレード」だけに、オーディオにも十分活かせるはず、と考えてお願いした。

 It's a long story. 少し長い話になるので、状況整理を簡単に。
1.我が家はマンションで電圧が103~104V位と高めに出る。
2.パワーアンプにCSEのアイソレーションレ・ギュレーター F-400を使用しているが、SACDのピークなどで「OC(オーバーカレント)」の保護回路が働くときがある。
3.パワーアンプの出力管保護のために、ソフトスタート機能を持ったアイソレーション・レギュレーターが必要。


 現在、他にFP-1000というCSEのレギュレーターを持っていて、1KWなので容量的には問題ないが、アイソレーション機能がないためか、音の切れはF-400に負ける。ところが、アイソレーション機能のある大容量のレギュレーターはCSEでも非常に高価(ほぼ100万仕事)になるので、耐用年数15年ごとに買い換えてなどいられない。

そこで、
1.アイソレーションをトランスで対応すれば、レギュレーター機能だけのFP-1000で行けるのではないか。
2.AV機器などは留守録などあるので常時通電していなければならず、レギュレーターは適さない。では、ここにアイソレーション・トランスを使えば良いのではないか。
3.もともと電圧が高めなので、120V→115Vで使えばわずかに低めになって、ちょうど電圧も落ち着くのではないか。

と言う発想で導入に至ったという次第。
 左がパワーアンプ用の1kW。コーリアン板の上に、左側がスイッチボックスで壁コンからACを取り入れ、右側が出力コンセントで、ここからFP-1000の電源をとる。4口のコンセントは電灯などのために、アイソレーション前のACを引き出しておいたもの。

 まず、120V→115Vでも電圧はほとんど降下しておらず、ほぼ1対1になっている。

 音はどうか?
 毎回同じようなことを言っているが、これが本当に凄い。1kW電源の余裕と言うだけでなく、彫りが深くなった感じで、例えばピアノやパーカッションの当たるときの音の芯がちゃんと出る。よりくっきりと出る。音場は深くなった。F-400でもかなり聞こえたのだが、以前気づかなかった、細かいところがとてもよく聞こえる。

 そして、ノイズが減って静かになった。スピーカーに耳を近づけても、ごくわずかなノイズしか聞こえない。


 あと、500W用のが2台あるので、1台はAV用サブシステムのDVDレコーダーやDACなどのデジタル機器類、もう1台はマルチのリア用アンプの電源に使った。
 いずれもはっきりと効果が分かる。AVシステムの音は2段階ぐらいステップアップしたし、リアの音は柔らかくより拡がるようになった。

 ふ~む、電源の重要性を認識するばかりだ。これで、メインのシステムはほぼ落ち着いた感じだ。


('05.7.8)「SACDマルチ お薦めソフト」にJ.サヴァールのSACDを2枚、「めぐり逢う朝」サントラ盤と「カスティーリアの女王、イザベル1世」を追加しました。音と戯れる会の和知さんに感謝。


('05.7.2)「SACDマルチ お薦めソフト」にジェームス・テイラー「オクトーバー・ロード」を追加しました。


('05.7.1) 「マイクロアンプ」から取り外したケミコン。50V330μ 独ローデンシュタイン製。
 写真では見にくいと思うが、4本とも底がふくれている。しかも、右の2本は「液漏れ」している。つまり、このまま放っておくと、底の防爆弁を破って「爆発」し、そこら中に電解液がまき散らされて、大抵はアンプ自体がお釈迦になる。

 これは前のオーナーの責任でも何でもなく、経年劣化と何よりもアンプ自体の熱設計が甘いことによるものだ。つまり、小さく作り込むのはいいのだが、A級アンプだから非常に熱くなるのに、そのケースに接するようにコンデンサが置かれていたのが最大の原因だ。
 これを含めて10本のコンデンサを取り替えて今日から試聴し始めたが、音はかなりリフレッシュされている。つまり、全て大なり小なり劣化していたわけだ。
 以前は少しセピア色さえかかっていたおとなしめの音が、ヴォーカルが時としてうるさく感じるくらいよく鳴る。PADのシステムエンハンサーのCDでブレイクインしていくと、細かいきらめきや艶も出てくるようになる。
 今段階では、良く鳴るが少しソリッドな感じもあり、低い方の豊かさやホール的なゆらぎのような感じがやや不足している。しかしまだ鳴らし始めだし、SBDを入れたり、チューニングはまだこれからだ。D-Cubeのレベルも、だから、ほとんど触っていない。

 この小さなアンプが、ウイルソン・ベネッシュをここまで良く鳴らすことそのものにようやく慣れてきた。


('05.6.23)合間合間のリスニングだが、音はいい。凄くいい。情報量だけでなく、スピーカーを鳴らす駆動力が上がった感じで、表情がよく出るのが嬉しい。ジェームス・テイラーの「オクトーバー・ロード」なんか、いままで聞いた中で最高にいい。

 あ、8417パワーアンプ電源をSBDにして驚いたこと。ノイズが減る。出力管のアンバラのハムだと思いこんでいた低いノイズがほとんど消える。これもまた凄い。
 それと、整流管4本分の熱が減るので、結構スッキリする。


('05.6.22)今日は懸案の8417ppパワーアンプの電源のSBD(ショットキー・バリア・ダイオード)化をする。

 今までは整流管だったので、厳しい動作条件のスタート時のトラブルを全て引き受けてくれていた。
 ダイオード化するには、いくつかの条件の確認が必要だ。
1.CSE電源のソフトスタート機能で、スイッチオン時の出力管にかかる電圧が限界を超えないようコントロールできること。
2.SBDはほとんどロスがないので、整流管の電圧降下に合わせて抵抗でドロップさせて、全体のつじつまを合わせなくてはならない。


 このうち1は何とかなりそう。2は規定の150Ωでは電圧が下がりすぎるのが判明。しかも12Wの抵抗をパラに、つまり24Wの抵抗でも表面の塗料がべとつき始めるくらい熱が凄い。
 そこで、キャドックの金属箔抵抗の30W型を何種類か、それもパラレル(=60W、ただしシャーシにヒートシンクとして直付け)で接続できるよう用意した。こういう直列に抵抗が入るところは良い抵抗を使わないとダイレクト感が損なわれる。

 結局、110Ω(合成語)の抵抗で、105mA時にB電圧440Vとなる。これまで475Vなどと回路図規定電圧の450Vを上回っていたので、規定の3%減程度の電圧なら全く問題ない。これでさらに安定動作が期待できる。ただスイッチオン時に第2グリッド電圧が7~8秒間507V近くになる。最大定格を超えているが、設計最大定格500Vなので、おそらく問題はないだろう。
 動作時の電圧が低くなることのメリットもあるので、これで行くことにする。


 肝心の音はどうかって?
 これがいい。半導体だからと言うわけではないが、ソリッドになり、例えばパット・メセニーのギターソロのガットの強弱やテンションのかけ方が手に取るように分かる。
 まだ少しほぐれないところもあるが、ブレイクインすればさらに面白くなるだろう。


('05.6.20)「マイクロアンプ」の出力端子を製作したので、SPケーブルのスペードをしっかりネジ止めできるようになった。この辺りが音に与える影響は皆が思っているより、ずっと大きい。

 また、高域の切れが今ひとつだったので、電源のケミコン40V・6800μFに、0.68μ63Vのフィルムコンをパラって見た。

 結果は、昨日に比べて見通しが改善されて、高域が切れ始めてきた。しかし、まだまだ本来の音とは思えない。理由としては、
1.ケミコンなどの経年劣化
2.かなり熱くなるので、熱によるケミコンの劣化が進んでいる。

ということが考えられる。

 RSコンポーネンツのカタログで代替品を探すと、興味深いデータが出てきた。Evox Rifa 社の105℃対応の長寿命型コンデンサ
1.動作寿命 6000時間/105℃
2.保管寿命 4年/40℃

 つまり、温度が高いところでは寿命は短くなる。だから、温度を下げる努力をしなければならない。
 それだけではない。常温でエアコンをかけていない倉庫に置いておけば、4年で寿命、つまり初期特性を維持できなくなる状態になる。生産中止になってから「ヴィンテージ」コンデンサがどれくらいの期間店頭や倉庫に置いておかれるだろう?勿論音は出るし、むしろそれは劣化してセピア色で楽しい音かも知れない。

 ま、これくらいにして、マイクロアンプについては、
1.側面にヒートシンクを着ける。(なるべくかっこいいもの。)
2.コンデンサを交換する。この場合、サイズがオーバーするので、アクリルの天板に穴を開けて取り付けよう。


 いずれも、デザインを若干損なうだろうが、このアンプを活かして長く使おうとすれば、これが必要ということだろう。



('05.6.19)「音と戯れる会」のオークションで入手した仏マイクロメガ製「マイクロアンプ」。CDジャケットと比較していただければ分かるように本当に小さい。これでA級だというから驚き。

 ネットから入手したマニュアルによると、
出力:2×25W/8Ω、2×40W/4Ω
周波数特性:0.1Hz~800KHz(-3dB)
位相偏倚:1度以下(20Hz~20KHz)
スルーレイト:300マイクロボルト/秒以上
スペックからのイメージは、まるでミニ・ゴールドムンドではないか。中のパーツもかなり高級な物を使っている。これは掘り出し物かも。
 
 友人からバナナプラグ付きのウエスタンの棉巻きケーブルを借りて、メインのシステムにつないでみる。音は全体としては小ぶりな感じだが、音場感はかなりよく出る。思ったほどには、高域の繊細さは出ないが、アンプ側のバナナ端子の穴が大きく、いまひとつ接触が甘かったりするので、このへんを改善してやると、もっとワイドレンジ感やきめの細かさが出てくるだろう。リークが麻(リネン)のようなざくっとした感触だとしたら、マイクロメガはポーセラン(磁器)や練り絹のようなつやを持っている。
 もっとも、もう少し端子やケーブルなどを追い込んだ上のことになるだろうが。A級だけにかなり熱くなるが、しのげる範囲だと思う。

