2004

('04.12.30)今年も余すところあと2日。オーディオ的には、新しい機械はほとんど加わっていない。パワーアンプ用のAC電源にCSEの電源(F-400)が加わったくらいだ。
でも、中味は変わっている。
1.JC-1AC自作電源のLRセパレート化とJC-1AC本体の強化、電源トランスをプライトロン(カナダ)に変更
2.CD-16の内部クロックを0.1ppmに換装
3.プリアンプの電源トランスをプライトロンの外付けに変更。
4.パーペチュアルのDAC&DDCのパーツ大交換
5.電源ラインの見直しとヒューズのクライオ化

 でも、一番大きかったのは友人や知人が増え、交流が深まってきたことだ。東京では「音と戯れる会」は勿論、遊び相手がぐんと増えて、関西メンバーや沖縄メンバーも拡大し、このHPを見て豊橋から遊びに来てくださった方や、メールをくださった方は一杯いる。スカイプでいろんな人と話をした。
 情報と言うだけでなく、いろんな人と知り合いになれ、音楽やオーディオの話が出来ることは嬉しいことだ。感謝、深謝。
 皆様、来年も遊んでください。どうぞ良いお年を。

('04.12.28)ここんところ少しとち狂っていたのかもしれない。山本さんがHPで『適当な値段のSACDプレーヤーの出現をずっと待っている。』と書いているが、バランス感覚はその通りだと思う。
 『冷静に考えてみて欲しい、音楽をきくのにプレーヤーが何百万もするなんてクレージーだ。大きさも重さも手頃な物が良く、嫌みのないデザインにして、無意味に重たくする必要などない。そういう実用的で音の良いSACDプレーヤーを作って、最低5年間モデルチェンジをしない。これこそがユーザーとメーカー双方が幸せになる唯一の道だと思うが、日本にはまともな(つまり、音楽をわかる)会社と技術者が不在らしい。』
 それだけ惚れ込ませるものがあれば、だけど、僕は高くても買うと思うのだけれど、そうだねえ、結構まめに試聴会とか行ってるつもりだけど、魅力的な音ってなぜこんなに少ないのだろう。最近わくわくしながら聞いたのって、カートリッジの「エミネント」くらいなんだなあ。
 こちらの要求水準が上がっているのか、感動させるだけの音楽を鳴らせる技術者が少なくなったのか。最近の試聴会やオーディオショーはつまらない。むしろ、スタッフと話す方が面白くて、ずっと収穫がある。
 ま、うちのSA-12 S1もSACD-1000とつながっているらしいから、とりあえずこのクロックアップを試そうか。でも、富田さんちは行きたいなあ。

('04.12.25)MCヘッドアンプ JC-1AC 電源用のプライトロンのトランスが届いていたので、昨日から交換作業。同容量のハモンドに比べ、厚みは3割ほど小さく、センターまで樹脂がきっちりと入っており、固く巻かれて制振されていることが伺える。

 聞く。おお!オレゴンの"45th Parerell"でのドラムスのショットがびしっと決まる。K.ジャレットの「生と死の幻想(Death and Wild Flower)」では、空間情報豊かな見通しの中で、多彩な楽器群が現れては消える。シンバルにスティックが当たる感触が何とも言えず気持ちいい。ビョークの「メダラ」では、以前の下ぶくれ気味な感じが綺麗にそぎ落とされて、声の生々しさが拡がる。心臓の音をイメージさせる打ち込みの低域は明らかに過多だが。どうもこのディスクはデジタルとアナログではマスタリングというか音作りがだいぶ違うようだ。SACDも買って聞いてみよ。

 先にプリアンプのトランスをプライトロンにしたので、プリとヘッドアンプのスピードが合っていなかったのだが、これでようやくフォーカスがあった感じだ。凄味のある彫りの深い音になっていってくれるだろう。腰高な音とはおさらばだ。

 あ、ついでにヒューズホルダーも銀メッキ・クライオのに替えました。カナダのパーツ・コネクションから。ネジ止めでしっかりしてます。

('04.12.23)ここ何日かメールをかなりやりとりしたりして、あまり聞く時間がない。でもこれも人とのつながりだし、そこからいろんなものが動いていくので、オーディオの活動の一つだと思っている。

('04.12.20)昨日は千里の川崎さん宅でオフ会。いろいろと忙しい時期に気を遣ってセットして頂いたが、初めてのお2人も引き合わせることが出来て、なかなか楽しい1日だった。もう3回目なので、またこの間他でもアイドロンやジェフの音も聞いているので、やはりこれは川崎さんならではの音だと言うことが改めてよく分かる。D-Cubeをステレオで導入されてから、あちこちとセッティングもかえられて、深く優しく、一段と奥行きのある音になっていた。といっても、デジタルなどはやはりイケイケ傾向はあるのだが、盤による違いがよく分かるクリアさだった。聞く位置がよく似ているので、僕にはまったっく違和感ががない。
 いつもながらに奥様ともども細やかなお気遣いをいただいて、美味しいワインもいただいてあっという間の1日だった。こんな時間をもつことができるのだから、オーディオは楽しい。

 東京の方でも、昨日は同時刻にお茶の水で「音と戯れる会」の例会。いろいろサプライズもあって、納会もあり、とても面白そうだった。こういう交流が出来る趣味は本当にいいと思う。

('04.12.10)明日は夕方からブリティッシュ・ハードロックナイト。友人が集まり、我が家でフリーから、ツェッペリン、パープル、レインボウなどガンガンかけまくる。
 ということで、気になっていたところのチューニング
 Quiet Line は結局、CSEのアイソレート電源の出力部分からはずした。抑圧感はここ原因があったみたいで、結果は上々。抑圧感が無くなり、音が拡がった。はずしてもSNに変化がないので、オーディオ以外の所からのノイズ対策は十分出来ていると見ていいようだ。
 とりあえずこれで切れと量感が両立できる。

('04.12.9)昨夜は考えさせられる経験をしてしまった。パワーアンプを替えて音を鳴らしてみたのだが、そのときにD-Cubeのレベルをほんの少しだけ動かした。具体的にはアウトプットをごくわずかに上げた。
 で、元のクイックシルバーにつなぎなおしたら、音が違う。何かしら、ゆるんだ感じになってしまっている。いろいろチェックしたがちゃんとしており、結局D-Cubeのレベルを指の皮20枚くらいの感覚で調整してバランスを取り直した。特にローエンドの反応の早さの感じが違ってくる。レベルを上げると豊かには鳴るが、気持ち遅れ気味に聴感上は聞こえやすい。厳密に言うと、ディスクごとに調整する必要があるかな、と思うくらい微妙な変化があった。D-Cubeが果たしている役割の大きさを思い知らされた感じだ。

 山本さんのHPで東京の富田さんの”Surprised of the Year 2004”を読み、EMM-Labsについて輸入元に電話していろいろ教えて頂いた。dcsと違うのは、完全なDSDベースで動いていることらしい。今は、録音現場も再生機器もPCM変換しまくっているので、この意味は大きいと思う。DAC6eもストレートな6chの出力でシンプルな単機能型になっているらしい。うう、富田さんのところで聞かせていただければ有り難いなあ。

 考えてみたら、EMM-Labsもカナダだし、プライトロンを買いに行ったついでに、と言うかこっちの方が100倍高いのだが、買いに行ってもいいかなあ。業務用の8chDACは安いらしいし。妄想が拡がる。うう~~。

('04.12.8)5日のページに「アナログの方が情報量が多い」と書いたが、一方でその中には本来ないもの、というか余計なものが入っているのも明白な事実だ。
 たとえば、「f分の1揺らぎ」が心地よさを与えるように、低いレベルの周期的ノイズや共振も、「来る音」に寄与しているかも知れない。それは注意深く排除したとしても必ず残るものだ。
 ただ他方で、「直接接触」のメディアが持つ強み、みたいなものが効いているような気がする。
 毎回、レコードのクリーニングをするたびに、面倒くさいと思っているので、例えばSACDがアナログを超えてくれれば、その方がありがたいのが、一面の本音でもある。
 高い水準の音を聞いてみたい。高い目標を持ちたい。

('04.12.7)シカゴのミュージック・ダイレクトからLPとQuiet Lineが届く。マニュアルに従って、8個を冷蔵庫やパソコン周りなど、家中のあちこちのコンセントに差す。一番効いたのは、CSE電源の出力コンセント。これまで挿していたLPに引き続き、デジタルもしまった感じのやや腰高な傾向になる。音の出方にフリーな感じが薄まり、少し抑圧感というかエネルギーが抑えられたような印象があるが、音場感などトータルの音質は高い。
 フォノの残留ノイズを全開にしてみると、明らかにノイズは低域を中心に大幅に減っている。凄い効果だ。
 と言うことは、これまではノイズの味も含めてきいてきたことになる。低レベルのノイズは豊かな感じを演出することがある。せっかくのオープンさと豊かな感じが少し惜しい気はするが、トータルのノイズ削減は重要なので、この状態でいろいろと努力してみよう。
 バイアンプの必要性も出てきたような気がする。

('04.12.5)人に自分の音を聞いてもらうのは、とても大切で、いろんな事が分かる。昨日のオフ会のように耳のいい人たちであればなおさら、発見がある。
 たとえば、デジタルと言っても、CDとSACDの違いも大きい。ソリッドさと空気感とどちらを取るかというのは難しく、調整は必要だが、帯域感が広ければ、中域をより聞けるように出来る可能性は、結局SACDの方が大きいかもしれない。昨日は、SACDプレーヤーのクロックも高精度にしてやらなくてはいけないという意を強くした。ベトナムに行く前に出そうかと思う。

 そして、デジタルの音とアナログの音。アナログもどんどん音は変わっていくと思うが、現時点ではデジタルの方が音の据わりは良く、アナログはやや腰高なきらいがある。しかし、情報量はアナログが上回っているのには変わりはない。
 盤によって、状態によってアナログはやや余分な音も出るし、揺らぎもある。ただ、生鮮素材で作る料理と同じような鮮度感というか、ダイレクト感がある。僕はこの「来る感じ」というか、ライブネスというものを大切にしている。デジタルは揺らぎはないし、整理されているのだが、フリーズドライ的な部分がどうしてもぬぐいきれない。
 SACDのクロック換装はそれを少しはぬぐえるのではないかと、思っている。また、アナログは、プライトロンのトランスが来たらじっくりと調整に入ろうと思う。垂直トラッキング・アングル一つで音のバランスはどんどん変わっていくのだから。

 
 両方を相互に切磋琢磨していけるのは、この時代のオーディオならではだろう。

('04.12.2)アメリカから届いたLPを聞く。今回は新品ばかり。
 アル・スチュワートの"Year of the Cat"(左)。懐かしい陰影があって、柔らかい。
 ジェフ・ベックの”Beck Ola”は、ロッド・スチュワートのボーカルがもひとつぴんと来なかったので、またそのうちに。
 マイルス・デイビスのComplete Bitches Brew Sessions August 1969 - February 1970は、アメリカMosaic の重量盤。6枚組$108。(MQ6 183 )。別テイクや特別な音源がないのはサギだ、という評論家もいたが、その人は一体何を聞いているんだろう。ジョン・マクラフリンやチックコリアがとても鮮明に聞こえ、曲の作りがよく見える。これだけでも、値打ちは十分ある。

 そして、圧巻はサイモン&ガーファンクル”The Concert in Central Park”。1981年9月のセントラルパークに50万人が集まった。
 冒頭の歓声に圧倒される。この音の広がり! 
 野外ライブだからいろいろ限界はあるが、このワーナーの復刻盤は音もなかなかいい。スカボロー・フェアのギターやコーラスなんか、しみじみと良い。
 DVDがPCM音声で売られているので、そちらを買おうかとも思っていたが、LPにして正解だった。

 そして、「アメリカ」。合衆国が今一番聞かなければならないのは、こういう音楽であり、こういう感性ではないのか?




('04.12.1)アメリカから真空管が届いた。Electro Harmonixの300BニューセンサーのHPには、300B-EH "GOLD GRID" Platinum Matched とあり、Gold plate grids-Best 300B in the world とあったので、買ってしまった。ペアで送料込み$268。スベトラーナのはサイトでももう見あたらないし、ここらで買っておこうかというわけ。
 本家ウエスタンのだと、送料別で$899と言うところで、これは衝動買いには高すぎる。

 結構重いし、球を指ではじくと、ガラス球だから音は大きいが、電極のへんな振動音はほとんどしない。振ってみても、フィラメントらしきかすかに揺れる音がするだけだ。この辺の構造的なリジッドさがロシア球の良さだと思う。本家ウエスタンのを買えない理由付けというわけでもないが。(^^;)

 これまで、KT-88 / 6550 系統の球はずっと使ってきたので、大体のキャラクターは知っているし、今後も特につきあいたいとは思わない。EL34 / 6CA7系統の球はもう1セット入手しておいたクイックシルバーのパワーアンプで使うことが出来る。(アンプのレストアが手つかずで鳴らせるのはいつのことか分からないが。トホホ)

 となると、使いたい球で残っていたのは直熱三極管の300Bだ。やはり一度は使ってみたいと思い、これまでいくつかの製品やキットを検討してきたが、どうも古典的すぎたり、逆に複雑すぎたりと、ぴたっと来るものがなく、そのままにしていた。
 しかし、プライトロンのトランスの優秀さを知って、これだ、と思った次第。回路例を調べると、日本でも外国でもほとんど記事が出ていない。とりあえず、無帰還シングルと軽い帰還のシングルの回路例を見つけたので、このどちらも使えるような組み方をすれば良いわけだ。というわけで300Bシングルアンプを組むぞー!

 と言うのは良いのだけれど、プライトロンは日本の代理店を通すと現地価格の3倍くらいになり、概算していたら差額でカナダを往復するくらいの飛行機代が出せる。オランダにも代理店があるので、ユーロ価格は分からないが、これも差額はかなり出るだろう。って事で、現地に買い行く作戦を立てようと思う。

 つまり、これも実際に聞けるのはいつのことか分からない、と言うわけだ。
 他にも先に取りかからなければならない事も出てきたので、ま、ぼちぼち行くさー。


('04.11.27)那覇市の窪田さん宅に持って行ったQuiet Line を差したまま帰ってきたので、お手数ながら送り返して頂いた。その際、効果大とのご指摘をいただいたので、改めてマニュアルを読み直した。
 それに基づき、今度は壁コンなどに差して試してみたら、余計なふくらみが整理されたり、音場感が向上したり、結果はいろいろだが、かなり効果が大きい。CSEのアイソレート電源を使用しているので、ノイズは大丈夫と高をくくっていたのだが、その出力の空きコンセントに差しても、効果が出る。う~~~む。

マニュアルの使用方法を熟読したら、

1.オーディオに使用する壁コンに差すのがもっとも効果大。その次に、タップや延長ケーブルにも差す。
2.冷蔵庫やエアコンなどモーター使用機器、TVやパソコンなどのノイズ発生機器の壁コンに差す。
3.余っているQuiet Lineを家内の空いている壁コンに差す。(ブレーカーに近いものほど好ましい。)

ということで、他のフィルターや電源機器とも合わせ、多数使うほど効果があるようだ。そこで、この際とばかり、シカゴのミュージック・ダイレクトに割安な8個セットを注文した。
品薄のようなので、必要な方は早めに注文された方がよいように思います。

('04.11.26)ビョークの新アルバム『メダラ』じゃん、これがどーったの?」と言われそーだが、このLPを沖縄市(コザ)の「照屋楽器」で入手してきました。重量盤2枚組、3,100円。ちなみに、アコースティック・サウンズではSACDが$44.99。どーだ、参ったか!沖縄って深いんだぞー!

 ちなみに、那覇のゲットハッピーレコードでは吉田美奈子のライブとカーリーサイモン、高良レコードではUAの2枚組(重量盤)、いずれもアナログを入手しました。もちろんオキナワン・ミュージックも、コザのキャンパス・ミュージックで大島保克、新良幸人、モンパチ(モンゴル800)など買っておりやす。(これはCD)

 CDも含めて、重いから宅急便で送りましたけど。
 諸君!沖縄でのレコスケは、成果大なのだ。


('04.11.25)なにやら妖しげな3人組?
 いえいえ、右が沖縄・南風原町の大城さん。左が那覇市の窪田さん。
 21~22日と連日お二方の所へおじゃましました。ありがとうございま~す。<(_ _)>

 左右に控えしは、ウイルソン・ベネッシュのフラッグシップ・スピーカー「ビショップ」ですぞ、皆の衆。
 角度の関係でこの写真ではさほどには見えませんが、でかい、大きい、凄い!
 サイズだけじゃない。音も低域の切れが良くて早いこと! スケールの大きなこと! 部屋も大きく天井も高いので、上から降ってくるような感じは全くない。よくぞ買ったり大城オーナー!

