2002~2003

('03.12.30)何か凄いことになってきた。昨日の朝からずっと灯を入れていると、アナログの音がどんどん良くなってくる。強弱がはっとするほどのコントラストで出てきて、密度が上がっている。音像もt立体的に前に出てくる、というかそこにいる実在感が強まる。例えばバーンスタインのマーラーはCBS盤で3Aとか3Fという後のプレスなので、音は良くないしテープヒスも結構聞こえる。でも、鳴らし始めると説得力を持って、びしっと鳴る。
 結局これらは、JC-1 ACの新しい電源がもたらしたものだ。真鍮のスパイクもかなり沈んできてしっかり支持されているのが、一つには効いている。長期的に常時オンしておく気にはならないが、当分ブレイクインを兼ねて通電しておこうかと思う。

 と言いながら、ずっと鳴らしていると何となくほてったような感じになってくる。うむ、これは一休みして様子を見よう。仙台から届いたLPを整理しなきゃならないし。

('03.12.29)いやあ、泡食ってしまった。年賀状の絵づくりをしようと機嫌良くパソコンを叩こうとしたら、バチッと音がして、プリのリレーが落ちて、数秒して元に戻った。ミュージック・リファレンスのこのアンプは全てのパーツが一枚基板に取り付けられていて、信頼性が非常に高い。あちこち部品の交換や改造をしたが、故障知らずの「よい子」だったので、いよいよリレーが壊れたのかな、そうするとアメリカに長いメールを書かなければならないかもしれない、などと考えながらトラブルシューティング開始。しかし、プリの部品や電圧には異常なし。そこで、ひょっとしてと思ってパワーアンプを見ると、右のヒューズが飛んでいる。

 いよいよ球の寿命かな、と念のためヒューズを入れ替えてスイッチオンすると、ちゃんと音が出る。
 原因として考えられるのは、
1.球の電流値が一時的に急上昇した。しかし、普通球が飛んでヒューズも飛ぶ、というのが例えば球のショートの症状なので、これは解しがたい。
2.球のバイアスが流れるカソード設置側に電流測定用のジャックがあり、それを経由してアースが落ちているのが、接触不良で一時的に浮いてしまった。ただ、このときは直ちに球が飛んでしまうはずなので、これも解せない。

 いずれにせよ、パワーアンプが一時的に異常動作をして過大電流が流れたのは間違いない。スッキリしないが、とりあえず復旧したのは良しとしよう。機械とともに暮らすというのは、こういう事なのだろう。

('03.12.28)JC-1 ACの電源の調整をする。
1.電源基板からの出力をケーブル長が足りないこともあり、途中端子板を設けて別ケーブルから延長していたのを、
AETのTWINで直出しする。もたつきが無くなって、スッキリした音になる。
2.電源基板にDCを供給する部分のアースをケースに落とすと、電源基板が正常に動作しなくなる。DC48Vから基板の中で±15Vとアースを作り出しているのだから、元はフローティングで良いと言うことだろう。
3.オープンな音にするため電源部のトップカバーをはずすと、ノイズが増えるので、これは不可。扱う電圧があまりに小さいので当然か。

次の段階としては、
アルミ製ラックを東急ハンズでカットしてもらって造り、BDRのコーンを使ってそれに載せる。(現在は真鍮コーンでカーペット上から、スパイクを挿すようにしているが、重量が軽いのでスラブまで食い込んでいない。)
②JC-1 ACの
RCAジャックの交換。現行品は奥行きが小さいし、全体に接触が甘い。カルダスのロングタイプに交換する。
③JC-1 AC
本体の補強(5mm厚アルミ合金板を使用。)
④内部配線を
AETの4Nクライオ銀線に交換する。

これらでかなり音にスピード感が出てくるはずだ。

('03.12.27)午後、河口無線でクロックについての試聴会1ppm0.1ppm(水晶)だけでなく、T社のマスタークロックと同じルビジウムや10のマイナス9乗という超高精度水晶も試聴する。いろんなソースを聞くが、定位や音場、音の分離、低域など改善がはっきり分かる。なかでも、通常使われているノーマル(100~200ppm)1ppmの変化は非常に大きくて、0.1ppm以上になると音の数や深みも相当に変化し、音色的な要素もかなり出てくる。この辺はdcsエルガーの様な超高級DACでも、CECの廉価版DACでも、傾向は変わらない。また、それぞれの機器の持ち味もあまり変えないようだ。

1.
位相ノイズについて
 新しい要素として、
「位相ノイズ」という考え方が出された。クロックの中心周波数のまわりに、正規分布のようにずれた周波数がノイズとして発生しており、これがジッターの一部となって、悪さをする。そして、クロックの精度が上がると、位相ノイズも減る傾向があるので、音も相対的に良くなる傾向にあるらしい。面白いことにルビジウムは全体として位相ノイズは低いが、一部位相ノイズのピークがあるため、派手目に聞こえてしまうらしい。

2.クロックの打ち直しについて
 一旦トランスポートから出たデジタル信号は元のクロックと密接に結びついているため、クロックの打ち直しをしようとしても、PLLで制御するしかなく、短期的に多種多量のフィードバックがかかるらしい。その際、周波数変動が頻発する。人間はゆっくりした周波数変動には敏感でないが、短時間での変動には敏感なため、音的には大して良くならないそうだ。
 
一番良いのはトランスポートもDACも同じマスタークロックにすることだが、外部入力を持つ機種も限られるので、普通は送り出しのトランスポートのクロック精度を上げるのが効果的。またSPDIFなどは信号を合成しているため、いくつか余計な回路を通っている。伝送としてはクロック情報を別に送ってやった方が、位相ノイズ的にはベターとのこと。

3.高精度クロックの採用について
 これほどの高精度のクロックを作れるメーカーは限られており(日本にはない)、しかも精度を上げれば上げるほど、歩留まりが悪くなるので、量が確保できない。
0.1ppmの場合で、発注後3ヶ月かかり、その間に色々テストやチューニングをして仕上げている。値段も売り手市場でメーカーが強い。だから大手メーカーは分かっていてもクロック対策はやらないだろうし、別のところで精度を上げていこうとするだろう。あるいは、クロックの外部入力端子を着けるかもしれない。

4.フォーマットについて
 1bit・DSDは作りやすく、メーカーサイドとしては有利だが、自分としては16bitで本音は十分だと思っている。勿論、高精度できっちり合わせて、クロックも高精度のものを使った場合だが。しかし、その辺はクロックの換装で、CD、SACD、DVD
や映像も全て改善されるので、ユーザーの選択の問題と考えている。

  ゲート電子の正門氏は穏やかな語り口ながら、はっきりした意見の持ち主で、信頼できる人柄と見た。とりあえず持って行ったP-1AをI2Sの分析用に預けて、年明けにCD-16のクロック換装をお願いすることにした。

('03.12.26)JC-1 AC用のシャーシを入手したが、少し小さく銘板をそのまま取り付けられない。少し考えて、現シャーシを補強することに決断。東急ハンズに5mm厚のアルミ合金をカットしてもらいに行く。
 確かに外見まで変わったら、全く別物になってしまうしなあ。基板の取り付けをせめて6カ所くらいに増やして、その下にアルミ板を付ければ、かなり安定すると思う。
 後は、電源のアース接続の変更などもやってみるか。

('03.12.24)昨日のオフ会でJC-1 ACを聞いた結果、本体側の補強がまず必要だと分かった。BDRのコーンや重りを載せるのも一定の効果はあろうが、アルミ削り出しのケイダンスや、しっかりした造りのFM122などを触ると、超低電圧を増幅するのにそれなりの器に入れてやらないといけないと感じた。
 現用のシャーシは補強と言っても限界がある。いろいろ調べて
タカチのアルミケースで側板が80mm厚のものを見つけたので、取り寄せてみる。もし造りが良ければ、銘板のパネルは付けられるので、これに基板をそっくり移しても良い。できればオリジナルのシャーシを使いたいが、音のためなら仕方がない。
 あとケーブルも古いしAETのクライオ銀単線にしたいし、RCAジャックも甘い感じなので、この辺もカルダスに取り替えて、基板をもっと多くのポイントで支持するようにすれば、かなり音はソリッドな方向に行くだろう。
 総仕上げは、電源基板のデュアル化か。でもDACTの基板は輸入商社扱いでは高いからなあ。
 ま、この辺はそれくらいに止めておいて、27日の試聴会以降は
CDプレーヤーの「プアマンズdcs化計画」をスタートさせよう。といってもDSD変換は出来ないので、あくまでLPCMの範囲内だけど。

('03.12.23)川崎家でオフ会。特性が揃った2台のユニットが入手できなかったため、デモ用のD-Cube2を2台、2時間前から鳴らし始めたところに、鹿野さんと2人でおじゃました次第。いろいろ聞きながら調整を進めるところへ、試聴用に岡島さん製作のプラチナ1.4mm単線デジタルケーブルが宅急便で届くというタイミングの良さ。早速聞くが、これは凄い。みっしりと密度が上がって、音がよりこちらに来る。しかし、こちらのほうにはまるのは、川崎さんの本意ではなく、とりあえずデジタルは中断し、2人の持ち込み機器をアナログで聞いてみる。

 鹿野さん
FMアコースティックのフォノイコ122を持ってこられたので、川崎さんのケイダンス(お、重い!)をはずして、122を聞く。ジャニス・イアンのデビューLP。ソリッドな感じが和らぎ、繊細な響きになる。といっても、やはり非常に精密な音。美音。
 FM122のフォノ入力に、僕が持参した
JC-1 ACをつないで、元から付属の電源で聞く。一挙になごみ系の柔らかな音に変わり響きがずんと長くなる。でもこれは、レベル的にはケイダンスやFMに比べるのが失礼なような音だ。次に電源を今回自作の物に変えてみる。今度は情報量や見通しがアップし、お二人も「全然違う。」と評価してくださった。ただし、ジェフやFMを聞いた後では、まだ少し響きが長い。僕としては、もう少しハイスピードにしたい。原因としては、JC-1 ACのシャーシが航空機用アルミとはいえ、1.6mmとかなり薄く、基板も2カ所止めなので振動しやすいことだとあたりを付けている。そのままぽんと上置きしてならしたので、もろに振動の影響を受けたのだろう。我が家では、BDRのコーンを使い、上に重りをのっけているので、もう少しソリッドな音になっている。ほかにもあるが、この対策は改めて別項で。
 次に鹿野さんが持参された
コッターのMCトランスを聞く。FM122側の調整もあろうが、そのまま聞くと、トランスの粒立ちはあるもののやはり響きが長い。JC-1 ACと共通する年代を感じる。

 このへんで、アナログを一段落して、デジタルに戻る。岡島プラチナには未練を残さず(でもいいんだよ~~。)、
D-Cube2のレベルを少し下げてみる。すると、不思議や全体の音が立ってくる。これは、スイートスポット近し、ということでさらにほんの少し下げる。この日何回目かのカエターノ。うむ、これならいけるではありませんか。アナログでジャシンタのダニーボーイを聞くと、気配がとてもよく出て、D-Cube2のありなしの効果がよく分かる。やはりサブウーファーはアクティブに音の調整が出来るのが良い。

 NEUMAやセラ・ウナ・ノーチェをしみじみ良いなあと聞いたところで、川崎夫人の美味しい料理をご馳走になる。スペアリブも美味しかったし、パスタも美味。いや、美音と美味の2点セットには顔もほころぶしかない。誠に幸せな一日であったなあ。


('03.12.22)さあ、JC-1 ACの電源部のチェックをはじめる前に、カッサンドラ・ウイルソンのCDでもと思ったら、音が出ない。P-3Aをばらしたりしてみて結局出るようになったが、JC-1 ACの電源ケーブルの引き回しの時に、少し引っ張ったので、プラグの接触などが甘くなっていたかもしれない。パーペチュアルはこの辺が柔いのかも。
 
左の黒いシャーシがJC-1 ACの電源部。上はSOTAの電源。光っているのは、フラッシュの反射のお粗末。(山本さんの塾で教えてもらわなきゃ。)
 まずノイズ・チェック。以前より少し減っている。
付属のノイズフィルターを着脱式にしたので、聞き比べるとオンでは高い方のザーと言うノイズが明らかに減って柔らかい感じになる。エミネントのアームケーブルが一部むき出しになっているので、ある程度のハムノイズは仕方ないが、全体として耳に付きにくい感じになるのは嬉しい。

 さてLP。聞き慣れたところで、スティーリー・ダンの「エブリシング・マスト・ゴー」。バスドラムとベースの厚みが凄い。ズシッと来る。昨夜聞いて低域がふくらみすぎたらいやだな、と思っていたが全く大丈夫。ドヴォルザークの弦楽セレナード、マーラーのアダージェットなどオーケストラは素晴らしい。コンバスの深みやグランカッサの距離感、何よりもトゥッティ(全奏)でのエネルギーの凝縮感が凄く良いと思う。音が前に出て厚くなる。コルトレーンは厚みが増して良いと思うが、圧倒的なエネルギー感にはまだまだ。

 とはいってもまだ灯を入れたばかりだし、アース処理や一部ケーブルの引き回しなど、最終的な調整箇所も何カ所かある。もっとならし込んで、明日は川崎家でもつながせてもらって、バランスを取っていこうと思う。

※電源部の構成 (内部写真は最終でお披露目予定)

ハモンドのトロイダルトランス → TI(テキサス・インスツルメント)TL783三端子レギュレーター → DACT CT102電源基板 → AET TWIN

DACT(デーニッシュ・オーディオ・コネクト) CT102の主な性能

●最大出力電流 200mA
●ピーク出力電流 10A(1分間)
●出力には保護回路付き
●出力インピーダンス 

0.001Ω/1KHz
0.002Ω/20KHz   
0.006Ω/100KHz

●出力ノイズレベル(IHF-A)  -126dB


('03.12.21)JC-1 ACの電源部が一応完成。深夜のちょっと聞きでは、なかなか。詳しくは明日。

('03.12.19)気分転換にJC-1 ACの電源部の作製を進める。23日の川崎家でのオフ会に間に合わせたいが、無理をしても仕方がないので、成り行きで行く。回路的にはどんぴしゃで、電圧測定はOK。きっちり±15Vとれる。次は本体側のコネクタ加工で、実はこれが一番神経を使う。今のところ回路のアースはケースに落とさず、フローティングさせているので、アース処理をどうするかはヒアリング段階で決めることになる。
 作業しながらCDをいろいろ聞く。I2Sケーブルの効果はドラムのアタックのどきっとするような立ち上がりや、ベースやシンセの低音によく現れている。D-Cubeのインジケーターを見てもLEDの店頭レベルは高くないのに、深く彫り込むように低音が響く。全体としてアナログっぽくなって良いのだが、もっとそうなっても良いので、この辺は全体をI2S伝送にすればもっと良くなるだろう。
 27日の河口無線での試聴会でいろいろ聞いた上でCD-16の改造依頼を出すことにしよう。

('03.12.15)アメリカのリヴェレイション・オーディオから、I2Sケーブルが届いた。ノイトリック特注の端子は流石にしっかりした造りで、パーペチュアルのコンバーター間をつなぐと、カチッと言う手応えでささってくれる。
 深夜音量を落とした試聴だが、パット・メセニーのバリトン・ギターのつま弾きの細やかさや低音の深みがかなり違う。ピアノトリオを聴いてみると、シンバルの音がまるで違う。スティックの当たる音と、その後の拡散=ディスパージョンが綺麗に別れて聞こえる。ジャック・ディジョネットの繊細なシンバルワークや、ゲイリー・ピーコックの深いドローンがとてもいいと思う。100時間のブレイクインが必要だそうで、これからバーンインCDをかけ続けてもそこまで行かないが、音と戯れる会の例会に持って行こうと思う。
 I2Sケーブルを使えるのはパーペチュアルなどのコンバーターだけなので、オーナーとしては是非これらの機器の性能をより発揮させられるよう使ってみるべきケーブルではないかという気がする。

('03.12.11)昨日シカゴから届いたハイブリッドCD.。今一番のお気に入り。ポール・ヒリアー指揮/エストニア・フィル室内合唱団の「バルティック・ヴォイスⅠ」。バルト海周辺の国々の合唱曲を集めたアルバム。とにかく美しい。1曲目の「ダヴィデ詩編」など、1923年の作品だが、何よりもみずみずしい。2000年に作られた作品もあるが、とても柔らかい感性と民族音楽的伝統とが美しく溶け合っている。

 同時に届いたJ.コルトレーンの「至上の愛」LPのスピーカーズ・コーナー盤を、インパルス盤の180g盤と聞き比べる。インパルス盤の方が少し録音レベルが高くて、その分荒っぽいところもあるのだが、スピーカーズ・コーナー盤は安定して地に足が着いている。このサックスの音を圧倒的なエネルギー感(音量ではなく)で聞くにはどうすればよいのだろうか?

