2007年のオーディオ日記
続きは「オーディオ日記」へ。
('07.12.31)今日はアホなAppleの手配ミスで1日遅れでMacBook Pro を修理に送り出した。早く帰って来いよ~、相棒。わしゃ寂しいぞー。
写真でラック最下段Antelopeの下は高精度水晶とその電源部を納めるケース。青いのは保護用のシールでOCXに合わせて色はシルバーです。TimeLordのクロノスの削り出しのシャーシにはとても及ばないけれど、良いところはパクらせていただくつもりです。高さもきちきちなので、どんな風に振動対策を施しながらラック内に納めるかが一工夫必要なところです。
ついでに解説しておくと、最上段は左がFireface400、右がPerpetual P-3Aを強化したDAC。中段は左がFireface400用電源、右がMonolithic
p3を強化したDAC用電源部です。
夜は久しぶりにSACD&マルチ大会をやってみる。いいなあ。長い間何もさわっていないのになんでこんなに良いのだろう。佳きかな、善きかな。
あの人も、この人もと、いろんな人の顔を思い浮かべる。いろいろありました。お世話になりました。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。そして、良い音楽生活を。
('07.12.30)あと1日あまりでこの年も暮れて新しい年になる。何も変わりはしないのだけれど、まあ一つの区切りというか年が死んでまた再生する儀式のようなもので気持ちの整理をする良い機会だ。
今年は近来まれに見る、と言いたくなる変化の多かった年で、昨年末に転居してまだ片付きもしないところにノーチラスがやってきた。本当にセンシティブで能力の高いカタツムリたちとのつきあいがおっかなびっくりで始まり、いろんな意味でこなれてきたと思う。
そしてCD再生というかPCオーディオの変化は我ながらすさまじく、パッと見はともかく中身はどんどん入れ替わっていき、高精度水晶の導入まで来てしまった。もちろんいろいろ課題はあるのだけれど、とりあえずはこれで一段落できるのではないかと思う。
SACDは音と戯れる会で最新のダウンミックス・ボックスが押し迫って年末に登場したので、来年はCDともどもソフト集めに力点が移ると思う。ぱっと思いついたり見つけたりでネットで少し買った他は、最近全然ソフトをカバーできてないんですよ、いや、ホントに。
アナログはフォノイコやターンテーブル・モーターの電源などを強化した他は大きな変化はないし、多分来年も基本は変わらないだろう。大切にしているので大丈夫だろうが、エミネントのアームが持ってくれることを祈るだけだ。
後はラインアンプの製作とまとめだが、オペアンプバッファーも含めて聞き比べて決めていこうと思う。
そしてカタツムリを迎えて1周年になる1月末あたりを目処に、このサイトもリニューアルをはじめます。そもそもは知人達への近況報告というのがはじめるきっかけで、最近はいろんな人が読んでくださってる事を聞くものの、それを意識して特に何かをしたことはありません。
この間いろいろ経験して、情報は発信しなければ集まらないということも痛感しているけれども、僕には良いオーディオ仲間が各地に沢山いてくれて、その人達との交流を大切にしたいと思っているし、それが基本だと思っている。だから近況報告、という初心に返って行こうと思う。勿論、できる範囲で伝えられることは伝えて、ささやかながら役に立つことがあれば、それも担っていきたいと思っています。でも、これからは僕的にはいわば「引き算」の美学が基本になると思います。今、北原白秋の「水墨集」例えば「竹林の七賢」などに強烈に惹かれるものがある。
そしてもっと肩の力を抜きたい。有効活動期間があとどれくらいあるか本人にもよく分からないので、煩わしいことには巻き込まれたくない。生活の質を大事にして音楽と向き合う時間を大事にしたい。
空の色をちゃんと見るような、太陽と風を感じるような、音楽と料理と思索に時間を注いで身体を大切にして、僕はゆっくりと林住期に入っていこうと思う。
('07.12.29)風水がいろいろと良くないようで、MacBook Pro 本体の1394のポートが何も認識しなくなってしまった。おそらくポートの物理的故障だと思うがAppleに電話すると、保証期限を過ぎているので一律53,150円の修理代金がかかると言う。そりゃ3年間保証延長のApple
Care の申し込みをした方がはるかにましなぐらいの金額だ。これで皆が騒いでいたApple修理はひどく高い、という実態がようやく分かった。
でもそれってちょっと阿漕(あこぎ)だと思うな。出来高でやるのがフツーだと思うけどなあ。お代官様よ。
ともあれ、ちょうど良い機会だ。じたばたするのは止めてゆっくりとしよう。
僕には固有の身体的状況があるので、できるうちにいろんな事をやっておきたいと頑張ってきた。遅かれ早かれままならぬ時期が来るだろうが、それも良かろう。時の流れに勝てはしないし、大切なのはいま自分が持っているものをちゃんと数えて状況を受け入れる力だ。
音楽よ、我とともにあれ。
('07.12.25)昨日CDドライブケースがPC(MacBook Pro)に認識されずに上手くいかなかったと書いたが、実に馬鹿馬鹿しくも哀しい理由であることが昨夜分かった。
LANケーブルを使って1394ケーブルを作る話には少し触れたけれども、Fireface400とPC間は千葉のshin-papaにいただいた新品のコネクタ(感謝!)を使って作ったケーブルで接続していた。そして光学ドライブとPC間は既存のケーブルをいくつかばらしてその中で一番しっかりした撚り線にLANケーブルを半田付けして作ったモノを使っていた。
もしやと思ってこれをモンスターケーブルに換えてみたら一発で認識した。ああ、もう馬鹿馬鹿しいったら!
慌てて自作1394ケーブルをばらしてみると、ラック内で曲げたためか2本の撚り線が半田付けの近くで切れていた。LANケーブルも撚り線だったらひょっとして大丈夫だったかも知れないが、性能面からわざわざ単線にするため10mの長尺物まで買って、それをカットして半田付けしたので弱い撚り線側がストレスに耐えかねて切れたわけだ。
自作は危うい。だが、これだけならまだ反省話で済む。
既存ケーブル活用がそれなりのリスクをはらむとなると、少なくとも曲げるカ所には使えないということになる。LANケーブル1394は音は良いのだが、コネクタ必須となると使える人は限定される。それが哀しいことだ。
奥の手としてマーケットにはまだ1394の4ピンコネクタはまだマーケットや店にあるようなので、これを使って製作して、あとは4ピン-6ピン変換コネクタで接続するというやりかたが残されている。今度はこれを試してみよう。
それにしても、ひょっとしたら当社比最高のCDドライブケースは成功していたのかも知れない。明日、冷静にやり直してみよう。疲れがどっと出たので、ともかく今夜は一杯飲んで寝ることにする。
('07.12.25)この間、合間を縫って玄人志向1394dat基板を使い、亡き友人の0.1ppmクロック基板(33.8688MHz)を使ってCDドライブケースをまとめていたが、いろんなアクシデントが重なって結局は安定して動作できず中断して元に戻した。
ひとつはIDEケーブルの接触不良というお粗末。もうひとつはクロックの注入点は分かって一度はは音が出たのだが、そのあとすぐに認識しなくなってしまったり不安定なところが何処かにあるのだろう。訳が分からない。クロック2枚注入というのも関係あるかも知れない。
大体がコンピュータがらみで上手くいくはずが上手くいかないなんてのは良くあって、ましてパーツの組み合わせでは相性もあるから意地になっても解決しないことが多い。
コーリアンの分厚い板を汗しながら切ったり、凝った電源コネクタを付けたり、普通のケースは端子板部分が鉄板なのでわざわざアルミ板をカットして磨いたり、この間の労力は何だったんだろう。
まーそういう日もあるさ。メリー苦労しました。
('07.12.23)【クロックこぼれ話(2)】 お楽しみはこれからだ。
いまデジタルの荒野を、あるいは沃野をさまよっているところで、いろんな事を考えてはいるのだけれど、あっち行きこっち行きしてなかなかまとまらない。いやーやはり難儀な世界ですわ。近似で事足れりとするつもりが、もの凄くちゃんとしないと人間の耳はだませないわけで。
そこでクロックについて、この間僕が学んだ事を簡潔に整理しておいたほうがいいと思う。細かく書いていくと本人も含めて全体像が見えないだろうし、まずはこれまでの固定観念をすこしだけ揺さぶらせて欲しい。
ただし、きっちりと検証されていないことや基本的な情報不足も有りますし、僕の思い違いもあるかと思います。追って訂正もありという前提でのとりまとめ、とご理解ください。
1.時刻の「標準機」
「周波数は時間の経過と共にずれてしまいます。定期的に校正する事で、安定な周波数を確保する必要があります。セシウム原子周波数標準器は校正が不要なので、一次標準器と呼ばれる。ルビジウム周波数標準器と水晶周波数標準器は校正が必要なので、二次標準器となる。」
つまりルビも高精度水晶も、時刻の「標準機」としては本来「校正」が必要なものなのです。
で、過去の僕も含めてそうですが、「寿命」という言葉をよく考えずに軽々しく使ってはいけないと思います。初期特性からどれだけずれたら駄目なのか、標準時刻や研究用途などならシビアに校正し、一定時期に交換していかねばならないのでしょうが、オーディオ用としては音質上はどうなのでしょうか?情報不足の現状で、ばさっと片付けられるものではないと思うのです。
2.周波数精度(長期的な変動)は重要だがオーディオ的には至上のものではない。
どうもオーディオのクロックも「時計」のイメージに強く影響されているようです。正確な時刻が問題なら、時間とともにずれてしまうのは大問題ですが、ずれても長期的には安定しているので、オーディオでは再生される音楽のピッチが変わるだけで、音楽そのものが変質してしまうわけではない。
第一、これらのルビや高精度水晶が校正が必要になった時でも、市場に溢れているデジタルプレーヤー(数10ppm程度)などの発振器よりは、まず大抵ずっと高精度の水準です。ルビや高精度水晶の周波数ずれが問題になるなら、これらの市販プレーヤーのずれ、つまりはピッチのばらつきの方がずっと大きな問題になるはずです。
3.「発信周波数の短期的な短期的なふらつき」の方が音質への影響・害が大きいようだ。
ここで先日の「クロックこぼれ話(1)」で、アナログプレーヤーのクオーツロックを掛けた場合と掛けない場合の音質の違いの話を思い出してください。
アナログとデジタルの比較はこちらの記事の中の『ワウフラッタに代わるデジタル時代の問題』で非常に良くまとめられています。
(1)位相雑音
『発振器の位相雑音とは、一言で言えば「発振周波数の短期的なふらつき」です。理想的な発振器では単一の純粋な正弦波が出力されるはずですが、現実の発振器では発振出力に様々な短期的・長期的変動を生じます。』
この位相雑音が『時間領域(オシロスコープなどで発振出力を観測した場合)ではいわゆる「ジッタ」となって現れます。』
さてようやくオーディオにつながってきましたね。
(2)アラン分散(Allan Variance)=短期的安定度(short-term stability)
こういう短期的な揺らぎを例えば1秒間にわたって平均した時の平均値はやはりランダムに変化するので、その統計的なばらつきの尺度である「分散」をそこから定義できるそうです。その場合平均時間のとり方を変えて例えば10秒にしても平均値の分散は異なるわけで、そこで平均値の分散を平均時間の関数として表したもの、これが「アラン分散」です。
大事なことですが、「アラン分散とは、水晶発信器等の安定度を示すパラメータで、位相雑音の測定結果から変換可能なパラメータです。」ということで、位相雑音を別の切り口から捉えたものと言えるでしょう。
以下にSRS社のクロックのアラン分散のデータを掲げます。
アラン分散 平均時間(秒) | 高精度水晶 SC10 (Grade J~A) | ルビジウム:PRS10 |
1秒 | 1×10⁻¹¹ ~ 2×10⁻¹² | 2×10⁻¹¹ |
10秒 | 1×10⁻¹¹ | |
100秒 | 2×10⁻¹² |
なお、これら位相雑音の量もさる事ながら、質(由来も含めて)が重要だということは間違いないらしいのですが、まだ確定的な情報には接していませんので、論議の途上のようです。
なお、こちらの記事にはオーディオ信号が流れている場合にクロック信号がその影響を受ける場合が、グラフで示されています。この場合はクロックの品質だけでなく、接続インターフェース(同軸、光り)やDIR(デジタルオーディオ・インターフェース・レシーバ)の性能も影響があるとのことで、回路全体で見て行かなくてはならないことが分かる。
4.クロック用電源の質はきわめて重要だ。
先日位相雑音に触れた際に、スイッチング電源は位相雑音を増やすので良くない、というセキテクノトロンのご担当の話を紹介しました。また、こちらのページを見るとそれがグラフとしてはっきり表れていますし、PLLを発信源としたときの位相雑音の多さについても明確なイメージが把握できます。
実際、クロノスの取説を読むと、米谷淳一さんの思いのこもった文章で、電源対策と振動対策の重要性が語られている。ちなみにクロノスにはスイスTEMEX社に特注したルビが使われているそうだ。
5.オーディオ用クロックは「時計」ではない。
さて、とりあえずこれだけ見てもオーディオ用クロックには見るべきスペックが周波数精度以外にもいろいろあることがお分かりいただけるでしょう。亡き友人が行っていたように「周波数精度の高いクロックは、結果として位相ノイズも少ない傾向がある。」ので、今まで結果オーライだったのかも知れません。
どうやらお楽しみはこれからなので、しっかりと目を開けて勉強して、もっと耳を傾けましょう。
('07.12.22)DVDオーディオ推進団体が一つ活動を停止していたようだ。むろんDVDオーディオのフォーマットが消えるわけではないが、今後再生対象ディスクから密やかに外れていく可能性は否定できない。ビートルズ「Love」は買ってあるし、PCでもFireface400を通じてマルチで鳴らせるから、僕自身は困らないが。
そんなことはともかく、SACDマルチなのだ。こんな素晴らしいモノを消えさせるわけには断じていかない。クラシックでは海外レーベルでは枚数はかなり増えているし、ロックでもリマスタリング5.1化などが進んでいる。プログレなんかには最高のメディアになりうるだろう。
そろそろディスク探しも再開しよう。
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「DVDオーディオ プロモーション協議会のサイトへアクセスしていただいた皆様へ」
(http://www.dvdaudio-net.com/)
長らくご愛顧いただきました当ホームページは、2007年3月31日を持ちまして、サイト上でのサービス提供を終了させていただきました。長年にわたるご利用、誠にありがとうございました。
今後のDVDオーディオ情報についてのご案内
DVDオーディオに関する一般的な情報(日本オーディオ協会サラウンド専門ページへ)
DVDオーディオソフトのリリース情報(音元出版PhileWebへ)
当「お知らせとご案内」ページは2008年3月31日をもって掲示を終了いたします。
('07.12.21)4万円を切るTASCAMのUSB 2.0オーディオ「US-1641」~ Cubase LE 4をバンドルし、使い勝手も良好 ~ということらしい。
なにより魅力は従来のCubase LE(何と3世代前のバージョン) に代わってCubase LE 4がバンドルされていること。エンジンはCubase 4と同じものらしい。「デジタル出力のチャンネル選択の項目以外はTASCAMのUS-122、US-144とほぼ同じもののようだ」ということで当然ASIOとCoreAudioをサポートしているはずだ。1394に比べてUSB
2.0はシビアに追い込むにはあまり向かないが、使いやすくてポート不足に困る事がない。1394ポートが2つもあるノートなんてのはそんなに多くないと思うので、手持ちの古めのマシンでPCオーディオをはじめるには好適だと思う。
第一ソフトが良ければ多少のハードの差は吹き飛ばしてしまう。
クロックも外部同期できるので、トラポなど手持ちのいいクロック搭載機器を活用できるし、同軸出力もあるからDACも使える。
これまでヤマハのミキサーを買ってPCオーディオにはCubase AI4を使い、ミキサーはSACDマルチに使えば一石二鳥などと言っていたが、音と戯れる会ではアナログでダウンミックスする謎のボックスに湧きに湧いているところなので、ミキサーの必要性はどこかに消えた。
となればエントリー用にはこれあたりが浮上してくるだろうか。
('07.12.20)1394コネクタの送金を連絡したらドイツからの返事で、発送は1月末になるという。これだけ一生懸命やってなおかつこの仕打ちは何だと頭に来た。個人としてのドイツ人は良いひとも沢山知っているが、大企業の堅物ドイツ人は駄目だなあ、こりゃー。Zum Teufel!
今日は当社比最強のCDドライブケース造りをした。細部には不満もあるが、振動対策的にもすんごいモノになりそうだ。CDドライブのクロックは0.1ppmを使う。
Fireface400のドライバとファームウエアが更新されていますよー。
('07.12.19)クリスタル仲間 からかないまるさんのHPで「デジタルなのになぜ音が変わる?」を教えてもらいましたので、ご紹介します。
http://homepage3.nifty.com/kanaimaru/PS3/a1.htm
時間軸つまり「クロックが揺れる真の原因」は、
1.電気的な原因(電源経由のノイズなど)
2.振動(メカ的な変形やケーブルの振動)
であることをわかりやすく説明しておられます。
12月15日のこのページで「Theme Spatiality(略して「てますぺ」)」を紹介しましたが、そのことに関連して原子発振(ルビジウムなど)と水晶発振の違いについて12月17日に触れておられます。
原子発振は1年を通じての長期安定性はあるものの、短期的には絶えず値がふらふらと動いており、一方水晶は長期的には周波数的にずれやすいけれども短期的なふらつきは少ない、とのことです。
まだ情報は十分ではありませんが、この辺が音質に影響していることはやはり間違いなさそうですね。このサイトを今後も参考にさせていただこうと思います。
('07.12.18)親知らずを抜いていまいちパワーがないので、他所のHPからのネタで。
「かないまる」さんのHPは相変わらず面白い。ちょうど絶縁トランスの記事が載っている。
実は今、カナダPLitronに電源トランスといっしょに医療用アイソレーショントランスを注文しており、デジタル系に使う予定の後者はすぐに使わなくても良いので、音と戯れる会の会員間の巡回試聴で聞いていただこうかと考えている。そこへこのタイムリーな記事なので是非全編読んでいただきたい。ポイントだけ引用させていただきます。ありがとうございます。
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絶縁トランスによる音質改善(上級者向け) その3) 500VA編
ただし日本の200Vは、単層三線式といって、両方の線が大地アースから浮いているので、このようなトランスを使っても機器間の電位差がかえって大きくなり音質はよくならないことが多いので、かないまるはお勧めしません。
絶縁トランスによる音質改善 その4) なぜよくなるのか (HP左側のフレーム内の"7"をクリック)
1) 電源ループによる音質劣化
まずトランス電源であっても、オーディオ機器同士をケーブルで接続すると同時に、音質劣化は起こります。
この図はプレーヤとアンプというたった二台の接続例ですが、それぞれの機器にはそれぞれの電源があり、ACラインとシャーシの間に電位差を持っています。各機器の電位は交流的に全部違うものなので、機器同士にも交流電位差があります。
シャーシ同士をオーディオケーブルで接続すると、交流電位差がショートされ電位差はほぼゼロになりますが、ノイズ電流が流れ始め、微細な電位差が残ります。この電位差がオーディオ信号やデジタル信号に混ざり、ノイズやジッタの原因となって音質を劣化させます。
よく、機器の外をつなぐケーブルが太いのにセットの中のケーブルは細くてチープだがそれで良いのかと聞かれます。それでいいのです。なぜなら、機器内では、外から流れてきたグラウンド電流が信号に流れ込まないような設計が可能です。
しかし外のケーブルは(特にアンバランス接続の場合は)、ひたすらインピーダンスをさげるしかありません。10万円のオーディオ機器でも20万円のオーディオケーブルをつなぎ変えたときの音質差がわかりますが、それはノイズ電流がダイレクトに流れ込むからです。
3)別電源配線の危険性
よく「分電盤から分けているから音が良い」と信じきっている人がいますが、もしプレーヤとアンプを別の配電からとっている方は、ぜひ一度、同じ回線からとってみてください。ものすごく音がよくなることがあります。
これは、あまりに遠くから分けたため、二つの回線そのものにコモンモードノイズが乗って電位差がついてしまっているケースです。プロジェクタの電源を天井配線からとっている場合も注意しないと音質が劣化している場合がありますが、原因は同じです。
4)スイッヂング電源機器と絶縁トランス
さて、上図はトランス電源で書いてありますが、たとえば下のプレーヤがスイッヂング電源機器だったとしましょう。するとノイズ防止のためシャーシとAC電源の間にコンデンサが入るのが普通なので、輻射ノイズは小さくなるものの、AC電源との結合は強くなります。
このためシャーシ間を流れる電流は増えるのが普通で、これがスイッヂング電源機器が音質を悪くする原因です。
絶縁トランスは、ACプラグとシャーシの結合を、ACラインとの間で切ってあげることができるので音質がよくなるのです。
PS3に絶縁トランスを入れると音質がよくなるのは、スイッヂング電源機器であるPS3を、トランス電源方式に変更したのと同等の効果があるわけです。PS3にかぎらず、すべてのスイッヂング電源機器を改善することができます。
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次はかないまるさんのHPからのリンク記事から。
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西田宗千佳の― RandomTracking ―
BDの本格展開へ、ソニーの総合力が「違い」を生む- BDレコーダ「X90」とAVアンプ「5300ES」に込めた思い
【図】時間軸の揺れが音質に影響するという
今回の試聴では、アンプまでの伝送はすべてHDMIによるデジタル伝送だ。当然、X90からの出力はすべてデジタルであり、アナログの時代のように、「微細なノイズで音質が変わる」ことはないようにも思える。しかし、「そんなことはない。むしろデジタルの方が、ノイズの影響は深刻かも知れない」と話す人物がいる。ソニー・オーディオ事業本部 第1ビジネス部門1部 主幹技師であり、「かないまる」の愛称でもおなじみの金井隆氏である。
「デジタル伝送で音が悪い、と言われる現象には、ほぼ同じ理由があります。それは、“時間軸方向のぶれ”です」と金井氏は言う。デジタルデータは、すべて0か1で表される。しかしそれを伝送する段階では、アナログ時代同様、配線上を電流が流れていることに違いはない。特定の波形を流し、その上で、「電圧がある一定レベルを超えているか」を判断した上で、「0」と「1」が決まる。
ところが、波形は常に理想的な矩形波(図上のような形状の波)というわけではない。特に、ノイズなどで波形が時間軸方向にゆがむと、図下のように、最終的な波形が崩れる可能性がある。崩れはあくまで非常に小さなものだ。音程が変わってしまうほどの変化ならば、復調時のエラー訂正などで補正され、回路設計中にも、大きな波形の乱れとして認識できるからだ。
だが、いかに微細な差であっても、「人間の目や耳は積分的に(時間的な積み重ねで)音や絵を感じるため、最終的には違和感となって感じられる」(金井氏)のだという。HDMI関連では、よく「電源からのノイズに揺すられて音が悪くなる」という表現が使われる。金井氏によれば、この「揺すられる」という状況の正体が、時間軸方向へのずれなのだという。
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一昨日のこのページのクロックこぼれ話(1)、その続きと合わせて読んでいただくと面白いかも。
('07.12.17)セキテクノトロンのご担当の話では、最近水晶のデモ機貸し出しの申し込みが何件か出てきたとのこと。また今日は地元大阪日本橋の方からもメールをいただいた。聞いて判断されるのは あくまで皆さんご自身なので、実際に聞く機会があることは本当に良い事だと思います。
1月半ばにはSC10も入手できそうなので、そのケースへのインストールや電源についてはこのページで報告していきたいと思っています。
('07.12.16)東京の友人と「苦璃栖蛇瑠族」なる族を立ち上げた。でもチーマーではなく「クリスタル族」つまり水晶クロックを愛好するマニアの集まりである。といっても渋谷支部と堺支部しかないのですが。
単にマニアックな好みというよりも、本来機器選択はそれぞれの自由ですから、少なくとも周波数精度盲信としか思えない、選択の余地や試聴の余地を与えない現状は困ったもんだ、という意味の感覚です。結局はトータルとしての回路のできばえの問題でしょうから、水晶なら何でも良いというのではなく、ビョーキの人だけが頑張ってようやく聞けるのではなく、要はちゃんと情報を出して、ちゃんと聞かせてよ、という事ですか。
昨日紹介したサイトでも水晶の評価が高いので、そういう意味では僕らもシンパと言えるかも。あくまで勝手にそう思うだけですが。
【クロックこぼれ話(1)】
《A》アナログプレーヤーの回転精度 ⇔ クロックの周波数精度
《B》アナログプレーヤーのワウフラッター ⇔ クロックの位相雑音(ジッター、不要な発振出力エネルギーの放出)
サンプリング周波数(fs)クロックの周波数がずれると大問題だ!とよく言われますが本当にそうなんでしょうか?例えば録音したデジタル機器と再生するデジタル機器のクロック精度がずれていればその場合は再生される音の音程が上がるか、下がるかします。つまりピッチが変わるだけで音楽としては相対的な音の関係や構造を保ったまま、ちゃんと再生されるわけです。
アナログ時代の有名な話にマイルス・デイヴィス「カインド・オブ・ブルー」のカッティングの際にテレコの回るスピードが3%ずれていたためにピッチが狂ったままで長年発売されていた、という話があります。僕は3%ずれてカッティングした盤と正規スピードでカッティングした盤の2枚組を持っていますが、どちらもそれだけ聞けば特に違和感を感じません。
あるいはヴァイオリン族の弦楽器にはフレットがないので、ウイーンフィルが弦楽だけでワルツをやるときには、今日が乗れば軽く半音や一音は上がってしまう、と言うのも有名な話です。
またWell Tempered などのアナログプレーヤーには回転数調整ノブが無いので、例えば33.3よりも少し早かったり遅かったりするプレーヤーが実際に販売されているのですが、これまで特に問題にはなっていません。
まあこれは絶対音感を持つ人が非常に少ない、という前提でのことでしょうが。
デジタル機器の場合、現状では全く同じfsクロックの機器はないので、そのため録音・編集の過程ではクロックマスターに各機器を同期させたりするわけです。とはいえクロックマスター自体もみな微妙にずれていますが、その偏差がわずかなので無視されているだけです。勿論こういうピッチの変化はもちろん少ないに超したことは無いわけですが、しかしそれだけが問題でしょうか?
クオーツロックのアナログプレーヤーには、私が使っていたDENON DP-80 のようにクオーツをオンオフできるものがあります。この場合、宣伝文句と違って実際に聞いてみると明らかにクオーツ・オフの方が音がよいのです。つまりクオーツロックというのは変動が起こった後にPLL回路によるフィードバックでそれを補正するため、実際には短期的に早くなったり遅くなったりを小刻みに繰り返すわけで、いわば短期的にピッチが揺らぐわけです。
つまり長期的なピッチの変動には人間は違和感を覚えないけれども、ピッチの「短期的な揺らぎ」には非常に敏感なようです。これが《A》についての」整理ですが、実は《B》についての問題提起でもあります。(To be Continued.)
('07.12.15)クロックのことなど勉強していると自分の知識のなさが痛感されます。いろいろ書いているけれど僕などは結局長年半田ごてを握ってきただけで、回路のことをよく知っている訳でもなく、ある程度場数を踏んでいて機器の中をいじれるだけだと正直に思う。
例えばクロックについてこのページで展開されている議論などはとても難しい。例えばこのコメント#9でみずから書いておられるように「一般的に水晶発振器を載せ替えて音質が改善したという報告が多いのは,『周波数偏差の少ないいわゆる高精度な発振器には結果的に位相雑音の低いものが多かった』,というだけではないかと思っています。」などという内容は、亡き友人が言っていたことそのものです。これだけでは同じく低位相雑音のルビと高精度水晶の音の違いはまだ十分には説明できないものの、傾向としては確かになるほどと思います。
また、このサイトの基本理念での柔軟な姿勢にはとても好感を持ちました。同感!
ただ周波数精度のような数値がクロックの全てであるかのようなメーカー側の説明はいい加減にしていただいて、その音質の違いというものをちゃんと試聴する記事やパブリシティが必要とされはじめていると思うのですが。
('07.12.14)高精度水晶SC-10は意外に早く入手できそうなので、電源の製作を急がねばならない。というか、届いたら早く鳴らしたいではないか。
で、10MHz正弦波の発振器電源なので三端子というわけにはいかない。さりとて技術誌で1回製作発表されただけのようなものは安定性や耐久性に不安が残るので、定番の枯れたものが良いと思う。いろいろ考えて以前秋月電子から入手していた「実験室用精密級定電圧安定化電源キット」を使い、出力にコンデンサアレイを付けたものを自作する事にした。といってもLM723を誤差増幅に使った至ってトラッドな回路だが、実績があるので安心だ。勿論、抵抗やマイカコンデンサはオーディオグレードで行くことにしてカナダPCXに注文した。ケミコンは日本橋で確保できる。
ルビジウムと違ってSC10は24Vの場合、ウオームアップ時でもmax.12W=0.5A、25℃時では3W=0.125Aと低電流なので電源トランスも負荷は軽い。また矩形波を使う他のクロックと違い正弦波出力なので、この面でも比較的デューティーは軽い。そこで、手持ちのケースを使ってラックに納まる範囲という事で、電源トランスは50VAにすることにしてカナダPlitronに注文した。
('07.12.13)何人かのプロの人からルビと水晶の件で、この間メールが相次いでいる。皆さん、関心を持って読んでくださっているようだ。ついでにプラグやケーブルについての情報も教えてくださって誠にありがたいです。感謝。
SC10の仕様を決めてセキテクノトロンに見積もりを正式に依頼した。その際に聞いた内容で昨日のPRS10のグラフの説明を補記しています。
1394コネクタもドイツの会社に発注できて、来週送金することになっている。この間、いったい何回メールをやりとりしたか、数える気にもなれない。型番も指定して、最終のインヴォイスが向こうから出たのに、なおかつ正式なオーダーフォームを送れと来る。仕方ないのであちこち継ぎ接ぎしてPDFファイル(レターフォームにして我が家の家紋Family Emblem「横木爪」を入れてやった。わはは。)を送ったら、ようやく「Final Account」を発行してくださった。やっぱドイツ人というのはこうなのかねえ。Deutche Ordnung!Es
ist zum verzweifern!
まあ、入手できるだけでもよしとしよう。どれだけの人が申し込んでくれるか分からないが、後で無いと言ったってわしゃもー知らんもんねー。本当にいい音なんだからねー。
RME のインターフェースはLeopardに対応しているとのアナウンス。一方、「現在スタインバーグでは、Cubase、NuendoのMac OS X Leopard対応に向け順調に開発中」らしい。
でも、もともとユニバーサルバイナリの対応についてはCubase ST4をはじめ「Mac OS X には対応しているものの、Intel Mac に対応していないスタインバーグ・ソフトウェア製品は、Intel Mac コンピュータ上でご満足頂くことができるレベルでご使用頂くことができません。Rosettaテクノロジーを使って動作させることができるものもございますが、残念ながらパフォーマンスを充分に引き出すことができません。」との話だ。要するにLeopard対応で、ユニバーサルバイナリもまとめて対応します、って事らしい。
ほんじゃあ、待ってもしょうがないみたいだし、年末にでもじっくりとLeopardをインストールみようかねー。
('07.12.12)ルビと水晶の日々(データ編)亡き友人は「クロックは精度だけでなく、音質的には位相雑音(Phase noise)が低い事が大事だし、またその量が多い・少ないだけでなくその質も大事だ。ルビジウムは位相ノイズのレベルは低いがいやなところにピークの高いノイズが出ている。これが音質に悪さをしているんじゃないかと思う。」と常々言っていた。ルビジウムや高精度クロックを製造している各社ともクロックについては位相雑音が低いことを必ず強調しているので、これはやはり重要な事なのだろうと思う。(位相雑音を正面から説明していないのはオーディオ関係だけだ。)
この間ずっとカタログや米SRSのHPを見ていて分かったことがあるので、データを整理しておこう。
カタログから拾った数値はこうなっている。SC10は一番ベーシックなグレードJ。
発振周波数からのオフセット周波数 |
高精度水晶:SC10(Grade J) | ルビジウム:PRS10 (SSB) |
10 Hz | <-120 dBc/Hz | <-130 dBc/Hz |
100 Hz | <-150 dBc/Hz | <-140 dBc/Hz |
1 kHz | <-158 dBc/Hz | |
10 kHz | <-158 dBc/Hz |
なぜルビは1 kHzと10 kHzを載せていないのだろう?下のグラフを見てそれが理解できたのではないかと思った。
これは米SRSのHPに記載されているPRS10の位相ノイズ(シングルサイドバンド)のグラフだ。分散してではあるがかなり高いピークが70HZ~2KHzあたりに頻繁に出ている。もちろんデータと音質が一意的に割り切れればこんなにスッキリすることは無いわけで、これで音質の違いが説明しきれるかどうか浅学の僕にはとてもとても判断できないわけだが、少ないに超したことはないのは間違いないらしい。
※ただ、これについてセキテクノトロンのご担当から聞いたところによると、研究測定用には小さなスイッチング電源を使うのが大半なため、上記のPRS10のデータはスイッチング電源を使用したときのものを使っており、そのノイズが混入しているとのことだ。リニア電源(トランス式のアナログ電源)を使えばフラットなカーブになるとのことなので補記させていただきます。
少なくともSC10高精度水晶はルビジウムと同等以上の位相雑音性能を持っていることはこれで分かった。勿論、水晶の弱点は経時変化がより激しいことだ。でもそれは前に書いたように校正に出すなりしてある程度はカバーできるだろうし、校正して偏差が戻らないようになれば買い替えればいい。第一その方が安くて音が良ければそちらを選ぶ、と言うのが僕の判断だ。
オーディオ機器は全て時間とともに劣化あるいは変化していくものだし、クロックだけがそうでないということはやはりあり得ないだろうと思うのだ。ならば腹をくくればいい。
「生より死にうつるとこころうるは、これあやまりなり。生はひとときのくらいにて、すでにさきあり、のちあり。滅もひとときのくらいにて、またさきあり、のちあり。」(西有穆山「正法眼藏啓迪」)
('07.12.11)ルビと水晶の日々(4)12.6GHzセミフレキシブルケーブル(@6,100)が届いたので、早速音を聞いてみる。
セミフレキシブルケーブルというのは、フレキシブルケーブル(あまり高い周波数では使えない。)の細い金属線で網状に巻かれた外部導体に錫を流し込み、信号の漏れを少なくしたもの。曲げやすいと言っても、外部導体に銅パイプを使用してさらに漏れを少なくしたセミリジッドケーブルよりは、というだけで結構固い。
で、音も固かった。センターに凝縮してあまり広がらない。これは水晶でもルビでも同じで、ブレイクインの問題かも知れないし、ひょっとしたら錫という材質が聞いているのかも知れない。まあ10MHzの正弦波しか通さないのだし、あまりにオーバースペックというか狙っている部分が違うのかも知れない。どっちにしてもこれは今は使えないと判断し、もう一つのケーブルを待つ。
夜ようやく2D-LFB-Sの1mBNCケーブル(北辰産業BB-2D10 @1,522)が届いた。これは昨日友人に聞いてもらった1.5D-QEVは細くてビニール被覆でふにゃっと柔らかく、2Dはそれよりもよりは一回り太く外皮も堅めだ。そのせいか1.5Dよりはタイトで高域が少し伸びた感じだが、ややスッキリし過ぎていて1.5Dのような含みの多さ(ロスの多さ?)はあまりない。ルビにはこれが一番合ったので、この2Dでいろいろと試聴を進めた。
その結果、最終的には水晶を選ぶ事にした。理由は音だ。ルビはやはりほぐれにくく固い感じが拭えない。高域よりのテンションが高く、どうも対決型というか楽しめないところが残る。勿論、オーディオ快感追求型のくっきり・はっきり方向や音量を絞った場合はこちらの方がいい面もあるかも知れないが、トータルとしては広がりがあって音あたりがスムースな水晶の方がずっと音楽に浸れるというのが僕の感想だ。(念のため亡き友人に義理立てしているようなことは一切無い。これは僕のシステムであり、音楽を聴くのは僕自身だからだ。)
さて結論は出た。クロックケーブル選びは選択肢が凄く限られそうだ。50オームの世界は無線の世界なので、プラグひとつとってみてもオーディオ的にみたグレードは全然高くない。5D-FBで自作でもしてみるか。まあ、音質は電源でも相当変わるし、今回の付属電源は汎用の組み込み電源なので、オーディオ用のパーツで組めば音質も向上すると思う。またいろいろと努力してみよう。
ああ、ようやく試聴から解放される。ふう。
【Interlude:間奏曲】以前ルビの「寿命」について少し書いたが、勉強すればするほどこういう事は表現が難しいと言うことが分かった。例えば「aging(エージング)」という概念があって、こちらでは「時間の経過と共に生じる特性の変化量」と説明されているが、こういう経時変化はルビでも水晶でもある。水晶の方がずっと変化が大きいので、何年か後に「校正」が必要になるかも知れないが、計測器ならともかく10のマイナス10乗が8乗や7乗(10MHzからの偏差)になったからと言ってそれが音の変化として聞き取れるかどうかという事もある。この辺は使ってみなければ分からない。変化と劣化は同じではないだろう。
スタンフォードのルビPRS10のデザインライフ20年というのも電源入れっぱなしで使ったら偏差が大きくなってずれていくと言うものだが、それでもフツーの水晶よりはずっと良いらしい。
要はオーディオ用としてはまだ歴史も新しいし、当然長期間でのサンプル数も少なく情報もまだまだ行き渡っていないわけだ。
そんな中、ある輸入代理店が、オーヴン入りの水晶(OCXO)はその性質上劣化が早い、と言っているらしいとあるところで拝見した。しかし僕が調べた中ではそういう事はなさそうだし、セキテクノトロンに聞いても、そういう事は聞いたことがないという話だった。我が製品を売り込みたいのだろうが、ユーザーの情報不足につけ込むような事だとしたら、これはいただきかねる話だ。上に書いたような経年変化の話は他にももっといっぱいあって、そのなかで語られるべき事だからだ。
スペックとイメージだけの世界でクロックはオーディオファイル達に受け止められているようで、メーカーも代理店もまだまだ十分な情報提供をしているとは思えない。これは危なっかしいと、にわか勉強の僕でさえも思うのだ。
('07.12.10)米ヴァージニア州在住の友人が出張と帰省の貴重な1日を割いて遊びに来てくれた。CD、SACD、LPと取り混ぜていろいろ聞く。そして日米のオーディオ、音楽いろんな状況について情報交換する。
話題の一つはやはり今試聴中のルビと水晶のアトミッククロック。注文しておいた1.5D-QEVのBNC仕様ケーブル1m(@1,300)が届いたので、ルビと水晶をこのUHF帯(300MHz ~ 3GHz )対応のケーブルで聞く。彼の意見も是非欲しかったので、お土産にいただいたジェニファー・ウオーンズ「フェイマス・レインコート」(リマスター)やティアニー・サットン「ブルー・イン・グリーン」(写真の これは素敵なアルバム)を含めていろいろ鳴らしてみる。
ジェニファー・ウオーンズのようなダークな、というかレナード・コーエン的な音にはルビの方がマッチするが、全体としてルビは固いところがありほぐれない。音場も水晶の方が広がる。精度はほぼ同等で値段もルビよりかなり安いし今のところは水晶優勢と言ったところだ。ただ、本命の12.6GHzセミフレキシブル・テストケーブル(高いがそれでも@6,100)が明日届くので、僕的にはこれで判断しようと言うことにした。
ソフトの話は勿論、彼はAudio Note UK の300Bアンプ・キットに取り組んだりしているので、部品の情報などもいろいろと話して、愉しい充実した時間はあっという間に過ぎた。朋あり遠方より来たる。また愉しからずや。
夜はヤマモッさんとスカイプしたりする。音と戯れる会も多士済々、ずいぶんと面白くなってきている。朋あり遠方にて話す。また嬉しからずや。
('07.12.9)ルビと水晶の日々(3)いやあ、まいりました。ルビも水晶も出力インピーは50オームで、でも「75オームのケーブルでも問題ないよ。」と聞いていたし、確認できていないがおそらくAntelopeのクロック受けはRMEみたくハイインピーダンス受けだろうから大丈夫だろうと思っていた。実際何も問題はなかった。
ところが昨日RSコンポーネンツから届いた変換アダプタで75オームのWonderLink1やStereovoxを接続して10MHzクロックを供給してやると、高域の解像度などで良くなる面もあるが、エネルギー的にスカを食らっているような(大阪的表現ですんません)フォーカスが合わない感じだ。代理店が付属して下さった50オームのSMA-BNCのケーブルはUHF帯まで使える1.5D-QEVとはいえフツーの価格のFUJIKURAの製品みたいで、しかしトータルではこっちの方が断然音は良い。
どうもインピーダンスの違うもの同士を接続すると、接続点で反射が生じるらしい。50オームの所に75オームを使うとVSWR(電圧定在波比)は1.5となり損失が0.2db。96パーセントは伝わるが、4パーセントは反射して戻ってくるらしい。んなもん、耳でわかるわけねーじゃん、という見方も勿論あるだろう。ただ、この状況ではインピーダンスぐらいしか考えられない。ま、僕の頭で考えても仕方ないので、昨夜、
50オームの超高周波用ケーブルをとりあえず3種類(1.5D-QEV、2D-LFB-S、12.6GHzテストケーブル)、それとBNC端子しかないルビにも接続できるようSMA-BNCの変換アダプタを2種類、ネットで注文した。週末なのですぐには届かないが、各種条件を整えてきっちりと試聴したいと思っている。
いやはやオーディオってのは。
('07.12.8)音の良いFirewireケーブル製作のためのパーツ集めに手間取っている。僕はShin-papaさんに貴重な1セットをわけていただいたので製作できたし、「かないまる」さんなどベテランは既存のケーブルをぶった切ってつないで作れるけれども、音と戯れる会などの初心者の友人達はそうは行かないだろう。
この際まとめ買いしておこうと、かなりの時間検索しまくっても全然見つからず、結局アメリカとドイツにメールを送りドイツからは返事が来たが、これが大会社らしくたかだか100個の安い部品だしなかなか話がかみ合わず、ようやく担当のスザンヌさんと具体的な品番などの話に入れたところだ。
カード払いなどもってのほか!という感じで拒絶されたので、銀行か郵便局からになって送金手数料が高く付くけれども、もう手に入らない部品だし、1個あたりにならせばたいしたことはないし、第一製作したときの音が素晴らしいので値打ちは十分あると思う。
うまく行きますように。
('07.12.7)ルビと水晶の日々(2)
水晶やクロックの事などはこちらやこちらで勉強いたしましょう。
さて音はどうか?なかなか表現は難しいものです。通電時間でも安定度など変わるようですし、まだまだいろんな条件で聞き込んでいかねばなりません。
ただこれらの超高精度クロックには共通した特徴があるように聞こえましたので、まずそこから。
1.音場の広がり これはパッと聞いて分かります。しかも、しっかりと地に足が付いた感じの音場が展開されます。
2.どしっと落ち着いて深く沈む低域 単にベースが、コンバスが、というのではなくそれらが地を這って地面に沿って広がっていくような、安心感のある低域が支えとなってくれます。
3.空間情報の充実 音場が広がるだけでなく、その周りの空気のような感じがつかめるようになり、また空間の中での位置関係などが明確になってきます。
アルファなどのワンポイント録音の場合は「サーッ」という感じの会場ノイズが録られているのですが、それが耳障りではない微粒子のようにちゃんと聞こえます。フィルムグレインのような感じと言ったらいいでしょうか。
例えば矢野顕子「Home Girl Journey」にもそのような「空気の音」は入っているのですが、それだけではありません。1曲目「Paper Doll」では最初に彼女のハンドクラップ(手拍子)があります。最初は左正面を向いて強く、次に少し内側=ピアノ側を向いて気持ち弱く、さらに内側向きに弱く叩き、そして息を吸い込んでピアノを弾きはじめる、という動きが如実に分かるようになります。少なくとも我が家ではそう聞こえます。
4.全体としてのニュアンス、情報量や充実感のアップ
ううむ悩ましい。どちらも欲しいです。あと数日、あれこれ聞いて考え抜いて結論を出します。その間、この話題は中断することになりそうです。沈聴黙考。
【Interlude:間奏曲】大体がクロックについては、オーディオメーカーの製品は殆ど限られており、それしか情報がないわけで、オーディオ界では「ルビジウムにあらずばクロックにあらず。」、「いつかは私もルビジウム。」という雰囲気になってしまっている。
しかし業務用機器をはじめ実際には多種多様いろいろあるわけで、亡くなった友人は「ルビは確かにいい音だが、あまりにハイファイ過ぎて少し固いところがあり、高精度水晶の方がより音楽的で好きだ。」と言っていた。その辺を確かめたい、と言うのも今回の目的の一つだ。
亡くなった友人が以前各種クロックを仕入れていたようで、今回セキテクノトロンのご担当と話をする中で、在りし日の彼のこともよくご存じなことが分かった。どうも、あちこち深いところで人は結びついているらしい。
それと、Premium2のファームウエアがVer.1.03に更新されています。新しいCD-Rメディアがふえているようだし頑張っているようで頼もしいですな。
('07.12.6)ルビと水晶の日々(1)
まずは写真から。左は高精度水晶 SC10(HIgh Stability Ovenized quartsz oscillator)とセキテクノトロンの方で用意されたリニア電源(トランス式のアナログ電源)。水晶はカットの仕方で性能が変わり、これはSCカットというもので位相ノイズが非常に少ない(-130dB~-158dB)という特徴があるそうだ。出力はSMA端子で、今回はBNCへの変換ケーブルを付けてくださった。
右はルビジウム発振器 PRS10(Rubudium Frequency Standard with Low Phaze Noise)とリニア電源。SC10より大振りなPRS10にはアクセサリーキットとしてヒートシンクと出力基板がついていて、そこからBNCで接続する。ランプを使っていることもあり本体は結構熱くなる。電源は24Vでウオーミングアップに6~7分かかりこの間は2.2A流れ、ロック表示ランプが点灯して安定すると0.6Aになる。最終的な周波数安定度(-11乗)を得るには約1時間必要とのこと。ちなみにEsotericのクロックに使われているのはこのユニット。
PRS10にはスイッチングアダプタもあるのだが、セキテクノトロンの話ではノイズが入って良くないので、オーディオにはトランス式の電源を使って欲しいとのこと。
今日はここまで。
('07.12.5)「ん、AntelopeのOCXじゃん。」と思われるでしょうが、写真の周波数カウンターの左側の青色LEDをご覧願いたい。
左側が「オーブン表示」といってスイッチオン直後は点滅しており、この間はクロックの最適化のために発振器をヒーターで暖め、安定すると点灯する。
その右側が「アトミック・クロック表示」で通常これが点灯することは滅多にない。なぜならルビジウムや高精度水晶(OCXO)などの外部発振器の10MHz出力を接続しなければ、点灯しないからだ。ちなみにこの10MHzから分周して44.1KHzを生成するのではなく、この場合はOCX内部の水晶発振器をこの10MHzの超高精度信号で制御するわけだ。
ちなみに今日は(株)セキテクノトロンのご厚意でお借りした、米Stanford Research Systems の高精度水晶 SC10 を接続している。もう1台、ルビジウム発振器 PRS10 もお借りしているのでこの1週間ほどは両方を聞き比べるという誠に贅沢な時間を過ごすことができる。
わくわく。
('07.12.4)Firewireのケーブルを自作した。凄く良い。
といいつつ明日びっくりするようなモノが、それも2つも我が家に届くことになった。期待して後報を待たれたし。
('07.12.3)十分休養をとった後、久しぶりにカタツムリをならす。CD絶好調。ゲルギエフの「春の祭典」こんなに鳴ってええんかいな。
LP(フォノイコとフォノモーターの電源)はやはりアップデート成功。ラーセン&フェイトン・バンドがしっかりと弾んでくれる。ボズ・スキャッグス「Hard
Times」ではジェフ・ポカーロのドラムスがビシッと決まる。惜しい人を亡くしたもんだ。アナログでは何でこんなにドラムスがいいんだろう。
エルガーのヴァオイリン・コンチェルトではパールマンのソロがしっかりと前に出て、オケを含む空間としっくりと納まる。
よ~し、次はプリアンプの電源の出川式第2世代化だ。
('07.11.30)今日は合間にアナログのフォノモーター用電源を出川式第2世代に変更した。「えー、モーター?」という向きもあろうが、CDドライブのモーター用電源12Vを変更したときも確かに音の変化はあったので、アナログでも同様だと期待している
。時間切れで音は出せなかったが、はてさてどうなりますか。
('07.11.29)PCオーディオも一段落したし、「落ち着いて音楽聞くぞー。」と思い、そう言っていたのだが、また工作モードになってきている。一応事情らしきもの(個人的なものや対外的なもの)もあるのだが、まあきりがないので、昨日は寝て寝て今日にかけてずるっと一休み。
先日は「くるり」(「東京」はええなあ。)のワンマンライブを視たので、今日は、Dragon Ash の10周年ライブ(於NHK)や東京JAZZなど、録画してDVD-Rに焼いておいたのを、MacBook
Pro(まだTiger)& カタツムリで見て&聞く。Kjの笑顔がいい。放送では彼らの歴史も少しオンエアされていたので、Kjが声をどんどんつぶすというか野太くしていったのがよく分かる。だから話し声の高さのラップでの声がよく通るようになっている。「静かな日々の階段を」などとても心に染みる。力が湧いてくる。Yeah!