 今年の夏は省エネで、このアンプを活用して音楽を聴いてみようかと思う。


('05.6.17)ステラボックスからゴールドムンドについての回答メールあり。ユニバーサルプレーヤーについては、どのモデルもSACDマルチのミックスダウンはできるが、全てデジタル領域での信号処理になるとのこと。そりゃそうだろうと思う。

最近音が良くなってきて嬉しい。原因の一つは2週間前に行ったブレーカーの交換。買って置いた「スーパークライオ・ブレーカー」への交換作業を設備業者さんに頼んだので、合計で1万円程度になったが、値打ちは十分ある。全体の色つやが増して、低域の階調表現が小気味よく決まる傾向になる。

 勿論、引っ越すときには前の物に戻して持って行けるので、無駄にはならない。

 それにしても、壁を全部ぶち抜いてロフト形式にしたいという思いはますます強くなる。単にリスニングスペースを広く取ると言うだけでなく、機能的にもっと豊かに使いたいと思う。部屋ごとに仕切られていると、重複する物も多くて無駄が多い。夏と冬では寝たい場所も当然違うし。
 といってもかかるお金は半端ではなく、第一永住するのでなければ無駄になる。ま、当分配置でいろいろ工夫するか。


('05.6.16)5月から音と戯れる会の新年度だが、嬉しいことがいくつか。
1.先日の例会で古楽界で有名な歯医者さんと短時間の立ち話だが会えたこと。お忙しいので、なかなか話す機会がないが、お元気そうで嬉しかった。
2.アメリカ在住で、僕と同じミュージック・リファレンスのプリ&パワーをお使いの会員の方とメールのやりとりを始めたこと。5~6月はSACDマルチのミックスダウン装置の関係でバタバタしていたが、落ち着いたらいろいろと教えていただこうと思う。
3.会員の中でLPのソリを修正する装置をお持ちの方に、懸案のLPを何枚か処理していただいたこと。ソリが完全に消えるわけではないが、かなり平面性が回復して、これまで聞けなかった物を聞けるようになるのは大変嬉しいことだ。

 勿論、先方のご厚意があって始めて成立するコミュニケーションだが、こういう機会がある事がとても嬉しい。僕が東京に行くのは、こうしてできた友人達といろんな話が出来るからだ。


('05.6.14)音と戯れる会は盛りだくさんで、まことに楽しい1日だった。感じたことや収穫はいろいろあるが、山本さんと「SACDマルチもようやくここまできたなあ。」とうなずき合ったことが、一番の感慨だ。
 何せオーディオとしてのマルチそのもの(5.1ではなく)を聞いたことがない人が圧倒的に多いので、理解もされにくいということはよく分かっている。

 とりあえず、沖縄の野心家も含めて関心のある人は、聞きに行けば何かつかめると思う。


('05.6.11)明日は音と戯れる会の例会というのに、思い立って今日も装置をいじる。結果はSN・解像度・見通しともに向上して良し。

 驚いたことに、フロントの音が変わると、リアの音の印象が違ってくる。リークでは甘く感じてしまい、もっと広がりが欲しくなる。夜も遅いというのに、アンプをクリークに変える。アヴァロンの[ひゅーん]という音、ビョークのささやき、カルミニョーラのヴァイオリンが漂う感じになり、この方向だなと確認する。

 早く寝て、明日の旅支度をしなくちゃ。(^^;)


('05.6.9)マルチのリア用にパッシブプリをテーブル下に置いたのだが、いちいちかがまねばならず、操作しにくい。

 よって、AETのHIN QUAD Line でケーブルを自作して上下をつなぐことにし、パッシブプリはテーブルの上に鎮座することになった。

 手を後ろに伸ばせば、すぐノブがある。便利このうえなく、当分手放せそうにない。


('05.6.8)いろいろ見ていると、SACDマルチというのは本当にわかりにくいのだなあ、と思う。
 と言うより、5.1chがあるからと、それに便乗したITU勧告なる代物がまずいい加減だし、規格や決めごとを守らないこの業界が録音も再生もバラバラな物を濫造しているのが元凶なのだ。

 4.0chや5.0chを聞いた経験からもはっきり言うが、5.1chである必要性は全くない。センターは台詞のためにあるなどというのは、オーディオ的には愚の骨頂だ。
 でも理解されないんだなあ、これが。


('05.6.5)テーブルの下に収納したリア用のリーク”Stereo 30”にはノーブルの導電性プラスティックのボリュームを入れているが、昨日耳のいい友人がボリュームの左右偏差を指摘してくれた。
 そこでラックスが使っていた アルプスのRK50ボリューム(いわゆるアルチメイト・ボリューム)を使ったパッシブ・プリが遊んでいたので、リークのボリュームを全開にしてその前に接続してみた。

 昨日入れたSBDの効果もあって、かなり解像度が上がる。「アヴァロン」では、どすんと言う音がELACから出てきたりする。やはり、いい物は活用すべきだ。

 もっとも、この辺りは説明も面倒くさいほどの「改造しまくリーク」の音なので、その点はご注意を。


('05.6.4)SBDの話

 アンプの電源でショットキー・バリア・ダイオード(SBD)に交換すると、最初に分かるのは中低域を中心とした圧倒的な厚みと広がり、解像度の大幅な改善。この段階では、「もう少し高域も切れてくれたら」、という感じだが、時間がたっていくとそうなってきて、全体としてのバランスがとれてくる。この段階では、もう元に戻す気などさらさら無くなる。

 今、ヘッドアンプ(JC-1AC)とプリの電源にA&RラボのSBDが入っているが、低電圧のSBD(日立製?)を手持ちで持っていたことを思い出し、昨日リークにも入れてみた。多少感じは違うが、ほぼ同じ傾向の改善。

マルチのリア用のプリメインの話

 さて、クリークだが、確かにすっきりとした広がりは出た。音場感もある。でも、厚みや力感が足りない。考えてみると、ELACもまだほとんどブレイクインできてないし、クリークも新古品だから、同様だと思う。このままでは、ビョークの声が弱く、オーケストラの熱気も薄いので、いろいろ考えてっけっきょく、SBD入りリークに戻した。

 クリークはAV用サブシステムでセレッションSL-6Sとペアを組むが、実はこれもかなりいい音なので、デザインも含めて全く不満はない。クリークにもクライオヒューズを奢ってやろうと思うし、そのうちにSBDを入れてもいい。まあ、ゆっくりと愉しもう。


('05.6.3)さて、マルチのリア用のプリメインとしてヤフオクでゲットした、英国クリークのA50iR

 実は六本木ヒルズのAGITOでELAC、Aura、ORACLEがまことに美しくディスプレイされているのを見て、シルバーでデザインをそろえたい、というイメージがあった。そのため、Auraのアンプを最初はイメージしていて、VA40をヤフオクで見つけたものの入手できず。ミュージカルフィデリティはデザインがいまいちだしなあ、第一古い製品はメンテが大変で、その割に高いしなあ、ということで迷っている内に、Creekの現行製品をかなり安く入手できた次第。
 
 AV用サブシステムにつないでチェックしただけだが、音はさすがにワイドレンジな感じだ。リークよりも薄く感じるが、一方でマルチのリアとしては広がり感が出るのではないかと思う。「ク」のつくリークと無いのと、さあ、どうなるか?

 ちなみに、使用時はテーブルの下に置きます。リモコンも使えるし、便利でいいと思うのですが。


('05.6.2)かなり前に届いていたLPを中心に聞く。良かったのは「カンプラ/レクイエム」。写真はヘレベッヘ/シャペル・ロワイヤル(仏ムンディ)でこれも素晴らしいのだが、今日聞いたのはガーディナー/モンテヴェルディ・コール(エラート・LP~イメージ入手できず)。
 ちょうどプリのダイオードをショットキーに交換した効果が現れて、コーラスの広がりや響きの重なり具合が素晴らしい。

 坂本龍一&モレンバウム2のCDでも、ジャックのチェロにパオラがハミングでユニゾンしているところなど、今日始めて分かった次第。
 これはこれからが楽しみだ。調子に乗ってパワーアンプもと行きたいが、慎重にゆっくりと。

 カナダから早くパーツが着いて欲しいなあ。SACDマルチをこの充実した音で本格的に聞きたい。


('05.6.1)音と戯れる会の新年度会員名簿を見ていたら、アメリカ在住の方がおられる。しかも、僕と同じミュージック・リファレンスのプリだけでなくパワーも使われている。

 早速メールを出したら、懇切な返事があって、あちらではミュージック・リファレンスはカルト的な人気があるのだそうだ。こういうやりとりが出来るのはやはり、組織的活動のおかげだ。
 梅雨明けには東京から遊びに来てくれるらしいし、千客万来で嬉しい限りだ。


('05.5.28)マルチのリア用インタコ。

 この間、MITのMI350を都度都度引っぱっていたが、かさばるし面倒なので、逸品館推奨の通称ウエスタン・ケーブル(といってもウエスタン・エレクトリックではなく、アメリカ軍払い下げのテフロン絶縁、銀コート銅線)に余っていたカルダスのプラグを付けて、床と天井の隅にはわせて引き回した。細い線なので目立たなくていいのだが、芯線は割と太く絶縁体は薄く、いかにも容量が多い感じ。14mほど延ばすのでハイ落ちになるのではと懸念したが、むしろ明瞭度の高い音で一安心。
 と言っても、もともと@1,050円/mのケーブルで、引き回しのし易さとリア用という割り切りで導入したものなので、メインに使うような物ではないと思う。念のため。

 他にもいろいろ調整して、SACDマルチも一皮剥けた感じになった。後は新しい装置のハムノイズ対策と、コンデンサーのグレードをそろえることが中心だ。それでも線の引き回しや配置でかなりノイズや音が変わるから、油断は出来ない。


さて、次はリア用のアンプですが....。

まだかな~~?
詳細後報です。





('05.5.27)SACDマルチ対策の一つ

 東急ハンズでカットしてもらったアルミ部材を加工・組み立てて付属スタンドに継ぎ足し、レコードキャビネットに載っている方のELACのスピーカーとの高さを合わせる。
 椅子に座ると、ちょうどウーファー部分が耳より少し高いくらいで、これは少し軸をずらすくらいの感じで、聞きやすくなる。

 今回高さを合わせて驚いたのは、フォーカスがぴったり合った感じになったことだ。これまでもそれなりにピントは合っていたのだが、もっと「すっ」と言う感じで全体が納まった。
 ELACのような鋭敏なスピーカーには、やはりアキュレイトなセッティングが必要と言うことだろう。勿論、左右で置き台が異なっているので、音の違いはあろうが、そのあたりはリア用として、いまのところ特に不都合は感じていない。

 実は一見スピーカーのように見えず、何かのオブジェの様に見える、というのがインテリア的なねらい目なのだが、そうなっているだろうか?