('03.12.10)「オーディオ・ベーシック」誌冬号が出た。何というか懐かしいデパートの食堂のような雑誌で、メニューがたくさんあって、大好きな定食やごひいきの優しいウェイターさんがいたりして、お客さんも様々で、こんな中からフランス料理を食べる人や、イタ飯を作る人が育っていくような雑多な活力があるような気がする。

 今年に入ってからの注目度ピカイチは
米谷淳一氏の「2003年の真実」。タイムロードでクロックなんか難しいことをやってるようだが、僕にとっては音の良さでこれまたピカイチのMAレコーディングスの録音機器のビルダー。例えば、僕が使っているDATデッキ D-07Aを改造したり、カスタムビルドのマイクアンプを作って提供している。
 凄く含蓄のある内容なのだが、この冬号では、デジタルについての思いこみをわかりやすく指摘している。例えば
一連の数字からなるデジタルデータという物は「仮想」だという。それは人間のイメージであって、物理的には「ただのアナログ信号」である。たんなる数学的情報ではなく、これらを音楽として「実体のある情報として再現するためにはアナログとしての取り扱いが必要」だと言います。
 僕流に言い換えると、自然界には「オーバーシュートもリンギングもなしにゼロ時間で立ち上がりゼロ時間で立ち下がる、完全なパルスは存在しない。」
不完全なパルスがいろんな非直線の物性を持つ物体の中を、表面を流れていくわけだから、何らかの歪みや欠落は避けられない。CDにターンテーブルを用いると音が変わるが、物理的特性では全くその変化は把握できないのだそうだ。米谷氏が言うように、現代は部品の物性をすら聞き分けなければならない時代になっている。それは間違いなく「アナログ的感性」だと思う。

 多分敬遠して読んでない人が多いと思うのだが、何回も熟読する価値は十分にある。連載が終わってしまうのが、大変もったいない。是非続編を読みたいのだが。

('03.12.9)パワーアンプ用の1Kw電源CSE FP-1000の付属電源ケーブルをAETの HIN-QUADに交換する。SN感はそのままに、わずかにふくよかなマイルド感が加わる。やはり全てをGAIAや SCR Lineにするのではなく、若干異なるキャラクターも混ぜた方が絶対楽しめる。
 思いついてプリアンプの上の重りを、先日まで常用していた、コンバックのレコスタに変えてみたら、響が豊かになるのだが、少しやかましくて、元の真鍮の重りに戻した。こんなわずかなことにも反応してくれるスピーカーがとても有り難い。
 いろんなLPを聞くが、ソースによっては響のゆとり感というか、踏み込みがもう少し欲しい。これはケーブルなどのレベルではないと思う。やはりバイアンプか。クイックシルバーには出力管をEL34に差し替えられる物がある。それを探すか。うむ。

('03.12.8)I2S(アイ・スクエア・エス)の続き
元々オーディオアルケミー(パーペチュアルの前身)のDACなどに使われていたインターフェース・端子。
5本の導体で4種のデジタル信号を伝送する。構成は
  1.
マスタークロック
  2.
ワードクロック
  3.
ビットクロック
  4.
データ(音楽信号)
  5.グラウンド(アース)  からなっている。
 つまり、
各クロック同期信号と音楽信号とが独立して伝送されるわけだ。

 75ΩのSP/DIFの場合は、これらの信号がミックスされた状態で同軸で送られ、DAC側は受け取った信号に同期しながら、44.1~176.4KHzなどの音楽データ信号を抽出して動作する。だから、伝送上で生じた信号の揺れが後段まで大きく影響するらしい。

 I2Sの場合は、結果としてケーブル伝送でのジッター(時間軸のずれ)が低下する。

 インターネットを見ていると、アメリカのリヴェレイション・オーディオで、

1.
導線はクライオ処理した5N銀単線
2.
絶縁材は中空テフロンを使用し、無酸素銀の表面酸化を防ぐために、内部に窒素ガスを封入してハーメチックシール(溶接密閉)
3.
各導線を個別シールドして内部に共通アース線をとった上に、全体を5層シールド
4.
スイス・ノイトリックの特注金メッキコネクター
につないだものをしたケーブルを、0.5m@$169、送料@20で売っていた。
 凄く良さそうな割に安いので、注文することにした。さて、結果はどうなるか?

('03.12.7)昨日、アサヒステレオの社長と話していて、バイアンプは是非やってみるべきだとの話になった。お勧めアンプは同じクイックシルバーか、ダイナコのMkⅢ。クイックの小型はどう見ても中古では入手できそうにない。ダイナコねえ。それなら、クイックをもう1セット使う方がよりピュアなバイアンプになる。インテリアの納まりからみて、これ以上、機械は増やしたくないし、虎の子の出力管を2倍のペースで消費していくのもつらい物がある。まあ、部品取り用と言うことでもう1セット入手しておくのもありだし、もう少し考えようか。
 CD-16のクロック換装の問題は思わぬところで、切り口が見つかった。パーペチュアルやオーディオアルケミーのDACを使っている人間くらいしか使った経験がない、
I2S(アイ・スクエア・エス)のインターフェース。音楽信号と制御信号を別に送るフォーマットで、パソコンのオーディオ・インターフェースとしては、自作派に使われている例が多いらしい。我が家でも、パーペチュアル付属のペナペナの安物I2Sケーブルが、AETのデジタルケーブルより情報量が多い音で鳴っている。検索をかけて調べると、アメリカではハイファイのI2Sケーブルが2つほどのメーカーから売り出されている。ならば、CD-16にI2S端子を着けてもらって、I2Sケーブルでパーペチュアルにつなげば、一番情報量の多い伝送ができるのではないか。うむ、面白くなってきた。

('03.12.5)東京からお客様が来られるので、カートリッジの消磁をして、PADのエンハンスメントCDを約8時間小音量でならす。バーンインと同じで、システム全体の消磁やチューニングをするわけだ。終わってから夜聞いて驚いた。特に低域の解像力がアップし、艶や深み、気配感がかなり向上している。むしろ低域が強く感じるほどだ。これに比べれば、昨日まで聞いていたのはかなりなごみ系の音という事になる。まあ、一度電源を落として時間が経てば、少し落ち着くだろうが。これから定期的にこういう事をやらなければならないことが、よく分かった。

('03.12.3)買ったままで聞かずにいたLPを今日は順番に聞いていった。最近はアナログという括りに中で余り触れられないが、輸入盤と国内版の音の違いはかなりある。
 LPを買ったとき、あるいは買う前に検盤出来るとき、最初に見るのはどこだろうか?勿論盤面が第一だが、僕は同時にインナーグルーヴの刻印をみる。ここで何回目のプレスか分かるレーベルは結構多い。例えば独グラモフォン。あるいは米コロムビアは1A、1B、1Cの用に表示され、これは1回目のスタンパーの何回目のプレスかを示す。1Cは三回目のプレス。といっても、1Cでも十分レアな盤だ。今回入手した中では、「ウイ・ウオント・マイルス」はB面(1D)を除き1Cのプレス。音がストレートで鮮度が高く、切れがよい。
 あるいはエミルー・ハリス「クオーター・ムーン」は「サンプル盤」つまり放送局などに宣伝用に配布するもので、当然初回プレスである。もっとも、後の市販プレスとは音や内容が変わる場合もあるが。
 今年新譜のスティーリー・ダンのLPもおそらく初回プレスだろうな。要はLPは録音にもよるが、どのラベルの、どの時期の、どのプレスのものを買うか、が音のかなりの部分を決めてしまう。といっても、バカ高いお金を出してオリジナル盤をありがたがって買うよりも、実質的に音や盤面の良い復刻盤を僕は選ぶ。要はバランス感覚だ。

※今回入手したLPは主に「オーディオファイルUSA」から。1Cなどの表示もあり、中古も充実。ただし、数が多いので全部見るのは大仕事。(以前は、細かく新入荷をメールしていたが、追いつかないので止めてしまった。)たとえば1ヶ月前までに限定してみるとか、「マイルス」のように検索をかけて見るのが効率的。

('03.11.30)心斎橋で傅信幸氏が出る試聴会。
ジェフの#201アンプがメインだが、氏の話と試聴ソフトが楽しみで聞きに行った。最初はアヴァロンのアセンダントという新しいスピーカーで少し聞き、殆どはウイルソンのシステム7で聞く。ややなごみ系の少しふくよかな音から、オーディオ的快感の感じられるよく締まった音へ。オールCDでいろいろ聞いたが、「シェーラザード」のラストのソロヴァイオリンはやはり少し硬い。このへんはLPの方がよいだろう。
 いろんな話が出た。ナグラの開発者が真空管好きで、会社内道楽でのんびり開発しているが、工場はぴかぴかでスイス・メイドのプライドを強く持っていること。ソナス・ファーベルのイタリア的なのんびりさと職人芸。
 中でも
デジタルアンプについての話が面白かった。低コスト・高効率で小さく作れることから、AVアンプでは急増しているが、高域のノイズが多くSNが悪いため、高能率スピーカーでは馬脚が出たり、まだまだ問題が多いこと。逆にサブウーファー用には適していること。
 NEUMA(ねうま)というヴォーカルとギター、アコーディオンのグループ、プレヴィン指揮のラフマニノフ交響曲2番がとても心にしみた。

('03.11.29)音と戯れる会の巡回試聴で、明日にはAETのデジタルケーブル(SP/DIFとAES/EBU)が届くようだ。来週には、アイワンのOTLアンプが届く。重なるのは楽しいような、きついような。
 デジタルケーブルの状況を見て、75Ωと110Ωの問題について、僕なりに整理してしまおう。買うかな?どうかな?クロックの換装はどうしようか?

 BSアナログ・Bモードで留守録しておいたフュージョンのライブ(フォー・オブ・ア・カインド)をDVD-Rに焼いて、音のみ聞いてみる。非常に良い。ブレーズ・シカゴ響のケルンでのライブもなかなか良い。拍手がスピーカーの外へ広がろうとする。放送でCDを上回る音声があるなんて、みんな知らないんだよね。これって、凄いことなんだけどね。

('03.11.21)高校時代の美術の先生には大きな事を教わった。いわく、『コップの写生の時には、コップの輪郭から描こうとしてはいけません。ガラスと空気の境目は光の境目であり、鉛筆の線ではないのです。だから、影を一生懸命描いてください。そうすれば自ずと形が見えてきます。』
 オーディオマニアはともすれば音の輪郭=エッジを立てたがる。エッジが立っている方がハイファイに聞こえるし、できるだけかぶり付きで、オンな音を聞きたいからだ。(実は僕もそれは大好きだ。)
 空気感は例えばスーパートゥイーターを加えれば確かに増す。しかし、スーパーウーファーを加えても増すわけだ。勿論内容は少し違うが。
 生のない音楽の場合と違い、生のある音楽は、実際の響き方を無視してはバランスを欠くことになる。生音ではエッジはあまり立たない。トライアングルやチェレスタは別として。
 もちろん音自体が「立つ」事は必要で、それなりの音量も必要だ。だから単に柔らかい音であれば良いというのではない。つまりはバランスだと思う。フワッと立ち上がる音は、ともすれば厚みを失いがちだ。どうやって様々な楽器が重なる豊な響きを出しながら音を立てるか。これは大きな課題だ。ひょっとしたら、バイアンプがその答えの一つになりうるかもしれない。

('03.11.20)気分がすかっとしないので、思わず「マーダー・スタイル」のCDの封を切った。故・朝沼予史宏士氏プロデュースのハードロックバンド。ほぼ1年前、彼が死ぬ数日前に大阪ハイエンドショーでJBL#4348で聞いた、血を吐くような鮮烈なヴォーカルとギターがまだ耳に残っている。ほぼ仕上がりというCD-Rでそのとき聞いた曲の入ったCDは、我が家ではそんなに尖った音にはならない事はよく分かっていた。だから、朝沼氏の思い出にCDを買ったものの、今まで封を切らなかった訳だ。
 予想通りヴォーカルの肉声感はあるが、あのときのカリカリと火を噴きそうな音は出ない。あのときJBLというのは「ハイプレッシャー・モニター」だとつくづく思った。音が立ってくる音圧というかボリュームがかなり高いところにあり、そのレベルを超えた音量ではホーンのエネルギーが生きてくる。その後、チック・コリアの「NYランデブー」をSACDで聞いて、ライブ録音の空気感がよく出ているので、我が家はやっぱりこういう音かな、と思った次第。

 疲れ切って脂汗を流すように講演していた彼の姿を思い出す。同い年の朝沼氏より、今年僕は一つ余計に年を取った。別に長生きしたいとも思ってないけど、生きていられるのはやはり有り難い。

('03.11.19)ワイオミング州シェヴォイガンのチューブ・ワールドから8417のペアチューブが届いた。早速左chのパワーアンプに挿してみる。左chの出力管は当初は測定値も揃っていて、ノイズも少なかったのだが、最近かなりハムが耳に付くようになってきた。クイックシルバーにはバランス・ボリュームが無い。シンプルな動作を保つために、バランスは取らない、という頑固さの現れだ。そのため、ペア管のバランスが崩れてきたら、差分がノイズになってくると言うわけだ。いわば、アンプがこの球は変えた方がいいよ、と情け容赦なく蹴飛ばすようなものだ。
 右chの球は、てっぺんのゲッタ膜が無くなってしまい、これは真空度低下で時間の問題かと思ったら、しぶとく持っているしノイズもあまり増えていない。
 真空管が生き物だというのはこういう事で、使用中に少しずつ変化していくわけだ。しかし、だからといって左右のバイアス電流が5%違っても、音の方は殆ど変わらない。多少バランスが崩れても平気で動く。この辺が管球アンプのテキトーというか大らかなところだ。大体音楽のピッチだって、終始変わっていくわけで、その揺らぎ自体も音楽なのだ。

('03.11.18)「音と戯れる会」例会は濃い内容だった。特にカートリッジにはいろいろ感じる物があった。EMT(針を痛めてしまった。グスっ。)も立派な音だがトーレンスと同じように表現するものの志向が異なるし、この間、どうやら僕の探している音のするカートリッジは無いのかな、とおもっていたら、どうやらそれらしき物に出会ってしまった。ライラのTITAN.。解像力が高く、しかもぐっと押しの強い音。でも45万円だもんなあ。別の世界の音と思う方が健全なんだろうが。そのうち我が家で聞かせてらえる日が来るかもしれないので、当分は考えず、JC-1 ACの電源などに取り組む事にする。
 「音と戯れる会」でわけてもらったLPが今日届いたので、何枚か聞く。菅野沖彦さん録音のピーター・ケイティンのLPも入手できて嬉しかった。なかでは、DENONのPCMシリーズの音がみずみずしく素敵だったが、やっぱり国内版と輸入盤の音の違いはかなりあったなあ。

('03.11.14)左の写真はシカゴから届いたSOTAアナログ・プレーヤーのレフレックス・クランプ。上のレバーを倒すと、内部のコレットチャックが締まってセンタースピンドルに密着し、LPをアクリルマットに押しつけて安定化する。
 これまでは、コンバックのレコスタを使っていた。重さでLPを押さえ整振する形で、それなりに音も良かったが、このクランプに変えて驚いた。こっちの方が音がずっと早いのだ。
 コンバックに戻すと、テンポが遅くなったように聞こえる。SOTAだと豊かさは少し減るが、細部がずっとよく聞こえる。材質をマットとコンビで決めているため、レコードの振動がうまくコントロールされるようだ。

 やっぱり純正品はチェックしておくべきものだ。まだまだやることはある。

('03.11.2)大阪ハイエンド・オーディオショーに行く。これといって凄いと思ったのは無いが、三浦孝仁氏のクレルLATなどの講演は、LATの質の高さは勿論、SACDなどの情報満載で面白かった。いつもながら、この人が鳴らす音量はセンスが良い。他のブースのこれでもか、というのとは大違いだ。ゴールドムンドのフルシステムもスケールと精密感が独特のバランスを持っていて、良い感じだった。
 一つ凄そうなカートリッジがあったが、まだ全貌がよく分からない。でも30数万円らしいから、耳にする機会はまず無いだろうな。

('03.10.29)バーンスタイン&NY響のマーラー9番を掛けてみる。コロンビア版でやはりハイ上がりな所はあるが、案に相違して非常に落ち着いた真摯な演奏。音もなかなか良い。いやあ、EMTが好調になってきた。アームの設定はZYXのままなのだが、そんなことは特に感じさせない。付け替えて音が変わってくると言うのは、ひょっとして、アームパイプから出ているケーブルのプラグとアーム本体側の端子のコンタクト辺りが原因かもしれない。カチッという感じで挿さったのは、これまで記憶にない。
 ま、いずれにせよ、気持ちよく音楽が聴けるのは有り難い。問題はディスクによって好不調の波があることか。

('03.10.28)昨日、シカゴ響で聞いたマーラー9番を掛けてみる。バーンスタインは少し派手気味な感じで敬遠し、クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアで聞く。EMTは今、凄くよくなってきたし、コントラバスなんかも良いのだが、やはりLPのSN感が問題でもどかしい。全集盤のプレスの良否もあろうが、オリジナル盤もSNについては限界があるだろう。
 これについては、SACDを探す他はなさそうだ。EMTは調子いいんだけどな。

('03.10.20)戯れる会の前くらいに東京の是佐さんの所におじゃまできないか、メールでお伺いした際に、HPがらみでDDのクオーツロックの件について少し書いたところ、HPに転載したい旨お話があった。クオーツロックも一種のフィードバックで、どこまでモーターを制御するかというのは制作側のポリシーによる。直接にはDP-80だけの経験だし、DDはじめ各方式やワウフラなどの関係もあるので、一つの推測程度の話として、了解した。世の中にはいろんな方式の機器があり、特にアナログはいろんな要素のバランスで成り立っているようなものなので、決めつけは難しい。また、そこにいろんな使いこなしの工夫や喜びがあるので、あれやこれや取っ替え引っ替えパッと決めでなく、じっくり落ち着いて行く方が良いと思う。要は自分のイメージする音に近づけられるかどうかだ。

('03.10.15)JC-1ACの電源製作のためケーブルを仕入れに行って、ハイビジョンなどの話をいろいろ聞く。8万円を切るビクターのD-VHSで見るハイビジョン録画の綺麗なこと。テープも安く約50GBのD-VHSはDVDの10倍の容量。i-Link直結なのだが、そのクォリティを十分に再生するにはディスプレイの側にもハイビジョン対応のコンポーネント入力端子などが必要になる。うちのPianoはDVI入力はあるもののパソコン用であり、コンポーネント端子もハイビジョン対応でないので、D1レベルでしか再生できない。今のところコピープロテクションなどの関係もあるので、デジタル入力対応機種は限られているとのことらしい。しかしこのクォリティは素晴らしい。