(p.s.)Cubase ST4 についてのFAQが公開されたが、我々「聞き専」にはあまり関係がない。興味深かったのは#75で、注に「※オーディオCD読み込み機能は内蔵ドライブのみが対象となります。USB等の外付けドライブの場合は、仕様としてこの機能はご利用いただけませんので、ご注意ください。」とあること。
実際にUSBは認識しないが、1394 Firewire 外付けは認識される。内蔵DMAに準じる扱いがなされているようだ。
この点でもプロオーディオでのFirewireとUSBの位置づけの違いがよく分かる。
あ、それと#165.Cubase(Studio) 4.1はMac OS X 10.5 Leopardに対応していますか?」に対しては、「2007年11月28日現在、Cubase(Studio) 4.1はMac OS X 10.5 Leopardには対応しておりません。」
やはりインストールする前にいろいろチェックする必要があるようだ。と言っても今時分FAQを公開しても、既にインストールしている人はしているだろうし、一言ぐらい告示できただろうし、ちょっと遅いんじゃない?
といっても#166で「2007年11月28日現在、Cubase(Studio) 4.1はBoot Campを使ったWindows XP、およびWindows Vistaには対応しておりません。」と答えているが、実際にはちゃんと動いているので、これはよく分からないのだけれども。頼むからちゃんと対応しててよね。
('07.11.28)AntelopeのOCXクロックはラックマウントを前提としているためかペコペコで天板底板ともに鳴るし、フロントパネルも中央部が浮いている。仕方がないので、上下ともに振動を抑えるためにPタイルを載せている。また、以前はRosendahlを上に置いていたが、それを外した途端に音が緩んで来たので、いまは上にウエイトを置いている。
大体が業務用機器は構造がやわい。Fireface400にしたって良く鳴るし、何らかの対策が必要だ。僕が使ったのは3つしかないが業務用機器の中でいちばんしっかりしていたのはRosendahlのNanosyncsだった。
OCXはヤフオクで手に入れた。それもアラートに引っかからず、たまたま見たらあったというラッキーなタイミングだった。Nanosyncsもワオン・レコードの小伏さんに「出てるよ~」と教えてもらってゲットしたものだ。
ヤフオクと言えば、先週末に既にディスコンだがになっている玄人志向のIEEE1394-DATを相次いで2枚ゲットしたのが昨日今日と届いたところだ。これは光学ドライブなどのIDEをFirewireに変換する基板で、高速なOxford911のチップを使っているので音が良い。自作ドライブケースに組み込む予定だが、既存のケースでも工夫すれば組み込めるので、高速な外付けCDドライブケースが入手できないからといって必ずしもあきらめる必要はない。
勿論孔開けとその孔にネジを切るタップ切りなどは必要になるし、電源ケーブルの接続なども必要なので、工具や工夫は必要です。
('07.11.27)AETの新型デジタルケーブルはヤマモッさんのご配慮で我が物となった。いやあ、久しぶりに良い買い物が出来たと思う。以前のままだったらルビジウムや高精度水晶のクロックを導入するにしても、少しタイトというかテンションが上がりすぎるかという懸念があったのだが、AETならもっと懐広く表現してくれると思う。
ただし、一度聞くと戻したときに考え込むこと必定なので、試聴されるときは気合いを入れて心してかかられたい。
今日は久しぶりにカタツムリたちの出番となり、CDとLPを聞いた。フォノイコ電源アップデートのおかげで持続感というか、びしっと充実した音が響いてくれる。質感はやはりアナログならではのものだ。
いろいろ聞いたがLed Zeppelin Ⅱの「Whole Lotta Love」(Classic Records 復刻重量盤)が最高だった。浮遊感と疾走感。こんなにいろんな音が入っており、こんなに音があちこち回っていたのだと改めて認識した。多分、こういうZeppはまず他ではないと思う。ニール・ラーセンもマイケル・ヘッジスも素敵だ。勿論、マーラーも大変よろし。
明日は何をしよう?東急ハンズに材料仕入れに行きたいが、今日歯医者さんでちょっとした歯茎の切除をやったので、大事をとって明日は家にいようか。ケーブル造りかな、それともドライブケースか。まあ、ネタはたくさんあるのです。
('07.11.25)昨日の夜はオカンが寝てから、フォノイコ電源のダイオードを出川式第2世代に変更しポリプロのフィルムコン51マイクロを追加した。オカンがいるので、明日まで音は出せないが、出力電圧が前より上がるのを確認するだけでも心強い。こういうアップデートでアナログも良くなっていくだろう。
デジタルケーブルの音がどうなるかも楽しみだ。
考えてみると、少しずつだが日々こうした変更を大小加えていて、書くことがあるだけでも珍しいことなのかも知れない。
ま、てーげーにぼちぼちとやれるときにやりましょう。今日は誕生日なので、ヤフオクの振り込みなどする他は一日とぅるばってる(何もしないでぐーたらする)ことにする。ふあ。
('07.11.24)今日はお茶の水では Rock Day だ。盛り上がっているだろうなあ。ぐわんばれピピエコさん、ヤマモッさん!
AETのデジケーはまだ新しいので、音が変化していく。要はどんどん良くなっているので、手放せなくなってきた。うう、欲しい。このまま使いたい.....。
昨日、CDドライブのファームウエアについて少し書いたけれど、何故ファームウエアがアップデートされるかというとCD-Rの新製品が出るのに対応するためなのだそうだ。
『CD-Rの業界団体であるオレンジフォーラムによって「ディスク・アイデンティフィケーション・メソッド」が策定され、これをメディアメーカー、ドライブメーカーの双方が取り入れたからだ。これは、各メディアメーカーがCD-Rの最内周に色素情報とメディアメーカー名を書き込んでおくというもので、ドライブ側は、書き込む前にまずこのデータを読み取り、それに合ったレーザーパワーで焼くわけだ。当然、新しいメディアが出てきたらそれに対応する必要があるわけだが、そのためにドライブのファームウェアもアップデート可能になっている。』(藤本健のDigital Audio Laboratry「第3回:迷信だらけのデジタルオーディオ」2001.3.26)
この「迷信だらけのデジタルオーディオ」シリーズはちょっと古いところや今や「?」というところも若干あるが、とてもよくまとまっているのでPCオーディオファンには是非一読をお勧めする。オーディオマニアも「あ、わしゃデジタルオーディオのこと全然分かっとらんかったなあ!」と思うところ結構ありだと思う。
そのうちにこのシリーズをネタにさせてもらって、僕なりにいろいろな問題を整理してみたいと思う。
今日からオカンがお泊まりに来るので、閑話休題。
('07.11.23)今日AETの新デジタルケーブルが届いたので、Fireface400 と DAC の間に入れて午後から聞かせてもらった。いやあ良い。凄く良い。クロックの関係でもう1本音の良いデジケーが必要になる可能性も大なので、これは欲しいなあ。(深呼吸)ブレイクインも兼ねてじっくりと聞かせてもらおう。
先日書いたCDドライブでシミュレーション&ライトでのCDコピーが出来ないという件は、アプリのPlexToolsを古いVer.2.35に入れ直したら成功した。しかし、相変わらずLeadOutを終わるのにもの凄く時間がかかるので、はじめはやはり駄目かと思ったくらいだ。この間Premium2のファームウエアも更新していて、これはアプリやドライバと違ってロールバック出来ないので、もしファームウエアだったら厄介だな、と思っていたのでホッとした。ただ、DVDの中にはうまく行かない物があり悩ましいが、他の方策があるのでとりあえずよしとしよう。
どうしてもコピりたいCDがあるので、CDドライブケースを組み替えたら実行したい。
あと、Shin-papaさんのおかげで実現しそうな、ちょっとしたケーブルネタもあるがこれは後日。
('07.11.22)AETの新デジタルケーブルをヤマモッさんが大阪に送ってくれたらしい。これは聞かせていただくのが楽しみだ。深謝。
アメリカではケーブル専門店に一定金額を預けておいて、聞きたいケーブルを送ってもらって自宅で試聴し、気に入れば割引購入できるシステムがあるらしい。日本にはこういうシステムがないし、よほどの上得意でなければお店も貸してくれないので、こういう巡回試聴は「音と戯れる会」の大きなメリットの一つだ。何事も聞いてみなければ分からないし、自宅で聞けるのは本当にありがたい。
今日はヤフオクで面白い物を落とした。いつ届くか現段階では分からないが、これと以前コーリアンで自作したドライブケースを活用し、さらに昨日思いついたクロック関係のネタを使って、最強のCDドライブケースを作ろうと思う。あ、いや、千葉のShin-papaには負けるので、当社比最強というのが正しいです。詳細後報。
('07.11.21)早速驚いた。ヤマモッさんのHPにAETのデジタルケーブルが載っている。格好良いなあ。
僕はまめにAETのHPをチェックしている方だと思うが、デジケーが出るとは知らなかった。我が家のWonderLink1より良かったらどうしよう?クロック用にBNCのもあるんだろうか?
いずれにせよ間違いなく高音質なデジタルケーブルやラインケーブルがまたカタログに載るのはとても嬉しいことだ。
('07.11.20)僕はオーディオについてピュアリスト的アプローチをしたことも、しようと思ったこともない。現実に出来ることをするしかないと思っている。ただ、馬鹿みたいにいろいろなパーツを、実験的環境ではなく実機で取っ替え引っ替え「耳で」聞いたので、いかに信号が損なわれやすいか身に染みて知っているだけだ。
ともあれ、今日は少し暖かく外は雨だ。潤いが還ってくる。僕などが思っているよりも世界はずっと深いのだ。多分、どこかで驚きが密かに準備されていることだろう。
無い物ねだりなどもう止めて音楽を聴こうではないか。
('07.11.19)真空管は一種のエコーマシンであり、その「振動」が実質的には「混変調歪み」の問題だというこはあまり理解されていない。
無信号時に「ピー」とか言うノイズが出るのは「マイクロフォニック・ノイズ」でこれはいわば「不良品」のレベルだ。
一方、増幅率や相互コンダクタンスなどは結局は電極構造や電極間距離の関数なので、ここが振動するということはモロに信号の一部が失われかつ余計な何かが付加されることを意味する。音楽再生時に球が振動することにより混変調が起こるという事は、球固有の「音色」と言うノーテンキな事ではなく、フィードバック性の「歪み」の問題として捉えるべきで、失われた音は戻ってこないし、付加された音を除く方法はない。それ込みの音造りなどという戯言(ざれごと)は、所詮分かっていないという事に他ならない。
もちろん振動を皆無にすることなど不可能だし、振動というか響きもうまく利用しなければオーディオ再生というギミックは成立しない。しかし、それは「歪み」とは別のレベルの問題だ。
昔の球はこういう意識があまりなく振動しやすい。ピンを持って指でチューブをはじけば、テレフンケンのダイヤマークであってもムラードであっても「シャーン」とかピィーン」とか鳴いていることはすぐに分かるだろう。だから振動しにくい球選びは勿論、ソケットやシールドケース、全体の支持方法などについて見直しが必要になる。ギターの「ディストーション」とおなじく歪みが大好きでその音色で聞きたいんだ、という確信犯なら話は別だが、フツーなら「音色」はその後の話だ。
僕はよく「電子くん」の事を考える。電流はより低い電位の方へ、より低い抵抗の方へ流れる。ならばすこしでも流れやすくしてやるのが良いのではないのか?
劣化した振動しやすいパーツ・機器、くたびれた接点や緩んだネジ、そして不必要に位相が回ったりぐるぐるフィードバックする回路。こんなもので電子くんを振り回しくたびれさせて、己の屈折を電子くんに押しつけて、何が愉しいのだろうか。
電子くんに我が身を置き換えるとき、僕はほとんど泣き出しそうになってしまうときがある。
('07.11.16)PCオーディオについての現段階でのとりまとめ。
CDドライブなどについての細かいフォローや、アナログ系、つまりフォノイコやプリアンプ、SACDマルチ用のダウンミックスアンプの電源に引き続き出川式第2世代を導入するなど、タスクはまだいろいろあるが、一段落という事で現段階でのPCオーディオをとりまとめてみたい。
結論としては1点豪華主義的な対策だけでなく、全般に目配りし対策を講じなければならないという事だ。
今回主要な取り組みとしては
●電源 【高音質アナログ電源、出川式】
●クロック 【ワードクロック、内蔵クロック】
●ソフトウエア 【Windows Media→Real→Lilith→CubaseLE(バンドル)→Cubase AI4(バンドル)→Cubase ST4など】
●振動対策
という点が挙げられる。
そこで見えてきた問題点を整理すると
1.DTMあるいはデジタルインターフェースなどの世界は、コンピュータ的な感覚が支配的な中で作られている。つまりは「オーディオ機器」という感覚があまりない。
例えば電源はインピーダンス特性やF特などをあまり顧慮せずに、「動けばいい」的なスイッチング・アダプターが大部分である。ケースもラックマウントを前提に振動しやすい構造であったり、鉄などが使われている。
電源、振動、誘導という点では問題が多い機器もかなりあるので、何らかの対策が必要だ。
2.ドライブケースからのFirewire伝送など伝送系の役割は大きく、トータルの音質向上には伝送系でのクロックや電源など質の確保が不可欠だ。
ともすればデータを読み出すCDドライブや、クロックの噛むDAC以降が重視されがちだが、PC内部やケーブル(できるだけ良質で短く!)を含めて伝送系は重要だ。つまりは、データが流れる全経路に目配りしなければいけない。
3.クロックの重要性は極めて大。
また、DACへのワードクロック同期は効果が薄いとも言われるが、アップサンプリングの場合のDAC内蔵クロックは非常に重要だ。
4.クロックは電源の質で大きく音質が変わる。よって振動子・発振器の精度だけではクロックの音質は語れず、電源・分周回路など全体の質の確保が必要である。その意味では良く練られた一体型のクロックジェネレーターには大きなメリットがある。
5.音の面ではパーツの質にはきわめて敏感である。実はコンピューター・パーツはオーディオ的に見れば話にならないグレードや構造のものが多い。その意味で良い部品を使うことは超高周波回路であるデジタルには必須である。
6.微細な超高周波信号は振動にもきわめて弱い。クロックが良い例で、振動しやすい状態にすると途端に音が甘くなる。セッティングが重要。
7.PC内部や電源では電磁波が散乱して、聞こえないが音を確実に悪くする「デジタルノイズ」など各種ノイズが充満している。根気よく電磁波対策することが必要。すぐには効果が分からなくてもトータルでは必ず効果の出てくる作業です。
8.PCについては全くの音楽専用として、不要な機能を止めたスリムでバランスの取れたな環境構築が必要。
例えば「視覚効果」よりも「パフォーマンスを優先する(F)」を選択する一方、音楽再生ソフトを走らせるのに、なぜプログラムよりもバックグランドサービスを優先させるのか?
バックグランドで動くASIOドライバやCODECなどの直接見えないソフトウェアの方が再生ソフトよりも実際には重要な役割を果たしているので、バックグランドサービスの優先度を上げることで、より安定的な音楽再生ができるわけだ。
9.ハード、ソフトともにアップデート情報の把握が重要。1回セッティングすれば終わりという性質のものではないことをよく理解する必要がある。
10.良質なCDドライブの確保が不可欠だが、現状では Plextor Premium2 以外に選択肢はない。よって個々人による Premium2
のストック確保は勿論、生産継続への働きかけ=購入層の拡大が不可欠。
('07.11.15)DACの改造完了しました。
1.整流コンデンサの強化 9VACから整流した直後の電源コンデンサに、各種コンデンサ10,000μあまりをパラったコンデンサ・アレイをとりつけた。
2.アナログ用電源の強化 カップリング・ケミコンをレギュレーターの熱から遠ざけるため基板裏に増量して移し、EROのポリカーボ10μ63Vをパラった。
3.入力部分の抵抗(75Ω)交換 亡き友人が次回にやると言って果たせなかったFireface400からの同軸ケーブルの入力部抵抗を、チップ抵抗からCaddockの金属箔抵抗(MK132、0.75 watt, 1%)に交換した。
1・2のコンデンサ強化は低域の伸びと全体の艶やニュアンスに寄与している。3の抵抗に至ってはModWrightの改造項目にも挙がっているが、たった1個のパーツでここまで変わるのか、という感じだ。曰く、芯があってしかも厚みと深さが出る。シンバルの肉厚な感じが出る、といったら分かってもらえるだろうか。しかも、コントラバスの存在感も凄い。交換が薦められていた理由がようやく分かった。
残念なのは、東京の友人が作ってくれた金田式オペアンプが、情報量も多くてとても良い所があるにもかかわらず、オペアンプ・ソケットの位置や既存パーツが密集しているために取り付けできなかったことだ。今後より小型になる新バージョンも出るらしいので、そちらに期待したい。
こうして聞いていると、1年半前にPCオーディオをはじめた時のCDの音とは、本当に様変わりだ。勿論、部屋もスピーカーも変わっているのだが、今の住まいに来てからも表現力の深さが変わってきている。「酒と薔薇の日々。」キース・ジャレットのピアノは大きく左右に広がって粒立ち、ゲイリー・ピーコックのベースは彫り込まれたように左奥に粛然と立って、ジャック・ディジョネットも左右に広がる中で右のシンバルワークや左側のバスドラなど空間の中での動きが見える。勿論、音楽的な高まりは素晴らしい。(At The Blue Note、disc3)
何度も書いているが「音と戯れる会」が無ければPCオーディオもSACDマルチも初めてはいなかっただろう。山本さんをはじめ会の皆さん、特にオペアンプなどでお世話になった東京のOさんや、きっかけを作ってくれた福島のKさんにお礼を申し上げたい。また、千葉の畏友Shin-papaがおられなければ、クロックなどにここまで足を踏み入れなかったと思う。改めて深謝。
そして情報をくださったり、いろいろと励ましてくださった皆さんに改めて感謝します。
クロックはAntelopeが主役に納まり、亡き友人の改造したCD-16もようやくゆっくりと休ませてやれそうだ。彼が言っていたタスクは不完全ながら概ねこなせたと思う。合掌。
('07.11.12)クロックネタの締めくくり。
今、OCXの他に亡き友人が0.1ppmクロックを仕込んだマランツCD-16から同軸でFireface400に接続し、ここに外部同期して鳴らしている。
この外部同期が「よう分からん。」と何人かの人に聞かれました。
あ~、水晶などのクロックは電源を加えなくても常時振動しています。電源を入れるとクロック信号を電気信号として取り出せるわけで、CDを再生しなくても電源を入れたCDトラポなどからは同軸出力(S/PDIF)やXLR出力(AES/EBU)にクロック信号が載っているわけです。
だから、いちばん良質なクロックを持っている機器から同軸で接続して外部同期すれば、その良質なクロックを利用できるわけで、いろいろと接続して試してみるべきものです。
このページの「おまけ」のところなども熟読されたし。
('07.11.10)昨日はいろいろ聞きたかったが、睡眠不足が続いていて少し耳が重くて体調優れなかったので製作モードに移り、セールの時に買っておいたD-Clock(24.5760MHz)をDVDドライブ用ケースに取り付けた。
PlextorのPX-760AはCDを鳴らしても音の良いDVDドライブとして定評があるらしく、また各種メディアのデータを自動的に記録し最適な焼き方を見つける Auto Storategy 機能などがあり、とても気に入っている。ただこれまでの三田のクロックではやはり見劣りがするので、交換に至った次第。
クロック換装後、MacとWinでDVDやDVD-R、あるいはWinでWOWOWを録ったコピーワンスのDVD-RWなどを再生する。これはやはり素晴らしい。MacBook
Pro のディスプレイとヘッドフォンだが、画は精細度を増しフィルム的な方向に濃くなり、Antelpope OCX のおかげもあって、音声も非常に良くなって、結局夜の更けるのも忘れてずっと見続けたりしてしまう。
そして今日は本格的にカタツムリたちと音楽を聴いた。Antelope OCX の効果を確認したかったので、この間DACなどに変更は加えていない。OCXはスイッチオンするとまず「oven」のLEDが点滅する。恒温槽のヒーターに電源が入るわけで、安定すると点灯になる。
クロックが良くなるとまず第一に空間が広がる。PCオーディオなら尚更だ。これは素晴らしい。そして嬉しいことに精細でしかもしなやかな音だ。仏アルファなどとても素敵だ。写真はAlpha083。
これまでCDを聞くときに使っていた亡き友人が手を加えた0.1ppmクロックCD-16からの同軸出力への同期は、精細だが少し暗いというか固いところがあった。それは11MHzあたりを44.1KHZに落とすのにCD-16の内部回路を使っていたためかも知れない。すくっとセンターに立つマリア・ヒタはまことにソリッドなしっかりした感じだが、少し圧迫感のようなものがないではなかった。勿論、曲によっては、特にジャズなどとても良い感じになる。
OCX(0.1ppm以下)にするとソリッドだが同時にしなやかな人肌感のような感じも出てきて、これなら耳をそばだてて聞きに行ける感じだ。とても嬉しい。Rosendahlの穏やかな気品の高さも良いが、OCXの表現力は素晴らしい。
ただ若干課題のような所もいくつか見えてきた。だが、OCXとCD-16改との音ならいろいろと工夫して詰めていけるだろう。俄然やる気が出てきた。
('07.11.9)そのうち中古のルビジウムユニットなど手に入れて「なんちゃってルビ」なんてつくろーかね、っと夕べ風呂上がりにぶらっとググっていたらこんなのを見つけてしまいました。
スタンフォード・リサーチ・システムズ(SRS)のルビジウム周波数標準発生機 FS725。
んで、驚いたことにこのページから新品がオンライン=通販で買えるのね。US国内価格は$2,495、海外価格は$2,745なり。これはEsotericに使われているというルビジウム・ユニット
PRS10 を低雑音AC電源、出力アンプなどとセットにした製品で、沢山あるBNC端子から10Mまたは5Mのアトミック・クロックが出力される。まだ全然読めてませんが、115ページの分厚いマニュアルによると、RS-232Cの端子とソフトも付いていて校正も出来るらしい。実際、日本の代理店では校正サービスもやっている。
また ケースは自分で用意しなければならないが、PRS10 には入出力基板、24VDCスイッチング電源ユニット、ヒートシンク、コネクタなど部品オプションを付けてセットを組めるようになっている。その場合一式のUS国内価格は$1,900、海外価格は$2,090.50だ。こちらの方は10M出力が1個だけなので、むしろマスター用途としてスッキリしており、電源は外付けなのでここで創意工夫を凝らすことも出来る。以前にShu-KsさんのHPに載っていたのはこれだ。僕ならこちらを選ぶだろう。凄く熱くなるらしいので、ヒートシンクを上下2枚重ねにして横に分厚いアルミ板を取り付けて、そこにフロントパネルをスモークのアクリルなんかで付ければ結構見栄え良くできるんじゃないかな。
ちなみに20年後の精度が0.005ppm以下、というのが「デザインライフ」の意味らしい。まあ20年経って大分よれてもそれなりの精度らしいと言うことか。20年経ったら人間の方がずっとよれているだろうから、これをどう評価するかは難しいかも。むしろ人間の方が「校正」サービスを必要とするのかも知れないね。(笑)
なんだ、これでいいんじゃん。手荷物で運べそうだし、ドルも安くなってるし、アメリカにこれを買いに行こうかね~。(笑)
塩梅が大切、なんていう口の先からこうだからなあ。でもこれくらいの価格ならチャレンジしてみたいよね。まあまあ、他にもすることはたくさんあるし、ぼちぼちとじっくり勉強してからだけれどもね。
('07.11.8)LPやSACDなど聞いていると愉しく思うのは、適当な「あいまいさ」があるからで、言い換えればあいまいさを許すだけフォーマットに余裕があるからだ、とも言える。映像で言えばグレインノイズを増やしてフィルム的にした方がくつろげるのとよく似ていると思う。もちろんグレインを入れるにはそれだけのキャパも必要というわけだ。
その点CDの44.1KHz/16bitというのはディザを使うにせよ、もともとの余裕がほとんどなく、そこで高音質を追求していくとどうしても「真面目な」「くっきりはっきり」型になりがちだ。見るからに、ではなく聞くからに高音質でしょ、という正面切った感じがどうしてもつきまとうような気がする。
我が家はマンションの1階角部屋なのだが、実は隣がまだ未入居なので気兼ねなく大きな音が出せている。こんな時期は長いオーディオ人生の中でもそんなにはないと思う。
そしてノーチラスというスピーカーがあるというのも滅多にないケースだろう。僕は純度を高めていく、というかよく言えば求道者タイプ、あるいはのめり込むタイプだと自分でも思うので、今は出来るだけソースに入っている音を沢山出すべくあれこれ努力したいと思う。そして音量をあまり上げなくても十分に聞こえるべきものが聞こえて楽しめるようにしたい。
ただ本来は音楽を真剣に、とはいえ愉しく聴きたいのであり、いつまでも追求型ばかりやってはいられない。だから、PCオーディオもどこかで「あいまいさ」を付け加えてまとめたり、あるいは情報量が増えるとしてもバランスをとるために引き返すことも決断しなければならないと思っている。
じじむさく聞こえるかも知れないが、「塩梅」(あんばい)というものを本当に大切にしなければいけないと思っている。時節は既に深秋だ。音楽を聴きたい。
('07.11.5)今日からオカンがお泊まりなので、新しく来たクロックAntelope Isochrone OCX もまだ音出しは出来ない。関心の深いお二人からは早速メールをいただくが、これは水晶を恒温槽にいれたクロックでルビジウムではありません。周波数偏差は±0.1ppm以下のようですが、ボブ・カッツが「Mastering
Audio」で言っているような「Bit Head」つまりスペックの数字ばかり追いかけるようではいけないと思うので、虚心坦懐に耳を傾けようと思います。
OCXには10MHzのアトミック・クロック入力端子があり、ルビジウムクロックを接続すれば超高精度になりますが、ルビジウムについてはデザインライフが20年程度であるとか、どうも一生物とは行かない割に非常に高価なので、今のところは導入は考えていません。まーこの辺りは技術進歩に期待するか、人生残り年数が少なくなってきたら決断するか、流れるままの人生であります。(笑)
('07.11.4)音楽というのは不思議なもので、例えばエリック・ベネイ with マイケル・パウロ・バンドの「ジョージー・ポギー」が流れてきただけで、何かが身体の中で浮き立ちはじめ、些細な屈託などとりあえずなりを潜めてしまう。
「東京JAZZ 2007 」の3日間にわたるBS2録画を黒子亀(Mini Pod)とモニターでチェックしてDVDレコーダー編集し、最終はDVD2枚物に落とし込む。DVD-Rに焼いたところでを
MacBook Pro で再生して、画はスクリーンで音声はFireface400から出して親カタツムリで楽しむという訳だ。
僕は Somethin' new というか何か一ひねりしたものが欲しいので、デューク・エリントン楽団やキャンディ・ダルファーは悪くはないが退屈でカットしてしまう。
今回他に収録した物を上げると、兄弟ピアノデュオ「Le Frere」(4手連弾、面白い)、ステイシー・ケント(その繊細さと志に)、ソウル・ピンプ・バンド(とにかく乗り)、ソウル・バップ・バンド(ロドニー・ホームズのドラムが凄い、M.ブレッカー、B.エヴァンス、ハイラム・ブロック)、マイク・スターン・バンド、松井慶子スペシャルバンド(収録時間が余ったので)、リー・リトナー、ボブ・ジェームス。
ついでにCD、DVD再生機器群の写真を右に。手前の2台のラックに何とか収めるよう努力していて、今のところ一応成功しています。といっても今日新たに加わった機器もあります(笑)。わかりにくいと思いますが、AntelopeのクロックOCXです。
('07.11.3)福島のYさんが大阪出張で時間ができたとのことで、我が家に遊びに来られた。前回5月に来られたときと比べていちばん変化しているのはCD再生なので、帰りの飛行機までの間にCDを中心に2人でいろいろと聞く。
Fireface400のセッティング・振動対策と、DACの振動対策は結構効いて、低域の厚みがボトムまでしかも尾を引かずに再生される。SACDと比べても例えば「弦のざわざわ感」などはまだ及ばないところもあるが、かなり差は少なくなっているし、曲・録音によってはCDのソリッドな感じの方が良いと思われるときもある。
DACに75オームのターミネーターを挿すと、「プツッ」と音がしてLEDはロックを示しているのに音は出なくなってしまう。まあネタ元の Empirical
Audio が使っていたのは SuperClock2 または 3 で D-Clock ではないので、状況が違うかも知れない。ここはすっぱりとあきらめて、残る電源の強化や金田式オペアンプ導入にいそしもう。
夕方無事空港に到着されたとの電話あり。日々これ好日。
('07.11.1)DACを触ってからセッティングして振動をチェックすると、ラックの中で何やらカタカタと音がする。何と Rosendahl のクロックの上に載せた
Fireface400 が原因だった。最重要なインターフェースがこれでは話にならないので、最上段に上げてBDRのコーンとミニピットで振動対策を講じる。ラックマウント用でRMEはあまりそういうことは考えていないので、内部にゲルシートや両面テープも一部貼ったりして、最後はPタイルと平型のウエイトを上に載せ、指で叩いてもほぼ共振は無くなった。
とりあえずヘッドフォンで聴いてみると、やはり音は引き締まって鮮明になりエネルギー感も上がっている。
これにならって、DACもあちこち振動対策を強化した。
またDAC改造の参考にしている Emprical Audio に "Clock signal is terminated to eliminate
reflections."とあったので、内蔵したD-Clockのターミネーションも前から気になっていた。今回はリアパネルにBNCジャックを付けてクロック注入点からD-Clock付属のシールドケーブル(10cm弱)で接続し、75オームの終端器(ターミネーター)を挿せるようにした。写真では見にくいと思いますが、左端のノイトリックのフォーンジャックの右上に挿さっているのがそうであります。
スイッチオンしてから端末器を挿してもちゃんとロックしたが、念のため挿したままスイッチオンするとロックしない。はずしたままスイッチオンするとロックする。(う~む、低抵抗の負荷だからかなあ。今の3.3V出力を5VにすればOKかも。でもDAC回路が万一いかれると元も子もないし。シンプルに75オームの抵抗を注入点に半田付けする方がほんの少し良いかも?もうすぐCadocckが届くので試してみるべか。)
よく分からないが、要は音が良くなればいいので、とりあえずこのまま明日以降ちゃんと音を確認しよう。
('07.10.31)日記のページにはCubase Studio4 がアップグレードされていることは書いたが、Fireface400のドライバもPlextor Premium2 のファームウエアも、旧聞だがアップグレードされている。こういうのはまめにチェックする癖を付けないと、誰かが教えてくれるわけではない。
浜松では真空管の差し替え試聴をして、その効果は皆さんで確認してもらったが、これは何でもクライオした物が良いという事ではなく、良い物をクライオしたらさらに良くなった、という事なのでまずは良い球探しそのものが重要だ。
関連して6922をあちこち調べていたらどうも6DJ8(同規格でヒーター電流が少し小さい)もリストから消えつつあるような感じだ。勿論、東欧物やNOS球も含めてストックはいろいろあるのだが、選別するベースが減っていくのは哀しいものがある。やや半導体チックに低電圧大電流で使える中ゲインの球は随分と使いでがあるのだが、流れというものもあるのだろう。まあ、僕はラインアンプ1本しか使わないので、手持ちで十分いけるとは思うが。
アナログ関係もそうだが、必要な物は見極めて、早めに確保しておくのが大切だと思う。
('07.10.30)浜松、岡崎、吉良と各地を回らせてもらったが、皆さんアメリカ、カナダ、イギリスなどに長期で駐在・留学(勿論現地でオーディオも)されたり、あるいは1年にわたる雑誌の取材であれこれ鍛えられたり、などユニークな経験も持ち話題豊富で研究熱心、良いところはすぐ取り入れる柔軟性も懐豊かに持っておられる。
この人達はそれまで個々にやって来られたわけで、「音と戯れる会」がきっかけですぐ近くにオーディオ仲間がいる事が分かったりして、東京の例会だけでなく、それぞれの地元でのオフ会など定期的な交流が始まった。それは友人関係に発展して、ソフトや機器の貸し借りも当然のように始まっている。
勿論まめにお世話をしてくださる方もおられるわけだが、皆さん自身が交流していきたいという熱意を持っておられることが何よりの原動力となっている。オープンに話が出来て、行き来できる友人が出来ることはこのようにとても愉しいし、そのなかでそれぞれのオーディオも充実していく。それにご家族の理解も少し深まっていると思う。
「音と戯れる会」というプラットフォームがそれを培う土台になってくれている。
('07.10.26)明日浜松で「音と戯れる会」中部方面のオフ会があり僕も参加させてもらうことになっている。バーベキューや久保田で有名な朝日酒造の「呼友」というお酒、ヤマモッさんのオレンジ味シフォンケーキなどいろんな楽しみが待ってくれている。(^_^)
もちろんオーディオも真面目に遊ぶわけで、オーナーが管球プリのユーザーなので、差し替えて聞いていただくために真空管を2種類ほど持って行こうと思っている。
あまりそういう意識はないと思うが、真空管というのは1種の「エコーマシン」だ。ピン部分だけを持ってガラス面を指ではじけば「ピ~ン」「シャ~ン」「チ~ン」というような共振音が聞こえるはずだ。
この振動は単なる「共振」ではなく、電極間距離が変動しているので電気的にも各種定数に影響するので、この振動がまさに音となって現れてくる現象がひどくなると真空管特有の「マイクロフォニック・ノイズ」になる。300Bのような古典管はガラス球部分が大きくしかも電極支持部は少ないので当然鳴きやすく、これが独特の音の一部になっている。
テレフンケンやムラードなどの昔の球(通称NOS球)は全体に柔くて、それが「豊かな」「厚みのある」「含みの多い」音につながっていたのだと僕は考えている。しかも選別するには高価であり、品質が安定していない物もある。
この点、ロシア球は頑丈で鳴きにくく、メーカーにもよるが総じて「にじみが少ない」「クリアな」「見通しの良い」音がするので、僕は安価なこちらから選別するのを好んでいる。
また、管球アンプは暖まってくると「パキパキ」という独特の音が聞こえてくる。これは熱によって電極が動いたりするのが原因なので、それによっても点灯直後は電流値など動作が変動する。
一方、クライオ処理した球はパキパキ音がほとんどせず、しかも動作が速く安定するのは、物性的に電極が堅く動きにくくなっているためだと言えよう。NOS球でもクライオした物はこういう傾向になるが、6922や12AX7だとペアで300ドル以上したり高価なのが難点だ。
ということで、100ドル以上とこれも比較的高価であるが、ロシア球のクライオした6922の最高グレードを持って行こうと思っている。
※10月27日~28日と更新を休みます。
('07.10.25)ヤマモッさんのところはカナダからのヒューズ(一応ドイツ産ですが)でご機嫌な音になったとのこと、好々。
昨夜DAC電源(Monolithic製のp3 perpetual power plant)改造がようやく完了した。
ACとDCを間違えると大変なことになるので、XLR端子(DAC本体用AC9V)とNeutrikのフォーンプラグ(クロック用DC11.6V)の2系統の出力は直出しに変更。写真を見ていただくとプラグ類の大きさから分かるように、このp3電源部は非常にコンパクトだ。
ここにクロック用DC11.6Vの出川式(max 24A)+安定化電源(LM338のお手軽三端子、定格5A・ピーク10A)を詰め込んだのですが、まあ何とか納めたという感じで、コンデンサがあっち向きこっち向きで美しくないので内部の写真は載せたくないです。今後も使えるようにアルミ板を立ててモジュール化して取り付けてあります。勿論、全てハードワイヤリング。
千葉のshin-papaはCDドライブ電源を何と225VAのプライトロンのトランス、安井式レギュレーター、出川式整流モジュールで組むようです。我が家のDACクロック用トランスはその1/10足らずのわずか20VA。グラッと来ましたが、そこまでやると我が家ではDACそのものの見直しになるし、シリコンバッテリーでの駆動という william kapell さんの意欲的でハードボイルドな試みもありますが、何よりもこれ以上ハコを増やさない、というポリシーに反するので、「コンパクトで高性能」を目指すということにして(笑)、p3電源についてはとりあえずはこれで打ち止めにします。
実は在米の友人が8倍オーバーサンプリングの魅力的なDAC基板を紹介してくれて、こちらもグラッと来ましたが(笑)、44.1KHzオンリーで映像用の48KHzを受けられないので断念しました。残念。
さて音質の方はどうかというと、今後のブレイクインでも変わるだろうが、ヴォーカルの「そこに立っている感じ」や、ライヴでの会場ノイズの生々しさなど、空間情報というか彫りの深さが際だってくる。ここまで来るとCDを聞いているという意識はほとんどなく、センターで揺らぎなく不動に定位するヴォーカルが、揺らぎやにじみのある生声と違ってかえって不自然な感じさえしてくるくらいだ。
従来との変更点はユルユルのDCプラグから半田付け・直出しに換えた以外は、クロック用の電源の変更(通常のショットキー整流→出川式・三端子レギュレーター)だけだから、クロック電源の影響力が大きいかよく分かる。これはクロックというものの電流消費がゼロとトップをフルに振幅する過激な信号であるためだと思われる。
あとはDAC関係では本体の空きスペースに、±電源用のコンデンサーアレイを組み込んでDAC回路電源を強化し、あちこちに手を入れる。
('07.10.22)今日からオカンがお泊まりに来ているので、明日から製作モードでDACの電源に手を入れようと思う。
いろいろ考えたが、±のDAC回路電源の出川式化やデジ・アナ分離などは電源部を新たに製作して、外部供給しないと出来ないので、結局DACの空きスペースには回路電源用に±で2系統のコンデンサ・バンクだけを収納して、あとp3(Monolithic製の電源部)のクロック用電源を出川式に強化しようと思う。はてさて、どうなりますか。
p3(Monolithic製の電源部)のケースは鉄製で加工にも時間がかかりそうなので、つなぎに(?)素晴らしいオルガンのCDを1枚。レクイエムで有名なデュリュフレ ( Maurice Durufle )オルガン作品集。ヴァンサン・ヴァルニエ(org)という人が弾いていますが、見事な演奏と何より超低域までの厚みと広がりのある 音の良さに1曲目から圧倒されます。
フランクにせよ、フォーレにせよ、古い古い教会旋法がベースになっている人達は、調性の枠組みから自由に、しかし暖かく羽ばたいているような気がします。フランス気鋭のIntradaレーベルから。.