 HTPCのDVDも見せて頂いたが、迫真の精細な映像。いやあ、参った。

 それにしても、我が輩は滞在2日目にしてもう腹が出始めている。美味しいのよね~、沖縄って。

 あ、左上は心霊写真ではなく、写してくださったご友人の手ですからね。
 

('04.11.19)パーペチュアルのDAC & DDCを改造してから変わったこと。
1.音の変化(ニュアンスが濃くなり、表情が出て彫りが深くなった。)
2.電源スイッチオン直後に、P-1Aのロックがフィックスしない現象がなくなった。
3.DVD(-R、-VIDEO)を再生している途中で、P-1Aのロックがはずれピーという音が出る現象がなくなった。
 改造の成果なのか、たまたまそうなったのかは分からないが、改造箇所も少なかったので、何となくショットキー・バリア・ダイオードへの交換が関係しているのではないかと思っている。

('04.11.17)メールで何回かやりとりしてパーペチュアルの事など貴重な情報をくださっている方が、愛知県の豊橋市から新幹線で我が家に遊びに来られた。ミュージック・リファレンスやクイックシルバーというあまり知られていない名機を使っていると言うことで、このHPは前から知っていたと言われて大変に嬉しく思った。
 また、分厚いパーツカタログをわざわざ持ってきてくださり、ひとしきり部品談義に花が咲いた。やはり、実際に自分でさわっている人は実感としておもしろさも危うさも知っているので、参考になる話が多い。深謝。

('04.11.14)マルタ・アルヘリッチの「音楽夜話」(BS2録画)。あまり語彙の豊富な人とは言えない。「何となく」とか「分からないけど...」とかが頻発される。あまり整理されていない。でも、「150%を出せるようにしておかないと、60%も維持できない。」、などと鋭い指摘もある。大変に感覚的な人であるのだろう。
 でもこんな女性と暮らすのは大変だろう。シャルル・デュトワもよく何年もやれたもんだと尊敬してしまう。
 まあ、いくつかの録音があるから、おらっちはそれで十分だな。

('04.11.13)カートリッジの針先垂直角度による音のバランスの取り方。
 プライトロンのトランス導入後、結局、デジタルはよりくっきりとバランス良く、アナログが少しシャープすぎる。ちょうど巡回してきたラインケーブルをフォノにつないでみるが、逆に立ち上がりの早さがくるみこまれてしまう感じで、聞きやすいが情報量の高さを活かせない。
 エミネントのアームにはVTA(ヴァーティカル・トラッキング・アングル)調整機構がある。通常のアームが高さ調整で角度を変えるのに対し、エミネントの場合はスピンドルを中心に円を描くので、カートリッジの針先位置は変わらず、レコードに対する垂直角度だけを替えることが出来る。カートリッジ(ZYX)のお尻の方を下げると、ハイスピードな傾向になるが、厚みは減る。あげると、その逆になる。
 そこで、ほんの少しお尻をあげてみた。おかげで、レオンハルトのゴールドベルクも落ち着いて聞ける。ごくわずかなのだが、かなり効く。
 もう一つ、効果的だったのがもう生産中止になったが、オーディオ・プリズムの「クワイエット・ライン」というノイズフィルター。コンセントに差し込むだけだが、結構ニュアンスなどが変わる。ミュージック・ダイレクトが最後の在庫を放出したときに入手しておいて良かった。

('04.11.12)プライトロンのトランスの音を聞くにつれ、また新たな悪巧みを考え始めた。
 これまでKT-88/6550系統の球はいろいろやって大体の傾向は分かっている。8417も同様。そして、EL34/6CA7系統はバイアンプ用のもう1セットのクイックシルバーで、これからいろいろ聞き比べが出来るだろう。
 そうすると、あと1種類使ってみたい球が残る。直三、つまり直熱三極管の代表格:300B
 プッシュプルでは安全ではあるが大層になるし面白くないので、やはりシングルで組むのが面白かろう。亡くなったMASAさんは友人に作ってもらったタムラのトランスを使ったシングルアンプだったそうだ。スピーカーもスキャンスピーク系統でうちのスピーカーと同じなので、それで十分鳴るはずだよ、と言っていた。
 やはり無帰還かなあ。負帰還をかけないなら、そのメリットを生かしてオール三極管でCR結合などと考えて、ネットを検索し始めている。

('04.11.10)元カウンターポイント(現Alta Visata Audio)のマイケル・エリオットのPlitronトロイダル・トランスに交換すると凄く良くなると言うページに書いてあることは嘘ではなかった。
 一部かいつまんで訳すと、

 一般にトロイダルは優れていると考えられているが、電気的、音響的にトロイダルというのは、積層コアのトランスより実はあまり良くはない。私は「ドーナッツのためになぜドルを払うのか?」というレポートを書いたくらいだ。積層コアは、コストを始め利点が多く、大部分の用途でより優れている。
 しかし、1996年に新しいプリアンプ用にプライトロンをテストして驚いた。圧倒的に静かで、全帯域にわたって解像度が高く、低域はパンチが効いていて、全てにわたって美しい。
 一度に1個ずつ手で組み立てられる(hand-assembled)ため高価で、製作にも時間がかかるが、待つ価値は十分にある。


 「手で組み立てられる」(hand-assembled)というのが、自動巻線機を使わない「手巻き」ということなのかどうかは分からない。高価と言っても今回の規格では、現地価格でハモンドの15%増しくらいなので、おそらく一から手巻きではないと思うが、同一容量で大きさが約2/3ということはかなり高効率のコアに、強いテンションで巻いてあるのだろう。

 ピアノのアタックの美しさには驚く。特にアナログにははっとするようなタッチがある。反面、チェンバロは少しシャープすぎる傾向があるかも知れない。オンな音に聞こえる。これはレオンハルト/テレフンケン盤のせいかもしれないが。
 でも、情報量が全体としてぐんと増えていることは間違いない。この方向はいいと思う。音はいろいろやっている内にまとまってくるだろう。

 熱はほんのりと暖かみが感じられるくらいで全く問題なし。もっと大きな容量、たとえば50VAや80VAにしたら、さらに変わるかも知れないが、いまのところこれで十分だろう。
 それにしても、プライトロンは出力トランスも作っているので、それで300Bのアンプを作ったりしたら、どんな音になるだろうか?ふ~~む。

('04.11.9)待ちに待っていたプライトロン(カナダ)の電源トランスがようやく届いた。パッケージを持った最初の印象は「軽るっ!」
 それもそのはず、あけてみるとハモンドの2/3くらいの厚みしかない。左の写真のように精悍な黒なので余計小さく見えるというわけ。
 早速、プリアンプに接続した外付けのケースに組み込む。
右の写真で左がこれまで使っていたハモンド。右のケースで右側の端子がプリからAC100Vを受けるノイトリックの「パワコン」、左が真空管のプレート電源用にAC約200Vを供給するノイトリックのXLR端子。

 音はすばらしい。凄味があり、彫りが深くなる。「彫琢」というか、「切磋」という言葉がふさわしい。音ののびも凄いが飽和感はない。音場の出来方も非常にナチュラルだ。これはもう、半端な凄さではない!

 

('04.11.6)心斎橋で、大阪ハイエンドオーディオショー。最近はわくわくすることがほとんどないので、あまり期待せずにぶらぶらする。ウイルソンベネッシュのACT oneの新しいのは、広い部屋でも機嫌良くなっていた。
 面白かったのはジャーマンフィジックスのトゥイーター”Tourbador”。ベンディングウエーブという独特の構造で反応が早く、しかも240Hzから使える。ウーファーにスピードが要求され、しかもマルチアンプなのでなかなか難しいが、しぜんな音場の再生はとても魅力的だ。
 あとはCSEの若き代表取締役と色んな話が出来たこと。やっぱり名ー古屋(なーごや)はげんきだわ~~。

('04.11.5)沖縄から友人が4歳の息子さんと一緒に遊びに来てくれた。元気いっぱいの男の子は、去年から1年たって妹さんもできてお兄ちゃんになり、成長の早さを伺わせた。
 あまり時間がなくホームシアターなどはできなかったのだが、アナログを始め僕という「音」は受け止めてもらえたと想う。一方通行の言葉だけの状態でなくなったのが、とても嬉しい。
 来年は新居に遊びに行かせてもらえるだろう。チバリヨーヤ、お父さん。

('04.11.4)Studio K'sの山本さんが、「最近思うのだが、かなり熱中したとして、しかも沢山のオーディオ愛好者と接したとして、色々なことを理解するには30年ぐらいかかるようだ。」と今日のHPに書いておられた。これは、実感として僕にも非常によく分かる。これに「生の音もいろいろ聞いたとして、」というのを追加すれば、もろ僕の感想にもなる。
 たとえばいわゆるハイファイ調のカリカリの音で鳴らしたり、低音ズンドコにふけったり、ありもしない「定位」(これはオーディオにしか存在しない物で、幻想だ)やにこだわったり、ケーブルなどの金属の純度をひたすら上げに行ったり、いろいろと無駄なことをいっぱいやって、お金もそれなりに使って、ようやくバランスというか「塩梅(あんばい)」というものが分かってくる。そのころには人の音を聞いても、その特徴や取り入れるべき良いところがつかめるようになってくる。つまり、自分の中に物差しが出来ているわけだ。
 デジタルも結局はアルゴリズム=理屈で決まるのは大元だけであって、アナログ的なバランス感覚の中で位置づけらないと、とんでもない音になったりする。
 要はアナログ的バランス感覚と様々な経験値が活用できる状態になること、これを「使いこなし」という。

 でも何か「行」というか「修行」めいた話だよね。これはかなり高度に面白いのだけれど、マニュアル化しにくいし、とてもじゃないが流行らないだろうなあ。

('04.11.2)パーペチュアルのP-1A、P-3A、p3のセットのパーツ交換がようやく完了した。ふう~~。
音は良くなったし、トラブルがなかったからいいようなものの、こんなリスキーなことはもう当分やりたくない。
まあ、どの辺が効くのかは大体分かった感じがする。デジタルはアナログだ。どこをさわっても音が変わる。

右は交換のためはずしたパーツ群。と言っても、ここにないものもいくつかあるが。よくこんな事するよな~~。

('04.10.29)友人の紹介でNaimのNAC42&NAP110のプリ・パワーアンプのセットを格安で譲って頂いた。最初は接続間違いなどあったのだが、とてもナチュラルで良く拡がる音で、セレッションSL-6Sとの相性はとても良い。
 DVDレコーダーとつないで、AV用のサブシステムのアンプにしているが、お借りしているNait2よりもさらに一皮も二皮も剥けた音で、音楽番組の録画や映画をより濃く見聞きすることが出来て、とても満足している。感謝、深謝。

 NAIM独特のオールドルックがとても素敵だ。英国的。

 上がプリアンプ NAC42(ただしフォノボードなしの、ライン専用)
 下がパワーアンプ NAP110(55W×2)
 (中を見たり、端子を見ると手を加えたくなる今日この頃ですが...。)



(リッキー・リーは後で補足の中略)


('04.10.24)『ん?ホリー・コールの「ドント・スモーク・イン・ベッド」じゃないの、どうした?』と言われるかも知れない。CDは優秀録音盤としてつとに聞こえているが、今回は入手しましたアナログ200g盤!
 シカゴのミュージック・ダイレクトで$29.99。
 ソリッドなまとまりではCDが上。しかし、LPではベースの弦がびびって弾ける音が特に豊かに響き、ピアノの音の広がりが違う。そして、ホリーの声の生々しさや湿り具合が何とも良い。CDではややアンドロイドぽかったのが、人間になった、と言う感じか。ソリッドさではCDだが、何か蓋の取れたような開放感と充実感ではLP。

 100万といえども、我行かん。諸卿よ、世はアナログである。

 (P.S).明日はリッキー・リーの新作。例の「アグリー・マン」の入ってるLPを。

('04.10.23)昨夜のBSアナログのクラシックコンサートは、まず園田高弘の75歳記念ピアノリサイタル。ベートーベンはもちろん、武満徹や湯浅譲二、プロコフィエフやプーランクまで。鋭く、しかも美しい。僕が後20年たって、こんなにも先鋭的な感覚を持っていられるだろうか?
 その後が凄い。チェリビダッケがミュンヘンフィルを率いてブルックナーのミサ曲第3番のリハーサル&コンサート。厳しい人だから、練習中「そこはアルトが主役だから。」と言って、ソプラノのマーガレット・プライスが「主役はあなたですわ。」などと、(一応)笑顔で言い返す場面もある。でも、演奏中うまく行っているときのチェリの笑顔はとても美しい。
 「無の世界から、何の意図も主張もなく歌い始めよう。」と彼は言う。そして透明な歌声が響き始める。
 涙が、出る。

('04.10.22)CDプレーヤー(1台はSACD,DVD-Video兼用)を2台使っていることもあり、最近、パーペチュアルのP-3A & P-1A の接続方法についてよく聞かれるので、P-3A & P-1Aとデジタル機器の接続方法のページを作りました。

('04.10.18)16日の音と戯れる会の例会では、ソフトを中心にいろいろじっくりと聞かせてもらう。終わってからの飲み会が談論風発で、これまたいと楽し。この会はいろんな発展の要素を持っており、オフ会のように横の関係も深めて行けたら、さらに充実すると思う。こういうつながりは大切にしたい。

 17日はZYXのカートリッジでお世話になっている広木さんのところへお伺いする。広木さん邸については是佐さんのHPに詳しく紹介されているので、ご存じの方も多いと思う。
 グッドマンのAXIOM80をカンチレバーのテンションをゆるめたりしながら、練達の技で鳴らしておられた。第一印象はやはりこのスピーカーならではのダイレクト感。指向性は広くはなく音場型では無論ないが、楽器の質感や実在感がすばらしい。古楽を中心としたご自分の聴かれる音楽や楽器に、ある程度フォーカスを絞ったうえでのことだが、「聞こえすぎることの問題」もいろいろと熟知された上での、大人の審美眼というものを見せて頂いたと思う。
 レコードの話はもちろん、多岐にわたっていろんな話も聞かせて頂き、とても実り豊かな訪問だった。広木さん、是非またおじゃまさせてください。

('04.10.11)DACのパーツ交換は半分位、終わる。音は好調。アナログとの差が縮まる。要するにデジタル回路は超高周波アナログ回路なのだ。
 BSアナログで録画したティ-レマン&ウイーンフィルの「トリスタンイゾルデ」(音声は48KHz/16bit)もとてもいい。弦のトレモロや揺らぎがちゃんと聞こえてくる。

('04.10.9)いつもお世話になっている音楽プロデューサーの方が、自作スピーカーをもって遊びに来られた。ご覧の通り、ESSのグレート・ハイル・ドライバーを高域に、下はディナウディオの15cmユニットを950Hzクロスで組み合わせたもの。出張録音などのモニターに使えるよう、かっこいいアルミケースに収められている。ネットワークが凝っていて、いろいろな経験と理論をふまえて12dB/Octと18dB/Octの2種類を製作され、両方を「聞かせて頂いた。

 結果は、圧倒的に18dB/Octがエネルギー感、音場感ともに優れていた。やはり位相が大切で、6dBや18dBなどの奇数次ネットワークの良さが確認できた。
 右がその写真だが、メーカーなら絶対に作らないトゥイーターよりも大きいネットワーク。アマチュアならではの贅沢なパーツのセレクション。

 また、ハイルドライバーの表現力が凄い。繊細でしかも、力感がある。

 ご自分で録音もされるので、鳴り出してからごく短時間で、オーケストラ録音のマイクの数・位置を瞬時に判断したり、マイクの種類を当てたり、ご自分で録音されている経験と生来の耳の良さで、改めていろいろなことを教わる。

 今回聞かせてもらって、いくつかのことを試してみようと思った。スピーカー周りも少しさわってみよう。

('04.10.7)遂に注文してしまった。RAMチューブでコンピュータ選別された、シルバニアのパワー管8417。これまで、他のサイトから入手した価格の約倍で、4本買って送料込みで1本2万円あまりする。だが、これまで買った8417でそこまで高精度にマッチングを取ったものはない。それからすると、思い切って買っておいても十分値打ちがあると思う。どこかの有名メーカーのようにスペア球の価格をふっかけるよりは遙かにリーズナブルだと思う。

 (P.S.)と思って期待していたら、なんと「もう無い」んだそうだ。う~~、人がせっかく決心したってのに。


('04.10.6)カナダのPlitronの日本総代理店と連絡が付き、プリアンプ用の電源トランスをようやく発注できた。値段は現地からのおよそ倍あまりだが、まあ致し方なかろう。
 あの、マイケル・エリオットが、いろいろなトランスを試したがこれは全く違うレベルのものだと、あそこまで言い切っているのだから、良いものに違いないと期待している。.1月半ほどかかるらしいが、待つことなど何のその。(*^_^*)

('04.10.5)パーペチュアルの改造について書いているが、実はこれは手間という面でも、リスクという面でもかなり大変な作業だ。
 それは「三層のスルーホール基板」だからだ。つまり基板の上下だけでなく、真ん中にもパターンが走っていて、パーツを取り付けているホールはスルー、つまり貫通している。だから、ホールの中に満ちている半田を吸い取って、傷を付けないように部品を丁寧に取り外さなければならない。しかも、表面実装部品も使っているので、パターンが非常に狭い。口で言うのは簡単だが、実際にははんだごての温度を管理して、ソルダーウイックという吸い取り線を各種使い分けて、余計な半田が流れないよう、熱で部品を傷めないよう気をつけて行く必要がある。なれてくると少し早くなるが、それでも半日でコンデンサ4個という時もあった。
 もしホールを傷つけたら、真ん中のパターンとの接続ができない、つまり故障してしまうと言うこともあり得る。とてもリスクの大きい作業だ。正直自分のものだからできるわけで、「改造」や「レストア」は気楽に考えない方がいい。

('04.9.30)パーペチュアルの専用電源p3からP-3Aへのケーブルを思い立って、AETの撚り線2本のツイストペアにしてみた。TWINのケーブルの芯線を使いたくて、ばらしたときに残ったアースドレインに熱収縮チューブをかけてコネクタに半田付け。これがまたいい。音のコクというか深みが増して、表情が濃くなってくる。これまで使ってきたカルダスのリッツ線よりずっといい。どうも、僕にはカルダスよりAETの方が総じて良く聞こえる。

 CDはずいぶんと豊かな音になってきた。音楽がより多彩で深いニュアンスを持って鳴っているのがよく分かるようになる。ずいぶんと開いていたアナログとの差が、かなり縮まってきた。思えば、デジタルとの切磋琢磨がアナログも向上させているのだなー。
 昨夜は東京、北海道、大阪でスカイプでおしゃべりをする。沖縄や福知山からはメールも来る。オーディオは楽しい。


('04.9.29)DAC(パーペチュアルP-3A)の改造をほぼ完了。
1.電源ダイオードをショットキー・バリアダイオード(90V 1A/ファーストリカバリーよりもさらに高速)に変更。
2.電源のデカップリングコンデンサをOSコン、ニチコンMUSEに変更。

といった程度だが、特にダイオードの効果は大きかった。

音はずいぶんと情報量や音の色数が増えてきたので、これで当分CDなどもさらに楽しめそうだ。
チップ抵抗などは値がよく分からないので、そのままにしているが、多層のスルーホール基板なので、半田が十分に行き渡るようにするのがこつだと思う。

P-1Aの方もコンデンサを交換し始めており、音のグレードが上がっている。ご注意頂きたいのだが、P-1Aはデジタル回路しかない。つまり、これらの改造はデジタル回路にも効果があるのだ。



('04.9.26)ハンブルクで見つけた中で一番うれしかったものの一つは、ECMレコードの35周年記念カタログ。
 これまでの全ディスクが載っており、一部ドイツ語もあるが大部分が英語表記。演奏者はもちろん、曲目データも載っているものが多く、しかもすべてサイトから注文できる。もちろんLPも。
 読んでみると知らないアーティストやディスクもいっぱいあって、わくわくする。

 インテリアの「ハビタ」の最新カタログ(ドイツ語)もうれしかったが、こういうのは日本で手に入らないだけにとても貴重だ。


('04.9.22)この前このページでP.メメルスドルフのことを書いたら、東京の友人から情報満載のメールをいただいた。英文のWebマガジンも教えてもらって、早速ダウンロードした。こういうのを読むと自分の意識が少しずつ拡がっていくのがとてもうれしい。レコードを聴くだけでは分からないことがいっぱいある。


時は満ちて、あるべき音があるべき様に響き始めた。神の御名はほむべきかな。


('04.9.21)カナダのPlitronからメールが来て、トランスの注文を日本の代理店に転送したという。こうなると、
1.コストが跳ね上がる(およそ倍以上)か、
2.納期がべらぼうに遅くなるか、
3.あるいは「扱っておりません。」という返事が来るか、のどれかだろう。
 Web直販が一番早くて、安くて助かるんだがなあ。