 ま、ホームシアターはDVDで映画を見ることで割り切る、という感じだ。DVDの音には期待などできないのだから。

('03.10.13)久しぶりにZYXでLPを聞く。この間の電源などの調整が功を奏して、厚みや情報量が増えている。U2、ベン・ウエブスター、リターン・トゥー・フォーエバー、イーデン・アトウッド。スピーカーズコーナーの復刻版「ブルースの真実」はかなり厚みもある。おそらくインパルスの180gよりも良いだろうが、「ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」がここから出るとは思えない。デモ、ひょっとしたら、いろいろ追い込んでいったら、ZYXでコルトレーンが聞けるかもしれない。
 アサヒステレオに聞くと、HSD-6は馬鹿重いわけではないので、エミネントで使えないという事ではないそうだ。ただ、相性というものはあるのかもしれない。ただスピンドル交換はもうやっていない可能性が高いらしい。悩ましい。うむ~。

 CDでは「」セラ・ウナ・ノーチェ」にはまっている。ペドロ・アズナールのヴォーカルが何ともいえず良い。チック・コリアのNYランデブーも楽しみてんこ盛りだ。
 明日からは、残るR-100の電源ケーブル等の交換をして、JC-1ACの電源製作に取りかかろう。

('03.10.10)いろいろオーディオのことも考えながら、あまり先へ進む気分になれなかったこの頃だったが、来週のプライベート上映会に向けて映像の対策も大体終えたし、音楽のほうに戻っていこうと思う。いろいろやってもDVDの音はたいしたことないし、ハイビジョンと言っても今のところは比較の問題だ。要するに映画を家でかなり楽しめる状態になった、ということで良しとしよう。

 もう一つ、思い切ったのがEMT HSD-6の事。かなり鳴るようにはなったのだが、ZYXのようにはっとさせるようなところが少ない。もう少し、と思ってやってきたが、どうもエミネントとの相性もあるような気がする。単にサックスをブローさせたいだけなら、ひょっとしたらシュアーでもいけるかもしれない。
 ということで、アナログがいまいち楽しくなかったので、ZYXに戻す。オリバー・ネルソンの「ブルースの真実」も届いたし、アナログをちゃんと聞くぞー。

('03.10.9)AET HIN QUADをプロジェクターの電源に使用する。全体の肌理が細かく、しかもコントラストとは違う形でより鮮明になる。
 和室のHDD-DVDレコーダーにHIN TWIN、液晶ディスプレイにHIN QUADを使用する。これも精細感が大幅に増して、ハイビジョン映像などとても良い。音に効くものは映像にも効くのだ。
 もし、アイソレーション電源など入れれば、さらに良くなるだろうが、オーディオ用のものの耐用年数切れを回す程度にする。やはりメインはオーディオだ。

('03.9.30)

P-1AとP-3Aについて(続き)

 分かりにくいかもしれないので整理すると、
1.常時通電と都度スイッチオンでは音質の差は余り感じられない。
2.橙色のランプがついたままでフリーズする、など誤作動は電源オンの時に生じる。コンセントを挿す、あるいはCSE R-100でソフトスタート気味に電源オンするとき。
 ⇒よって、p3に電源スイッチを付けてオンオフする。ただし、出来るだけ素早く一瞬で入れないと誤作動しやすい。この点に気を付けるようになってから、誤作動は殆ど起こらなくなった。

3.誤動作したら一旦電源オフして再起動しないと戻らない。

考えてみれば、コンピュータなのだから、当たり前の話で、常時通電は誤作動回避のための手段と思われる。

P-1AとP-3Aの間の接続ケーブルとインターフェース

 以前から、デジタルケーブルをいろいろ聞き比べているが、AETのDG75ケーブルと比較しても、P-1AとP-3A間の接続は付属のI2Sケーブルが一番良いと思う。細くて安いケーブルだと思うし、5ピン端子も細くてチャチな感じだし、実際時々接触不良が起きるのだが。
 インピーダンス上は最も安定したXLR=110Ωで試してみたいと前から思っていたのだが、バルクで買えるAES/EBU 110Ωケーブルはほとんど無い。そこで、カナダから届いたDH Labsのシルバーソニックケーブル【AES/EBU 110Ω】と、手持ちのノイトリックの金メッキXLRプラグでケーブルを自作し、I2Sと聞き比べる。結論から言って、AES/EBUはSPDIFよりはかなり良い。I2Sと一聴殆ど遜色がないが、よく聞くと少し密度が薄くなり、漂う感じはあるのだが、びしっと決まる感じが少し弱い。何かの時のバックアップ用としては十分使える。まあ、1フィート4ドル50セントのケーブルなので、逆にそこまで使えれば十分すぎると言える。
 「音と戯れる会」でマイナーチェンジしたAETのデジタルケーブルの巡回試聴をしてもらえるので、XLRタイプ(110Ω)も加えて頂くようお願いした。さて、どういう結果になるか楽しみである。

('03.9.29)パーペチュアル・テクノロジーズのDDコンバーター P-1AとDAコンバーター P-3Aについて。

 
他の機器もそうだが、電源を入れっぱなしにするかどうかはいろいろ悩みチェックして決めている。入れっぱなしにすることにより、ケミコンの劣化は確実に進むし、電気代もかかる。うちの場合、管球式なのでアンプははなから除外。いろいろやってみると、ヘッドアンプ(JC-1AC)は入れっぱなしの方が音がよい。
 SACDプレーヤー(SA-12S1)はスタンバイでも、オフにしても大きく音質の変化はない。勿論、スイッチオンして一定時間後だが。


 問題はP-1AとP-3A。我が家の電源CSE R-100はややソフトスタートなので、R--100でスイッチ・オンすると、実質的にはマイクロコンピュータであるP-1Aは橙のランプがついて誤作動することが多い。さりとて、常時オンしておくとR-100やP-1A、P-3Aのケミコンなどが消耗する。そこでいろいろやってみて、専用電源p3にパワースイッチを付けてオンオフすることにした。ただし、ゆっくりオンすると、エラーになることが多い。出来るだけ一瞬でスイッチを入れなければならない。

 結局P-1Aは24bitではロックできず、20bitで設定している。P-3Aで24bit/96kHzになるわけだ。かくして、JC-1ACをACスルーで事前オンしておく他は、都度スイッチオンのままにしている。


('03.9.28)ここ何日か、仕事の合間を縫いながら、パワーアンプの電源ケーブルのACプラグをAETのロジウムメッキ&クライオのものに換えたり、プリ・CD・LP用のCSEのアイソレート電源Rー100(2台)電源ケーブルを手持ちの余り物のGAIAやTITANに順次変更している。今日は壁コンセントから5m余りひっぱっているRー100(2台)用の電源ケーブルを、AETの新製品HIN Quadに変更した。

 
プリやCDの電源装置のそのまたACケーブルなんて音変わるの?という感じだが、かなり効果あり。一言で言って「情報量が増える」(またかよ~)。すこしきつい感じはあるのだが、過去の経験でこれは時間とともに納まってくるだろう。
 朝日美穂のHoliday(CD)の終わり間近でも、右側でつぶやくように入っている声がはっきりと聞き取れる。

 驚いたのが、キース・ジャレットの”Concerts”(LP3枚組)。3面のミュンヘンPart1を聞いたのだが、上の階で誰かがドスドスとはねている。よく聞くとキースが足でステージを叩いているのだ。D-Cubeの効果がはっきりと分かる。いやあ、情報量アップというのは恐ろしいものだ。コンセントもクライオならケーブルもクライオにした方が、電流の流れがよりなめらかになるのかもしれない。
 とりあえず、思いつくところ全てやってみて、それから音を整えていこう。


('03.9.26)オーディオ日記はたまにしか更新しないが、だからといってオーディオをやっていないわけではありません。当初は山本さんのHPのようにオーディオ中心で行くつもりだったが、いろいろ経緯があって、近況報告中心に更新している。

 さて、左の機器は何でしょう?ベンツ・エセティックスのカートリッジ磁化防止装置(ディマグネタイザー)。フォノケーブルのLRのプラグを、このジャックにさしてスイッチを押すだけ。ランプが消えたら完了。電源は9V電池が2個。価格は$179+送料.
 昔、ラックスで同じようなのを売っていたのを、よく覚えている。こんなアクセサリーを豊富に入手できないのが残念だ。僕は、アメリカのアコースティック・サウンズから買った。

 EMTでやってみて音を聞く。これはかなりの効果。切れが良くなって、明らかに情報量が増え、エネルギー感も向上している。
 マニュアルでは週1回程度の処置を勧めている。また、Lだけ、Rだけで処置するのも効果的とのこと。
 今度はZYXでやってみよう。これだけ変わるのなら、継続使用する効果は大きいと思う。


  カッサンドラ・ウイルソンの"Traveling Miles"
  【マイルス・デイヴィスの曲に彼女が歌詞をつけたもの中心の2枚組LP】

 前作の"Belly of the Sun"もダイナミックでしかも暖かめの音が詰まっていて良かったのだが、この最新盤はそれを一段とスケールアップした感じだ。彼女はしっかりペースをつかんだのだと思う。聞いていると、なんだかとても充実した気分になってくる。
 もちろんCDもあり。写真はCD用ジャケット写真。



('03.9.24)なんだかんだで時間が無くて、JC-1AC用の電源のシャーシをようやく今日注文した。PSLより少し大型になってしまうのはご愛敬。ひょっとして結果が良かったら、電源基板をもう1枚追加して、LR別供給も可能になるようにしている。問題はむしろXLR端子を着ける本体側の加工か。注意してやらなくては。まあ、世の中改造JC-1ACが結構出回っているので、何とかなるだろう。

('03.9.11)朝からシステムを暖めて、昼から本格的にEMTを聞く。『リターン・トゥー・フォーエヴァー』でのアイアートのパーカッションの生々しさ、スタン・クラークのベースの粘りと量感。エネルギー感も良い。グライダーで聞いたときにはあまり印象が無かった、キース・ジャレットのベルゲンツでのソロ・ライブも凄く歌っている感じが出て見直した。解像度的な情報量ではZYXの方が上かもしれないが、彫りの深さというか音の実在感が良いと思う。
 クラシックは当然良いはずだと、東京カルテットのハイドンだけにしたが、この風格は何だろう。これなら、もう一方の雄として、ZYXと十分併用できる。
 エミネントやSOTAの調整が面倒で腰が引けていたが、ひとつひとつ活きるようにちゃんと調整してやらねばならない。手を抜いてはいけないということだ。

('03.9.10)EMTのカートリッジがようやく歌い始めた。というよりも、こちらのの調整不足だったようだ。

 今夜、前の職場のスタッフが12日のYes公演のチケットを持ってきてくれた。彼はAAC5.1をやってる、バリバリのデジタルマンなので、ZYXのままにしておいた。
 彼が帰った後、パイプ毎EMTに交換して、サウンドハウスの厚木さんが言っていた『これを使うんだ、これで聞くんだ。』という気合いで、アームをEMT用に調整し直した。

 その後、大きな調整不足に気づいた。EMTはZYXより10g近く自重が重い。つまりその分サブシャーシが沈み、フローティングのためにスプリングが上下するアローワンスがごくわずかしか無い状態になっていた。つまりほとんどフローティングしていない状態だったのだ。改めて、調整し直してから鳴らすと、明らかにエネルギー感が違っている。深夜なので音量を上げて確認できないが、1mVの高出力を感じさせる鳴り方だ。
 そうか、常に全体をチェックして最適かどうか確認しなければならないんだった。猛省。



('03.9.9)カナダのパーツコネクションからトロイダルトランスやダイオードなどが届いた。これでJC-1AC用の電源のパーツがほぼ揃ったが、いろいろと忙しくてレイアウトやシャーシ選定をしている暇がない。ホームシアター用のスクリーンが届いたら、その取り付けの段取りもしなければならないし。おそらく、15日横浜でのジョアンの公演から帰ってきての事になるだろう。
 考えてみると、ここ数日あまり音楽を聞いていない。ま、こんな事もあって良いだろう。

('03.9.3)今日は上映会の準備があり、その時映像・音響のプロの方から非常に参考になる話を聞いた。
 主に映像伝送のインターフェースとケーブルの話だったのだが、当然デジタルケーブルと相通ずる話だ。
 
【内容が不正確だったので、9.6に修正しました。】

1.本当に75Ωのコネクタは1種類のBNCしかない。

 実際に75Ωになっているのはの75ΩのBNCコネクタだけ。つまりRCA端子も低周波オーディオ信号用であり75Ωでは全然無い。いわば「なんちゃって75Ω」である。D端子も同様。
 ではどんなBNCか?左の写真はLANのイーサネットに使われるBNCでこれは50Ωで駄目。
 
右の接点部に絶縁体のないタイプが75Ω用。もちろんケーブルも75Ω同軸を使ってはじめて75Ω伝送になる。

2.なぜ75Ωなのか?

 要は端子もケーブルもインピーダンス・マッチングがちゃんと取れていないと、そこで反射やロスが発生し、正確なデータ伝送ができなくなる、ということ。
 だから業務用の110ΩのAES/EBU規格ではXLR端子でマッチングが取れていて良いのだが、問題はBNCコネクタ入出力端子を備えていない家庭用機器のの75Ω接続。

3.実際の使用方法

 DVDプレーヤーなどの映像出力としては、BNC端子はまず使われていない。RCA端子ほそれ自体75Ωではないので、コンポーネント出力のRCA端子にRCA-BNC変換コネクタ付きのBNCケーブルを接続するのも、その時点で「なんちゃって75Ω」になってしまうので厳密には不可。だからといって同軸ケーブル直出しなどの改造は保証外となってしまう。
 機器側にBNC端子がない以上、整合は取れないことになる。ということは、デジタル・オーディオではXLR端子があればそれを使い、きっちり110Ωのケーブルを使うのがいいと思われる。


4.デジタルケーブルはどうよ?

 以上の話をふまえてデジタルケーブルを見ると、殆どが落第のようだ。幸い現用の「ワンダーリンクⅠ」は特別な設計のアダプタ付きのRCAプラグを備えており、インピーダンス整合は取られているようだ。
 
そして左の写真だが、評判の高いAETの"UR DG 75"を見ると、普通のRCAではなく、特殊な構造のコネクタを備えているのが見て取れる。
 「最近のハイサンプリング、ハイビットフォーマットやクロック信号伝送時には、インビータンス整合が重要なファクターです。
整合の取れた製品を使わないと、エラーやジッターに悩まされます。」という小原氏の説明は、きっちり75Ωが必要だということを意味するようだ。

 AETのHPには5CFBなどを使った、デジタルケーブルの自作の話が載っているが、そこでもRCA-BNC変換コネクタが前提だ。(端末処理により驚くほど音や特性が変わるそうで、そんなに甘い話ではないが。)

 ただ、ケーブルがめでたく75Ω対応だったとしても、機器側の端子自体が75Ωでないなら、不整合となる。しかし、これらのケーブルの音を実際に聞くと、ケーブル自体の整合が音に大きく影響することが推測できる。


 そうか、ようやく分かった。
専門家に本音を聞くのは本当に勉強になる。


('03.9.1)
31日は「戯れる会」の例会。定員一杯の盛況で、内容も大変濃かった。カートリッジやフォノイコなど、とても参考になったし、管球シングルアンプも驚くとともに考えさせられるところが多かった。ただ、顔と名前が一致しない人もいるので、早めの時間に自己紹介などできたら、もっと良かったかな、と思う。いずれにせよ、新しい人とのつながりが増えていくのは大変楽しい。反面、HPの書き方なども含めて、注意し気を付けていかなければならない事もあると感じた。
 
 翌1日は久しぶりにアキバへ。結構駅前の店の様子などが変わっているが、ラジオデパートなど健在だったのは嬉しかった。ダイナ・サウンドハウスに厚木さんを訪ねる。いやあ、濃くて面白い話を一杯聞かせて頂いた。やっぱりオーディオは人だと思う。

('03.8.27)EMTのHSD-6の鳴らし込みが進まないので、ZYXに戻す。これ、これ、こうでなくっちゃ。ドゥービー・ブラザースはやや泥臭くも切れ味よく、イ・ムジチの弦はさわやかに広がる。久しぶりに聞くと、ありがたみが分かる。

('03.8.20)東京からDACTの電源基板とACフィルターのセットが届く。基板には3種類のレギュレーターが取り付けられており、これで4万8千円とは思えないくらいコンパクトだが信頼性は高そうだ。フィルターはACコンセントにプラグを挿す一方、基板の入力部にパラに接続し、”Special Low Pass EMI Filter”として電源の高周波ノイズをカットする。アクティブフィルターという気もするが詳細は分からない。

 現在の計画では以下のパーツで構成する予定。

トランス:Hammond Troidal 30VA(PLSと同じ容量)
ダイオード:GI SF4007 ファースト・リカバリー
整流コンデンサ:Solen ポリプロ・フィルム 100V100μ 他
レギュレーター:TI TL783
ケーブル:AET~GAIA、TAITAN
配線材:Cardas リッツ線、AET クライオ純銀線 他
キャノン端子:JAE

 カナダのパーツコネクシオン、米テキサスインスツルメンツ、若松電子などに発注しなければならない。シャーシはタカチの予定だが、パーツが揃ってからサイズを出して発注する。
 今日は体調が悪いので、明日以降のことにしよう。
 ミュージックダイレクトにも注文しなくちゃ。

('03.8.17)昨日のML-1Lは本当によい刺激になった。特に、センターから離れている位置で聞いても定位感が分かる音像の小ささは、以前ウイルソンSystem7で経験したのと同じ傾向だった。昨夜、同じディスクを何枚か聞き始めて、ミュージック・リファレンスは音場がかなり広くなっていることに気づく。スピーカーの間と言うよりもっと広い範囲で大きめの音像がそれぞれ定位する。右サイドに座ると、右にいるコルトレーンのサックスが主として聞こえ、右SPだけが鳴っている感じになる。これで良いんだろうか、と思いつつセンターで聞くと全体の中でそれぞれの楽器が位置はくっきりと、しかし空気感は少し重なりながら定位して聞こえる。まあ、ジミー・ギャリソンのベースが薄くて、ML-1Lのような凄みには乏しいが、この辺は難しいところだ。