('07.10.20)亡くなったデジタルの達人の友人は、規格を決めてもちっとも製品として守らないオーディオ業界のいい加減さを常々嘆いていた。具体例としては本来は75オームのデジタル入出力のRACジャック。ケーブルの方はプラグ込みで75オーム保証の製品は結構出てきたが、実際の製品に着いているジャックは大抵がアナログ音声用を流用していて、75オームのものはほとんどないのだそうだ。本来はBNCにすれば良かったのだろうが、何となくそのまま行ってしまったようだ。
こちらは現役ばりばりのAVの師匠に言わせれば「なんちゃって75オーム」なのだそうだ。
問題点は「反射」なのだそうで、例えば75オーム信号を50オームで授受すると4%の反射が生じるらしい。これがどの程度支障を来すのか僕にはよく分からないけれど、WBTのマニュアルには通常のRCA端子は20~35オームだと書いてある。
そこで昨日はDACの同軸入力端子をWBTのNextgen 0210 Cu に変更した。デフォルトで着いている端子はアナログ音声用の色違い・同一構造だし、ここをきっちり75オームにするためだ。
結果はどうかというと、漂う雰囲気とか艶、ニュアンス、奥と左右に広がっていく音場感に違いが出てくる。どちらかと言うと微妙な要素なので装置や環境によってはあまり変化は感じられないかも知れないが、違いはちゃんとある。ソニークラシカルのかすかすの潤いのない音でもそれなりに鳴ったので、五嶋みどりを聞けるようになったのは嬉しい。ゲイリー・バートンのヴァイブラフォンも素敵だ。
クロック出力に使用しているマランツCD-16には同軸出力端子が2個あるので、空いている1個に75オームの終端器(ターミネーター)を挿してみたときのことは8月29日のこのページにも書いたけれど、それと同じ傾向の変化だ。Nextgen
0210 Cu はペアで買ってもう1個あるので、使えるようならこの同軸出力端子も換えてみたい。(Fireface400は一応業務用でちゃんとしているだろうと思うし、あまりに高密度実装なのでばらさなければ見えず、修理のことも考えると触りたくない。)
ジュード・ロウが主演した「クロコダイルの涙(Wisdom of Crocodile)」は勉強になる言い回しが沢山出てくる映画で、そのなかに「Something's
bettter left unseen.」(見ないままの方が良いこともある。)と言うのがあった。(記憶違いならごめんなさい。)
CDについてはみんな見ないふり、知らんふりをして、結局音の良さを削いでいって、自分たちの首を絞めてきたのかも知れない。
('07.10.19)SACDマルチのためのアナログダウンミックスの件もいろいろと進めてますが、一方でリニアPCMのDACも一段落させたいので、頑張っているところです。
DACの改造も闇雲にやっているわけではなく、アメリカでは個人はもとよりプロが行う「Mod(改造)」が盛んなので、ModWrightは勿論、在米の友人から教えてもらった Empirical Audio などを以前から勉強しており、クロックの換装もそれを参考にした。
http://www.empiricalaudio.com/frmods.html#Perpetual Technologies P-3A Mods
CD再生の場合、Fireface400からは44.1KHz/24bitでデジタル出力されるのを同軸で接続すると、DAC(P-3A 改)では44.1KHz→96KHzのサンプルレート周波数変換だけが行われることになる。DACとしてはより負担が減って好ましいが、一方でクロックの精度は相変わらず影響するわけだ。
また、 Empirical Audio ではP-1Aもパーツ、電源、クロックなど大改造してP-3Aとペアを組んだ方が、P-3A単体より良いと言っているが、現在動作不安定で休眠中のP-1Aを強化しても手間と費用が凄くかかるし、それよりはPCオーディオの流れで、Fireface400→P-3A 改のラインで強化を進めた方がシンプルで良いと思っている。
しかしEmpirical Audio ではアナログ回路の5Vレギュレーターを入れ替えたと書いているし、そもそもP-3Aはアナログ・デジタルも共通のトランス・整流回路からとっている。これを分ける手もあるが、回路基板が何層かになっていてパターンが見えないのが辛い。アースもケースからは完全に浮いているので、注意が必要だ。
いずれにせよ、貴重な空きスペースをどう活用して電源強化するか、 Empirical Audio などを再度精読してじっくりと改良していきたいと思っている。
('07.10.18)新しいケースに移し替えたDACは安定動作していて、従来小さなケースの中でやや熱くなっていた熱の拡散もうまくいっているようだ。
音質的には低域方向への伸びと広がりがかなり良くなっていて、ヴォーカルの胸の厚みは勿論、ジャズベースやオーケストラがとても気持ちいい。ぐっと腰が据わったエネルギーが、安定してずしっと伝わってくる。マリア・ヒタの2枚目やブライアン・ブロムバーグの「Wood」、スクロバチェフスキのブルックナー9番(ミネソタ響 Reference
Recording 81)など最高に良い。
この間のドライブモーター用電源の強化も含めて、今回の基板の支持強化やBDRでの振動対策も効いているのだろう。そうそう、従来は縦付けで垂直に立てたアルミ板に直接ネジ止めしていたクロック基板を、今回はアルミ板とソルボセインを介して底板に水平に接着しているので、これも寄与していると思う。
次は同軸入力のRCA端子の交換など行ってみようか。来週には電源モジュールも届くだろうから、DACのクロック電源も強化できる。
リニアPCMの可能性はまだまだあると思う。
('07.10.17)DAC(Perpetual Technologies P-3A)をようやく新しいケースに移し替えた。金属加工に手間取って、今日はD-Clock基板を内蔵したところで時間切れ。しかし今まで片持ちで浮いていた基板を、カラー(スペーサー)を介して昨日東急ハンズでカットしてもらった8mm厚底板にネジ止め固定したので、トータルとしての剛性は上がっていると思う。(毎度色気のない真っ黒ケースですが....)
右のリアパネルでは、真ん中付近のAES/EBU用のXLR端子を交換して、9V・ACのDAC用電源を受けています。左側の赤いT字型プッシュボタンのある端子は、1/4フォーンプラグをロックできるノイトリックのジャックで、クロック用電源11.14V・DCを受けています。足元はBDRのコーンとPITです。
Fireface400からのデジタル出力をちゃんとロックして受けて安定しているので、DACの方は大丈夫なはず。音の方は明日以降に確認しよう。
その後の対策としては、思ったよりも内部スペースが取れないのと、またDAC本体の給電系統がはっきりと見えないので、本体の電源はコンデンサ増設にとどめ、クロック用電源を出川式にして、レギュレーターの有無も含めて音質を確認しようと思う。
その後には友人製作の金田式DCオペアンプも今や遅しと控えている。ま、ボチボチと着実に。
('07.10.16)東急ハンズに行って、DACのケース底板用に8mm厚のアルミ合金板をカットしてもらった。基板を支えるベースが柔くては話にならないので。これでようやくDACを収納するケースがまとまってきた。
亀は意外に早く泳ぐ、らしいですが、秋色一面の中、こちらはトラッドにゆっくりと進んでおります。
Mac OS X v10.5 "Leopard"が26日にリリースされるのだけれど、結局の所、Macサイドでキラーアプリがほとんどないので、僕にとっては”DVDプレーヤー”と”BootCamp”がどうなっているのかについてしか関心がない。”BootCamp”でドライバが更新されるならパフォーマンスが向上するかも知れないし、”DVDプレーヤー”は予想通りブルーレイ再生など次世代対応はないが、機能や画質は向上しているらしい。ふむ、2台だけだけれど、何も考えずにファミリーパックにしようかね。
Macでブルーレイなど次世代ディスクを再生するのはせいぜい次のOSでの対応になるかどうかだろう。そうすると、様子を見てレコーダーを買うことになるだろうが、いつのことかはまだ分からない。プロジェクターなどもっと使って元を取らなければ損だしなあ。まずは新しいOSの”DVDプレーヤー”に期待しよう。
('07.10.14)お茶の水はどうなっているのかな、などと考えつつドライブ電源の12V整流回路を出川式に交換する。CDドライブのケースは日本仕様で回路用の5Vとモータードライブ用の12Vが別れているので、CDドライブ用としてはあえて「出川式にしなくても良いかと思うが、DVDドライブのケースはアメリカ仕様で12Vオンリーなので、ここを改良すると、回路用にも効果が及ぶはずなのでやってみた。これで3電源とも出川式になったわけだ。
Mac BookPro のディスプレイとヘッドフォンでの確認だが、画・音ともに良い方向に向かっている。これでクロックもD-Clockにしたらもっと良くなるんじゃないか、などと思うと、今カナダはセール中だという。mmm(セールに負けて注文してしまった。)
('07.10.12)NHKのBS2(11ch)の「クラシック倶楽部」土曜日にオンエアされるN響など各オーケストラの録音が、いつのまにか「5.1サラウンド」に変わっている。従来の「非圧縮Bモードステレオ」は素晴らしい音質だったのに、2011年のデジタル移行に備えているのだろうが、順次切り替わってくのだろう。こうして貴重なアナログの遺産がなくなっていくわけだ。こちらもライブラリーを整理して良い物は残しておかなければ。
最終的にDVD-Rに落として、MacBookPro→Fireface400で再生した場合には、ホール感たっぷりの音声はとても良い。この間のドライブ電源強化やクロック換装も効いて画もなかなか良いので、これは本当に貴重だと思う。
それにしても新たしい Mac OS は早く出てくれないかなあ。それを見ながら次世代DVDレコーダーも考えようと思う。より新しく優れた映像回路で焼いたDVDの方が良いだろうしね。でもブルーレイ・ドライブだとDVDはいまいちかも知れない。ま、当分は現行機器を大事に使おう。
('07.10.10)DACを移すケースの金属加工を開始する。いやーなかなか大変。ケース自体の柔さという問題点もはっきりしてきて、もっと厚いアルミ板のカットを東急ハンズに依頼するなど、部品調達が必要になってきた。
まー急がずに丁寧にやるさ~。それが上手くいく秘訣だと思うしね。
('07.10.9)体調が良くなくてしんどいけれど、嬉しいこともあった。先日音と戯れる会の掲示板で、在米の友人からピアソラ関連のCDとアメリカのクラシック専門通販サイトを教えてもらった。またここの品揃えが凄く充実していて価格も安く、HMV Japan で当時一時在庫切れになっていたラベック姉妹の最近のCD(KML Recordings)を2枚注文してそれが届いたので、昨日聞いてみた。
ラヴェルがバスク地方の、つまりは少数民族出身であることは案外知られていないが、彼女たちも同じバスク出身だ。まずは、ラヴェルの4手&2台連弾集を聞く。いやあ、細やかでダイナミックレンジが広く、色彩感豊かで素晴らしい。
最近改めて聞き直しているフォーレ「レクイエム」(P.ヘレヴェッヘ/仏HM)もSACDマルチで鳴らして、フランスの音にどっぷりと浸かった。このディスクのマルチ再生はとても柔らかな広がりで、堪えられない美味しい音がする。
もう1枚のラベック姉妹のドビュッシ-/ストラヴィンスキーのCDはなんとDVD(PAL方式だがMacでばっちり再生できる)付きなので、こちらも1日かけてスクリーンでゆっくりと楽しもうと思う。
そして別の会員の方から教えていただいたピアソラのウイーンでのライブなどのLPがアメリカの中古LP専門サイトから今日届いた。これはCDでも入手困難で、たまたまここで見つけたものだ。こちらは体調を整えて、明日ゆっくり聞くことにしよう。
こういう交流でいろんな情報や考え方に接することが出来るのは、僕にとってはとても大事なことだ。今月末には浜松・岡崎方面でのオフ会に参加する予定なので、2軒のお宅を訪問・交流しバーベキューなど楽しむ予定になっている。オーディオは独りでやっても広がらないし、あんまり楽しくない。
('07.10.8)日本橋のアサヒステレオに行くときには地下鉄・恵美須町駅からなので、いつもある中古屋さんの前を通る。店の前を開け放っているので、大昔のアンプやスピーカーが鳴っていて面白い音だとつい立ち止まって聞いてしまうときもある。でも、もともとピークディップの大きい付帯音がてんこ盛りの音で、おまけにアンプも経年劣化で明らかにF特がうねっていて、一方でアンプやスピーカーネットワークの部品劣化で情報量がマスクされて何となくエネルギーバランスが取れているような音は僕には長い時間聞いていられないし、こういうものでアキュレイトな音場や倍音再生を目指すのはかなり無理があると思う。(大してメンテされている様子もないし、店員さんの知識・経験のなさも恐ろしいし。)時たま懐かしく楽しむくらいでちょうど良い。
こちとら薄味ベースで育った関西人なので、例えば鯖の味噌煮だったら濃い味の赤味噌オンリーよりも、白味噌を増やしてゴボウなども入れて、鯖本来の味がちゃんと分かるようにしたものの方がずっと美味しいと感じる。ソースやケチャップの濃い味、強い味が支配的では、白身魚の微妙な味は判別しようもない、と言う事かな。イトヨリのレモンソースなんてイタメシだけれど、レモンの酸味の中でもの凄く繊細な味ができる。
そんな「さっぱり系」(?)の味や音では頼りない、と言われたら、「まあ嗜好の問題やからねえ。」と答えるが、そこはそれしっかりとした味を確保するための下拵えや隠し味や調味料など、ちゃんと手だては種々あるわけだ。勿論、諸々の状況や事情を分かった上で、歪みがないと聞いた気にならないと言われれば、それはもう人それぞれの話なので。(笑)
('07.10.7)CDドライブ電源のエレクトロニクス回路用5V電源の整流回路も出川式に換装した。外でゆっくり夕食をとったりして夜遅くなったので、ヘッドフォンでしか確認していないが、情報量は間違いなく増えていると思う。
アナログ回路に入れるとさらに効果が高いらしいので、これに味をしめて他の機器(プリ、フォノイコ、ダウンミックスアンプ)やDVDドライブ用に12V電源も換装したいが、よくよく考えてみると、今デジタル系で最も弱いのはDACなので、こちらを優先すべきだという結論になる。
パーペチュアル P-3A は良いDACだが、いかんせんケースが小さいので電源など強化するにしても、外付けにする他は方法がない。もう既にクロックを外付けしているので、ここはより大きなケースに移し替えて、DAC回路も内蔵化したクロックも出川式電源にして、思う存分電源やオペアンプ、パーツを強化しよう。
DACのサンプルレート変換周波数も大半は192KHz止まりのようで、恐らくそれは回路をいかに早くしてもクロックなどインフラ面でついて行くのに限界があるからだろうし、またオーディオ帯域との関係で広げればいいというものでもないからだろう。このあたりのスペックだけで音が決まれば苦労しないわけで、結局は部品の精度や質を上げるという地道でコストのかかる作業が要求されるわけだ。
('07.10.6)順番に一つずつ出川式電源に換えていくことにして、今日はCDドライブのクロック電源を、プラクトサウンドシステムのアドバイスに従って電流容量の大きいのに換装する。
いや参った。クロック電源でこれだけ変わるとはね。Fireface400電源の時は「なるほど良くなるね~。」だったが、今回はへえ~という感じで、精細な細やかさが増して、ビシッとリズム隊が決まる。
これなら文句はない。よしこれで行こう。
('07.10.4)今日は作業する時間がなかったので、ドライブ電源は多分来週になると思う。
この間書いていなかったけれど、デジタル系についてはPCとドライブを除き、他の機器について、全て給電するプライトロンのアイソレーションを別トランスまたは別巻線にした。具体的にはFireface400、DAC(Perpetual P-3A)、SACDプレーヤー(マランツSA12 S1)、クロックとして使っているマランツCD16とRosendahlのNanosyncs。
順番にやったので少しずつしか確認できないが、トータルとしてこれも音質には寄与していると思う。
('07.10.3)A&Rの出川式第2世代電源の整流モジュールが届いたので昨日いちばん作業しやすいFireface400用電源に組み込んだ。従来から自作または改造電源には全てA&Rのショットキー・バリア・ダイオード(SBD)を使っていたが、以前SBDに換えた時には高解像度なHiFi感が凄くあったものだ。
ところが今回は少し違って、持続感というか密度が上がった感じがする。そしてガンバやチェンバロなどの倍音が低い方まで綺麗に伸びている。
次は本命のドライブ電源(クロック用12V、エレクトロニクス用5V)に組み込もう。詳細は追って報告します。
('07.10.1)ジョン・カルショー「レコードはまっすぐに~あるプロデューサーの回想」(山崎浩太郎訳・Gakken)を読み終えようとしている。本の価格は高いが、内容は至って読みやすく面白い。
いちばん強く感じたのは、何故こんなに変わった人ばかり登場するのだろうか?と言うことだ。そりゃー音楽の世界は徹頭徹尾主観的なもんだからでしょうけどね。
おなじような世界をもうひとつ僕は知っている。言わずと知れたオーディオの世界だ。この世界には「好み」という魔法のような言葉があって、どのような音を出そうが自由で、そこがまた面白いのだが、一方で簡単に閉じてしまう事も出来る。
ま、それぞれの音楽的真実に従い、それぞれに歩けばいいのだけれど、と思わず遠くを見てしまうのだなあ。
('07.9.30)最近SACDマルチの話を書いているせいか、マルチを始めたいというお話がちょくちょくある。プレーヤーについては、マルチの端子をもっているものが限られているので、ユニバーサルプレーヤーも含めて、ご予算に合わせてそのなかから選んでいただくしかない。
問題は、センターSPとサブウーファーを使うか、ダウンミックス(当然アナログ)するかだ。僕らはこれまでアナログ・ダウンミックスするのがいちばん良いと考えて実践してきたが、問題はその方法だ。
で、AuraのVarieなどという選択もあるが、いくらデジタル入力機能が豊富と言ってもいきなり40数万というのはきつい。ここは敷居を低くして誰にも入りやすくするのがいちばんなので、お茶の水でヤマモッさんがやっておられるように市販のコンパクトなミキサーを使う方法をとりあえずお薦めしたい。最近のミキサーには美味しいソフトがバンドルされているのもあるようだし。
まずは、やってみてマルチの良さを楽しむことが大切だと思う。
('07.9.29)昨日のアサヒステレオさんの情報では真空管6922が減ってきて、そのため6DJ8に戻りつつあるらしい。何となくそんな気はしていたので、ネットで主要なサイトを巡って調べる。NOSと呼ばれる過去のムラードやアンペレックスのストックは高くてばらつきが多いので、端からぼくは相手にしておらず、主としてロシア・東欧になる。この地域も結構有為転変が多く、どうも工場やブランドの離合集散も多く、過去の軍用球が放出されてその方がずっとよいなど、変化は大きいようだ。いずれにせよ、良い物に出合ったら予備を確保しておくべきだ。
一方で、アメリカからのメールなど見ていても、最近SACDの新譜がかなり減っており、LPがやたらと増えている。多くのサイトを巡った訳ではないが、"Back
to Vinyl"という流れは、どうやら本当に強くなっているらしい。ある意味では嬉しい事だが、反面来年にはPhilipsレーベルがなくなるなどの状況の中で、おそらく配信も含む総売上はともかく、パッケージメディアは減るか、合理化される(音も悪くなるか、レーベル独自の音がなくなっていく)、という可能性が高い。
となると、とりあえずSACDに欲しい物があれば、あるうちに早めに入手しておくに超したことはない、というのが当面の結論だ。
実はこのHPにも「SACDマルチお薦めディスク」というページを設けてあるのですが、最近殆ど更新していません。今後、このページを活用して活きたいと思っています。
('07.9.28)Boot Camp がバージョン1.4になっていたので、Mac Book Pro にも早速ドライバーCDをインストールした。さてこれでどうだ、とシミュレーション・ライトでのコピーを試みるが、同じエラーが出て続行不可。
と、今日、Premium2でのシミュレーション・ライト作業( Plextools Pro )について、東京の詳しい方からメールをちょうだいした。ほぼ同様の環境で焼き上がりに非常に時間がかかったり、ときたまエラーが出たりという不具合が起き、この環境では解決しきれなかったとのことだ。情報ありがとうございます。m(_
_)m
焼き上がり時間の問題は我が家でも前からあったので、今回はその延長かも知れない。いろいろあるようだが、再生の方はいたって快調なので、とりあえずは様子を見てまたトライしよう。
今日は出かけたついでに日本橋でパーツを買ってきたので、明日届く出川式モジュールを使って早速いろいろやってみようと思う。
('07.9.27)CDドライブでのシミュレーション・ライト作業( Plextools Pro )は結局上手くいかなかった。あ、再生の方は非常に良い状態なのでご心配なく。
まずCDドライブ自体のチェックは「自己診断機能」で行ったが、初回は2時間近くチェック用のCD-Rがイジェクトされなかった.
そこでドライブの底板を外してチェックし、電波吸収ゲルシートの量などを調整し基板への圧力がデフォルト程度になるようにした。また、クロック線のシールド側が底板と接触しないよう、より厳重にガードした。
結局、2回目の自己診断モードでは10分あまりで無事イジェクトされ、ドライブ自身は問題がないことを確認できた。
そこで実装してシミュレーション・ライトを行うが、同じエラーコードが出てストップ。Windows Update などPC環境を整備して再度試みるが同様に不可。
この段階で、当面これ以上の作業は中断することにした。
というのはプレクスターからは「エラーメッセージを見ると、インタフェース上での問題の可能性が考えられるが、外付けケース等のI/F変換の接続による動作についてはサポート外となる。」というメッセージも寄せられていたからだ。ドライブケースの1394ボードの問題だとすると、ケースを換えて試みるしかないが、もしタイミングの問題だとすれば解決するかどうかは分からない。
そこで、普段は再生とオンザフライコピー用に使い、シミュレーション・ライトが必要な場合はもう1台あるデフォルト(クロック未換装)のままのPremium2を使う事にした。
まあ一応切り分けはしたが、負け気味ではスッキリしないので、電源で少し攻勢に出る事にした。
千葉のShin-papaはクロックなどで頑張っているバッテリー駆動愛好会の友人のブログを見て、シリコンバッテリーに燃えているようだ。こちらはこれ以上ハコを増やしたくないし、充電とチェックは面倒だし、何とかACでやりたいという事で、CDドライブ電源とFireface400用電源に出川式の第2世代整流モジュールを発注した。さて、どうなりますやら。
('07.9.26)またまた続きになってしまうが、2chでの再生の限界の話もあるけれど、そもそも録音側の限界もよく考えないといけない。
【マイクの限界】
まずはマイク。スピーカーの裏返しで振動板が「共振」して振動を拾って電気信号に換える。当然スピーカーと同じ問題点を抱えている。曰く、周波数特性、指向特性、感度、歪み、インピーダンスとリアクタンス、電気的特性などなど。
特にマイクの指向特性をよく見て欲しい。こういうもの数本で広いホールの隅々まで音や振動を全て拾えるものだろうか?演奏会場とは違って総じてより小さなエアーボリュームの中で、そこから見えるがごとき正確な音場がきっちりと再現できるものだろうか?
だからオーディオ録音、そして再生は何らかの意味で「選択と集中」にならざるを得ないところがある。つまりそのエッセンスをうまく伝える、という意味で。すなわち、それぞれにとって重要な「音楽的真実」の再生にフォーカスを当てざるを得ない、という意味で。
だからエンジニアはマイクの種類やセッティングに腐心して、より良いミキシングやマスタリングに努めるわけだ。そこには理屈だけでない様々な経験値が活きていて、結局はセンスができあがりに大きな影響を与える。
【ノーチラス】
だからノーチラスが「原音再生」に最適、などといとも軽く引き合いに引っ張り出されたときには、これらマイクの問題点一つをとってみても、正直「ホントにわかってんのかなー?」と思ってしまう。
ただカタツムリたちのために言っておくと、ノーチラスが凄いのは音の出方の軽さ、歪みの少なさ、音場再生能力の高さ、と言ったところだと思う。
それでも悩ましいのは、ノーチラスなら音量レベルをあまり上げなくても聞けると思っていたのに、僕なりに「リアリティ」を追求していくと、それでも次第に「プレイ・ラウド」傾向になってくることだ。もちろんとても楽しいけれど、きりがないという感じにもなる。
もっと空間の彫りの深さを出すにはどうすれば良いか?リアルさを歪み感やうねり感に頼らず、ソースや味付けの濃さではなく、素材感をしっかり持ちながら美味しくするにはどうすればよいか?
【プリアンプ】
やはり一連のタスクが片付いたら、DACTのラインアンプ基板と電源基板を使ってプリアンプを製作しよう。元カウンターポイントのM.エリオットも言っていることだし、ボリュームやスイッチは音質を重視して当然全てメカニカルで、でも操作感を重視してモータードライブのアッテネーターにして、当然LR別電源で完全デュアルモノにしようと思う。今はフォノイコもチャンデバ&パワーアンプもデュアルモノなので、ラインアンプもそうなれば、オール・デュアルモノのシステムが完成する。チャネルセパレーション120dBの世界はどうなるだろうか?
ただ、悩ましいのはマルチの扱いだ。SACDとLPCMの2系統必要なので、プリアンプには当然ダウンミックス機能を盛り込みたいが、こんな風にはしたくないし。こちらを解決しないと、実行に移れないので目下の課題の一つはこれだ。
('07.9.24)今日はお茶の水では「音楽喫茶 金城」でオーディオベーシック誌の金城編集長がDJをやっている。僕も行きたかったが、あまり無理をせず流れに任せる事にした。
【PCオーディオ】
千葉の畏友shin-papaは恒温槽付き高精度クロックOCXOでのCDドライブへのクロック供給、しかも分周してデジタルオーディオ・インターフェース1814にもクロック供給、電源についても電池のスタック化、という壮大なプランを計画中だ。是非じっくり良いものに仕上げて欲しいと思う。
こちらの方は、自分のスキルや全体の納まりなどから、現段階ではやはり何ちゃってレギュレーター電源の手直し・微調整や電源ケーブルやアイソレーショントランスなどの改良などでとどめようと思っているが、それでも、これは凄いところまでこれたと思っております。改めてのshin-papaのお力添えをありがたく思っている次第です。
さて次はDACのほうの手直しも含め、いろいろと計画中です。出川式電源の検討も始めています。
【SACDマルチ】
かつて単旋律のグレゴリオ聖歌をCDなどで聞かれた方も多いと思うが、多分途中で飽きてディスクを取り出して聞かないままになっているのではなかろうか。
僕は海外に行ったとき、必ずどこかの教会に行くことにしている。様子を見ながら「グローリア」などグレゴリオ聖歌をうたってみて、響きを確かめるのだ。オックスフォードの郊外の教会は誰もいなくて良かったが、ヘルシンキの岩の教会ではルーテル福音派のプロテスタントなので、神父さんが微妙な笑顔で見守っていた。圧巻はブレーメンのゴシックの大聖堂。見晴るかす高い天井にエコーが吸い込まれていく、陶然となる。こういう場所で聖歌を歌うということは決してスカスカの単旋律ではなく、響きに包まれる中での響きと呼応しながら歌う事だ。それは自分たちが孤独ではなく、神の恩寵に包まれてあるという事でもあろう。
結論から言うと、フロント2chのオーディオではこれはほとんど再生不可能だと思う。エコーが発生している場所も振動している空気も、フロント側の音源からは遠距離の全く別の場所・空気で、これを位相差で表現するのはレベルから言っても困難だ。アンビエンスを別マイクで録音するほかないが、フロント2chに混ぜ込んであまりアンビエンスを強調しても、にごった感じの音になるだろう。
ブレイクスルーはマルチチャンネルしかないと僕は思っている。勿論それは通常のオーケストラや室内楽などの「ホール感」でも、勿論ジャズなどの会場ノイズも含む「ライブ感」でも言える事だと思う。
ただ小編成ものは2chでも十分満足な再生が出来ることが多いけれど、マルチにしてみるとまた別の事がいろいろと見えてくる。
これは実はSACDマルチでマスタリングするときのアーティストやエンジニアのセンスによるところがとても大きい。しかし、総じてフロントの音の実在感は飛躍的に高まる。
今、いろいろと手元にマルチのディスクが集まりつつあるので、じっくりと聞いてご紹介しようと思う。今のうちに頑張って手に入れておかないといけないと思うからだ。
('07.9.23)昨日の続きで、このHPに紹介するディスクにクラシックが多いことは、それなりに理由があると思う。
"pursuit"という言葉があって、追求とか追跡という意味なのだけれど、そういう点ではクラシックがいちばん熱が高いと、僕は思っている。
ジャズは終わった音楽だし、スイングジャーナルの表紙に生きている人が載る比率はそんなに高くないと思う。ロックも未だにツェッペリンやパープルが大きく取り上げられていて、その名盤ディスコグラフィが細々と載っているのを見るとトリビアな感じが募ってげんなりする。勿論、U2なんか気を吐いていて素晴らしいし、最近見た中では"Cold
Play"が聞いてみようかなと思わせたひとつだ。
要はジャズもロックも一つの音楽のジャンルとしては確立していて、その中で気を吐いている人や独自のセンスを発揮している人はいても、フリーなところまで行き着いてしまって拡散してしまい、新しいスタイルや様式をムーブメントとして追求していくような熱気はもうないのだと思う。
(僕にはこの分野で好きなものが相当数ありますので、誤解のないようにお願いしますね。)
もちろんクラシックは楽譜という「様式」に縛られていて、その意味での自由度は低い。しかしスコアから実際に音にするまでの距離が凄くあって、随分といろんな事がやれるようになっている。そしてスコア以外に時代により、人によって異なる「様式観」、つまり演奏スタイルの基本コンセプトみたいなもののがあって、これがどんどん変化して演奏も変化していくわけだ。
例えば「バロック」というのは「ゆがんだ真珠」という意味で、先行した均整美のロココ様式に対比して変化の幅が大きい音楽として名付けられたわけだ。いつのまにか例えばヴィヴァルディといえばイ・ムジチのように予定調和的な、憩いの世界が定番になってしまったが、ヴェネツイアはじめ各地でむしろ先鋭的な、過激な音楽としてのヴィヴァルディという見方が広がり、今や古楽ファンの中ではヴィヴァルディの新録音というのはサプライズが用意されているかも知れないので、用心しないといけないというのが共通認識になりつつあると思う。例えばジュリアーノ・カルミニョーラの「四季」を聞いていただければ、そんな状況がすぐにお分かりいただけると思う。
思えば近年のバロックブーム、古楽ブームのおかげで優秀な研究者、演奏家がこの分野に沢山参入し、今その成果が続々と出ているわけだ。だからLPなど聞くと、「古う!」「下手!」とか思ってしまう。それほど昨今の様式観と演奏スタイルの変化は大きく、ワクワクさせられることが多い。
フロンティアは未来だけでなく過去にもあったわけで、分かっていないことはまだまだ一杯ある。もちろん昔の演奏は聴けないので、いろいろ勉強して想像力を働かすしかないし、その試みはこれからも続いていくのだろうが、こういう面白い時期にはどうしてもそういうディスクを中心に買うことになるし、良いものがあればご紹介したいわけです。
('07.9.22)昨夜CDコピーをやってみて、オンザフライはうまく行ったが、CDイメージを作成して焼く方のシミュレーション&ライトは「ドライブリセットが発生しました」というエラーコードが出て何回やっても駄目だった。とりあえずプレクスターに問い合わせのメールを出す。
もしこれがPremium2のクロックを換装したことによるものならいずれにしても修理の依頼や保証外だが、再生やオンザフライ・コピーがOKなのでそうとも思えない。いずれにせよ、メーカーの返事待ちだ。
で、気分を変えて今日は仙台からLPのクリーニングなどして、順次きいてみる。
先日も「クラシックオンリーですか?」と聞かれて、「いえ、良い音楽はみな好きです。特にテンションの高い音楽が。」と答えたのだが、このHPではやはり最近出合ったディスクについて書くことが多いのでそう思われるのだろう。実際は日々いろんな音楽を聞いています。
キャロル・キングの「ファンタジー」はどうも良い状態の盤に出会えず、寂しい思いをしていた。今回のは多少サーフェスノイズはあるが状態ははかなり良く、久方ぶりに片面フルに聞いて充実感に浸る。
そしてニール・ダイアモンドの「カモメのジョナサン」。一世を風靡した小説の方はある程度以上の年齢の人には皆それぞれの感慨があるだろう。2曲目の「Be」、さすが1B/1Bのオリジナル盤で、かなりの低音が高いレベルで入っていることに初めて気づいた。でもそんなことはどうでも良くて、4曲目「Dear
Father」のニールの声に感動する。
全米1位になったというボストンの3枚目はワンパタで大したことはなかった。
('07.9.21)ヤマモッさんによればRMEのFireface400と新製品のMultifaceAE(+PCI Express ボード)の比較試聴では、Fireface400の方に一日の長があるそうだ。これでFireface400がデジタル・オーディオインターフェース一応のスタンダードという事に当分なるだろう。また、彼が音と戯れる会の会員間で長期に渡って巡回試聴しようと考えているのは、彼が自前で買った機器なので、そのこともちゃんと評価されなければいけないと思う。
Premium2のファームウエアが更新されている。せっかくオーディオ機器と違い随時ソフト更新が可能なPCでやっているのだから、ドライバとかこういうのはまめにチェックしてダウンロードした方が良い。僕はSyntax Japan(RMEの輸入元)、Steinberg(Cubase Studio4)のHPと併せて、毎日チェックしている。不具合修正(バグフィックス)もされているし、改良もされている可能性大だからだ。アップデートすると清々しい気分になる。こういうのが面倒臭い、という人にはPCオーディオは向かないんだろうなあ。(笑)
ということでCDメディアへのコピー方法の実験は追って行いま~す。
('07.9.18)またまた9月17日付け掲示板を拝見して、モアさんにならってステサン最新号の嶋護氏の「ラウドネス・ウォー」の記事を、こちらは泉北・紀伊国屋で立ち読みした。
嶋さんのディスク評は、これまで随分と参考にさせてもらっていた。今回は、ピークを削って平均レベルを一杯まであげて詰め込んだ「メリハリのある」リマスタリングや録音が最近どっと増えてきて、批評家もユーザーもそれを歓迎している、という傾向を捉え、ソニー・ロリンズ「サキコロ」のCDを例に、それがいかに空気感や音楽的なダイナミックレンジを損なっているかを論じたもの。「もう我々は負けているのかも知れない。」という表現には同感ながらさすがに淋しいものを感じたが、とても面白く参考になった。
TVでドラマからCMになると途端にボリュームが大きくなる現象は、コンプリ(コンプレッサー・リミッター)を使用して平均レベルを目一杯まで上げるためだ、ということはよく知られていると思うが、これと同じ事ではないかと思う。パッと聞きには迫力があって良いじゃないか、と言う訴求効果大な印象になるわけだ。これに安いスタジオで加工しまくったヒリヒリした音を加えれば、Jポップに良くある音になる。(ヒリヒリと位相のずれで頭が痛くなる。)
これを読んでスティング「ソング・フロム・ラヴィリンス」に違和感を感じていたわけが氷解した。スティングもダウランドもどちらも好きなので、期待して聞いたのだけれど、どうも「違うなー。」という感じが最後まで残る。レベルも随分と高い。要は「メリハリの効いた」録音やマスタリングにしているからではないだろうか。ダウランドのような音楽は静謐さが大事で、だからこそ密やかなクライマックスも活きるわけで、音とそこに残る余韻を大切にしなきゃ行けないんだと思うのだけれど、あまりにあからさまに強い音になっていて、のっぺらぼーなのだ。
最近ポップスなどのCDは「音と戯れる会」とかで聞いて気に入ったものでないと買わなくなったのは、ひとつには「美味しい音」が少ないからだとも思っているのだけれど、どうだろう。
それにしても、モアさんも本当に心得た方だが、戯れる会の人達もとても大人で素晴らしいと思う。
('07.9.17)明日オカンが帰るので、早速やってみたいこと。
同じCDメディアに複数の方法でCDコピーして音質を比較すること。先日あるCDをコピーしたのだが、非常におとなしい音で明らかに今までのコピーと傾向が違っていた。その後、電源がらみなど手を加えたので現状でコピーすればどうなるか、オンザフライ書込とイメージ書込とで比較してみたい。
仮説としてはアプリであるPlextoolsはRAMDisk上で動作するので、HDD(?)を経由せずに右から左、つまりイメージファイルを作成しないオンザフライ書込にした方が、音質的な変化が少なくなるのでは?ということを考えている。バッファーアンダーラン防止など書き込みエラー対策も備えているし、オーディオエラー検出機能もあるので、比較してみようというわけです。
さてさてどうなりますか。
('07.9.14)帰国以来、体を休めながらいろいろと「小細工」をしていた。普段どんなことをちまちまやっているかのご参考に、今回は全部書いておこう。
PCオーディオでは
1.ドライブ電源のヒューズをHiFi-Tuningに変更 → これは効いた!
2.DACの本体と電源部(AC 9V)を接続するDCプラグの接触が甘かったので、AES/EBU用のXLRレセプタクルを外してVampire(クライオ)に変更し、ケーブル側はスイッチクラフトのXLRプラグ(クライオ)に変更した。 → これも効いた!
3.Fireface400のカバーを外し、電波吸収ゲルシートを支障ない範囲で、また修理に出すときにはすぐに復元できる範囲で貼り付けた。非常に高密度な造りで余剰スペースが殆どなく、しかもロータリーエンコーダー用のフラットケーブルなどは触れると修理に出さなければならないし、分かっている方以外は特にお薦めしない。
→ 効果も気持ち程度だし。
勿論、これまで小さな事から大きな事までやってきたいろんな積み重ねの上に効果が出ているので、これをやったら直ちに凄く良くなると言うわけでもなかろうし、誤解のないようにお願いしたい。
しかし出てきた音にはこれまで感じたことのなかった「充実感」がある。いままで隙間をどうしても感じざるを得なかったのが、耳を傾けざるを得ない手応えを感じさせるように変わってきた。うむ、これは凄いかも。いやー聞ける。
千葉では畏友shin-papaが材料も揃って、2階建てロンドンバスならぬ一体型トラポの製作に着手されているし、クロックについてもいろいろと見極めをしておられる。
僕の方は、東京の友人が忙しい中で作ってくれた金田式DCオペアンプモジュールもあるし、きっちり75オームのRCAジャック(WBT)も注文してあるので、もう少し涼しくなったらDACの組み替え・電源強化に着手しようと思う。今はまだ暑いので、金属加工などやったら汗みずくになってしまうので。
そして、CDの音が良くなってくるとアナログもうかうかしてられないので、フォノイコ本体の電源接続部分のバイパスコンデンサをOSコン4.71μ からAuricap 1μ に交換した。鳴らしてみると以前のやや細身なのが、少し図太くなった感があるが微妙な変化。盤にもよるが、やはり同じ人間が同じようなパーツで組んでいるので、充実感もやや過剰気味(笑)であるが、とてもよく似ている。
また、ターンテーブルのAC電源も以前少し触っているので、回転数をKABのデジタル・ライトで確認して調整してフォーカスがぴしっと合ってきた。これはときどき確認した方が良い。
さて、SACDはどうしようか?
('07.9.13)9月5日のフィンランド放送交響楽団(FRSO)の、フィンランディアホールでの80周年記念コンサートはまたも満杯状態だった。
隣り合わせた老婦人と休憩時に少しおしゃべりしたのだが、「昔は毎週来ていたけど、最近は2週間に1回がせいぜいね。でもオペラハウス(国立歌劇場)にも良く行くのよ。」との事。勿論年齢は尋ねなかったが、椅子に座ったり立ち上がったりが一仕事というご様子から、少なくとも御年80歳代ではないかと思う。
フィンランドは音楽教育も盛んで、ヘルシンキにはシンフォニーオーケストラが9つもあり、勿論国の補助などもあろうが、こういう聴衆が音楽界を支えているのだろう。補助金を減らしたい行政の意向か、4つのオケがどうとかで大騒ぎしている大阪は確かに厳しい状況かも知れない。しかし「目に見えないもの」に価値を認めお金を出す、ということがどこまで出来るかが本当の問題点だろう。
コンサート終了後に、老婦人から「無事元気で帰国なさることを、またフィンランドに来られることを祈ってるわ。」と言われたときには、我知らず目頭が熱くなった。
さて本題のコンサート。写真のザカリ・オラモ指揮で、モーツアルト「交響曲39番」、ユッカ・リンコーラ「トランペット協奏曲1番」、ストラヴィンスキー「春の祭典」。
いやあ凄かった。冒頭のモーツアルトからぴしっと揃ったアーティキュレーション。各パートがまるで1個の楽器のように精密に揃っている。しかも緩急強弱反応が早く指示通りにぴしっと音を止めてしまう。
お国もののリンコーラは老婦人によると1988年の作曲らしく、深みはともかく、楽器の特性を活かしたカラフルな曲だ。トランペットの音色もふくよかで弱音も見事に美しい。
このオケの実力がいかんなく発揮されたのが「春の祭典」。いままで聞いた中では来日したR.シャイー/コンセルトヘボウが最高だったが、FRSOは現地の強みで規模も大きくホールの響きもよく心得ているようで、何よりも森と大地の響きのような圧倒的な厚みに優れていた。
所詮向こうの音楽だからね、と言ってしまえばそれまでだが、日本の音楽家が特に劣っているとはとても思えない。ではなぜ日本のオケはこんな風に出来ないのか考えざるを得なかったが、それにはいくつか理由があるのだろう。
1.日本人の特性として照れ性で「ここぞ」という時にぴしっと決めに行くのをためらう部分がある。
2.オケの楽団員の処遇は低く、バイト・掛け持ち・家庭教師などしなければ食べていけない事も多いらしい。そういう中で、徹底的にアンサンブルを合わせる時間が取れないという可能性は高い。
僕に推測がつくのはこれくらいだが、これは奥の深い問題だと思う。
いずれにせよ、こういう素晴らしい演奏を聴けたことは凄く幸せなことだった。
さてフィンランドネタはこれくらいで一区切りして、次はオーディオの話題に戻りましょうか。
('07.9.11)ヘルシンキでのオーディオショップ訪問は結局行かずじまい。店の開店時間とこっちのスケジュールがマッチしなかった事も一因だが、店のサイトやオーディオ雑誌(勿論フィン語だから見るだけ)など見ても全体に価格が高くてのぞくだけに終わってしまうのが分かっていたからだ。
実はデンマーク製のベンチマークのDAC1(USBなしの方ね)など192KHz対応しているし、同じEU圏で安かったら自分で運んで、なんて密かに思っていた。事前のメールで「何でも2割引はするよ。」と店も言ってくれてたし、VAT(付加価値税)の還付( max16% )もあるけれども、ユーロ高もあって、アメリカから通販で買う方がずっと安かったりするし、こういうデジタルものものはできるだけ後で買う方が賢明なので見送った。ま、今のDAC(P-3A改)もなかなか良いし、あれやこれやでまだまだ良くなるだろうしね。
店の中は北欧デザインだからそりゃ格好いいに決まっているが、冷やかしで来られても迷惑だろうし、それよりCDを当たってみたが、これもクラシックなど専門店は非常に高い(1枚30~40EUR前後)と現地情報があり、結局コンサート時に買うのとポップ・ロック中心の店で仏Harmonia
Mundi のコンピ廉価版などあわせて7枚ほど買っただけだ。
(でも、この仏Harmonia Mundi のコンピ廉価版にはいろいろ振り回されて散在する羽目になりました。後述。)
諸兄よ、円の対外価値はさほどに落ちつつあるのだ。
ムローヴァ&ラベックのCDはHMVで取り扱いあり。こちらへ。
('07.9.10)で、オーディオの話ですが、ムローヴァ&ラベックを聞いていたときにずっと感じていたのが、CDで聞いたらどうだろう?という事でした。
確かにディテイルまでよく聞き取れたのですが、いかんせん距離がありすぎてエネルギー的にはどうしても不足しがちで、小さい、という感じがずっと拭いきれなかったのですね。これまでピアノや室内楽はできるだけ前の席で聞くようにしてきたので、それからすると「食い足りない」ということです。
で、アホやなあ、と思いながら帰ってきたその日に一寝入りして起きてから聞く、というついぞ今までやらなかったことをしてしまった訳です。
マラプロのパワーアンプの温度インジケーターはすぐに安定したので、鳴らしてみたところ音量がもうひとつ上がらなくてこれが全く冴えません。ライブ録音だからかなあ、とがっくりしながら他に買ってきたCDなどを1時間あまり聞いて再度かけてみると、これがとても良いのですね。何のことはない10日近く火を入れなかった事の影響が大きかったというわけです。
もちろん生のホール感にはとても及びも着きませんし、実際にコンサートを聴いていなければこの演奏のスケールの大きさも本当には分からなかったかも知れませんが、それにしてもCDで聞くとボリューム感もあるし、迫力があって大変素晴らしい。やはりオーディオというのは「ニアマイク」だなあ、でもその「限界」は明確にありつつもこうして聞けることは本当に幸福なことだなあ、と改めて思った次第です。
('07.9.9)9月2日の夜はアルヴァ・アアルトが設計したフィンランディアホールでヘルシンキ・フェスティヴァルの最後を飾るヴィクトリア・ムローヴァ(Vn)とカティア・ラベック(Pf)のコンサート。
ストラビンスキー「イタリア組曲」、バルトーク「ヴァイオリンとピアノのためのハンガリー民謡」、シューベルト「幻想曲 ハ長調 D934」、ラヴェル「ヴァイオリン・ソナタ」というプログラム。
カティアについては妹とのスーパーデュオは勿論、ヨーヨーマのピアソラ・プロジェクトやジョン・マクラフリンとの共演などで実に切れの良い演奏をしていただけに期待大だったが、チケットは現地でしか買えなかったので2階席のやや左端柱横になり、ちゃんと聴こえるかどうか少し不安もあった。
ホールなどについては別ページの印象記で書きたいのでここでは触れないが、ちゃんとディテイルまで聞き取れる素晴らしい音響だった。
それにも増して素晴らしかったのが、2人の演奏だった。カティア・ラベックの「間」のとり方のセンスは実に素晴らしく、例えばバルトークなどまるで全体を一続きの歌のように聞かせてしまう見事な構成力で、そのうえでムローヴァは実に思い切ってよくうたっていた。5日のコンサートで隣り合った老婦人は「私は彼女(ムローヴァ)が自由に弾き過ぎると感じているのよ。」と言っておられたが、僕は断然彼女たちに票を入れる。確かに古典的に抑制された均整美ではないかも知れない。でも、のっけのストラビンスキーからあれよあれよという感じで、シューベルトは嫋々と天国的に、ラヴェルは最大限の集中力を込めて、こんな風にダイナミックに表現できるのは素晴らしい事だと思う。
ほぼ同曲目の一昨年のライブCDをコンサート前に買ったときに「終了後に待っていたらサインもらえるよ。」と教えてもらっていたので行列に並んで、サインをもらって「KMLレコーディングスというプロダクション名はカティアのKとマリエルのMですか?」と聞いたとき、カティアは目を細めながら嬉しそうに「Yes!」とたおやかに微笑んでくれ、ムローヴァはまだまだ走れるという悍馬のような精気を発していた。
そして静かに耳を傾け、淡々としかし楽しそうに並ぶ人々。凄いのは人口50万の都市で、2000人は収容できると思うこのホールが、室内楽のプログラムでほぼ満杯になるということだ。そう、ここはヨーロッパなのだ。
【p.s.】このCDをHMVで扱っているのを見つけたので、ご報告。さすがクラシック輸入盤はHMVだぜ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1222789
('07.9.8)フィンランドから無事帰国いたしました。2回のコンサート、シベリウスの生地の湖と森と街、何枚かのCDはじめ音楽的、そして直接的ではないけれどオーディオ的にも実り多い旅でした。
でもまー疲れたあるよ。詳細記述後日的書込。
('07.8.30)明日からフィンランドだが特別なことは考えておらず、ノキアの国だから面白いものもあるかも知れないが、まずは現地の空気の匂いをかぎ、森と湖と街の音を聞いてこようと思う。
シベリウスは僕にとって特別な音楽家ではないが、それでも没後50年目に彼の生まれた街を訪問するのは何かゆっくりとやってくるクライマックスのような気がしないでもない。
何はともあれ、ボチボチとまいろうかと。
※8月31日~9月8日とフィンランド行きのため、更新を休みます。
('07.8.29)昨日75オームの終端器(ターミネーター)が届いたので、オーディオテクニカのBNC-RCAアダプタに付けて同軸出力端子が2個あるマランツCD-16の空いている1個に挿してみた。(もう1個はクロック出力に使用)。
抜き差し比較 して聞いてみたが、差した方が微妙に目鼻立ちがスッキリして品位が上がり、見通しが良くなるのでそのまま挿してある。きっちり75オームで受け止めて不要な反射を返さない、という役割らしい。
まー、微妙な差だけど、積み重ねていくと大きいかも知れないと。同軸出力が2個あるケースなど滅多にないと思うけれども、何かの参考になればと。
かねてから慧眼措くあたわざるべしと思っているモアさんが、JBL SG-520について掲示板(2007年8月29日)で書き込みされている。
『ビンテージアンプはその殆どがパーツの入れ替えが必要な時期になっています
新しい代用品に換えるのは仕方がないことですが、メンテする技術者が
ビンテージに対する知識を持っているかどうかで大きく音質が変わってきます
ようするに「要」を知っている技術者です
僕の場合SG520の場合トランジスタとボリュームだけは換えてはいけない、
もしくは換えるとSG520ではなくなると言った具合です
回路は数式ですから技術者から見ると数値が出ていればOKと言う認識がある
人も多くのですが、僕らから見るとアンプの中はブラックボックスです
パーツの入れ替えが致命的な音質になり、イヤになって捨ててしまった経験が
人が多くいます
修理後も中をあけてこのパーツを交換してあるなど
説明してくれる信頼のあるビンテージショップでメンテされると良いと思います
(素人と分かると平気でウソをつく有名なショップも存在しますが)』(原文ママ)
この文章を技術者批判と読むなら、それはそれで「メンテ」が評価されず信用されないという、この国の「オリジナル信仰」がまず問題にされるべきだろう。
ヴィンテージものを触って例え純正パーツに換えたところで、劣化していたものに比べて音は必ず変わる。多少音が変わってもそれを「評価」して、音楽を楽しむことができる懐の深いオーディオファイルがいるなら、ちゃんと「要」を知っている技術者も当然増えるだろう。要するにその国のオーディオファイルはそのレベルに見合ったショップしか持てないわけだ。需要のないところには供給はないのだ。
そして「オリジナル信仰」につけいったアンティーク(!)ショップの売り方。
ビンテージアンプのパーツの入れ替えが必要な時期はもうはるか以前に到来しているのだけれど、実態はお寒い限りだ。多少状態が良いものを手に入れたとしても、伝説を盲信しているだけなら、いずれそれぞれにひどい目に遭うと僕は確信している。あるいは「パーツ取り」という名の共食いと、それに伴う価格上昇だとしてもだ。
もうオリジナル病に感染している人は仕方がないから放っておくとしても、まだ未感染なら、できることなら、内容を理解して評価して今後の対応も手の内に入れていない限り、そんな代物に安直に手を出してはいけない。
('07.8.28)カナダからは90年代ロシア軍用球にクライオした6H23P-EB(6922相当)のゴールドグレードが2本、15%引きで確保できたとのインヴォイスあり。よしよし。
ヘルシンキのオーディオショップに訪問のメールをしたら土日は完全休み(商談アポは土曜なら何とか)で営業時間は11時~15時。いやあ、ゆった~りした感じでよろしいなあ。
('07.8.26)オカンが来ているし、フィンランド行きがもう金曜日の話なので、オーディオは少し休止状態。といってもカナダで15%オフのセールをしているので、真空管やヒューズなどを注文した。あと、クロックに使っているマランツCD-16は同軸出力端子が2個あるので、空きの1個用に75オームの終端器(ターミネーター)を注文してみた。効果があるかどうかは分からないが何となく空で放っておくのは気になるので、精神安定剤代わりにといったところだ。
真空管についてはいろいろ伝説や尾ひれはひれがつきまとっているが、NOS(New Old Stock)と呼ばれる過去の銘球はあまり好きではない。ばらつきが大きいだけでなく、総じて独特の音色をそれぞれ持っていて、それは柔な造りによるところが大きい。つまり各真空管は固有の振動を伴っていて、それは電極間距離などを揺さぶるので当然音に出るわけで、何らかの意味で「エコーマシン」でもあるのだ。もちろんそういうエコー(共振)の響きが好きな方はそれを選択されればいいわけだ。
僕が頑強な造りのロシア球など現代球の、しかもクライオしたものが好きなのは、こういう曖昧な部分が比較的少なく、立ち上がりが速く見通しの良い音が好きだからだ。とりわけ90年代の軍用球6922(6H23P-EB)のクライオ版は精細な分解能が素晴らしい。前回は入手出来なかったのだが、こういうものはある時に入手しておくに限る。さて今回はどうなるだろう?