 と思ったりしていたら、アメリカのDigi-Keyという半導体・電子パーツ屋さんから、なんと日本オフィスを作ったらしく、フリーダイアルで注文できる日本語の分厚いカタログが届く。関税、手数料込みで日本円単価にしてもかなり安い。ただし、運賃は一律2,000円で航空便で3~4日なので、数がまとまらないとメリットは少なそうだ。英語のサイトから申し込んでも送料はかかるので、まあ利用の仕方次第だろう。オーディオ向きの素材はあまりないが、半導体などを買うときには凄く便利そうだ。
 最近はイギリスのファッション通販カタログが海外取引をやめたりしているが、店により様々な事情もあるのだろう。元気な店は平気で海を乗り越えてくる。

('04.9.20)昨日カナダのPlitronのページを見ていたら、なんと直接トランスを購入できるようになっているではないか!早速ぷりの外付けトランスと同じ規格のものを注文してみた。
 マイケル・エリオットはトロイダルはラミネート・コアのトランスに比べて、音は決して良くない、しかしPlitronは例外で、これは音のグレードを激変させる、と言っている。手作りで高価(今回分はUS$48.20)だが、その値打ちは十分にあるそうだ。
 はてさて購入できるかどうか?音はどうなるか?
 もし良ければ、JC-1 ACの電源トランスを交換しても良い。楽しみなことだ。


('04.9.19)DAC(パーペチュアルP-3A)の改造についてこのページでふれたら、ModWright改造版を持っておられる方がメールをくださって、その詳細を教えて頂いた。表面実装基板はなかなかさわりにくいので、いろんな人の知恵を借りて、あまり欲張らずにやっていこうと思う。

 今日はそれに先だって、プリアンプの電源に外付けトランスを接続した。詳しくはプリアンプのページで追って報告する予定。
 僕はアンプのレストアやアップグレードに関しては、元カウンターポイントのマイケル・エリオットのHPをよく参考にしている。中でも、トランスによって音が変わるページ、それと特注のPlitronトロイダル・トランスに交換すると凄く良くなると言うページを今回参考にしたわけだ。一般にはPlitronは限られた製品しか入手できないので、ハモンドにしたというわけだ。ミュージック・リファレンスの内蔵トランスが非常に小さく熱を持ってしまうため、「熱損」でレギュレーションが悪くなっているのは少なくとも改善できるはずだ。

 つないだばかりでまだこなれておらず、ZYXも帰ってきていないので、まだ正確な評価はできないが、全体の音の密度がぐっと上がった感じだ。音の間がより密に詰まった、とでも言ったらいいだろうか。ピアノのアタック(チック・コリア/NYランデブー)によりカーンというエネルギーが備わって、オーケストラのトゥッティが息をのむ感じになる。(シベリウス6番・カラヤン/ベルリン)ベースやドラムスなどの低域の表情がより濃くなる。

 トランスケースの蓋をはずすと、一皮むけて躍動感と音場の広がりが出てくる。やはり磁束を閉じこめないのが正解のようだ

('04.9.14)先日東梅田教会にお手伝いに行ったA.シュタイアーとP.メメルスドルフのコンサートが明日、BSアナログで放映されるので、何となくこれまで放っておいたAV用電源タップのケーブルをAETのQUADに換えた。プラグはハベルにして、コンセントは従来通りFIMの#880。これまでは3.5□のキャプタイアを使っていた。DVDレコーダーの電源コネクタもにしだやさんに教えてもらって入手したIEC=メガネ変換アダプタに換える。
 やはりすっきりとした絵になって、音もよりメリハリがつく。もっと先にやっておけば良かったと思いつつ、スクロバチェフスキー&ザール・ブリュッケン放送管のブルックナー8番をDVD-Rに焼いてみる。TDKの超硬UVコートはなかなか良さそうだ。もっとも聞いているのは音の方だけれど。(*^_^*)


('04.9.13)やはりDAC(パーペチュアルP-3A)の改造に手をつけようかな?P-1A用にはp3電源部のダイオードやコンデンサなど交換は効果大だろうし。
 大部分が表面実装部品なので、我々が手を入れるには限度がある。とはいえ、CDの音がこのままというのもつまらない。
 まあ部品の関係も含めて考えよう。

('04.9.12) 写真はハンブルク国立歌劇場(Staatsoper Hamburg)

 当日券に強い連れのおかげでチケット入手でき、9月5日夜に「魔笛」を見に国立歌劇場に行く。何回も通り過ぎるたびにマーラーが音楽監督をしていたという銘板を見るので、クラシックな感じを予想していたのだが、モダンでこじんまりしたオペラハウスだった。それもそのはず、建て替えたとのこと。大阪で言えばイズミホールを少し詰めたと言うところか。休憩中にハンドクラップで残響をチェックしたが、結構ドライな感じだ。
 舞台もコンパクトで、平面を広く見せる意図か、傾斜したステージでメルヘンチックな演出だった。ドイツ語が分からないので、皆が爆笑するところについていけないのがもどかしいが、なかなか楽しめた。
 服装はまちまちで、イブニング姿もあったがTシャツもあり,思い思いに楽しんでいると言ったところ。前の方の席で59ユーロだし、日常的な楽しみなんだろうな。
 ブレーメンの教会でも巨大なオルガンがあり、毎週のようにコンサートが無料で開かれている。ふむふむ。

('04.8.29)この2ヶ月ほどの間に大きな音の変化がすすんでいる。福知山の小柳津さんも確認してくれたが、全体に色濃くなり、中低域を中心に線が太くなってきている。LPだけでなく、CDでもその傾向だ。
 実を言うと、何が原因かはっきりとは確認できていない。気がつくとそう鳴っていた。
 おそらくはプリアンプの電源トランスの放熱対策を少し改善したことが直接の原因で、それに電源周りのパーツがなじんできた相乗効果だろう。
 ハンブルクから帰ってきて時間があったら、いよいよプリアンプの外付けトランスをつないでみよう。果たしてどうなるか?

('04.8.27)振動が音に悪影響を与えることは常識になりつつあるが、案外と対策はとられないままのことが多い。この問題について僕のいささか独断的な意見かもしれないが、少し整理をしておこう。

1.外部からの伝搬振動、機器内部で発生する振動も含め振動そのものをなくすことはできない

2.しかし、
 ・振動の中心周波数(f
0)とピーク(Q)をずらしたり、分散して耳につきにくくする→主としてハードサスペンション
 ・熱などに変換して吸収する。→主としてソフトサスペンション
ことはできる

 もちろん、「何もしない」というのも選択肢だ。(が、たいていは気づかないままにラック側で対策をしたりしているケースが多い。)

3.一方で、エネルギーの受け渡し=作用反作用という点から見ると、支点が明確になっていることが大切で、ソフトサスペンションを多用すると、静かで柔らかではあるが不明確な音になりやすい。一般にはアナログプレーヤーのように、一定周波数以下はきっちりカットオフしなければならないところをのぞいて、ソフトサスペンションは最小限にとどめた方がよい。

4.ハードサスペンションの場合は形状(スパイク)や異種素材コンタクトなど振動モード変換の手法は様々だが、「素材固有の音が乗る」という副作用が発生しやすい。
 たとえば真鍮の円錐スパイクなどは明らかにきらびやかな方向になる。
 このあたりは、理論だけでは整理しきれるはずもなく、いろいろやってみなければ分からない。3点支持以外は音が曖昧になっていく傾向がある。

5.ラックについて
 機器側での対策、つまり機器の下を何で支持するか、というやり方の他に、ラック側、たとえば、
・棚板の素材
・棚板自体の支持方法(スパイク、軟性素材etc)
で、コントロールする方法がある。柔らかかったり、ぐらぐら系のラックもこの方向になる。
 これも結果次第だと思う。
 ただ問題は、機器側でなくラック側で対策をした場合は「ラックの固有の音が乗る」事になり、「変数あるいはパラメーターが増える」ので、カット&トライすべき場所の数と組み合わせは増える。

6.バネ系素材の複数使用
 一定のカットオフ周波数を持った支持物を複数個使う場合、最初に振動が伝わるモノから、次に伝わるモノへとカットオフ周波数が順次上がっていかないと、複数カットオフの効果が薄くなる。
 たとえばリラクサのようなマグネットによるバネの上に、バネを使ったフローティングのLPプレーヤーを置く場合が是に当たる。

7.機器の上のおもりはいろいろな変化がある。ソリッドになりやすい反面、オープンさが減ることもあり得る。これもカット&トライと好みで決めて行けばよい。たとえばジェフのアンプのようにそれ自体がアルミの固まりであるモノは、おもりの必要性はまずない。
 
 と言うことで、結局はいろいろやってみて耳で判断していくしかないので、これこそ「チューニング」と言うべきモノかもしれない。

('04.8.23)不思議に思われるかもしれないが、僕には今凄くほしいオーディオ機器というのが、ほとんどない。
 マイソニックラボのカートリッジ「エミネント」などはほしいが、30万を払って入手したいと思うほどには切羽詰まっていない。もちろん、聞いたらはまるものも他にあるかもしれないが、それにしても値段が高すぎる。
 今の音を明白に上回るものといえば、金額的には凄いものになるだろうし、それをちゃんと鳴らすまでにはものすごい時間とエネルギーがかかるだろう。

 懐かしい機器はいっぱいあるが、アンティークのうっとうしさはいやと言うほど知っているから、そんなやくざな代物には手は出さない。スピーカーだって誰も怖いから言わないがフェライトの「減磁」なんて大問題もある。ある時期以降のスピーカーは、みなある意味では時限爆弾なのかもしれない。
 それにしても、なんでみな性能劣化している古いものをありがたがるんだろう。機械だって鮮度落ちするなんてのは常識にはならないのかねえ。僕にはとても理解できない。
 強いて言えばベンツマイクロのL.04を使ってみたいくらいか。

 一番ほしいのは、「LPが不要になるくらい音の良いデジタルプレーヤー」だ。これははっきりしている。でも、まず間違いなく不可能になりそうな気配が濃い。

('04.8.21)香港のNAXOSレーベルのカタログを見ていると、「映画に使われたクラシック音楽」などというページがあって、なかなかおもしろい。アメリカン・ジゴロにモーツアルトのクラリネット協奏曲が、それも2楽章が、などとあるとどんな場面なんだろうと思ったりしてしまう。もちろん、これは一部なんだが、たとえばアレグリの「ミゼレーレ」が何回も出てくると、おや、と思ってしまう。

 先週、マランツのSACDプレーヤー(SA-12S1)が修理から帰ってきた。チック・コリアのランデブー・インNYなんか聞くと、やっぱりSACDは凄いと思うが、僕の持っているSACDの中でも大して凄くないのもあるので、結局はBSアナログで録ったDVD-Rをよく聞いている。でも、エレーヌ・グリモーなんか演奏は良くても、全然音が良くなかったので、がっくりした。彼女のセンスは分かる感じがして、見応えはあったが。
 と思ったら、梅田の「ワルティ堂島」で彼女の昔の録音の5枚組CDを格安(約2,500円)で見つけたので、これでアンコールでやったラフマニノフのタブローなんかを聞けそうだ。グラモフォンのLPも中古でやすく出ていて6枚ほど買ってしまった。
 CDなどは現金なら1割引だが、何よりスタッフが熱心で、こういうしっかりした知識と品揃えのある店は貴重だ。


('04.8.19)
東京に送り返したフォノイコが調子よく鳴っているようだ。ほっとした。
 それにしても、オーディオ関係のいろんなスキルはあまり伝えられずに消えていくのだろうなあ。やっぱり横で見ていて、自分でもやってみないと分からないものなー。

('04.8.15)ブラームス「クラリネット五重奏」(ロベール・グゴルツ、ジュネーブSQ/エラートLP)を聞く。とても柔らかでふくよかな音だ。5人の位置関係がよく分かり、弦やクラリネットの音もみずみずしく伸びる。
 いま、我が家ではアナログが格段に良い。時として少し広がり気味かもしれないが、いろんな響きがとてもよく分かる。艶や余韻や音の味わいが尽きせぬ趣だ。
 こういうのを聞いていると、持っているLPをじっくりと、しかし急がずに聞いてみたいと思う。

  プリの電源トランスを外付けすると、エネルギー感はさらに高まるだろう。このバランスは崩れるだろうか?やってみないと分からない。ま、それも楽しみつつ。

('04.8.14)
モービル・フィディリティのCD-Rに何枚か焼いてみた。東京の友人がお土産に持たせてくれた(感謝)「恐怖のオーディオチェック用ソフト」で確か凄まじい録音が入っている。650MB74分なので、何曲かカットしないと入らなかった。指定は12倍速のところ、ドライブを替えて12倍速と20倍速で焼いてみたが、20倍速の方が気持ち低域寄りで甘めかなと思う程度で、この差は殆ど分からない。
 オリジナル(と言ってもコピー)と比較すると、モービルの方が低域の深さと凄みは出る。しかし、ベトナムの子供達の声のピークはオリジナルの方が鮮明な気もする。ソニーの安物データCD-Rにも焼いてみたが、こちらは「一応コピーだよ。」というおとなしめでこじんまりとした音で、「今日の体育は見学」と引っ込んでいる感じ。

プロの世界では、三井のゴールド650MBのCDーRが一番良いとか、メディアの差は常識なのだが、こういうのを聞かせると友人達はみな「入っているデジタルデータは同じはずなのに?」と首をかしげる。

1.コピーの段階で劣化している可能性。(ドライブの性能、デジタルノイズetc)
2.読み出し段階でのメディアの差(ビットの精度、反射etc)

あたりが考えられる要因だ。

 でも一番重要なのは、例えば文字や図形情報も何らかのアプリで展開していくわけだが、それらは
1.時間に関係のないスタティックなデータ。つまり展開し、表示しても基本的には静止している。(もちろん動く画像もあるが、CGでここでは除く。)
2.(動画のような場合を除き)一般にデータ量は小さい。
という性質があるのに比べて、
1.音声情報は一般に情報量が格段に大きく、
2.しかもそれを時間軸に沿って展開加工していかなければならない。

という点が、大きく異なる。

データCDよりもずっと条件は厳しいわけで、当然メディアの読み取り段階での精度や性能がクリティカルに効いてくる、ということになる。
どうやら音に関して、「デジタルだからコピーしても変換しても変わらない。」というのは、殆ど嘘に近いと言うことらしい。

('04.8.13)故あってお預かりしているフォノイコのレストアがほぼ完了した。真空管をRAMチューブに、ライフが来ていると思われるケミコン中心にフィルムコンデンサや高温度対応の新品に変更し、ファーストリカバリーダイオードに替える。本体はコンパクトすぎて触れないし、だいいち音の変化が大きすぎて本人の意向に合うかどうかが確認出来ない以上ポリシーが立たない。
 まあ、電源部のレストアだけでも結構リフレッシュしているし、何よりも当分安定して聞けるのがメリットだと思う。
 しかし、人様のを触るのはきりがないので、もうこれでやめにしようと思う。人生の残り時間も限られているし、大事にしなくっちゃね。

('04.8.12)最近、この日記はあまり更新していないが、音楽はそれなりに聞いているし、オーデュオも少しずつやっている。ただ、いろいろあって、この間割とマメに書くようにしてきたオーディオに関するTips(ヒントやノウハウという感じの意味)については、あまり書かない方が良いかな、と思い始めている。
 具体にどこでも購入出来る製品なら良いのだけれど、海外からとか、あるいはレストアという話になると、結構マニアックな話になってくるので、関心の無い人には結局「あー、そうかいな。」と言うことで終わってしまう。あるいは、関心のある人でも個々の状況は違うので、個別に話をするときりがない。僕がやってみた個々の話は、僕なりに整理もしているし検証もしているが、結局個別条件下の話であって、必ずしもすぐに一般化出来るはずもない。
 もちろん時間の許す限り、誠実に対応していくつもりだが、結局は、直接話せる人の範囲に限定しておく方が圧倒的に無難だと言うことになる。

 僕はオーディオも音楽もパーソナルなものだと思っているので、他の方と話すときには単なる情報交換だとは思っていない。それはお互いの人間関係の中で消化していく個人的情報だと考えている。だから、自分で整理して了解を得た上でなければ、他の方から聞いた話はやたらと書かない方針だ。この辺は僕の考え方なので、他の方がオープンにやられるのはそれはそれで良いと思う。

 広がっていくことも多いので、ネットの利点は凄くあるのだが、一方ではなかなか難しいものだ。結局はトライアル&エラーなので、考えながら進んでいこうと思う。

('04.8.3)昨夜のコンサートで、バーンスリー(インドの横笛)奏者のカルロスとは「ムーンクロック・カレンダー・ミュージック」、つまり太陰暦音楽という言い方で大笑いした。つまり太陽暦の使用地域では西欧音楽の大系が支配的だが、僕的な理解では対位法よりも和声を重視する構造は、たかだかこの数百年間に西ヨーロッパに広がったローカルな音楽だということ。太陰暦を基本とする人間世界の音楽の大半はモード、つまりスケールを基本として出来ており、ハーモニーは結果として展開される(と理解している。)
 例えばバインド音楽のラーガ、雅楽の律や呂という中国ベースのモードなどもそうだし、平均率の概念は古代ギリシャのピタゴラスに由来するが、古代ギリシャの音楽そのものはモードで出来ていたようだ。
 えらく大きな話だが、こういう豊かな音楽の世界では、多様なまだ知らない美しい響がいっぱいあるわけで、そのような多様な価値観を受け入れるようになれば、もう少しましな世界になるのではないかとずっと思っている。
 大切なのは「受け入れる力」だ。

('04.8.2)文芸別冊の「マイルス・デイヴィス」がとても面白い。総じてエレクトリック以降のマイルスには、皆大なり小なりとまどっているのがよく分かるが、むしろそちらを評価する傾向が強まっているみたいだ。
 やたら難しい話もあるが、座談会などとても面白い。
 一つ愕然としたのは、いま売られているマイルスのCDなんかには「ボーナストラック」が一杯入っていて、ものによっては編集も音もかなり違うのだそうだ。CDでジャズを聴くなんて、正直実感がない僕には驚きだ。じゃあ、ほとんど別物じゃないか。

 一方で、i-PODやMiniがよく売れているらしい。ダウンロードの世界では、この1曲だけを買うことが出来る。つまり、アルバムトータルなんて話ではないのだ。当然アーティストの意識も変わるだろうし、音楽の消費スピードが上がる中で、一発屋的傾向も強まるかもしれない。パッケージメディアが崩れていく最中に僕らはいるのかもしれない。パッケージメディアをキープするとしたら、ブルックナーやマーラーなどの長大な作品くらいしかないのだろう。
 時代が音を立てて変わっていく。SACDも誰が聞いても良さが分かるようなものではないし、希望の星にはなり得なかった。いまあるようなオーディオの未来はやはり暗いのだろう。せめて高次フォーマットが残って欲しいのだが、それもどうなるか。