 中世のトルバドール音楽、ECMの「プロエンサ」のレコードは凄い。広大な音場空間にヴォイスとハープ、リュートなどがはっとするナチュラルさで定位する。こういうのを聞いていると、結局広い音場にひたすらこだわってきた成果なのかもしれないと、思い始める。ML-1Lに使われていたIMBのコンデンサは、以前ミュージック・リファレンスで使われていたRelcapに非常に近いモノだ。そこから、MIT、VTV、Auricap、DynamiCapと変遷を重ねてきた経緯を考えると、こういう音場感が出てくるのは当然の話かもしれない。ヘンデルの「水上の音楽」は鹿野さんが言うように、ミュージック・リファレンスの方が雰囲気が出て良いと思う。
 ぎゅっと凝縮した音像が定位していく緻密な音場か、空気感をまとった音像がクロスオーバーしながら定位していく広い音場か、どちらも良いのだが、後の方が今のバランスではくつろげる。

 はてさて、もう一つ部屋があればもっといろいろ出来るのだろうが。

('03.8.16)鹿野さんがML-1Lを抱えて遊びに来てくださった。
 一月ぶりに我が家の音を聞いて、「ノイズフロアーが下がっている感じがする。」と言う。耳の良い人だ。実は先月聞いてもらったときのCSEの電源R-100は経年変化で、出力電圧が109V(プリ)と106V(デジタル等ソース機器)になっており、そのオーバードライブのため結構イケイケの音になっていた所があると思う。100Vに再調整して戻ってきたら、結構端正な音になっていた。

 さて、憧れのML-1L。かっこいいウッドケースをはずすと、透明アクリルの天板から中が見える。何という精密感と高級部品。マニア心をそそられる。レモ⇔RCAの変換端子(スイス製)が2セットだけだったので、LPを聞くことにする。AETのケーブルは硬いし、きちきちの長さなので、臨時的なセッティングしかできないが、とりあえず聞き始める。
 精細で彫りの深い音。音量を上げなくても十分音の姿が分かる。鳴らしこんでいくに連れて、深みや低音感が増してくる。中高域に独特の個性があり、鳴らした中ではジャズ系の方がよく合っていた。
 ただ全体としては少しきつい感じがある。酒を飲みながら聞く音ではない。我が家は柔らかめの音のアンプを、堅めの音のケーブルで繋いでトータルのバランスが取れており、AETのケーブルでは「ハーシュ」な感じが強く出てしまうのだろう。これを使うとしたら、全体のバランスを取り直すつもりで、相当の気合いを入れねばならぬ。ケーブル類にも悩み倒すことになるだろう。まあMITのケーブル再登場かもしれないが。第一、ヘッドアンプは要らないことになる。うむ~~。 考えても仕方がない。まあ、こういうものは「出会い」と「緊張と緩和」なので、これから出会うかどうかは分からない。たゆたゆと流れていこう。

 今日は良い経験をさせて頂いた。これから「欲張り義兄弟」で東京極悪人巡り(どんなツアーやねん?)をするときには、同道させて頂くようお願いする。面白そうだなあ。

('03.8.15)CSEの電源がやっと帰ってきた。やはり精密感のある音は良い。商用電源直結のハラハラするようなのも、それはそれだが、音のグレードはこちらの方がずっと上。

 HSD-6はまだ全然ほぐれない。どういうわけかECMレーベルとは相性が良いのだが。当分このままだとちょっと面白くないかな。ZYXの4倍の出力電圧なのだが、むしろ低い感じの音量感も納得がいかないが、ここは素性を信じてブレイクインを続けよう。
 明日は、森内さんがML-1を抱えて遊びに来てくれる。その後、河口無線のアブソリュート・クロック・コンバーター試聴会へ一緒に行くかも。

('03.8.14)今夕、HSD-6を聞いた。
 最初はくすんだ感じで始まり、ディスク毎にエネルギー感のばらつきや、鳴り方のムラがあるのが気になったが、使用10時間とのことなので、まだブレイクインの途中と見るのが正しいと思う。
 そのまま鳴らしていくと、少しずつほぐれてきた感じで、特にキースジャレットのピアノ(Facing You,1972)などは、非常に彫りの深い音で、他にもドラムスやベースの音など、凄みを感じさせる所も見えてきた。
 全体としては、やはりこくのある傾向の音だと思う。ワインで言えば、シャトー・ヌフやエルミタージュあたりのような感じか。いずれにせよ、オルタナティブな音をもう一つ持てそうだ。

 まだ電源も帰ってきてないし、評価はこれからだと思う。当分は、パソコンなど叩きながら、慣らし運転で行こう。

('03.8.7)東京の山本さんがトーレンスのカートリッジMCH(Ⅰ or Ⅱ?)を使い始めたので、そういう手があったかと気づいた。エミネントのパイプがもう1本あるが、グライダーやデンオン、テクニカは着ける気にならず、オルトフォンMC20スーパーも性能的に不安がある。シュアーもいちいちつなぎ替えねばならずペケ。情報量が多いのを前提として、もっと傾向の違う、よく歌うものが欲しいところだった。
 眠れぬ夜、つれづれなるままにGoogleで検索すると、キャッシュ画面だが使用10時間・半額でEMTのHSD6を譲るという話。多分もう売れてるだろうと思ったが、念のためメールしたら手元にあり、譲る、という話。
 このところ散財しているので悩んだが、半額なんて機会はまずないだろうし、購入の連絡をする。
 来週CSEの修理完了と相前後して入手できそうなので、楽しみが増えた。機会を見て、戯れる会に持って行ってもよいかな。

('03.7.30)シカゴのミュージック・ダイレクトからLPがどっと届く。電源修理中で聞けないのが残念だが、同封のカタログを楽しむ。LP、CDだけでなく、アナログ関係を中心に、ターンテーブルやアーム、アクセサリーなどが満載されていて安い。アームなんかはいろんなメーカーのモノがあり、どれも欲しくなってしまう。ウイルソン・ベネッシュの「サークル」やSME#10まで乗っていて、ロンドンで現物を初めて見たことなど思い出す。2台目のプレーヤーなら「サークル」がいいかな、などと考えてしまう。SOTAのクランプ、Sビデオのケーブルや、MCカートリッジの消磁機、ケーブルTVのアンテナ・アイソレーションまであって、今ほしい物が大体ここで揃う。ま、どれもごく安い物なので助かる。

('03.7.29)CSEのFP-1000が煙を上げて故障。またかよ!?!前回は急がせたから応急処置だったのか、それにしても2月からこれで3回目の故障。テッテ的に直すよう依頼して修理に出す。
 ついでというか、プリアンプと前段機器用の2台のR-100も、経年変化で出力電圧が上がっていたので一緒にドック入り。プリ用のなど109Vになっていたので、調整すると音が変わるかもしれないが、長期的なことを考えると直しておいた方がいい。

 それにしても音楽を聴けないのはつらい。HDDに録貯めてあるWowWowの映画でも見ようか。いやいやコンピュータの勉強をしなければ。

('03.7.26)朝日日曜版に雑誌「レコード・コレクターズ」の編集長の記事。「熱心な音楽ファンの二極分化が進んでいます。好きなアーティストのアルバム(CD)を、音は変わらないのに、ジャケット違いで集める人。一方で、ネットから自分のお気に入りの曲だけを集めて、MP3プレーヤーなどに何千曲とためこむ人。モノが増えていくグループと、オトしか集めないグループ。これにどう対応していくかも、悩ましいですね。」
 今風にはこうなんだろう。しかし、僕らオーディオに携わる滅び行く人種から見れば違う。「データだけ集めて、オトの違いに関心がない人たち」と、「CDなどモノだけ集めて、オトの違いに関心がない人たち」、「CDなどモノを集めて、そのモノから出るオトの違いに関心がある人たち」の3分類か。

 確かにパソコンが全てのメディアの出入り口であっても、全くおかしくない。しかし、データと言っても最終的にはモノが音を出す。その事が重要だと分からない以上、結局オトと音楽の関係には気が付かないことになる。音楽も単なるデータ、情報の一つに過ぎないことになる。コストを重視すれば、容量優先で圧縮する。キャパを活かさない。寂しいことだ。
 僕はちゃんとした音、いい音の聞けるi-PODが欲しい。

('03.7.23)HPの書き方でこの間大反省をする。日記替わりに残しておきたいというのはあるが、確かに誰が見ているとは言えず、人が関わっている情報は、まず考えてから書くかどうか決めるべきだ。それが公に関わると言うことのはずだ。肝に銘じる。

 一方、当分音いじりはしない、などと言いながら舌の根も乾かぬうちに、アイデアを思いついてしまった。SISのHPを見ていたらマークレヴィンソンのPSL電源(s)と出ているではないか。すぐ問い合わせしたら、JC-1ACに着いていたもので、定電圧ではないとのこと。それなら今と同じで、手に入れるほどのことはないな、と思いながら検索をかけてみると、PSL150~153電源は単体ではマーケットに出ていない。ACケーブルやプラグも込みで替えたら、凄くいい音になるだろうな、残念だな、と考えていたらふとDACTの事を思い出した。
 現在プリで使っている、FM電波も通せるほどの超広帯域アッテネーターのメーカーだが、電源も作っていたはずだ。HPを見ると、あったあった。丁度±15V・200mAを出せる電源基板がある。国内代理店は扱ってないようだが、問い合わせのメールを出す。
 48VDCが必要なのでトランスはトロイダルにし、超高速ショットキー・ダイオードとフィルムコンデンサで整流する。オリジナル電源はそのままの形ではずしておいて、新しい電源をXLR端子で接続できるよう本体を改造し、GAIAまたはTAITANケーブルと、ロジウムをDCT処理したACプラグをつけたら、どんな音になるだろうか?クラフト心がそそられるなあ。

('03.7.22)この間、いろんな人に音を聞いてもらい、また聞かせてもらい、とても勉強になった。
 
 ここ2日ほど聞いてみて、ようやく自分の音の現状が実感できた。いくつか攻めるポイントは見えてきているが、当分音いじりはしなくても良い。もっとしっかりとレコードやCDを聞こう。この音を体の中に入れていこう。

 それにしても、自分を客観的にとらえるなんて機会はそう無い。やはり人との交流はホントに大事だ。 

('03.7.14)SOTAが帰ってきた。まだ十分聞いていないが、音の出方が変わっている。格段に腰の据わりが良い。音場感が向上して、そこでシンバルを叩いているようなリアルさが増している。何よりも、ボリュームを上げていったときの飽和感が無く、むしろ今までよりもノッチを上げるとより音が立ってくる。1cmあるかないかの厚みでペナペナのMDFのアームボードと、900g近いアクリル・アルミ・鉛の積層ボードとではグレード感がまるで違ってくる。コンデンサなどのパーツ交換も多少は効いているだろう。

 そして、マランツのSACDプレーヤー、SA12-S1がやってきた。まだCDだけしか鳴らせていないが、パット・メセニーのギターソロをかけると、弦の上を指が滑る音や、低弦の弾ける音など、ニュアンスが一杯聞こえてくる。矢野顕子が低くスキャットしながら手を打ってピアノに向かって弾き始める気配や音場感、トータルのピアノの音量感がかなり生々しいバランスになる。
 これは良さそうだ。はっきり言ってごく一部にしか注目されていなかったし不安もあったが、これは「当たり」になりそうだ。早くAETのラインケーブルを製作してSACDを聞きたいなあ。電源にはGAIAをおごろう。

('03.7.13)
 電源ケーブルのアース処理法(2)

 説明不足だったが、プリとヘッドアンプのACはCSEのレギュレーター電源R-100から直出しした、写真のレビトンのコンセント(ダブルクライオ処理済み)からとっている。このコンセントのアース部分が一つにつながっているため、プリのGAIAのアース線をプラグにつなぐと、ヘッドアンプのアースと接続してしまう、という問題が生じるわけ。
 
 昨日プリのGAIAのアースの調整は、かなりおおきな変化をもたらしている。フォンオッターの息づかいがよみがえった。キース・ジャレットのUp for ItでJ.ディジョネットがたたくドラムスやシンバルの音場感がよい。
 そかし、一方でディスクによってはCDの音の制約みたいなものを感じる。

 この1週間ほどLPを聞けないのは結構つらかった。明日はLPとSACDのプレーヤーが両方とも届く。この間の変化どう音に出ているか、なかなか楽しみだ。



アースとシールドのドレイン線をどう接続するか?






('03.7.12)
プリアンプの電源ケーブルGAIAのアース処理法(1)には盲点があった。プリ本体側でアース線をシャーシに落とすと、ハムが増えた。これは微小信号を扱うからかと思われる。よって本体側ははずす。ACプラグ側は接続する形にしたが、今度はサブウーファーD-Cubeのトランスがうなったり、全体としてハムが増えたりする。
 チェックすると、ヘッドアンプJC-1 ACのACプラグのアースが、ヘッドアンプ本体のシャーシとつながっている。このため、プリのACプラグのアースをつなぐと、ヘッドアンプ経由でプリのシャーシとつながってしまう。
 よってプリのACケーブルは両方ともアースは浮かすことにする。AETによればNBシールドはアースに接続しないでもある程度のシールド効果を持つようなので、SN優先で割り切る。
 GAIAの製品版は両端ともアースを落としているようで、コンセント・タップ側で浮かすように考えているそうだ。いずれにせよアースはカット・アンド・トライの世界でやってみなくては分からない。

('03.7.8)パワーアンプのバイアス調整ボリュームを通常のカーボン式から、ベックマンの10回転精密ポテンショメーターに取り替える。抵抗体のグレードやコンタクトがまるで違うので、予想はしていたが、それを上回って音が文字通り精密な感じになる。
 ブルメスターのエンジニアが、ボリュームやポテンショメーターを使うと、振動の関係か、音がストレンジになるので使わないといっていたが、音声信号が通るボリュームは、最小限の数で、出来るだけグレードの高い物にしなければならない。
 クイックシルバーのパワーアンプはバイアス電流の1カ所しか調整箇所がない。システム全体としては、プリの音量調整とこことの2カ所だけだ。この1カ所だけでも結構な変化があるのだから、音というのはなかなか難しく、面白い。

('03.7.5)SOTAのパーツ取り替えの話でアサヒステレオさんに行く。初めて内部をじっくり見る。アームや軸受けを載せたサブケースの内側には、一面に鉛板が張ってあり、そこからモーターシャーシへアース線が伸びている。しっかりしたスプリングで吊られており、スプリングのケースも鉛製だ。
 モーターシャーシにはパプスト製のおそらくはDCモーターがあり、その周囲に三端子レギュレーターやいくつかのパーツが基板にのって張り付いている。回路の詳細は分からないが、おそらくFGサーボがモーター内にあり、駆動電圧を三端子で安定化しているのだろう。外部電源からの出力のすぐ後に220μのケミコンと三端子があるのに、その外部電源を安定化すると音が変わるというのもよく分からない話だが、この辺が電源のまか不思議なところかもしれない。出力コンデンサのブラックゲート化もどう音に反映されるだろうか。
 回路内の小容量ケミコン2コはOSコンに変更。
 元のアームボードは薄いMDFなので、今度のアクリル、アルミ、鉛の厚い積層ボードとは一目見て安定感が違う。これは音に効くと思う。給電ケーブルはカルダスのリッツ線の軽いツイストペア。さあ、トータルでどんな音に相成るか?アサヒさんよろしくお願いします。

('03.7.4)SOTAのプレーヤーがなくなってしまった。というのは、アサヒステレオさんがアームボードやパーツ交換に引き取ってくれたため。
 それと、マランツのマルチチャンネルSACDプレーヤー、SA12-S1を注文した。先日聞く機会があって、CDでも他機にくらべてアンビエンス・音場感の優れた点にとても良い印象を持ち、マランツが少量を再生産するという情報をキャッチしたためだ。
 今使っているCD-16はスイングアームの最後に近い時期の製品で,メカはしっかりしているのだが、如何せん10年前だから古い。それにディスクによっては音が耳障りにサチる。
 さてどうするか。

 基本的に僕はCDプレーヤーはそこそこの物で良いと思っている。LPがメインであることにかわりはないし、DAコンバーターでかなり改善も出来るからだ。だからWadiaとかマークレビンソンに手を出す気にはならない。
 それと室内配置上、トップローディングというわけにはいかない。フロントでなくてはならない。友達がスチューダー730を勧めているのだが、この点でまず不可。
 ただ、できればSACDも聞きたいし、しっかりした音のものが欲しい。マルチやDVDシアターをやるつもりはさらさら無いが、結果的に中堅機ではこれがCDでかなりフワッとした大人の音で聞かせた。
 来週にも届くと思うが、さてどうなるか。電源ケーブルにはTAITANを確保してあるし。

('03.7.3)昨日、CSEの電源R-100の出力コンセントのケーブルをTAITANに変えたのをしおに、オーディオいじりもとりあえず一区切りにして、今日は久しぶりに音楽を聞く。GAIAやSCR Line、SOTA電源などのおかげでかなり音の数やグラデーション、音場感が向上している。言ってみれば、デミグラス・ソースの味がぐんと良くなった感じ。こくまろ。
 おまけに細かい音もかなり出る。、たとえばカエターノの息継ぎのようなあえぎ声を初めてはっきりと聞いた。
 AETのHPを読むと、電源では高速伝送しなければならない、というのがよく分かる。だから、効果も大きいのだと思う。
 