('07.8.24)千葉の友人は何と0.025ppmの恒温槽付きOCXOでCDドライブのクロックを換装するという。それは凄いだろうなあ。僕にはクロック用電源まで作り込む力はないので、せめてその快挙を賛し、成功を祈りたい。
新聞で松下の30年前の扇風機の発熱事故の報道を見て、電気製品の耐用年数というのは難しいものだと改めて思う。確かにその用途に「使える」のだから無闇に捨てる必要はないが、半世紀前のトランスなんて詰め物のピッチも乾燥して異常動作があれば火を噴きかねない。そろそろちゃんと現実に向き合って、リサイクルと合わせて修理や点検や何らかの受け皿や知識普及が必要ではないか。
('07.8.23)今日愛知から来られた友人は映像もやっているので、バタバタながら一通りやってみた。楽しんでいただけたら幸いです。黒子亀も聞きたがっていたが、結局時間切れでそれは次回回しとなった。
アーカムA-80 にはスピーカーを2系統リモコンで切り替えて使えるので、暑い日々が続く今日この頃、結局黒子亀君もアーカム先生に担当してもらうことにした。ということで白皙の美青年クリーク
A-50Ri には我が家を離れて修行の旅に出てもらうことにした。非常に綺麗な状態なので、希望者があればお譲りしたいと思います。
('07.8.22)18日の音と戯れる会の例会にはローゼンダールのクロックジェネレーター&ディストリビューター「ナノシンクス」をワンダーリンクのケーブルと一緒に持ち込んで、いろいろ聞いてもらった。音のにじみや低域のもたつきが好きなら話は別だが、高精度クロックの品位の高さは誰にも分かると思う。クロックについての本格的な試聴はみな初体験だ。響き方のバランスが変わるので曲毎に入れる入れないという問題ではなく、本格的な使いこなしにはセッティングの見直しなど時間も必要で、まだまだ序の口だろう。
我が家でもPCオーディオのラインアップ全体のクロック高精度化が進んできたので、今日は久しぶりに「秘密兵器」を引っ張り出して鳴らしてみた。亡き友人が0.1ppmのクロックに換装したマランツCD-16だ。CDの読み込みが上手くいかないからプレーヤーとしては使えないが、電源さえ入れればクロックは出力されるので、Fireface400の同軸入力に接続し同期させて聞いてみる。ケーブルは本来はワンダーリンクを使いたいが、Fireface400の2個の同軸端子が近接しているので使えず、低価格だがピカイチのステレオボックス「XV2」だ。
ローゼンダールに比べてもさらに高精度な凄みがある音。
以前聞いたときは0.1ppmの方は正確すぎて遊びがない感じで、ローゼンダールのしなやかさの方を選んだのだけれど、今こうして全く新しい環境で聞くとその凄さが分かってくる。といっても、ケーブルはワンダーリンクが使えないし、CD-16の内部回路を経由して出力されるので万全とは言えない。しかし、フォーカスといい広がり感といいわずかな差とは言えない情報量の違いがある。結局こちらで行くことにした。
ローゼンダールはMacでの映像用48KHzには不可欠だし、いつでも戻せるしね。
('07.8.17)CDの音がここまで迫ってくるとSACDもうかうかとはしていられない。SACDマルチのリア用アンプには、クリークはビジュアル系(AV+見た目)で表に出したままで、結局アーカムA-80 を使う事にした。
結局クリーク+パッシブプリのほうがやや高域寄りでピンポイントに決まる定位の面白さがあったのに対して、アーカムは部屋に音が満ちていく感じで、こりゃエネルギー食うわー、と思うもののとても良い感じになってきた。中にNouvotemのでかいトロイダル・トランスが入っているからということもあろうが、アーカムのプリメインの方が低域まで全体として良く伸びている感じで、例えばフォン・オッターが低い声で胸を響かせるような、人の声の息遣いみたいなものや、ホールトーンがよく聴こえる。リアが変わると全体の響きももの凄く変わるので、テストディスクをつかってバランスをきっちり取り直さなければならない。。
アーカムはレベルもフロントに合わせてきっちり2dBづつ動かせていけるので、ほぼこれで行けそうだ。おそらくチップの中の抵抗ラダーを使っているので、音質的にあまり言いヴォリュームとは言えないだろうが、この再現性の高さは捨てがたい。
例えば今度エストニアに行くからではないが、今までマルチではいまいち(韻を踏んでる!)だったバルティック・ヴォイス1(米Harmonia Mundi)の誠に美しい合唱が圧倒的に響く。良い演奏なのだが録音レベルが低くて閉口したR.シャイー/コンセルトヘボウ「マーラー#3」(Decca)がそれなりにちゃんと聞けるようになったのも誠に嬉しい。終楽章「愛が私に語りかけること」。美しい。
児玉桃のメシアン「幼子イエズスにそそぐ20のまなざし」などマルチのメリットがピンと来なかったものも、実によいのだなあ。
今日アサヒステレオからクライオ・ヒューズが届いたので早速アーカムに入れた。これまで聞いていなかったマルチ録音のディスクも聞きながら、これからゆっくりと調整していこう。
('07.8.16)昨日はSACDマルチもやってみたが、一方でPCオーディオでCDの音も真剣に聞いた。まだ詰めたいところはあるが、現時点での完成度は相当なところに来ていると思う。SACDのざわざわ感までは出てこないし、高域の潤いはもう少し欲しい気もするが、ちゃんと空気感のある中での人の声の温もりを伝えたり、弦が艶やかに響く厚みのあるオーケストラであったり、そのグレードはかなりのものだと思う。しかもソリッドに決まるところは決まる。
何よりも、常に少しクールというか素っ気ないところがあって、CDだからねと言い訳していたのが、音楽の方に入っていけるようになったのは、とてもとても嬉しい。
まだまだ修行途上ですしDACなど宿題もいくつかありますが、我が家のPCオーディオはその第一段階をほぼ越えたと思います。
音と戯れる会の皆さん、千葉の畏友shin-papa、ほかいろいろと情報をいただいた皆様に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
('07.8.15)だいぶブレイクインも進んだので、クロック換装した2階建てCDドライブを本格的に聞く。トゲトゲが消えて温度感が上がりしなやかな感じなのは良いが、聞き進むと少しおとなしすぎるというか、音数がもっと増えても良いのにと言うところがある。
いろいろ考えてドライブへの12V/5V電源コネクタ(黄黒黒赤のケーブル)に付けていた2個のOSコン(20V68μ・SGグレード)を外し、基板と合わせて2カ所にEROのポリカーボネート・コンデンサ(63V10μ)、1カ所にAuricap(200V 1μ)をバイパスに取り付けた。
これでぐっと生きが良くなって音が前に出てくるようになった。おそらくノイズやジッター(ジッターが電源経由で悪さをするという「かないまる」説に従えば)が多い環境ではOSコンは威力を発揮するのだろうが、ノイズやジッターが減った環境では逆に効き過ぎて音が淋しくなるのだろう。となると結構OSコンを使っているDAC(P-3A)も見直しした方が良いかもしれない。
鳴らし込みを兼ねていろんなCDを、クロック・ジェネレーター(RosendahlのNanosyncs)とFireface400内蔵クロックとで聞き比べてみる。
クロック・ジェネレーターを入れると「目の覚めるような音」になると期待する向きもあるかも知れないが、少し違うんだな~。
Fireface400内蔵クロックで鳴らした方が、ある意味ではドスのきいた迫力のある音になる。Nanosyncsにするとスッキリと整理されて見通しが良くなるので、少し音量が下がったような感じになる事もある。だから「なあ~んだ迫力減るじゃん。」と「好み」で判断していたら、いつまで経っても情報量の高さには届かないと僕は思う。
Fireface400内蔵クロックの場合、音は太いけれども同時に少しにじんだ、あるいは膨らんだ感じがあり、また粘っこく、というか少しリズムの切れが悪くなる。Nanosyncsの場合、音場感や雰囲気感が良く出て、リズムも良く切れて音像は締まってくるので、トータルとしての情報量は向上しているわけだ。それをより太い感じにしたければ、またそれなりの音造りを考えればいい。
勿論、好みで選んで全く差し支えないけれど、そういう変化の方向というか、音の世界があることは理解してもらえたら嬉しい。
('07.8.13)昨日はヤフオクでゲットしたアーカム A-80 をリアSP(ELAC 310)につなぎ、とりあえずFMで音出ししてみた。ふわっとした浮遊感というか広がり感はクリークの方がずっと良いが、これはクライオ・ヒューズも効いているかも知れない。アーカムではボディ感というか人間の声の胴体とか息づかいのような感じが出てきて、全体としてピラミッド型の音になる。
これはヒューズをクライオにしてみたりして、どちらがSACDマルチにマッチするかいろいろやってみて判断しようと思う。クリークに使っていたパッシブプリ(AlpsのUltimateボリューム)も音質上効いているようなので、ひょっとしたらクリーク+パッシブプリに戻るかも知れない。去年買ったままの、リモートアッテネーターのキットを組むのも良いかもしれない。
クリークはセンターのコンソール・テーブルの上に上げて、DVDレコーダーの出力を接続し、黒子亀くんを鳴らしてみた。結構良い感じである。
いろいろと準備しておいて、オカンが帰ったら本格的に鳴らしてみよう。
('07.8.10)こんなものを買っちまったぜい(大阪バージョン)
だって酒飲みながら映画見たかったんだもん、最近。つまりはスクリーンで見るときにDVDレコーダーなどの音声をタラタラと聞くため。
左下はヤフオクでゲットした英アーカム「A-80」。フォノ入力は必要ないんだけど、操作がすっかりロジック化されていて、音量を0.5dB単位までリモコンで操作できるのは嬉しい。音を聞いてみて良かったら、こっちをSACDマルチのリア用に回して、ルックスの良いクリークA-50RiをAV用に表に出しても良いかな。
スピーカーはデンマーク・スキャンダイナの「ミニポッド」。当初は雑誌の評価が高いB&WのM1など候補にしていたが、アサヒステレオさんの情報ではあまり大したことはないそうで、他にもオルトフォンのコンコルド205なども聞かせてもらったが、安いクラスではこれが実に「まとも」なちゃんとした音だった。と言う事で少し予算オーバーしたが、将来も使えるものという結果になった。
親カタツムリに合わせてシルバーというのはやり過ぎだし、白や他の色は目立ちすぎるので落ち着いた感じの黒にメッシュグリル付きにした。でも「黒子カタツムリ」というのは言いにくくて、ほとんど早口言葉になってしまう。ということで「黒子亀」と命名した。
変な形のスピーカーを集めるのが趣味ではなく、インテリア優先でもなく、音で選んだ結果ですので念のため。
カタツムリたちは沖縄のOさんから「スパーシートに載せてやるから暖かい沖縄に来いよ~。」とお誘いを受けているようだが、子持ちになるとなかなか行きにくくなるだろうなあ。(笑)
あ、クロック換装したCDドライブの方は1昼夜通電して、PADのシステムエンハンサーRev.BのCDを手動で7回ほどかけたので(Cubase
ST4 にはリピート再生機能がない....)、随分と良くなりました。リズムの切れが大変よろしくてご機嫌ですが、もう少しブレイクインしたいと思います。詳細後報。
('07.8.9)CDドライブのクロックの換装をしてはじめてカタツムリで聞く。デジタルらしからぬ落ち着いたディテイルの出る素性の良い音だが、いまいち元気よくはじけるところがない。考えてみると、CDドライブは全くの新品だし、クロックも100時間ぐらいはブレイクインがいるらしい。これはもう少し鳴らし込みが必要なようだ。エリカ・バドゥー(シンセベースの伸びが素晴らしい)など鳴らしながらゆっくりと時を待とうと思う。
傾向としては隙間が埋まると言うよりも、滑らかさがぐっと良くなったという感じがする。トゲトゲは既に無く、あとはこの音の伸びがどこまで広がるか、かな。特にスピーカーの外側へ広がるかどうかが気にかかる。つまりは録音の善し悪しがどこまで見えるだ。
('07.8.8)ケースが届いたので、千葉の友人に続いてCDドライブPremium2のクロック換装作業にはいる。ドライブのシールを切った時点で保証外になり、いわばポイント・オブ・ノーリターン(帰還限界点)を越えることになる。高価なクロック、それにもまして希少なドライブケースなので、慎重を期して丁寧に作業する。
今日届いたケースにFirewire伝送用のクロック(24.5760MHz)を移し替え、ドライブケース内にCD読み取り用のクロック(33.8688MHz)を取り付ける。ドライブケース本体(親亀)の上にFirewire伝送用クロックのケース(子亀)を載せた2段重ねになるわけです。そして隙間からCDドライブにクロック線を入れて、3.3VでPlextorチップ寄りのランドにクロック線を半田付けして一発でOK。ホッ。
Windowsもちゃんと認識してくれたし動作には問題なし。
とはいえ結局完了したのは深夜になったので、ヘッドフォンで音が出るのを確認したところで、後は明日におくる。やれやれ一段落。暑かった~。
('07.8.7)アナログ快調!ローランド・カークもウエザー・リポートもなんでこんなに良いのかよく分からない。
写真は先週シカゴから届いたビョーク「ヴォルタ」のLP。ご覧のとおり凝りに凝っていてジャケットは真ん中の「ひよこ」ビョークのシールをべりべりとはがして、開ける。そして5枚重ねの入れ子になっているケース。
でもインナーの文字は小さくて読みにくい。特に黄色に白抜き文字なんて読みにくさの極致で「オッサンにはビョーク聞くなって言うのかよ!」ってわめきたくなるくらいだ。ま、若い人にも読みにくいだろうけど。
良い曲がいくつか、そしてアントニーのヴォーカルが素敵だ。
でも、多分CDで聞いてもそう感じるんじゃないかと思うが、全体としてはもどかしい。メディアが違うよという感じだ。カッティングエンジニアの名前もないし、アナログ固有の音造りが出来るスタッフがいないんじゃないかと思う。SACDマルチはもう出してくんないんだろうなあ。グス。
('07.8.6)先月号ぐらいからの「HiVi」では次世代DVDのオーディオモードの記事が目に付く。トゥルー何とかとても覚える気もしないが、圧縮モードであることはどれ一つとして正面から書こうとしない。知らない人は画期的な新フォーマットだと勘違いするかも知れない。うまく展開できてもL(リニア)PCMに同等という事だし、デジタル変換はもの凄くハイグレードな環境でも何らかの変化を伴うし、第一「ロスレス」とうたっていてロスがなかった試しがないので、実にむなしい気がする。
これまではディスクの容量が足りなかったから圧縮メディアも必要だったが、容量の問題がクリアされた今、パッケージメディアの中ではもう必要性はなく、ダウンロード・ムービー以外は本当は必要ないはずだ。おまけに回線速度の問題もあり、ダウンロードが本格化するのはまだ先のことだろう。
業界としては何かセールスポイントがなければ記事にならないのだろうが、結局各ソフトメーカーの生き残り戦略に振り回されているだけのような気がする。
LPCMの例えば96/24のようなハイレートなモード、そしてそのマルチ、それを真面目にやるだけで随分と違いが出るし、アピールすると思うんだが。
('07.8.5)DVDレコーダーに録画が溜まっているが、なかなか見る気にならない。プロジェクター&スクリーンで見たいが、そうするには現状では音声をノーチラスで鳴らさなくてはならず、周りのパーティションを片付けて、布カバーをとってブレーカー4個を入れて、チャンデバとアンプ8台をオンして、などと随分と大層なことになるからだ。ちょっと見る、聞くためのスピーカーとアンプが必要だなーと思っていろいろ調べていて、とりあえずアンプは今日ヤフオクで確保した。まだ保証が1年半あまり残っている新しいモノなので、まあまあだと思う。
スピーカーはできるだけ小型で存在感が薄くて、かつ音の良い安いモノ(欲張り~)をじっくりと探そう。
機械は増やすまいと思っているのに、あれこれやろうとすると結局は増えてしまう。ま、リア用のクリークと重ねて置けば正面からは見えないし、デジタル系の微妙さを知れば知るほど、たいていがデジタルアンプのAVアンプなどは使いたくなくなるので、致し方ないか。やれやれ。
('07.8.4)仙台からのLPを試聴しがてら片付け事をと思いきや、あまりの演奏の良さにそのまま聞き続けてしまった。カール・ニールセン/交響曲4番「不滅」/カラヤン&BPO(DGG 2532 029/LP)。
カラヤンがとか、デジタル録音で少し線は細いがとか、はどうでも良い。ベルリンフィルの白熱の名演。第三楽章の集中力がすさまじい。
CDでも日アマゾンでは在庫無く、米アマゾンでCDのみ。もしLPを見つけたら絶対買うべし。
('07.8.2)ここのところCDが続いたので今日はLPとSACDの日。カタツムリのチャンデバのヒューズを3月25日に書いた「HiFi-TUNING Silver & Gold Fuses」 に交換する。
このヒューズはブレイクイン中の音の変化が大きいので、こういう日はまだ聞いていないディスクを鳴らすのが良い。一昨日シカゴから届いたSACDやずっと前からチェックすべく置いてある仙台からのLPをランダムに聞く。やはりLPの良さは際だったものがある。G.セル/クリーブランドのモーツアルト#39&#40のSACDも素晴らしい。
書いていないことはたくさんあるが、時間が経つと細かいことは本人も忘れてしまうのでそれはそれで良いのだと思う。忘れたままでいられることは幸せなことだ。Let it go, let it flow.
できればこういう静かな日々が続いて欲しい。
('07.8.1)切り替えできるCDドライブ用・DVDドライブ用の3トランス構成の電源が完成した。
経過をちゃんと聞かないと勿体ないので、クロックもドライブモーターと同じ12V電源からとって聞いてみて、随分と量感や音場感が良くなるのを確認した上で、その後別トランスのクロック専用電源(12V)から供給して聞いてみた。きめの細かさ、しなやかさ、柔らかさ、空気感がずっと良くなる。ピアノの左手がよく聴こえるだけでなく、ペダリングや残響感が明確に手に取るように分かる。DVDの画質や音質もはっきりと向上しているのが分かる。やはり3トランス方式が正解だと思う。
そうそうDAC(P-3A)のアナログ出力用オペアンプをOPA627BPに変更したのもよく効いている。DACのより大きなケースへの移し替えと電源強化も課題だが、そのうちにPremium2用のD-Clockも届くだろう。さてさて暑い夏も忙しい。
('07.7.31)クロックの話の途中ですが、クロック換装について性急に結果を求めるような話が相次いで重なった事もあり、またドライブがらみの換装については千葉の友人がやられている他は例がないようで、誤解を招きたくないので中断させてもらいます。部品をハード的に換えることにより変化があるのですが、PCオーディオにおいてはソフトの方が大きな効果をもたらす場合もあるので、ハードだけに偏らず総合的な視点が必要です。
単なる手拍子としか見られていない「パルマ」がフラメンコの華であるように、パルマのセンスで演奏の質がぐんと変わるように、クロックはデジタル・オーディオの華であると僕は考えています。
しかしながら、これはちゃんと勉強した上できわめて慎重に対処すべきものであって、単なるパーツの取り換え感覚でやると、虎の子の基板をパーにしてしまったり、痛い目を見る事になります。先日ポカミスでD-Clockをおシャカにしてしまったことを正直に書いたのも、そのリスクをちゃんと分かるようにしておくべきだと思ったからです。
それと、こういうものについては換装の写真などを載せるつもりは全くありません。浅学の僕がこういう事を言うのをお許しいただきたいのですが、それなりに分かった人がやるべきものだと思うからです。
まずクロックとは何かをじっくりと勉強しましょう。CDPのクロック換装についてはかなりの数のサイトが写真付きで公開されているので、具体に勉強する事も出来ます。
半田ごてを握るのはそれからで十分ですし、その頃にはデジタルオーディオ全体についての理解も随分と変わってくると思います。
http://kanaimaru.fc2web.com/digital/lecture13.htm
http://www.hh.iij4u.or.jp/~tokumi/archive2/sync1.html
http://www.hh.iij4u.or.jp/~tokumi/archive2/PLL.html
「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にはない。行為の結果を動機としてはならぬ。」(バガヴァット・ギーター 2.47/上村勝彦訳)
('07.7.26)1.クロックの出力波形は綺麗な「パルス」ではない。
まず最初にクロックの出力波形の例を。写真は優秀とされているD-Clockのサイトに掲載されている3Vモードでの出力波形。教科書で「パルス」としていつも示されている真四角の矩形波ではない事に注目されたい。そのようなものは人間の頭の中にしか存在しないのだ。
水晶などに物理的ストレスを与えて発信させる現実のデジタル回路ではこのように近似値としてしか機能するものがないのである。つまりジッターははじめから常に存在しているものなのであり、それを前提としてデジタル機器を考えないと、結局現実離れになりかねないわけだ。
2.クロックはデジタル機器あるいはコンピュータには不可欠なもので、あちこちに沢山ある。
我が家のPCオーディオの機器の例をとればCDドライブ「Premium2」には、CDからの信号読み取り用として33.8688MHz が使われている。ちなみに精度は±30ppm。それを収容する外付けドライブケースにはFirewire(1394)でデータを転送するためのクロックがあり、これは24.576MHz。
そしてコンピュータの中の最重要なものはCPUが動作するクロック。いわゆる1.83GHzとか3GHZとかいうあれだ。
Fireface400内蔵のものは確認できていない。我が家のDAC(Perpetual P-3A)にはASRC(非同期サンプルレート変換)のためのクロックが搭載されており、これも24.576MHz。他にも制御系のクロックがある。
そしてRosendahlのNanosyncsからFireface400の「ワードクロック」を注入している。
つまりクロックなしにはデジタル系は成り立たない事がお分かりいただけるでしょう。
ほんじゃあ「マスタークロック」ってこの中のどれをさすのでしょうか?
('07.7.25)録音と聞き専の間にギャップがあるように、オーディオ界もプロとアマの間には大きな境界があって、ここ数年ではアマの方が進んでいたのが「電源」とくに「電源ケーブル」関係。
数年前だが、大阪でも大手のスタジオの専務が「電源ケーブルで音が変わるなんて俺は信じられへん。」と言っていたのを思い出す。
一方でプロが進んでいて、アマが圧倒的に後れをとっていたのが「クロック」だ。何故後れをとっていたか。
1.プロの場合は機器数が多い。MA(マルチオーディオ)環境と言って映像と音声を一緒に扱う事も多い。例えばリップシンクといってそれぞれデジタル回路を通ってばらばらに送られてくる映像・音声信号のタイミングを合わせるとか、「同期」をとるクロックが不可欠。
アマの場合はせいぜいがCDトラポ→DACだから、S/PDIFの場合、DACがスレーブとしてトラポのクロックを使えば外部クロックなしに音が出せる。業界としてもないほうがコストが安いから宣伝もしないし、製品も作りたがらない。
2.プロはコンピュータを使うのが当たり前の世界。コンピュータデータとクロック上に走っているデータとは分けて考えて、いろいろ処理をした後でクロックを打ち込んで音にする。ところがアマの場合は「聞き専」だからいきなりクロック上に載せて走らせて、音にするので必要性が薄い。
3.上記の理由もあって、アマ用のクロック製品はきわめて少ない。しかも、クロックを注入できるトラポなどの製品も非常に少ない。だから、クロックは聞き専の購入リストには上がらず、プロかぶれのビョーキの連中が手を出すものというような受け止め方がされているようだ。
業務用にどれだけクロック製品があるか、一度検索されてみると唖然とするだろう。
4.業界のサボり。不都合なことは表に出さず、守りの姿勢。特にクロックは数字で精度が出たり、比べられてしまうので、製品にもどれくらいのグレードのものを使っているか、ほとんど表示しない。いや、ご立派な守りの姿勢。
ではどんなクロックを選べばいいのか?さすがのステサンなどの雑誌でもほとんど触れないので、聞き専はまず知識ゼロに近いと言っても良いと思う。 Sorry,
don't take it personal.
用語から整理してみよう。まずはもの凄くいろんな意味に混乱して使われている「マスタークロック」。
('07.7.23)合間合間にCD/DVDドライブ用電源の製作を少しずつ進める。僕は電源に関しては基板は使わずハードワイアリングでやる主義なので、端子板やラグ板取り付けなどのケース加工も多い。だからゆっくりやる方が全体の完成度は確実に上がる。
日本的仕様のCD用ドライブケースでは12Vは電流変動が大きいドライブモーター用なので本来ならケースにアースも落とさずに、エレクトロニクス回路用の5Vやクロック用の一応12Vと分けた方がよい。そのための3トランスだが、いまDVDドライブを入れているアメリカ仕様のドライブケースは12Vオンリーで5Vは基板内で生成されるのでそういう訳にもいかないかもしれない。ま、いろいろやってみよう。D-Clockは電源がアイソレートされているのでアースラインも共用できて、こういうときにはとても助かる。
とはいえこういう作業はパーツや工具を広げてしまうし、片付けてまた広げるのも手間なので一度店開きしたらできるだけそのままにしておく方が効率が良い。とはいえ片付けなければ出来ない事もあるし、第一音楽をちゃんと聴けない。
音楽を聴くための作業で音楽が聴けなくなるのは矛盾だけれど、デジタルはデジタルで一定の所までまとめたいので頑張ろう。
('07.7.21)昨日グラハムのアームのことを書いたらヤマモッさんがHPでいろいろとそのことについて書いてくれている。普段やっている人でもあまり書かない事なので、是非読んでおかれると良いと思う。前のオーナーがやったことの後始末で掃除をした話など、身につまされる。
ついでに書くと、アームの高さ調整は非常に大事な問題だが、あまり認識されていない。丸針のカートリッジの場合、レコード盤とは丸=点で接触するので、カートリッジの角度が音に影響することはあまり無い。
ところが楕円針やラインコンタクト針の場合は、カートリッジの角度がもろに盤との接触状態に影響するので、当然、歪みや解像度やスピード感に影響大なのだ。
ところがオールドファッションドなアームでは、高さは最初に合わせたらもう触らないよ、とばかり操作性が悪かったり、ネジで締めるだけで肝心の高さに付いての表示が無く再現性がほとんど無かったり、そのネジが結構太い割には甘かったり、要するに重要視されていない。
現在でも欧州系のアームはほとんどそうだし、ある意味ではおおらかに出来ている。この辺を一生懸命やっているのはアメリカのハイエンド系だけだ。
だから、というわけではないが例えばSMEもスイートスポットにあっても曖昧なところが残るし、特に低域についてはそうだ。なにせ、初めてSMEからエミネントにしたときには、低域がにじまずにはっきり見えるがごとく決まることに驚嘆したくらいだ。
細かく調整する事にはそれなりの意味と効果がある。おそらくグラハムはSMEの上をいくと僕は思っている。
('07.7.20)これからの独学で一からのアナログは止めた方が良い。
先日ヤマモッさんとスカイプしたとき聞いた話だと、グラハムのアームには何のマニュアルも付ていなかったらしいが、彼はそれをさっさと調整して今すでに鳴らし込んでいる。
また沖縄でウイルソンベネッシュの「Cercle」のセットアップをしたが、ヤフオクで買ったにもかかわらず見事に傷一つない状態だった。カーボンのアームも外側はアクリルなので、カートリッジを締め付けたりすると微細な傷が残るがそれすらない。
つまり前のオーナーは組み立てる事すら出来なかったのだ。英文で10ページくらいのマニュアルと何枚かの資料と、トラッキングゲージの紙しか付いていなくて、経験がなければ確かに無理な話だ。
ぐらぐらのワンポイントアームのACT0.5は何の表示もなくて、針圧計がなければ針圧も決められない。きっちりと水平を出さなければ話にならないのだが、それには水準器が必要だ。当然これらは自分で用意しなければならない。いずれにせよ手に余ったことは想像に難くない。
デジタル機器と違い、アナログプレーヤーの使いこなしは雑多な事実と経験の寄せ集めのようなものだ。重すぎても軽すぎても行けない。固すぎても柔らかすぎても行けない。それらはマニュアル化などがかなり困難なバランス感覚を、結局は求めているのだ。
季刊誌「アナログ」などを見てプレーヤーを買う人も多いらしくて、一体どれだけの人が使いこなせているのだろうかと思うときがある。そばに良く使っている人既にがいて、それをつぶさに見ることができるか、あるいはその人が頻繁に自分の部屋に来てくれるか、そういう条件でもない限り、これからの独学で一からのアナログは止めた方が良い。
需要が少ないからパーツの価格も高騰しているし、古いものも信じられないくらいの価格になってきている。しかも、これは盤についての話以前の段階だ。盤の話はここではしないことにしよう。
('07.7.17)「レコードは、自分が音楽を聴きたくなったときに、自由に、とりだしてかけることのできるものである。かつての王侯貴族は、それに似たことができたかも知れないが、しかし、その人たちでさえ、こんなに簡単な操作で、こんなに静かに、こんなにひとりっきりで、音楽の慰めと楽しみを味わうことはできなかった。
レコードは、きくひとを、音楽を通して、見える世界からつれだして、見えない世界につれてゆく。そこでは、ひとは、何かから解放され、自由になる。レコードの醍醐味は、このひそやかな自由、この軽快な解放感にある。」(吉田秀和「わたしの音楽室 LP300選」1966)
そう、そのとおりだ。僕らはこういう事のためにオーディオをやっているのだ。夜、独りで涙しながら、時には友人と酒を酌み交わしながら音楽を聴くために。
('07.7.16)片付け事をしながら、CDドライブ用電源の製作にはいる。5V・12Vの他に2個のクロック専用電源(12V)のため別トランスを使う事にし、合計3トランスの電源にする。またDVDドライブにも給電するため、切替スイッチを設ける事にした。PCのラックの下にすんなり納まる薄型のケースで目立たないようにするつもりだ。
コンデンサやらビスやらいろいろパーツも買わなければならないので、それを待ちながら少しずつ楽しんで作る事にする。一方、Premium2用のクロックなどもカナダに注文した。PCオーディオ構築もだんだんと佳境に入ってきたところだ。最終段階では電源などでいろいろと音決めというかバランスをとりに行くので、今は蛇口全開モードで行く。
('07.7.15)福島の友人がスカイプしてくれて、CDトラポの下にRELAXAを入れるなど、振動対策に取り組み始めたと話してくれた。いつも言っているのだが、ラックだけでは機器の振動対策の一部しか対応できないので、機器毎の対策が必要になる。
電源対策についても意欲的で、我が家を訪問したときの印象を元にいろいろと見直すと言ってくれたので、少しは役だったかと大変嬉しく思った次第。
ヘヴィな風邪からの社会復帰のために(?)、DACのアナログ出力用オペアンプ4個を取り外して、ソケットを取り付け比較試聴できるようにした。まずは東京の友人が送ってくれた、アナログ・デヴァイセズのAD797。ブレイクインがまだまだ必要だが、ぐんと音の彫りが深くなって濃くなる。ヴォーカルの存在感が凄い。これは楽しい。
他のオペアンプがどう鳴るか、これも楽しみだ。
('07.7.11)沖縄では友人達の他に「音無館」を訪問させていただきました。(「音楽好きな二人が音無館に遊びに来ました」というタイトルで07月09日のブログに書いてくださっています。)
生録音でも有名な安次富さんのところは3年前にも訪問させていただき、デジタルアンプを中心に聞かせていただきましたが、デジタルアンプはダイナミックレンジに問題があるという事で、今回は最新のICを使ったバッテリー駆動のアンプがメインでした。
とはいっても知識の塊のような人なので、前回同様あれやこれや教えていただき、知恵熱で沸騰しそうになりました。農業で利用されているEMのようにこれらが僕の頭の中でも発酵して実を結ぶと良いのですが。(笑)ありがとうございました。
印象的だったのはPCMにはPCMの限界があって、デジタル領域ではアナログに一番近いDSDが良いので、DSDで録音してVAIOデスクトップのアプリでDSDのまま編集して、最後にCDにされていること。今取り組んでいるPCオーディオをそれに乗っけられないか、一緒にいろいろと検討してもらいましたが、結局DSDのままデジタル入出力できる環境がないので、いったんアナログに変換してからDSDに変換するか、dCSのようなDDコンバーターを通すかしか方法がない、という結論になりました。
僕としてはいままで高価なdCSのDSD変換でも納得できる音を聞いた事がないし、安価なDDコンバーターは音が良くないので、こちらは採用不可かな、と。アナログ変換は録音スタジオでもすでに広まっているので、友人の力を借りて実験をしてみようと思っていますが、「そこまでしても....。」という気もしますし。現段階ではやはりPCオーディオはそれ自体として完成度を高めていく努力をするほかないかな、と言う結論に至りました。
帰ってくるとちょうど東京の友人が送って下さったDACのオペアンプ用のパーツが届いていましたし、千葉の友人がブログにCDドライブ「Premium2」を開けた写真を載せてくれていました。いろいろと難しい事もありそうですが、±30ppmのクロックをはじめあちこち換えたら凄い事になるだろうし、また他の友人達もこちらやこちらでCDドライブ電源での音質改善を続々とレポートしているので、放置プレイ中のドライブ電源も製作しなければ行けないし、当分はアナログなどもこっそりといろいろやりながら、そんなこんなでPCオーディオを頑張ってみようと思います。
僕のオーディオ生活もいろんな方から知恵をいただいて豊かになっています。改めて深謝、です。
('07.7.3)先日Macについて面白い経験をした。
Macで再生するDVDの音声がどうも甲高く早口な感じに聞こえて仕方がない。Fireface400の設定もRosendahlのクロックもちゃんと48KHzになっているのに、どうもスッキリしない。DVDドライブケースのクロックを換装したから余計にわかりやすくなったのかも知れないが、いずれにせよこの現象はクロックがらみだ。
で、思い立ってAudio-MIDI設定を見るとクロックが44.1KHzになっているではないか!Cubase ST4 を聞くときに変更したのか、いやもっと前からそうだったかも。ここを48KHzにして問題は解決した。
WindowsならASIOで設定したとたんにOSはすっ飛ばすのだが、Mac OS 10 ではCoreAudio上でクロック周波数を含めてAudio-MIDI設定というOS直属の制御ソフトが取り仕切っている。そういえばFireface400のマニュアルでMacサイドはAudio-MIDI設定に遠慮がちな書き方をしていたっけ。この辺がMac OS 10 の特色だろうし、Audio-MIDI設定にちゃんと向き合わず上手く設定できていないMacもあるのかも知れない。
ちなみに、Windowsはスカスカに軽めの設定をした方が音は良くなるのだが、こちら(2ページあり)とこちらのページはとてもその辺りのスカスカにする方法を良くまとめてある。この中の一つ二つは知らなかったことがあるに違いないので、特にレジストリ関連の内容をちゃんと理解して、各自の責任と判断で参考にしてください。ちなみに我が家では全てこの通りにはなっていません。あ、それとVistaを使うつもりは全くありません。
今日少しだけ触ってアナログが良くなっているし、もう少し良くする方法も見えているが、まあそれは小出しにゆっくりと作業していくつもりだ。
('07.7.2)ノイズカットトランスとアイソレーショントランスはちょっとばかり違うモノなんだけど、知っている人が少ない。技術のあるメーカー、そうでないメーカーなど、製品としてもいろいろある。オヤイデごときでトランスを語るなかれ。アースのことはしつこく言うくせに、アイソレーションのことにはまるで触れないのも同様だ。
('07.7.1)次はCD/DVDドライブ電源の製作と決めていたが、東京の友人の自作DACを聞かせていただいて、P-3Aの改良(改造?)が急務になった。
クロックを安定した形で一体的に収納し、音質の良いオペアンプを選定し、電源を強化したい。特に、電源についてはどういう形にするか、ずっと頭の中であれやこれや考え続けている。全然飽きない。(笑)
そのためのケースを発注し、またいくつかのパーツについては友人のお手を煩わす事をお願いした。なにが良いパーツであるのか、webで見ても分からない事がいっぱいあるし、しかも複層スルーホール基板は半田付けを何回もやり換えるとホール自身がダメになり、基板全体がパーになる可能性が高い。だから、やる以上は出来るだけ効率的に吟味したパーツを取り付ける必要がある。
トライアルアンドエラーも大事だけれど、諸先輩の知恵を活用させていただけるのも交流のありがたい成果だ。
('07.6.29)昨日は東京から友人が来てくれて楽しい一日を過ごした。
いろんな話が飛び交ったが、オーディオではカタツムリの話とデジタルの話が中心だった。デジタルについて意見が一致したのは、
1.デジタルはどこを触っても音が変わる。
2.何がいちばん正しいのか決め手になるモノがほとんど無く、実際はそれぞれの切り口でそれぞれに取り組んでいる。
3.どこを触っても変わるので、どこまでやっても「切りがない」。だからそれぞれにどこかで折り合いを付けるしかない。
という事だった。
いろいろと情報交換できてありがたかったが、特に勉強になったのはTDA1541Aをデュアルで構成した自作のDACをわざわざ持ってきてくださって、リクロック用のクロックをその場で差し替えたり、アナログ出力オペアンプをOPA627から金田式ディスクリートモジュールに差し替えたりして音を聞かせてくれたこと。クロックによる変化は勿論大きいのだが、特に出力アンプの部分ではこれまた大きく音が変わるので驚いた。また電源もLEDとシャントレギュレーターを使った凝ったもので、これも相当に効いていると思う。
我が家のDAC(P-3A)はクロックは換装したものの、オペアンプをこれからOPA627BPに換えようかという段階で、これについてはソケット式にして差し替えて実際に音を確認した方が良いという事を教えていただいた。
つらつら考えると、P-3Aは現行ケースのままではクロック内蔵はおろか、スペース的に電源強化もままならない。やはり別途大きめのケースにクロック共々収納して、基板を始め振動対策や電源強化を本格的にやり、その上でアナログ出力アンプを改良していくのがいちばん良さそうだ。いろいろとオペアンプを勉強していたら俄然やる気になってきた。
実際に我が家で聞かせていただくといろんな事が把握できるので、本当にありがたい。感謝。
('07.6.27)昨夜帰宅すると、シカゴ Music Direct からのCD/SACDの他に、カナダからD-Clockが届いていた。明後日は友人が来るし、前回失敗しているので迷ったが、気になるのでえいやあと夜なべでDAC(P-3A)へのクロック(24.576MHz=96KHz×256)換装に取りかかった。
Mission Activated.