 ま、おらっちはいませっせと絶好調のLPを聞いてるので、あまり変わらないけどね。映像も一渡りやったし、あと数年間はプロジェクターもDVD対応のPianoで十分だし、いずれはSACDプレーヤーのクロックを換装するくらいしか考えていない。当分は、ゆっくりとアンプや全体にさらに磨きをかけよう。後は様子見だな、こりゃ。

('04.7.27)手に入らないかもしれないとあきらめていたLPを見つけたときは本当に嬉しい。フォーレ「メロディーズ(歌曲集)」(カミーユ・モラーヌ/ERATO)。国内盤では既に持っており、今日このLPを見つけ電話して確保した。何年か前に「優しき唄」を見つけたので、フィリップス盤のデュパルク歌曲集が見つかれば、モラーヌの傑作群はほぼ揃うことになる。あと何年かすれば見つかるかもしれない。待つのも楽しい。

('04.7.21)なんでLPの音がこんなによく聞こえるのだろう。CDも悪くない。理由がもう一つピンとこないが、おそらくアームのVTA:垂直トラッキング・アングルの設定が大きいだろう。針先とレコード溝の接触角度で、F特や過渡特性は当然に変わるはずで、シュアーに合わせて結構下げたのが効いている。
 全体として濃く厚めの音が出る。しかもかなり切れ込む。エミネントのアームはこういう部分を演奏しながらでも調整出来るところが素晴らしいといつも思う。

 そして、CDでもっていたアルバムをLPで入手するのは、ことのほか嬉しい。
ジュリア・フォーダム「ジュリア・フォーダム」
シンプリー・レッド「ニュー・フレイム」
ジノ・ヴァネッリ「ブラザー・トゥー・ブラザー」
ホット・チョコレート「エブリイ1ズ・ウイナー」

('04.7.20)カルロス・クライバーが亡くなった。76歳。
彼のことを思い出すたびに、とてもよく似たもう一人の男を思い浮かべてしまう。ルトガー・ハウアー。映画「ブレードランナー」でレプリカントの親玉ロイを演じた俳優と言えば分かるだろうか。いかにもゲルマン的な鷲鼻と強烈に意志的な風貌。「聖なる酔っぱらいの伝説」などにも主演したが、結局メジャーにはならなかった。ついでに好きな俳優を並べると、ハーヴェイ・カイテル、ウイリアム・ハート、ウイレム・デフォー。そう、癖のある骨っぽいのが好きなのだ。
 クライバーのレコードの中では、ブラームスの4番がなぜか思い出深い。音が表情がとても濃くて深い。さわやか系が支配的な中で、こういうのはもうはやらないのだろうか。いや、濃厚な系譜にはヴァレリー・ゲルギエフがいる。

('04.7.14)ボリューム最大で2秒間に1回くらいの周期でコーン紙がふらつくという、MCヘッドアンプ JC-1 ACボリューム最大時のノイズはひょっとして「超低周波」かもしれない?マンション自身の送電線は地中化されているが、お向かいの中学校側は電柱で、しかもうちの2階とほぼ同じ高さに送電線が架されている。
 右chのアースラインの引き回しを触ったので、レベルは低くなったのだが、それ位しか考えつかない。実用音量レベルから見れば40dB以上ボリュームを上げた段階の話なので、まあ問題ないと言えばない。「目につく」ノイズはそれ位で、「耳につく」ノイズはこの間のあれやこれやでヘッドアンプ込みで普通のフォノイコの残留雑音レベルに近いところまで低下しているので、トータルとしては良しとすべきだろう。チェック用にお預かりしているカウンターポイント SA-139st(6922を4本使用し、EMTをダイレクトに増幅出来るハイゲイン・フォノイコ)に比べれば格段に低いレベルだ。むしろこのフォノイコをもう少しなんとかしなければいけないという面もあるのだが。まずはコンピュータ・セレクト(RAMチューブ)のスーパーローノイズ管への交換が必須だろう。

('04.7.12)ZYX絶好調!
あちこち手を入れたからか、電源部のヒューズもスーパークライオ・ヒューズに替えたりしたからか、凄く良いと思う。アームのVTA=垂直トラッキングアングルを下げたのも効いていそうだ。音場の広がり方が堪えられん!という感じになってきた。
 エテルナ見たいな余り音の良くない盤で、ブルックナー(7番)がこれだけ鳴ったら褒めてやるべきだろう。うむ。

('04.7.11)MCヘッドアンプ復調!といっても、右chに2秒間に1周期ぐらいのノイズが少し乗っていたのを、ボリューム最大ですこしコーン紙がふらつく程度の、実用上は支障ないレベルに追い込んだ状況なので、完全解決ではない。左chにもよりレベルは低いが同じ周期のノイズがほんの少しあり、またこの症状自体は前から少し出ていたので、あながち右chだけのせいとも言い切れない。コンマ.数ミリボルトを増幅する世界なので、ノイズがなにがしか乗るのは仕方がないのだが、この辺はこだわりと言えばこだわりだ。ま、おかげでJC-1 ACの回路も少し分かってきたし、これからのつきあいも長いので、これも1過程だ。

 何はともあれZYX!この緻密でしかも豊かに広がる稠密な音はやはり良いなあ。シュアーなどでは絶対に出ない音がここにはある。久しぶりに聞いてみたベンツマイクロ・グライダーでもこれには及ばない。

('04.7.8)CD-16が沖縄から帰ってきた。クロック換装の効果を聴いてもらうのが第一目的だが、同時にその試聴で那覇と南風原の2人のオーディオ仲間がご家族ぐるみで交流してくれたことがとても嬉しい。そういう役に立ったCD-16に「偉い!」と言ってやろう。(^^;)
 改めて聞いてみると、細かい雰囲気のようなものが、ほろほろとほぐれてくる様は、これこれという感じで、やはり我が家ではデジタルを聞くには、これでないといけないなー、と改めて思った。

('04.6.30)シュアーのMM(V-15 TypeV xMR)ってなかなか悪くないと思う。7~8年前に何となく買ったまま使わず、今回初めて聞いたので、ブレイクインも相当かかるだろうし、もう少し時間を掛けないと分からないだろうが、何となく気に入っている。それに調整が色々必要になるはずのエミネントのアームで、ほとんどZYXのアライメントのままで使えたのはとても嬉しかったし、今後も気が楽だ。

 勿論、ZYXのような稠密感というか隅々まで音が行き渡っているような感じや、見通しの良さというものはない。音量も低く、エネルギー感も頼りない。しかし、音の出方というか,影のでき方には独特の魅力がある。たとえて言えば、都会の夜のジャズのような、アメリカの乾いた空気のような感じや、暗い方へより強くできる音の濃淡が伝わってくる。
 もっと使い込んで良くなるようになったら、ときどきまとめ買いしたロックやジャズのLPのチェック用などに十分使えるように思う。もし店を出すとしたら、このカートリッジが使いやすいし安定しているし、当確だろうなと思う。
 ZYXは勿論一押しバリバリのメインなのだが、時にはこういうのも悪くない。それに、全然違うらしいが、「ベイシー」などジャズ喫茶でMM使いの所は結構あるようだ。

('04.6.29)近頃あまりオーディオの書き込みがないのは忙しいせいもあるが、CD-16が沖縄で夏休みしていて、LP中心なのにMCヘッドアンプがらみでトラブルが-複合的に発生してしまった事もある。ハッキリ思い出せないくらいあちこちチェックした。結局ヘッドアンプ本体の電源OSコンが不良になっているようだ。音はちゃんと出るが、ボリュームを最大に近づけると、スピーカーのコーン紙が前後にゆらゆらと大きく振れる。電源のコンデンサ不良によるモーターボーディングに間違いないと思う。
 昔、友人から修理を頼まれた古~~いクオード33の時に経験したが、まさか自分のシステムで経験するとは夢にも思わなかった。早速佐賀三洋に修理用とストックを兼ねて注文しよう。

原因?う~~む、AETのTWINが硬すぎて、基板の端子が負けて浮いてしまったのが大きいだろうが、電源のXLRケーブルのヒゲによる一部短絡もある。ハンダ付けは高温度志向でないと結局不良が出るなあ、猛省。WBTの180°Cというのにとらわれすぎていたかもしれない。接続部位の大きさによって温度管理を考えなくてはいけないんだろーなあー。
 ただ、一時は疑ったプリアンプ、特にイコライザの優秀性を改めて確認出来たのは、嬉しかった。ノイズのレベル、質ともに管球でここまで行ければ十分だろうなあ。よし、部品が届くまでの間は、久しぶりにシュアーのMM(V-15 TypeV xMR)でも聞いてみようかねえ。

('04.6.27)HPを出していて嬉しいこと。
1.知らない方からメールをもらったりする。「何これ?」というのはいままでほとんど無く、交流が増えるのは嬉しい。
2.HPやメールがきっかけで友人・知己が出来ること。沖縄の方ともそれがきっかけで知りあえた。
3.初めての方と会うときに話が早くなる。見てくださる方は大体のイメージを持ってくださっているので、とても楽なときが多い。

('04.6.24)ようやくこの間の東京行きの事など書く時間が、深夜だが出来てきた。
 安西さんのところでは、タンノイのシルバーモニターの本質に初めて触れる事が出来たような気がする。要はタンノイが業務用モニタースピーカーから、コンシューマー用のスピーカーに変わる前の音なのだ。聞き慣れているゴールドとも、当然HPDとも違う世界がそこにはあった。低域は思ったよりもずっときびきびしていて、高域は枯れた何とも言えない味わいがある。ディテールには確かに足りない部分があるだろう。でも、このじわりと過不足無く心に来るものは一体何か。
 
 そして、スコット・ロス。これはまだ答えられていない謎のようなものだ。音を刻む者は誰か?そして、それを掘り出す者は誰か?

('04.6.14)お昼前に村田さん到着。本格的に、音を鳴らしたのは15分程度だが、「良いですねえ。ちゃんとリスニングポイントには反射音が回り込んできて、音場感もちゃんと出来ている。」という感じで、そこからは昼食をはさんで4時間近くずっと話を続けた。スーパーウーファー用のデジタルフィルターの話。スピーカーユニットの話。反射音のオントロールとパネルの役割、そしてご自身の経歴まで。D-Cube2はとても優れた製品だが、制作者の人柄というのも確実にその製品の魅力に入っている。そして制作者から使い方だけでなく、いろんな思い入れを引き継ぐことになる。作った人の顔が見えるというのはとても嬉しい。

('04.6.13)明日はサーロジックの村田さんが昼頃から我が家に来てくれる。昼食を出すので、その買い出しがてら心斎橋でのジェフの新アンプの試聴会に行く。確かに見事なダイナミックレンジ。でも音がトゲが立っていて聞いてて全然楽しくない。CD/SACDプレーヤー以外は大体音の傾向は分かっているから、原因はアキュフェーズのプレーヤーだろう。何でこんな選択をするのだろう?
 楽しくないので、途中で席を立った。

 まあ、それなりの情報はあったが、いい音を聞けなければしょうがない。

('04.6.10)MCヘッドアンプJC-1 ACの電源を左右セパレート化した。予想していた低域だけでなく、空気感、音場感、見通しなどかなりの変化だ。勿論、すこぶる良い方向だ。う~ん、アナログってやっぱり良いよねえ。

('04.6.8)プリアンプにもスーパークライオ・ヒューズを入れる。前段機器用のレギュレーター出力(2P)に、大阪でしか売っていないAir Bow のDCT(デュアル・クライオ)処理した東芝の3P-2Pアダプタ(DH9021/CR)を付けてハベルの3PプラグとAET TITANでCD/SACD用の電源を取り出す。またかなり情報量や凝縮感、空間的彫り込みが向上したと思う。

('04.6.3)東京の友人のところに届いたマークレビンソン用電源が無事稼働しはじめたようだ。ホッとして、嬉しくなる。がんばれよー。

 ということで(?)、先に買っておいた「スーパークライオ・ヒューズ」250V3Aスローブローをパワーアンプに入れる。結果は凄い。アタック音の深みや全体の分解能が向上する。そうか、こんなところにまだ盲点があったか。これは全て入れ替えねばならない。1本1,000円でも値打ちがある。

('04.5.29)午前中は殆ど何をする気にもなれなかった。でも何かしなければ行けないので、マークレビンソン電源のチェックを完了する。回路図や使用上の注意などドキュメント類を作成し、経費を集約する。これでいつでも発送可。何となく一区切り着いて、ホッとする。

 気分転換のために音楽を聞く。音はどんどん良くなってきた。スピーカーの間にいろんな音が漂う。音達が揺れながら、あるいは一直線に響き出す。やはり空間が、スペースが決定的に重要なのだ。

('04.5.27)下の写真の真ん中にある黒いのはCSEのF-400。クリーン電源400Wでアイソレーション機能付き。実は先週1kWのFP-1000が帰ってきて少し聞き比べたが、低域の安定度と深みは凄いものの、アイソレーション機能がないせいか全体的な切れの良さでは、F-400の方がよい。で、古い製品だし値段もかなり安くなるので、F-400購入を決めた。

 そこで、これまで控えてきたF-400のミニ改造。電源ケーブルをAETのHIN QUADと、Hubbellの20Aプラグに交換し、出力のコンセントがごく普通の2口なので、Air Bow のDCT(デュアル・クライオ)処理した東芝の3P-2Pアダプタを挿して、強力両面テープで固定する。
 これだけだが、特に3P-2Pアダプタは効いた。結構エネルギーが出て解像度が上がってくる。5千円程度のアダプタでこれだけ効果が出れば安いものだ。

 那覇で買ってきた"Hanauta"というCDは、元ネーネーズの小山美子とギターの田原マサハのとてもゆるーい感じが気にいってよく聞いている。1曲目にはバックグラウンドに満ち引きのような暗騒音が入っていて、何となく海の音だろうと思っていたのだが、今日風通しの良くなったこの部屋で聞いていると、何と車や雑踏のような都会の暗騒音だと言うことが分かって愕然とした。今まで何を聞いてきたのだろう。
 やはり物の多い部屋では音場や情報量がロスしていると言うことが分かる。続いてエヴァ・キャシディをはじめいろんなLPやCD、SACDを聞く。う~む、音ばっかり聞かずに音楽に集中しなくちゃ。

('04.5.26)スピーカー間のキャビネットを出して、同サイズのコンソールテーブルに換え、平置きにしていたLPをあちこち片づけた。スピーカー間の空間が結構広くなったので、低音のエネルギー感が少し薄まった反面、個々の音の動きはずっとよく分かるようになってきた。しかも、テーブルのうえの物をどけるほど、微妙に見通しが良くなってくる。スクリーンなど掛けると、音場感がぼやけてしまうので、センターの吸音処理も重要だ。結局最低限の物しか置かず、CDなどは平置きにした。

 スピーカーと壁との距離や、リスニング・ポジションとの関係もあるのだが、スピーカー間には出来るだけ物を置かない、というのがやはり重要だ。
 演奏者の左右の動きやニュアンスがかなりよく見えるようになる。ただ、CDやSACDに比べると、アナログはやや低域の押し出しが弱いような傾向がある。勿論、ディスクにもよるのだが。
 とりあえずMCヘッドアンプの電源左右セパレート化を急ごうか。でも、基板を載せるためのコーリアン板のカットって疲れるんだよね。
少しゆがんでます(^^;)。また撮り直します。

('04.5.20)いろいろあったが、マークレビンソン電源はテスト期間中の今もすこぶる好調。もう少しいろいろチェックすれば発送できそうだ。

【メディア雑感~1】
 今日届いたシカゴのMusic Directからのメールで、モービリ・フィディリティのCD-R発売を知る。24Kゴールドなのだが、バラで1枚3ドル。50枚で95ドル。太陽誘電のCD-Rでも日本橋で1枚850円、TDKのTheoryは1,000円を超すというのに、何という安さ。しかも、ノンアルコールのマーカーペンも併せて発売される。うむ非常に良さげだ。これは絶対買いだと思う。

【メディア雑感~2】
 レッド・ツェッペリンのDVDの後に、BSアナログ(Bモード・非圧縮音声)を録画した毎度おなじみゲルギエフのマーラー3番をかける。いつも書いている音質は勿論、画質だって相当に良い。タキシードの黒がよく沈んで、バックの黒と綺麗に別れるし、演奏しているキーロフ・オペラのメンバーが凄く高揚している様子がひしひしと伝わってくる。ハイビジョン映像ならもっと凄いのだろうが、音は逆にここまで良くならない。
 考えてみると、映像も音も放送の方が質が良いなんて、本当はどこか可笑しい話だ。
 この業界の人たちは情報が普及していないのを良いことに、あぐらをかいているとしか思えない。いつか手痛いしっぺ返しをくらうような気がする。

【メディア雑感~3】
 独グラモフォンのSACDには最近裏切られっぱなしだ。録音レベルは低く、音場は不明確で、クライマックスでもまるで来ない。もちろん2chでしか聞いていないが、P.ブレーズのマーラー3番もそうだし、評価の高いギルバート・キャプランのマーラー2番もどこが良いのか、よく分からない。勿論、うちのマランツが悪いのかもしれない。しかし、このディスクを褒める人はどんな音で聞いているのだろう?
 ルツェルン祝祭管をアバードが振ったBSアナログ録画のマーラー2番のほうが音の鮮度感がはるかに良い。これって、絶対におかしい!
 と言いながら、新聞での書評インタビュー(本も書く!)に惹かれてエレーヌ・グリモーのSACDを発注してしまった。これで良くなければ、当分独グラモフォンは買わんぞー!