 残るタスクは
1.SOTAのアームボード(SOTAiいわく究極のボードCOSMOS)交換とモーター側コンデンサ、ケーブルの交換。
これはノウハウがいるので、ショップ依頼の日程を相談。
2.パワーアンプのバイアス調整ボリュームをベックマンの精密ポテンショメーターに、NF抵抗をデールの巻線【リード線が磁性体】から「キワメ」カーボン被膜抵抗5Wに変更。これは、合間を見て。
3.CDプレーヤーの電源ケーブルをTAITANに変更。ただし、これはSA12-S1が入手できればそちらに回す。
4.プリのGAIAのシールドアースの落とし方の変更、など細かいところ。

 それにしても、SA12-S1でならすCDのフワッとしたアンビエントな音は、とても良い。これも欲しいなあ。

('03.6.30)パワーアンプのACケーブルをAETのGAIAに変える。「凄い!」の一言。

('03.6.27)SOTAの強化電源(3)
 まずは写真から。
 【写真左】左が元の電源ケースでプラスティック製。右が今回自作した定電圧電源。樹脂のケースにしたのは、トランスの磁界の展開を妨げないという、おそらくは元のケースの考え方を踏襲。そして、振動対策としてトランスとコンデンサの下に1cm厚のコーリアンを敷いた。SOTAのマークはインターネットから取得して、プリントした。

 
 【写真下】強化電源の内部。

  















 さて、音だが、一言で言って、清々しい感じになる。ピアノのアタック音がぴしっと決まり、ライブ会場などの雰囲気など低域の見通しが良くなる。
 あまり期待せずに矢野顕子「長月神無月」をかけたのだが、ピアノの左手や会場のざわついた感じが、しっかりと伝わってくる。
 レッド・ツェッペリンの"Whole Lotta Love"など久しぶりに聞いたが、びしびし来る。
 全体として静かになり、以前に時々あったような弛緩した感じが無くなっている。
 反面、もう少し来るものが欲しい、というディスクもあり、こういうのは「音が立つ」までボリュームを上げないといけない。
 おそらくAC電圧の変動をおさえたので、低域などのざわついた感じが減ったのだと思う。
 これで行くことにして、SOTA純正の強化電源が見つかったら、そのときにまた検討しよう。

('03.6.26)
SOTAの強化電源(2)
 ショットキー・ダイオード出力とケーブル・プラグでどの程度音に変化があるか聞いてみた。まず中高域が少し静かになった反面、音場感などのフワッとした感じの微細な情報がかなりよく出るようになる。低域の質はあまり変わらないためか、バランス上、少し低域がふくらんだような印象も受ける。
 おそらく、ショットキーにすることで、スパイクが減り、それが高域のなめらかさにつながる一方、まだ、低域はAC電圧の変動をもろに蒙ったまま、ということだろう。

 24Vの三端子を入手して、安定化する。出力電圧は23.6V。三端子のヒートシンクも全く熱くならず、放熱口すら必要ない。ターンテーブルを回しても電圧は殆ど変化しない。
 明日は、音がどう変わるか見極めよう。

('03.6.25)アナログ・プレーヤーSOTAの強化電源を試作。
 電源トランスは当初のものをそのまま使う。ブリッジ・ダイオードはショットキーに替え、電源ケーブルもオルトフォンの6N、プラグはハベルに替える。
 また、電源部ではブリッジ・ダイオードまでで、本体側にしかコンデンサがなかったので、フィルムコンデンサ246μをバイパスに入れる。
 そして、いろいろとテストできるように出力側は圧着端子のネジ止め端子盤で簡単に回路変更できるようにする。

 結果:ブリッジ・ダイオードまでで23.7V前後の出力電圧が、フィルム・コンデンサ整流すると36.4V程度にまで上がる。これは容量を1/3(82μ)まで下げても変わらない。つまり、電流が小さいため、少しの平滑コンデンサで出力電圧が上がる訳だ。
 この状態でも回転数は殆ど変わらず、一方トルクが上がる感じだ。

 推測:電源電圧の変動にもも回転数が殆ど変わらないので、モーターはおそらくFGサーボ付きDCモーターかと思われる。ただ、36.4VではFGサーボに負担がかかっているだろうし、ベルトドライブでトルクが増えるのはあまり好ましくないだろう。おそらく、24V程度で最適な設定だと思われる。

 対応:36.4V→24Vに下げるために、最終的に三端子レギュレーターで24Vの定電圧電源とする。電流が小さいので12V程度の電圧降下はヒートシンク冷却で対応できるだろう。
 SOTAの『エレクトロニック・フライホイール』の内容は分からないが、おそらくこの電圧差を利用したものだろうし、DCとしたらいずれにせよ安定化電源しか考えられないので、当たらずといえども遠からず、という感じになるように思う。

 明日はショットキー・ダイオード出力とケーブル・プラグでどの程度音に変化があるか聞いてみて、そのうえで24Vの三端子を入手して、安定化電源に変えようと思う。

('03.6.24)SCR Lineのアース処理は全て完了。良い感じだ。FURUTECをクライオ処理したAETのプラグは思ったより安かったのだが、削り出しのオリジナルのをメーカーが開発中だという情報を入手したので、どうせならそれを待ってフォノのプラグを変更しようと思う。
 SOTAの定電圧電源作りのパーツ集めが完了。フィルムコンデンサ整流出力と三端子レギュレーター安定化後出力で音がどう変わるか?パプスト製モーターはDCモーターのはずだが、FGサーボなのか詳細が分からないので、とりあえず定電圧化を進めてみよう。

('03.6.19)AETの小原さんから、シールドは入力側で落とすのが基本とのメールをいただき、フォノケーブルを早速入力アースに変更。これでようやく製品版を接続したときの音に戻った。次はCD側だ。小原さんのおすすめのように、WBTのプラグを入手してみようか?アメリカから買っても、カルダスの倍くらい、送料別で4コセット90ドルほどするしなあ。AETの、コレットチャック・DCT処理のプラグはいくら位するのかなあ。でも。今のカルダスに比べて格段に音が良くなるというわけでもないかもしれないし。まあ、他にすることが無くなったときの楽しみにとっておこうか。

('03.6.18)いろんな作業の合間に昨日届いたカルダスのプラグに、フォノケーブル用のSCR Lineを取り付ける。後で考えると、このプラグは外のシェルがシルバーだったので、SRCAも新型になったのかな、と思っていたら、マイナス側のスプラインにリングがなかったので、どうも注文したSRCAでなくて、下位の機種ではないかと思われるが、何せ付けてしまったから交換出きず後の祭り。それくらい早く聞きたかったということか。

 音は既製品1mに比べて少し違う。既製品の方が、より低域も含め広い層の音が揃って出てきた感じだった。またフォノのノイズのレベルが既製品の方がより少なかった。考えられる原因としては
1.ブレイクインの進行レベルの差
 もう巡回途上でかなり使われている物と、いくら逸品館でエージング済みとはいえ新しい物の差。
2.プラグの違いによる音の差
 既製品はカスタムDCTプラグ(RCAプラグは業界初の硬質ロジウムメッキ済み)との事。カルダスも銀ロジウムメッキだが、DCT処理は当然されていない。コレットチャックのコンタクトの差も関係はあるかもしれない。
 HPを見るとAETにも、コレットチャック・DCT処理のプラグがあるが、多分相当高価だろう。カルダスもSRCAでペア$21送料別なので、コストパフォーマンスは非常に良いが。
3.外部シールドのアースへの落とし方
 逸品館からAETは出力側を落としていると聞いたので、そうしてみたのだが、その他になにかノウハウがあるかもしれない。
 
 アースの問題は大きいので、AETにメールで聞いてみようと思う。

('03.6.15)昨日、AETのケーブルとスパイクを次の巡回試聴先に送った。
 今回は、いろいろと参考になった。ケーブルやスパイクについての事だけではない。ラック内のプリとヘッドアンプの位置関係、ケーブルの付け方、いろいろなチェックが出来た。ヘッドアンプのコーン支持の下のコーリアン板を両面テープで2枚貼り合わせにしたことの変化が結構大きい。振動面の改善と、1枚分高さが上がったのでプリ背面の各種ケーブルから離れることで、設置がより安定したものになったからだと思う。やっぱり、いろいろとやってみることが大事だ。
 次は、フォノケーブルをSCR Lineに、p3電源部の支持をAETにするのはもちろんだが、SOTAのDCモーター電源部を自作しよう。ファーストリカバリー・ダイオードとフィルムコンで整流し、20V程度の三端子レギュレーターで安定化電源を作る。どの程度音が変わるだろうか。

('03.6.10)「音と戯れる会」で巡回試聴中のAETのケーブル(SCR Line)とスパイクが先週末届いたが忙しかったので、昨日初めて、DAコンバーター出力のMIT MI-330(Tube Terminator)をAETに替えて聞いたら凄く良かった。ところが、1mと長く硬いため、プリアンプの方が少し浮いてしまうなど不安定な状態なので、日本橋にバルクで買いに行って、今日カルダスのプラグにハンダ付け(ウエ~~)して聞いた。
 一方、既製品の1mの方は、MIT MI-330(Phono)に替えて、フォノ(アーム→ヘッドアンプ)につないで、セッティングの上聞いたところ、これも凄く良い。エネルギーが全帯域で揃って出てくる感じで、音量感も高まる。ソリッドすぎるところも無いではないが、トータルの情報量からはやはりこちらをとる。とはいえ、1mは長すぎてラックの中をのたうつので、50cmくらいで自作しよう。
 もう少し詰めてから決めるが、まずはAETで決まり。

 そうなると、山本さんが言っていたSPケーブルのGAIAが気になるが、まずはゆっくりと。パワーアンプ用のGAIA ACも用意してあることだし。

('03.5.17)LPは座りのよい音になってきて、ゆっくりと音楽に浸れるようになってきた。クレマン・ジャヌカン・アンサンブルは相変わらず絶好調だし、フォーレのピアノ五重奏なんかはほんとに素晴らしくて、ため息が出る。一連のウェザーリポートや以前はいまいちと思ってたディスクが、凄く良かったりする。これだからオーディオは止められない。逆にCDが少し寂しくなった気がする。

 最近、いくつかのホールで生音に接する機会が増えたので、LP・CDやオーディオ機器の解像力とか音の分離について考え続けている。誰が書いていたか忘れたが、小澤征爾が『指揮者はオーケストラの音を混ぜよう、混ぜようとしているのに、なぜオーディオの人たちはそれを分けよう、分けようとするんだろう?』と言っていたそうだ。とても示唆に富む話だ。

 実際、生の場合、聞く位置によっては楽器からの直接音もストレートに聞こえる。もちろん位置によって聞こえ方は違うが。つまるところ、オーケストラのように、いろんな発音のメカニズムを持つ楽器群、つまり広い面積の音源が出す音を、いくつかのマイクで拾うというのは、マイク位置でブレンドされた、あるいは干渉された音をトータルとして拾うということで、そこからたかだか2つのスピーカーで個々の楽器の音を分離して、なおかつ全体としてのアンビエンスもちゃんと再生するというのは、かなり離れ業ではないかと思い始めている。
 勿論、クリアに分離する録音や機器もあるのだが、100%というわけにはいかず、結局、音の「分離」と「溶け合い」のなかでバランスをどう聞き分けるか、ことになる。
 マルチトラックのスタジオ録音や打ち込みとは、そこが決定的に違うところで、その違いをちゃんと意識して聞かないと、ともすればオーディオファイルは分離や「近い音」を追求しに行くので、例えばハイを上げに行くなど、変な所にはまってしまうことになる。
  まず生を明確にイメージさせる内容を持ったイリュージョンだということを認識するのが大事だと思う。しかし、ちゃんと整えたオーディオはホンモノの音楽体験をさせてくれる。

('03.5.14)JC-1ACのコーン支持は大成功で、音楽の味わいが随分ソリッドな手応えとして感じられるようになった。一方、D-Cubeは少しずつ触りながらならしていたのだが、メインSPとの距離を計り直して再調整したら凄く良くなった。(→D-Cube2試聴記
 
('03.5.12)LPの音がどうもボンついた感じになっている。MCヘッドアンプの電源コンデンサにバイパスするかとも思ったが、経験的にこういうのは振動がらみ、と判断。よって、BDR(ブラック・ダイアモンド・レーシング)のアクリル・コーンを両面テープでJC-1ACの底板に取り付け、BDRの「ピッツ」で受ける。
 このためにぎりぎりでプリの後ろに押し込んだのだが、ケーブル等にトラブル発生。(→同日の近況報告
 何とかリカバリして、改めて聞くと、低音のブーミングがしっかり抑えられていて、ソリッドな音になっている。機器固有の音ももちろんあるが、セッティングで音は大幅に変わる。そのまま置いただけでは、機器本来の音は出ない。
 そして、こういう支持素材は同じもので統一した方が、全体としての音のスピード感が揃う。
 たったこれだけのことだが、音のグレードはかなり上がり、音楽に集中できるようになる。長年あーでもない、こーでもないとやってきた成果が、経験則として少しは生きてくる。

('03.5.7)ここんとこ鼻風邪気味で、何か耳がボワーンとした状態なので、どちらかといえば軽い響きのものを少しずつ聞いている。
 ヘッドアンプなどの電源は色々やってみたが、結局その都度オンオフしている。エバーオンだと、どこか温度感が上がってほてった感じになってくる。長年使っているとオンオフしても、かなり早い時間で音が整ってくると感じているので、当分これで行こう。戯れる会でも一度皆さんに意見を聞いてみよう。
 てなところで、ジャヌカンとセルミジの16世紀シャンソン。演奏はいわずとしれたアンサンブル・クレマン・ジャヌカン。音場が広くて、安定している。ドミニク・ヴィスのカウンターテナーもとてもナチュラルに聞こえる。ポリーニのさすらい人。いいなあ。

('03.5.1)ヘッドアンプの出力ケーブルをかえたため、昨日LPを聞いたときも、逆に細かい部分がちゃんと出ていない感じが残って、いまいち面白くなかった。
 そこで、MCヘッドアンプJC-1 ACの電源コンデンサを交換する。

                                                      
                         


        ⇒






【変更前】                                          


 当初のパーツは、コリンズとスプラグのアルミ電解コンデンサ。ミリタリー・グレードだと思うが、やはりアルミの限界で音・特性ともにあまりよいとはいえない。
                               
 同容量の三洋OSコン(SPグレード)を使用する。低ESR、大容量。小型。
有機固体材料を誘電剤に使用し、凄く高域特性が良く、下手なフィルムコンデンサより遙かにノイズ処理が上手い。
 音の方も、かなりエネルギー感が向上し、情報量がまた一段と上がった感じ。とはいえ、今日はまだ鳴らし始めて3時間程度。片鱗にふれたという程度で、お楽しみはこれから。
 これで、LPを腰を据えて聞けるようになるだろう。

('03.4.28)JC-1 ACからプリアンプへの出力ケーブルとして、AETのSCR Lineというラインケーブルを切り売りで入手した。多分、これが東京で話題の1mペアで48,000円の中身だろう。LR各々15cmにカルダスのプラグを着けて、早速聞く。
 パーカッションやシンバルの響きがよく出て、全体としての情報量がぐっと増える。いままでのカルダスのリッツ線同軸は霞たなびく感じだったことがよく分かる。もう、夜も更けてきたので、今夜はLP2~3枚くらいにして、ブレイクイン用にカルダスのスイープ&バーンインのLPをかける。
 明後日くらいには九州からOSコンデンサが届くだろう。これで腰を据えてLPを聞くことが出来そうだ。

('03.4.23)JC-1 ACの電源用コンデンサが届くが、イメージしてたのと少し違う。いろいろ調べて、一番欲しいものは既に生産中止になっていて、代替品があるのが分かったので、メーカーに直接注文する。三洋の有機固体電解コンデンサ「OSコン」。通常のアルミ電解よりも遙かに特性がいい。入手したブラックゲートは予備で使わないことになりそうでもったいないが、やはりOSコンの方が音がよいだろう。どうなるかな?楽しみだ。

('03.4.22)夜、届いたLPを何枚か聞く。ラドゥー・ルプーのモーツァルト/ピアノコンチェルト。ロンドンの古い盤だが、質が凄く良くてノイズも少なく、弦のこすれ音が綺麗に聞こえる。こんなレコードに出会うと本当に嬉しい。
 東京カルテットのバルトーク6番。ピチカートや個々の楽器の細かい表情がとてもクリアに聞き取れる。こういうのになると、JC-1 ACの面目躍如という感じだ。デュリュフレのレクイエムもキリ・テ・カナワのピエ・イエズスがしみこむように響く。
 いいなあ。

('03.4.20)今日は隣のギャラリーでヴィオラ・ダ・ガンバのコンサート。やたらに湿気がおおいので,ゆるゆるに伸びたボウ(弓)をヘアドライアーで乾かす。ガット弦もチューニングが難しそうだ。
 音は深くて、そのくせ柔らかくてとてもいい。

('03.4.17)ここのところ余り体調が良くないので、音楽を聞いていても楽しくない。くそっ。

('03.4.15)実はJC-1 ACについて心配なことがあった。なにせ1977年頃まで生産されていた古い製品で、25年ほどたっているので、パーツ、特に電解コンデンサが経年劣化を来していないか、ということ。ケースを開けてみると、コリンズとスプラグの500Dが各4本。うち、コリンズについては2000年の日付らしき表示があった。スプラグもべらぼうに古いものでもなさそうなので、見た目ではいけそうな気がする。ま、適合するパーツが入手できたら交換も考えよう。
 何時間か火を入れてから聞く。+10dBセッティングではオーバーゲインなので、±0dBに変更する。エネルギー感は十分だ。音場も広がりがいい。昔初めてJC-2を聞いたときのように、隅々まで力を届けてくれる。これはいい。
 凄かったのは、スーパーギタートリオの"Mediterranean Sundance(地中海の太陽の舞踏)"、イエスの"Fragile(壊れ物)"。こんなに広がりのある音だったんだ。
 しかし、パーカッションやシンバルが散乱する様など、Jensenのトランスで聞けたような、ぞくぞくするような粒立ちの良さには乏しい。これまでよく聞いたレコードでは、どこか食いたり無さがある。いってみれば、材料はちゃんと見分けがつくが、よく溶け合わされたシチューのような感じだ。勿論、そこにポッとヴォーカリストが浮かぶような音場感は出色のものだ。
 考えてみると、トランスの音はよく整理された音で、そこへ粒立ちの良さが加わって、見通しのいい音になっていたように思う。しかし、もしJensenの3~5Ω用トランスを使ったとしたら、今度は、JC-1 ACの広い音場とヴァーサタイルな表現力が懐かしくなるだろう。一つでオールマイティというのは、どの世界でも難しい。エミネントもアームパイプがもう一本あるので、カートリッジをパイプ毎つけ替えて聞く場合、インピーダンスが違うとトランスならばつなぎ替えるか、ハイインピーダンスのものを常用しなければならない。
 とてもそんな事はやってられないので、ここはJC-1 ACのヴァーサタイルさが決定的な要素になる。
 音の粒立ちの改善は、出力ケーブル(配置の関係で10~15cm2本)の選択や電源コンデンサにフィルムをパラに入れることなどで、ある程度対応できるだろう。常時通電(メーカー推奨)での音の変化にも期待できる。
 よし、JC-1 ACを導入することとしよう。
 改めて、こういう自宅試聴の機会を作ってくださった山本さんに感謝。
 それにしても、AETの新しいラインケーブルは15cm2本切り売りなんて無理だろうか?