('05.5.24)「HiVi」6月号でマルチの特集が載っていて、センターレスなどの「Less5.1ch」の特集が面白かった。亀山信夫さんの記事は特に僕らのやっていることに近いので、とても興味深かった。そりゃ今まで丹誠込めて使ってきたシステムをそんまま活用してマルチをやりたいのは人情というものだし、そういう追い込んだフロントだからこそミックスダウンしたセンターもサブウーファーも生きるのだと思う。もちろんそのためには音の良いミックスダウン機器が必要だが。
 こういう需要はそれなりにあるように思うのは、僕だけだろうか。

 東芝のDVDレコーダー「RD-Z1」が欲しいが、時期が時期だけに次世代DVDの動きを見て考えよう。ハイビジョン画質で映画を見ることが出来る時期がもう近づいている。こうなってくると、Mac MiniでDVDを見るというのは、ごく短命な高画質対策になってくることに気がついた。
 僕みたいにWOWOWで録画しているような人が増えたら、業界のDVD売り上げはどうなるんだろう。しかもハイビジョン画質でライブラリーが作れるとしたら。


('05.5.23)いろいろと書くネタがあるが、おいおいと。

新しいバッファアンプのコンデンサと真空管のブレイクインを兼ねて、SACDをいろいろと聞く。(コンデンサの場合、フィルムだと100時間くらいは最低かかるようだ。)鳴らし始めから良く鳴るはずもないので、時間をかける必要がある。

SACDマルチ雑感。
1.フロントだけををミックスダウンして、つまりL,R,センター、サブウーファーだけで聞くと、盤によっては、というより大抵は2chよりも音が拡がって見通しがよい感じになる。
クラシックでは変化が少ないが、ビョークやロキシーミュージックなどはあきらかにミックスの方がいい感じだ。

2.クラシックではあまりリアを鳴らさない方がバランスはいいと思う。複数のスピーカーを使うことで、「豊かな感じ」が出やすくなるので、それだけでも十分に値打ちはある。ただ、フロントを追い込まないと完成度は上がらないようだ。

3.アナログでミックスダウンすると音量レベルは下がっていく。もともとSACDはレベルが低いので、アンプ側のSNが大切になる。と言っても、本当はボリュームの上の方で使う方が、アンプの音はよいので、あまり問題はないが。

4.ブレーズ/マーラー3番(DGG)は、結局マルチにしてさえ音量レベルが低く、どうにもパッとしない。いい曲でフォン・オッターが歌っているのに、なんともったいない。


('05.5.22)この間のアンプ作りで一番困った部品調達は電源トランスだ。できれば日本の100V仕様の物が良いのだが、サイトで見てもカタログを探しても管球に使える様な高めの電圧で、しかもヒーター用がついている物は、ほとんど無い。と言うか、国内のオーディオ用トランスメーカーはほとんどが廃業またはリストラで定番以外の品目は作らないからだ。

 一方でパーツ・コネクションなどには、ハモンドなどよりどりみどりで細かく品揃えがある。もちろん115Vあるいは117V仕様なので、使い勝手に注意しなければならないが、まず何とかなる。こういうのを見ていると、DIY文化の違いだけでなく、オーディオの衰退などというのは日本だけの現象なのかと考えたりしてしまう。


('05.5.20)リア用のアンプを探していて、ヤフオクでAura VA-40を見つけた。これならデザイン的にELACにも合うし、音も悪くなさそうで、15年もたっているからあちこち触らなければならないとしても、使えるだろうと見込む。が、最低落札価格に達しないので、今回はあっさりあきらめて様子を見ることにする。

 AnthemのINT1という手もあるのだが、こちらは現行商品で実売13万くらいするし、消費電力350Wの管球アンプだから、いろんな意味でスペックオーバーという気がする。
 まあ、もう少し気長に探すさ。


('05.5.18)バタバタの間もしつこく取り組んでいるオーディオ装置の回路がほぼ固まった。コストとコンパクトに作るという大きな制約の中で、あちら立てれば、の世界だったのだが、最終的には安定動作さえ確保できれば、後は工夫と判断の世界だ。明日は合間を縫って、日本橋に抵抗を買いに行こう。

 それにしてもミキシングの世界は、音のピュアネスから言えば音を悪くする部品や回路が山積みの、かなりきわどい代物だ。業務用のミキシング・コンソールが何故あんなに高価か、ようやく分かった。アナログは高くつく。

 今回は回路シミュレーションソフトのおかげで、何とか画を描けた。例えば、抵抗には入手できる値の系列があり、それをふまえないと、合成抵抗作りに頭を悩ますことになる。多少の差があれば既製の抵抗が使える方がいいので、いろんなケースを計算してくれるのは御の字の一言に尽きる。
 「無線と実験」の最新号を見ると、整流回路のシミュレーションソフトがフリーウエアで入手できるらしい。僕のようなものぐさでもいろんな事に手を出せる、便利な世の中になってきたもんだ。


('05.5.12)最近マルチに着目しながら、SACDをいろいろ買っている。カタログを見ていて思うのは、DSD録音でないSACDがいっぱいある、と言うことだ。
 待ちに待っていたゲルギエフ&ウイーンフィルのチャイコフスキーにもDSDの表示はない。これは、編集がままならないDSDで録るよりも、編集可能なPCMで録って編集後にDSDに変換してSACD化すると言うことだろう。つまり「なんちゃってDSD」なのだ。
 一方でエクストンのように、DSD録音したCDも出されている。おそらく、演奏者のポピュラリティなどから、将来SACD化することも視野に入れて当面はCDリリースという事だろう。

 パソコンでDSDをサポートするソフトが出ているという情報で調べてみると、結局DSDをサポートとPCMの変換を前提にして、管理する物らしい。WAONレコードの主宰者によると、384KHzサンプリングならDSDもほぼ取りこぼしなくPCMで処理できるようで、dCSのDDコンバーターにはその変換機能があるそうだ。
 要は、SACDといえども相当に録音や作る過程が違っており、よく内容を確かめないと、「なんちゃって」で終わってしまうと言うことらしい。

 それと関連する次世代DVDはソニーのディスク構造、東芝のソフトをベースに統一される方向で、これは非常に喜ばしい。何より、容量の大きいディスクになることは、ハイビジョン画質の映画が実現可能になるし、音声にもよりビットレートを割り振れる可能性があると言うことだからだ。
 デジタル家電景気に浮かれる足元で、例によって不毛の価格競争展開となり、各メーカーも学習したようだ。


('05.5.2)トグルスイッチによるアッテネーター。2極3投の12端子スイッチを使い、0dB、-3dB、-6dBを切り替える。入力インピーダンス100KΩ。1個が1チャンネル分。

 ロータリースイッチを使わずにすまそうと、パズル解きのような作業の末、ようやくできあがった。
 ゲイン調整にはこれを使う。

 ロータリーのように接点が接触しながら切り替わっていくメーク・ブレークではないので、切り替えノイズはなしとは行かないが、後にコンデンサも入るし、音量を絞れば大丈夫だろう。

※このノイズの点については実機では全く問題なかった。使用感も良好。

 でも、,こうしてみるとパーツって例えば蜂のように見えたりするもんだ。

('05.5.1)前回書いたケーブルの見直しだが、AETのSCR Lineについてだ。

1.旧SCR LineをSpec 2004に交換。
 以前、音と戯れる会でSpec 2004完成品の巡回試聴があったときには、中低域の表情が豊かになったものの、WBTのプラグを付けた旧製品(次作)の方が解像度が高かったので、さほどとは思わなかったが、今回同じくWBTのプラグ0144を半田付けしてみると、豊かさだけでなく、躍動感というか音楽的な表情がとても良くなっている。
(推測だが、①AETのプラグとWBTとの違い、②AET完成品は半田付けしたケーブルをネジ止め接続しており、このあたりが完成品との印象の違いの理由ではないかと思う。)

(今後、新製品が出てまたやり替えなければならないかも知れないが、その辺がバルク+自作の強みで、ステレオ1m物なら入れ替え費用は2mのケーブル代約2万円ですむ。)

2.プラグは"WBT 0144"
 我が家にはカルダスSRCA(銀ロジウムメッキの最高級品)とSLVR(オール銀メッキ)、AETの旧製品(フルテックのコレットをクライオした物)、WBT0144、と主に4種類のRCAジャックがある。いろいろやってみて、一番良かったのが"WBT 0144"。締め具合やジャックとのフィット感も非常に良い。
 逸品館の話によると、WBTの高い物よりこちらの方が高解像度で音がいいいいそうだ。外側のバレルとの間に電気が溜まるのが良くないらしく、薄く軽い方が音的には良いらしい。カルダスがトロンと大味であるのもこの理屈ならうなずける。イルンゴなど交換用の樹脂製バレルを製品化しているくらいだし。

 WBTのNext Genのプラグも良さそうな気がするのだが、高価なのですぐにやってみる気にはならない。


('05.4.28)ここ1週間以上あまり音が冴えなかったので、今日の音の良さには驚いた。

この間、
1.パワーアンプの入力ジャック、プリのフォノ入力ジャックをクライオ・カルダスに交換。
2.プリの外付けトランスの接続端子(XLRメス)をヴァンパイアのクライオに交換。
3.MCヘッドアンプのダイオードをショットキー・バリア・ダイオードに交換。

 結果、中低域の情報量や厚みは改善されたが、どうも高域の切れが今ひとつの感じになってしまった。
その音が良くなったのは、
1.ケーブルなどいろいろ見直した結果。
2.交換した部分がブレイクインで落ち着いて良くなった。
3.ここのところ凄く体調が悪かったのが、良くなってきた。
のどれか、またはその組み合わせだろうが、要はこういうばしっと決まる音であれば言うことはない。