('04.5.16)いやあ、急いでいるときに、トラブルは発生するもんです。マークレビンソン用電源が完成して、さあ、試聴と思いきや、我が家のJC-1 ACが故障。
 何回も見直し、結局電源ラインにいくつもの線をつなげたハンダ付け箇所にクラックが入り、電圧が正確にかからなくなっていた事が判明。最終的には形を整えるつもりだったが、きちっと端子を立ててケーブル接続をやり直した。また、電源LRセパレート化の準備やバイパスコンデンサの増設もこの際行った。なんだかんだで、この2日ほど振り回されてしまった。
 今週は打ち合わせが3回あり、かなり忙しいので、何とか今日中に作業関係は終えて、試聴チェックに入りたいものだ。頑張ろう。

('04.5.12)「デジタルとアナログ、クロック再び」のページをアップしました。

('04.5.7)スピーカー間にあったレコードキャビネットを後ろに送り、昨日届いたばかりの、奥行きの短いコンソールテーブルを収納した。当然エアボリュームが少し増えたのだが、音も微妙に変わっている。見通しが良くなって、いろんなニュアンスや音場はより細かくなった。
 ただ低域のエネルギー感というか、響が少しだけ減っている感じだ。レコードキャビネットが鳴っていたのが無くなったためか、キャビがなくなって反射が変わったのかよく分からないが、ディテールはより濃くなっている。
 プリのトランス外付けやバイアンプなど、これからの方向は音の厚みやエネルギー感を出していく方向なので、多分これでバランスは取れていくと思う。
 ん~、かなり良い。

('04.5.6)我慢できなくなって、プリアンプの電源回路のバイパス用に値の違うAuricapをパラって、イコライザの前段・後段とライン部にちゃっちゃっと取り付けた。これはこのコンデンサの設計者リチャード・スミスからメールで教えてもらったテクだ。
 結果はとても良い。全体に艶やかなニュアンスがずいぶんと増して、情報量の向上が大きい。リファレンス・レコーディングのブルックナーのCDなんかかなり聞かせるし、SACDは一段と凄くなり、LPはさらに凄い。音の良いレコードはさらに良く、音の良くないレコードもそれなりに聴かせる。何よりも音楽に引き込まれていくのが心地よい。

('04.5.4)サウンドゲートのMASAさんが最新の外部クロック、DACなどを持って、遊びに来てくれた。う~む、CDにはこんな音が入っていて、こんな風に聞けるのか。CDにはまだまだ可能性が残されている。とても印象的だった彼の一言。「デジタルはどこを触っても音が変わる。」
 僕だけが聞いているのはもったいない話がいっぱいあるので、是有後日別頁的報告。

('04.5.2)プロの方何人かに教えて頂いたベルデンでデジタルケーブルを作ってみた。黒の被覆で細めの1506Aと、白でやや太い1695A(左)。プラグは75Ωのノイトリック Pro-Fi を使用。SA-12S1からP-1Aの間を接続。両方とも、シルキーな細身の音だが、音的には1695Aの方がしっかりしている。

 といっても、実体感のある密度では、アコースティック・リヴァイブのシングル・コア(単線)ケーブル(右)にはかなわない。当時1万7千円程度という価格を考えると、アコ・リバの単線ケーブルは良くできている。

 今のところ我が家では親分がワンダーリンクⅠで、アコリバが若衆頭と言ったところ。

 ベルデンも1.5m 3~4千円で出来たし、臨時でDATの音出しをするなどには十分使えると思う。ノイトリック Pro-Fi のプラグも作りやすくて、かつ、なかなか使いやすくて良いと思う。


('04.4.30)一昨日から昨日にかけていろいろ聞いて、シャンパンとNY土産のプラリネのせいではなく、これはモノホンに良い音になったと思っている。
 特にチック・コリアのNYランデブー(勿論SACD)なんか生々しさが凄い。カッサンドラ・ウイルソンのLPも、CDとの差が嫌になるくらいハッキリと分かる。マイケル・ヘッジスのギターはひたすらシャープに切れ込んでくる。ゲルギエフのマーラーにはご近所さんの拍手があった。昨年夏あたりからブレイクしはじめた我が家のシステムはクリアに音場が「見える」「来る」という点で、あるレベルは超えたと思う。これらの変化をちゃんと音にしてくれるのは、ウイルソンベネッシュの凄さだ。
 これで
プリの電源トランスをパワーアップしたら、どうなるだろ?

 
これからのてーげーなプロジェクト。
1.ヘッドアンプ電源の左右セパレート化。
DACTの基板が手元に来ているので、すぐにでも可能だ。JC-1 AC2台使いに近づくだろうか?
2.CD-16のデジタル出力をi2sでP-3Aに。
高精度クロックの効果がさらに発揮されるか?
3.SACDプレーヤー(SA-12 S1)のクロック換装。
SACDを極められるか?DVDは?
4.パワーアンプ(クイックシルバー EL34)の改造と、バイアンプ化。
スケール感はアップするか?
5.カートリッジの追加。
シュアーV15 TypeVは普段使いに。さてエミネントを買う決断をするか?
6.スピーカー間のレコード・キャビネットをテーブルに換える。音への影響はいかに?
7.和室のふすまの交換。
現用は振動しっぱなしなので。(サウンドゲートのMASAさんは鳴り始めの数十秒で分かってしまった。耳のいい人だ。)音への影響はいかに?

('04.4.29)マークレビンソン用電源の製作にいそしむ。基板の制振のためのコーリアン板の調達が難しくて、待ちの状態が続いていたが、厚めのものの入荷見込みがないので、基板の取り付けに踏み切る。その前に、自分の現用機で確認をとってから、作業にはいる。

('04.4.25)昨日はLP、CD、SACDとりまぜて色々聞く。プリは順調で、ダイオード交換の成果かエネルギー感というか、押し出しは良くなった。だが、どうも繊細感というか細やかさが少し足りなくなっている。

 そこで、今日は、前から気にかかっていたプリのB電源の引き回しを変更する。
B電源についてはLのラインからイコライザ、RのイコライザからRのラインへと、各球をぐるっと一巡したパターンで供給されている。これはセパレーション上からは良くないし、現実に高域のセパレーションが今となってはやや低い(48dB/20KHz)ことはこのプリの弱点だ。そこで、R側B電源のラインだけ、AETのクライオ銀線で電源出力から直に引く。そして、LRそれぞれの電源供給ポイントとアース間のバイパス用に、Auricapの1.0μFのコンデンサをハンダ付けする。つまり高域の共通インピーダンス対策用のデカップリングをしたわけだ。
 実際に鳴らしてみると、引き回しによるノイズは皆無で、全体に静かになり、切れ込みが増す。時間とともに、コンデンサのブレイクインもあろうが、どんどん解像度は上がってきて、コーネリアスなどこれくらい鳴ったら、何とかアッテネーターの直接続にも対抗できるかという感じになる。

 後、Auricapの設計者のR.Smithから教えてもらったテクで、真空管のプレート電源とアース間をAuricap 0.1μF+1μFでバイパスする、と言うのもあるが、この後のトランス外付けの様子も見ながら、試してみようと思う。

 うむ、なかなか良いと思います。


('04.4.24)昨夕アメリカからトランジスタ(Tr)類が届いたので、夜なべでプリの修理。入力信号用Trがショートしているので交換。そしてレギュレーターTrも大丈夫そうだが念のため交換。
 定電圧回路はしっかり働いているが、今度は出力電圧が下がりすぎる。レギュレーターICをお借りしているオリジナルと差し替えてみると、もっと下がるが、結局ICもおかしいことが分かった。
 こうなったら白兵戦で、ダイオード類をはずしてチェックするが異常はないようだ。焼けた入力信号用Trのまわりから抵抗もはずしてみると、68Ωのはずが、103Ωの抵抗値になっている。要するに中途半端に焼けて不良になっていたわけだ。その近くのコンデンサも念のため取り替えて、チェックするとドンピシャで電圧が元に戻る。良かった!ふう。

【今回勉強できたこと】
1.RM-5の定電圧電源はIC(UA723CN)を使ったフローティング型で、現在でも使われている回路のようだ。それに1段Trを加えて構成。かなりのフィードバックがかかっているようだ。少なくともこの回路なしに、あのSNと音は実現できない。
2.
レストアして使い続けるなら、予備のパーツは全てそろえていなくてはならない。今回はTr類が運良く全て現行製品だから良かったものの、これに懲りて早めに集めておかなければならない。ダイオード類も手配しておこう。
3.
主要部分以外の電圧も把握しておかなくてはならない。今回はお借りしたオリジナルとの比較が役に立った。回路図だけでは分かりにくいので、基板に直接書き込んでおいた。
4.RM-5も同じMk2といっても、電源電圧が違ったり、かなりバージョンによる違いがありそうだ。
 回路図(RM-5) 170V
 RM-5 Mk2(お借りした#303) 159V
   〃   (現用の#552)   137V
 時代とともに下がってきているが、意味がありそうだ。

 
アッテネーターボックスの音を確認できたこともおおきな収穫だった。プリを通した音とはどう違うか?CDなりSACDの録音が良ければ、アッテネーターの方が独特の鮮度感というかダイレクト感がある。録音の悪いのはつまらない感じになる。ただ、オーケストラなどエネルギーが行き渡りにくい感じもある。
 料理に例えてみると、アッテネーターは殆ど素材で食べる料理だ。素材が良ければ美味しい。プリは下味も用意して仕上げた料理という感じで、素材だけでは出ない味が出せる。ただし、調理次第で味がぼけてしまう。
 いずれにせよ、それなりの特長があるので、活かして使うのが何よりというイメージだ。

 とにかく聞ける状態になったので、交換したプリの高速ダイオードの音も確認しよう。

('04.4.23)いやあ、まいった。臨時のはずのアッテネーターの音がよい。シンバルの音なんか少し薄いが、繊細感はこちらの方があるように思う。表情の細やかさみたいな部分は、かなり良いと思う。勿論、ボディの厚さみたいなかんじやエネルギー感には少し欠けるかもしれないが、デジタルだけならこれで行けるかもしれないとさえ、思ってしまう。コーネリアスの"Point"なんか、久しぶりに聞いたこともあり、クロック換装も相まって、こんな音まで入っていたのか、という新鮮この上ない感じだった。勿論、プリが直ればそちらで聞くのだけれど、プリの方も気合いを入れないといけないだろうなあ。やってみないと分からんモンだ。明日はSACDを中心に聞いてみよう。

 もう一つまいったこと。DVD-Rのメディアの音の差。宝物のゲルギエフ/マーラー3番。元はアナログBS/BモードステレオをDVDレコーダーで台湾メーカーの国内工場(?)生産という1枚100円あまりのに焼いていた。でもひょっとすると安物は長期的にトラブルかもしれないと思って、パソコンでTDKの「超硬」にコピーしてみた。そしたら、明らかに後でコピーしたTDKの方が音が良い。うねりやビブラートの細やかさが、ずっと濃く出てくる。映像は見てないが、多分これも良いだろう。こりゃあ、これから大事なのはTDKで決まりだな。よし、1倍速用のを買い込んでおこう。

('04.4.22)アメリカからまだ部品が来なくてプリが鳴らせない。音楽が聴けなくなってストレスが高じてきたので、AVのほうに使ってた自作アッテネーターボックスを引っ張り出してきて、メインシステムにつないだ。
 50KΩの
Alps製アルチメイト・アッテネーター 、そうLuxのプリアンプに使われていた超高精度で高分解能のボリューム。1個3万5千円くらいした。Alcoの金メッキスイッチでCardasのジャック2系統の入力を切り替える。CD-16とSA-12S1のデジタル系を鳴らしてみる。

 パワーアンプまで、MIT MI-350を6mのばしているし、雑誌なんかでCDダイレクトは余り良くないと聞いていたので、使うなんて考えたこともなかったのだが、
これがなかなか良い。とてもフレッシュで鮮度感の高い音だ。十分実用になる。
 勿論、深みというか、表現力という感じを求めるなら、食い足りないところはあるが、DVDビデオなんか結構ごたごたした音が入っているから、この方がスッキリして気持ちが良いかもしれない。

 つうことはだ、感度の良いパワーアンプとスピーカーがあれば、SACDマルチは出来るって事じゃないか。このボリュームならクリックなしで細かくリアのレベルを調節できるし。う~~む。

※プリアンプRM-5Mk2が2台揃ったので、こちらのほうに写真を載せてみました。
  中は全然違う感じになっています。



('04.4.20)クロック換装CD-16の話をアップしています。

('04.4.16)プリアンプ電源のレギュレータ用ICが届いたので、差し替えて動作チェックをするが、状況は変わらない。これで、可能性が一つ消えた。他に、異常のありそうなパーツがないか、インサーキットだがテスタを当ててチェックする。ダイオード類も結局OKのようだ。とすると、B電源ラインに直結している入力電圧用トランジスタの疑いが、濃厚だ。これはアメリカ発注分なので、入手は早くても再来週だろう。

 明日、アサヒステレオが手持ちのRM-5を貸してくださるので、その実機との比較で故障箇所を特定できるだろう。当分音楽を聴けないので、この間に他のことをやっておこう。ふ~む。

('04.4.14)いやあまいった。プリアンプ(ミュージック・リファレンスRM-5Mk2)の電源ダイオードをウルトラハイスピードに交換した後に電圧チェックしていると、バシッと火花が飛ぶ。
 あわてて配線をチェックすると、メインのB電源のハンダが一部かけている。さっきの火花で一部飛んでしまったのだろう。念入りにチェックして再度電圧を見ると、B電源がいつもよりかなり高い。というか定電圧電源が働いていない。一つづつパーツを見ていくが、特に焦げたり変質しているものはない。う~む、そうすると石(ICやトランジスタ)である可能性が高い。とりあえず、全て入手可能であることをインターネットで確認する。一番怪しいレギュレータ用ICは国内店舗なので、早速注文してしまう。外部制御用トランジスタなどはアメリカなので、すぐには届かない。あとは、明後日日本橋のアサヒステレオで相談してみよう。

 それにしても、ミュージック・リファレンスのこのプリアンプは、一枚基板に全てが取り付けられており、トラブルが少ない安定した製品だ。同種のカウンターポイントに比べてもトラブルの発生は非常に少ないらしい。あちこち手を入れているが、これまでほとんどノートラブルだった。
 シンプルな回路が精妙なアートワークで構成されている。むしろ複雑なのが電源回路だ。そしてその電源回路にトラブル発生というわけだ。こうなると、ロジック回路の石やリレーも入手しておいた方が良いかもしれない。ロジャー・モジェスキーにメールでも書こうか。
 ま、何とかなるだろう。

('04.4.13)ここ何日か、CD、SACD、LPをいろいろ変えては聞いている。
 CDは空気感という点では確かにある枠の中という感じがして、SACDでもある種のもどかしさを感じる。LPは逆にこれこれ、オレオレというような押しつけがましさが時としてある。
 クロックを換装したおかげで、CDが急浮上して、それぞれの特長が見えてきた感じだ。それにしても、ECMのキース・ジャレットはCDになってから、良い録音がまるでない。もう少しゲイリー・ピーコックを聞かせろよ、と言う感じだ。そういう差が、ハッキリと見えるようにもなってきた。CDの良さは、密度感というか凝縮したエネルギー感だ。でも、SACDのクロックを換装したら、どうなるんだろう。CDとDVDとみな別のクロックを使っている場合もあり、その時はどのクロックを換装するか決断しなければならない。当然、味噌カツ、もといSACDだがや。

('04.4.11)来客が帰って、夜再度電源を入れたら、左chからプツプツ、ササザザ~という不連続なノイズが出ている。
1.個別にオンオフしてチェックするとパワーアンプではない。
2.この間にケーブルをチェックしても異常はなさそうで、触ってもノイズので方は変わらない。
3.プリの電源ならば左右共通に出るはず。
4.真空管ソケットの接触不良なら、ザザザザという感じのノイズになり少し違う。
5.経験上はこれは素子のノイズで、この場合多分真空管だろうと思われる。

 と言うことで、ラインアンプの6922を入れ替える。RAMチューブではLN(ローノイズ)グレードで良いのだが、僕は少しでも静かにするため、SLN(スーパー・ローノイズ)グレードを使っている。
 案の定、ノイズは出なくなった。ただし、これまでの球は全体にややノイズが多いもののエネルギッシュで気に入っていたのだが、少し優等生的でおとなしくなってしまった。まあ、ブレイクインして様子を見るしかない。

 クロック換装CD-16は順調だ。鈴木秀美さんのC.P.E.バッハのコンチェルトもなかなかいい。

('04.4.9)最近仕入れたクロックネタを一つ。プロの世界ではマスタークロックで同期を取るのが当たり前だが、導入の当初目的は編集の際にタイミングを同期させるのに必要だった、というのが実態らしい。その中で、クロックの精度アップが音質改善に役立つことが認識されていきはじめたらしい。
 そう考えると一体型から出発した民生用再生機にワード入力がないのは、ある意味では当たり前だったわけだ。

 今日はSA-12S1のDVD-RやSACDの音も良くなっている。P-1Aが暖まって来たのか、よくは分からないが、CDもLPも全体としてどの音も良くなっている。あちこち手を加えればさらに良くなると思うが、日曜日には取材もあるし、とりあえずはこのままぬくぬくとしていよう。

('04.4.8)あまりにも明白なことだったので書き忘れてしまったが、クロック換装CD-16のCDの音はSA-12S1を軽く越えている。SA-12S1を導入したときに、デジタルアウトで聞き比べて、「負けた!」と思ってお蔵入りにしたのだが、CDについては圧倒的に「勝ってしまった!」わけだ。
 SACDには良い録音のがまだ余り無いので正確には言えないのだが、かなりそれに迫っている事は間違いない。勿論、アナログを止めようとは全く思わないが。それにSACDもクロック換装してやらないと、同じ土俵の上とは言えないのだけれど。

 思えばCD時代になってから、特にクラシックで、聞きたくても音質的な面で買わなかったモノがかなりある。例えば、ヴァレリー・ゲルギエフ。彼に関しては、SACDになるのを待つのが正解かもしれない。
 でも大フィルの大植英次については、リファレンス・レコーディングに良さそうなものが何枚もある。彼のマーラーなどアメリカに注文してみよう。

('04.4.7)サウンドゲートのMASAさんが手ずからCD-16を届けてくださった。i2sはやはり難しいところがあって、もう少し調査が必要なようだが、クロック換装についてはSP/DIFでちょっと聞いただけでも、随分とクォリティが上がっているのが分かる。30時間ぐらいはブレイクインが必要だそうで、本領発揮はこれからのようだ。
 午後は電話とメールの合間を縫って、CD-16のセッティング。パイオニアのDATを出してその後に入れるのだが、デジタルケーブル(ワンダーリンクⅠ、アコースティック・リヴァイブ)は1mで、ラインケーブル(AET:SCR Line)もぎりぎりの長さなので、結局パーペチュアルのDDCとDACも一緒に動かす事になる。
 ブレイクイン未然だが、クロック換装後のCD-16の音はなかなか凄い。彫りが深くなって、奥行きや存在感など音場が改善されるだけでなく、エネルギー的な踏み込みもぐっと良くなる。録音の良いCDほど、効果が高い。ツインマーマンのショパンのピアノコンチェルトのCDなど、どきっとするような箇所が出てくる。クラシックのCDを最後まで聞く気になるなんて珍しいことだ。
 
クロック換装CD-16については、ブレイクインも含めて、もう少ししてから新ページで詳細を報告します。

 
ヘッドアンプ電源のダイオード交換は効果大。エネルギーの凝縮した踏み込みがハッキリと出る。よし、プリアンプ本体のダイオードもこれに換えよう。うまくいけば、トランスを交換しなくてもいけるかもしれない。

('04.4.6)思い立って久しぶりにオーディオいじり。カナダのパーツコネクションのサイトで、かなりハイスピードなダイオードを見つけて確保しておいたので、マークレビンソン用電源で交換してみる。従来のも決して遅くはなかったのだが、まず測定して驚いた。デジタルテスタでの電圧降下は殆ど同じだったのに、実装して測ると出力電圧が4Vほど上がっている。これは音にも影響あるはずだ。もう遅かったので、チェック程度しか鳴らせなかったが、残留ノイズの質からして違う。これは期待できそうだ、と思っているところへ電話。

 サウンドゲートのMASAさんから、
マランツCD-16の改造が完了したとの知らせ!
 