狭いDACケースの中に無理して押し込むのは止めて、別ケースを用意してD-Clockはそこに入れ同軸ケーブルをDACに引き込むという作戦。電源がアイソレートされているので同軸でアースも接続しなければならないというD-Clockの特徴を活かした(?)接続。ところが最終段階で同軸ケーブルのコネクターを挿すとケースに収まらないことが判明する。「夜も遅いのに~....」とため息ついたところで仕方ないので2ミリ厚アルミ板をカットして基板を縦に収納する。振動が懸念されるので、アルミ板にもソルボセインを貼り付ける。トランスも別なので贅沢と言えば贅沢だが、P-1A用の電源12Vをクロック用専用電源に流用する。
DAC側のクロック注入点とアースはいろいろ調べて割り出してあったので、まず3.3V出力で接続するが反応なし。次は5Vで接続。すぐにロックされず「あわや」と思ったが、一呼吸置いて無事ロックされる。Mission Completed!
いや、良かった、良かった。ホッ。
そのまま通電して寝て、今日は徒然なるままに音質をチェック。まだブレイクイン途上のせいか、一聴してしなやかさが増しているが、迫力はいま一つ。
んで、振動対策を強化したり、同軸に電波吸収テープを巻いたりじたばたして、果報は寝て待てで本当に少し寝る。夜再度聞くと鳴らしている間にどんどん良くなってくる。トゲトゲがあっさりと無くなり、全体にすっきりとして空気感が良く出て、とてもしなやかな音だ。弦の音などとても良いと思う。
東京の友人がリクエストしていた「潤い」についてはまだ足りないと思う。ドライブの電源はまだ付属のスイッチングアダプタのままだし、ドライブ電源や細々としたこれからの工夫でそのへんが良くなるのか、やはりPCM特有の隙間感はずっと残るのか、まだ分からない。あるいは96KHzへのサンプルレート変換ではルビジウム級のクロックが必要なのかも知れないが、それは僕らには無理な事だ。
いずれにせよ、全体としてとてもしなやかに自然になってきたことは嬉しい。
明日は東京から友人が遊びに来るが、なんと自作のDACを持ってきてくれると今日のメール。どうなるやら、とても楽しみなことだ。
('07.6.24)オカンが来ている間に、DACT のフォノイコ基板 CT-100 の移し替えを進めている。
現在はタカチのアルミ・モノコックケースに収容しており、底板以外は全て一体なので強度もかなりあり、アースやシールドも良好だ。
それを同じタカチの少し大型のケースに移し替えるという計画だ。なんでわざわざそんなことをするかというと、現在のモノコックケースはとても良いのだがサイズが限られており、ケースの両端に入力端子と出力端子・電源コネクタを分けなければ行けなかったので、ラック内に収納すればどちらかのケーブルをぐるんと引き回さなければならないからだ。我が家の場合はフォノイコの出力ケーブルがぐるんと宙に浮いた形となりどうにも収まりが悪い。
そこで、全ての端子を後ろ側に出せるサイズのケースに移し替えと相成るわけだが、こんどのはモノコックどころか全てばらせる構造なので、そのまま組み立てたのでは微少電圧を扱うフォノイコとしてはアースなどに不安が残る。そこで黒アルマイトの塗装を一部はがしたり、ビス穴を多数開けて、強度と各部材の導通を強化したり、やたらと手がかかるわけだ。ま、しかしケーブルはストレス無く取り付けられると思うので、長期的には十分メリットはある。
レコード聞くのもなかなか大変だ。
('07.6.20)Mac Book Pro のメモリチップ表面に貼った電波吸収テープは大成功で、よりディテイルが繊細に浮かぶようになってきた。少しシルキーすぎるかなという感じはあるが、これは十分調整できる範囲での音質向上だと思う。千葉の友人が「そりゃーメモリは効きますよね。」と言っていた通りで、彼の薦めで
Cubase ST4 のドングルキーにも対策を講じた。これ自体USBメモリだし、Mac Book Pro ではばりばり磁石のマグセーフ電源のすぐ隣なので、これも効果ありだと思う。
元カウンターポイントのマイケル・エリオットは常に新しいパーツを追求していてとても参考になる。その彼のHPで「お気に入り:Stuff I Like」のページには HiFi Tuning のヒューズが取り上げられている。印象的だったのは「they provide more detail and dimensionality without shifting the tonal balance toward brightness.」という表現。そうかなり多くのオーディファイルは勘違いされているのだが、「高解像度」と「強いブライトな音、特に高域」とは同じではないのだ。
一昨日聞かせていただいたシステムの音も、強調感や歪み感は全くなしにさりげなく、しかしとても強い浸透力のある正確な音だった。僕はこういう音が好きだ。
('07.6.15)ノートPCはブラックボックスで触ることができない、というのは悲しいのでMac Book Pro にいくつか対策をする。メモリのチップ表面に電波吸収テープと絶縁用のテフロンテープ。85Wスイッチングアダプタと電源ケーブルにも電波吸収テープ。
この間のいろんな対策も効果を発揮し始めて、CDの音に随分と広がりが出てきた。DACのD-Clock換装はパーツ待ち。来月の沖縄行きまでにやりたい事があるが、とりあえずアナログがらみを形にしたい。
('07.6.14)PCオーディオに関心を持っておられる方、やってみようかと思っておられる方には、今年ぐらいがある意味では最後のチャンスかも知れない。
何せ世の中はCD専用ドライブを、選び抜いた高速チップの、しかも輻射ノイズを防ぐアルミケースで、というような贅沢、というかマニアックなことは許してくれなくなっている。それでなくても利が薄いので、一体型のドライブを売らざるを得ないし、ユーザーだってHDDの高速化には関心を持ってもCD専用ドライブなどは眼中にない。
そして音と戯れる会でやっているのであまり詳しくはかけないが、電源関係にも時間の問題で入手困難になる機器だってあるだろう。えらく手間はかかったしもうやる気はないけれど、在米会員のお世話でドライブケースの共同購入に踏み切ったのも、入手困難に直面したからだ。
Plextorの光学系ドライブの製品ラインナップがえらく整理されている。僕が使っているPX-760Aも販売完了した。Premium2以外にはDVD-RAMもかかるスーパーマルチドライブとスロットローディングのDVD-R/RWドライブぐらいしかないが、業務筋から伺った話ではどうやら業務用機器を細々とやっていくという事らしい。
DVD-RAMドライブは音が悪いし、もともと内蔵ドライブメーカーだから、5.25インチ外付けケースが払底しつつある今、インターフェースをずっとIDE/ATPIにする必要もなく、HDDと同様より高速な例えばSATAに切り替えてしまうかも知れない。
DVDドライブはこだわらなくても他社製品で行けるだろう。業務用機器という位置づけならPremium2は大丈夫かも知れないが、それにしても不安は残る。
とにかく世間は音質をうたい文句にしてみても、結局はたいして関心がないので、我々マイナーな「聞き専」は今後ますます寂しい思いにとらわれるだろう。アクションは早く起こした方が絶対に良いと思う。
('07.6.13)HTPCで有名な大谷大学・片岡教授のHPを知ったので、ざくっと読んでみて随分と考えさせられた。これは映像志向の話であるが、PCあるいはデジタルについては必須の知識が詰まっている。
まだ全部は読みきれておらず、引用し始めるときりがないので、僕なりにいくつかポイントをまとめるとこうなる。
1.PC(CD/DVDドライブなどの周辺機器も含め)の中は各種ノイズの嵐であり、光学ドライブやCPU、HDDなど大電流を消費するものからの輻射ノイズはおおきく、当然給電ケーブルからの輻射がひどい。ケースを始め各種材質選定や電波吸収材などの活用でまず第一に「ノイズ対策」を講じないと信号のエラー・リトライによる負荷の増大や汚れが発生する。
そしてノイズが連鎖的にエラーを蓄積させ、誤差が累積し、劣化の度合いを大きくしていく、のだそうだ。
2.PCの電源は消費電流の瞬間的変化の大きい部品がぶら下がるので、電流不足が発生したりするとSN比は劣化し、きわめて厳しい条件下で稼働する。しかし、それは電源部だけでなくマザーボードまで含めて対策をしていかなければ、実効が上がらない。またノイズの面からは早くて強力なCPUは問題が多く、低消費電流タイプが好ましい。
3.振動の影響も非常に大きいので、防振・静音対策が不可欠。
4.CD/DVDドライブも、振動、電流消費負荷、輻射ノイズなどの点で問題が大きい。1394の伝送系も問題があるが、環境によっては外付けした方が良いケースもある。
(ただ、エラーなどについてはどうやって検証されたのか、知りたいとは思いますが。)
具体的にはこう対策をまとめておられる。
「基本的な方針は、振動を含めたノイズ対策であることがおわかりいただけたと思います。また、信号系に対策しても、ノイズを取らない限り無意味であることもご理解いただけたと思います。つまり、ノイズに対する耐性を高めるのは誤解で、正解はノイズを出さないことなのです。
ノイズを減少させるには、上記の式より、長い電流経路での電流変動を小さくすることが有効であることがわかります。例えば、HDDやDVDDのヘッドや回転数のサーボ量を減らすことが有効です。電流変動の最大原因であるCPUの負荷を減らすことも有効です。さらに+側と0V側のケーブルを2本束ねてツイスト(ひねる)ペアにすることで打ち消しあうこともわかります。さらに、ケーブルやボードの振動をなくせば、ノイズが減少することもわかります。電気ノイズの発信源である、冷却ファン、HDD、DVDDのモータにノイズ遮断用コンデンサを使えば良いこともわかります。同様に、HDDやDVDDの振動を効果的に押さえれば、全体の振動が減りノイズも減るわけです。何らかの方法で、ドライブやケーブルからの輻射ノイズをマザーボードやドーターボードに伝わらないよう遮蔽することも有効です。勿論、ケースが振動防止にもノイズ遮蔽ににも重要なことがわかります。当然ですが、結果的に、Hi-Fi PCは、静音PCとならざるをえません。」
これは注意が必要で、上記対策(実際はもっとある)の結果としてそうなるという事であって、市販されている「静音PC」が上記対策を全てクリアできている訳ではない事だ。
こうなるとデスクトップPCには固有の問題がある事がよく分かる。同じ電源・ケースを共有する事により、ノイズ・電流変動・振動も共有しかねないし、ドライブを内蔵したからと言って外付けより良いとは言い切れない。
勿論ノートだって狭いケース内に機器がひしめき合っているし、実際に中をあけても何か対策できるほどのスペースさえない事も多いだろう。バッテリーについてもよく分からない。だからノート本体は使い方の工夫以外は、ブラックボックスとして受け入れざるを得ない事も多い。
しかし、一方で、ノートの内蔵光学ドライブを使わず最低限の負荷に抑えるよう設定していけば、そして外付けにした機器の電源を最適化してかつアイソレートしたり対策してやれば、むしろ個々の機器内で問題を押さえ込んで、全体としてのパフォーマンスを向上させる事が可能になるかも知れない。
このHPを読んで僕は引き続きノートでいこうと考えているが、いずれにせよ理想PCなど現状ではあり得ないので、メリット・デメリットだけでなく、個々のリスニング環境をよく考えて選択し「対策」しなければならない事になる。
そして上記の各種対策は措くとして、パフォーマンスについての当面の注目株と希望は大容量フラッシュメモリー搭載のマシンにある。8GBもあればXPはインストールできる。これはデスクトップかB5ノートぐらいしか今のところ見あたらないので、もう少し待たなければならないだろう。
それにしてもデジタル固有のノイズや歪みについてちゃんと正面からユーザーに説明しないのは、この業界の悪いところまる出しだ。「デジタルデータ だから音は変わらない。」という幻想を否定せず、むしろそれに乗っかって商売し、結局は自分で自分の首を締めている。
('07.6.12)高価なD-Clockを1枚ポカミスで破損したようだ。LEDは点灯するが、肝心のクロックが出力されず、DACがロックしない。結局、元のクロックに戻してDAC本体はちゃんと動作している事を確認し、交換用のクロックをもう1枚カナダに注文した。
まあ、改造交換はリスクと隣り合わせだからね。こういう日もあるさ。日々これ修行でありんす、各々方。
('07.6.10)今回のオフ会で分かったのだが、我が家ではキッチンがあったりiMacの仕事机があったりして、音楽を良い状態で聴いてもらうには人数は4人ぐらいが限度だ。音的にカタツムリからも距離をとる必要があるのは言うまでもない。
それに料理や音楽の進行も加えると、やはりこれぐらいがリミットで、音楽中心に行くならば食事も作り置きの効くものとか、さっと手抜きしたいところだ。
とはいえ「朋あり遠方より来る」だからね。(*^_^*)
('07.6.7)D-ClockのCDドライブケースへの導入は大成功だった。このクロックは素晴らしい。CDの音特有のトゲトゲが収まって随分と柔らかくしなやかな音になる。元の三田精機のも決して悪くはないのだが、そして精度表示でいえば同じ1ppmだが、音は全然違う。はじめてRMEにRosendahlのクロックをつないだときのことを思い出した。位相ノイズや電源の安定度が違うのだろう。そう精度だけでは判断できないのだ。
シンバルがシャープでしかも薄い金属板がしなる音が柔らかい。弦のしなやかに鳴ること、クーベリックが振るマーラー「アダージェット」ではほとんど涙が出そうになる。SACDやLPに比べればまだしなやかさは足りないが、これは今後の対策で改善されるだろう。
ここで注意いただきたいのは、このクロックは普通オーディオマニアが思い浮かべる「(マスター?)クロック」とは少し位置づけが違うという事だ。
コンピュータではデータの読み出しや伝送はクロックに合わせて行われるのが当たり前の世界で、CPUの何GHzというのはCPUが読み出しに使うクロックのことだ。つまりあちこちでクロックが使われており、CDドライブケースではFirewireで伝送するためにクロックが使われている。つまりは静的なコンピュータデータの世界。例えれば、運動会の徒競走で自分は何番目にスタートするかは知っている生徒の様なものだ。この段階ではまだ先生のスタート・ピストルは撃たれていない。
一方、CDプレーヤーではトラポの段階で打ち込まれたクロックの上で、いきなりI2S・S/PDIFモードでクロックの上で展開されたPCMデータがDACに向けて送り出される。つまりいきなり「用意!ドン!」とピストルが撃たれて、生徒(データ)は息せき切って走り始める訳だ。ああ、ウオーミングアップは十分なのだろうか?
今後のPCオーディオ対策のロードマップを整理しておこう。
1.DAC(Perpetual P-3A)のクロックをD-Clockに換装
2.CDドライブ、DVDドライブ用電源の製作。その際、クロック電源用に別のレギュレーターから12Vを給電する。
3.DACのアナログ出力用オペアンプをBURR-BROWN 0PA627BPに交換
4.DAC基板をより大きなケースに移して、電源を充実強化する。(ケースの強度は大丈夫かなあ?そこまでするかね?)
そしてCDドライブPremium2自体のクロックを換えたらもっと良くなるのではと夢に見る。読み出し段階のクロック換装は効くと思うなあ。
風が吹き始め、空気が動き始めたと思う。注意深く綿密に構築していけば、PCオーディオとリニアPCMの世界にはまだまだ豊かな可能性があるということが、ようやく実感として体に入ってきた。
('07.6.6)合間を見てCDドライブケースの」クロックをデンマークDEXAのD-Clockに、そこからはずした三田精機のクロックをDVDドライブケースに換装した。ふう。
無事動いてくれてホッとする。スピーカーで聞くのは明日になるが、音は良さそうだしDVDの画はさらに精細感が出てくる。
DACのクロック換装には狭いスペースへの収納にかなり手間がかかるので、来週以降合間を見てやろうと思う。ま、楽しみはとっておいて小出しにする方が良いかも。
('07.6.4)今日から若干省略モードに戻ります。(笑)
というか週末に福島からお客様が見えるので、あまり触らないでおこうかと思っていたのだが、新しく届いたクロックを見るとむずむずして、その辺の悪巧みの計画段階が主な作業。DAC(Perpetual P-3A)には何とかクロックが収納できそうなので、ケースの移し替え作業が無くなるのはありがたい。
一方で、アメリカから届いたCD/DVD/HDDドライブケースをいろいろとチェックする。なぜアメリカかというとOxford911のチップを使ったケースが国内ではほぼ入手不可能になったので、「音と戯れる会」の在米会員の方に無理をお願いして現地購入して送っていただいたという次第。
PlextorのDVDドライブを装着して、一目でわかりやすいDVD-Video、DVD-RW(コピーワンス物CPRM)をかけてみる。オカンがいるのでMacBookProのモニターとヘッドフォンだが、まず画はとても良くなる。コピーワンス物DVD-RWは以前は「こりゃPCでは駄目だ。」と思っていたのがかなりいける状態になる。DVD-VideoはWinはなかなか、Macでは「おー!」という感じの精細感が出てくる。音もよりクリアで音量感が増大している。
まだ電波吸収シート・テープやクロック換装などの対策をする以前でこの状態だから、対策後はさらに良くなるだろう。
これはスクリーンで見るのが楽しみだ。いやー、高速なチップはありがたい。これも「音と戯れる会」のネットワークのおかげだ。
('07.6.2)いろいろあって今日は楽しみにしていたコンサートに結局行けなかった。
守安功・雅子夫妻のアイルランド音楽。アイルランド人よりも沢山アイルランド音楽の楽譜を持ち、一体何曲レパートリーがあるのか、全て暗譜で泉のごとく湧き出てくる驚くべき人達だ。
アイルランドは沖縄の次に僕が思い入れを持っている島々だ。
厳しい気候、貧しい経済、そして近くに強国(イギリス、薩摩・日本=ヤマト)が会ったために続いた長期の搾取、良い蒸留酒が出来てその結果の酒飲みだらけの島、そして唄の島・音楽の島。
アイリッシュ音楽は最初聴くとほとんど同じように聴こえる。これは沖縄の民謡とよく似ている。どちらも独特のモード・スケール(音階)を持ち、ほとんど長調に聴こえる。それは一見明るく聞こえて、だけど聞き終わると切ない何かが残る。
やがて哀しきアイリッシュ。
「ワイルド・ギース」という曲がある。アイリッシュ・ハープだけで奏でられるゆったりとしたシンプルで美しい曲。貧しいがために他国の戦争にかり出される男達を見送る女達の歌だ。自国のためでない戦いに、歯を食いしばって夫や恋人や息子達を送り出さなければならない女達の精一杯の心根が聞こえるようで、聞くたびに僕は涙澎湃として止まることを知らずという状態になってしまう。(本当は今日これを聞きたかった...。)
今回のコンサートはワオン・レコードから2枚のCDを出した記念で、そのうちの1枚の「ターロック・オキャロラン作品全集 第1巻」はもの凄く画期的な出来事なのだが、それは別の機会に譲ろう。
もう1枚の「グリーン・リトル・アイランド」<The Green Little Island>は300年あまりのアイルランドとスコットランドのバロックや伝統音楽、20世紀の音楽だけれど、バロック音楽をもともとやっていてヨーロッパやアジア各地の民族音楽にも関わってきた守安さんならではの生命力に満ちている。もの凄くパワフルでしかも繊細な彼の笛を聞いて欲しい。寄り添う雅子さんはアイリッシュハープとコンサーティーナという小型のバンドネオンの名手だ。紡ぎ出される暖かい音達。
例えば20曲目の「The Twin Towers」はNYの9月11日の犠牲者に捧げるレクイエムで、つづく2曲のダンスチューンを3曲続けて聞いて欲しい。アイリッシュ音楽の多彩さと、どこかか胸を打つ姿勢の正しさと、それでもなお癒しきれない何かを感じ取っていただけると思う。
All is not lost.
普段はいろいろやっていてもあまり書かないのだけれど、「手の技」と書いたので、ここ3日間ほどはやっていたことを詳しいめに書いています。
昨日、今日とチャンデバからパワーアンプへの8本(...)のインタコを改造。これまではAET SCR Line をアンバラで出力し、パワーアンプには岡山AC2さんのブリッジ・アダプターを経由してブリッジ接続のXLR端子に入力していた。
今回はVampireのXLRプラグ(クライオ済み)を使って、この部分を直にケーブルに接続し、チャンデバ側だけでシールドを落とすようにした。接点を減らしたかったのと、コレットチャックとはいえRCAの接点が緩む可能性を減らしたかったためだ。パワーアンプの直前だけに半田付け不良があったりしたらカタツムリを壊しかねないので、慎重にも慎重を期してチェックして仕上げた。
やはり音は変わって、少しだが繊細さが増したかと思う。無事に完了できて良かった。ホッ。
('07.6.1)宅急便が来て受け取ったら、まだまだ先の到着だと思っていたクロック基板が2枚入っていた。安い運賃を指定していたのにセール中なので忙しく、間違えてFedexで送ってきたので早かったというわけだろう。セールのおかげでかなり割引があったのでよしとするか。
一つはCDドライブケースに、もう一つはDAC(Peroetual P-3A)に使う予定だが、日曜から母がお泊まりに来るし、週末には福島から友人達が遊びに来られるので、それが終わってからゆっくりと交換して楽しみながら音を確認しよう。
このクロックはアースループを切るために電源ラインからクロックをアイソレートしていたり、電源にフィルターをしっかり入れていたり、従来品の1/4に消費電流を抑えているなど意欲的なつくりで評判も非常に良い。亡き友人が言っていたように、「クロックは精度だけで音の良し悪しが決まらない。スペック=精度だけで決まれば苦労しないよ。」という事だろう。
福知山の友人からもメールをもらったので、それにも書いたのだけれど、近年DACについては技術的ブレイクスルーが見られていないように思う。アップサンプリング(=Sample
Rate Conversion。デジタルフィルターでのオーバーサンプリングとは違うので念のため。)も実質的に限界があるし、上げすぎてもクロックその他の精度がついてこない。部品選別や実装技術が伴わなければ、ソフト=アルゴリズムもそれだけでは音質改善の決め手にならない。アメリカでノンオーバーサンプリングが流行しているように、傾向は多様化しているのではないかと思う。
そのどさくさに紛れて、僕はP-3Aを当分の間現役ばりばりとして使いたいと思っている。今回はアナログ出力回路のオペアンプも届いたので、こちらの成果も期待できるかな?壊してしまわなければ、の話ですが。(笑)
今日は、チャンデバからパワーアンプへのケーブルの改造にいそしむ。ゆっくりと慎重に。
('07.5.30)昨日の「手の技」の続きではないが、ここのところPCオーディオなどのからみで電源系を触っている。
昨日はRME Fireface400 用電源とクロックの Nanosyncs 用に、プライトロンのアイソレーショントランス100VAを新たに投入した。目的は Nanosyncs の規定電圧が115Vなので、他のデジタル系と分けて100V→115Vに昇圧するため。Fireface400
用電源にもプライトロンの電源トランスを使っており、115Vだとちょうど良いという事もあった。我が家では既に10台のアイソレーショントランスを使っているので、これで11台目と相成る次第。(笑)
ところが結果は何と無負荷で126V、両機器をつないでも消費電流が少ないので124Vということになった。いくら何でもこれは高すぎるので、120V→115Vの接続にして無負荷で103Vとなった。では音は変わらないかというと、これがまた変わるのですね。
低域の曖昧さが少し減って、モニター的な少し直截な音になる。CDの録音の善し悪しがさらに分かるようになってしまう。
ふむ、これまでDACやSACDプレーヤーと同じトランスから給電していたのを別トランス分けるだけで、音も違ってくるんだ。デジタルは、もといデジタルもどこをさわっても音が変わる。
そこで、いままで気になっていたことを実行に移した。これまでDACとSACDプレーヤーには、別の100VAのトランスの2次巻き線をパラにして一つのコンセントに接続し、そこから100Wで給電していたのを、巻き線を分けて、つまり50Wずつに分けてそれぞれに給電してみた。
勿論、2次を分けただけなのでトランスそのものを分けたほどの違いは出ないと思うが、お互いの干渉を少しでも軽減できたら、という目論見だ。今日は時間がなかったので明日音を確認するが、果たしてどれほどの変化があるか。
あ、それとSOTAのアナログプレーヤーのモーター駆動回路に給電するための外付け自作電源のレギュレーター周りを改良したので、アナログの音もバシッと決まるようになってきた。このあたりももう少し見極めたい。
日々これ精進。
('07.5.29)StudioK'sでヤマモッさんがFireface400用の電源を製作している。そう、オーディオはやはり「手の技」なのだと思う。そして音を聞き、その結果を心の引き出しに入れておく。もちろん自分の立ち位置をシフトしながら。そういう地道な努力の積み重ねが、いろいろな状況に対応していく力になる。
手を動かし、音を聞き、考え、そして静かに語る(understate)。
そういうのが僕の好きなスタイルだ。
('07.5.27)昨日は宮崎、東京から3人の友人が遊びに来られた。5月初めに福島・東京合同で遊びに来られる件の日程がまとまらず、宮崎の方が大阪に来られる日程に合わせて東京からお越しいただく事になった、お一人は日帰りで慌ただしい日程だったが、楽しんでもらえたら嬉しい。
CDドライブの電源はやはりかなりの効果があり、映像でもかなりの変化がある。これから磨き込んで行かれることになるのだろう。昨日はトランスやパーツが相次いで届いたので、我が家バージョンのドライブ電源製作も急ぐ事にしよう。やはり読み取りの元の部分に近い方がより効果は大きいようだ。
それにしても我が家はトータルとしてはそれなりに広いものの、キッチンのスペースが邪魔をするので、音楽を聴いていただくには今回のように3人くらい、多くてもmax4人くらいが適切な人数だと思う。
宮崎の方はSACDマルチにいたく関心を持たれたが、SACDとりわけマルチについてはソフト&ハードともに厳しい状況であることはご認識いただいていると思う。頑張られるとしても、そちら優先でメインの2chの音が損なわれては元も子もないし。アナログを始めるよりむしろ厳しいかも知れない。
それにしてもビョークの新アルバムは高音質マルチになりそーにない。こうなったらLPを買ってしまおう。
('07.5.25)いやあ、驚いた、Mapleshade Record のカタログにはいろいろ Tips がコラム的に載っていて、そのなかで「全てのターンテーブルは、壁から直接給電するにせよ電源機器を使うにせよ、ACケーブルの質に驚くほど敏感である。」なんて書いてあったので、まえから機会があればやってみようと思っていた。
SOTAのモーターへの給電はオリジナルのトランスだけを使ってもう1段レギュレーターを噛ませた電源を製作して使っている。ACケーブルはオルトフォンの7Nだったが、これを AETの SCR AC に換えた。ターンテーブルの起動時の勢いが良くなり、随分としっかりした腰の据わった音になる。アナログにもぼちぼち気合いを入れなきゃ、と思っていたら、しっかり気合いが入ってしまったわけだ。
ACケーブルの変更が可能な方は、手持ちのケーブルや友人に借りたりして試されることをお薦めしたい。
友人製作のCDドライブ用電源も通電が効いたのかとても美しい音を奏でている。明日は宮崎と東京から友人が3人遊びに来る。そのまえに音の良くなる結果が出て嬉しい。
('07.5.23)MacのDVDプレーヤーからアナログ音声を5.1で出してRMEで聞けない、というのはAppleの要領の良さとあざとさも見えて結構堪えたが、めげてばかりもいられない。
今日米アコースティックサウンズから届いたSACDとDVDオーディオ(全てマルチ)とLP。
ビートルズ「LOVE」は2枚組で1枚はDVDオーディオなので、これはWinのPowerDVDで鳴らす事になる。ただRMEからの出力ケーブルが揃っていない、というかMacの件でプラグ交換をやる気が失せたので少し先になると思う。大体イエロー・サブマリン・サウンドトラックの黄色いピクチャーレコードの音の良さを聞いて以来、AppleだとかParlofonだとかは僕にはどうでも良くなった。もう音楽は体の中に入っているので、ちゃんとした音で聞けないのなら、あまり聞こうとは思わない。さてこのディスクはどう感じさせてくれるだろう。
SACDはアルヴォ・ペールト「ダ・パーチェム」(第49回グラミー賞。ふーん)、P.ウイスペルウェイ&ダヤン・ラツイック「チェロ・ソナタ~ショスタコ、プロコ、ブリテン」、タリス・スコラーズ「4声のミサ他~バード」。
タリス・スコラーズはLPでは少しきつめの音だったが、この新録音はSACDでどうなるだろう?アカペラものがすこしずつマルチで出てくるようになって嬉しい。できるだけ集めようと思う。
エルガーのチェロ協奏曲は一度デュ・プレでじっくり聞いてみたかった。これは英TESTAMENT復刻盤。クーベリックのマラ5は横浜で聞かせてもらってからCDを入手したが、CDにしてはとても柔らかな弦の感触で良いもののいまひとつ盛り上がりに欠けたので本家のLPを入手してみた次第。
はてもさてもやはりオーディオと音楽は楽しい。
('07.5.22)ここ何日か友人達から、最新のMac(Intel)でオーディオ環境を構築しつつあるけれど、音が途切れたりおかしくなったり上手くいかないと言う情報が来ている。OSはWinであったりMacであったり環境は違うのだが、何かあるんだろうか?上手くいくことを祈ります。
そうか、MacのDVDプレーヤーってそれ自体の音声出力はステレオだけで、AC3フォーマットで出力する事によりサラウンドも再生可能、という事だったのか。ちょうどマルチはiLinkでの出力しかないSACDマルチプレーヤーみたいなものだ。そしてMac内でのサラウンド再生はQuickTimePlayerが担当している。しかし、その操作画面を見ただけで、これで再生するほど忍耐強くないと早々にあきらめてしまうシンプルさ。淋しい。
('07.5.20)RMEのFireface400などの音質評価をする場合に念頭に置いておかなければならないのは、それがホームユースのオーディオ機器ではなく「業務用機器」だという事だ。ホームユースの機器は、エンドユーザーがパッケージメディアを「再生」する最終段階でのラインにはいるので、単体「コンポーネント」として音質が評価される。しかし業務用機器は良い音を録音し、その音質をいかに保ちながら、より良いパッケージメディアにまとめていくか、そのための「道具」(gear)の一つなので自ずと性格が異なってくる。
例えば出張録音なら、最小限の機器構成で最大の効果を上げなければならない。その「ハコ」の電源の質がどうかによっても左右されるし、その場合はレギュレーター電源がいるかも知れない。スタジオ環境を丸ごと持って行くことは出来ないので、「在りもの」で勝負しなければ行けないわけだ。それを持って帰ってスタジオで「仕上げる」。
1.一番重要なのは音の「鮮度」。つまりホームユースと違ってそこで音決めしなくても、音作りはこの機器の後のステップ(マスタリングなど)でいつでも出来るので、まずは蛇口全開の音を大切にしている。基本は録音時にベストを尽くし、最後に手を加えることだ。
2.他の機器を含めたトータルでの音作りを前提とした広い拡張性を備えていること。FF400もクロックは内蔵しているが、他機器との同期も含めクロックに何を使うか?ケーブルは?電源は?電源電圧は?マイクは?PCとそのソフト(DAW)は?
3.スタジオでは腕に覚えのあるエンジニアは当然メンテを考えながら手を加えたり、スペシャル仕様を特注する。要は必要に合わせて手を加えて音作りをしていく。
つまり、単体でパッと聞いて「これがRMEの音か。」と分かったつもりになったら、その一部しか聞いていない事になり、結局損をする。大事なのは機器の特性を理解した上での使いこなしであり、それを可能にするのは辛抱強い勉強だ。
('07.5.19)若き友がCDドライブケース用の電源(12V、5V)を試作して送ってくれた。いやあ、格好いい、美しい!
見事なインスタレーションとワイヤリング、これはやはり技術屋さんのプロの技だと感じ入った。どんな音がするのだろうか、いや楽しみだ。感謝。
間の悪い事に今日からWindows環境の構築に取りかかるし、オカンもお泊まりに来るので、実際に音だしできるのは少し先だが、付属のスイッチングレギュレーターとこういうもののグレードの差は、まず間違いなくヘッドフォンで聴いても分かるくらいの違いがあるだろう。
超高周波アナログ回路であるデジタルも当然に電源対策が必須だ。
「Mastering Audio」が届いたので、夜とりあえず序文だけでも読んでみる。
「マスタリングスタジオは音楽芸術における経験とオーディオの科学とを統合する場です。しかしアートと科学を区分する境界線は曖昧なものなのです。」
そう、アートというのは結局主観の世界なので、客観性を旨とする技術・科学だけでは割り切れない。
そして、自分の機器類についての評価をよくエンジニアから求められるけれども、彼は丁寧にこう返事するのだそうだ。
「あなたの機器リストはいささか広汎にわたるものですが、もっと重要なのはあなたがそれをどう使うかということです。」
まだちゃんと読めていないけれど、「うむ、うむ」じゃないですか。
なんでマスタリングという録音の世界のことを読もうと思ったかって?
そりゃPCオーディオをやっていれば、デジタル時代の録音現場のことを知りたくなってくるし、「Wordlength and Dither(ビット数とディザ)」なんて章立てを見ただけでもデジタルオーディオの全体像を学べると思ったからです。果たしてどうなるでしょうか。
('07.5.15)アイルランド音楽の新譜を2枚続けて出されるワオン・レコードの小伏さんから、HDDに外録してきたデータをデスクトップのHDDに移し替えたりすると音が変わってしまい、結局Firewire400のポートが原因でカードを差し替えたら良くなったとのメールをいただいた。
このところFirewireについてはいろいろ経験しているので、実感を持って想像できる。そういう意味では1394チップを自社内製しているRMEなんかは頑張っているのだと思う。
PCオーディオが何で音が良いのか、定説は定まらないが、1394などは伝送段階の話でここでも実はデータ変換が行われる。PC内の再生ソフトもデータ変換だ。ここではスピードと精度、そしてローノイズであることが必須らしく、このあたりに何か鍵があるような気がするが、僕の知識ではとてもとても及ばない。
ただCDプレーヤーでは読み取り&データ変換をトラポ(ドライブ+LSI+ファームウエア)でやるわけで、しかもかなり早い段階でクロックを打ち込んで走らせる事になる。この辺の違いも大きいと思うが、これも想像に過ぎない。
ただ録音製作の現場ではもういろんな経験値やノウハウが蓄積されているので、雑誌の立ち読みなどからでも良いから情報収集をして行かなきゃ、と思う今日この頃でありました。
('07.5.14)11日に書いたパーペ君のクロックには、デンマークDEXAのD-Clockなど使ったらとても良いかも。うずうず。
閑話休題。先日書いたプリアンプへの仕込みとは、真空管のこと。ラインアンプの6922(1本)。こに英パール社の Cryio Valve の中から90年代ロシアで軍用に製造された6H23P-EB(ゴールドグレード・プラス)を投入した。 Reflektor 扱い。6H23というのは6922のもともとのナンバーで、ゴールドグレードという最高級選別品のさらに上のグレード。
実はクライオした真空管を売っているところは他にもいっぱいあって、詳しく見てみると超低温処理する時間が違ったり、「Matched Pair」という表示だけで選別スペックがはっきりしなかったりするものも多い。実際にあるところから買ってみたが、クオリティはいまいちだった。僕が知っている範囲ではパール社のものが一番詳しくスペックも記載されていて、質も高い。
音はこれまでの Sovtek 6922 (ゴールドグレード)に較べて、格段に空間的な情報量やフォルテで音が「来る」感じがぐんと増した。ノイズや左右バランスも申し分ない。Sovtekは良い意味でおおらかな感じだが、6H23P-EBを聞いてしまうと戻れない。ひょっとしてもっと良いのも出てくるかも、とスペアは1本だけオーダーした。1万円あまりでこれだけ楽しめたら安いモノだと思う。
('07.5.11)今のうちに方針だけきめておこうとDAC、つまりPerpetual Technologies の P-3Aの中を久しぶりにのぞいた。改めてよくここまで自分で改造したものだとしみじみ思う。そしてその割には良く動いていると感心する。いろいろ検索した結果、BurBrownのオペアンプOP627は確かに評価が高いが、一方でOP134を推す声もあるようなので、リスクを冒さずアナログ出力はOP134で行くことにした。
ところがよく見るとそこそこ立派なキャンタイプの24.576MHzのクロックがある。CS8420の近くだし、これは恐らくアップサンプリングに使うのではないか?最近クロックのDIY交換に目覚めたので、むらむらとしてくる。これを高精度なクロックに換装したらかなり音が変わるのでは?Perpetualの専用電源p3の12V出力も空いている事だし、これをクロック用の電源に使えるし。
まてまて、CD用ドライブケースが来週にはアメリカを出るだろうから、そのあたりを待って決める事にしよう。
('07.5.10)左側の天井に這わせる布を探したがイメージにあった透明感のある布は見あたらない。
昔見たイカットの布は、それは軽くて薄くて、広くて風のはいる部屋に住めたら天井から垂らせて遊びたいなあ、と思ったくらいだ。何重もの布が風にそよいで、しかし光は存分に入り、透明な午後の迷宮という感じは悪くないと思う。
しかし無いものは仕方ないし、探し続けるだけで音楽が楽しく聴けないのも辛い。で、カーペットを買う事にした。デザイナーが描いてチベットで織ったウールの、ランナーという細長いタイプ。結構高価だけれど、気に入った柄に次ぎに巡り会うのはいつのことか分からない。よほどのモノでなければ、出合ったときに買っておくのが、これまでの経験では後悔が少ない。
と自分を正当化する。人間は自己を正当化する存在である。(笑)そんなことは皆知っている。でも何も変わらないのは、楽な方へ流れるのはどうしようもないからだ。
左右の微妙な差について、いままであまり気づかなかったのは、左の書棚・レコード棚のまえにいろんなものが沢山置いてあったからだろう。片付けると音が変わる。きりがないが、まあ致し方ない。
('07.5.7)昨日気がついたのだが、手を叩くとフラッターエコーらしきビーンという響きが少しだが左側にあるようだ。ヴォーカルがわずかに左に寄りやすいのも、これが原因ではないかと思う。最初は、照明器具の共振かと思い、ガムテープを貼ったりしてそれなりに減ったものの、やはり響きは残っている。床に布を置いたりすると消えるので、天井に何か布をはわせれば解決すると思う。(QRDのスカイラインのような不細工なモノは絶対に貼りたくない。)
イメージとしては紗のような薄い布、できれば昔フェリシモで扱っていたインドあたりの透明感のあるイカットクロスあたりがインテリア的にも良いと思うのだけれど、手にはいるかどうか。あるいは生成の薄いコットン。まー、何か探してみよ。
('07.5.6)「オリジナル盤はあくまで基本の音です
その音質が良い悪いの判断はあなたの持っている感性で
僕らが口の出すことでは無いと思います 」(モアさんの掲示板から)
好きだなあ、こういう柔軟な感性。この世界には決めつける人達が、それも言葉で決めつけようとする人達が多いので、余計にその値打ちが光る。
連休も終わり。だからというわけではないが、今日はひとつプリアンプに仕込みをした。まだブレイクインが必要だが、とても良さげで多分これに決まりだと思う。
('07.5.5)レギュレーターICを変更したRME用電源はとても良くて、全体に少し細身になって音量が減るが空気感が良く出る。リッキー・リー「It's like
this」1曲目のトライアングルの芸の細かさ。ノイズの減少が効いているのだろうか?リッキー・リーのCDの2曲目を聞いていてわずかに左右のバランスが違うので、はじめてアコースティック対策を本格的にやらねばならないかも、と思ったくらいだ。
カタツムリの左右の壁は一方が窓+カーテン、一方がレコード&書棚(ヘルムホルツ共鳴箱で音が溜まりやすい)とその性質が違っていて、後ろの壁も窓+カーテンが片側だけある。これが影響しているのでは?という訳だ。結局、いろいろやってみて、センターに置いているQRDのディフューザーが少し左側にずれているのが主因と分かって、カーテンを全て開けてレースだけにして右の反射性を強めて、そこでほぼ解決した。勿論、厳密には違いはあるが、これはこだわっていたらきりがないし、吸音して調整しようとすると結局響きが削がれていって面白味が減るだけのことが多い。リスニングポイントや音量である程度補正できるので、当分はこれで行けると思う。
それにしても細かいところまでこだわり描いてみせるカタツムリたちだ。
この文章には考えさせられた。Y氏の文章だろうか。技術的問題意識が横溢して、とても示唆に富んでいる。今、アメリカなどではやりのノンオーバーサンプリングの対極として、2048倍オーバーサンプリングで「出力を連続した駆動力で埋め尽く」そうとし、電源もそのためにスイッチングさせる強いイメージ。面白い、聞いてみたくなった。
こういうデジタル・オーディオについてまとまった勉強をしたいと思っていたこともあり、在米の友人からお薦めがあった本「Mastering Audio/Bob Katz」をアマゾンに注文しようと思う。”jitter, dither and wordlengths, high sample rates, distortion,
headroom, monitor calibration, metering, depth perception, compression
and expansion, equipment interconnection and much more. ”などについて一般向けに現役の錚錚たる録音エンジニアがわかりやすく書いた本らしいので、ウェブからダウンロードした文章よりは読みやすいと思うけれども、果たしてどうなりますやら。ま、何とかの手習いでやってみませう。
('07.5.4)昨日の夜オカンが寝入ってから、RME用の12Vアナログ電源を変更した。雑音抑圧比を約20dBアップさせるのと、5Aに電流容量アップするのが目的で、レギュレーターICを換装したが、このICは電圧可変型なのでこの機会にと精密級2Wのポテンショメーターで調整する可変型に変更した。
今後別の用途にも使えるという事もあるが、電圧を変えてみてRMEの音がどれだけ変わるかを確認したかったわけだ。オカンがいるのでヘッドフォンだけの試聴だが、それでも以前よりは緻密に締まってきて、なおかつ電圧で確かに音が変化する。
こういう電圧可変型のアナログ電源を一つ持っているといろいろ遊べるし、今なら測定器用などの高精度な電源が中古で安く手に入るので、探す値打ちはあると思う。ただこれらの市販電源は今回製作した物のようなオーディオ用ではないので、音質のためにはコンデンサの付加、線材の交換、ヒューズの交換など必要に応じいろいろと手を加えてやらなければならないだろう。
('07.5.3)オカンが来ていてばたばた気味だが、オーディオの悪巧みは水面下で進行中。(でもなきゃやってられんが。)その結果、今日は荷物が沢山届く。
アメリカの友人に送るPlextorのCD/CD-RWドライブ。
HDMIの切替機(結構大きいのでびっくり!)は、分岐用の1mケーブル2本が連休明けにしか来ないのでまだ使えない。
3種類届いたタカチのケース(シャーシ)のうち、一つはCDドライブケースの電源に使うつもりだ。手元に溜まったトランスやコンデンサなどの在庫一掃で作るが、良質なパーツ群のアナログ電源なのでクオリティは当然上がるはずだ。DVDドライブにも使えるよう切り替え式にしようと思っている。はて、いつできあがるか?