('05.4.27)リークのアンプ、パーペチュアルのDAC P-3A、エラックのスピーカー。ふ~~ん。
 実は、P-3Aをもう1台買ってしまったのです。

 先日音と戯れる会の巡回試聴でCECのDACを聞かせてもらい、その時に寝室のAV用サブシステムにつないで、すっかりDACが欲しくなってしまった。東京の友人が言うように、毎日聞く音を良い音で聞くのは正解だと思う。

 ただ、手持ちのP-3A(バリバリ改造してますが)と聞き比べると、やはりCECは若いというか基本的に格が違うという感じだ。他にもいろいろ探したが、みな結構な値段がする。
 P-3A(100V仕様)はアメリカのAV123から買えば799ドルだしCECとほとんど変わらない。円ドル相場では今なら安く買うことができる。んで、結局これにしたという次第。
 送られてきたパッケージに「24/96~24/192~DSD」コンバーターとあるのは創業時の意気込みだけで過去の話だし、創業者のメッセージカードもないし、やはり寂しさは隠せない。

 しかし、録画していたDVDをいろいろ聞いてみたが、これだけTVの音が良く聞こえれば言うことはない。パイオニアのDAT D-07Aもつないで2台を切り替えして使うというわけで、録りためておいたDATの音もご機嫌だ。

 これで、当分エラックのブレイクインをして、SACDマルチに備えよう。


('05.4.24)今日、傅信幸さんと話したことの中に、パーツと音の話があった。「僕らは端子1個の音を聞けるんですねえ。」
 だから、積み上げていくとパーツに手を抜けなくなって、ジャック1ペアで3千円、コンデンサ1個で2千円などと言うことになり、たちまち1台百万円などと言うことになる。
 これはこれで王道なのだけれど、エントリークラスやミドルクラスがついて行けない。裾野も広がらない。

 そうなると、
1.シンプルな構成・回路で部品点数を少なくする。
2.帯域やスペック、機能を欲張らずバランス良く聞かせる工夫をする。
3.オプションや機能拡充できる長期プランとして製品をラインアップする。
などと言うことが必要になる。
 英国のホームオーディオが目指したことと、どこかで共通しているではないか。あるいはダイソンの掃除機のような。
 確かに、新製品がなければジャーナリズムもにぎわえないが、ずっと使い続けていける製品作りも必要になるだろう。本当は大メーカーこそ、そういう工夫をして欲しいのだが。

('05.4.18)いろいろ片付ける合間に、届いたばかりのカルダスのRCAジャック(クライオ済み)の1ペアを、パワーアンプの入力ジャックと取り替える。これだけで、躍動感や音場感が変わるのだから、面白い。順次プリの方も取り替えよう。

 一方で、ヘッドアンプ用のショットキー・バリア・ダイオードも届いたので、これも順次交換しよう。まだまだ、音の良くなるネタはある。


('05.4.15)新しいリア用スピーカーが届いた。昨日サイトで格安新品を見つけて、即振り込みを条件に無理を言って今日配達してもらった。
 ELAC CL310JET。ハイルドライバーの発展形であるJETトゥイーターの繊細感やアキュレイトな再生音がウイルソンベネッシュとマッチするだろうという見込みは、大当たり。

 セレッションのウエットな漠と拡がる音はそれはそれで良いが、ELACにすると、何とも精緻な音場や、ニュアンスが展開する。これは、マルチのおもしろさを倍加させる。ビョークはこんなに繊細で優しい音をイメージしてたのか。ギルバート・キャプランとウィーンフィルのマーラー2番はマルチではじめて真価が分かる録音だったのだ等々。コバケンのマーラー3番もむしろ表情の細かやさが際だつ。
 
 何よりも小さくて、デザイン的にもスピーカーというより一見オブジェのように見えるのが良い。

 ドイツからの遠来の客に敬意を表して、ドイツ種の葡萄のワインを開けよう。「ゲヴュルツトラミネール」。アルザスが有名だが、これはチリのゲヴュルツ。ライチや薔薇の花のような香りと果実味、辛口でありながら、後に残る独特の甘み。これは何も要らない、これだけで楽しむワインだ。ELACにどことなく通じるものがある。

 ELACにして分かったのは、ピンポイント的な音場の冒険があると言うことだ。やりすぎるとヤバイが、おもしろさもこの上ない。
 しかし、まずは控えめに、ゆっくりと。

('05.4.13)SACDマルチについて考えていること。

1.ITU勧告どおりの再生は何かと制約が大きいし、既存システムと別にならざるを得ない面があります。
 スピーカー群の真ん中に座らざるを得ず、普段のリスニングポジションと違う場所になる。機器の問題もあるが、この点が特に大きいと思う。

2.実際の録音はディスクにより様々で、現実的には録音と再生のフォーマットがマッチしていないという点が一番重要ではないかと思う。
 そうすると、5.1chと同様に、再生側で工夫する=遊ぶ余地がかなりあると思う。

3.僕は、4chマルチは2chでの音場再生の延長線上の物と考えています。
 つまり
そこで、イメージ的には「自分を囲む」のではなく、「自分の前側に再生音場のフィールドを形成する」というイメージで、いわばエンハンスト2ch音場再生というとらえ方が出来るのではないかと思ってます。
リアのSPのレベルだけでなく、位置なども追い込んでいくと、どんどん音場の精度が上がってくるのは、DVDの5.1chなどとは根本的に違うところだと思います。
今回実際にやってみたらそういう感じでしたし。


('05.4.12)はじめて我が家でSACDマルチをならした。いわゆる富田&山本方式の4チャンネルで再生。
 リアのSPはセレッションSL-6S、アンプはリーク Stereo 30(レストア済み)、インタコはMIT MI-350。

 一言で言ってディスクによる差はかなりあるが、総じて音の広がりは勿論、「踏み込み」というか来る感じが増す。フロントとリアのバランスの取り方は、だんだんと分かってくる。

 エレーヌ・グリモーの「クレド」(A.ペルト)などはマルチにしないと、単にやかましいだけに聞こえかねない。J.テイラー「オクトーバーロード」もマルチでぐっと深みや暖かさが出る。ビョークは相変わらず素晴らしい。富樫・佐藤のダブル雅彦の「コントラスト」も空間の広さが良く出る。クラシックは総じてアド・オン的な残響が大部分だが、ニュアンスや表情の豊かさが違ってくる。

 バランスの取り方ではD-Cubeと少し似たところがあって、やりすぎてはいけないが、やり足りないのも寂しくなる。

 我が家は音場感を良く出す方だと思うが、マルチはその延長的な物だという気がする。逆に言うと、2チャンネルですべきことをきちんとやった上でないと、真価は分かりにくい。単に、音場感や雰囲気を出すためだけのマルチでは、結局良さが出ないと思う。

 また、ITU勧告の基本をちゃんと理解している必要がある。4チャンネルもあくまでそれをベースにしているわけだからだ。

 さて、毎度大騒ぎしてセッティングというわけにもいくまいから、スピーカーとアンプを考えなくてはいけない。フロントのウイルソン・ベネッシュと音質が合って、なおかつ小さくてインテリア的にも優れたもの。勿論安いに越したことはない。う~~ん、欲張りだがやはりそういう線で探したい。

('05.4.5)東京のにしだやさんのHP('05.4.5)で自分でコンデンサを取り替えるMyCapという用語が定着しているとはご存じないとの指摘。実は別のNaimユーザーから伺った話なので、そういうもんだと思って続けて書いてしまったのであります。m(_ _)m まずは、訂正しておきます。でも、こういう引用の形はHP本来の形だと思うので、正確を期しながら、続けていきたいと思います。

 出力管の8417(pp)の電流がかなりアンバラになって、ハムが無視出来なくなってきたので、両チャンネルとも取り替えることにしました。今度はアメリカのKCA Nos チューブが"Maxi-Macher"という装置で、こちらのリクエストにより緊密なマッチングを取った5ペアから、2ペアを使うことにした。これまでは手測定でのマッチングだったので、当初からハムは多少出ていたが、今回は非常に低く静寂感が良く出てとても嬉しい。当分は慣らし運転だ。

 ただ、虎の子のストックを消費するだけでは落ち着かないので、Tube Worldに初期型の8417を2ペア注文した。こちらも"Sofia Computer Curve Tracer"でマッチングを取っている。最近は付いてこないが導入当初にはEp-Ip特性のデータシートが付いてきており、かなりカーブが重なっているのがよく分かった。こちらも、マッチングは期待できると思う。

 と言っても、真空管は生き物なので、また日々変わっていくと思うけれど、まずは今日の音楽。
 マイルスの「ライブ・アラウンド・ザ・ワールド」聞いたのはオリジナルマスターからの重量盤LP2枚組。鮮度感が良くて楽しいが、"Mr.Pastorius"はなかなかしみじみと来る。よれてはいるが、偉大なミュージシャン。

('05.4.2)一昨日のレストアの話を、東京のにしだやさんがご自身のHP('05.4.1)で引用・リンクして下さった。Naimユーザーとしてのご意見だが、基本は同じ事だと思い、意を強くしました。
 ReCapという言葉をご存じだろうか?これはNaimがコンデンサを取り替えるサービスを言っている。 つまりは、「コンデンサは劣化する」と言うことを、メーカー自身がはっきりと言って、その上でメンテ態勢を確保しながら、長期に販売・修理する。こういうのが責任ある大人のやり方だと、僕は思う。イギリス人がケチなだけだ、という意見もあるそうだが、大切にされる価値ある物を作り、それを大切に使うというのは、ケチであれ何であれ立派な文化だと思う。大英帝国に栄光あれ!