('03.4.14)K's戯れる会に行った際に、山本さんのご厚意でJC-1 ACとZYXのトランスをお借りしてきた。今日は、出力ケーブルの自作(手持ちのカルダスの同軸リッツ線)や、セッティングが中心。
 まず、ZYXのトランスをプリの後ろの空きスペースに設置した。アンプを暖めてから音出し。上品なバランスは確かにいいのだが、全体にこぢんまりした感じで、きらきらしたところが少ない。Jensenのように、細部が立たない。
 一番つらいのは、ハムが結構出ること。もともとアームがケーブルむき出しなのでハムが出やすいのだが、これまでのJensenのトランスでは、アコースティックリヴァイブのスーパーアースリンクのおかげもあって、相当ボリュームを上げないとハムは出なかった。しかし、ZYXでは耳に付くレベルになってしまう。ヴァン・デン・ハルの2芯同軸ケーブルに替えたりして、アースの取り方も変えてみたが、ほとんど変化なし。音が今ひとつパッとせず、ハムが出るのではメリットがない。
 JC-1 ACに付け替える。ラックの中でプリを前に出してその後ろに何とかぎりぎり入る。ただし、MITのフォノケーブルの「箱」がじゃまで上手く挿せない。そこで、タコ糸でケーブル全体をつり上げてバランスをとり、何とか接続した。ごついケーブルには手間がかかる。
 一番危惧したのがハムだったが、何とJensen並で問題なし。一番スマートな所にハムなしで納まってくれたので、大変嬉しい。音もなかなかだが、これは明日のお話。

('03.4.4)山本さんのコニサー2.0が気にはなるのだが、あまりに高性能だから、という手放す理由も気になる。システム全体の音の中での位置づけについて、今度伺ったときに詳しく聞いてみたい。
 僕も気持ちは動くが、例えばスピーカー選びをしたときに、ウイルソンのシステム5を選ばなかったのに似ているのかもしれない。高解像度・ハイテンションという事と音楽を楽しむという事の関係かな。
 閑話休題。一青窈を聞く。「アリガ十々」がいい。「もらい泣き」も悪くない。彼女の生い立ちから来る切ないものが確かにある。思ったよりも、声は細い。もっとボディのある声かと思ったが。でも、問題はこれからだ。もっと、切ないものを、体の中から出していけるか?
 中村善郎の「ルミノーゾ」。日本人とは思えない、こなれたボサノバ。枯れた感じと懐の深い感じがとてもいい。音もナチュラル。日本語のオリジナルは歌詞がストレートすぎて、ホントに「みんなのうた」的な感じで少し恥ずかしい。でも、折に触れ聞くアルバムになるだろう。こういうのに出会うと、心が柔らかくなる。

('03.4.2)31日にイズミホールで関西フィルの演奏を聴いた。HP作成を依頼されているヴァイオリニスト大谷玲子さんの関係で行ったのだけれど、ここは音の話。下手端の席で聞いたのだが、ホールの特性もあって分離がよく、コントラバスやファゴットなんかがかなりクリアに聞こえた。そういう点では響きが長いザ・シンフォニーとは結構違う。オーディオ的に思ったのは、普段聞いているのは名演奏なので、各パートもかなり揃っているのが当たり前なのだけれど、それはひょっとしたら分離の良さのレベルにも影響しているかもしれない、ということ。団子になるのは論外だけれど、またあまりに分析的に聞くのもどうかと思うけれど、各楽器が聞き分けられるというのが必要条件だろう。しかし、たった2つのスピーカーでならすのだから当たり前なんだけど、実際に各楽器がきっちりと聞き分けられるようなシステムや部屋は少ない。またそっちの方向に行くと、全体のアンビエンスが損なわれることも多い。アナログ再生と同じように、結局必要になるのはバランス感覚だ。
 生演奏派あるいはライブ派から言わせるととんでもないことかもしれないが、はっきり言って、アーティストにも出来不出来があり、生演奏には失望させられるケースが多い。そのアーティストの最高の瞬間をとらえたものが名盤として残っていくのだから、またそれを、マニアックな集中力で普段聞いているのだから、それと比較する方が無茶なのかもしれない。だからキャリアの長いオーディオファイルは生演奏とオーディオ再生をある程度別のモノとして整理しておられる方々が多いのではないかと思っている。(録音でしか出せない音楽的表現というのもあると思いますが、ここでは省略。)
 でも自分の音の良い面を聞く方がいいと思うけれど、バランスを保つためにも、オーディオに直結した、しかし完全にイコールではない物差しとして生演奏を聴くのも必要だと思う。

('03.3.25)もちろんリスナーがオーディオの音を選んでいくのだけれど、環境が基本的な部分を決めてしまう面も大きいと思う。ステレオサウンドに石井伸一郎さんがリスニングルームの短辺方向と長辺方向にSPを奥場合を比較されていた。僕の場合は、置ける短辺方向はベランダ側の窓しかなく、結局長辺方向にしか置けずにきた、というのが実態だ。まえのマンションでも長辺方向だったが、SPとの距離がどうしても近くなるので、聴き方はオンな感じのステージに近寄った感じが強くなる。
 僕的な感じ方では、”intimate”親密な聴き方という感じ。勿論、ウイルソン・ベネッシュというSPの持ち味もあるが。アーティストの息づかいを間近に聞く感じがとてもスリリングだ。一方で長辺方向の方が、音場の広がりが大きく感じられて、音場志向の人間にとってはそれも嬉しい。
 カートリッジをZYXにして、それからSADEの「プロミス」を初めてLPで入手して聞いた。CDでも何回か聞いていたが、2曲目の「スイーテスト・タブー」に波の音や、はっとするようなバックグラウンドのヴォイスなど、いろんな音が入っているのが初めて分かって、ワクワクしながら聞いた。やっぱり音へのフォーカスの合わせ方は様々で、コンサートでどの辺で聞くか席を選ぶのにも近い感覚がある。

('03.3.23)まとまった時間が出来たので、久しぶりにオーディオいじり。パワーアンプの底板(約2mm厚スチール)を6mm厚コーリアンに入れ替える。
 以前、ゴールドムンドやジョブにヒントを得て、プリアンプの天板をアクリルに替えたら、凄くオープンなエネルギー感のある音に変わった経験があり、非磁性体ということと、いくらスチールでも薄いものは振動しやすいので、防震の観点からもコーリアンを選んだというわけ。
 ねらい通り、よりオープンな音になり、CDではやや中低域の方が耳に付くかな、という感じになる。もっとも、フォン・オッターの声がより生々しく聞こえるというメリットもあるが。LPの方が、昇圧デバイスの「関係で音のバランスが整っていないので、D-Cubeも微調整しながら当分このままで様子を見る。

 不思議なことにLPの方は大分変わった感じになった。つまりエネルギー感がアップして、今までよりも10dB以上低い音量でもそれなりに聞けるのである。特にアコースティックベースあたりのエネルギー感がぐんと上がった。いままでは、昇圧デバイスがミスマッチングだから仕方ないか、と思っていたのが、それなりに聞けるじゃないの、となってきた。これって、かなり凄い変化かもしれない。

 次はバイアス調整ボリュームをベックマンの精密ポテンショメーターに変更する。その次はACケーブル(GAIA)。どんな変化があるだろうか?

('03.3.18)今日はアメリカのAudiophile IntlとAcoustic Soundsから、LPが同時に届いた。一例を挙げると、
Ambrosia/Life Beyond LA (Noutilusの高音質盤 $30)
Carole Bayer Sager/Sometimes late at Night($7)
Dr.John/City Lights($7)
Joni Mitchell/Wild Things Run Fast($7.5)
価格は送料別。12枚中1枚を除き、全て新品。キャロル・ベイヤー・セイガーなんか、もう手に入らないと思っていただけに、本当に嬉しい。
 アナログが良いと言われる中で、最近は外盤と国内盤の音の違いに触れる人がほとんどいない。昔、長岡鉄男さんなんかが言っていたように、圧倒的に外盤の音の方が良いことが多い。ソフトの入手先や入手方法もどんどん情報交換していった方が、結局入手の機会を増やすことになって良いと思う。

('03.3.15)JensenのMCトランスの見積もりが、左右2個で9万6千円。いろいろ考えてアサヒステレオにマークレビンソンのJC-1ACを探してもらうよう依頼。ミュージック・リファレンスの真空管ヘッドアンプRM-4も併せて聞かせてもらえることになりそうだ。
 河口無線でボルダーの新しいフォノイコ(440万円)を中心に、ウエストレイクのスピーカーなど、総額1,500万円ほどのシステムを『究極のアナログ』と銘打って聞く。しかし、出てきた音は冴えない。はっとするような所がない。音楽をクラシックとジャズに2分するあたりから怪しいと思い始めたが、ベニー・グッドマンはともかくフランキー堺をかけるに至っては、懐メロ大会じゃないんだと言いたくなった。最後にアリソン・クラウスをかけて少しハイエンドっぽくなったが、このセンスの無さは何だろう。途中で出てきてしまったが、ムダな1時間だった。

('03.3.13)メール不着のメッセージがメールサーバから帰ってきたので、Jensenの輸入代理店に直接電話すると別の会社に事業移管したとのこと。そこへ電話するとJensenのHPに名前の載っていた人が出てきて、扱いがないので調べて見積もりする、との返事。どうやら、新会社を興して事業ごと移ったらしい。色々あるものだ。
 昨日発売のオーディオベーシックの超高級トランスポート試聴記に知った顔のテスターが何人か。マランツのCD-16のトレイ送りががたがたしてきて修理が必要になっている。フィリップスのCD-M4ドライブの最後のロットなので、モノは悪くないようだが、つい買い換えを考えてしまう。うちの場合、フロントローディングが条件なので、まずこれでかなりの機種がはじかれる。(嬉しそうにほっとする。)SACD?まだソフト少ないしなあ。まあ、当分修理して続投か。
 スチューダーの730なんて、音が凄くいいらしいし、スラント・タイプだが何とか使えるかな?などと考えたりする。困ったもんだ。

('03.3.12)今度入ったコーラス(ルネッサンスの教会音楽=アカペラ)の練習に追いつくなどで、あまりLPをかける時間がなくて、ZYXクライオのブレイクイン進んでいない。ただ、盤にもよるが全体として中低域あたりのエネルギーが少し薄いような気がする。昇圧トランスが40Ω専用なので、この辺のマッチングの問題かと思う。JensenのHPを当たると、ゲインは12倍と低いが、F特が0.3~200KHz(-0.3dB)、20~20kHzの位相偏倚がわずか1度というJensen最高級の5Ω以下専用のトランスがある。輸入代理店に問い合わせているが、答えが返ってこない。
 あるいは、ヘッドアンプということでマークレビンソンのJC-1ACなども考えるが、製造後かなりの年数も経っているし、電解コンデンサの劣化などもあり得るだろう。メンテは必要と思う。
 まあ、もう少し動きを見て判断しよう。

('03.3.6)ZYXクライオ到着。エミネントに付ける。カートリッジの自重が2.5gと極端に軽いので、SOTAの再調整も必要になる。すんごい手間。音はいい。アタックの瞬発力といい、細かい部分の分解能も素晴らしい。テンションは高く、HiFiという感じ。勿論、低域から中低域にかけてもうひとつほぐれないが、これはブレイクインでもっと見通しが良くなるのではないかと期待。Jensenのトランスは40Ω専用だがHPの後継機種の説明によると結構ブロードに使えるかもしれない。ただ、ややハイ上がりかなという気はするし、ボリュームを10~12dBとかなり上げないといけないので、ローインピーダンス用トランスも検討しなければいけないかもしれない。
 いずれにせよ、情報量は確実に上がっているのだから、いろいろとLPをかけて様子を見よう。

('03.3.4)3月2日の「音と戯れる会」は、本当に楽しく、勉強になった。
以下は、感想文です。

「今回のStudio K'sは2回目という事で、また、D-Cubeの音も慣れてきていたので、山本サウンドの全体をいろいろと聞き込ませてもらいました。
 全体の響きの面で一番参考になったのは、スピーカーから聴取位置までの距離の設定でした。我が家では15畳カーペット貼りの長手方向にSPを置いているので、どうしても聴取位置が近く、ブレンドされた音場全体を見渡すには位置を後ろに持って行った方がよいと思われましたので、いろいろと試したいと思います。
 カートリッジの試聴、非常に肌理細かくやって頂きまして、本当にありがとうございます。ディスク毎に替えて聞かせてもらったのは初めてで、貴重な経験をいたしましたし、おかげさまで非常によく分かりました。早速ZYXクライオを注文し、また、グライダーも今後、針交換価格で上位機種にアップグレードしていきたいと思います。
 サウンドスティックはやはり驚きでした、もちろん限界はあるのですが、シンプルで情報量の多いソースをかけたときの定位感は、スピーカーの位置とは関係なしに決まる、というのは驚きでしたし、随分考えさせられました。
 時間を延長して、またいろんな話を聞かせて頂いて、勉強になりましたが、最後に考えさせられたのは、こういう貴重な経験を我々だけが抱えているのではもったいないな、ということです。実は、私も同好の士を集めてLPを聞く会を我が家でやる計画をしております。エミネントはパイプ毎の交換なのでせいぜい2機種くらいしか聞けませんが、とりあえずやってみたいと思います。
 オーディオがマイナーになったのは、一つは趣味の多様化もありますが、音楽が思い出として蓄積されていくのではなく、消費されていく時代になった、ということが大きいと思います。思い出を蓄積した音楽やアーティストにより近づきたい、そしてオーディオがそれをかなえる有力な手段になりうる、というふうに感じるには、良い音楽を良い音で聞くことが大事だと思います。
 例えば宇多田ヒカルの「ファースト・ラブ」なんかを、山本サウンドみたいないい音で聞かせたら、なんて。」

('03.2.24)ZYXクライオが欲しいな、と思っている。今のシステムでは、グライダーの突っ走る早さが他の機器で柔らかく受け止められているので、それなりのバランスがとれているが、ZYXにしたら柔らかくなりすぎるかもしれない。あるいは、ステップアップ・デバイスにJensenのトランスを使うつもりだが、出力ケーブルを例えばキンバーの銀線にするなどの工夫もあるかもしれない。ま、Studio K’sでもまた聞けると思うし、順番に一つずつ。

('03.2.22)ブクステフーデなどのオルガンを聞く。重低音が出ているのがよく分かる。マーラー2番(バーンスタイン)を聞く。色彩感がいいが、まだ僕の心には届かない。ブルックナーに比べて必然性みたいなものが実感できない。ま、いいか。
 うちのプリはやはり出力がかなり大きく、D-Cubeのレベル設定が低めになるのもそのためのようだ。余っているテープアウト端子をパラのプリアウトに替えたのだけれど、2系統を十分ドライブしているようだ。6922片ユニット1本のラインアンプとは思えない実力で安心した。

('03.2.21)高校時代の美術の時間に、コップの絵を描かされた。それも輪郭を書くな、影の部分だけで描け、という注文。(この先生には結構大切なことを教わった気がする。)
 発想を変えないと、なかなか難しいのだが。
 なぜこんな事を書いたか、というとここ数日D-Cubeを馴らしながら、スーパーツイーターの必要性について考えていたからだ。SACDの高域がよく出てる、といっても通常のSPで十分なはずだ。もしかするとスーパーツイーターを入れることにより、輪郭というか音のエッジが立つのかもしれない。
 でもそれは本当に必要な事だろうか?それだけで、パシッとした裂帛の音がこっちに来るんだろうか?
 今の音はその感覚からすれば少し高域が不足しているかもしれない。でも、この柔らかく広がる細やかな音の中で、シンバルもトライアングルもちゃんと出ていると思う。柔らかく切れ込む。まるで大好きなエラート・レーベルそのものの音になってきた。とりあえず、これで十分だと思う。
 もし、不足しているとしたらそれは裂帛の中高域エネルギーだと思うが。さてどうするか?