クロックを換装(→0.1ppm)するだけでなく、その高精度なクロックをDACにも直接供給したいので、i2sの出力端子増設をお願いしたのだが、何せ一般的なコンピュータ用ではなくパーペチュアル用なので、調査に随分とお手間をかけてしまった。しかも、僕が以前P-1Aのi2s入力端子を交換しようとして、内部断線させていたため、更に余計にお手数をかけてしまったわけだ。
 
 今回は、MASAさんと直接お話しできて、随分多くのことを勉強させてもらった。でも、明日届くCD-16を聞きはじめて、また本当の勉強が続くのかもしれない。リヴェレイションオーディオのi2sケーブルはまだ来ないので、とりあえずはSP/DIFで聞くことになる。楽しみだなあ。

('04.4.1)更新が途絶えがちなことの言い訳ではないが、こうしてHPを書いていくことの意味って何だろうか?自分なりに記録を残しておきたいという思いもあるが、過ぎたことは過ぎたことで、どうと言うことはないはずだ。読んでくださる方のことは多少考えてはいるが、これもそれ以上の事ではない。結局、自分の整理に加えて、今やっていることや、考えていることが、何かの役に立つのかもしれない、という漠然たる思いがあるからだろう。
 オーディオというのは、技術だけではなく、センスだけでもなく、知識だけでもない。
 この辺りのややこしさが、面白さでもある。
 あ、それにお金の問題だけでもないんだよね。もしそうだとしたら、金持ちがもっと偉そうにしているはずなのだから。

('04.3.28)CSEの電源F-400で色々聞く。なかなか密度が高くて、しかもしっかりと来る音。シンバルやバイブの音がきっちりと決まるのは素敵だ。しかもサックスなどのブロウする感じも良い。ハッキリ言ってローエンドは薄くて全帯域に渡ってと言うわけにはいかないが、これをバイアンプの中高域用に使えば、化けるかもしれない。アサヒステレオには当分貸していただくようお願いした。8417とEL34のどちらが上か下か、結構得遊べそうだ。

 一昨日には、クロック換装とI2S端子増設のため、CD-16を発送した。さあ、どんな感じになって帰ってくるか、こちらも楽しみだ。当分ゆっくり音楽を聞くつもりだったのに、結局なんだかんだやっている。「あれもしなくちゃ、!」と思うとせわしないが、「こんなに遊べるネタがある!」と思うと、プラス思考になる。ま、ゆっくりまいろうか。

('04.3.27)一軒家の人には分からないが、マンションの電源やTVアンテナなどの共用回線は雑音と歪みの塊で、とてもそのまま使えない。だから、マンションでオーディオをやるには電源関係の投資が不可欠だ。CSEの1Kw電源FP-1000の修理にまだ時間がかかりそうなので、アサヒステレオからCSEの400w電源のF-400を拝借する。クイックシルバーがペアでMax400Wなので大丈夫かと思ったが、全く問題なさそうだ。
 昨日商用電源で鳴らしたEL-34とは密度が全然違う。FP-1000はAC→DC→ACに変換してノイズ・歪みを低減するクリーン電源だが、アースループを切るアイソレーション機能は無い。一方、F-400は絶縁トランス搭載でアイソレーション機能も持っている。その違いと、出力の問題もあろうか、鳴らし始めは密度は高いが、少し腰高な感じがしないでもない。でも鳴らし込んでいく内にだんだんとこなれてくる。
 ローエンドまで余裕のある感じはFP-1000には負けるが、瞬発力ではF-400にはっとさせられる。特にアンプのバイアス電流を調整していくと、全体的な密度と流動感のバランスがとても良い。dcsから送られてきたSACDにバッハのトッカータとフーガがあったので鳴らしてみると、D-Cubeの威力もあり、部屋中にパイプオルガンが響き渡って悦にいる。苦情が来てはいけないので、早々にボリュームを落とすが、「よしよし」という感じだ。
 思わず、CSEのサイトで現行製品を確かめたが、1.5KwのFX-1500は92万円だもんなあ。
 やっぱり、帰ってくるFP-1000の使いこなしを考えよう。
バイアンプやるならせめて1Kw必要だよなァ。CSEの真壁さんも電源は余裕だと言っていたし。

('04.3.26)たまらなくなって、EL34をウイルソン・ベネッシュにつないで鳴らしてみた。一聴して分かるのはハムノイズの少なさ。エレクトロ・ハーモニックスだけでなく、現行生産から選ぶペアチューブはここまで精度が高いのか?
 底力もありそうだし、これはバイアンプではEL34を低域にしなくてはならないのだろう。コンピュータセレクトのRAMチューブからシルバニアの8417を買わなければならないのだろうなー。高いけど。
 音質的には、でも、チューンアップした8417にはとても及ばない。一度に一つの音しか粒が立たない、と言ったらいいのだろうか。勿論、基本的なレベルは高いのだが、充実感は薄い。CSEの電源早く返してよね。

('04.3.18)よっしーさんのHP掲示板で、ゼロスタットを鼻づまりに使う部分を読んで、僕ものけぞってしまった。何という凄いことを考える人だろう。他にもアコ・リバの低周波発信器など使えるかもしれん。
 でもゼロスタットって国内で買うと、1万円以上するんだよね。買うなら、海外サイトです。

('04.3.17)先週、dcsのヴェルディ・ラ・スカラの試聴会に行ったときのアンケートに当選して、ExtonのスペシャルSACDが送られてきた。江崎友俶氏のコメントを見ると、まだSACD化されていないものも含め、特に成功した録音ばかりのコンピレーションらしい。早く聞いてみたいものだ。

('04.3.15)ステレオサウンド#150の「逸品館」の広告ページには考えさせられた。「ピュアオーディオのあり方」というのは、社長の清原裕介氏のコメントだと思う。ピュアオーディオの斜陽とイメージの根暗化を嘆き、『インターネットなどを根城にする「えせ評論家気取りマニア」の「ばかげた物言い」が「正統派音楽ファン」をさらに遠ざけている』という冒頭には、少しどきりともした。
 しかし、一番驚いたのはマルチチャンネルを唱道し続けている彼が、『より真摯に「音楽と向き合う」ためには、高いテクニックと見識が求められる2chしかない、という思いも捨てがたい。』として、2chオーディオを復権したい、と述べるところだ。
 何よりも音楽を大切に思う心に、共感を感じる。この辺の思いが、しかし、店のスタッフに共有されるのはなかなか難しいだろう。

 だが、一方で、「どうせぼくたちは少数派なのだ。のんびり楽しみながらいきましょう。」という石田衣良氏の言葉にもうなずけるものがある。
 要は音楽の捉え方なのだ。心に響くものを大切にする、ということなのだ。

('04.3.14)ラックスMB3045(A-3000)を収納庫にしまう。EL34がバイアンプに回っても、復帰することはないだろう。何かSL-6Sを鳴らせるような、面白いインテグレーテッドアンプかパワーアンプを中古で探してみよう。DVDだっていい音で聞かなくちゃもったいない。

 収納庫のスペースを空けるために、ティアックのオープンリールデッキX-3を捨てることにした。DATのデッキも全て生産完了し、世はメモリーカードのフィールドレコーダーまで出始めているのに、「まだ持っていたの?」と言われそうだが、要するに忘れていたのだ。 伝道の書とエリック・ドルフィーにならって、
 A generation goes, a generation comes, but music still remains in the air.

('04.3.13)いつも考えては止めるのだが、クイックシルバーの音の立ち上がりをもっと早くする方法がある。
 
VTLのルーク・マンレイが言うように、整流管を止めて、ファーストリカバリー・ダイオードに変更することだ。技術の進歩で最近は、1,200V耐圧でリカバリタイム40nsクラスの高速ダイオードが簡単に入手できる。レギュレーションは良くなるし、応答速度は確実に改善される。
 しかし、整流管の損失が無くなるので、電圧が上がってしまうし、第一スイッチオン時のラッシュカレントが一気に冷えている球を襲うことになる。それでなくても厳しい動作をしている球に、更に負担を強いることになる。これは球にとって、もうほとんどいじめの世界だ。
 ソフトスタート回路も考えられるが、「キープ・イット・シンプル」というマイク・サンダースの哲学にはそぐわないのだろう。また回路上での対策では、使っているときにどうしても故障などの不安が残ってしまう。整流管なら、それが飛ぶだけでアンプ本体は守ることが出来る。

 整流管でソフトに立ち上げるのが、いろんな意味でスマートな解決というわけだ。その分5AR4で相当に音が変わるので、シビアに選ばなければならない。

 最近の中国球の5AR4には大電流に強いのが出ていると、R.モジェスキが書いていた。一度使ってみようか。

 ※ちなみに最近のクイックシルバーは出力管の扱いについては、かなりポリシーが変わっている。
 1.出力管は自己バイアス。(各種5極・ビーム管に差し替え可能。)
 2.大出力はパラppで対応(クアッド=4本ペアマッチがベストだが、マッチでなくても動作OK)
 3.スクリーン電圧を下げて長寿命化
 これらのアンプの音を実際には聞いていないので、僕には何とも論評できない。現代での管球アンプの生き方のひとつだだろう。
 モノブロックは、真空管が現役で豊富にあった頃に作られた意欲的な第2作目で、初の大ヒット作といえるのだろう。~といっても生産されたのは1984~1988の4年間なので、真空管末期であるが、~


 アンペックスのテープデッキの真空管回路はかなりシビアな動作だったことで有名で、それが独特のテンションの高い音につながっていたらしい。当然球の交換はかなり早かったらしい。これも雑誌で読んだだけで、音を聞いたわけではないが、クイックシルバーにも通じるものがあるのかもしれない。まあ、昔のことだけど。

('04.3.12)クイックシルバーの電圧を測るとAC電源103.6Vの時に、実測プレートが475V、スクリーングリッドが477V。(配線図では450Vだが、いずれも実機では高めに出る。)

 EL34のデータをインターネットで調べる。結局分かったのは、
スクリーングリッドの425Vというのは「設計中心最大定格」ということで絶対的な限界ではないということ。
 例えば今日届いたSED・スヴェトラーナEL34は、絶対最大定格510Vとなっている。
AB級ウルトラリニアppでプレート電圧500V、無信号時114mA、バイアス-45V、出力60Wなどというまさにクイックシルバー向きのデータさえある。ライバルのエレクトロハーモニックスやテスラもおそらくそんなに柔ではないだろう。ジーメンスはどうかな?
 まあ、SNDチューブのHPではテスト電圧はプレート、スクリーングリッドともに440V,バイアスが--40Vで、これがtypicalな動作電圧だと書いてあったから、おそらく大抵のEL34は大丈夫で、8417と同じく60W取り出せるだろう。と言っても、クイックシルバーの球の使い方が厳しい事には変わりない。やっぱり消耗は早いと見るべきだろう。

 
これに近い実際の使用例もある。マランツの#2と#5ではウルトラリニア、三極管接続ともB電圧が465V(ただしスクリーングリッドには100Ωの抵抗入り。)、#8(B)で435V、#9で427V(いずれもSGに100Ωの抵抗入り。)。マランツでも球をぎりぎりのところで使っていることのは変わりはなく、上杉佳郎氏によれば「#8Bなどは部屋を暗くするとプレートが赤くなっていたりする」のだそうだ。(管球王国Vol.11&12)
 ちなみに、ACバランスは勿論、#5以降は出力管1本ごとにDCバランスでバイアス電流を設定できるように、マランツではボリュームが3個ある。クイックシルバーにはバイアス電流設定のボリューム1個しかない。マランツと違い、P-K分割型の位相反転段で、感度を犠牲にしても高域などの諸特性やバランスを確保しにいってACバランスを無くしたこともあるが、球のペアマッチの完璧を要求し、これ以上シンプルにしようがないところまで来ているわけだ。
 クイックシルバーがスクリーングリッドに保護用の抵抗を入れないのも、抵抗が負帰還的な役割をして、エネルギー感や立ち上がりを殺がないようにするためだと思われる。当然、真空管に対する要求は更に厳しくなる。


 それにしても、今日届いたSED・スヴェトラーナのEL34は、手に持っただけでもズシッと重く、造りの頑丈さが印象的だった。最近、「スヴェトラーナ」の商標はSovtekを経営しているReflekterのものとなり、サンクト・ペテルブルグのスヴェトラーナの工場で作られる球は、”C”マークのSEDのパッケージに変わっている。今回は、サンクト・ペテルブルグ製であることを確認して取り寄せた。

 さて、SEDのEL34と同時に8A600Vのファーストリカバリー・ダイオードも届いたので、マークレビンソン用電源のほうにぼちぼちと取りかかろう。



('04.3.11)あちこちチェックするがOKだったので、昨日寝室=和室というか、AVルームにクイックシルバーを持ち込んだ。
 鳴らし始めと言うことで、球は1.5戦級にする。R.モジェスキによると独ジーメンス(英ムラードという説もあり。)をコピーした細管の
エレクトロ・ハーモニックスEL34、Sovtekについでシャープな音がする、ユーゴEiの12AX7と12BH7(フィリップス箱)、音は丸いが何より丈夫なGEの5AR4を挿す。おそるおそる、バイアスを合わせるが至って安定している。飛ぶ気配もない。長期的にはわからないが。

 ま、東芝のDVDレコーダーから、アッテネーターボックス【アルプスのアルチメイト・ボリューム~ラックスが一時使っていた高価な大型ボリューム】を通して、直結入力しているので、そんなにグレードは高くはならないと思うが、音の方も時間が経つに連れて安定し、レンジ感が広くなる。

 前に使っていた、KT88ppのラックスMB3045(A-3000)よりはずっと良い。リニアPCM録音のアナログBモードの音はセレッションSL-6Sでかなり聞けるものになる。

 こっちのレストアはあまりにも箇所が多くて、時間がかかる。まずは、マークレビンソン用電源の製作を優先しよう。





('04.3.10)今日クイックシルバーのモノブロックが2台届いた。ずっと店にあった品物なので、錆もきておらず、状態はかなり良い。相変わらず、シンプル&ストレートの極みの内容だ。

 結局
バイアス用の抵抗1カ所だけをEL34用に変えて、しかも電源電圧とバイアス電流(120mA)は全くそのまま。EL34の設計最大定格がスクリーングリッドで425Vの所へ、475Vくらいかけるので、かなりへヴィーな状態になりそうだ。
 しかし、
VTLのデビッド・マンレイの本には、昔のジーメンスの業務用球には1,000Vをかけて、シングル・プッシュで100W近くの出力をたたき出すものがあったと書いてあるので、やってみないと分からんようだ。とはいうものの、以前、先輩にもらった2ペアをアサヒ・ステレオの梅川さんに見せると、やっぱり比較的最近の東独生産のジーメンスじゃないか、と言っていたが、これにはそんな離れ業は期待できそうにない。

 ま、球が飛んでもEL34は圧倒的に安いので、とりあえずエレクトロ・ハーモニックスEL34などさして、当分だましだまし様子を見ながら使い方を考えてみよう。CSEの電源が帰ってくるまでは、セレッションSL-6SでDVDなど鳴らして遊んでみよーと思う。



('04.3.9)一昨日パワーアンプ用の1Kw電源FP-1000(CSE製)が飛んでしまった。直にACにつないで鳴らせるのだが、マンションの電源は音がひどく、聞く気にならない。おまけに我が家は電圧が高めに出るので、それでなくても厳しい出力管の動作がさらに危うくなるので、よけい安心して聞けないわけだ。まあ、レコードのクリーニングや雑事も含めて片づけよう。
 それにしても、AV用に使っているSL-6Sがなかなか良い音であることに改めて感心した。クイックシルバーのEL-34が来たら、こちらで鳴らしてみようか。



('04.3.7)僕らは高忠実度再生を基本として目指しているわけだから、再生するときにはきっちり「再現」したいという意識が強い。例えば、ターンテーブルのスピード。クオーツロックやPLLの用に、フィードバックをかけて絶対的スピードを合わそうとするものもある。
 こういう僕も耳だけで合わせるわけにも行かないし、インバーターの無い蛍光灯も入手できないから、ミュージック・ダイレクトから、デジタルでストロボライトを発光させるというKABのスピードストロボというのを買って、SOTAのスピードチェックをしている。

 でも、ウエルテンパードのプレーヤーのように、スピード調整のないプレーヤーが結構作られていて、世の中にはスピードが少し速かったり、遅かったりするプレーヤーが相当数ある。でも、それでちゃんと音楽を聞いているわけだ。では、
絶対的スピードって本当に最優先なのだろうか?
 
隣のギャラリーで午後から聞いたチェンバロの「古典調律入門」のレクチャーはそういう意味でも得るものが多かった。調律というとピッチの問題だと理解することが多い。ピッチはA=440Hzとかいう絶対的な音の高さの問題だけれど、温湿度や弾き方でどんどん物理的に変わっていくし、演奏中の精神的な高揚でピッチが上がっていく。そのチェンバリストの方も言っていたが、ヴァイオリンやチェロのようなフレットレスの楽器は445Hzではじめても、演奏が終わるときには必ず450Hzを越えているのだそうだ。僕らだって、ターンテーブルのスピードを耳で合わせに言ったら、必ず高めにチューニングしてしまうではないか?