('05.3.31)いろいろやることはあるのだが、合間を見てLEAKのレストア第2部をしようと思う。LEAKに使われているケミコンは当時としては良質で今から見れば容量の割には大型だ。要はアルミ箔をエッチング、つまり部分腐食させて表面積=容量を稼いでいる現代のケミコンと違い、等倍のアルミ箔なのだと思う。だからこそ今まで持っているのだが、問題は電源だけでなく、信号のカップリングやアンプ出力のコンデンサにもこれが多用されていることだ。
 製造から40年ほどたっており、軍用規格のケミコンでさえ通常使用で15年なので、今何とかもっているだけで、これではいつ故障しても不思議ではないし、現実に故障例はかなりあるようだ。

 以前から声を大にして言っているのだが、スクラップアンドビルドで作っては壊しのこの国のオーディオ業界は古い製品を使う人が多い割に、メンテやレストアの必要性を業界として認識・普及・実行していない。英国に長く滞在した人の話を聞くと、古いアンプは修理だけでなく、レストアして使うのが当たり前で、特色やポリシーをもったレストアラーが沢山いるそうだ。古い製品を使うなら、当然そうすべき物だ。この国の業界は、一言で言ってひどい。これでは、伝説だけがはびこり、オーディオが衰退していくのは当たり前で、世評のみで買うネット・オークションの普及がそれに輪をかけている。

 僕のオーディオDIY歴はやたら長く、古いアンプやテレビについては苦く痛い経験がある。感電したこともやけどしたこともあるのだ。LEAK Stereo30をしばらくそのままで聞いて、ある意味では現代アンプにない素晴らしい面を持っていることを理解したが、一方で、この「味」は劣化した部品の音だと言うこともはっきり分かった。
 また、プリアンプ部はTape Replayをのぞく全ての入力端子が、ゲイン的には必要ないイコライザー回路と特性うねりまくりのトーンコントロール回路を通り、それがさらに「味」を加えていることも分かった。

 だから、機構的にプリ部電源を分離できるようになっていることを利用して、ボリューム以降のみ使う、インテグレーテッドアンプとしてレストアした。
 レストア第1部のポイントは以下の通り。
1.入力RCA端子を新しい金メッキ物に交換、ボリューム回路への直接入力するよう引き回し変更(ゲイン調整スイッチその他不要回路のスキップ)
2.ボリュームをノーブルの導電性プラスティックに変更。解像度・音質は飛躍的に良くなる。
3.カップリングコンデンサ、出力コンデンサをフィルム(ERO製ポリカーボネート)に変更。解像度・音質は飛躍的に良くなる。
4.電源のバイパスコンデンサをニチコンMUSEかブラックゲートに変え、容量を増やす。解像度・音質は飛躍的に良くなる。
5.電源のダイオードをファーストリカバリーに交換する。解像度・音質は飛躍的に良くなる。
6.電源ラインをダイオードから完全にLR分離する。これで、モノラル的なもや付きは解消され見通しがかなり良くなるとともに、低域の解像度が増す。

7.スピーカー端子がバナナ、それもちゃちい物しか入らないので、ネジ止めの端子を付けてそこから太いケーブルを引き出し、さらにバインディング・ポストを先付けして、Yラグのケーブルを使えるようにした。
8.ペナペナの電源ケーブルをはずし、銀メッキ・クライオのIECインレットを付けた。また、ボリューム兼用になっていた電源スイッチはリアに新設して、内部のAC引き回しを減らした。


 レストア第2部は「抵抗」を替え、アンプの電流・電圧を調整する。カーボン被膜抵抗なので、昔のマランツに使われているA&Bのカーボンソリッドのように抵抗値がどんどん上がっていくようなことはないが、もともと精度が高くない上に、経年劣化が進んでいるので、精度の高い金属皮膜などに交換する。
 これで、電流・電圧の調整は少し楽になるだろう。

 「オリジナルの音」なんてもうこの世には存在しないのに、それにこだわる人が多すぎる。今あるのはかつてオリジナルと呼ばれた個体が鳴らす劣化した音でしかない。元の状態に戻すには、
1.少なくとも元の音を知っていること
2.元と同じ部品が潤沢にあること、
3.レストアに長けた人がいること
が必要なのだが、半世紀近い前の製品には1は望めないし、2は残っていても同じように劣化している可能性が高く困難だろう。
 勿論、今の劣化した音が好きなら、リスクを承知で使えばよいし、それはそれで一つの判断だ。だが、リスクを理解・説明しないですばらしさだけを語ることは、明らかな片手落ちである。


 繰り返すが、音質には素晴らしい物がある。しかし、僕が評価するのは劣化した音ではなく、ちゃんとした部品に替えてリフレッシュしたLEAKの音だ。今、AV用のサブシステムのアンプとしてセレッションSL-6Sを日々ならしており、今後はSACDマルチのリア用アンプとしても使う予定だ。


('05.3.30)
 バラック・セット
  動作確認済み。





















('05.3.28)実はだいぶ以前から、ジョーダン・ワッツの「フラゴン」を探している。写真は陶器製の物だが、後期にはアルミ鋳物になっている。
 どちらでも良いのだが、陶器製は破損の問題があるので、鋳物の方がよいかも知れない。あちこちに声をかけるものの、見つかる気配はなく、当分は夢のままに終わりそうだ。

 インテリア的な意味もあるけれど、何より音が素晴らしい。昔、このユニット2本を重量級のハコに入れたのを、オーディオリサーチの管球アンプで聞かせていただいたことがあるが、それは渋くて人の声は朗々として、素晴らしい物があった。10cmアルミコーンのユニットのレンジは広いとは言えないし、パルシブな音には弱い。僕はワイドレンジや音場は好きだが、それ一辺倒の人間ではなく、古い音だが、ここにはかけがえのない魅力があると感じている。
 
 もし入手できたら、レストアしたリークや、今後作るであろう300Bシングルアンプなどで、密やかに鳴らしたい。スぜーの歌うドビュッシーやフォーレ。ナタリー・シュトゥッツマンやエリー・アーメリンクの様々な歌。ヴァルヒャの平均率。古い時期のマイルス。

 どなたか譲っても良いという方がおられれば、大切にしますので、是非よろしくお願いします。

('05.3.24)久しぶりにウエルボーン・ラボのHPをのぞくと、とんでもなく魅力的な物が目に付いた。60ステップのリモコン可能なアッテネーターやスイッチのキット。LEDのインジケーターも付けられるが、我が家の場合これはなくても何とかなる。信号経路に一個の抵抗しか入らないとか、音的にも期待できるかも知れない。

 う~~、クラフト心がそそられるなあ。

('05.3.23)昨日「本調子の音」と書いたけれど、どういう音が最近の本調子なのか?

 早速の具体例が、今「音と戯れる会」の巡回試聴で拝借しているCECのDAコンバーターを、オーディオに使用しているリビングの空きコンセントに挿してヒートアップしているときの音。やはり、平面的な音になってくる。ちゃんとアイソレートされた電源から供給してやらなくてはいけないのだろう。

 調子がいいと、最近は漂うような音の出方がとても良くなってくる。ニュアンスが音色だけでなく、空気感を伴って出てくる。スピーカーの間を揺らめく。
 先日も、「情報量」と「音色のバランス」について長いメールのやりとりをした。音色は勿論大事なのだが、音の骨格と音色で決めていくと、簡単に心地良さだけのバランスにはまってしまうし、全てをその色に染めてしまうだけになりかねない。あるいは、それで全てを括ってしまうと言うことになる。それはそれで集中できるので、音楽体験としては深くもあるのだが、そういうオーディオは僕の場合、もう少し年を取ってからのために取っておいてある。例えば、300Bシングルアンプ(回路はいくつか試すが無帰還ベースかな?)を製作するのは、そういう事も考えて、省エネも考えてのことだ。
 今は、もっと耳をすまそう。 I'm all ears.

('05.3.22)カナダからパーツが届いた。ハモンドのトランスは思ったよりも小さく、仕上がりもコンパクトに出来そうで嬉しい。ロシアの「スーパーチューブ」6H30はさすがに大型で、データの関係もあるのでやはり6922の線になる。

 という様なことを考えながら、音楽を鳴らしているとどうも調子がすっきりしない。いろいろやった後、パワーアンプのバイアス電流を確認すると、ほんの3週間くらい前に確認・調整したところなのに、左が減少気味になっている。再度調整して、ようやく本調子になる。

 昨夜は右側で聞いていたので確認できなかったが、お客様にはおそらく本調子の音を聞いてもらえなかっただろうと思う。申し訳なかったが、こういう事もままあるのだなあ。
 ゲッタ膜が飛んでもうだめかなと思った右の出力管が半年以上も持ったり、かとおもえば順調だった左のバイアスが減少する。事ほどさように真空管というのは生き物だ。(まあ、その辺の持ち味が面白かったりするのだけれど。)
 メンテしまくっている我が家でもこういう事が起きるので、メンテ不足の機械がどうなるかは、想像に難くない。

('05.3.21)東京行きで疲れてはいたが、今日は神戸で「ミシェル・レバションが語るゴールドムンドの世界」という講演会・試聴会があったので、がんばって元町まで行った。
 その会では同じウイルソン・ベネッシュを使う友人と行き会っただけでなく、沖縄からの遠来の友とも後ほど落ち合って、我が家で楽しいひとときを共有できた。いやあ、面白かった。

 会の内容については大変面白く、かつ魅力溢れるレバション氏の声を直に聞けてものすごく有意義だったのだが、ここではそのエッセンスだけに触れることにしよう。(写真は携帯なのでいまいち。お許しあれ。)

1.タイム・ディストーション(時間軸歪み)とその解決について
 F特がフラットであるだけでは、方形波などの正確な再生はできない。欧米の大学(ローザンヌ、MIT、スタンフォード)と協力して研究した「レオナルド・テクノロジー」で、位相などによる時間軸歪みを解決するべく、新しいTELOS600パワーアンプでは「JOB5回路」により、フィードバックによらずそれ自体に固有の時間軸歪みを内部で補正する事により、リアルな再生を実現した。