(’03.2.19)D-Cubeの交換用の分が届き、これを本格的に使うことになる。最終的に、戯れる会の会員で少し割引があったので嬉しかった。まだ聞き始めて数日なのだが、もうシステムの一部としてとけ込んでいて、あまり意識しないようになってきた。録音によっては、Wilson Benesch 特有の肌理細かく柔らかい広がりが部屋を充たす。もう少し、ソリッドな決めがあってもいいかな、という気もするが、それはボリュームを上げるなり、またやり方があるだろう。いまは、この彫りの深い音にゆっくりと浸ろう。これがかなりの贅沢であることは、よく分かっているのだから。

(’03.2.18)
D-Cubeのレベル設定について山本さんに聞くと、「プリアンプやDACの出力や、スピーカーの能率も違うので、単純比較にはならないが、山本さんの場合INPUT 10時、OUTPUT 13時半ぐらい。KEFは、感度94dbなので、ACT1よりは能率が高いと思う。」とのお答えだった。ACT-1は90dBと低いので、こちらのD-Cubeがそれに合わせて低いレベル設定というのは一応理解できる。しかし、両方とも9時位というのは、特にOUTPUTの方は低すぎるかと思うが、プリの出力がでかいのかもしれない。
 いずれにせよ買うことにして、Sa-Logicの村田さんに電話する。
その際、メインSPのアンプ・オンでD-Cubeの電源を切ると、少し経ってからギュルルーという音がして切れていくことを話すと、「本来電源SWオフ時には、リレーが出力を切り離すので、音が聞こえないはず。交換する。」との事で別のものを届けてもらうことになった。一番いいのを選んで送ってくれたんじゃないのか。やれやれ。
 (してみると、INPUT 9時のままで、OUTPUTを9時から上げて行くとリレーが働くのも、ひょっとしたらそれと関係があるかもしれない、という気もしないでもない。)
 その他、分かったことは以下の通り。
1.INPUT 9時の位置では、歪む事はない。
2.スピーカーは4オームなので、プロテクト・リレーには最大で10A流れる。接点を保持するため演奏中のオンオフは出来るだけ避けること。
3.φスイッチは位相反転用。(うちのプリのラインアンプは反転型なので、マイナス側で使用)
4.スパイク使用は効果あり。SWー1600はダブルSPでエンクロージャーの振動をキャンセルしているが、D-CubeはSPが1本なので、キャンセル出来ておらず、振動対策として有効と思われる。
5.D-Cube周りは、壁や家具など振動しないようにする。効果的なチェック方法としては、CDのキックドラムが鳴った時に、CDの電源を切り、壁などが振動している状況を確認すること。

 いろいろと聞いてみるが、やはりある程度以上レベルを上げていくと微妙に圧迫感がある。このD-Cubeの場合は9時・9時位がベストのようだ。
 パイプオルガンはやはり凄い。持続的な重低音が出ているのがよく分かる。モニク・アースの弾くドビュッシーのアラベスクが以前は軽めに聞こえたのに、これで聞くと厚みが増している。フィルハーモニア・バロックのヘンデルもいい。
 やはり、メインspの持ち味を替えるところまでは行かず、その辺がD-Cubeの特長だろう。
 

(’03.2.17)D-Cubeを聞く。入力レベル設定が難しくて、取説通りに赤LED(0dB)が時々点灯するくらいにすると、LPを盛大に鳴らしたら、すぐ入力オーバーでリレーが働く。結局、時々橙色LED(ー12dB)が時たま点灯する位が無難と分かる。
 
D-Cubeのすぐ横にチェスト(引き出し)があって、その裏板なんかがかなり振動している。隣のギャラリーからエコー・バスターを1枚取り返して、元のようにはめ込まねば。
 CDから鳴らし始めて、順次LPに移る。メインスピーカーのWilson Benesch が40Hzで±3dB(ウーファー17cm)だったので、クロスオーバー41Hzでスタート。なかなか量感あり。38Hzでは少し薄く、44Hzでは音がかぶり気味。当分、41Hzで行くことにする。
 レベルの方は、当初オーバー気味の設定になったので、順次入力レベル、出力レベルともに下げていく。最終的には、クロスオーバーは38Hz、レベルは入出力ともに、9時くらいの低い位置になった。なぜ、こんな設定になったか?
 はじめは、フォー・プレイやセリーヌ・ディオンのCDなどで重低音が厚めに出るのに喜んでいたが、だんだんと大音量で耳が疲れてくる。マーカス・ミラーなんか聞いても、Eベースの量感は凄いが、ベース・シンセとの分離が今いちだ。ベベウ・ジルベルトも少し音像が大きい感じ。
 結局、まずクロスオーバーを38Hzに戻す。この方がスッキリする。次に、
レベルをだんだん下げていく。ごくたまに橙が点灯する程度。念のため、メインSPだけでも鳴らしてチェックする。その結果、上記のようになった次第。

 このサブウーファーについて分かったこと。
 これは、一種のエンハンサーである。それも、量を増加させる(increase)のではなく、再生のレンジを拡大(extend)する。だから、単純に量感を増やす方向に行くと、全体としての情報量増加をむしろ曇らせる事になる。メインSPの持ち味を生かしながら、低域再生能力と音のクォリティを上げ、厚みや艶、彫りの深さなどをつけくわえることになる。メインSPのウーファー&スコーカーの口径は所詮17cmだ。結構低音が出るといっても限界がある。全体としての音の出方はどうしても軽めになる。その傾向を生かしながら、厚みを付加するのである。
 具体的には、バイオリン・ソロのLP(G.クレメル/バッハ)。無伴奏だから低域成分がないと思ったら大間違い。D-Cubeを切ると、上澄みだけのような頼りない感じが出てくる。入れると、ステージというか会場の広さが見えてくる。いわば、足が地に着いた感じになる。
 LPの反りはやっぱり出てくるものもあるが、大体はいける。やはり、LPにすると何か元気になってくる。オーケストラ(A.ロンバール/ストラスブール響/トリスタンとイゾルデ)(チェリビダッケ/ミュンヘン響/展覧会の絵)では、コントラバスは地を這いはしないが、その旋律がしっかり聞こえる。ジャズのライブ(ビル・エヴァンス・トリオ/ワルツ・フォー・デビー)ではヴィレッジ・ヴァンガードのグラスの音やざわめきがよりリアルに聞こえる。
 結局、メインスピーカーの持ち味に艶や厚み、彫りの深さ、雰囲気感というものを持たせるのが、その最大の効果だ。いわば、音を深くするのである。
 日野晧正やマイルスのマイ・ファニー・ヴァレンタインの切なさ。トランペットのブローに合わせて、D-Cubeの緑ランプが点滅する。(ピアノやベースでないことに注意!)
 スティーリー・ダンの躍動感(Aja)。マーク・アーモンド(The City)の厚みと濃さ。凄く良い。
 だが、カエターノ・ヴェローゾ(ノイチス・ド・ノルチ)なんかでは、かなりいい線行ってるものの、StudioK’sで聞いたときの切れの良さには及ばない。ボリュームを上げても、あまり改善されない。これは、やはりスーパートゥイーターが効いているのだろうか?
 レベル設定はまだまださわらなければならないだろう。だが、基本的な能力の高さはよく分かった。これはいろんなソースを聞きながら、ある程度位置も動かしながら、ゆっくりと丁寧に使い込んでいかなければならないSPだ。買うことにする。明日、メーカーに連絡しよう。

 (’03.2.16)Sa LogicのサブウーファーDegi-Cube(D-Cube2)が昨日届いた。
  http://www.salogic.com/home.htm
 DSPによるデジタル制御で、タイムアラインメント(音の到達時間)補正機能と不要高域のカットオフ特性 100dB/Oct というシロモノ。15Hzまで再生可能で、アンプも最大1Kwのデジタルアンプ内蔵。
 電源ケーブルが同梱されていなくて、待てども来ないので、JPSラボの2□ケーブル、FURUTECのIECコネクター、Hubelの20Aプラグで自作した。(後で届いたのが14AWG≒2□の3芯だったので、そのままJPSを使用。)
 信号ケーブルはオーディオ・クエストの「コーラル」という単線3芯シールド付きのものを、アメリカからバルクで安く買い、カルダスのプラグをつけた。現用のMITのMI-350(Spectral仕様)に替えてメインSPで聞いてみると、情報量とパワー感ともにかなり落ちるが、しっかりした作りだし、低域専用なので、まあ使えるだろう。
 チェック用のセリーヌ・ディオンやフォー・プレイのCDも買ってきた。
 調整はまだこれからだが、単に低音がよく出る、と言うよりも全体の雰囲気や艶、空気感といったものが出る。彫りの深い、深みのある音になる。

  かなりコンパクトなスピーカーで、目立たぬようブラック仕上げにしてもらったものの、センターには置けないので、配置についてはインテリア的にこれしかない、という目立たない左隅の位置に置いている。超低音は指向性がないので、今のところ支障はなさそうだ。ただ、本来は、超低域のためには、いろいろと動かしてポイントを探るべきだろうが、そういうわけにも行かないので、当面、位置は固定でレベル設定など色々やってみるかな、と思っている。
 詳しくは、まとめて報告します。

(’03.2.8)SOTAのバージョンアップ計画。アメリカまで送れば、モーターや支持系まで徹底的なバージョンアップが可能だろうが、それは非現実的なので、とりあえずできる範囲で着手することにした。
1.アームボードをアルミ、アクリル、鉛積層のCosmosに変更。(アメリカに注文済み)
2.電源トランス・ブリッジダイオードを収容する外付け電源部の強化。(トランスはそのままでショットキーバリア・ダイオードに変更し、平滑用のフィルムコンデンサを追加。)
3.プレーヤー本体内の電解コンデンサ(220μ40V)がくたびれていると思うので、最近のSOTAも使っているブラックゲートに変更。
4.プレーヤー本体から出ているACケーブルが余りにペナペナの安物なので、AETとはいわずせめてJPS程度には変えたい。
 というものですが、さて音はどれくらい変わりますやら。

(’03.2.5)メールが来てSa-LogicのD-Cubeを近々聞けることになりそうだ。SOTAの時よりも、おそらくもっとトータルとしての変化があるのではないだろうか。すごい事になってきたなあ。音と戯れる会に入ってよかったなと思うことしきり。

(’03.2.2)SOTAの交換用ベルトが届いていたので、付け替える。比べてみて驚いた。新旧でかなり長さが違う。もともとテンションの弱いベルトなので、それがさらに弱くなっていたわけで、時々音がゆれたのも、このせいだと思う。
 果たして鳴らしてみると、全体としての安定度がぐっと上がる。起動も早い。アクリルシートとの相乗効果で、かなり密度が上がった音だ。ノーラ・ジョーンズ、リムスキー・コルサコフ(シェーラザード)、イヴォンヌ・ロリオの弾くメシアン(鳥のカタログ)、ベロフが弾くバルトークのピアノソナタ、etc。ピアノの左手の存在感。オケの特に管楽器などがとてもよく聞こえる。
 完成度の高さが聞こえてくるような音だ。よし、次は電源をチェックして、コンデンサを増設した「エレクトロニック・フライホイール」化電源部を自作しよう。そして、カートリッジ。やっぱりZYXクライオかな?場合によりジェンセンのトランスも手配せねば。

(’03.2.1)SOTAのアクリル製のターンテーブルシート「スーパーマット」がアメリカから届いたので、試聴する。裏面に両面テープ上の接着剤がついており、ターンテーブルに接着する形になっている。一度付けたらはがすのは困難と聞いていたので、まずはそのまま上において聞く。置いただけでは全体として浮き上がった形なので、不安定だが、それでも鳴らしはじめると反応のよさに驚いた。
 意を決してターンテーブルに貼り付ける。凄い、低域の形が見渡せる。静かで、余計な音のふくらみがないので、ボリュームを上げにいくと、今度はフォルテのダイナミックスに驚かされる。そして、彫りが深い。ライル・メイズのピアノが心に染みとおってくる。シートによる音の変化には、かなりのものが。ある。これまでのオーディオクエスト(ソルボセイン製)も悪くなかったが、これは純正品だけあって、クォリティが違う。パイオニアのブチルゴムなど比較にならない。これまで、十分に鳴らせていなかったのが良く分かる。オーディオって、音楽って楽しいなあ。

(’03.1.30)以前からほしかったSnap Onの#1サイズのフィリップスドライバーをプレゼントでもらった。嬉しい。いくつか買い足して、セットで揃える。また嬉しい。バイアス調整用のボリュームやポテンショメーターにも3種類のうちのどれかがフィットする。気持ちがいい。プラスのドライバなど、チップの先に溝が切ってあって、いかにも食いつきがよさそうだ。すぐに何かを作るわけではないが、なんかわくわくする。ガキみたいだねえ。

(’03.1.24)思いついて、SOTAのピッチ(回転数)を同一録音のLPとCDを同時に聞き比べて調整した。やはり当初耳で調整していたのは、少し高めになっていた。カートリッジのヴァーティカルアングルも再度調整する。グライダーはやはりハイスピードなカートリッジだ。山本さんが言うように、17歳くらいのガキのようにイケイケのところはあるが、心意気は高い。プリアンプのACケーブルもGAIAに変えて、ソリッドさが増している。全体として、大分落ち着いた感じになってきた。それにしても、中々いい音になりつつあると思う。

(’03.1.21)SOTAのアルミ・コーンを入手し、ここ1週間ほど聞いている。アームもバランスを取り直さなければならず、調整は厄介だったが、結果はなかなかいい。ソリッドさが増して、反応が早くなった感じだ。ベルトを一ひねりしてから音が揺れる感じはほとんどなくなった。カートリッジのヴァーティカルアングルも取り直して、少しお尻を下げた形に戻したので、それも効いていると思う。アメリカのSOTAから、アクリルマットとベルトを今週中に発送するとメールがあったので、来週にでも届けば、ようやく全体のブラッシュアップができる。
 後はピッチ調整。ストロボ・ディスクはVIPのものを雑誌で見つけたので、LPと一緒にアメリカへ注文した。問題は光源の蛍光灯だが、いまどきインバーターの入っていない蛍光灯など売っていないし、ヤフオクに出るはずもない。どなたか、古い蛍光灯ランプをお持ちなら、
是非、譲っていただけませんか?

(’03.1.6)年末に届いたSOTAのプレーヤーは一応調整できたが、アクリルマットとアルミ・コーン(足に使用)が未入手で音的にはまだ本格的に評価できない。しかし、既に今でもその表現力の大きさには驚かされる。今日はリヒテルの東京ライブのシューベルトを聴いたが、会場内のノイズ、例えば咳をする人の位置や前後関係なども克明に描き出す。ピアノのダイナミクス、特にフォルテの強さ(音の大きさではなく)に、どきっとさせられる。
わずかにが揺れる感じがするのは、ベルトもへたっているのではないかという気がしている。アメリカからのパーツの到音着が待ち遠しい。
 写真は、SOTA「サファイア」Ⅴのライトオーク。今回入手したのは、初期型のダークオーク仕上げ。
  http://www10.plala.or.jp/audio_interior/lp.htm


(’02.12.22)
StudioーK’sの会で教えてもらったコーネリアスの「ポイント」を聞く。独特の美意識でオーディオ的にもおもしろい。やっぱり、直接教えてもらう生きた情報が一番大事だ。動いてみなければ分からないことが、いっぱいある。1月4日のモノラルLPを聞く例会も行きたいが、3日に高校の同窓会もあるだろうし、今回は残念ながら見送り。

(’02.12.13)ブラック・ダイアモンド・レーシングのピラミッド・コーンとそれを受けるピッツが届いたので、MCトランス、パーペチュアル・テクノロジーの専用電源P3、プリアンプ用の電源CSEのR-100などにつけてチューニングしていく。最終的には、余計なふくらみがそぎ落とされて、スピード感があがってきた。LPは少しシャープ過ぎるかもしれないが、これがグライダーの本来の音かも。CDは電源をGAIAにすると、少し低い方のエネルギーが出過ぎるが、いつも通り情報量が多い方で進もう。それにしてもカエターノはいいなあ。ジョニ・ミッチェルのウッドストックも素晴らしい。SOTAとSa-logic、かかってきなさい。受けて立とうぞ。

(’02.12.12)どうも音が決まらないので、左右のパワーアンプのバイアス電流をチェックして驚いた。右が規定の110mAに比して、80mAあまりしか流れていない。片方の出力管のゲッタ膜(発生するガス等を吸収する銀色の内部コーティング)が薄くなっている。ペア管の一方が真空不良か動作不良になりかけているようだ。全く真空管は生き物と同じだ。約20年前の製品なので、いろいろと不良があってもおかしくはない。やはり定期的にチェックしてやらないといけないことが、つくづくと分かった。
 あわてず騒がず、別のペアに差し替えて様子を見る。差し替えてからならしてみると、やっぱりいい。うちのシステムはこんなに良かったんだ、と改めて思った。おそらくプリのDynamiKapsのブレイクインが進んだこともあるだろう。もちろん
専用電源P3にGAIAを使ってのことでもあるが、LPの音まで生き生きと聞こえる。なかなか悪くない。これでターンテーブルを変えて、サブウーファーを入れたら、どうなるんだろう。 

(’02.12.11)オーディオ日記は随分久しぶりの更新になっている。この間、音楽を聞いてはいたが、心の大部分は他に向いていた。一日一日冷えてくるが、NYCはたぶん雪だろうな。またそんなことを考えながらも、お借りしたAETの各種ケーブルを試聴した。SPケーブルを試聴するには、半日がかりでWilson・Beneschをひっくり返してSP端子のナットをブン回さなければならないのでやめて、電源とデジタル関係だけを試聴。デジタルケーブルは非常に情報量が多いが、現在使っているワンダーリンクⅠに比べても全体の表情が硬く、音楽を楽しむにはちときつい。IECコンセントを備えているのは、パーペチュアル・テクノロジーの専用電源P3だけで、他の機器は電源ケーブル全て直付けなのでこれで試聴。GAIAもTAITANもともに情報量が増えて、しかもエネルギー感が出て、よりソリッドになる。ワンダーリンクⅠとGAIAの組み合わせがベストなので、早速GAIAを順番に導入していくことにする。
 生産中止になったので、買うなら今のマランツのSA-12S1は魅力的だが、映像機器としてみればD端子がないのは将来性に問題があるし、プロジェクターを使うのなら映像の質を確保するために、できるだけケーブル長を短くせねばならず、設置上も問題がある。ホームシアター用には別のプログレ対応DVDプレーヤーをリア側に置くほか無い。ならば、SACD対応のプレーヤーはサブウーファーなどを十分こなしてからでも遅くはない。よって、検討の結果当面やんぴ。