先日届いた真空管など試したい物はたくさんあるが、変化を確認しながらひとつずつ順番に。
('07.5.2)PCオーディオ、つまり「聞き専」はPC機器の世界でも肩身が狭く、今となっては手に入りにくい機器がある。音と戯れる会には多士済々いろんな会員がいて米国在住の方もいるので、国際的な調達の話も進んでいて、この辺がこの会の面白いところだと思う。
閑話休題。やはり世の中には凄い人達がおられる。shuksさんの日記帳を拝見すると、YGアコースティクス Anat Reference Professionalをお使いの方が紹介されていて、この方のブログを読むと電源の話だけでも、いや凄い情熱とパワー。それで普通のサラリーマンですからと言われているそうで、いやはや恐れ入る。一度おたずねしてみたいものだ。
世界は深い。
('07.5.1)Oxford922の呪いは何とか解いた。
オカンが来ていてあまりいろいろ出来ないので、一昨日アメリカから届いたLPの写真など。初期盤だがコンディションは良さそうだ。オカンが帰ってからゆっくり聞こうか。
今時無理はないが、それにしても国内盤と外盤の違いを知らないなど、アナログを巡るまっとうかつ日常的な情報量の激減は恐ろしいくらいだ。ある青年がマイルスの国内盤の初期盤とバカ高いオリジナル盤のどれにするか考えて、お金もない事だからと国内盤を買って帰って結局は後悔したそうだ。もちろん国内盤だっていいのはある。でも外盤のそこそこ安い復刻版も一杯出ているではないか。その新品だって店やサイトから買える。
致し方ないけれど、どうも危なっかしい。
('07.4.30)今このHPを書いているiMacは「Oxford922の呪い」に取り憑かれている.....。
オリオスペックのRAIDONドライブケースでOxford922(1394b+USB2.0)を使ったのを良き青年の取り計らいで入手できたのは良いが、PlextorのDVDドライブ
PX-760A をセットして9ピン-6ピン変換アダプタで Mac Book pro に接続すると、Win/Macともに見事なくらい全く認識しない。USBはOKだが、MacでDVDを再生すると画も音も薄っぺらくて全然面白くない。
で、念のためiMacのFirewire800ポートに接続してみたらWin/Macともばっちりだったのは良いが、外すといつものLogitecのDVD-RAMは認識せず、800ポートを毎回ローカルドライブの赤?マーク付きで認識してしまう。だから、デバイスマネージャーでLogitecのDVD-RAM(SPB2準拠デバイス)を削除して、それから再起動しなければLogitecのDVD-RAMはつながらなくなってしまった。毎回毎回たまらんが致し方ない。
さすがにMac OS X 10.3 でトラブっただけのことはあると言うべきか。ホールデン・コールフィールドじゃないが It kills me.
参っちゃうよ、もう。
セールのメールが来て以来、このDACに惹かれている。ウルトラクロック回路を内蔵し、192/24というBenchmark DAC1のパーツ・コネクション改造版。今使っているパーペ君(Perpetual P-3A)は以前大改造したのだが、出力のオペアンプは度胸が無くて、というか定数が確認できなくて交換しなかった。そのときのトラウマがうずく、というか、気になる。
でも今は、「DAC以前の、それも読み取りに近い方が大事なのではないか?」という思いが強くて、ドライブやパソコンの方にもっと対策を講ずべきではないかと気が強くしている。
また、アメリカではノンオーバーサンプリングのDACが結構ブームのようで、日本でも自作派の人達を中心に根強いファンがいる。もちろんデジタルフィルターが使えないから、サンプリング時のデジタルノイズをメーカー基準値まで取り除くのが大変で、これまた工夫が必要になる事にはかわりはない。
クロックの専門家の亡き友人に、Stanfordの水晶で最高の44.1のクロックを使って、昔のTEACの安いCDプレーヤーで同軸デジタル出力した音を我が家で聞かせてもらった事があるが、ハイサンプリングのDACとは違う図太く力感に満ちた立派な音であったことを思い出す。どちらかと言えばハイサンプリングの精細な音の方が好みではあるが、あの音も強く印象に残っているのは事実だ。
今は、入力段階に注力しようと自分に言い聞かせている毎日ですが。(笑)
('07.4.29)DVDドライブケースの中の線をねじり、電波吸収テープ・シートを巻いたり貼り付けたりして、ドライブの電源12Vと5Vのコネクタの所にOSコンを半田付けする。
もちろんそれなりの時間はかかるが、これだけで画も音も良くなっているのがわかる。ビョークのケンブリッジでのライブ(「ヴォリューメン2」収録)など素晴らしい。
デジタルは、いやデジタルもどこをいじっても音が変わる。
でもアナログはやはり素晴らしいのだなあ。昨日アメリカから届いたオリジナル盤or初期盤はマイルスが3枚、コルトレーンとビル・エヴァンスが各1枚。心を込めてクリーニングして、体調を整えて比較しながら丁寧に聞こうと思う。
('07.4.28)スピーカーからの音場をより広げたかったのと、気分転換を兼ねてパソコン(iMac)の位置をより窓側に移動した。イメージとしてはお茶の水でヤマモッさんが座っている位置に近いかな。HDMIの切替機なども注文したりもした。
思い立って、東芝RD-Z1にHDMI直付けでハイビジョン録画しておいた「薔薇の名前」を見た。14世紀のイタリアの修道院で起こる宗教的禁書をめぐる連続殺人事件を修道士バスカヴィルのウイリアムが解決する、と言うのが超あらすじだが、ウイリアムのひねりの効いた台詞が楽しい。原作に比べると当然コンパクトなのは仕方ないなーという感じだが、フランチェスカンとベネディクト派の微妙な違いや、清貧を巡る議論など中世ならではのシーンもちゃんと入っている。記号論理学者であり博覧強記のウンベルト・エーコの原作は、実は宗教的哲学的話題満載で、この方面に関心のある者には堪えられないくらい面白い。概念実在論と唯名論の対決のところなどワクワクしながら読んだものだ。「ダヴィンチ・コード」など比べものにもならないこの大作が、よく世界的なベストセラーになったもんだと思う。
で、AACの音声をS/PDIF同軸で直接DAC(Perpetual P-3A)に入力したのだが、少し経ってからロックしたら線は細めだがなかなかリアルな音で、やはり音が良くなければ映画としては見応えがぐっと減るのがよく分かった。
先日Sofmapのクリエーターズランドで「Mac用のブルーレイディスクドライブを見たいんだけど、どこに置いてあるの?」って聞いたら、「見たこと無いけど、そんなのあるんですか?」と聞かれたくらいなので、Macでハイビジョンを見る事が出来るのは、かなり先の話だろうという事がよく分かった。当分はこのパターンだなー。でも安いからDVDも買っておこう。
('07.4.27)RMEのFireface400は付属のアダプタから電源を換えると音が変わる。ただ、音が変わる要素は他にいくらでもある。アダプタのままだって、メガネ端子とIECの変換アダプタを介して良質なACケーブルに換えればかなり良くなるし、アイソレーショントランスをかましてやればこれまた良くなる。電源ひとつをとってみてもいろいろなやり方がある。
Fireface400はそのように拡張性の高い機種なのだが、このデジタルインターフェースについて、これまでで音質の向上が著しかった変更をランキングすれば、
1.外部クロックの導入(我が家の場合 Rosendahl の Nanosyncs )
2.ソフトのアップグレード( Cubase Studio4 )
3.RME用外部電源
4.CDドライブケース内のクロック交換
このうちの3と4は甲乙付けがたいくらいだ。
なんと言っても良質なクロックをつないだときの音質の変化には驚くし、クロックケーブルも含めてここで音質をさらにアップする工夫が可能だ。ソフトについても同様で、PCMデジタルの心臓部とも言うべき領域なのだから、当たり前と言えば当たり前なのだけれど。
だから予算やスキルなどの制約の中で、いろいろなところに幅広く目を向けて、一つ事だけに とらわれずに工夫していく事が大事なのだと思う。
('07.4.26)千葉県のPCオーディオ戦友友から強くお薦めのあったソフト Cubase Studio4 を導入した。ASIO規格を作ったスタインバーグの今、最も新しい音楽製作ソフト Cubase4 のホーム・スタジオ版で、付属機能が簡略化されている他は同じ物らしい。つまり最新の録音再生エンジン。
ややこしくなってはいけないので、Windows、Macともに関係ファイルを含めて Cubase LE を削除してからインストールした。
ニュアンスが溢れる素晴らしい音。PCM の隙間感を埋め尽くすには及ばないが、空気感も細かい表情も良く出る。値段が違うので致し方ないが、これに比べれば
LE はフォーカスが甘く、精細感を欠く。勿論、WinについてはRAMDisk上にインストールした場合なので、お忘れなきよう。
面白いことにWin 、Mac ともに音量調節のスライダーでかなり音質が変化する。Winでは上げすぎると迫力はあるが少しとげとげしてきて、結局デフォルトあたりに落ち着く。マウスベースだがWinは矢印キーも使えてより使いやすくなった。
ただ、Mac版の方はLEと同じく、CDの読み込みで各曲を連続して演奏できない。ヤマハに問い合わせたのだが、これはリッピングでの仕様なので上級のNuendoもあわせていかんともしがたいらしい。
('07.4.25)例会とかオフ会に行ったときに「こういうことを聞かれたり、話しかけられたら答えにくいなあ。」と思うのは、「ノーチラスはどうですか?」とか「どんな鳴り方ですか?」という類のことだ。聞いた人は要するにどんな音がするか知りたいのだろうけれども、一体、その人がまだ聞いていもしないスピーカーについて言葉でどれだけのことを伝えられるのだろう?
そういうときは単に「良いですよ、とても。」とだけ答え、それ以上は話さないようにしようと決めていたが、さすがに音と戯れる会では分かっている人が多いせいか、このHPを良く読んでくださっているせいか、この台詞を使う機会はなかった。
どうもオーディオを言葉によって「表現」し、その「評論」を文学のようにしたいと思っておられる人もおられるようだが、それに何の意味があるのだろう。「真の評論とは、過去を知り未来を測りうる人格をもって発信するものだ。」という文章にあるところで出合ったときには面食らった。オーディオとは「音楽」を聞くための物であり作業であり、経験するものであって、まずは「論じる」ものでは無かろうに。
言葉は言葉に過ぎない。我々はバベルの中にいて、とっかかりとして頼りない近似値を交換しているのであり、「聞く」という共通の経験を経て意見交換して初めてお互いの辞書を作る事が出来るわけだ。
だから既に物故してその人が出す音を聞くことが出来ない評論家の書いた文章などは、読みはしても書いてあることがどんなに好きであっても、それはそれとして心の引き出しにしまっておこう。勿論、その引き出しに納められたものは豊かな滋養の一部になってくれるだろうが、それは経験値としてではなく「イメージ」として「言葉の上での可能性」としてなのだ。
聞きもしない音について言葉数多く語る人に僕は信を置くことは出来ない。知らないもの、分からない事について、率直にそう語れる人と僕は語りたい。
世界はまだささやかな驚きに満ちているのだと、柔らかな心で感じたい。さらさらの砂を掬ってはこぼして、その形や色の変化に魅せられている幼いこどものように。
('07.4.20)オリオスペックから買った5インチドライブケース RAIDON U7-1WA の改造について
PCオーディオについては、いつも千葉県のPCオーディオ戦友(彼のブログはこちら)から教えていただいて大変に助かっています。ここに改めてお礼を申し上げたいと思います。
1.光学ドライブはもともとIDE(ATAPI)データで情報をやりとりするので、外付けにしてFirewireやUSBでパソコンに伝送するにはデータ形式を変換しなければならない。ドライブケースについている回路基板はそれを担っているわけだが、その変換・伝送作業はクロックに乗っかって行う必要がある。当然自己責任で、このクロックを高精度な物に換装することにより、大きな音質の改善が出来る教えてもらっていたので、ここの1ppmクロックと強化電源を共に入手して換装した。
2.もともとドライブ内は高周波が飛び交っており、磁性体の鉄ではなくアルミでシールドしたりするのが良い、などと言われている。DCつまり直流の電源ラインもノイズ源となるし、要はノイズの密集地帯な訳だ。
そこで、電波吸収テープ・シートや絶縁用のテフロンテープを、ケーブルや基板に貼り付けた。実はこれだけでもスッキリとしてSNが良くなる効果はある。
3.ドライブ本体に12Vと5Vを給電するケーブルのコネクタに特性が優れたOSコンを半田付けして取り付けた。これにより電源のインピーダンスを改善する。
4.各種電源ケーブルを軽く捩った。これに電波吸収テープを巻いていくわけだが、同時にモンスターの1394ケーブルにも電波吸収テープを巻き付けた。1394ケーブルもUSBケーブルも中身はツイストペアでありシールドというものは一切無いので、シールド代わりというわけだ。
これらの改造により、音はどう変わったか?
まずなんと言っても腰の据わった実在感というか、彫りの深さが違う。一言でいうとSACD的な音の出方が加わってくるという感じです。
例えば五嶋みどりのエルガー/ヴァイオリンソナタでの弦の擦れ感と渋さ、弱音部でのニュアンス(アーティストは凄く工夫していろいろやっているのに、弱音だと急に引っ込んでしまいがちになる。)などの出方が、随分と良くなる。コンデンサなどの関係で、まだ少しブレイクインに時間がかかるかも知れないが、CDの音は一皮むけたと思う。
後は再生ソフトのアップグレードと電源関係だ。
('07.4.17)今日はHDMI認証エラーの件で、東芝のサービスの方にきていただいた。なにせ東芝のプロジェクターは販売台数が少ないので、あまり詳しい人もいないし事例も少ないらしいが、同社の機器同志では初めての事例らしい。
結局、HDMI機器は相互に信号を出し合うので、そのタイミングでノイズが入ったりすると認証エラーが出るし、機器の立ち上げの順序でプロジェクターを先に、次にDVDレコーダーを立ち上げるのが無難だし、エラーが出たら再起動(電源プラグを抜く)などやってみていろいろトライするしかないらしい。他にもスケール切替時に気になる症状があったが、結論としては修理するほどではない、と言う事になった。
仮に修理するとしても、コントロール基板を交換するぐらいしか方策がなく、それも手持ちを使うので新品とは限らないらしい。だったら工夫しながら使う方がマシだ。
それとHDMI端子は基板直付けなので、ケーブルを抜き差しばかりしていると基板に影響が出る可能性もあるらしい。第一小さな端子なので、一つでも接点が浮いたらアウトだそうで、基板交換らしい。それならやはり切替機を使うのが賢そうだ。
HD DVD のコンピュータドライブは何故あんなに中途半端に急がなければならないのかよく分からないと、彼は正直に言っていた。ま、世間は全然動いてないし。
夜、CDドライブ・ケースの改造を完了する。ノイズフロアーが下がってさらに良くなる。あとは週末ぐらいまで慣らし運転。よってまたまた詳細後報。
('07.4.16)昨日、SA12S1のヒューズを入れ替えた。
全部で5本あって、うち3本をクライオヒューズにしていたところ、1本のみスーパークライオ、あとの4本はシルバーヒューズにした。
驚いたことに、動作が少し速くなり安定してきた。制御回路にもつながっているためだろうか?音はソリッドな実在感が加わって、ともすれば綺麗だがエネルギー感に欠けると言われるSACDの弱点を吹き飛ばすような感じがある。ブレイクインに時間がかかるのは承知なので、じっくりと鳴らしながら熟成を待とう。
シベリウスの2番(C.デイヴィス/LSO)をマルチで聞いたがなかなか良い感じだった。
そして今夜作業をして、CDドライブのケース内の1394(Firewire)変換回路のクロックを強化電源付きの高精度な物に換装した。詳細は追って。
これが上手くいったので、スペアにとって置いた高速なOxford922チップを使ったドライブケースに、映像用のドライブPlextor PX-760を載せ替えようと思う。画と音はどう変わるだろうか、楽しみだ。
('07.4.15)PCオーディオの年越しした悪巧みをスタートさせる事にして、各方面に部品を発注した。入力段階のデータ取りこぼしを出来るだけ抑える、と言っても、ドライブの中はどうしようもないので、それ以降の回路とソフトウエアの能力向上の努力になる。
うう、CDの音の隙間を埋めたい。でもどうなりますやら。とりあえず頑張る。
('07.4.14)ビョークの新作「ヴォルタ(Volta)」が5月はじめにリリースされるらしいが、今のところCDでのリリースと、何とLPでのリリースしかないようで、マルチファンとしてはSACDマルチのディスクが追ってでもリリースされるかどうかが気がかりで仕方がない。
「サラウンド」でDVD-Videoに96・24DTSのマルチを収録して彼女がどう感じたか。今後はどんなメディアに軸足を置いていくのか。僕としてはSACDマルチのシルキーで柔らかく濃密な世界に浸りたいのだけれど。
彼女のLPは低域のエネルギーが凄いので、再生は結構難しいし、聞いているうちにお腹いっぱいになってくることもあるが、CDしか出ないならLPで買っておこうかという気もある。う~む。
ところで、Mac対応のブルーレイドライブを当たってみたが、内容的にまだこなれていない。HTPCの巨匠オキナワのオーシロさんに聞いてもパナソニックのレコーダーは画質が良くないから、1年くらい待った方が良いという話しだし、これは当分現状で出来るだけ高画質で楽しむのが賢そうだ。
としたらば、東芝のレコーダーとプロジェクターにはしっかり働いてもらわんと行かんわけだ。17日の点検の際はビシバシ行くからね、六七はっきりくっきり東芝さん。
('07.4.13)書き忘れたが、月曜に友人が来てくれたときに、殺し屋店長に習って「アナログをなめんなよ!大阪バージョン」をやった。要するにマーカス・ミラーのチョッパーベースをアナログで聴くわけだが、ここではルーサー・ヴァンドロス"Never Too Much"のB面・1曲目"She's a super lady"。これを鳴らすとたいていの人が目を丸くする。
我が家の場合はエミネントのリニアトラッキング・アームの貢献度大。これは低域が曖昧にならず、にじまない
アメリカのAudio Phile USA のサイトには在庫はないけれど、仙台のカタログでもちょくちょく見るし、良い曲ぞろいなので見つければ入手されて損はないと思う。ただし、ベースの再生が上手くいかなくても、当方は関知しませんので、あしからず。(笑)
('07.4.11)オカンがお泊まりに来たので、来週月曜までは音無の構え。
その間、ちょっとした製作ネタやその準備やら、こつこつと片付けよう。過去BSアナログBモードで録画していたDVD-RAMコンテンツからDVD-Rを焼く作業も始める。Macで再生するとなると、DVD-Rしか受け付けないので、これは致し方ない。でも、Macだと48KHz/16bit
リニアPCMが活きて非常に良い音になるし、NHKホールやサントリーホールなどのライブ音が聞けるので、これは後が楽しみだ。
DVDレコーダーRD-Z1で録画したコピーワンス物の取り扱いが問題なので、HDMIでプロジェクターに接続したら「HDMI認証エラー」。同じメーカーでそりゃ無いだろう、と東芝に電話したがらちがあかず、結局点検修理に来週火曜日来てもらう事になった。でも、録りだめしてあるコンテンツは大丈夫だろうねえ?
「緊張と緩和」(桂枝雀)
('07.4.10)あるところで凄い機器を聞いてしまったようで、原音再生などという言葉が出たりしているのを見て、ちょっと考えてしまった。
そもそもマイクカプセルはどれくらいの大きさの物かご存じだろうか?しかも、指向特性や周波数特性も限界があり、会場やスタジオ内の「全ての」音を拾えるわけではない。つまり、ディスクに入っているのはその何分の一かの情報でしかないのだ。
オーディオというのは、そこから「音楽的真実」を復元していく作業ではないかと、僕は思っている。勿論、人によってその「音楽的真実」は違っているので、再生機器の選び方も違ってくるわけだ。例えばベースのブーミングを最重視するならばJBLかもしれないし、ホールトーンを最重要視するならタンノイかも知れない。
*************
ここで、大変に重要と思われることに触れよう。チェリビダッケのブルックナー5番の東京でのライブCD(Altus ALT138/9)に、チェリビダッケの子息の寄稿がある。
●「父によれば正しいテンポというものはメトロノームで決定されるものではなく、むしろ楽譜上の他の条件、また無論、コンサート・ホールの音響に左右されるということです。この正しいテンポというものは演奏された(または聴こえた)音の複雑な絡まりと随伴現象(何らかの楽器である音が演奏されたとき、その結果生ずる副次的な音)により揺れ動きます。手短に言うと、音が多ければ多いほど(その結果随伴現象が多いほど)、音が発展し、音響的に「消化」されるためにより多くの時間がかかると言うことです。したがって、より豊かな音楽ほど、よりテンポが遅いのです。」
「例えば演奏会の場合は、全ての随伴現象が生ずるのに対し、録音された音では常に『重厚さ』というものが欠如しています。何かがいつも足りないのです。そのうえマイクロフォンが振動するので、私たちが聞いているものは実際のものより歪められています。そして多くの随伴現象は消えてしまっているので、本来のテンポはもはや正当にはきこえず、必然的に遅く聴こえるでしょう。」
さすがにチェリビダッケのご子息ではありませんか!オーディオ誌にやたらと哲学ぶったことを書く人が最近いますが、あのお馬鹿で何も生み出さないひとりよがりな言葉遊びよりは、はるかに深く具体的な指摘ではありませんか。
僕なりに少し敷衍しましょう。
ホールに入ったときにざわざわした音と共に「空気が動く感じ」を感じたことはありませんか?大きなエアーボリュームではほとんど空気が物理的なモノとして感じられるのだそうです。
そして、直接音と反射音、さらにその反射音、とそれらのビート(うなり)は非常に複雑なものとなり、非常に多様な周波数のものとなります。ですから、楽譜に記され演奏された音よりもはるかに多くの音が結果としてその場に「随伴」して生み出されているわけです。
だから「それらをすべてセットにして音楽としている」のだとすれば、これらの随伴した音たちも十全に再生されないと「音楽的真実」はオーディオ的には復元されない事になります。
● さて、この根本的な問題に対するオーディオの側からの回答はどうでしょうか?
一つには、超低域の音(倍音を含む)や随伴する音たちは不完全とは言え一応録音されているだろうし、そうでなければ良い録音とは言えないだろうという事です。
そしてSa Logicのサブウーファーなどは具体的にそれを補強するモノといえるでしょう。ただし、仮に再生レンジを伸ばし、あるいは量的にもそれを出したとしても、再生空間のエアーボリュームがあまりにも小さいという問題は解決されません。とすれば、量的に沢山出すと言うよりもホールの相似形としてある程度の量をバランスを保って出すというのが、現実的な対処といえるでしょう。
一方、部屋の間接音や反射を使ってリスニングルームで「随伴」させる音作りは、元のホールで随伴する音たちとは違っても、それに近い状況は作り出せるかも知れません。やり過ぎは禁物でしょうが。
いずれにせよ近似値でしかないのは明らかで、後は「想像力」あるいは「脳内補正」かもしれません。経験値が補ってくれることを期待して、経験を積むことしかないのかも知れません。
● しかしチェリビダッケが嫌っていた不完全なものであることを知りながら、低品質な海賊版より高品質のエディションであるにせよCDをリリースすることを決意させたのは、結局「これらの記録こそが私にとって、また私たちにとっても父の音楽的創造の過程を思い起こす唯一の手段なのです。」という現実です。「これらの録音はコンサート・ホールでのすべての体験を再現できるものでないのは明らかですが、そもそも、人生の局面のすべてを完全に把握するなどということは難しいことです。そのような意味では、このすばらしい瞬間を発見したり、思い起こしたいという皆様には、ほんの一部分ではありますが、聴いていただく方がよいと思うのです。」
● オーディオというプロセスを経なければ最早体験する事が出来ない音楽や音楽家があり、その貴重な財産を、対価を払って入手するにせよ、僕らはおおいなる遺産として、預かりものとして、大切にしなければいけないと思うのです。その意味では原音再生などと言う不毛の幻想はさておいて、また仮想的全能感のもとでの独りよがりの「演奏」でもなく、ある程度経験と自覚を持ったレコード「演奏家」(おこがましいのはもとよりですが)でありたいものです。
('07.4.9)今日は友人が東京から来てくれて、いろんなソースをかけて鳴らすことになったので、随分といろんな事が分かった。
現状では圧倒的にLPの音が優れており、SACDも非常に良い。これに比べればCDはかなり努力が必要だ。
1.再生ソフトウエアのアップグレード(Cubase Studio4あたり)
2.CDドライブの電源(12V&5V)やクロック周りの見直し
3.LEDの取り外し、電波吸収テープなどを使った細部に至るケア
などが具体的に考えられる対策であり、一つ一つ出来る努力を重ねていくしかないだろう。ただし、無闇にケースや機器類が増殖していくのは無用にしたいので、工夫も必要だ。
恐らくそれでも、隙間感のようなものは残るだろう。しかし、努力すれば、そして空気感の入っている良い録音を選べばかなりの音楽的感動を得られるのではないかと、僕は思っている。
('07.4.7)夜一寝入りしてからつれづれなるままに、プロジェクターの設定をした。Windows側のPower DVD 7 Deluxe で再生する場合の設定をHiVi
Cast のチェックDVDで設定したが、結局画はMacほどにはまとまらず、とりあえずこの設定をユーザー1に保存して、市販DVDを見る場合はこってり目になる傾向があるがシアター2モードにすることにした。市販DVDの場合はApple
Remote が効くのが嬉しい。
MacもPower DVD も、どちらもHD映像用のH.264(MPEG-4 AVC)コーデックを使っているとは言え、計算量が圧倒的に多く、コード化の自由度も高いため、エンコーダー間の画質差も大きいらしい。そのあたりの差が出ているのかも知れない。
音もやはりMacの方が断然良い。Macの音になれると物足りなくなるので、いかに映像が音の影響を受けやすいかがよく分かる。コピーアットワンスやVRモードなど以外はMac側で見ることにせざるを得ない。
こうなると、Mac側でブルーレイディスクなど次世代DVDや、VRモードのDVD-RWに対応する事を期待せざるを得ないのだが、はたしてどこまでやってくれるだろうか?
('07.4.6)オーディオの第1期がほぼまとまったと、一昨日書いたが、今日がその区切りになると思う。
我が家のプリは改造してプライトロンの電源トランスを外付けしているので、2本の電源ケーブルで本体と接続しているが、それを SIN AC に変更した。これは効いた!そして余ったのを先日製作したFireface400用電源にも使った。おかげで厚みや豊かさが増して、音の色数が増えた。
ただCDの隙間感はおそらくハードだけでは改善できないと思う。ここは再生ソフトをグレードアップする必要があると思う。弟が教師をしているので、アカデミックに行ってみようかな(笑)
夜は Mac book Pro の Mac側の DVD Player を使って HiVi Cast で DVD-Video 映像の調整をした。音声はRMEに
Core Audio ドライバで伝送されるし、以前聞いたときも Mac の方が音は良かったのだが、今回電源を改善したおかげで、それがとても良いバランスにまとまってきた。マドンナ「ベスト」なんかかなりの物だ。オキナワのオーシロさんのところの
HTPC +三管プロジェクターにはとても及びも付かないが、画のほうもそれなりに何とかまとまったと思う。
RMEから出してカタツムリで聞く「マトリックス」の効果音なんか笑ってしまうほど凄い。こういうところにも使えるからデジタルインターフェースは決して損しない買い物だと思う。当然、次世代DVDの音声にも使えるし。
DVDレコーダーで録画したVRモードのDVD-RAMやRWはWindows側で見るしかないが、市販DVDや録画したDVD-RはMacで見ることにする。第一、リモコンが便利この上ない。次のMac Osで対応ディスクが増えればもっと嬉しいのだが。
('07.4.5)あいやあ、あのドライブケースが14,800円とは!
検索しても出てこないし、多分本当に無いんだろうねえ。おらっちは良き青年のおかげで、安~~く確保したもんね。知ーらないっと。
('07.4.4)昨年末に引っ越してきてから3ヶ月あまりが経った。ノーチラスが来てからはほぼ2ヶ月で、その間オカンも来ているし、十分聞けたわけではないが、トライアングルベースをストーンの下に入れたり、機器側をいろいろ調整したりして安心して鳴らせるようになった。
考えてみれば2ヶ月というのは全く新しい環境としては順調な方だ。3年間眠っていたコンデンサの目が覚めるにはもう少しかかるだろうが、Fireface400の電源も順調に稼働していてさらに良くなると思う。ヒューズについては結構音の変化があるが、プリではこのまま使うつもりだ。
プリに90年代ロシアの軍用管をクライオした真空管を使ってみるとか、電源ケーブルの一部をグレードアップするとか、まだまだ触りたいところはあるが、第1期としてはほぼまとまったと思う。
音楽をもっと聴こう。
('07.4.3)Fireface400用の電源を製作した。プライトロンのトランス、A&Rのショットキー・バリアダイオード、ブラックゲートのコンデンサ35V4,700μfを4本、低飽和型3端子レギュレーター(12V2A)など手持ちの部品を使ってアナログ定電圧電源組んだだけだが、ここは経験でいろんなチューニングをして、スイッチング電源(12V1A)の腰高な軽さに比して、ずいぶんと腰の据わった落ち着いた濃い感じになった。
本体側にも電源は入っているのだが、川崎さんの言っていたとおりデジタルインターフェースの外付け電源の質は影響大だな、と思った。ブラックゲートは別のに使うつもりで使えず、3年ほど常温で放置していた物なので、賞味期限が切れる前に使えて良かった。とはいえ、ブレイクインして音質がこなれるには時間がかかりそうだ。
面白かったのは、とRosendahlのNanosyncsクロックにはAC100Vを供給出来るようにしているが、スルーで送るだけなのに、この電源ケーブルのグレードでどんどん音が変わることだ。結局、AET
SCR-ACで落ち着いたが、切りがない。
DAC(P-3A)用のAC9Vトランス(プライトロン)電源も製作してみたが、これはパーペチュアル純正Monolithicの方が良かった。多分、ノイズフィルターが付いているのと、デジタル同志の干渉もあるだろうから別に引いた方が良いということではないかと思う。これは別途工夫してみよう。
おかげでようやくエルガーのヴァイオリンソナタを、渋くしかも美味しく聞けるようになった。ただ、PCM独特の隙間感というか埋めてやりたいという感じはやはり依然としてある。これはどうしようもないようで、とりあえず空気感のある良い録音のCDを選んで聞くしかないだろう。
('07.4.1)聞いたことのない機器について、なぜ論じる事が出来るのだろう?僕には分からない種類の事柄だ。イメージだけで上滑りに滑っていくだけでいいのかね?Sigh.
なんてお馬鹿な事はさっさとうっちゃって、ビシッと行ってみたいね。オマスズ(鈴木勲)のは紙ジャケなんてのはどうでもいいが、ハイブリッドだってのに転んだ。ヒノテルのライブはどんなもんだろ?enjaの方に過激度を期待して。Hey Guys, what's up?
日本のジャズにも熱い時があったぞね。
('07.3.30)壁面収納のLPをとりあえず整理した。部屋の全景のイメージがわかん、とリクエストがあったので、全体の写真を載せたいが、僕の写真の技量では1枚に納めがたく、これは司のお力を借りる事にして、被写体がぐちゃぐちゃのままでは撮れるものも撮れない。で、ようやく整理に至った次第。
でも整理し出すと、聞くんだよなあ。それで良いんだけど。新しいZYXが凄く良いらしくて、それも気にはなるが、まずは足元から着実に。アレンスキーのピアノトリオなんか実に良い。ジョニ・ミッチェルの「コート&スパーク」なんか「おお、こんな風にラリー・カールトンが絡んで、ジョン・ゲランがおとなしめのドラムを叩いているのか。」などと聞けて、しかも音楽が良いのでとても楽しい。
('07.3.27)オーディオ関係については、実は書いてある事の何倍かのことを平行していろいろやっている。例えばラインケーブルのシールドを入出力のどちら側でアースに落とすか、などという事も確認して変更しにかかっている。カタツムリはこういう事どもを容赦なく音に出してしまうので、整理するところはちゃんと整理しなければいけないわけだ。ただ、全てのことを書くのが僕の役目ではないし司司もおられようから、ポイントを絞って大きな括りで書くようにしている。
そして今年はどちらかと言えば少し閉じ気味に行こうと思っている。それは、ようやく安心して音楽を聴く環境が出来つつあるからだし、引っ越しの過程で自分がどれだけ沢山のディスクを持っていて、それを十分に聞けていないか、ということがよく分かったからだ。つまり自分がどれだけ財産を沢山持っているか気づいたわけだ。だから、とにかく音楽を聴き、これから手元に残すディスクと手放す物とを選り分ける作業をしたい。これからは意識して引き算をして、足元を固めるようにしなければ、と考えている。
その心境に少しだけ触れておくと、ここ数年の間あちこちでいろんな音に触れさせていただいたが、ちょうど1年ほど前、沖縄でノーチラスを聞かせてもらうまで、「欲しい!」と心底思うスピーカーには出会わなかったということだ。
それまで、よい音だなあ、美しい音だなあ、立派な音だなあ、と思っても、やはりどこか電気のパワーで音を押し出している感じがどうしても拭い切れず、オーディオの音というのはこういうもので、こういう限界があるんだなあ、というのが率直な思いだった。ならばACT-1で行く事にしよう。そう考えていた。
ノーチラスを聞いて15分もしないうちに、「よし、俺もノーチラスを入手しよう。」と言い出した僕を見て、周りのみんなが驚いていたのも無理はない。が、こんなに軽々と空間に音が浮かび出る様は、僕が勝手に思い描いていた限界をいともあっさりと覆したわけだ。
実際、音の出方は4つのユニットが鳴っているとは思えない、シングルコーンのような鳴り方で、しかしシングルコーンでは絶対に出せない情報量を軽々と空間に描き出す。各々のディスクについて思っていたイメージがあっさりと裏切られたり、新しい発見を日々もたらしてくれる様は正直柔らかなスリルに満ちている。カタツムリたちは本当に大した奴らだったんだ。
('07.3.26)カタツムリの後ろ側に無印良品のCDボックスを2つ背中合わせにして置いた。何のためにこんな事をしたかというと、ノーチラスの「角」に触れてしまうのを防ぐためだ。
ノーチラスの各ユニットの後ろの「角」は実はエンクロージャーには触れていない。薄いゴム製のOリングを介して、前面だけで支えられている。言いかえると、「角」は宙に浮いている。だから角の後ろ側に「ゴツン」と触れるだけで、ユニットはエンクロージャーからずれてしまい、振動した場合の逃げが無くなるし、ユニットが傷んでしまう。
もちろんフリースタンディングにした場合、完全に事故を防ぐのは難しいかも知れないが、これからはユニットの供給も厳しくなるようだし、少しでも対策を講じて安心して楽しめるようにしたい。
友人諸兄よ、我が家に来られたら「スピーカー側には絶対に寄ってくれるな(願)!」などと、いろいろ難しいことを言われる事になるけれども、なにとぞ、何卒、ご理解願いたいのであります。
m(_ _)m <(_ _)>
【後日談】
右の写真を見てワオン・レコードの小伏さんが、「このCDボックス、空だとまずいですね。1辺が約13cmなので、670Hzあたりのヘルムホルツ共鳴箱になります。カタツムリ 君のこのあたりの音を吸い込んじゃいますよ。という気がするのです
が、影響ないですか?」とメールをくださった。
追って中は詰めていくつもりだったが、もう一つ大事な事に気がついた。写真には写ってないが、この右側に大きな壺を置いてあるのだ。インテリア上気に入ってアメリカから買ったので、送料の方が高いと言われたくらい大した物ではないのだが、これも音を吸い取ってるはずだ。
で、いろいろやってみたが、やはり微妙に艶というか充実感のようなところに違いが出る。壺は部屋の反対側に追いやり、ボックスにはディスクを詰めた。
こういう自分では気がつかないところを指摘してくださると、大変に助かる。感謝。
('07.3.25)カナダから届いた音質改善グッズの一つは「ヒューズ」。これまでも全ての機器に「元々音質が良いとされるセラミック管ヒューズをスーパークライオ処理」した「スーパークライオヒューズ」を使っていて、通常品よりもずっとエネルギー全開な音になっている。
今回のは「HiFi-TUNING Silver & Gold Fuses」という。ドイツ製でヒューズ線には銀線を使い、両端のキャップは通常サイズが真鍮のベースの上に、銀、銅、24金メッキ、ミゼット型が銀ベースのキャップの上に銅、24金メッキという物で、貴金属使用のせいか値段も$29.95~$34.95と結構高い。が、少なくともどこかのヒューズのように有効期限付きのぼったくりではなさそうだ。オキナワのオーシロさんのパワーアンプが大めし食らいで、合う規格のヒューズがクライオではなかったので、いつものパーツ屋さんにあったのを注文して、ついでに僕も1本プリ用に買ってみたというわけ。
で問題は音なんですが、半日ぐらい通電してから鳴らして見ると、最初は音量感もあまり出ずパッとしないが、弦の音とか表情の濃さは感じられるので、そのままいろいろ鳴らしていく。と、どんどんエネルギー感が上がってきた。といってもクライオヒューズのようなドバドバ全開の感じではなく、鳴らし分けるというかそれぞれの楽器の存在感が彫り深く表現される。特にアナログで鳴らすバスドラムなどの深さと空間表現が良いし、トゥッティで音がまとまって出てくる感じが小気味よい。どうも鳴らしながらブレイクインしていく必要があるようだ。
これは他に機器のも使わねばなるまい。フォノイコ、デジタル電源、そしてSACDプレーヤーのSA12 S1にも。
パワーアンプは8台もあるので、セールの時か、値引き交渉できるときにまとめて買おうか。
考えてみればヒューズは必需品だが、安全優先で音質とは無関係に溶断性の合金を使っている。クライオでそれが大幅に改善されたとはいえ、ケーブルに使うようなもともと優れた素材を使えば音が良いのは当然と言えば当然だが。
もうひとつの音質改善グッズは真空管だが、これは音質の違いになるだろうから改善になるかどうか。しかもブレイクインに時間がかかるので、差し替えて聞いてみるのはもう少し落ち着いてからにしようと思う。
('07.3.23)カナダから待っていたパーツが届いた。一番楽しみにしていたのはプリというかラインアンプの音質向上用に用いる物だ。どちらもブレイクインが必要だと思うので、少し時間をかけて評価しよう。とりあえずその一つを入れてプリの灯を付けておく。
オカンを送り届けて帰ってきてから、夜聞き始めると、最初はこじんまりしていたが、どんどん良くなってきた。これは鳴らしながらブレイクインしなければならない物かも知れない。さてさて楽しみだ。
('07.3.20)この間の成果あってか、昨夜からSACDマルチを聞けるようになった。パワーアンプの入力を絞った関係で、ラインアンプのゲインでは足りないかと思っていたが、芯のある音になってきたのでアッテネーターを上げてみると、24ステップ中の14~18ステップくらいで、アナログダウンミックスしてフロント側に必要な音量が得られるようになった。
リア用SPも角度をより内向きに再調整した上で、パッシブプリの中点から30度くらい上の範囲で前後バランスがとれる。しかも音色的にノーチラスとマッチングがとれたのが大変嬉しかった。ビョークなどのソフトでは結構低域も出る。
ヘレベッヘのフォーレ「レクイエム」の「ピエ・イエズス」では実在感以上にアニェス・メロン(Ens.ジャヌカンでおなじみ)の声そのものをくっきりと浮かび上がらせる。
まだまだ詰めなければならないところはいくつかあるが、ビョーク「ヴェスパタイン」は当社比最高でとても素晴らしい。以前旧居でのマルチについて、海のように、濃いスープのように、と書いたが、一つには旧居でのいろんな制約(注)のためにじんでいる部分などをトータルとして活かす方向としても、そういう音に持って行っていた訳だ。
(注)リア用アンプへの配線は取り回し優先で、あまり高品質でないインタコケーブルを13m伸ばしていて少しノイズを拾っていた事。リア用スピーカーのすぐ後ろが壁であったため、ボリューム感は出やすいがあまりクリアな音になりにくい事、など。
以前のスープが雑味も含めた裏ごししていないポタージュだとすれば、これは澄んだコンソメの方向だ。どの方向からどんな風に音が回ってくるか、手に取るように分かり始めてきた。しかもリアの力感も伝わってくる。
マルチというのは2chをしっかりやれば自ずとフロントの音が向上し、それに合わせてリアも切磋琢磨して、次第に全体の質が向上してくる。これは楽しみなことだ。
またオカンが来ているので、今日からは製作モード。一番手を付けやすい、デジタル用、つまりRME/Fireface400とPerpetual P-3A用の電源製作に着手した。個別にやってられないので、1台にまとめ、Rosendahl/Nanosyncs用のAC100Vもスルーで取り出す。1台で3台に給電という欲張った機能を小さなラックに入るサイズにいかに良いパーツで盛り込むか。ま、先日の怪我の教訓もあるので、ぼっちらと。
('07.3.19)(承前)「モーツアルトの小さい頃には、ピアノという楽器さえ彼の周りに存在しなくてチェンバロで作曲をしていました。それからクラヴィコードと言う楽器があり、これは小さくて卓上におけるくらいのもので、彼はそれを非常に気に入っていたようです。モーツアルトはたくさん旅行していましたよね。その時に馬車に積んでいって旅行中練習したり作曲したりしていたそうです。」(崎川晶子「モーツアルトの光と影」ライナーノーツ中の対談から Cecile Record IMS0507)
この対談の中にあるようにモーツアルトは当時発展途上のフォルテピアノに惚れこんでいたらしいので、当然もっと均一な良い響きの楽器を求めていたと思う。だから、かってあったようなピリオド楽器を「Authentic
Instruments(純正楽器とでも?)などと呼んで当時の楽器や様式が最優先というような考え方は、音楽の可能性や幅を狭めてしまうものだし、僕も好きではない。
でもこの崎川さんの1790年頃当時のフォルテピアノで表現される音と音楽の美しさはとても素晴らしいし、こういうCDが日本でも製作され、東京都内なら随所のコンサートでこういう楽器を聞けることも是非知っていただきたい。ちなみに録音はワオン・レコードの小伏さんだ。
大切なことはいろんな響きや表現を知って楽しめる事だと思う。だからこそ受け止め方や感じ方が深まってゆく。多様性がないところには刺激や発展もないと思うし、第一つまらない。
('07.3.18)古楽器演奏が普及し始めた頃、モダン楽器に慣れた人達から決まってブーイングが出たのは、音量が小さい、響きが短くてギスギスして聞こえる、きつく感じる、などという感想だったようだ。
ある部分は当たっているが、ある部分はフォーカスのあて方がずれているところからおきる、どちらかといえば誤解に近いものだと思う。
オーディオにおいては、一つには音量の問題がある。つまりどれくらいの音量にポイントを置いて機器のセッティングをしていくかだ。オーディオ機器は生楽器と違って機器毎に「音が立ち始める」ある一定の音量ポイントがあり、それを越えないとあまり生き生きと面白く鳴らない。また、モダン楽器は音量が大きいので、それと同じように古楽器を聞こうとしたときに当然質の違いが出る。だが、チェンバロやリュートを大音量でならす愚はすでによく知られているところだ。つまり音量をあまり上げなくても音が立つセッティングが必要なのだ。
それと、ホールあるいは空間の大きさだ。古楽器系はあまり大きな空間にはなじまないし、サロンのような所で近づいてそのいろんな響きを味わうというのが一番美味しいところだ。例えば、良い楽器と良い演奏者で聞くフォルテピアノがレガートで良く歌うところなど。
大事なのは、そう、耳をすます事だ。
('07.3.17)少し眠れて楽になってきた。発送する荷物の集荷を待って、その後駅前に行く。紀伊国屋でステサンを立ち読み。定期購読は止めたものの、懐かしくなって一瞬買おうかと思ったけれど、結局富田さんのIsis導入記と川崎さんの文章、あといくつかを読んでそのまま後にした。
コーヒーで日経良く読み、買い物をして、夜はMac Book Pro で映像を見る。Mac側はまた勉強してゆっくりやる事にして、Windows側のPower DVD 7 で「HiVi Cast」を再生して、プロジェクターでコントラストから始まって、映像の諸設定をした。デフォルトから数値的にはかなりずれたけれども、DVDを見ると結果としてはかなり良い画になったと思う。ま、この辺は司々がおられるので、お招きして教えていただこうと思う。
で、音声はFireface400からアナログ出力して、リアスピーカー ELAC CL-310JET を鳴らした。気楽に映画を見るのに使えないか、という訳だ。音楽を聴くときのポジションから少し後ろに下がり、リアSPの横ぐらいで見ると、大きなヘッドフォンみたいな気もしないではないが、結構行けてる。ま、ちゃんと見るときにはカタツムリで鳴らすわけだけれども。
このELACは天吊りにしても、とても良い音で鳴ってくれる。JETトゥイーターのきめ細やかな音が誠にありがたい。またFMがとても良い。勿論音量を上げていくと粗くなったり、時としてノイズが載るのだが、やはりアナログ的な良さで時々真剣に聞いてしまう。
('07.3.15)今日はようやくプロジェクター(東芝DLPプロジェクター/TDP-MT700)&スクリーン(NAVIO MR502 100インチワイド)で映像を見るところまでこぎ着けた。映像はハイビジョンの「リトル・ブッダ」ですが、うちは夜しか映像を見られず、フラッシュで撮ったのでお許しあれ。
課題としては
1.東芝のDVDレコーダー「RD-Z1」でのハイビジョン(HDD録画)とDVD再生
2.Mac Book Pro のWindows/Power DVD 7 DeluxでのDVD再生
3.Mac Book Pro のMac OS10/DVD Player でのDVD再生
をして、映像と音の良否、とくにDVD再生のクオリティを比較したいということ。
まずはハイビジョンで良い映像というものを見てから進もうと言うことで、東芝RD-Z1からヴァン・デル・ハルのHDMIケーブル10m(天井経由)でプロジェクターに接続する。
ステレオサウンド社のチェックDVD「HIVI Cast」で映像関係の諸設定をしたが、ほぼデフォルトでOKだった。音声は同軸で出力してFireface400に入力している。
やはりオンエアされているハイビジョン映像は美しい。HDDにTS録画したソフトも同様で、「真珠の首飾りの少女」も冒頭の野菜を切るシーンが濡れるようでなかなか素晴らしい。
で、DVDをかける。シャーデー「Lover's Live」。う~~ん音は良いと思っていたのだが、少し団子気味で映像もやや落ち着きがない。トーキングヘッズ、そして音質ではぴかいちのマドンナ・ベストをかけるが、同じような感じだ。
Windows/Power DVD(RamDisk上)では、まず映像がしっかりとしてくる。これはRD-Z1がHDMIで出力する場合、DVDはD2画質(480i)になってしまうのに比べ、Power
DVD はハイビジョン用のH264コーデックを積んでいて、できるだけスケールアップして出すためで、この差は仕方ないだろう。音も凄く良いとは言えないまでもかなり聞ける音になる。
オキナワのオーシロさんのようにRD-Z1をなんとEMM/DCD2(内蔵高精度クロックで全てコントロール)に直接入力するのと音質は当然違ってくるだろう。
で、Mac OS10/DVD Player では映像のクオリティはPower DVDとほぼ同レベルだ。気持ちMacの方が締まった画質かなと思うが、差はごく少ないと思う。CoreAudioという高音質ドライバに載っているせいか、違いは音に出る。少しクールな感じだが、より精密な音になるのだ。ただ、これはマドンナのようなLPCM(48KHz/16bit)の場合でないとあまり大きくは違わない。問題は、こういう「音質の良いソフト」がどれだけあるかという事だが、それでもCDレベルは及ばないのがやはり限界を感じさせる。DVDってこんなもんだ、という慣れのせいかもしれないが、Macの場合音が画と張り合っているようで映像中心に楽しむという感じは少し薄れるかも知れない。
結局DVD再生の場合、Mac OS10/DVD Playerに一日の長があるという結論だが、僕の場合CD再生はWin/CubaseLEなので、そこから再起動してMacでDVD再生するかというと、よほど音を聞きたいソフトでなければそうはしないだろう。ドルビーデジタルぐらいの音質ではPower
DVD でも十分楽しめる、というか聞きやすくて映像の邪魔をしないので、たらたらと楽しむにはちょうど良いかもしれない。
というわけで、一応WinでCDもDVDも行く方向で当面の方針としては落ち着いたわけだが、なにせかけたソフトも限られているし、機器が変わると評価も変わるだろうし、新しいMac OS だとさらに良くなるかも知れないし、ぼちぼちと様子を見て進めていくことにしよう。
('07.3.13)とても嬉しいことがあった。以前このページに、G.レーヌのCD(F.クープラン/ルソン・ド・テネブレ)が欲しいのだけれどもう入手できない、と書いた。そしてそれをご覧になった方が、仏Amazonに出ていますよ、と知らせてくださったのだ。もう大分前の記事なのに、それを覚えていてくださって、音楽が、オーディオが好きだという共通項だけで、面識のない僕にわざわざメールをくださったことがとても嬉しい。
今日スカイプで話したお茶の水のヤマモッさんのHPによると、インターネットもいろいろあって内にこもり気味なのだそうだ。世の中にはいろんな人がいるので、それはよく分かる。
しかしこういう嬉しい驚きもあるから、やはり発信し続けようという意欲もわく。
そして千葉県のPCオーディオ戦友からは、今日ワンダーリンク付属のBNC-M変換アダプタが届いた。やはり今使っているのと同じく50オーム用のようだ。ま、純正がこれだし、音もちゃんと出ているから良しとして、クロックケーブル用にありがたく使わせていただこう。感謝。
それとイギリスから取り寄せたデジケーについて質問があったので、報告しておこう。StereovoxのXV2。この前のバージョンであるHD-XVを三浦孝仁さんが使っているのを見て買ったことがあり、XV2は前よりも全般にわたって情報量やニュアンスが増えていた。今回は東芝RD-Z1からFireface400に出力するために2mにしたが、それでも送料込みで3万円以下だ。安いので、何か一つと言うには好適だと思う。
ついでに言うと、ベルデン1605Aやアポジーよりもずっと良い。
('07.3.12)アンプいじりなどあまり詳しいことは書かないつもりだが、大きな節目は書いておこう。我が家のプリも製造から約25年、四半世紀ほど経つので当然に耐用年数は超えており、手を加えながらメンテしていい状態に持って行っている。古い機器はなかなか難しいのです。
今回はゲインをさわっていて、ラインアンプのゲイン切替スイッチがどうも気になったので、スイッチをパスして14dBに固定し、電源のケーブルを一部変えた。これでトータルの切れはかなり良くなり、弦のシルキーな擦れ感や寄せては返す波のような音場感、超低域までずんと伸びる一体感が充実してきた。ここまで来るとトライアングルベースを入れて正解だったと感じる。もう少しこのプリアンプでいろいろとやってみたい事があるので、それがどの程度音に反映されるか。
ただノーチラスをならしていて思うのは、これは音圧をドバーっと充満させて手応えを味わいに行くのもいいが、普段は音量はさほど上げずとも十分に出でてくるニュアンスを味わう方が良いのではないか、と言う事だ。勿論、曲によっては「これはボリューム上げてビシッと行かなきゃー。」等いうのもあるが、あれもこれも一杯出してくるので、ずっとそういうハイな状態では疲れる。
カタツムリ君たちの事が少し分かってきて、とりあえず落ち着いてきて、さてこれから、と考え始める今日この頃であります。でも当分はいろんなディスクを一つ一つ味わっていこう。
そしてオーディオ・ベーシック誌がアマゾンで買えるようになったというニュース。今の駅前には大きな紀伊国屋があるので、発行日の午後には手にはいる。でもアマゾンにのれば、全国どこでも、沖縄でも離島料金なしで買う事が出来る。
('07.3.11)
仏AlphaのCDなど、アコースティックに録っている良い音のディスクには、そのホールとか空間のノイズみたいな「サーッ」というようないろんな音があたかもスープのように稠密に入っている。これはノイズというよりもいろんな響きやビートが集まってこういう感じになるのだと思う。静かな空間で「シーン」と感じるのと似ている。
矢野顕子のピアノ弾き語りなんか、改めて聞くとほんとにそういうのが一杯入っていて、アッコちゃんの息遣いもしっかりあって、ピアノのの音も含めてとても美味しく出来ている。今日、初めてカタツムリ君で聞いて、まことによしよしでありました。
ジョニ・ミッチェルは普段LPでほとんど聞いているけれど、CDで聞いても良い物はやはり良いのだなあ。左のライブの鮮度感は凄い。2枚組新品でこの値段で出ているのだったら、絶対買っておいたらいいと思うんだけど。
若きオーディオファイル達へ(3)
「現場を知ろう!」「現場に行こう!」
1.音楽が作り出される現場に行こう。
もちろん、まずはコンサートだけれど、可能ならリハーサルを聞くととても勉強になる。プロのミュージシャンは、それぞれのハコに合わせて響きをコントロールしている事をご存じだろうか?リハーサルを見ているとそれがとてもよく分かる。
そして楽器のすぐそばで聞く音は概してきつかったり、ノイジーだったりする。ヴァイオリンはその典型で、彼らはこんな音からどうやってホールでの響きを調整できるのか、不思議に思うくらいだ。
そしてホールは聞く場所で時として唖然とするくらい音が違うので、結局席の数だけ「原音」がある事になる。
オーケストラを初めて聴いて「ハイ落ちだ!」と言ったオーディオマニアの話は前にも書いたが、オーディオの音だけしか聞かないと、それしか知らないと、例えばホールの空気が文字通り動く感覚が分からないなど、実にわずかなことしか楽しめない場合が結構多い。コンサートという物の懐は深いものだと思う。
2.音楽が「製作」されている現場を知ろう。
もしミキシングエンジニアやPAエンジニアに知り合いがいればすんごくラッキーなことなので、是非話を聞くことをお勧めする。例えばCDを焼く現場では最低限の照明以外、エアコンも全部切ったりすることもあるとか、デジタルでも音がころころ変わることを、彼らはいとも簡単に教えてくれるだろう。その中で良い音をつかむためのノウハウも。そして、マイクや機器には限界があり、全ての響きを録ることなどとても出来ないから、結局は何を重視してどう切り取るかという、録音の限界と可能性についても。
最近のオーディオファイルは「デジタルだから」という決まり文句で、この製作過程について、また再生についてもブラックボックスが当たり前のように思っていて、ほとんど思考停止しているように思えてならない。メーカー側も本当はデジタルのノイズや歪みがあるのに、それはあまりふれずに、むしろ「デジタルだからデータ=音は変わらないはずだ」というユーザー側の思いこみを利用してそれに乗っかった商売をし、問題に正面から向き合うのを先送りしている。そのつけが今失われた10年(もっと?)として不良債権のごとくオーディオの世界のエネルギーを奪っている。
3.オーディオで音楽が鳴らされる現場に行こう。
いうまでもなく個人のお宅におじゃますることだ。昔は、メーカーのショールーム(いまやほとんど無い)やショップの方が音はずっと良かったりしたが、過去何年かの内に使い込まれた個人のお宅の音の方がずっと良くなってきているのをご存じだろうか?