2.また、「JOB5回路」ではメカニカルアースを進歩させ、出力とともに振動し続ける出力基板を、入力基板から物理的に分離した。

3.出力には日立のMosFETを採用。

4.ユニバーサル・プリアンプ、MImeisis24ではデジタル・チャンデバやデジタル・フィルターを内蔵し、マルチに帯域分割した信号をデジタル出力できる。(当日のEpilogu 1&2 スピーカーシステムも、ネットワークでなしにマルチアンプでドライブ。)
 また諸設定はPCからプリにアクセスできる。
 デジタルプリでSP特性を補正し、SPのマルチドライブ用のチャンデバで帯域分割し、デジタル伝送でパワーアンプに送り、パワーアンプ内部では時間軸歪みを補正してSPに出力する。これでゴールドムンド・デジタル・フルラインの一丁上がり。

5.ゴールドムンドでそろえたいという顧客の強い要請により、フォノイコを開発中で、6月にはリリースする予定。MM、MCゲインなどを左右chごとに設定できるようにし、時間軸歪み解消の回路もオプションとして、後ほど出す予定。(ターンテーブルはユーザーが既に持っているし、マーケットも小さいので、製作する予定はない。)

6.デジタルフォーマットについて
 SACD(DSDフォーマット)は理論的には優れているが、実際にはジッターなどに弱く、良くない物も多い。よって、10年後には消えていると思うし、SACDに未来はないと考える。
 実際にソニー自身がDSDの録音機の生産を終了し、今後はサポートしないと言っている。
 重要なのは、PCコンバティブル、つまりPCでも処理可能だと言うことだ。パッケージメディアは消えて、全てはサーバからダウンロードする世界になっていくだろう。そして、ブルーレイかHD-DVDに記録することになるだろう。

 そういう点から、現在もっとも音の良いメディアはDVDビデオだ。


 実際に聞いた音は、セッティングが十分ではないことを考えても、とても艶やかで広がりのある音だった。
 ご一緒したMASAさんのHP3/21にも詳細が書かれていますので、ご参照下さい。

('05.3.17)パワーアンプのジャックを入れ替えて、電源を入れたら右からバリバリっと言う大きなノイズ。すぐにスイッチを切ったが、ヒューズは飛んでいない。内部をチェックしてもう一度オンすると、整流管5AR4(GZ34)の内部でスパークが走った。これで原因判明し、整流管の同じロットのを入れ替える。

 中国製と違ってSovtekはかなりタフなようだが、初めてのケース。東京行きを前に大したことがなくてほっとした。

('05.3.16)クライオ処理したカルダスが品切れで、別の良さげなRCAジャックがあると聞き、1ペア送ってもらって、パワーアンプの入力に入れた。が、中低域はよいが全体にエッジが薄い。いろいろ聞いたが、やはりクライオではないが元のカルダスに戻すことにした。エアーのチャールズ・ハンセンがもっとも音のいいジャックと言ったくらいだからなあ。
 ここまで来ると、やはりある程度質感をそろえていかないと行けないようだ。やれやれ。

('05.3.13)マランツ7のレプリカを1日聞きながら過ごす。
 このアンプの中域の上の方(2KHz前後?)にはエネルギーが微妙に集中した部分があり、音楽的な充実感を生むのに大きな役割を果たしていると思う。いろんな意味でこのアンプの特徴となっている。ジャコ・パストリアスのベースとザヴィヌルのべーシン(ベース・シンセサイザー)がきっちり分離して聞こえるのはたいしたものだ。(Weather Report"8:30")

 高帰還型アンプの位相補正(要するに高域カット)によるものなのか、高域の空気感的な伸びは今ひとつだ。シンバルのシズル感もボディはあるがいまいち空気感が伴わない。
 でも、そういう講釈よりも音楽そのものをしっかりと聞かせるかどうかが、結局は一番重要だ。
 チェット・ベイカーの「ラスト・グレイト・コンサート」、ピアソラ「タンゴ・ゼロアワー」etc.
 僕らは音楽をよりよく聴くためにオーディオをやっている。大切なのは、「音楽表現力」だ。
 Yeah, let my children hear music. (Charles Mingus)

('05.3.12)レプリカのチューンナップ作業が完了した。電源ラインの分離は効果があり、高域方向に向けてかなりすっきりと開けてきたし、低域のもたつきもほぼ解消した。ただ、少しきらびやかなところもあり、カソードフォロワーの2本の真空管をロシア球に交換した。落ち着いた風格のある大人の音でしかも出るべき所は出る。美味しいところを心得ているアンプだ。やはり凄いものがある。

 今日から最終チェックと試聴をし、月曜日にはオーナーに返すために、東京に向け発送したいと思っている。今日明日とマランツとの別れを惜しむことにしよう。
 

('05.3.11)預かってチューニングしているアンプ(もうばらしてもいいだろう、マランツ7のレプリカ)の電源ダイオードを交換した。元の通常品からファースト・リカバリーに一度交換して、それはそれで効果大だったのだが、今度は高耐圧のショットキー・バリア・ダイオードにしたわけだ。
 「あれまあ」その1.熱くならない。ロス(順電圧降下)が極端に少ないので、熱にならないのだろう。
 「あれまあ」その2.音が凄い!情報量、エネルギー感、透明度、全てに渡って凄い。
 正直言って本当に凄いことになってきた。

 高価だが、値打ちはある。早く、我が家の注文分も届かないかなあ、と強く思う。

('05.3.8)アメリカから、注文していた真空管回路設計ソフト"Tube Cad"が届いた($39.00)。いろんな真空管のデータがビルトインされていて、コンデンサや抵抗の値、電圧値などを入力していくだけで、諸特性を計算・表示しレポートしてくれる優れものソフトだ。
 僕は回路設計のややこしい計算が大嫌いで、自分ではついぞやらずじまいで、おかげで今でもよく分かっていない。でも、このソフトがあれば結構いろんな事が出来る。

 で、何を作るのかって?それは秘密。と言っても少しだけ触れると、SACDマルチチャンネルに関するものです。

('05.3.2)クラシックのコンサート活動や録音をやっている友人の個人レーベルWAON Records がキング・インターナショナルからディストリビューションされる事になった。メジャーな配給網に乗ることになって、とても喜ばしい。
 でも特に管楽器のアーティストから「倍音が上手く録音できていない!」という事で、SACDハイブリッド化を強く求められているらしい。格安のDSDレコーダーをちゃんと確保したが、編集機能に限界があるので泣く泣くPCMに変換する必要もあるらしく、192KHz/24bitで考えていたが、DSDと最大384KHz/36bitのPCMに対応できるDDコンバーターのdCS974を中古で入手できたとの事で、喜んでいた。
 PCMへの変換はいろいろ問題がある由。

('05.2.24)1月に沖縄に行ったときに、国際通りの「ゲットハッピー・レコード」で買った、アンディ・サマーズ&ロバート・フリップのツイン・ギター「心象表現」(LP)。
 何か1枚くらい買っとこーか、くらいだったのだが、これが結構いい。スぺーシーでクールなギターの絡みがとても美しくかっこいい。

 預かっていたマランツ7(レプリカ)のレストアもほぼ山場を越し、いろいろ試聴している中で、そういえばまだ聞いてなかったなと手を伸ばした1枚。
 気持ちにゆとりがあると、音楽もゆるやかに伝わってくる。




('05.2.19)ステサン#151(2004S Summer)の「極私的ケーブル論」で三浦孝仁氏が入れ込んでいるとあったので、ステレオヴォックスのデジタルケーブル"HDXV"を買ってみた。三浦氏も言っているように4GHz/HDTV対応としては値段が安い。しかも、BNC/RCA完全75Ω互換のプラグもついている。その名もHi End Cableから、郵送料込みで69.95英ポンド。
 
 実際にさわってみると細くて柔らかく、取り回しはしやすい。CDのデジタルアウトではなかなかいい感じだ。表情が豊かに出てくる。価格を考えると、とてもすばらしい。同じ価格帯のアコリバのシングルコア(旧タイプ)よりも、ずっと情報量が多い。
 現用のワンダーリンクⅠに比べると、彫りというか立体的なメリハリが薄くなってしまうが、ワンダーリンクⅠは沖縄でもPADの超高価なケーブルと結構タメになっていたぐらいだから比較してやるのは酷かも知れない。

 クロックなどを使う場合には、BNCが生きてくるし、まずは何か1本と言うときには、安心してお薦めといえる。
 

('05.2.15)病癒えたわけではないが、久方ぶりに音楽を聴く。東京の山本さんが、これ聞いて元気出せ、と巡回で送ってくれたAETの新しいケーブルは、高価だが、凄い。パーペチュアルの電源に入れて、分厚く拡がるパノラマを楽しむ。

 そして、前回の交換から2年ほどたったので、思い立ってSOTAのベルトを交換した。いろいろあるが、ジェニファー・ウォーンズの「ザ・ウエル」。6曲目(B頭)の"and so It goes"。途中から、感情が高まって彼女の声が少し曇る。そしてブレスが震える。

 涙が出る。

 思えば、遠くまで来たものだ。

('05.2.8)SACDマルチについて、やはりセンターchのミックスダウンが出来ないと、音量調整を含めた問題で、既存のシステムを活用するのは難しくなる。

1.ミックスダウンの出来るユニバーサルプレーヤーを買う。デノンの新製品などもあるが、現行マランツの音がそれなりに気に入っているのに、そこまでするか?
2.AVセンターでマルチ出力を受けて、それをプリに無理矢理新設するスルー入力を通して、全体の音量はAVセンターで調整する。→AVセンターのボリュームを含むグレードが問題。音質的にプラスになるとは思えない。
3.ハイグレードなAVプリの導入。これも1と同じで、そこまでするか?。
4.現行プリのラインアンプ部回路をコピーし、同じアッテネーターを使ったラインアンプを製作する。真空管2本で4ch再生できる。パワーは同じクイックシルバーのモノパワーが2台あるので、リアについてはほぼ同質の音が再生できる。でも、製作の手間とコストを考えるとため息が出る。そこまでするか?