(’02.12.10)
7日にStudio-K’sの例会に出席した。以下は、そのときの感想。いやあ、いい音だった。面白かった。M.デュルフレのレクイエムをしみじみと聞いたときには、何か、久方ぶりに音楽に深く浸ったと感じた。自分のシステムのどの辺に手をかけてやるか、いろんな事を考えてやってみよう。

 感想といたしましては、「楽しく誘惑に満ちたひととき」とでも申しましょうか。KEFのスピーカーは昔から知っているのですが、決して硬くならない人肌の音触で、英国製らしく奥に向かって音場を形作りながら、サブウーファーなども活用して、「しっかり鍛えた」成果として、出るべき時の瞬発力やソース側の変化に対応する柔軟さを獲得していると思いました。
 カートリッジ3種の聞き比べも楽しく、ベンツマイクロL.04の求心力と、ダイナベクターのほんの少し燻しがかかった落ち着き、そして鳴らし分けという点では一頭地を抜いていたZYXのニュートラリティーが非常に印象的でした。当方もターンテーブルをSOTAにしたら、今使っているグライダーが少しきつくなって別のを探さなければならないかな、と思っていたところなので、まことに参考になりました。
 Sa-logicのサブウーファーは前から購入の方向で考えてはいたのですが、何せ大阪にはものが無く、今回初めて聞くことができました。SW-1600も良かったのですが、やはりデジタルアンプの効果は大きいようで、サイズ・使い勝手などやはり良いなあ、と思った次第です。ただインテリア的には黒で仕上げて、できればブラックパネルにして、前にごく薄い紗を張りたいな、と思いましたが、置き方でカバーすべきかもしれません。
 ソフトも今回新しい情報を得ることができまして、翌日渋谷のタワーレコードやレコードファインダーで早速仕入れてまいりました。
 実は、7日の夜は池袋のマイルス・カフェにライブを聞きに行ったのですが、隣に座った若い男性もアナログを始めたい、と言ってましたので、オーディオという今やマイナーな楽しみも、パソコンと一緒で人に聞くのが一番とっつきやすく、実際の使いこなしやいろいろなノウハウをフェイスツーフェイスで伝える機会があれば、さらに広がっていくかもしれません。
最後になりましたが、お忙しい中このような機会を設けてくださる山本さんに心から感謝いたします。

(’02.11.10)前夜たくさん酒を飲んだり、いろいろあって、今日はハードロックをガンガンに鳴らしたくなった。んで、勿論LPでディープ・パープルから始めたのだけれど、これがなかなかいい。エネルギー感もソリッドにあって、低域の各楽器がしっかり見えて、キーボード=オルガンのうねりもきっちり伝わってくる。プレーヤー本体と思われるボクシーな感じは少しあるのだけれど、フォリナーやツェッペリン、ボストン、ハートなどがちゃんと鳴るのだから、このADプレーヤーもかなりのものかもしれない。もちろん、先日来のDynamiCapの効果が大きいのだろうが。
 JBLのようなカリカリのハイプレッシャー・サウンドとは違うけれど、Wilson Beneschの新たな魅力を発見できて、なかなかの聞き物だった。また、時々やってみよう。 

(’02.11.3)今日は大阪ハイエンド・オーディオショー。
 
収穫その1.スキャンテックのアナログオーディオの担当者と直接会えたこと。いろんな情報を聞けて面白かった。プレーヤー選びに悩んでいるときだけに参考になった。エミネントのアームを前提にしているだけに、悩ましい。ハードサスペンションの方が良いこと。ウェルテンパードは相性が良くないかもしれず、ゴムを中に使っており、実質的にはハードサスペンションではない、とのこと。アマゾンならターンテーブルだけでの提供はできないことはないこと。うむ、そうなるとアマゾンか?
 
収穫その2.朝沼予史宏氏のデモ。JBLはハイプレッシャー・モニターであり、僕の考えている家庭内でのバランスのとれたオーディオとは別の世界。でも、彼の大音量かつ辛口の世界はなかなか面白かった。彼が自身でプロデュースし録音にも携わった京都のロックグループの録音もなかなか良かったし、最後にかけたシュガー・ソウルのリセッション・アルバムで片チャンネルの音が出なくなり、それでもシュガー・ソウルは片方でもそれなりに聞けて、それには触れずにデモを悠然と終えたときには、氏の人柄が少し見えた気がした。イケイケもなかなかいいと思う。もう一人の評論家Y氏の大味なデモ(Wilson BeneschのChimeraが聞けたのは良かったが、眠かった)よりは遙かに得るものがあった。

(’02.10.27)今日は久しぶりにいろんなLPやCDを聞いた。実は10日ほど前に、プリのカップリング・コンデンサ(6個)をTRTのDynamiCapに変更した。マイケル・エリオットのHPでは、"rightness"などという表現があって、もうひとつピンとこなかったのだけれど、音を聞いて意味が分かった。音の出方や音像や音場が「正しく」自然に感じられるのだ。コントラバスやベースのディープな音もちゃんと聞こえてくるし、何よりも個々のLPやCDの音楽性がそれぞれに伝わってきて、楽しめるようになっている。容量などの手書き表示を見たときには大丈夫かな?と思ったのだけれど、当分はこれで音楽に浸ることができる。確実に進歩している物が、ちゃんとあるということは、よりよい将来への期待がもてて何かうれしい。
 ブルックナーをならそうかとも思ったけれど、まだその時期ではないと思い、やめた。これから多量の音楽が必要になることだろう。

(’02.10.19)なんだかんだで音楽は聴き続けているが、オーディオはお休み状態。今日は久しぶりに河口無線の試聴会に行った。三浦孝仁氏が講師でクラッセのエレクトロニクスとレッドローズ・ミュージックのアンプ、スピーカーの試聴。レッドローズ・ミュージックの音はとても繊細でしかも音楽を楽しく聞かせるツボを押さえており、とても人恋しい気分にさせられた。試聴全体を通じて、音量がさほど大きくない。先日の大場商事の時などとは、全然違う。そして、このへんがウイルソン・システム7やマランツの業務用アンプを聞いたときに、感動しなかった原因だと気がついた。つまり、感じ方の個人差はあるが、エネルギー的に素晴らしくても、音楽を自然に聞くという音量を越えると、リラックスして聞けない、ということだ。今日は、位置的にセンターでなかったのが惜しかったが、その辺りをじっくり聞けたのが良かった。家でも、じっくり聞き込んでみよう。
 また、パーペチュアル・テクノロジーズのDDコンバーターについて聞くと、P-3Aでもアップコンバートしているが、20ビット程度までであり、やはりP-1Aでアップコンバートした方が音的にも良い、とのことで、聴感を裏付ける結果となった。

(’02.9.14)アンプの天板のコーリアン使用の件は、東急ハンズでは端材のカットのみ取り扱っており、手配できないとのこと。そこで、以前試聴会でお会いした「セイシン」の鏑木社長に連絡して、手配をお願いした。全くの特注なので、かなり高価にはなったが、パワーアンプの底板も含め確保できたので、音質改善に寄与すると思う。なお、前後して制振合金の小型インシュレーターをパーペチュアル・テクノロジーのP-1A,P-3Aに使用したが、響きがスッキリし、ボリュームを2ノッチほどあげてちょうど真価を発揮するほど、制動が行き渡っていることが確認できた。これも、なかなかの優れものである。

(’02.9.12)Micahel Percy Audioから、荷物が届いた。まず、LASTのレコード・ケア用品。パワークリーナー(Formula#1)で、LPをクリーニングし、レコード・プリザベイティブ(Formula#2)、つまり保護液で表面をコーティングする、という仕組み。以前、「サウンドガード」を使っており、これはLPの寿命も延び(100回以上)静電気も防止するという優れもので、使用感の良いものであったが、生産中止になりストックがなくなって困っていたところである。
 早速、使ってみる。クリーナーでは汚れがよく落ちているようで、表面が非常にきれいになり、コーティングしたらさらに光沢が増し、レコードブラシでブラッシングしても、摩擦が相当軽くなっていることが実感できる。なんでも、小さな傷はカバーして修復してしまい、接触抵抗を減らすことにより200回演奏できる、とのことである。
 音の面では、ほとんど変化は感じられないが、針音は低くなっているように思う。ただし、サウンドガードのように静電気は減らず、ゼロスタットなどを併用する必要がある。LPというのは、いわば身を削りながら聞く音楽であり、音に悪影響がないならば、少しでも長持ちするように努力するのは当然なので、当分使ってみよう。というよりも、保護液の方は大瓶(約560cc)を買ってしまったので、相当使える。そして、Formula#4と5というのを使うと、カートリッジの針先の寿命が10倍に延びるそうなので、DynamiCapsと一緒に早速これも注文してしまった。
 次に、オーディオクエスト(AQ)のターンテーブル・シート。ゲル状の性質を持ち、ゴムと違い押してもすぐに反発せず、むしろ筋肉などに近い振動吸収性能を持っている、ソルボセインという素材でできている。LPの共振をコントロールするというのがうたい文句である。青みがかったクリアな仕上げで、以前買ったことのある端材とはかなり印象が違い、また粘着性が高い。
 講釈はともかく音である。これまで使っていたパイオニアのブチルゴム・シートとは、かなり印象が違う。全体として静かで、よけいな響きが減ったというか、ボリュームを数ノッチほど上げても、飽和感がない。アタックの音はより鮮明に出てくる。オーケストラの響きの広がり方など、各盤の音の違いが、かなり大きな違いとして出てくる。言い換えると、以前のパイオニアのシートでは、「どの盤も同じようによく響いていた。」ということであろう。AQでは、LP自体のソリッドになりきれない「柔さ」はあるものの、いわばLPがよりCD的に聞こえる、というような面がある。といってもリッキー・リー・ジョーンズのライブとスタジオ録音が入り交じった盤では、その響きがかなり違うため、音量設定にとまどう時もあり、やはり素材の違いが出ているようである。なごんで聞くならパイオニアだが、やはりオーディオ的にはAQでいくことにする。当分、音量設定には都度都度、悩みそうだが。
 それにしても、今のLP再生音には、ターンテーブル面に内蔵されている板バネがある程度ローカットしているにしても、DENONのベニヤ板製のケースやボードの音も入っているであろうし、本来の音によけいな響きが加わっているだろうから、ここはターンテーブルを新しくして、例えばウイルソン・ベネッシュの「サークル」に、エミネントのアームをつけて、などと考えていたら、思わぬところで大きく変化してしまった。再来週にはロンドン行きもあるし、急がずゆっくりと見極めをしていこう。

(’02.9.4)スピーカーケーブルをアコースティックリヴァイブスーパーアニール単線ケーブルに変更。トライワイヤリングなので、高域、中域は1.6Φ、低域は2Φで製作していただいたものに、こちらで用意したカルダスのYラグをハンダ付けした。スピーカー側は、端子が太いのでこれしか使えないIXOSのYラグにネジ止め。撚線ほどではないが、結構柔らかい。ただし、外側のシールドを施したチューブがあるので、曲げる際はチューブが折れ曲がらないようにゆっくりとする必要がある。もとのモンスターケーブルM1に比べてどこが変わったかというと、まず静かであること。SNが非常に良い。真空管のノイズ以外はほとんど聞こえない。そして、アンプのヒートアップ(管球式ですし、若干かかります。)の間の音の変化が、はっきりと分かる。モンスターM1ではこの変化はもっと曖昧なものだった。
 また、試聴会で聞いたときと同じく、深い奥行きと音場感、明瞭なエネルギー感があって、全体的なエネルギーがかなりアップした。特に低域、中低域は凄みさえ感じられる。最初は高域が寂しいかと思ったが、アンプが温まってくるにつれて、パーカッションやシンバルなど、これまでよりはっきりと出てくるのだが、これ見よがしのところがない。全体としての音場や楽器の実在感はたいしたものだ。
 また、全体としてのエネルギーがよく出てくるので、スピーカーの外側にも音が広がっていこうとする。1m5千円(ラグ抜き)というレベルを越えて、凄いケーブル。これからはこれで行きます。

(’02.8.22)マイケル・エリオットのホームページで、「Auricap」を越えるものとして、彼が新しいコンデンサ「DynamiCaps」を推奨しており、入手先に「Micahel Percy Audio」をあげていたので、HPからカタログをダウンロードした。
 DynamiCapsはのっていなかったが、他にLASTのレコードトリートメント剤とか、オーディオクエストのターンテーブルシートとか、かなり興味深いものがあったので、注文と照会のメールを出した。こういうものが見つかるから、インターネットはやめられない。

(’02.8.19)以前から気になっていた、パワーアンプの足回りを強化した。これまでは、アンプの底板にネジ(スタッド)で取り付けた、ブラック・ダイアモンド・レーシングのコーンを、「ピット」という商品名の同社のコーン受けで受けて、13mm厚のコーリアンの上に置いていた。しかし、横からたたくとコーリアンが振動するのが分かり、納まりも良くなかったので、コーリアン板を、Pタイルを敷いた10mm厚のアルミ板に変えてみた。アルミ板にはできればスパイクをつけたかったが適当なものがなかったので、最終的にコーリアンの上に、真鍮と銅の小さなコーンを3つ上向けに置いて、その上にアルミ板を置いてアンプをセットした。つまり、床からは一応3点のスパイク支持になったわけである。
 変化はあるだろうと思っていたが、結構ソリッドで、ヴォーカルや管楽器のエネルギーが凝縮するようになった。言い換えると、いままではアンプが、あるいは球が振動して結構いろいろな音が乗っていたのだろう。ソースによっては、少し色気というか薬味が足りない感じがするが、これが本来かもしれない。パワーアンプ周りをチェックすると、肝心の底板が結構鳴っている感じがする。この際、非金属ということで、コーリアンに変えてみよう。
 また、米国のカタログでスピーカー用のスパイクを見つけたので、アルミ板から直に床面のスラブに刺すようにしてみよう。

(’02.8.3)河口無線で、「アコースティック・リヴァイブ」の試聴会。日頃ユニークな製品を発表しているだけに、面白かったが、印象が強かったのは、スーパーアニールの単線を使ったケーブル、特にスピーカーケーブル。キンバーケーブルの30数万円する製品と結構タメで鳴っていたのには驚いた。これで1mあたり5千円というのだから、是非注文しようと思う。
 東急ハンズにカットしてもらった5mm厚のアクリル板をプリにつけてみる。熱の逃がしはうまくいっているようだが、ペコペコいってどうも納まりが良くない。(ゴールドムンドのパワーの天板も結構ペコペコいってるのだけれど、あちらはトータルとしての重量と振動対策からして違うので、比較にならない。)タップねじを増やしたり、上におもりを載せて何とか納まったが、今度はコーリアンをカットしてもらえないか、東急ハンズに頼むこととしよう。
 逸品館で清原社長に先日のオーディオエキスポと、Sa-logicのD-cubeの事を聞くが、具体には製品の音は聞けず、また製品の仕上がりも遅れているので、Air-BowのOEM扱いにする、とのこと。おそらくしつこく聞いているのは僕ぐらいであろうに、まことに多謝。年末頃まで、腰を据えてゆるりと遊びながら待つことにする。

(’02.8.1)「オーディオベーシック23号」で傅氏がJob300を紹介している記事をヒントに、というかゴールドムントそのままに、プリの天板をはずしてみたのだが、音の吹き上がり之エネルギーというか、開放感というか、こちらの方がずっと良い。とはいえ、はずしっぱなしと言うわけにも行かないので、これもゴールドムンドに習って東急ハンズにアクリル板をカットしてもらうことにしよう。

(’02.7.16)近頃、山本耕司さんのホームページにはまっている。ステレオサウンドに掲載されたときから、ずっと注目しており、パーぺチュアル・テクノロジーのDD&DAコンバーターを買ったのも、実はこの記事に影響されるところ大であったからだ。実際にホームページを見て驚いたのは、そこに掲載されている何人かの方が、ステレオサウンドでお見かけした方だということ、そしてそれらの方々の音を含めた情報量の多さであった。しかも、オーディオだけではなく、お仕事の写真は勿論、料理や皿回しまで、何というまめな方かとうなるような幅の広さ。
 実は、Sa-logicのHPで見て、山本氏のスタジオに同社のスーパーウーファーが常設されるようになった、という事でクリックしたら、この世界が広がっていたというわけ。富田氏にしても一度音を聞いてみたいと、思っていた方である。いつか、スタジオKにいける機会があれば、と思う。

(’02.7.13)大場商事が河口無線で、ウィルソン・システム7の試聴会を開いたので、行って来た。ぎりぎりだったので、端の席だったのだが、そこからでもセンター中心に音像が建っているのがはっきり分かる、という点が特に凄かった。うちのウィルソン・ベネッシュではこうはいかない。エネルギー感や解像度も凄かった。さすが360万円。しばし感服、脱帽。
 だけど、欲しい、と強く思わなかったのは、なぜだろうか?鳴ならしていたアンプはナグラの真空管プリとソリッドステートのパワーであり、どちらかといえば管球党の僕の耳になじみやすそうな構成だったのに。なにか足りないような、面白くないようなこの感じは何だろう。もっと親密で(インティメイトで)、ハートをぐっとつかむような踏み込みが足りないのか?(うちのウィルソン・ベネッシュでももっと足りない。)これだけ迫力があって、会場一杯にエネルギーを充満させながら、それでも?
 しかし、客観的で構築的な音と、感情あふれるストレートな音との両立は、本来すごく難しいのかもしれない。結局各自が自分でバランスをとりながら、追い込んでいくしかないのだろう。短時間の試聴会はやはり難しい。





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