 つまり、
ターンテーブルスピードが多少速くても、遅くても音楽的にはあまり問題ないのだ。ピッチを合わせるというのではなくて「音律」、つまり1オクターブ12度の中での各半音同志の関係と言うのが、調律の根本問題なのだが、これはオーディオ的にもとても意味があると思う。制御しやすい軽いターンテーブルがクオーツロックやPLLで正確にコントロールされていても、重くて外乱に強くイナーシャの大きいターンテーブルの方が音がよいことが多い、というのはこういう事だろうと思う。勿論、音はそれだけで決まらないのだけれど。
 例えば、マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」A面が、従来は3%早くカッティングされていたというのは有名な話だ。その2種類をプレスした2枚組を僕も持っている。聞くと確かに印象が違うがこれはピッチの問題であり、3%早いほうが正しい、と言うよりも、どちらが好きかと言うことに結局はなると思う。

 つまり、
大切なのは音同志の相対的な関係の正確さと安定性だというのが、今日の大きな収穫。これはルームアコースティックやアンプ内部の位相の問題などにもつながるような気がする。要は正確さは必要だが、絶対的なレベルや値にばかりとらわれてはいけない、と言う事だと思う。
 


('04.3.6)ジョニ・ミッチェルの”Don Juan's Reckless Daughter”のLP(Asylum2枚組)にはまいった。繊細なジョニのギターで始まったかと思うと、いきなりジャコのベースがどんと入ってくる。ジャコとジョン・ゲランという新旧の「男」を従えて緩急硬軟自在のジョニ。ジャコがやたら張り切っているのは、「これから」だったのだろうか。いい年をした大人達の光と影。
 でもウェザーリポートよりもこっちの方が、ジャコ度は絶対上だなあ。



('04.3.5)依頼を受けた電源製作は基板がアメリカから届かないので、足踏み状態。もうひとつ、HPには書いてないが、基板の振動抑制のためにアンカーとしてコーリアン板をシャーシの下に入れている。基板を固定するスペーサーの下からボルト止めしている訳だが、この適当な大きさのものが、東急ハンズでも手に入らない。以前あった厚み13mmのが絶妙な大きさだったが、もともと端材を仕入れているから安くできるので、単独で注文したらそれだけで、1万円近くかかるだろう。
 逸品館でインシュレーター&棚板として売り出しているのを、自分でカットするしかなさそうだ。それも良し。



('04.3.2)仙台からLPが届く。最近はポップス、ロック、ジャズのほうが比率が高くなっている。ボズ・スキャッグス「ダウン・トゥー・ゼン・レフト」(1L・1C)、デイブ・メイソン「オールドクレスト・オン・ニューウェイブ」(1D・1A)など、これで1枚1,200円だからとても美味しい。ティム・ストーリーのウインダムヒル盤などプロモーション・ジャケット(中身はファーストプレス!)という理由でバーゲンに出て800円。
 これくらいの値段だと、昔懐かしいアルバムが見つかったらすぐ買ってしまえるので、最近LPも充実してきて嬉しい。

 さて、カリフォルニアからもビートルズがらみでいろいろ届いた。これは時間をかけてゆっくりと聞き比べをしたい。



('04.3.1)プリアンプRM-5Ⅱフロントパネルは18KΩの抵抗でアースにつながっており、前からその役割がよく分からなかった。その部分を直結してみてはじめた分かった。ようするに静電気対策。
 直結だとボリュームノブに手を触れるだけでパチッと静電気が飛び、時にはスピーカーから音が出て、さらに時にはパーペチュアルのDACのロックがはずれる。日本でこんな状況だから、乾燥していて静電気がもっと凄まじいカリフォルニアなら絶対に対策が必要だと納得した次第。



('04.2.28)カートリッジ用消磁機(ディマグネタイザー)の他に、最近とみに効果を認識しているアクセサリーとして、PADシステムエハンサー REV-B(74分バージョン)がある。
要するに一定のアルゴリズムによって録音されたいろんな音が入っているCDで、これを一定時間かけることで、CDプレーヤーは勿論、アンプ、ケーブルまで電気的にリフレッシュされるというもの。他にもいくつものメーカーから出ており、これは1枚16,000円とかなり高価だが、ショップで一番評価が高かったのでこれにした。
Rev.Bバージョンは従来のAバージョンと違い、小さな音で6回くらいリピート再生すると、システムが非常に澄みきった音になる。処理した後に聞くシンバルやギターの切れは一聴瞭然。

 特に今回D-Cubeの入力ボリュームを上げてかけてみたら、低域感にも効果が大きく、これまで低域が薄いと思っていたECM系のジャズベースもかなり量感がアップする。ただし、入力ボリュームを戻すのを忘れると大変な事になりかねないので、注意すること。


('04.2.26)東京で色々感じたので、これからの方向を考えていた。課題としては、エネルギー感あるいは豊かさを向上させたい。

1.来週にはEL-34搭載可能なクイックシルバーのパワーアンプがもう1セット届く。あちこち順次レストアしてバイアンプ化。

2.プリアンプのトランスの追加。
 
ミュージック・リファレンスのプリの電源トランスは非常に小型で、高熱になる。そこにヒートシンクを着けていくと、音のエネルギー感が向上するが、それでも相当に熱い状態だ。つまり、トランスの「熱損」がかなり発生しているのだと思う。
 トランス丸ごと交換はスペースとリレー回路の機構上出来ないので、ヒーター回路とヒューズ、パワースイッチはそのまま使って、
プレート用B電源のみ外付けのトロイダル・トランスに替えようと思う
 できれば元カウンターポイントのマイケルエリオットが言うように、カナダのプライトロンのトロイダル・トランスを使いたいが、プリ用の低電流タイプは日本の代理店では扱っていないので、米ハモンド辺りを試してみよう。リレーやロジック回路の関係で無茶は出来ないので、慎重に。ハモンドのは安いので、複数買って試してみようと思う。

3.JC-1 ACの電源をLRセパレート供給にする。DACT電源基板を発注しているので、到着次第やってみよう。

 エミネント社のHPに載っていたET2アームとSOTAスターサファイア。ET2も生産中止になってしまった。トホホ。


('04.2.24)
気合いを入れてアナログプレーヤーを調整した。この間、TITANを聞くためにアームパイプを着けはずししたので、ほんのわずかだがバランスが違っているはずだし、SOTAのフローティングの効き方が以前EMTを着けていたときの緩いままだったからだ。


SOTAのフローティングが効かなくなる3歩手前ぐらいまで、スパイクを回して高さをクリティカルにチューニングし、アームのラテラル・バランスを執拗に追い込む。


 SOTAというプレーヤーは15~16Kgというやたら重いベースボード&ターンテーブルを上から吊していて、フローティングとリジッドの中間のような響きとバランスが身上なので、これが本来のバランスだろう。ゼロバランスをとったアームの横から息をそっと吹きかけると、奥まですーっと滑っていく。
(こんな事を言うと怒られるけど、ずっと以前から僕はユニバーサルアームというものを信じていない。アナログはロスとの戦いなのに、超微小電圧の発電部があんな状態で取り付けられるなんて、正直信じられない。もちろん利便性とリジッドさのどちらを選ぶかは個人の自由だ。)
 音の実在感と、音場感や雰囲気が微妙に充実して、思わず顔がほころぶ。うむ、当分ZYXで行こう。

('04.2.23)土曜日の音と戯れる会は少人数だが、中身は濃かった。いろいろ収穫はあったが、SACDマルチについてのヒントは大きかったなあ。丁度バイアンプ化ともからめて考えていたところなので、タイムリーこの上なかった。
 翌日曜日は是佐邸でOff会。Shu-KsのHPに詳しく載せられると思うので、ポイントだけ触れると、
僕にとっての目玉は自作電源でML-1を鳴らしたらどうなるか、ということだった。その結果は、awesome!と言う感じ。音の色数やグラデーションが豊になり、密度も増している。ベースのうなりなど単なる付帯音ではなく、バチッという引き締まったパーカッシブな音に変貌した。
 これは出来過ぎなくらいの変化だ。#4348のようなスピーカーだから、ここまで拡大して聞かせてくれるのかもしれないし、ここで、今日聞いた者にしかこの感じは多分わからないだろう。だから、これ以上は触れないことにしよう。

【当日の模様が是佐さんのHPの「オフ・ミーティング No.24」に詳しく掲載されました。お世話になりました。改めて有り難うございます。】

 それと、
安田オーディオラボでメンテナンスされたJC-1 DCの現物を見せてもらうことが出来たのも嬉しかった。ケミコン、入出力ジャック、ケーブル、バッテリーホルダーも交換されている。単なる復元ではなく、リフレッシュした音をイメージした上での「積極的な」レストアだったので、大いに意を強くした。
 当時とても手に入らなかった高価なあこがれの機器を、今、中古で手にいれて鳴らしたい、という気持ちはとてもよく分かる。だが、
ヴィンテージ・オーディオは性能や部品の見極めが難しく、しかも手をかけてやらないといけない。技術の進歩や部品の性能向上もあるので、単なる修理だけではなく、「再創造」のような感覚を持っていないと、活かしてやれないのではないかと思う。その意味では、音をよく知る「レストアラー」が必要なのだと思う。

('04.2.19)ここ何日か昔のステレオサウンドをスクラップしたものを読み返している。’82年冬=約20余年前の故長島達夫氏のリスニングルーム訪問記マランツ#7について、
1.製作されてからかなり日が経ってハンダが劣化していたので、新しくハンダ付けを全部やり直した。
2.カップリング・コンデンサのブラックビューティーが日本の気候に弱くて湿気ですぐダメになるので、ウエストキャップに取り替えた。
3.B電源が半波整流だったのを、全波整流に変更。レギュレーション、電源インピーダンス、ノイズ全てが改善された。
4.整流器をセレンからダイオードに変更した。長島氏いわく、「20年も経てば、セレンもライフの限界にきていますから。」


 20年余り前で、この状況である。にもかかわらず現在、50年前のアンプを「完全オリジナル」と銘打って70~80万円の高値で取引するのは、とても信じられない話である。
 長島氏が言うように、「もとの状態からいい部分、これは僕にとっていい部分という意味ですが、それを引き延ばしてやる、」というのが、本来の意味でのメンテナンスであり、レストアだと思うのだが。アンプも時間とともに鮮度が低下するモノなので、「オリジナルの音が今でも存在する。」という幻想からは、自由になるべきだと思う。勿論、今の音が好きだというのなら、それは何の文句もなしに使えばいいのであって、
要は正しい知識に基づいた個々人の判断なのだ。

('04.2.18)音のバランスは難しい。どうも、薄いところがあるような気がして、D-Cubeのクロスオーバーを38Hzから41Hzに上げたり、レベルを触ってみた。41Hzの方が、全体に面一な感じになってバランスが良くなったと思いきや、「セラ・ウナ・ノーチェ
」をかけてみると、パーカッションやギターの音場感が出てこない。結局38Hzに戻し、出力レベルを少し上げて一応落ち着いた。
 ディスクの善し悪しを判断するのは難しい。LPのプレスや盤質の印象は結局そんなに変わらないのだが、
日野晧正の「ジャーニー・イントゥー・マイ・マインド」のように、じゃりじゃりの盤質と思っていたところから思いがけずいい音が聞こえてくると、この道楽はやめられない。僕はこのアルバムの中の”My Funny Valentine” がマイルスや他の誰の演奏よりも好きだ。

 結局、今のうちのシステムは電源オンしてから4時間くらい、それも夜にさしかかって一番音が良くなってくるらしい。今夜の締めはバーンスタイン&NY(コロンビア盤)のマーラー5番アダージェット。3Aのプレスなので、音のバランスが良くてラッキーだった。このオリジナルプレスを聞きたいが、まあ無理だろうなあ。

('04.2.17)この半年近く、現代音楽(といってもバルトーク当たりも含めてだが)が随分好きになったし、良く聞いている。
実は一緒にコンサートに行っている女性の影響もある。権代敦彦の新作や武満徹を聞いて、「体の細胞一つ一つが活性化されていくようだ。」と言った言葉が随分、印象に残った。この前の西村朗の新作も「暖かい熱い音」と見事にとらえていた。何というセンス。そう、こういう音楽は構造を頭でとらえようと言うよりも、リズムを感じ、音のテクスチャーを味わえばいいのだと思う。そういう意味では、とても運動感覚的な音楽だと思う。僕は東京カルテットのバルトークが大好きだが、余計な理屈をこねない流動的な美しさが際だっていると思う。あるいはクロノス・カルテット。
 先日筑前琵琶の奏者の方と飲みかつ話す機会があった。彼は京都鴨川河畔でメシアンやバルトークを聞いているそうだ。「バルトークは体育会系ですよね。」という点で二人の意見が一致した。いつか、となりのギャラリーで彼のコンサートを企画したいものだ。あのギャラリーで祇園精舎の一節がどんな風に響くのだろうか。

('04.2.16)ZYXというカートリッジの良さをしみじみと見直している。TITANの空間を切り裂くようなシャープさはないし、エミネントのような吹き上がりのエネルギー感もない。だが、例えばジャシンタの息づかいのほんの少しウェットな表現力は一級品だし、弦の柔らかでクリアなつややかさもとても良いと思う。スティーリー・ダンのリズムの切れだって、生半可なものではない。勿論、優等生的と言えばその通りだし、もっと躍動感が欲しいなど、求める点は色々ある。しかし、1個のカートリッジでこれだけヴァーサタイルに対応できるモノも少ないだろう。それだけでも大したものだ。
 いろいろ考える事はあるが、一気に行くとバランスが崩れたり、楽しみが減ったりするので、ステップバイステップで着実に行こうと思う。まずはバイアンプとCDのクロックアップ。


('04.2.15)ML-1駆動用のXLR→レモ端子の変換アダプタ完成。余り部分のAET/QUADのアース線2本に熱収縮チューブをかぶせて、それぞれ±15Vに、外被シールドは市販のメッシュチューブを使用した。レモ(CAMAC)端子は信頼性は高いが、サイズや構造がクリティカルなので使えるケーブルはかなり限られる。今回は何とか納まって良かった。
 これで是佐邸でのオフ会の準備は整ったのだ。

 それにしても、CDプレーヤーのクロックアップの順番はまだかなあ。

('04.2.14)河口無線で福田雅光氏によるアコースティック・リヴァイブ製品の試聴会。福田やさんのお人柄は良かったが、かったるい内容だったので、すぐに出てアサヒ・ステレオに行くと、巡回で昨日来たばかりのエミネントが聞けるとのこと。早速聞かせて頂く。スピーカーはアヴァロンのアイドロン。プレーヤーはウェルテンパード・リファレンス。アンプはプリ・パワーともスペクトラル。フォノイコはブルメスターだっけ。
 まず、
アイドロンの鳴り方の柔らかさに驚く。川崎家で聞き慣れていたのとは全然違う。川崎家のは凄く手をかけてチューンナップしているのが、改めてよく分かった。
 それでも我が家のSPに近いタイプであることには代わりはないので、期待して聞き込んだ。が、しかし、勿論いい音なのだが、先日の試聴会ほど、エネルギーの吹き上がり感というか、存在感が強く感じられない。ジャシンタのダニーボーイもバックが入ってくるところがそんなにスリリングではないし、「火の鳥」も音量抑えめとはいえ、あまり爆発的な感じがしない。これはどうしたことか。
 と言いながら、次にカラヤンの「ラ・ボエーム」(デッカ復刻盤)をならすと、パヴァロッティら歌手の胸板の厚さが分かるような力強さで、オケの各楽器もステージのあちこちで出入りしながら揺るがずに鳴りまくる。これこれこうでなくっちゃ、と言う感じなのだが、先日のJBLの方がずっと効果的だったことに代わりはない。
 思えばあの試聴会では機器構成は勿論、店からの借り物の機器とはいえ、製作者が前日からセッティングして電源も入れにかかっていたので、条件はかなり違うのだが、
やはりエミネントはJBLの方がマッチングするのだろうか?

 いずれにせよ、システムでかなり結果も違うことが分かったし、落ち着いて考えよう。何にせよ、まずはバイアンプを立ち上げよう。

('04.2.13)今日はTITANでレッド・ツェッペリンを聞かせて頂いた。いやあこんなにクールでシャープなのは初めて。オーディオ的快感にしびれました。生々しいシンバルのまわりの空気感、ロバート・プラントのあえぐようなヴォーカルと左右に疾走するキーボード。これに比べるとZYXは甘く感じさえする。
 聞いている間に何か変化が生じたかと思って、見てみたらホコリが噛んでいたりして、ものすごく敏感なカートリッジだと言うことが分かる。いわばF1マシンだ。凄い。

('04.2.12)ヘッドアンプが一段落したので、先日から、お借りしたライラのTITANを聞かせてもらっている。テンションの高い高解像度な音。レンジが広いだけでなく、低域には力感もある。いわば、ドスのきいたハイレゾルーション。非常に敏感な感じで、使いこなしもかなり追い込んでいく必要がありそうだ。緊張感も高いが、凄いオーディオ的快感が得られる。
 マイソニックラボとは対照的な音のようだ。でも、TAITANは45万円だからなあ。30万円のそのまた1.5倍だもんなあ。

('04.2.10)JC-1 AC本体への電源供給ケーブルのXLRプラグを、AETがクライオ処理したスイス・ノイトリックのXLRプラグ(オス3P)に変更した。音も細かい部分がさらに聞こえるようになってきてスッキリしてきた。後は是佐邸でのオフ会に向けて、レモ端子との変換コネクターを作れば、準備万端。

('04.2.9)マイソニックラボ「エミネント」の試聴会の続き。カンチレバーはアルミをベースに焼き入れした、超ジュラルミンだそうだ。なぜかというと、
1.アルミは針先を圧入出来るので、ダイヤとカンチレバーの接合強度が高く取れる。今主流のボロンは硬すぎて、接着剤しか使えない。接着剤はダイヤやボロンに比べるとゴムみたいなもので、接合強度は圧入の方が当然良い。
2.アルミの方が音のつながりがよい。ボロンは反応は早いが、この点ではアルミに負けるとのこと。

 ただ、アメリカ市場ではボロンでなければ売れないので、エミネントは国内市場専用になる。アメリカ向けに、いずれはボロン製も作らなければならないらしいが。

('04.2.8)昨日のマイソニックラボ「エミネント」の試聴会でとても重要な情報が出されていた。
 昇圧手段として製作者(松平吉男氏)は,最も初透磁率が高く,音の立ち上がりが良い自社製トランスStage 202を当然推奨していた。
 一方、半導体はもともと低インピーダンスに弱く、特に入力負荷抵抗を100Ω位にすると、F特、SN比などスペックはよいが、エネルギーが吸収されて音が良くない。
入力負荷抵抗は500Ω以上で受けて欲しい。その点、マークレビンソンのヘッドアンプは820Ωで受けていて、音が良いとのこと。負荷抵抗を上げると、SN比は不利になるが、設置場所等でカバーーしてほしいということだ。

【注】アサヒステレオの梅川専務によると、EMT用に作っていた820Ωのものがあったと言うことで、全てがそうではないらしい。標準は100Ω位のようだ。

JC-1 ACの取説には入力負荷抵抗値は記載されていないが、No.25は825Ωとあったので、間違いないだろうと思う。製作者はJC-1 ACの発売当時、光悦の瑪瑙カートリッジの開発をしており、そのころに確認しているとのこと。

※ついでにいくつか、各種フォノイコのMC用入力負荷抵抗値を調べてみたがいろいろだ(トランス入力は除く)。数Ωと言うのもあり、一方でコニサー 4.0:47kΩと言うのもかなり注目だ。
 Linn Linto: 150Ω/47nF   ライラAmphion Phono 100Ω(MC)  ベンツマイクロPP1:22KΩ

 じゃあ、昇圧デバイスはJC-1 ACで問題なさそうだ。アームはリジッドで重めのワンポイントがよいとの事だが、エミネントmodelⅡとの相性はどうなんだろうか?