 ものは考えようで、DVDの映像やサラウンドも考えると、マランツSA-12 S1はPCMで自由に設定できるので、フロントを「ラージ設定」、「センターOFF」、「サブウーファーOFF」にすれば、DVDでは簡単に4chマルチが出来る。

 我が家の場合、
1.CDプレーヤーはクロック0.1ppmのCD-16で決まり。サウンドゲートのMASAさんの形見でもあり、大事に使う。むしろ、今後はDACの問題。
2.アンプ群は変更予定なし。
3.映像では今のところDVDはマランツSA-12 S1→Plus Pianoで特に支障なし。4chマルチも出来る。
4.Mac MiniでDVD再生して、Piano(プロジェクター)にDVI-Dで送ると画質は良くなるだろう。音声も2chなら、USB入力のあるCECのDACも使えそうだ。音と戯れる会で巡回してくれるので、もう少し詳細が分かると思う。
5.今後、HDCPになるとプレーヤー、プロジェクターともに別機器が必要だが、次世代DVDがらみで考えないといけない。その場合、SACDはマランツで行くか、別機器にするかは別として、トータルで機器台数が増えるので、収納に支障が出る。

 いつもと同じく、当分はいろいろ見聞を広げながら様子見だなあ。

('05.2.6)心斎橋でdCSの試聴会。久しぶりに信之氏の話を聞く。アフターアワーズ的にいろんな話を聞けて良かったし、楽しかった。
 dCSそのものは、席が後ろの方だったので、あまりディテールは分からなかったが、かえってSACDのふわっとした広がりのようなものはよく感じ取れた。
 DSDで処理していても、EMMとはちがってある意味では非常にまとまった音だ。相変わらず選曲が面白い。。

('05.2.5)「管球王国」の最新号で高耐圧ショットキー・バリア・ダイオード(SBD)を知り、検索してA&R Labsに問い合わせた返事がメールできた。
 現在、プリアンプとMCヘッドアンプの電源にはIRの600V/8Aのファースト・リカバリー・ダイオード(FRED)を使っているが、その代替は勿論、パワーアンプの整流管5AR4(GZ34)に差し替えできる製品も出ている。価格は高いが、これは経験上音質改善効果は大きいと思う。

 ただ、パワーアンプでは整流管がゆっくり立ち上がるので、保護回路などは一切なしでいけるところ、ダイオードではいきなり高電圧が出力管(8417)にかかるリスクがある。CSEの電源(F-400)のソフトスタート機能でどこまで対応できるか?また、この場合は、ソフトスタート機能などが無いアイソレーション・トランスを使用できるかどうか微妙だ。今後買い換えるにしても、CSEの現行機種(FX-700)などは高い(62万)からなあ。

 とりあえず、プリアンプとMCヘッドアンプから試してみよう。久しぶりに音がまた一段とよくなりそうな見通しが出来て、とても嬉しい。

 そして、東京の友人からお借りしたGENELECの小型モニター、通称「子ジェネ」を聞かせて頂く。う~~む、渋い。パワードなので、マルチのリアとしても使いやすいし、音の傾向もメインのACT-1と結構マッチすると思う。
 D-Cubeと組み合わせた音は、音場的にもかなり聞けるし、相当に使える。これはなかなかの実力派だ。いろいろ実験させて頂こうと思う。

('05.2.3)ラルス・ダニエルソンの「リベラ・メ」(SACD Hybrid)。神戸の鹿野さんに教えて頂いたソース。スウェーデンのベーシストがジャズ・コンボとオーケストラをバックに、柔らかく緻密な音楽を作っている。録音がとても良いのでライナーを見たら、ヤン・エリック・コングスハウ、言わずと知れたECMのエンジニアだった人だ。
 「リベラ・メ」は、フォーレのレクイエムのメロディーだが、まるで密やかなつぶやきのように、柔らかく歌うベースとオーケストラの親密な響き。
 少しずつ心にのひだにしみ通って、その良さが分かってくると思う。

(P.S.)ケーブルを持ち上げて効果がでるのは、ノイズや振動対策、電源回りなど、微少な音場感情報をマスクするような要素をある程度整理できてからではないかと思う。この辺りを詰められたら、効果が見えてくるだろう。

('05.1.31)オーディオ界での、ネットによるつながりの拡大効果はとても大きい。

 でも、ネットだけで分かってしまった気になってはいけないと思う。画像があって、テキストがあって、いろんな情報が載っていたとしても、だ。結局、オーディオは音を聞かなければ始まらない。
 オーディオというのは「部屋つき」の趣味だから、そのシステムのあるところへ足を運び、使いこなしなども実際に見てくることが大切だ。来月13日は久しぶりに「音と戯れる会」例会にお茶の水に行くぞー!

(蛇足的整理~もちろん読み飛ばし可)
1.ショップが昔は「聞く場」の第一候補だったが、電機店業界全体は量販店化を強めつつあり、専門店はいまやスタッフの質も含めて心許ない状況がある。
2.メーカーや代理店の試聴会やショーも、場所や電源やいろんな制約の中で行われており、どちらかというと「機器の可能性を聞く場」ととららえた方がよい。
3.昔はジャズ喫茶や音楽喫茶がJBL、ALTECなど大がかりな装置を聞く場としてあったが、いまやこれもごく少なくなってしまった。
4.装置(ハードウエア)をぽんと置くだけではだめで、「使いこなし」(本来の意味のソフトウエア)でその性能がどこまで発揮されるかが決まる。だから、部屋や装置の規模・グレードと出てくる音のクオリティは必ずしも比例しない。

('05.1.29)今日あたりオキナワのオーディオ仲間が集まって、アナログに挑戦しているはずだ。音の世界が拡がっていくのはとても楽しくて、わくわくするはずだが。さて、どんな感想をもたれるやら?
 

('05.1.28)AV用のサブシステムをグレードアップする。実際には、メインで置き場所の無くなったパイオニアのDAT /D-07Aを導入した。
 何でこれがグレードアップかって?それはD-07Aには外部からのデジタル入力を接続できるDAC機能があるからだ。具体的には東芝のDVDレコーダーのデジタル出力(光)をTOSリンクでD-07Aに接続してDA変換し、そこから古い英国製アンプでセレッションSL-6Sを鳴らすわけだ。
 パイオニアのDATには高域を自然に延ばすレガートリンク・コンバージョンSというDSPベースの機能が付いており、パーペチュアルを買うまでは、メインはこれをDACとしてCDを聞いていた。
 東芝のDVDレコーダーのDACとはラベルがちがう純オーディオ用なので、クオリティはかなり上がり、映像なしでも聞けるレベルになる。また、これまでのDAT録音を聞けるのも嬉しい。

 さて最初は吉田美奈子のブラスアンサンブルとのライブか、サヴァール指揮の「オルフェオ」か。サブシステムも良い音になってAVもさらに楽しくなる。

('05.1.27)先週来ていた「シカゴのミュージック・ダイレクトのメールニュースを見ると、冒頭に「ケーブル・タワー・キット 4個$99」とある。左のようにアクリルの薄い板を2枚あわせにして穴の中にケーブルを通し、床とは最小限の設置面積でサポートするアクセサリーだ。
 床との浮遊容量が悪さをすることは前から聞いていて、ラインケーブルはこれまでもアクリルの三角柱で浮かせていた。少し音離れが良くなったからだ。

 ところが、ミュージック・ダイレクトのメールを見ると、「効果絶大、もし信じられなければ返品受け付けます!」とある。ここまで言うのだから、と思って即注文、などはしないで手持ちのアクリルの三角柱と太い木製円柱でラインも電源も全てのケーブルを浮かせてみた。

 いや、おどろいた。音離れというか、こまかいおかずの音が良く聞こえて、例えばフォルテになるとき横からセンタ-に動きながら音量が拡大したり、浮遊している感じがよく出てくる。要は音場とその中の動きがよく分かる。

 こんなことで音が良くなるのだから、オーディオって本当に面白いし、やめられない。
 いいんだよ、別に信じなくても。でも、やってみてから言ってね。

('05.1.26)あ、念のため言っておきますが、僕は何でもかんでもAETというわけではありません。クライオ信者でもありません。でも、価格とパフォーマンスを考えると、また、パフォーマンスだけで見ても非常に優れたモノがあると思います。
 若干、「スカキン」的になりがちですが、情報量という点からはたいしたものです。
 ただし、デジタル・ケーブルとスパイクは採用していませんが。
 ま、この辺を確認できたのは、音と戯れる会の巡回試聴のおかげです。山本さんに感謝。

('05.1.25)昨日は日本橋で買ってきたSCR Lineにシースをかぶせて、WBTのプラグをつける作業のあと、音を聞いてみた。
 やはり、音離れというか、「来る」感じが向上して、何よりも解像度がずいぶんと上がっている。特にSACDが良い。クロックが換装できなくて帰ってきたSA-12 S1が、SACDを以前よりもずっと豊かに鳴らしているのには驚いた。

 アナログも良くなっているが、解像度が上がりすぎてスクラッチノイズや盤質の悪さがもろに聞こえてしまい、楽しめない。そこで、同じSCR Lineでもプラグによって音がちがうのを思い出し、フォノのSCR LineをWBTプラグ付きから、AETのプラグ付き(フルテックをクライオした旧製品)に交換した。
 これで、中低域の解像度が上がり概ねバランスがとれたので、今日は仙台から届いたLPも聞きながら、エミネントのアームでカートリッジのVTA(垂直トラッキング角度)を細かく調整した。エネルギーバランスやスピード感をかなり微妙に調整できるからだ。

 うむ、これくらいなら十分音のバランスがとれる。SP間にギターやヴォーカルが空気感豊かに納まって、気持ちがいい。LPもSACDもCDもずっと良い音で聞けてとても嬉しい。

 ちなみに、SCR Lineは新しいSpec 2004だが、旧製品よりもシールドが厳重になり、外皮もGAIAと同じ艶消しの素材になっていて、音も昔の少し騒がしい感じがずいぶんとバランス良くまとまっている。結局アナログのラインケーブルは、バージョンやプラグがちがうとはいえ、全て同じケーブルになったわけだが、逆にスピード感が揃った感じはとても好ましい。
 後は微調整と言うところか。それと、ソース集めだ。特にSACD。