セッティングという名の使いこなしを含め、丁寧に追い込んでその状態を維持しているシステムの方が音がよいのは、当たり前といえば当たり前だ。例えば電源など部屋によって状況は違うが、それはいろいろやってみなければ分からない。セッティングにしたってある程度セオリーや経験値はあるものの、時間を掛けて追い込んだものにはやはりかなわない。オーディオショーなどは、ホテルの一室を前日ぐらいから掛けてセッティングするわけで、いくらプロがやるからといっても圧倒的に時間がない。結果、(その「プロ」の耳のレベルにもよるが)結構ひどい音を聞かされたりすることもあるわけだ。
4.昔話(昔メーカーがもっと余裕があって夢があった頃の話し)と今これからのメーカーとのおつきあい。
もう20年以上前になるが、ラックス(現LUXMAN)の本社(当時)が大阪豊中にあった時に2回ほど行ったことがある。パワーアンプの真空管のことで直に話しをしたかったからだ。多少の雑談もあって、結構勉強になったし、雰囲気もよく分かった。入ったことはないが、その入り口付近に「LUXMAN CLUB」というバーのようなレストランのような建物があって、エンジニアとユーザーがオーディオを語らう場として、社長が作らせたのだそうだ。恐らくあまり活用されなかっただろうと思うが、当時はそういう夢を描いていたことの例にはなるだろう。
「今はそんなもん、ありませんやん!」とおっしゃられればそれまでだが、まだ手はある。何かあればどんどんメーカーに聞く、特に電話する事だ。メールより電話の方が、絶対にいろんな事が分かるし、やりとりの中でそのときの話題に即応できる。メーカーだって自社製品に関心を持って聞いてくれる人には、誠意を持って対応してくれる。
そして大事なことは国産の信頼できるメーカーを探してつきあい、育てる=買う事だ。大体、日本のオーディオ界は舶来崇拝で、どこかの雑誌などは海外製品の方が音楽性もあって、ひと味違うというイメージを育てる事に大成功しているくらいだ。でもって、たまにオーディオショーなどで見ると、なんで高いお金(現地の2~3倍くらいにはなる。)を払って、ヨーロッパの片田舎からこんなもん輸入せにゃならんのか、というものも結構ある。そんで何台か売って、そのうち現地メーカーがやめたり、代理店が変わったりして、メンテやサポート態勢のない製品があちこちに溢れてくるわけだ。そんなのをヤフオクなんかでぐるぐる回していく。どこかで誰かにツケが回るのは目に見えている。
伝説だけのアンティーク・オーディオ(「ヴィンテージ」と言って欲しいらしいが、それに値するのはどれだけあるのか。)や、エキゾチックな海外製品も目の肥やし、耳の肥やしには良いけれど、輸入食品ばっかり食べるわけにはいかないし、早晩そんなことはこの国ではかなわぬ贅沢になる。もちろん世界中の美味しい物を食べたいし飲みたいけれど、やはり地場のいい食材を買い、農家と共存していける方がいいと思うのだけれど。
世界中のオーケストラがストラディヴァリばっか使っているわけはないでしょう?現役のいい楽器製作者がいっぱい日本にも海外にもいるのだから。
要するに生音や素材としての音や、オーディオの音や、メーカーの情報など、なんでもかんでも聞いてなんぼ。
('07.3.9)ここ2日間ほどノーチラスを鳴らして、あれやこれや楽しみながらいろいろ調整をしている。
一つにはこのスピーカーがトータルとして能率低めなのを、どう対応するかと言うこと。安全を見て8台のパワーアンプは入力ボリュームを少し絞っている。一方で、ラインアンプは基本は14dBのゲインで音質的にもこれがベストだが、他にも2、7、18,26dBのポジションがあり、これをどうマッチングさせるか。
今日、その方向が思わぬ所で見えたので、次にすべきことは分かった。やはり14dBでラインアンプや電源の対策を講じよう。
ただ、SACDマルチでアナログ・ダウンミックスするときにはゲイン的にちょっと厳しい。これはダウンミックスアンプに増幅段を設けなければならないので、腰を据えてかかる必要がある。
少なくともサブウーファーが恋しくなることはなさそうだ。
('07.3.7)魚を捌こうとして、左手に怪我をしたので、製作モードは当分中断。「聞き専」で行こうと思う。この間、カタツムリたちも無聊を託っていただろうし、まとめて聞きたい物や、確認のため聞くべき事はたくさんある。
('07.3.5)カタツムリたちのSPケーブルはストーンベースから銀メッキ撚り線でテフロン皮膜の結構堅い線で直出しになっている。おかげで新たにSPケーブルが沢山必要になる訳ではないので、これは大変に助かる。
そして、昨日はこのSPケーブルの接続を全て+-逆にした。
何故かというとラインアンプ Music Reference RM5 Mk2 は真空管1/2本でのP-G帰還アンプ1段なので位相が反転するタイプだからである。まさか左右が逆位相なのと混同されるような方はないと思うが、過去のある時期は Absolute Phase 「絶対位相」が重視され。その切替スイッチが特にアメリカ系のアンプには付いていたものである。
要するに位相が180度反対になるわけで、スピーカー側から見ればコーン紙が前に動き始めるか後ろに動き始めるかの違いになる。
あまり変わらないようにも思えるが、実際には結構違う。ACT-1の時も聞き比べて、SPケーブルで逆転させて非反転に戻した。反転時の音は、エッジが立ちぎみだが、どこか腰高でほぐれないところがある。非反転にすると、納まりが良くなって足下がしっかりしてくる。反転の方が面白いときもあるが、やはり非反転を選択して進めようと思う。
さて母が今日からお泊まりなので、計数整理と製作モードにはいるとしようか。
('07.3.4)機器の再配置、接続は一応完了した。
DVDレコーダーを2台(1台はBSデジタル・地デジ、もう1台はBSアナログ専用)と17インチディスプレイも収容したので、これでBSアナログ、同デジタル、地デジも録再出来るし、Mac
Book Pro も含めてHDMIでプロジェクターにも接続して映写できる。
といっても無闇やたらに接続しているわけではない。
1.地デジはパススルーして共聴に流れているので、壁のアンテナ端子からMondial Magic Splitter でアイソレートして東芝RD-Z1に接続している。FMも昨日書いたようにアンテナ端子からはアイソレートしている。自前のBSアンテナからは当然直接続である。
2.DVDレコーダー2台のアナログ音声出力はオーディオ系には一切接続せず、ディスプレイのスピーカーだけに接続している。東芝RD-Z1のデジタル音声出力は、もうすぐイギリスから届く同軸ケーブル(S/PDIF)でFireface400に接続する。オーディオ系との接続はこれだけである。
3.昨日書いたようにFMチューナー(懐かしのバリコン!TRIO KT-8300)からの音声出力は、ホット・コールドともパッシブプリで切替し、他の入力を選択したときにはアースも切り離される。
4.DVDレコーダーやFMチューナーの電源は、別途アイソレーショントランスから給電している。
要するに、高周波機器的なものをあまり信用していないわけだ。でも、トータルとしてこれだけ多数の機器が同居し、しかもケーブルが入り乱れると、トラブル発生の確率は当然高くなる。結構アクロバティックな置き方をしているトランスなどもあり、気をつけなくてはいけない。
メインのカタツムリ関係の方も少し工夫している。ただ、結構疲れたので、こういう時は無理をせず来週にして、なかなか音が良くなってきたFM(実に良い!)などタラタラと聞きながら、ひたすら休み和む。
それにしても、この最前列の機器はパッシブプリ(左上段の黒い機器)をのぞけば、PCオーディオとDAC、つまりCD再生のための機器群である。CDプレーヤー1台で済むところをここまでやんなきゃなんない。全てのことを、同じ部屋で、出来るだけ機器を共用してやりたいという目的でこうまとめたのだが、正直言ってこれからはできるだけダウンサイズしてまとめる方向に行かなきゃやってられん、という気分になる。2011年にBSアナログが廃止されたらレコーダーが1台減るが、他にも工夫しなくっちゃ。
音は良いがすっかりスタジオ・オンダになってしまって、シンプルさに憧れもする今日この頃でありんす、さくらん。
('07.3.3)昨日の午後から作業して、マルチのリア用アンプ(ゲイン調整はAlpsのUltimateボリュームを使ったパッシブプリ)&スピーカーのセッティングをした。これでマルチの再生環境は整った。
といっても、マルチは環境設定が難しく、前後の再生レベル合わせやリア用SPの角度など、一からいろいろセッティングしなければならない。フロント側はもう少しカタツムリ君達とも相談しなければならない事もあるので、これはもう少し後の話にする。
この環境でRMEからTRS端子で出力してパッシブプリに接続すればCDやDVDもリア用SPで鳴らせる。
そしてFMチューナーを接続してリア用SPから鳴らす。BGMでも何でもカタツムリというのはやはりナニなので、普段からの音楽溢れる生活のために実はこれを早くやりたかった。悪くない、というより音もなかなか良くて気分がいい。京都のα-Stationは入るのに、お気に入りの神戸KISS-FMが入らないのは訳が分からないが、これは調べてみよう。
以前にも書いたが、共聴のアンテナ端子というのはノイズと歪みの塊なので、そのままチューナーに接続すれば、あっという間にニュアンスのふっ飛んだノッペラボーな音になる。このためMondialのアンテナ・アイソレーターMagic Box を経由して接続しているし、接続スイッチを切り替えればFMチューナーのアースはシステムから切り離されるようにしている。 。
オーディオファイル諸兄よ、AC電源やアンテナなど壁コンはノイズと歪みの侵入口でもある。全ての壁コンとの接続をアイソレートされよ! (特に集合住宅)
そして午後には地元の業者さんが来てくれて、BSアンテナの位置調整。前のマンションが景観でやかましかったので、突っ張りポール型のアンテナを使っているのだが、ベランダ直付けと違い少し奥に引っ込むのでポジションが山ほどあって、これがややこしい。もひとつオカンの大好きな物干し場とバッティングしているので、これも配慮するとさらにややこし。
アンテナのマニュアルによると大阪市内と堺市は基本的に同じ方向なのだが、結局ベランダの庇がじゃまをしていてかなり上に上げないと、感度が上がらなかった訳だ。いろいろ試してもらって、最終的にはばっちり感度を確保して、しかも物干しとはほとんどバッティングしない位置を確保してくれた。好了!さすが地元のプロ。
機器群を駆使して音楽や映像をやっている人には分かってもらえると思うが、こうして環境が整い音や絵が流れ出すのは、これまでこわばって麻痺してしていた体の一部に血が通い始めたような気持ちで、ホッとするもんだ。
('07.3.2)昨日書いたBNCP-MJ変換アダプタについて、我がAV(あ、オーディオ・ヴィジュアルっす)の師匠と、千葉のPCオーディオ戦友が「インピーダンスは大丈夫か?」と相次いでメールをくださる。
そういえばBNCには50オームもあったんだっけ。忘れてた~。
まずM端子は過去にはこれしか75オーム整合がとれない時期があったそうで、ワンダーリンクの方はメーカーが75オームをギャランティしていて、そのM端子だから大丈夫だと信じる事にすると、問題はアダプタの側とあいなる。まだアダプタのメーカーからの返事は来ないが、音は前よりも凄く良いので、基本はこれを使い続けるつもりだ。
AVの師匠がアンテナについていろいろと教えてくださったので、BSアンテナの調整はプロの地元業者さんに明日来てもらう事にした。もうあんな寒いことばかりやっとられんからね。
それにしても、いろいろと知恵を授けてくださる友人方に感謝。
('07.3.1)パソコンでマーケットを見ている間に待っていた部品が届く。M端子からBNCプラグへの変換プラグだ。
前にも書いたように我が家のデジタルケーブルはWonderLink1が、AETやPAD(ドミナス)を押さえて不動の地位を確保していて、1m物をFireface400とDAC(P-3A)の間に使っている。もうひとつの1.5m物が遊んでいるので、これをクロックケーブルに使えないかと、変換端子を探したら簡単に見つかったので注文したわけだ。
ずっとPCを見続けて疲れていたので、カタツムリではなくとりあえずゼンハイザーのヘッドフォンで聞いてみたが、一聴明らかにエネルギー感や情報量がアップしているのが分かる。ずっと前に思いついていたので、こんな事ならもっと早く探せば良かった。
それにしてもヤマモッさんが「PCオーディオをやると、PC周りにケーブルがいっぱい張り付いてマトリックスに出てくる何かのようになってしまう。」と言っていたのを思い出す。その何かは今は亡きドーザーが「イカ野郎(Squid~Search
& Destroy)」と呼んでいたセンチネルの事だけど、機器の数が増えてスタジオっぽくなる。
だから一つ一つのパーツの質が音に反映するし、不思議な事にコンピュータデータの世界でさえ、ケーブル1本で変わってしまうわけだ。Wikipediaを見るとさすがにマト・リボ(マトリックス・レボリューションズ)の項はあらすじさえ未完のままだ。PCオーディオの音がよい理由も多分未完のままだろうが、経験値は蓄積されていくだろう。
イギリスに注文したデジケーは来週届くはずなので、これはDVDレコーダーの東芝RD-Z1からの同軸音声をFireface400につなぐのに使おうと思う。
('07.2.28)うう、すっかり冷えてしまった。BSアンテナのセッティングをベランダで始めたが、うまく受信ポイントが見つからない。BSデジタルならケーブルのeo光テレビを申し込んだ方が簡単なのだが、僕にはBSアナログも必要なので、何とかアンテナで受信したいのだが。
寒い中でやっていると3時間もすると芯まで冷えてくるので、今日は中断した。またトライしよ。
先日カタツムリのベースの下にステンレスのトライアングル・ベースを入れてもらったら、音が激変してモニター風の高解像度な方向になってしまった。僕的にはもう少し朗々と鳴らしたいので、以前の音も少し恋しいが、確かに前は床やあちこち鳴っていたところもあったと思う。ま、そういう点ではディテイルの出方は非常に良くなっているので、これはこれで使い込んでみよう。
沖縄の友人から借りたデジケーをクロックケーブルに使ってかなり良くなったので、その絡みでいろいろと改善の方法を思いつく。世界同時株安の折から英ポンドが下がったので、せっかくの機会だから(要は理由付け)と昨夜そのケーブルを発注した。これはBNCかRCAのどちらでも使えるし、
安くてとてもバランスの良い音の、しかも細くて取り回ししやすい良くできたデジタルケーブルだと思う。
カタツムリはまだまだ鳴らし込みんで足下を固めたいので、オフ会は4月以降に落ち着いてからゆっくりやる事にした。当分は手持ちのソースをじっくりふるいに掛けよう。
若きオーディオファイル達へ(2)
「急ぎすぎてはいけない!」「答えは誰かが持っているものでも、どこかに転がっているものでもない!」
古代エジプトあたりにも「近頃の若いもんは.....。」という繰り言が壁画の中に象形文字で残っているくらいだから、今更の話しではなく、ドライに切り分けてみよう。
1.経験値が少なく、あるいは強い信条を持ち、あれこれと引ける補助線が少ない場合には、どうしても短絡傾向の話しになりがちだ。これは若い人だけではなく、年配の方にも案外おられることがある。
2.エントリー機から入って、というパターンが崩れている。いいエントリー機があまりない、というのもあるが、一方で成果を早く得ようと、いきなり高価な装置に手を出したり、オークションなどで後先考えずにヴィンテージに手を出したりする傾向がありはしないか?
エントリー機を使い倒して、「体感する経験値」を十分積んでそれからグレードアップしていくのが、本人の耳とセンスの成長にも合わせられるので、本当は一番良いと思うのだけれど。
3.今のオーディオは高すぎる。そこで雑誌などのイメージを膨らませて試聴会に行ってとりあえず聞いて、頑張って100万単位のお金を掛けて装置を揃えたら、「当然良い音がするはずだ。」と「あがり」をすぐに実現しようと追い求めるのは心情として誠によく分かる。高価な装置は素晴らしい音を出すに違いない、という「神話」は必ずしも正しくはなく、結局は耳と使いこなしだと言うところに至るにはいろいろと機器を使い込んだり失敗もしなければならないのだが、高価過ぎると、そういうトライも出来ず経済的にも身動きがつかなくなる。
4.どこかのサイトや雑誌に答えが転がっているわけではないことは、一応頭の中で分かっていても、どうもネット中心の人にはそういう傾向があるような気がする。写真を見ただけで分かったような気になる、と言うのもその一つではないかという気がするんだけど。
5.読者訪問で凄い機械を使っている人達は凄い音を出してるんだろうなあ、評論家は夢のような音で聞いてるんだろうなあ、というのは雑誌が煽るどちらかと言えば「幻想」に近い世界ではないかなと、僕は思っているのですが。
つまり「誰か」のお宅に答えがあるのではないか、というのはあまり期待されない方がよいのではないか、あくまで「参考」ではないか、と僕は思う。
人のお宅にお邪魔したら早速細かい観察を始める人のことは前回書いたが、アクセサリーマニアがはまるように部分をかき集めても全体にはならないことはおわかりいただけるだろう。あるいは自分の持ち込みソフトを持って行くのは良くある事だが、いくつも持って行ってあれもこれもかけろ、などと言うのはどうかと思う。まずは、そのオーナーが鳴らす音を虚心坦懐に味わうべきだ。
旅行に行っても写真ばかり撮る人は、心の中に印象を丁寧に焼き付ける余裕がない。
若きオーディオファイル達へ(1 補助線編)
最近若い人と接触する機会が増えてきて、とても楽しくて良いのだけれど、一方で「危ういかも.....。」、と感じる場面もかいま見られる。ここで、少しいろんな事を整理してみたいと思います。
まず個々のテーマに入る前に、このあと何回も使う若干の補助線を用意しましょう。いわば横糸、あるいはCommon Thread。
(あ、うちでオフ会やるときにはせめてこれくらいのことは読んで考えてから来てね。)
補助線A「全体は部分の総和ではない。」「木ばかり見て森を見失う事なかれ。」
例えば人のオーディオルームに入ってくると、いきなり装置の方に行き、ラックの中や電源周りなど細かく見ていく人は実に多い。果ては「ブログに載せるから。」といって写真を撮りまくったり、メモしたりする方もいるそうだ。
こういう人はまず「分かっていない。」か、「分からない。」ことが多いようだ。
例えばある対策をしていたとして、その人がどういう意識・方向(堅くするのか、柔らかくするのか、締めるのか、ゆるめるのか、etc.)でそれを講じたのか、それをちゃんと理解しないでノウハウ集としてリストアップしていっても、バラバラな寄せ集めでしかない。結局その人がどういうふうに鳴らそうとしているのか、その方向性や文脈の中で見なければ、それは意味をなさないし、そんなことを細かくヒアリングしていったら何日もかかるだろう。
テクニカルな事ばかりこだわっていたら、せっかくの全体像がつかめないし味わえない。心の中にこそその経験を残さなければ、自分の糧とはならない。
勿論、細部に宿るマニアックな神もいるのだけれどね。
補助線B 「自分探し」「才能とは想像力である。」
石垣島の古いことわざにこういうのがある。「慶良間諸島は見えるけれども、自分のまつ毛は見えない。」(キラマー見ーゆしが、まちげー見ーらん。)
自分が欲しい音や響きがどういうものか、実はよく分かっていない人の方がずっと多いと言って間違いないと思う。たいていの人は雑誌で読んだ記事などで頭の中にイメージをもったり、何かの機会(オーディオショーや試聴会、オフ会など)で聞いた音のイメージから、「大体こうかな~」「やはり高価だけれどあのブランドが良さそうだな~」という漠然たるイメージを持つはずだ。
でも、実際に経験した音よりも、文字情報から頭の中で構成されているイメージがもの凄く大きいことに気がついているだろうか?
ひとによっては、あきれたことに聞いてもいない機器同志を比較したりする。これってマトモだと思う?
オーディオというのは
(1)自分が欲しい音のイメージをつかみ、
(2)それを具体化していく作業だ。
それははじめから「好み」としてあるものと言うより、当然その人の音楽経験やオーディオ経験と一緒に成長していくものだ。結局は「自分探し」なのだ。
補助線C 「雑誌やサイトから音は聞こえない」「オーディオは実際の音が勝負だから、聞いてなんぼ」
もうよくおわかりのはず。でもショールームも少なくなったし、試聴会なども地方ではほとんど接する機会がない。すると、数少ないからなかなか聞かせてくれない権威的なショップでの「ちょい聞き」か、雑誌での「イメージづくり」くらいしか方法がない。地方のオーディオファイルが雑誌などを見て、「誰それがこう言っているから」と聞きもせずに電話で注文している例はもの凄く多いはずだ。
ではどうするのか?ご自分が動かれる他はない。日本橋はしょぼくなっているので正直お勧めできないが、出張のついでや「えいやあ」で東京に行くのは不可能ではないはずだ。
補助線D 「『好み』で済ませると、そこから先がない。」「自分を相対化する努力がないと、自分の立ち位置も見えない。」
確かにオーディオは自己満足の世界なので、ご自分の「好み」に合う音で好きな音楽を楽しく聴ければいいのだ。だけど、「好み」で押し切っていくと陥穽にはまる事もある。好みの音のパーツ同士をセットして相乗効果で過剰になったり、別の1点を変えたら全体のバランスが崩れたり、何よりも人が出している音に対する感度が落ちる。だから、自分の立ち位置が見えなくなって蛸壺になりがちだ。
結局、好みは好みとしてあって良いのは当然だが、それを自覚して自分を相対化して、人の出す音の良いところを吸収していくような姿勢がないと、自分の感覚も充実しないし、人と話しが通じなくなる。
場数を踏んで、自分を磨けば、自分の音も広がりを持って良くなっていくんだよ。
補助線E 「技術的論議は不可欠だが、技術で全てが決まるわけではない。」「決めつけてはいけない。決めつけが強いショップやサイトは信用しない方が良い。」
この素材を使えば、使わなければ良い音にならない!この回路が!この構造が!この機器が!と業界はやかましいところだ。
考えても見られよ、オーディオにはパラメーターが多すぎる。そのうちの一つや二つをさわるくらいで鬼の首を取ったように誇れるものか?
勿論、技術的知識や検討は必要だ。だが、それだけで決められるものがオーディオ界にはどれくらいあるだろう。必要なのはバランス感覚と耳だ。
決めつけが強いショップやサイトは自分で「伝説」をつくりだし、それで人を説得しようとする。そんなものはティッシュ配りと一緒で、横目で見て通り過ぎるだけで十分だ。間違っても信用しない方が良い。
('07.2.26)引っ越しでCDやLPを買わずに来たので、物欲過熱気味かというと、不思議なことに全然そんなことは無い。
一つには引っ越しで整理しながら、、いかに自分が沢山の資産を持っているか、それもまだきっちり聞けていないディスクを含めて沢山持っているかに気がついたからだ。年齢的な事も、僕固有の身体的事情もあって、これからは「引き算」の時期だと思っている。ノーチラスという柔らかい解像力の塊のような鏡で、持つべきものだけを絞っていく、そういう時期だと。
それともう一つは今、一番欲しい仏アルファや端パン・クラシックスなどは東京に行ったときに山野楽器で買っていることと、音と戯れる会の4月か5月例会あたりで、取り扱いのマーキュリーに来てもらって行う試聴・即売会を心待ちにしているからだ。まだ見ぬCDにも出会えるだろうし、バックステージ話しも含めて直接聞いて買えるなんて、素晴らしい事ではないか。
大阪ハイエンドオーディオショーでもかなりCDが並べられていたが、何人の人が知っていただろう。知られていないだけで、ヨーロッパには素晴らしい演奏者や録音エンジニアがいっぱいいるのだから。
「フーガの技法」というのは、気を長く持って聴く音楽という印象がある。つまり退屈さに備えて、と言うわけだ。それならスピードアップして聞けそうなこれの方が話が早そうな...。
このアンサンブルはLPでいろいろ持っているが、いやワクワクする躍動感。退屈さとは無縁のパワーに期待しよう。
('07.2.24)結論:オカン防護柵は、オカンの物干し攻撃を撃退できない。張り紙してもオカンの頭の中には入らない。
まだ風邪が治りきっていないので昼軽く寝て起きたら、スピーカーの周りが洗濯物で満艦飾!中にはじっとりのジーンズもある。
怒ってすぐに全てはずして、廊下に物干し場を設けてそちらに干せ、と言っても、1分もすればうろうろと未練がましくまた干しに来るのでまた怒って追い出す。
椅子などで遠巻きにしたが、どんなに頼んでも怒っても、オカンにはそんなこと頭に残らないんで、これも時間の問題で物干しされるだろう。
いつも監視するわけにもいかず、こんな騒ぎを繰り返すのもばからしいので、見かけ上も音的にも悪いが蛇腹のスクリーンできっちり遮断するようにしようと思う。つまりカギを掛けて入れないようにして事実上別の部屋にしてしまう。でないと買い物など外出も安心して出来ない。
幼児が台所や危ないところに入れないようにする「ベビーロック」と同じだ。やれやれ。
('07.2.23)オンキョー「AVパソコン」HDC-1.0が3月上旬に発売されるとのレポート記事がサイトにあった。
外観は格好の良いミニコンポで、リモコンも付き、96/24対応やノイズ対策も講じており、サウンドカードでは定評あるオンキヨーなのでその点は期待できる。そして最新のWindows
Vista 搭載とのこと。PCオーディオへのメーカーからの答えの一つだろうが、その中身は「?」が多い。
1.「リモコンのCDスイッチを押すと、PCとの接続中とのメッセージが最初に表示された後、CarryOn Music 10が起動し音楽の再生が可能となる。」そうで、リモコンの機能はいろいろあっても再生ソフトが限られる。
2.「DVDスイッチを押すとPowerDVDが起動してビデオの再生ができるようになっている。」「CarryOn Music 10およびPowerDVDの操作が基本であって、これ以外のアプリケーションを割り当てるといったことはできないようだ。」同上。
3.「出力はRCAピンのステレオLINE OUTと光デジタルのみ。また入力もRCAピンのステレオ LINE INのみだ。」で、これだけでなくUSB2.0ポートも2つあるようだがASIOやCoreAudio対応は詠っておらず、入出力インターフェースがあまりに乏しい。
つまりリモコン対応である限りあてがい扶持のソフト以外は使えず、サウンドカードの音質以外にはほとんど期待できるところはなく、拡張性には極めて乏しい。
筆者は、「実際手持ちのアンプに接続して音を出してみたが、オーディオ機器としてまったく違和感なく使える。個人的には実売21万円という価格を別にすれば、初めてこの手のPCで欲しい気になる機材に仕上がっていた。」と述べている。21万あれば結構いろんな事が出来ると思うのだが、果たして皆さんは物欲をそそられるであろうか?
('07.2.21)機器の再配置は片付き、後は映像機器を残すだけとなった。映像機器関係の方もまとめてしまいたいが、アンテナのセッティングなどややこしいものも結構あるので、それなりに時間がかかる。
明日から母がお泊まりに来るので、むしろ初お目見えのカタツムリとちゃんと共存していけるかどうかの方が大問題だ。よって、具体的には来週まで進展は特にないと思う。どうなりますやら。
('07.2.16)いろいろあって機器配置を抜本的にやり変えている。アナログ・フォノイコを残し、他は全てセンターに収容することにした。
理由は今までの配置だと、カタツムリの角の後ろをうろうろせなばならず凄く危ういことと、ラインアンプとフォノイコを分けて、プリ・パワー間のケーブルを短くしてみようと言うこと。そして、カタツムリ関係のSCR
Line は、安全のためWBT0144のプラグを付けたものに変更する。
しかし言葉で言うのと違って、電源も全て配置換えせねばならず、なかなかに大変。明日明後日までかかるだろうなあ。ふう。
('07.2.15)ぼーっとシステムを眺めていると、純度と蛇口全開をせっせと求めて、いつの間にかとんでもないところに来てしまったのだなあ、としみじみ思う。
例えばアナログプレーヤー。アームはエアーベアリングのリニアトラッキング。つまり空気で浮かせてLPの溝に沿って水平に動いていく。こんなマニアックなわかりにくいアナログを見ても、若い人の参考にはならないだろう。
水平は勿論きっちり合わせた上で、針のトラッキング角度まで調整しなければ行けないが、アナログからスピード感の高い音を出すにはこれが良かったし、必要だったのだと思う。ヨーロッパタイプのものは細かい調整が出来ず総じてアバウトだと思っているので、アームに関しては僕は断然「アメリカン・ハイエンダー」だ。
カタツムリについてもいろいろ聞かれるが、あれは密閉でもバックロードでもなく背圧を消すための「消音管」であり、さらに恐ろしい事に振動板は文字通り(ほとんど)宙に浮いている。ストレスフリーな軽い振動板を強力な磁気回路で駆動して、あの軽々と隅々まで浸透していく音を出しているのだ。
喜んでばかりはいられないわけで、一方で、細心の注意を払わないと、少しのショックでユニットが壊れてしまう。ボディはレーシングカーの製造会社が製作しているが、文字通り本当にこれはF1なのだと、骨身に染みた。しかし、これもまたオンリーワンの音を出してくれるから、とても手放せない。
カタツムリたちと暮らすのもなかなかに大変だわい、やれやれ。
('07.2.14)オーディオは人にもたれかからず自分で考え判断していくべきものだが、一方で一人だけでやると方向を見失ったりしがちだし、せっかくのチャンスや情報を見逃すことも多い。
昨夜東京からの帰りで寝こけてしまってドライブケースを落とし損なったと思っていたら、技術にもコンピュータにも詳しく、意欲を持った青年が代わりにゲットしてくれていた。感謝。
おお、そうだ。PS AudioのUSB付きDACはとても音が良く、オーディオ的なデザインで納まりも良い。いわば乗り心地が良く燃費が良いセダンだ。
こういう音のいい商品が質(ブチッ!はなし)・量(すぐに買えること)ともに安定して供給されることが、安い費用でいい音を聞けることにつながり、結局はオーディオ機器も売れると思うのだけれど。だってみんな、結局は浮いたお金で良いスピーカーやアンプを買いたくなるでしょ?