('04.2.7)今日は日本橋・河口無線でのマイソニックラボ「エミネント」の試聴会。
 さる製鉄会社の研究所で20数年来研究を続けて、偶然のように出来た超高性能磁性材。わずか2mm角0.35mmのコア材だが、従来のパーマロイより格段に、初透磁率が高く(JISの数倍)、つまり立ち上がりが良く、磁性飽和レベルが高く、つまりコイルの巻き数が少なく、低歪みで、低インピーダンスの割に出力電圧が高い。
(1.8Ω、0.5mV)
 最初のジャシンタ「ダニーボーイ」では、始めそんなに特長がある感じではなかったが、楽器が増えてくると俄然真価を発揮する。
 
例えばベースとかのソロ楽器などが機嫌良く鳴っていて、バックが出てきたり、あるいはオーケストラのトゥッティ一で多くの楽器が重なったとき、これまではどうしても全体のエネルギー的に限度があるというか、それぞれの楽器のエネルギーが少しづつ抑えられていく感じがあった。でも、エミネントはそれぞれの楽器をそのままのエネルギーで持続させて、鳴らしていく。
 ケルテス/ウイーン・フィルの「ドボ9(ドヴォルザーク新世界)」の圧倒的な吹き上がりと金管木管弦の重層的重なりや左右での掛け合いでもエネルギーが減らない。
 ミルト・ジャクソンのモノ盤でもバイブのマレットの当たり具合がとてもクリアで、しかも他の楽器に負けない。圧巻はスリー・ブラインド・マイス盤の「ブローアップ」。鈴木勲のアルコ(弦)でのギンギンのベースに、分厚いパーカッションのピークが一緒になっても、どちらもエネルギーがそがれない。
 
 かといって、分厚いだけではなくて、細かいところも出るのだけれど、空気感よりは、「存在感」が非常に印象的だった。試聴システムは、オルトフォンAS-212iアーム、トーレンスの新しいベルトドライブ、マイのニックラボの昇圧トランス(Stage 202)、フェーズテックの真空管式フォノイコ、ラックスのC-70fとM-70fのプリ&パワー、JBLの4800。スピーカーがJBLだったので、音色的なところはまだ十分把握できないが、凄さは十二分に認識できたし、いろいろと開発秘話が聞けて面白かった。

 でも30万だもんなあ。買値はいくらくらいになるんだろう。う~~む。求めていたのはこれかもしれない。欲しいなあ。これで、バイアンプしたら凄くなるだろうなあ。
 
「アナログは何使ってるの?」と聞かれて、「エミネント(アーム)にエミネントつけてます。」と答えられるのは、日本で僕くらいだろうなあ、なんておバカな事を考えてしまう私。う~~む。

('04.1.29)SACDの改善策を考えていて昨夜ひらめいた。一度試そうと思ってすっかり忘れていたのだが、マランツSA12 S1には「スタンダード」と「カスタム」2種類のフィルター・ポジションがあって、SACDが100KHz位まで出るので対応していないアンプやスピーカーをつなぐときは「スタンダード」にしてくれとのマニュアルの記述だった。
 色々調べると、「スタンダード」はアナログ出力するときに約80KHzでハイカットする回路を通し、「カスタム」はストレートに出力する回路を通るようだ。というわけで、「カスタム」ポジションでSACDを聞いたら、全く違う。エネルギー感や密度感はちゃんと出るし、ピアノの左手やコンバスだって、しっかり出るじゃないか。今まで何をやってたんだろうと反省することしきり。
 CDはデジタルアウトなので関係なく、SACDの音が本来に戻ったわけだ。それにしても、「カスタム」をスタンダードにして
、スタンダードをフィルター入りと表示すべきではないのか。100KHzの信号などごく低いレベルだし、などよほど特殊なケース以外はトラブるはずもないのに、なんで万が一のの安全ばかりふんで、変な記述にするのだろう。DVDビデオのリージョンコードの変更も出来ないし、この辺は大いに不満だ。
 ま、これでデジタルの音のレベルは揃ってきたので良しとするか。

('04.1.28)昨日のアサヒステレオでは、SACD&CDプレーヤーはクラッセのオメガ、プリはスペクトラル、アナログはヘリコンをウエルテンパード・リファレンスに付けて、ブルメスターのフォノイコという組み合わせだった。アナログの方はそんなに驚かなかったけど、SACDはかなりくっきりハキハキした音の出方で、常にない音という印象だった。
 試聴用に持って行った2枚のSACD~マーラー9番(アシュケナージ/チェコフィル)とチック・コリアのNYランデブー~の印象が薄れないうちに、我が家の音と比較してみた。マランツSA12 S1で聞くSACDはやはり、薄い感じがする音だった。空気感はよく出るのだが、思わずボリュームを上げてしまい、しかしその割にこっちに来ない、と言う感じがもどかしい。以前、ソニーの777ESを聞いたときも、CDの方が迫力があるという感じだった。これくらいのクラスでは、どうもSACDの潜在力を生かし切れていないのかもしれない。その点では、やはりクラッセは凄い。勿論一桁上の値段も凄いが。
 こういう経験をするとSACDソフトを買うのに少し腰が引けるが、まいいか、と言う感じでマーラーを2枚アマゾンに注文してしまった。

('04.1.27)日本橋アサヒステレオさんのご厚意でデモ用に巡回してきたスピーカー、ウイルソン・ベネッシュACT-1/Evolutionを聞かせていただく。しかもホブランドの管球パワーアンプまで、準備してくださった。我が家のは初代で、これが2代目に当たる。初代もカーボンファーバーをはじめ16種類の素材を駆使し、どこにも平行面がない造りで、木の部分の響をある程度活かしながら、振動を抑制・分散した意欲的な作で話題となったのだが、2代目はさらに木なしのオール・メタル&カーボンで、重量は8割増し、ユニットも自社製。

 形は殆ど一緒だし、当然の事ながら音場感など音の出方には共通する物があるのだが、構造が変わったためか、初代の木の響きのほのかな柔らかさは感じられず、ソリッドな感じが強くなっている。といっても、やはり英国製で少しウェットな湿り気というか、柔らかさはしっかり持っている。低域がもっと締まった感じになっていると想像していたのだが、むしろローエンドに伸びて、低域の上の方が少し締まったという感じ。マーラー9番のSACD(アシュケナージ/チェコフィル)で、各楽器がピンポイントに定位するのは見事だが、一方で、色気が少し乏しい感じもする。

 我が家では、今D-Cubeとセットでならしているので、これらは頭の中での記憶を元に比較したもの。トータルでは、かなり質の違った物になっているが、音楽的な表現能力は非常に高いと思う。もっとも、価格も凄く高くなってしまったのが残念だが。これも、日本で100台も売れないだろうな。よく行って2桁か。いいスピーカーを作るんだがなあ。





('04.1.23)ヴァーモント州のKCA NOSチューブから、初期型シルバニア8417が5ペア届いた。送料込みで1ペア約$155なので、極めてリーズナブルな価格。早速アンプにさしてチェックしてみる。うち2ペアはアンプのバイアス設定の関係で、電流が流れすぎるのだが、これは調整可能な範囲だと判断した。ノイズは問題なさそうだ。さて、このうちどれだけが生産後約30年目以降のサバイバルレースに生き残ってくれるだろう。

 それはさておき、この真空管屋さんの店主の名前は、マイク・クロポトキン。帝政ロシアの無政府主義者の一族がアメリカで真空管を売っているなんて、何か不思議な感じのする話だ。移民に多い改姓をしてないのは、逆に思いがあるのだろうか?昔大阪にもハイテク・ツアーで来たことがあると言ってたっけ。

('04.1.21)シカゴのミュージック・ダイレクトから、モービル・フィディリティのLP復活のメールが来た。創業者のスタン・リッカーにT・パラビッチーニが協力して新たに「ゲイン2・ウルトラアナログ・システム」を組み、ハーフスピード・カッティングしたそうだ。
 具体的にはスチューダーA-80でテープを回し、オルトフォンのカッター・ヘッドをノイマンのカッティング・レースに装着、手作りのエレクトロニクスでドライブしてラッカーマスターを作成、米国内でプレスという内容。想像だがパラビッチーニなので、真空管が使われていることもあり得るかもしれない。勿論、限定数プレスで常に音質を確保していくらしい。
 へヴィーデューティー・ジャケットに納められた最初のリリースはJ.レノン「イマジン」、エイミー・マン「ロスト・イン・スペース」、アイザック・ヘイズ「ホット・バタード・ソウル」の3点で、これは手始めだそうで、まだまだ続くようだ。。
 気になる値段はミュージック・ダイレクトで1枚$24.99だから、ごくリーズナブル。
 まだ現物に接してはいないのが、これでモービルのストック品や中古が$150とか$400いった法外な値段でサイトに乗っているのを横目で見ながら通り過ぎなくても良くなりそうだ。僕としては、スティーリー・ダンの「ガウチョ」あたり出て欲しいのだが。

('04.1.20)オーディオの楽しみ方は色々なので人様々だが、大きく4つのフェイズを動いて行くのではないだろうか、という事を考えてみた。

フェイズ1:音楽を機器を通して体験することの喜びを感じ、機器を操作したり購入したい、という思いを持ち始める時期。

フェイズ2:機器を操作して、自分の音を出し始める。理論もかじりはじめ、いろいろと講釈を言いはじめる。いわく、デジタル、いわくアナログ。いろんな音楽を聞き、ソースを購入しはじめる。

フェイズ3:機器による音の変化、ソフト(プレスや生産国など)による音の違い、をいろいろと体験し「経験値」としての蓄積が始まる。人のシステムの音に関心を持ち、メーカーの試聴会に行ったり、いろいろと比較しはじめる。

フェイズ4:音楽的要求や求める音のイメージが明確になり、「経験値」を活用して、自分のシステムを構築していく。使いこなしもいろんな手段を講じるようになる。

 おそらく、音楽的要求の強くない人はフェイズ3くらいまでで、それ以上踏み込まないだろうし、「経験値」としての学習効果を蓄積できない人もその辺りだろう。(おまけにセンスも物を言う。)機器を買い換えるのは、フェイズ3と4の間を揺れ動くと言うことだろう。
 フェイズ4に来るのが偉いと言うわけではない。むしろ、それだけいろんな要素を併せ持たないと、趣味としてのオーディオが継続していかない、と言うことなのだ。あるいは、いい音に接する機会や、親切な先輩や友人、サークルがあれば、この辺の敷居が随分低くなると言うことでもある。
 なるほど、こんなややこしい趣味が大流行するはずがない。むしろ、皆が読みもしない百科事典を買い、セパレートステレオと数枚しかないレコードともに応接間に飾る、というような国民総教養主義の時代が異例だったわけだ。そういう意味では、オーディオが衰退した、と言うよりも、本来のコアな範囲に戻った、と言う方が正解かもしれない。

('04.1.19)A.ブレンデルの「シューベルト・ピアノ曲集 1822~1828 」という8枚組のLPを入手した。探している割には、なかなかシューベルトは良いLPが入手できず、これならまとまって確保できたからだが、もう一つはD.850のニ長調ソナタが入っていたから。と言うと、分かる人には分かるだろうけど、昨年秋のステレオサウンドにのっていた、村上春樹のエッセイ惹かれての話。山本さんもこのエッセイがぴんと来ない、と書いていたので、余計関心を待ったというわけ。
 なにせ、この曲を聴くのは初めてだから、よく分からないが、でもそんなに長大で散漫な曲とは思えない。確かに曲はまとまり良くはなさそうだが、ブレンデルの演奏はかなり練られてまとめられたものだと感じるのだけれど。少なくとも酷評には当たらないと思う。
 村上春樹は以前リヒテルのドビュッシー・リサイタルを激賞しており、持っていたから聞いたのだが、正直もっとシャープな美しさを持った演奏はほかにもいっぱいあると思った。リヒテルはシューベルトやベートーベンの方がずっと良いと思う。彼は多分、夢幻的な演奏が好きなのだろう。
 彼の文章はかなり好きなのだが、音楽の好みや感覚は結構違うのかもしれない。別にいいけど。やれやれ。

('04.1.18)ピンク・フロイドのLP「狂気 Dark Side of the Moon」を聞く。冒頭の心臓の音がなかなか楽しめるし、A面中程の目覚まし時計などの音もなかなか。もう少しいろいろ試してから、お借りしたTITANを聞いてみようかな。
 デジタルの方は、お借りしたDACとケーブルをいろいろとお試し中。解像度の高い音とフワッとほぐれる音というのは、両立が難しいようだ。どちらも大切なので、悩ましい。

('04.1.14)JC-1 ACの電源部と本体改造の作業が一段落したので、まとめのページを設けました。「 JC-1 AC電源部自作と本体改造始末」

('04.1.13)メールで照会していたアメリカの真空管屋さんから返事が来て、初期型のシルバニア製8417を5ペア確保できた。5%程度のマッチングとのことで、実際に使ってみなければ分からないが、事前チェックはひととおりやっているようだ。
 右チャンネルのペアは前に飛んでしまったのと同じロットで、てっぺんのゲッタ膜がやはり減ってきている。これも余り長く使えそうにないので、まずは一安心というところか。何でもそうだが、アンティークは手がかかる。

('04.1.12)JC-1 ACの本体改造ができ、音を出してみる。大分音が締まってきて、良くなってきたが、どうもまだ何か共振性の響きが残っている。両面テープで貼り付けるコーンをBDR(ブラック・ダイアモンド・レーシング)のType3とType4、AETの金属コーンなどに変えてみる。結局BDRのType4にするが、最終的に音を決めたのは天板とモジュールの間にはさむ、スポンジ1枚。元から付いていたのを、少し薄くして調整して、天板をネジ止めするとモジュールも上から押さえられる形に戻した。結局、マーク・レヴィンソン唯一の振動対策は必要かつ有効だったわけだ。(とすると、モジュールが挿さりっぱなしのML-1やLNP-2はどうなんだろう?)
 いやあ、本当に振り回されたが、振動対策ってやっぱり重要なんだ。おかげで、音が空間の中に漂う感じや、そこに楽器やアーティストがいる、と言う実在感がより精妙に出て、音自体が前に出るようになってきた。
 最終的には、明日東急ハンズからラックに使うアルミ板が来るので、電源部をそこに載せて、BDRのコーンとカップでセッティングして調整する。
 ※この間の経過は、一段落したら別項でまとめてみます。

('04.1.6)我が家の音に関心を持ってくださる方が増えてきたので、パーツや構造などのまとめ方の具体例に、最近はJC-1 ACの話を、常になく細かく書いています。

 整理すると、
1.ローエンドのもたつきにどう対処するか。
2.電源基板のケミコンによる音の甘さや、時間的な音質変化をどうするか。
というのが、今のところのおおきな問題。

 実は1と2は関連している。
 DACTの基板はフィルターにケミコンを多用しているため、LP再生は時間経過で音がかなり変わるシステムになってしまった。結局、強化電源版JC-1 ACはスイッチオンしてから、2時間以上たたないと音がまとまってこない。
フィルムコンデンサの場合は、比較的立ち上がりも早いし、音質の時間的変化も少ないのだが、ケミコンの場合はどうしても雑な甘さがつきまといながら時間的にも音質が変化していく。この辺は、ウオーミングアップ不足時の切れ込み不足とも関連しているので、常時オンしておく方が、音質が安定する一つの理由だ。我が家のアンプはプリ、パワーともにポリプロ整流で、アルミ電解のケミコンは数えるほどしか使っていない。フィルムはSNや情報量、切れ込みは勿論、比較的短時間で音がまとまるのが良い。JC-1 ACもこれまでは非力な電源で目立たなかったのが、強化された分だけ、システム全体の中で違和感が生じているようだ。
 
 そこで、いろいろ検討して、
電源基板の出力部分にSolenのポリプロピレン・フィルム・コンデンサ 51μを±15Vのそれぞれにパラ付けした。DACT基板出力のフィルター・ケミコンは4,700μなので、これくらいでは回路の時定数には影響がない一方、51μあれば経験的にほぼ全帯域をカバーできるとの判断。
 時間経過毎に音質チェックすると、
明らかに切れ込みやスピード感、SN感は向上した。ただ、太いエネルギーのようなものは、少し後退する。まだ、フィルムのブレイクインが終わっていないが、この方向は正しいようだ。
 
 川崎家で試聴ソースに使ったジャニス・イアンを聞くと、声の感じはとても生々しくて良いのだが、響きの長さは少し残る。次は、本体の補強で、ようやくまとまる感じか。やはりJC-1 AC本体の設計は少し古いのかもしれない。


 【
JC-1 AC電源部】
 いつもながら、見にくい写真ですみません。また、昼間ちゃんと撮ります。

 一番上から、
 トロイダルトランス(30VA)
 整流コンデンサ(ポリプロ 100μと20μ)、ファーストリカバリー・ダイオード
 48V安定化電源(TI TL-783)
 DCAT電源基板
 出力用ポリプロ・コンデンサ 
51μ×2個
 左側のケーブルは、AET TWINでJC-1 ACへ±15Vを供給

 JC-1 AC本体に比べれば、かなりでかいです。±15Vなのでマーク・レヴィンソンのML-1やLNP-2にも電源供給できますし、もう1枚DACTの基板を立てたら、JC-1 ACのLRにセパレート電源供給も出来ます。
(昔、JC-1 ACの2台使いが凄くカッコ良い感じで、はやった時期がありましたよね。)






('04.1.5)どうも年末のアナログの音はブレイクインの間の特別な状態の音だったみたいで、年明けに鳴らしている今は落ち着いた音になっている。ただ、ソースによっては超低域の響が長い、と言う点はよりはっきりと聞きわけられるようになってきた。この辺は、電源が強化されてレンジが広がってしまったため、従来聞こえなかったところが聞こえ始めた、と見るのが妥当だろう。

 どう対策するか。電源はハイスピードな設計の基板なのでこれはこれで信頼しよう。JC-1 ACモジュールの設計に古さに問題があるとしたら、それはいかんともしがたい。JC-1 AC本体の物理的な強化などは効果があるだろうが、どうもそれだけでは対応しきれないような気もする。別電源からの接続ケーブル(AET HIN-TWIN)が太くなったので、抵抗値は改善されたはずだが、増加した容量・インダクタンスなどが影響しているのかもしれない。フィルムコンデンサで電源のバイパスをとってみるか。補強も少しやってみよう。もうすぐカナダから、カルダスのロングタイプRCAジャックが届くが、その間にもいろいろと検討してみよう。

('04.1.4)母と弟の所から帰って、夜LP中心に聞いていたら、バチッと音がして、右のパワーアンプの出力管8417が昇天した。前からゲッタ膜がほとんど無くなっている割にはよく持っているなあ、と思っていたのだが、ついに真空度が低下してショートしたというわけだ。
 やれやれと、球のストックをチェックして、少しノイズがある旨メモのあるペアから試すと、これがことのほか良い。あてにしていなかったので、拾いものをした感じで、気分が明るくなった。とはいえこれも今回飛んだのと同じロットの真空管で、どれだけ持ってくれるかは分からない。これまで5ペアほど飛んだり、ノイズ増加で交換しているので、多少のアンバラはあっても音の良い初期型の8417を確保しておかなければならない。以前、色々やって目星はついているので、アメリカ中を駆けめぐる必要はもうない。定期的にチェックして、見つけたら即オーダーしよう。

最近のこちらです。



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