('05.1.24)昨日のオフ会ではいろんな事を考えながら聞いていたが、我が家の改善方法を2つ思いついた。一つはヘッドアンプのバイパスコンデンサだが、これをつけるのはすぐに出来た。
 もう一つはプリ&パワー間のケーブルだ。現在はMITのMI-350(Ultra Linear)を使っている。その他はAETのSCR Lineで、それまでに使っていたMI-330はこれに負けてあえなくAV用に二軍落ちした。このときに、プリ&パワー間も「考えたのだが、MI-350はクオリティも高いし、第一、SCR Lineでも6mとなると12万円かかるので、見送っていたわけだ。

 ただ、オフ会でMITのコンデンサとの関係に気が付いた。MITの「マルチ・キャップ」は同心円状の異なる容量のコンデンサを両端でパラにつなげて、トータルとしての周波数特性を改善している。持つとずっしりと重いし、音も独特の渋さを持った、シルキーな音がする。しかし、マイケル・エリオットの評価によるように、
1位 DynamiCaps
2位 Auricap
3位 VTV Silvertone
4位 MIT Multi-Cap RTXと、高価なのに音質的には評価は高くない。僕は全て試したので、この通りだと断言できる。

 ところで、MITのケーブルも例の箱をつけており、また出力側のプラグ内にもエポキシでモールドされた部品が入っており、(おそらくCR=コンデンサと抵抗で)位相補正を行っている。
 ひらめいたのは、もしコンデンサと同じ感覚で作られているとしたら、より音離れの良いケーブルがあるのではないか、と言うことだ。例えば、DynamiCapsは片方のリード線に入った全ての信号が同じ時間に他方のリード線に到達するように設計されているそうで、そのためにコンデンサの置き方に若干条件がある。
 MITのケーブルもCRで補正しているとしたら、F特はともかく位相、つまり群遅延特性は乱れるはずだ。

 ではどのケーブルがよいか。
 SCR Lineで一番感心したのは、低域も含む全帯域が同じ時間に立ち上がってくる感じがしたことだ。他のケーブルはこんな長さで試すわけにはいかないし、SCR Lineで行こうと決めた。
 プラグはWBTの#0144が手持ちであるので、それにしよう。

('05.1.23)今日は神戸の鹿野さん宅でオフ会。CDとSACDについては、dCSのVerdiからSDIF2でPCM出力し、DSDに変換してからDACに送るという構成で、デジタルに非常に意欲的に挑戦されている。
 とても高品位で密度の高い音。岩に染み入る静けさのような、ひしひしと来るものがある。川崎さんのところがグレーから白色寄りのグラデーションだとしたら、鹿野さんのはグレーから黒色寄りのグラデーションだ。しかもその都会的な翳りの色数といおうかニュアンスが非常に多い。そしてSACDではぱっと蓋が取れたような開放感。ご本人が言われるように少しスクエアというか、シリアスすぎる部分はあるが、クロックの接続を始めまだ途上のことなので、まだこれから変化していくだろうし、機器の入れ替わりもあるだろう。と思ったら、最後はグールドのゴールドベルクでどきっとさせられた。なかなかもって奥が深い。
 アナログはやはりオープンな感じで楽しめる。ゲイリー・バートンのヴァイブは美しく、ピーター・アースキンはとてもリラックスして楽しかった。プレヴィンのラフマニノフ2番ではオーケストラを楽しませて頂いた。ライラのヘリコンがこんなにも開放的な感じで鳴るのを聞いたのは初めての経験だ。
 総じて、「昼間の音」は結構音量も上がっていて、2年近くたつといろいろ変わるものかなと思った。
 新メンバーも加わって談論風発。なかなか楽しいオフ会だったし、それぞれの収穫を持ち帰ったことと思う。鹿野さん、ありがとうございました。

('05.1.22)河口無線から電話があり、SACDプレーヤーのマランツSA-12 S1のクロック換装は、ビデオ回路(DVD-Video、-R)との関係で出来ないという返事。期待していたのに。これでSACD関係の改善方法はヒューズ交換ぐらいしかなくなった。トホホ。

('05.1.20)那覇のすぐ南の南風原町で地元のオーディオ仲間と合流し、いろいろな音を聞かせて頂いた。詳細はいずれ、どこかで披露されるので、ここではお礼だけを。ありがとうございました。そして、また遊びましょう。

('05.1.13)この前、「フォノイコは何を使ってるんだっけ?」と聞かれて、うちはフォノイコ一体型のプリアンプ(ミュージック・リファレンス RM-5Mk2)なので、一瞬とまどってしまった。
 80年代ぐらいに薄型の管球プリが流行した時代がある。カウンターポイント、オーディブル・イリュージョン、セータなど。特に6DJ8=6922という低電圧、大電流、中増幅率の新しい球をセレクトして使う、というのが主流だった。
 その中ではカウンターポイントが有名だが、その基本回路、6922を使用したCR型無帰還、というのを作ったのがミュージック・リファレンスのロジャー・モジェスキだ。彼のパテントの関係もあって他のメーカーでは使われておらず、彼の名は、コンピュータ・セレクトした「RAMチューブ」のほうでむしろ有名に思われているかも知れない。
 NF型フォノイコと異なる一番の特長は、球の特性にかかわらず一定した逆RIAAイコライゼーションが出来ることだ。スルーレイトを意識したストレートで反応の早い音が、身上だと思う。

 今夜は、ユニバーサルから復刻された「お城のエバンス」モントルーでのライブを鳴らしてみた。エディ・ゴメスの気合いがすこぶる入っているのが伝わってくる。これなら是佐さんにも聞いてもらえると思うんだが。

('05.1.12)一昨日書いた「ロシアン・ポップ」のHPへのアクセスが急増している旨、東京のほうから反響が、それも複数のルートであってびっくりした。僕のこんなパーソナルなページを読んでくださる方が、いろいろおられることを再認識もした。
 別に誤解は招いていないと思うのだけれど、僕は凛とした姿勢の良さ・潔さとセンスとに感銘を受けたわけです。それにしても、結構狭い世界なんだなあ、と、これも再認識。

('05.1.11)昨年くらいから、音の実体感というか、彫りの深さ、表情の濃さ、豊かさ、などを実現する工夫を続けており、かなりの程度そうなってきたと思っている。オフ会に来てくださった方々もそう指摘されているので、変化しているのは確かだと思う。
 ただ、「豊かさ」については難しい。いつも言うことだが、多数の楽器が個々に出すエネルギーを1組のスピーカーとアンプから出すのは、結構アクロバティックなことだと思う。パっと鳴らしただけではアピールせず、部屋も含めた使いこなしが必要なオーディオの難しさの主因はここにあると思う。発音体の表面積だけで見ても、スピーカーの振動板は明らかに小さい。結局ある程度以上にボリュームを上げないと「音が立たない」事になる。この辺が対応できれば、比較的小さい音量でも「音が軽くすっと出る」ように鳴る可能性もあるわけだ。

 一つの対応策は「SACDマルチチャンネル」だ。音源を増やすとともに、スピーカーやアンプを増やすので、これは豊かさにはうってつけの対応策だ。この辺は山本さんのところでいろいろ聞かせてもらっているので、見当はつく。だが、我が家ではセンターチャンネルのミックスダウンがデジタル的(PCM変換付き)にもアナログ的にも出来ないので、当面これは実現できない。それに、ソースが限られているという限界も、今のところある。

 一番ソースも多い2チャンネルベースでの努力となると、解決策の一つは「バイアンプ・ドライブ」という事になる。昨年はいろいろと遊べる機会が多かったので、パワーアンプをもう1セット入手しながら、手をつけていなかった。金属加工部分など、結構ハードな作業があるので、気合いが必要なこともある。今年は、この「王道」を目指そうと思う。

 それにしても、モノブロックの管球アンプを4台並べたら、冬暖房が要らないことはもちろんだが、夏は暑いだろーなー。シングルアンプ・ドライブに戻すか、古い英国製アンプでサラっと鳴らすか。いずれにせよエアコン抜きにはあり得ない話だ。
 
 でも、全ては音楽のために。

('05.1.10)東京の友人とSkypeでチャットしていて教えて頂いたサイト。「ロシアン・ポップ」という僕にとってはなじみのない分野の音楽を軸にされているが、オーディオにも力を入れていて、何よりもハイセンス!
http://www1.ttcn.ne.jp/~misia/index.html
 「今日のBGM」というページは日記風にディスクが紹介されており、心象風景と音楽との絡みが読んでいて心地よい。僕はこういうストイックな精神のあり方が好きだ。

('05.1.9)ここ何日か「音がすっと軽く出るようにする方法」を考えていた。一つは英国製アンプがいわば「ノリ」で聞かせる部分が多分にあることで、この要素を取り入れられないか、と言うこと。
 もう一つはたまたま寄った阪神百貨店でアヴァンギャルドのDuoを聞いたこと。SPが乱立しているのでショップの限界はあるが、とてもすっと軽く空間に音が出て、雰囲気が出る。勿論高さも高いし、相当大きな空間でないとブレンドしにくいかも知れないが、これはなかなかいいと思った。

 まず考えられるところとしては電源があるが、これは今手配を依頼しているトランスが手に入ったら、改善が期待できそうな気がする。後は、出来るだけ全帯域的にスピードを整えてやることか。

 いろいろ考えて、まだやってない部分に手を入れた。パワーアンプの電源にバイパスコンデンサを入れる。出力段にはAuriCapの0.68μ、前段には0.22μ、いずれも600V。プリの経験だと細かい部分のニュアンスが出るようになり、立ち上がりが良くなる。パワーアンプも同傾向で、小音量でも粒立ちがかなり良くなる。
 好々。(ハオハオ)

('05.1.7)SACDプレーヤー(マランツSA-12 S1)をクロック換装に出しました。はてさて、どうなります事やら。亡くなったSoundGateのMASAさんの話では、近頃のユニバーサルプレーヤーは電源トランスを1台ですますなど、コストダウンというか手抜きが目立つという話だった。久しぶりに中を見たが、デジタル用の電源は専用のスイッチング電源をもうjけたり、なかなかしっかりした作りだった。これ1台でDVDムービーもかかり、しかも音がよいので、重宝して手放せない。

 古い英国製アンプは快調。肌理はそんなに細かくない。リネン(麻)のような感じで、練り絹にはなれないが、説得力がある。


最近のこちらです。



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