それに比べれば業務用のデジタルインターフェースは「聞き専」は全く使わない録音機能を始め機能満載で、マルチを含む「拡張性」とクロック、電源などの外部機器の活用による音質追求にポイントがある。まあ言ってみればもの凄くあちこちいじれるF1のようなものだ。
いろいろあるけれどDTM機器はそれらの中間にある。
どちらにしても自分の志向やスキルに合わせて選択すべきものであって、欲をかくとひどい目に遭うのは浮き世の定めというおきまりだ。
でもこんなことを確認できるのも、場を提供しようという主宰者がいてくれて、そこに情熱を持った人達が集まっているからこそだ。単なる数の力ではなく、「それぞれの多様性を持っていい音と音楽を追究する数から生まれてくる力」なのだ。
('07.2.11)BOSEのマイクロスピーカーM3とTASCAMのUSB2.0インターフェースUS-144を友人に譲ることにして、東京へ発送した。
どちらもそれはそれなりに使いもし、今後も使い道はあったのだが、HPを見てわざわざM3が欲しいと言ってくれたので、「ではでは」、という運びとなり、US-144の方は僕から提案して先方も、「実は」、というお話で結局セットでお譲りすることになった。
実はUS-144は折に触れて書き、あちこちで言いもしたので、音と戯れる会あたりでなくても少しは反応があるかと思ったのだけれど、オーディオ側では反響はどうもないようだ。
何十万、何百万でなくてはいい音が出ない、という思いこみは製品選びの目を曇らせる。僕が使っていたM-AudioのFireWire Audiophile は今、オーディオシステムの一員として日々立派に活用されている。数万円でも勉強してその拡張性を理解できる人ならば、これらのインターフェースでとても立派な音を出せるのだが。
幸い今回の嫁入り先は技術にもコンピュータにも詳しく、意欲を持った青年なのでちゃんと活用してくださるだろう。
('07.2.9)ノーチラスについて友人諸氏からいろんなメールをいただく。皆さんお祝いと共に「どんな音か?」とおたずねになる。ところがこの答えが難しいのですね。皆さん、おおむね、形状や雑誌の記事、それも傅信幸さんの記事あたりから既にイメージされているようで、当然言葉だけの世界だと結構なずれも生じうる。大変偉そうに聞こえるかも知れませんが、僕は僕の求める音と音楽のイメージに基づき、僕なりの音で鳴らそうと思っているので、ここはむしろいくつか僕の思いを書いておきたい。
1.まず、僕は「ハイエンド的」(これも誤解を生みやすいが敢えてこう書こう)な音を出したいと思っていない。具体的には真空管を使ったプリ(Music Reference
RM-5 Mk2 改)を「ハイエンド系」の機器に換えればすぐにそうなるだろう。しかし、僕はまずはヴィヴィッドな生命力に満ちて音場感を備えた音が好きだし必要なので、そうする気は全くない。
練り上げられ、磨き上げられた人工的美音の世界というものは確かにあってトータルとしてそれは素晴らしいし好みに合えばそれは本当に幸せなわけだが、チェンバロを1曲鳴らして電気くささにげんなりするような機器には、とても興味は持てないので、「どうぞ勝手にやってくれたまい。」ということに相成る訳だ。もちろんハイエンド系の機器が全てがそうだという事ではないので、念のため。
勿論、DACTのラインアンプ基板でラインアンプを組めば、チャネルセパレーション120dBなどの高スペックでなおかつちゃんと人肌になるだろうし、いずれはそれも試そうと思っているが、今すぐにそれをするつもりはない。
2.マランツプロフェッショナルPA-02は本当に良くできたパワーアンプで、「ハイエンド的」な音場表現も難なくこなすが、ちゃんと温度感や質感も備えている。ブリッジなのでA級領域も広く、長時間使っていても低域も含め温度インジケーターは動かず熱くもならない。カタツムリたちには余裕は必要だが、常時大めし食らいというわけではなさそうだ。勿論、アンプは消耗品だし後継も必要になろうが、まだまだ先の話しだ。
3.ついでに書くと、「常時通電」などというのは実にばかげた話しです。「うちのアンプはオンしてから半日ぐらい経つと音が良くなるんで....」などと言っていたら商売にならないので、プロのスタジオなら正月以外は電源を落とさない、などというのは当たり前の話しだ。
そのかわり業務用の世界では、一定年数経つと全て機器を入れ換える。(スタジオ放出品というやつだ。)
コンシュマー機器ではそんな入れ換えを前提としているはずもその度胸もなく、結局は点けっぱなしで機器を傷めつけるだけだ。第一、何日も経たないと、あるいは常時誘電しないと音が安定しない、あるいは良くならない機器などというのは、基本的に何か問題があると僕は思う。馬鹿でかい容量の「コンピューターグレード」(お笑いぐさだ)のコンデンサなど積んでいればそうなるかも知れんが、導通角とか電源のスピードやスムースさは本気で考えているんかねえ。大事な機械を長持ちするようにちゃんといたわって使えないものかねえ。
ま、分かった上でやっておられる分には、何も問題ないんですが。
('07.2.8)朝から小さな音量でカタツムリをならしていると、オキナワのオーシロさんが、ピーッとか変な音がするという。iMacが時々うなるのでそれじゃないかと言っていて、彼が帰ったあといったん電源を切り、再度オンしたら右のカタツムリのミッドバスから突然「ブーっ」という結構大きいバズ音。話しをしながらでも分かるとは、やっぱり耳のいい人だ。
アンプよりもこれはケーブルがらみだろうと、テストスピーカにつなぎ替えてチェックをした。
ノーチラスの場合、各チャンネルともバージョンの揃ったインタコが必要なので、中古でAET SCR Line Spec2004(既製品)の1mを4ペア買いそろえている。
これはとてもいい音のケーブルだが
1.コレットチャックのプラグの角度が独特で、受け側のRCAジャックの形状・大きさによっては浮きやすく、締まりにくい。内側をラジペン(ラジオペンチ)などで軽く締めて、常に押しつけながら外側のバレルを回すなど、確認しながら締める必要がある。
2.芯線とプラグの接続がネジどめ(6角レンチ)なので、ここが甘くなるときがある。
という欠点がある。
(プラグに関しては若干の音質の違いはあるがWBT-0144の方が、ストレートな形状から機械的にも、端子が半田付けである事からもはるかに安定感がある。)
案の定、芯線とプラグのネジどめを増し締めしてバズは納まった。
それと中国へ発つ直前にMac BookProがおかしくなって、デバイスマネージャーに黄色のびっくりマーク続出となっていたのは、MacのドライバーCDを入れ直して、さらにRMEのドライバもいれ直してようやく復旧した。やれやれ。
今夜から母がお泊まりに来るので、当分カタツムリの出番はない。それどころかオカンの物干し攻撃からカタツムリを守れるかどうかも分からない。写真はタンノイのスピーカーではありません。ディノスから通販で買った麻張りの3連パーティションとトラロープでオカン防護柵を作ったところ。果たしてどうなりますやら。
('07.2.3)ノーチラス導入の時に、持ち込みのスペシャルCDトラポ+クロックに比べて我が家のPCオーディオがいまいちだった理由が分かった。まことにお恥ずかしいが、クロック・ケーブルの接続を間違えていて、RosendahlのクロックではなくRMEの内臓クロックで動いていたに気がつかなかった、という次第。
再度聞いてみると、記憶との比較だがかなり良い。強いて言えば、我が家の方がソリッドな傾向だがこれは新電源を製作すれば何とか出来ると思っている。予算規模1割程度でほぼ近い所まで持って行けると思うし、もし越えられれば痛快ではないか。
このHPの読者の中でもしRMEなどのデジタル・インターフェースの導入を考えておられる方があれば、改めて整理するので少しお待ちいただきたいと思う。
デジタル・インターフェースは
1.マルチの出力を扱える。
2.外部クロック、外部DACなど拡張性が高く、音質などをコントロールできる幅が大きい。
というところがミソなので、こういう業務用機器をコンシュマー用の2chにオーディオに単純に使うには少ししんどい所がある。というか根性とセンスのある人にしかお勧めできない。
一方、これまではUSB入力付きDACには事実上CECぐらいしか無かったのだけれど、お茶の水のヤマモッさんのところではPSオーディオのDACの評価がとても高い。今度の12日の音と戯れる会例会ではその他の機器やソフトも含めて皆でいろいろ確認できるので、かなり方向性が見えるのではないかと思う。
そのあたりを含めて今一度整理したいと思います。
ま、いつも言うことですが、聞きに来ていただければ一番はなしが早いんですがね。(笑)
※4日~7日と中国行きのため更新をやすみます。
('07.2.2)サブウーファーD-Cube2を沖縄に嫁入りさせた。長い間使っていたような気がしたが、まだ4年も経っていない。音と戯れる会に入ってヤマモッさんのところで威力を痛感してから買ったので、戯れる会歴はそれよりほんの少し長い事になる。
手放した理由はひとえにカタツムリ君たちが「超低域も僕らが見ますからね。」と言ってくれたからであって、サブウーファーには何ら不満や問題はない。将来スピーカーをダウンサイズするとしたら、高性能の小型スピーカー(バイアンプ)+D-Cubeというのが最も有力な候補だと思っているくらいだし。
ついでにシルバーというのはあまり無い色なので誤解されないように書いておくと、うちのカタツムリたちは標準仕様の製品です。というかこの製品自体がスペシャルなので、それしかないそうです。チャンデバだってややこしすぎて実際に製造に当たっていたクレルも投げ出したくらいだから、スペシャルなものなど作れるはずがないではありませんか。
('07.2.1)ノーチラス導入に当たってお世話になった方にお礼を述べさせていただきたい。
まず沖縄・那覇のSさん。大変な努力と情熱でノーチラスを導入されて、透明感溢れる音を求めてまだその探求は途上と言われるものの、透徹した鋭い感性には感銘を受けました。アプローチが違うので、鳴らす音がこれからどうなっていくか、お互いにとても楽しみです。
そしてSさんのお話の通り3日目ぐらいから音ののびがどんどん良くなってくる。
今、朝から聞いているのはアンドレ・シャルランが1954年にワンポイントで録ったクープラン「ルソン・ド・テネブレ」(エラートLP)。この華やかさを含みながら奥ゆかしい音楽に誠にふさわしい奥行きのある響き方だ。オルガンの深い音の下支えもあり、音量を上げなくても、音楽は十分に感じ取れる。
そして岡山のショップAC2(Audio & Cinema)。実は岡山に凄いショップがあるらしい、と言うことを聞いている人は多いが実際には知らないわけで、ロンドンのK.J. West one を思い出させる知る人ぞ知る存在のようだった。
実際に遊びに行ってみると、ショップと言うよりは開発にも携わっているワークスのようなスペースで、マスターテープの音をリファレンスにしながら、メーカーに要求をぶつけてカスタム製品として結実させていくあたりは、とてもただのショップではない。実際、そんな風に情熱を持ってオーディオに取り組んでいるショップが全国にどれくらいあるだろう。部屋の響きについても豊富な知識と対策のノウハウがあり、誠に頼もしい。
勿論僕にはこれまでお世話になったアサヒステレオセンターがあり、こちらはまたハイエンド機器についての深い造詣をベースに自分たちでさっさと修理してしまうくらいの技術力を持ち、 地元の日々のプライマリーショップとして様々なことでこれからもお世話になるわけで、頼りになるサポーターの層が厚くなるのはユーザーとしてはまことにありがたい。
皆様、今後ともよろしくお願いいたします。m(_ _)m
(写真はノーチラスの横に立たれるAC2の熊代社長。実際のノーチラスの大きさがよく分かります。)
('07.1.31)ノーチラス雑感
1.冒頭にこれだけははっきりと書いておきたい。ノーチラスは確かに「ハイエンド」クラスのスピーカーなんだろうが、僕は「ハイエンダー」を志向しているわけではない。もっとシンプルな形で求める音が出てくればそれで良かったのだが、出会ったのがこのカタツムリたちであったと言うだけの事だ。
ハイエンド「的」な音場感は好きだし、情報量は蛇口全開で欲しいが、薄く冷たいワイドレンジの求めてもきりがないホログラフィックな世界をさまようつもりは毛頭無い。広く開かれたオープンエアーな窓と人肌の親密な音が欲しい。これからもいろいろ努力すると思うが、方向性はシンプル&ストレート、カタツムリたちとカジュアルに暮らす生活を探ろうと思う。人生は短く、あっという間に過ぎる。
2.一番懸念していたのはプリのラインアンプのノイズが目立たないかどうかだった。真空管としてはもっとも低雑音の球を選び倒しているとは言え、「サーッ」というショットノイズは陽電子がランダムに当たることから発生するノイズなので、避けがたいものだ。旧居でも少し聞こえていたが、新居になってからACT-1からはより聞こえやすくなっていた。
幸いノーチラスはトータルとしては能率が低めだし、ショットノイズは遅い淡雪の夢のごとく柔らかく広がるのでまず聞こえない。これはよかった。しかも、ボリュームを上げられるので、アンプの美味しいレベルを使う事が出来る。
3.ノーチラスは4ウエイだが、まるでシングルコーンのようにまとまった音の出方をする。そして指向性の広さは特筆モノで、PCデスクに座ってこうして斜めにノーチラスに向かっていても、iMac越しに定位感は十分分かる。キッチンにいても、おもわず振り返ってしみじみと聞いてしまう。サービスエリアは広い。
4.結局スピーカーとして求められる要素を具体化していこうとして、ノーチラスは複雑な構成となってしまった。だが、求める音のイメージはとてもシンプルなものだ。その落差が人を、何とも複雑な物思いにふけさせる。そうカタツムリたちは不思議なバランスの産物なのだ。
5."Fragile"=こわれもの。確かな存在感を持ちながら、その浮世離れした形態と構造は壊れ物として、常に注意を要求するオブジェとなっている。角が折れたら、なんてのは悪夢だ。ジュラルミンのコーン紙には特殊なコーティングがされているので、さわったら指紋がはっきり残るのだそうだ。あっと言う間に破れたりするとも聞いている。友人諸兄よ、遊びに来られても夢さわってくださるな。かけがえのないカタツムリたちなのだ。
('07.1.30)Here comes Nautilus. ノーチラスがやってきた
朝9時半には岡山からのトラックが横付けになり、まずAV関係の手直しをしてもらった後、ノーチラスのセッティングにはいる。社長を含む3人体制で丁寧に手早く作業が進む。セットアップについてはノウハウもあるので省略するけれども、介護用の背負子でいともスムースに移動させるのはプロの技だ。
そして銀メッキ・テフロン皮膜の直出しSPケーブルに、こちらで用意したカルダスの銀ロジウムメッキのYラグを半田付けする。クワドラのラックに制震用のシートを敷き、パワーアンプのマランツプロPA-02やノーチラス専用チャンデバを桜材のチップで3点支持。そして業務用のレーザー水準器でセンターを出し、直接音のクロスするリスニングポイントも割り出す。
詳細はこれも書けないのだけれど、ショップ特製のカスタム版SACD/CDプレーヤー+クロック、プリ、ケーブルで試聴を開始する。倍音が良く出るナチュラルな音。ピアノの左手の深々とした音が素晴らしい。まるでシングルコーンのような自然きわまりない定位感。
ここで我が家のプリにつなぎ換えてPCオーディオで鳴らす。むむ、倍音が少なく基音中心に聞こえる。豊かさが足りない。こりゃー、本格的な修行が必要だ。
他にもいろいろとアドバイスをもらったので、これからやる事がいくつか見えてきた。
後はご自分で楽しみながらやってください、と言うことでショップメンバー3人は帰られた。
休憩してアンプを十分暖めてから、CDだけでなく、SACDやLPなどをいろいろと聞いてみる。はっきりしているのはソースの違いを容赦なくしかし自然に再生するという事だ。SACDでのオーケストラの広がり感は本当に本当に素晴らしい。LPも最初はヒスノイズが気になるが、クオリティの高さがじわっと、はっきりと伝わってくる。そういう点では、CDは少し頑張らねば行けない。よ~し、暖めていた「PCオーディオ悪だくみ」に取りかかろうではないか。
そして、プリは当分ラインアンプしか使わないので、フォノイコと距離を離す事が出来る。ここは固定観念を忘れて信号伝送距離の最短路線で再セッティングしてみよう。
実は今カタツムリたちが鳴らしている音は、僕がこれまで鳴らしていた音と特に違和感はなく、その延長線上にあるものだ。だから、来てすぐにこんな事を考えたりできる。しかし、僕はここまでで少し疲れているし、彼らははるばるやってきたばかりだ。今しばらくは彼らとゆっくり話をしよう。君たちはどこから来たのか?君たちに出来ることは何か?出来ないことは何か?
とまれ、僕はこのカタツムリたちと一緒に知的・音楽的冒険の旅に出る。
('07.1.29)オーディオ思いこみ話 2題
明日からは新しいスピーカーの話しになると思うので、今のうちに整理を。
1.「インタコよりSPケーブルをのばした方が良い。」という話しは本当か?
音と戯れる会会員の方に「今日の必ずトクする一言」のHPを教えていただいた。こういう情報が得られるのは本当にありがたい。教えていただいたのはCDとジッターの記事で、これは読み応えがあったが、ここで取り上げるのは「オーディオの謎(スピーカーケーブル編)」。
http://tenjin.coara.or.jp/~tomoyaz/higa9709.html#970925
とても刺激に満ちた記事だが、ここで参考にしたいのはスピーカーではエネルギー変換をしているという事だ。だからヴォイスコイルからは逆起電力がアンプに返されるし、アンプによっては電力のやりとりで右往左往するわけだ。
ところで、良く「スピーカーを離れた位置に置く場合、インタコよりSPケーブルをのばし方が良い。」という話を聞くが、これには具体的な根拠が示されてたためしがない。
インタコもいろいろあるとはいえ、アンプなど機器間の電気的やりとりであり、これはまだある程度整理が出来ると思う。しかし、スピーカーは様々だし、SPケーブルも様々だ。
考えても見られよ、電力を送り出しエネルギー変換をしているスピーカーケーブルを長くした方が本当に良いのだろうか?
はっきり言って、僕は価格の問題から来ている都合だと思っている。SPケーブルはメーター1000円でもちゃんとした音になるモノがいっぱいある。しかし、メーター1000円のインタコは使えるだろうか?一定の価格制約の中で、同じくらいの音質を確保するにはインタコを伸ばすと高くつく、と言うのが真相ではあるまいか?勿論、価格はとても重要な問題だが、技術的根拠ではない。
言いたいのはインタコを伸ばした方がよい、ということではない。あくまでケースバイケースではないか?と言う事だ。
根拠が示されない固定観念は見直してみよう。
2.「最近のスピーカーはサランネット込みでちゃんと鳴るように作られている。」というのは本当か?
先日あるところでいろいろ実験モードしていたときに、ネットをはずして聞いてみよう、と提案したら、上記のような理由ではずすことを強く反対された。
だが、考えても見られよ。SPユニットのすぐ前で、全ての周波数帯域、全ての音圧でニュートラルに作用するネットなどあるだろうか?ウイルソンオーディオのシステムシリーズのような薄いものなら何となく理解できなくもないが、枠が付いているネットなど、本当に込みで良いのだろうか?
これは「ネット込みでも一応ちゃんと聞けるように作ってある。」と言うだけのことで、パフォーマンスを求めるなら、ネットを外して音を聞いてチェックしてみるべきではないか。もしそれでつけた方がバランスが良ければ戻せばいいだけの事だ。
でもネットを外してバランスが崩れるとしたら、それはそのSPの音作りの限界を示しているようにも思うのだけれど。
固定観念で可能性を排除するのは勿体ない。
('07.1.28)ノーチラス導入ということで音と戯れる会の掲示板やメールで皆さんからおめでとうの言葉をいただく。ありがとうございます。<(_ _)>
ただ、正直に言っておくと、今でも決してウキウキではなく、むしろこの間「こんなことをして良いのだろうか?」と言う気持ちが常にあった。古いと言われるかもしれないが、僕は人には背伸びしないでやっていける「分」というものがあると思っている。そういう意味ではこのカタツムリたちはちょっとばかし、というか凄く間尺を越えている。
家を変わる、そしてより広い部屋を作る、その絶妙のタイミングでラストチャンスとして目の前に現れたときに、昨年3月に沖縄で聞かせてもらって15分後にほぼ腹を決めたのは、人生の限りある残り時間のなかでこの音で音楽を聴くかどうか、そういう判断だったからだ。僕は思いきった判断というのはそんなにする、というか出来る人間ではない。しかし、このときは「行ってしまおう、そして行ってから後悔しよう。」と腹をくくった。
勿論、それからもさんざん悩んだわけで、第一、週の半分はオカン:母がいる中でうまく共存して行けるかどうかと言う大きな問題もあった。今はあの頃よりも母の具合は悪くなっているからなおさらだ。
ほとんど相談はしなかったのだが、あんなの買っちゃだめだよ、とか言われて結構ぐらついたりもした。いまでも、ここまで来ながらまだ実感らしい実感はない。
要は悩みに悩んで飛び越えたわけで、いずれこのあたりの事は新ページにまとめようと思っている。
去年の春の段階でページのタイトルだけはすでに出来ていた。「ノーチラス、オカンと僕とときどきカタツムリ」
30日にカタツムリたちが来てから、いずれアップします。
('07.1.26)ようやく機器の配置は完了した。
右端はマラプロPA-02を4台、クレルのノーチラス専用チャンデバをクワドラのラックに積む。これで片ch分だからね。
その左隣は上段がRMEのFireface400、下段がRosendahlのクロックNanosyncsを収納する自作ラック(ハンズでカットしてもらったコーリアン板とアルミ丸棒にタップでねじ穴を切る。手が痛い。)。
空いている中段にはこれらの専用電源を製作して収納する予定。
そのさらに隣がプライトロンのアイソレーション・トランス1.5Kwを4個とそれらを入り切りするブレーカーなどを収納するこれまた自作ラック。これらがクワドラのラック内のパワーアンプ8台とチャンデバ2台に電源を供給する。
実はこれが一番しんどかった。バカ重いトランス(1個あたり12.5kg!)とやたら堅いケーブル。もう堪能した。(*_*)
手前がセンターに置くPCオーディオ/DVD再生用のMac Book Pro とドライブ群だ。自作ラック。
しかし、まだケーブル関係はまだ電源ケーブル8本の自作と、インターコネクト・ケーブル8本の色別表示分け(4chマルチの各帯域&±)が必要だ。それでようやく、このシステムに命がみなぎる事になる。ふう。
('07.1.25)夜はいろいろ聞くが、特に面白かったのがこの橋本一子「Miles Away」。18日に書いたUB-xが良かったので、検索してみて彼女がマイルスをやっているというだけで買う気になった。ところが生産完了でAmazonでは品切れだし、結局静岡のショップのサイトで在庫があったので、運良く入手できた。
これが新しいジャズのイディオムを作り出した、とまでは特には思わない。フリー以後のジャズは逆に何をやっても良いわけだし、個人のポリシーと 感性に立ち戻ってしまったような所がある。スタイルがあった方がわかりやすいし、乗りやすいし、皆でやりやすい、という事なんだろうが、結局個々人の感性で立ち続けていかなければならないとなると拡散してしまったわけだ。
最近女性ジャズピアニストばやりで沢山出ておられて、知人が山中千尋なども貸してくれたりしたけれど、女性だろうが何だろうが要は演奏が良ければいいので、僕にはあまりぴんと来なかった。おおっと思ったのは上原ひろみだけだ。何とか言う若い男の子も指は早いが、という程度の印象しかない。オースティン・ペラルタはおもしろかったけれど。
橋本一子はとても明確に立ち上げた自分を持っている人だ。キーはそんなに沢山叩かないが、ひねりのあるフローティングコードは流れるようだし、これまでのいろんな音楽資産が彼女の中で消化されていて、「切り口」が鮮やかだ。
このCDでは彼女の突き抜けたセンスが来る。マイルスのダークな影のある曲がちゃんとうねる。そして井野信義のシャープで切れるベースがいい。結局、良い音楽を作るのはスタイルではなくセンスなんだと思う。
同時代の人のジャズを聴ける幸せ。
('07.1.24)沖縄からアンプが2台届く。これで脇は全てがそろい踏みした。そして電源関係など準備作業はあと数歩のところまでこぎ着けた。
今日は夜にはきりをつけて、ウイルソン・ベネッシュと別れを惜しむために音楽を聴く。CD(PCオーディオ)も良いが、SACDは柔らかな空気が心地良い。そしてもっとも明晰で透明感があったのがアナログだ。ケルンコンサートのステージ上の空気感、マーラーやラフマニノフではオーケストラの配置がはっきり見えてトゥッティでのダイナミックレンジにはどきりとさせられ、時には慌ててボリュームを下げに行く。このクリアさはビショップにつながる資質だと思う。LPを聞いているという意識もほとんど無く、おもいつくままいろいろディスクを掛ける。
旧居でも悪くなかったが、これはまるで皮を何枚も剥いたような音だ。粒子が細かく柔らかいので、ノイズはほとんど気にならない。
正直、このままでも良いなと何度も思った。本当を言えば、新旧の部屋の響きを確かめるためにもう1~2ヶ月鳴らしてみたいが、そうもいかないのは仕方がない。これは本当に良いスピーカーだ。本当に本当にありがとう。僕は君のことを決して忘れない。
そして30日には新しい相棒がやってくる。人によってはアンモナイトとかオウム貝とか言うけれど、僕は彼らをカタツムリと呼んでいる。シルバー、というかほのかに真珠色のそれはオリジナル・ノーチラスという。
('07.1.23)RMEのデジタル・インターフェースFireface400を買った人からメールが来た。事前に聞いていたら「これは相当に複雑な機器だから止めた方が良い。少なくとも事前に十分使いこなせる目処をつけてから買うべきだ。」と言ったのだが、もう注文したと言うから果たしてどうなるかな、と思っていたら案の定だ。
業務用だからマニュアルも知識がある事を前提として書いてあるので、わかりにくいことは当たり前の話だ。しかし買ってしまったからには、自分で読んでもらうしかない。
業務用だから当然アナログ出力はバランスであって、これまた当然ながらTRSというフォーンジャックになっている。その場合のアンバラで出すときの接続など、コンシューマー用のオーディオ機器との接続からすればもう当然必要になる話で、それこそ事前に確認しておくべき事だ。「習うより慣れろ。」も時には良いかもしれないが、どうして買う前にきっちり調べておかないのだろう。
いずれにせよ、サイトに情報はいろいろあるし、代理店に問い合わせる方法もあるし、汗をかいていただくしかない。
('07.1.22)録音現場やDTMのデジタル音楽世界がハード面ではデジタル・インターフェースなしでは成立しないことは昨日書いたとおりだが、ソフトを含めるとDAW環境というのが核になる。TASCAMのUS-144のメーカーサイトで「DAW環境がすぐに整います。」などとあるのはこれだ。
DAW:デジタルオーディオワークステーションとはパソコン、デジタル・インターフェース(Pro Toolsも強引にこに含めてしまおう)、ソフトウエア群で構成される録音・加工・編集・ミキシングなどのためのシステムを指す。勿論、組み合わせや機能は様々なのでそれぞれのスタジオが固有のDAW環境を持っていると行っても良い。例えばワオン・レコードのCDで「 Waon DAW mkIII」などと表示されているのがその例だ。(ちなみにWaon DAW mkIIIは「Waon DAW mkIIbに対し7倍以上の処理能力があり、192kHz,
24bitで8ch(今後拡張可能)の入出力を持ちます」とのこと。)
ここで明確に認識しておかなければならないことは、実際に音にして聞く直前までは、クロックに載って走っている音楽データではなく、静的なコンピュータデータの形式だという事だ。だから、例えばその一部を使ったり、一部を加工したり、別のリミックスをするような事が可能になる。(オーディオ側が一番認識していない事の一つだと思う。)
てな事を書いている間に、パワーアンプ4台とラック2台が届いた。電源の引き回しなどはまだ出来ていないし、このままで行くとACT-1と十分に別れを惜しめないままに、次の相棒が来てしまう事になりそうだ。続きは後日。
('07.1.21)最近いろんな人とやりとりをしていると、「PCオーディオ」というのは人によって違う様々なやり方があるのだなと思う。要するにどっかPCを使って音を出していればPCオーディオの部類に入るし、HDD取り込みをしたり圧縮したりいろんな楽しみ方があるわけだ。こういう風に幅広く捉えるようにしておかないと、同じ「PCオーディオ」といっても人によって意味理解がまるで違う事になるから、皆注意した方が良いと思う。
とはいえ、ことオーディオあるいは音質と言うことを考えると、CDが製作される元の状態、つまり録音現場での音に近づきたいと思うのが、やはり自然な事だと思う。デジタルだから、その可能性がそこそこあるように思えるからだ。
そういう意味では録音現場やDTMの世界では中心に位置するデジタルインターフェースというものがオーディオ側では良く理解されていない。CECのDA53にしてもUSB1.1のインターフェース+DACという構成だ。
TASCAMのUS-144あたりもシンプル・安価で高機能なUSB2.0のインターフェースだ。DACも勿論備えているのだが、手持ちのオーディオ用DACがあればそれを活用して、PCとの間につなげば、WindowsならASIO、MacならCoreAudioという高機能なサウンドドライバを使って簡単にかなりの音が出せる。BNCのクロック入力はないが、同軸のデジタル入力に外部同期させることも出来る。今、iMacに接続してBOSEのM3を鳴らしているが、ヘッドフォン出力から直にM3に出すよりも空間情報も含めたずっといい音になる。
価格的にも3万もしない安いものでバンドルソフトもCubaseLEなど充実しているし、操作画面もすごくシンプルでわかりやすいので、まずはこういうデジタルインターフェースから使ってみられるのも良いと思う。
('07.1.19)前から思っているのだけれど、オーディオではきっちり理論で解明されたり検証できていない事がたくさんあり、というか大部分で、結局は一応の理論的知識と後は経験値や聴感でそれぞれ整理しているのが現状だと思う。
ところがPCオーディオとなると皆はりきって理論で解明したがる。ヴェリファイしているから(嘘!)とか、どこかの講釈師並に見てきたかのように書くショップやサイトもあるから、ここらでビシッと決めたいと思う気持ちは分からないでもないが、実際にはそれにほど遠いのが現状だと思う。
だからといって勉強しないと、こういう連中にだまされかねないし、結局使いこなしに支障も出るので勉強するにこしたことはない。そして、録音製作やDTMのような世界の情報も集め、聴感も含めた経験値を高めに行き、切磋琢磨するのが王道だと思う。
('07.1.18)東京からの帰路に銀座山野楽器でCDハンティング。この3ヶ月ほど1枚も買っていなかったので、新鮮丸かじりという感じで長居した。
ショパンの夜想曲のいいのがないか、LPでずっと探しているのだが見あたらない。今持っているのはC.アラウ(全曲版DGG)だが少し食い足りない。もっとテンションの高い演奏が欲しい。本当は若き日のイーヴォ・ポゴレリッチに全曲入れて欲しかったのだが、これは見果てぬ夢。ということでCDではやはりこれか。
E.グリモーのはひたすら間奏曲117を聞いてみたかった。この曲には、僕の人生の中では数少ない美しい瞬間の思い出があるのだが、それはまたの機会に。
橋本一子は音と戯れる会で教えてもらったソフト。我が家で聞いたらどんな感じになるだろう。やっぱりジャズは過激でアヴァンギャルドでないと面白くない。ワクワクする期待。
('07.1.17)14日の音と戯れる会例会は14人の参加者がいてとても盛況だった。アメリカから帰省して参加された方や、思い切って北海道から参加された方もいる。和気藹々、談論風発、多彩なテーマで皆それぞれに収穫があったと思う。
「百読は一聴にしかず」というのは本当にその通りで、僕もいくつかの引き出しに整理するものがあった。
そして「初心に返る」ということも大事だと思う。新しく入ってきた人達の初々しい驚きや質問は、少し前の僕らであり、そういう「リセットして初心に返る」ことは謙虚に音や音楽に立ち向かうことを思い出させてくれる。
プライドというのは必要だけれど、やっかいなものでもあって、ある程度以上の年数オーディオをやってきて、ある程度以上の装置を揃えているひとには、「おれはビギナーじゃねえぞ。」というような感覚があると思う。むろん、それはそれで当然でもあるけれど、情報が全て入ってくるわけでも全てのソフトを聞けるわけでもないので、実際は全部は分からないし、そういう口の裏で不安なところも実はあるはずだ。こういうベテラン勢が「初心に返る」ことはまた新たなステップにもなり、自分の立ち位置を確認できるだけでも役に立つと思うのだが、ベテラン諸氏はプライド故に「知らない人達と一緒に集まって、今更....。」というような敷居を自ら作り出しているのではないかと思う。そして「常にほめられたい。」「傷つくのはいやだ。」という気持ちが、防衛本能のように働くのだろう。(大人ならそんなものはすっと流してこなせるだろうし、結果として良い音楽をいい音で聴くことが全てに優先すると思うのだけれど。)
真面目に遊んでいる男たち(むろん、女たちも)というのは、なかなか良いものだと思う。やっぱり僕は志の高い人たちが好きだ。
('07.1.13)いやあ、驚いた。CDを聞きながらケーブル造りをしていて、曲間で工具をテーブルの上にコトンと置くと、スピーカーからコトンと音がするではないか!Mac
Book Pro の下にはRelaxaをあてがっているのに、まさか振動を拾っているのではあるまいな、といろいろチェックしたらかなり高い音まで出てくる。これは振動ではない。
詳細は省いて結論から言うと、Mac Book Pro のマイクが音を拾っていた。普段はWindowsでASIOドライバを使って直にFireface400をドライブしているのだが、今日はASIO非対応の場合のCubaseLEの動作確認のため、Windows標準のドライバに切り替えて、そのプロジェクトは消したけれども、ドライバの設定だけはそのままになっていたのだ。
Windows標準のドライバの場合は、ASIOと違ってWindowsのサウンド設定に従い、他の全てのサウンドと一緒にWindowsのミキサーを経由して音が出る。そのため、サウンド設定でマイクが生きる形になっていて、音を拾ってしまったわけだ。マイクの音量を下げるとそういう音はでなくなった。
普段はASIOオンリーなので、全く気がつかなかったがPCオーディオでは設定如何によってこういう問題も起こりうるのだ。ま、ASIOの方がストレートかつシンプルに出力されるので問題が少ないと言うことでもあるのだが。
('07.1.12)日程が調整できたので、14日の音と戯れる会例会に久しぶりに参加することにした。最近地方、といっても関西、中部の親友会員が増えているとのこと。年が明けてからもさらに増えたそうだ。
名古屋、大阪という大都市圏があるし、大須(まだ行ったことなし。)、日本橋という電気街もあるし、オーディオファンの数はそれなりにいると思う。だけど公に誰でも参加できて、つまり私的なものでなく情報交換が出来る集まりのようなものは特にないと思うので、しびれをきらした人達が立ち上がり始めているのだと思う。
特に中部は熱心で、まだ東京に行ったことのない人達がすでに相互訪問を初めておられるが、これは東京だけが活動範囲ではないことを如実に示していると思います。
要するに会員宅の訪問という形で集まればいいわけだし、中部関西なら我が家も含めて集まれる場所はかなりの地域に渡るので、これからが楽しみだ。知らない土地に始めていくのは何かわくわくするものがあり、忙しいひとは日帰りで、時間のある人は一泊して土地の名産に舌鼓を打つのもいいわけだ。
例えば、昨年五月に福島におじゃましたので、須賀川方面はもう僕にとってはいろんな人達の顔や風景が思い浮かぶ地域になっている。お米と野菜のおいしさはいまだに鮮烈な印象がある。(おお、新そばが食べたい!)
なにやかやメールなどで若い人達と話しをしていると、ずいぶんと情報に飢えているのだな、ということがよく分かる。いささか性急な人も中にはいるが、交流するひとが近くにいなかったりして、雑誌やサイトだけを頼りにやっている人達もいるので、その辺も揉まれていないのだろう。
これはいろいろ経験した上で言うのだが、言葉は言葉に過ぎない。サイトや雑誌からは音は聞こえない。オーディオは音楽を聞くものだから、聞いてなんぼのものだ。ところがこれらの「言葉」を刷り込みのように鵜呑みにしたり、聞いてもいない製品を比較したりする人もいる。こういうのは危うい。
しかも言葉は使うひとによって意味や定義がずいぶんと違うし、ましてや「音質」などという感覚的な部分については絶対になんらかのずれがある。
雑誌やサイトの言葉は「情報」として一応把握しておき、聞いた上でそれを確認していく、と言うのが「経験値」(これはゲームではないが。)を上げていく、ほとんど唯一の方法だ。それはいろんな人達と意見交換をし、自分の立ち位置を確認しながら、いろんな言葉についての自分なりの「辞書」を作っていく作業でもある。そういう相互理解が出来ている状況なら言葉はとても意味がある。
だからいきなりメールだけでつまり言葉だけで問題が解決できるように思っているなら、それはほとんど幻想に近いと知った方が良い。
例えば僕が使っているカートリッジZYXは、そのとき使っていたベンツマイクロのグライダー(今のL2の前のモデル)を例会に持って行って、ヤマモッさんのところで比較試聴させてもらって購入を決めた。それなりの価格のものだし、そういう確認をしないと「言葉だけで」買うのはあまりにもリスキーだと思う。ましてやアナログはそれなりのスキルが必要で、これはいろいろやってみていっぱい経験するほかはないが、どこかで始めないといつまで経っても何も変わらない。
かといって大して経験値に寄与しない「お褒め合い」をしても仕方がない。あるいは、「これに限るんだよ。」「これを使わないのはだめだ。」というような決めつけや押しつけも御免蒙りたい。ひとは様々だから違う意見があるのは当たり前だし、それをぐっと飲み込んでおおらかに流れていけるのが大人というもんでしょう。やはりちゃんと名を名乗り、約束事を守り、礼節と品位を持って交流したいではないですか。
だから難しく考えずにとにかく飛び込んでもらえたら良いと思う。会員限定で荒らしの来ない掲示板だってあるし、機器類の巡回試聴もある。 東京に行ける機会が少なくても、それぞれの状況や機会に応じて得るものはあるはずだ。
地方のオーディオファイル諸兄よ、それぞれの地域に根ざしながらゆるやかな連携を取りませんか?
('07.1.11)なぜアナログがこんなに良いのだろう。
この部屋では旧居よりも響きと艶があり、ディテイルがずっと良く聞こえるのはPCオーディオやSACDでも分かっていたが、アナログの音は予想をはるかに上回った。
ディノ・サルージのバンドネオンがいろんなニュアンスで響きで広がる。(独ECM「ディノ・サルージ」)そしてマイルスのトランペットが柔らかくしかし芯を持って響き渡り、ハービー・ハンコックのピアノは深く沈潜し、トニー・ウイリアムズのシンバルがニュアンス豊かに描き分けられる。(「イン・コンサート」Columbia復刻)
ヴィアノヴァ・カルテットのフォーレ/弦楽四重奏では弦の擦れ音が何層にも聞こえ、ピツィカートがクリアに空間に浮く。素晴らしい緻密さ。(仏エラート)
深々とした陰影が濃く、空間に浮かぶ自由度がぐんと増したような気がする。
おそらく旧居はオール・カーペットだったので、デッドに過ぎていたのかもしれない。SPケーブルの長さもありセッティングはあまりいじれないが、そもそもこのスピーカーと過ごす時間は月末まであと20日ほどだ。まだ、この部屋のエア・ボリュームを十分に駆動しきれているとは言い難いが、とにかくいろんなディスクを掛けてみたい。
('07.1.10)昨日新居で初めて出した音には、どこか微妙に不安定なところがあり、DACのロックが時々切れたりする。勿論すぐつながるのだが。
経験からこれはアースが不安定になっているところがあるからだと見当をつけた。
過去、いわゆる電源アースについては図書館で借りた本をいろいろ読んだり、CSEのレギュレーターを使った関係から同社の資料・サイトなどを読んだりして、おおむね以下の認識を持っている。(回路アースとはまた別の観点。)
1.実際の設置条件や引き回しでころころ変わるので、うたい文句通りにアースがとれているかどうか、必ずしも分からない。例えば一戸建てでマニュアル通りに第三種アースを取りに行ったとしても、地質や線の太さ・引き回し方なども含めてそうなっていないケースは山ほどあるのだそうだ。また距離があるためにアース線がアンテナ線になってしまうケースもある。そういう場合はアースを落とさない方がよい事が多い。
2.一戸建ては勿論、集合住宅では他の部屋も含めて、アースは洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなど誘導性負荷や高電圧発生機器などやくざなアースと共用になってしまう。
3.仮に良質なアースがあったとしても、オーディオシステムからアースを落とす場合は1点のみで落とさなければならない。しかし、その場合でも機器間の電位差による漏洩電流と、それによるノイズなどは必ず発生する。つまりアースをとったからと言って、アイソレーションが不必要になるわけではない。
つまり実際の住宅でのアースの質を考えた場合アースは必ずしも必要ではなく、むしろアイソレーションの方が必要で、しかも実際的で効果が高いという事だ。
CSEのアイソレーション・レギュレーターを使った場合でも、必要に応じてアースは右、左、フローティングから選択できるようになっていた。プライトロンのアイソレーション・トランスを使った場合は、アイソレーション後もホット・コールドの極性は2次側にそのまま引き継がれる。その場合には、巻き線の終わりと始めなどからどちらをコールド側に接続するかは明示されているので、全体のシールド効果を高めるためにこれをちゃんと守らなくてはいけない。
内装の打ち合わせの時も、「オーディオ用電源にはアースはなくても良いですよ。」と言ったのだが、担当者が「やはりちゃんとつけて置きますから。」と言ったので任せておいたぐらいだ。
では、今回どこにアースを取ったかというと、デジタル機器用とパワーアンプ用に使っているプライトロンのアイソレーション・トランスのType1には1次側と2次側の間にシールドがあり、それをアースに落としてみたわけだ。
結局、それが仇となって不安定な状況になったのだろう。アースを外すとスッキリとして、DACのロックも外れなくなった。
ま、何でもアースをとりゃいいってもんじゃないと言ったところかな。
('07.1.9)ウイルソンベネッシュでようやく音出しにこぎ着けた。久しぶりにスピーカーを毛布の上に倒して、SPケーブルをプライヤでネジ止めした。汗をかく。
本来は仰角まできっちりと合わせなければならないのだが、時間がないのでとりあえず垂直角度だけ合わせた。アナログテープデッキのヘッド角度の調整なら、ティルトかアジマスの片方が未調整といったところだが、このSPをこの部屋で聞ける時間は限られているし、早く全体の傾向をつかみたいので、深夜にかけて音出しを開始した。
いただきもののジャズのライブ盤CD2枚から聞き始める。クリフォード・ジョーダンのライブは最近のアナログ収録だが鮮度感が凄い。そして、CD、SACDを次々と掛ける。
最初は随分増えた部屋の空気に少し空振りしているような面があったが、D-Cubeの調整でそれも少しずつフォーカスが合ってくる。以前の部屋は15畳で横長に使っていた。新居ではSPと機器の設置面が旧居より若干狭くなったが左右の壁との距離はほぼマッチングがとれ、反面リスニングポイントの後ろ側が伸びた縦長配置になっていて、キッチンを含め27畳になっている。旧居の床は全面カーペットだったが、新居はフローリングだ。
自分の声でも、旧居よりややライブで響きというか艶が載っている事を確認していた。自分の声は骨伝導もあるので客観的とは言い難いかもしれないが、手拍子でもその傾向は変わらない。そしてこれが「音が立つ」のを助けているようだ。
センター部分で30センチほど梁が天井から下がっている(60センチ幅)のと、スクリーン用のバトンやバトン状の天井照明など、いろいろ天井が賑やかなせいか、気になるフラッターエコーは特にないようだ。
サンサーンスの3番オルガンでは、オルガンの動きがよりはっきりとなり、ミュンシュのダフニスとクロエではコンバスの動きが艶やかな透明になりオケの配置がよく見える。全体に分厚さはまだ出ていないが、見通しはすこぶる良い。パワーつまり筋力そのもので押し出すのではなく、筋肉質のアスリートがタイミングでびしっと合わせて加速するというマラプロのパワーアンプの特徴が良く出ている。こういうスペイシーな表現がウイルソンベネッシュ本来の持ち味かもしれない。
時々ロックが外れたり、静電気が気になったりするが、大きな問題ではなさそうだ。深夜なのであまり音量を上げるわけにも行かず、また改めて昼間に外部への音量漏れチェックをかねて大音量でも試してみるつもりだが、トータルとしてはほぼ安心して進められるスタートのように思う。まずはほっとした。
此(こ)はまたも
はるばると来ぬる
深き冬
春待つ我に
東風(こち)ぞ吹くらむ
('07.1.8)セットアップしながらオーディオというのは「装置産業」だとつくづく思った。単につなぐだけでなく、ラックのスパイクを安定させたり、ケーブルの引き回しを工夫するだけで、どんどん時間が経っていく。プライトロンのアイソレーショントランスは結構コンパクトと言っても場所をとるし、AETのケーブルは堅いし、なかなか美しく収まってくれないが、これは音優先で割り切る。
Fireface400 と Rosendahl のクロックの納まりが今ひとつなので、東急ハンズでコーリアン板をカットしてもらってキャスター付きのラックを作る事にして、その図面を引いたりもした。これで
Mac Book Pro をセンターに置くことが出来るので、全体の納まりも良くなると思う。
こういうセッティング関係は後ではもの凄くやりにくくなることがあるので、先々のことを考えながら、具体的には新しいスピーカーを設置するときのことを良く考えてセッティングしなければならない。
閑話休題。沖縄でお世話になったエンジニアの方から年賀メールの返事が来て、「CubaseLEはバンドル程度のソフトで、CubaseSXなどとサウンドエンジンの造りが全然違う。機会があれば聞いてください。」との話。
でもなあ、新しいCubase4で10万円前後、ホームスタジオ用で約6万円だからなあ。CubaseLEでもぶったまげるくらい音が良いんだから、これは今後の課題として、こういうときだけ日本人のアイデンティティを活用して先送りすることにしよう。
('07.1.6)Amazonでも買える(祝!)ワオン・レコードの小伏さんのHPに、普段編集やマスタリング時のチェックに使われているスピーカー「Waon Reference Monitor」が掲載されていた。
※【Recording Monitor と Micro Monitor のページも追加されました。】
ワオン・モニターSPは、ネットワークの試作品なども含め実際に我が家でいろいろ聞かせていただいたのでとても勉強になった。特に小伏さんが手塩に掛けて製作されたこのSPは実に見通しが良く、しかも音が薄くならずしっかりと出てくるいいスピーカーだと言うことを実感している。
ネットワークについては一般によく使われる2次(12dB/oct.)では合成したときに音圧はフラットになっても位相はずれてしまうので、やはり奇数次、つまり1次(6dB/oct.)か3次(18dB/oct.)の方が位相が揃って音質がよい、という事が分かったのは大きな経験だった。このモニターSPでは我がウイルソン・ベネッシュACT-1と同じく1次(6dB/oct.)が用いられている。
ネットワークの部品は僕も良く買っているカナダのParts Conecxion などで調達されたそうで、ここに書かれているようにアキバよりずっと安く、早く、しかも沢山の種類の中から選んで買う事が出来る。
やはり良い音楽の良い録音は、こういう機器を使って作られていくものなのだなあ。僕もPCオーディオにしてから、こういうところがよく分かるようになってきたので、あまり大きなことは言えないのだけれど、これからアイリッシュ音楽などコンテンツも充実していくので、機会あれば是非聞いてみてください。
ところで、このページには「最近はあまり大きな音でのモニターはしていません。小さな音量でバランスを仕上げるほうが、最終的には高音質につながるようです。」とあったが、これも含蓄のある名言だと思う。(あ、爆音系オーディオは楽しみ方の一つだと思ってますが。これは録音のお話ですので。)
('07.1.5)ケーブルについてご自身のHPの掲示板に、モアさんがとても示唆に富んだ書き込みをされていた。
『僕はたぶん「変人」でケーブルを交換したとたん音質が変わるとハッキリ分かるようなものは避けています
長く聴いているとその「変わった」部分が耳障りになりまた交換ということを経験しているからと、もう一つケーブルはゆっくりと成長(劣化?)すると言うことです
ハーツに使っている安物のベルデンですが10年以上使い続けたものと今の同じモデル?では全然全体のバランスが違います
これは他の高価なケーブルを持ってきても同じ事です
僕はケーブルを決めたらじっくりとそれで音質を追い込んでいくと決めています』
ケーブルを「アクセサリー」と分類する向きもあるが、ケーブルなしでは音は出せないのでむしろ「基幹パーツ」ととらえるべきだろう。とは言っても「取っ替え引っ替え」しやすいので、アクセサリー扱いされるのだろうけれど。
価格は何十万もするのもあって、確かにある面凄い音はするが結局は色づけというか、エネルギーバランスの凸凹を作り出した「音作りじゃないか?」という製品や、理論は例えばカルダスの構造についての考え方やMITのように周波数特性を重視するネットワーク的考え方をはじめ、いろいろあってよく分からないし、素材も純度にこだわればきりがない。泥沼になる可能性も十分にある。
我が家の場合は、幸い音と戯れる会のおかげで早い時期にAETを自宅で巡回視聴できたのでインタコと電源はAETを採用し、デジケーは不動のワンダーリンク・ワン、PCオーディオの伝送系はモンスターに納まっている。特定の「音色」や「響き」ではなく音が満遍なく出てくる「蛇口全開」の方向かどうかで選択した結果だ。つまり色そのものの明度やマンセル何番ということではなく、色数がどれだけ沢山満遍なく出てくるかどうか、と言う事だ。
音色で選べば、他の所をさわっただけで、あっという間にそのバランスが崩れてしまったりして、無駄な投資になったりすることは良くある事だ。整えるのはそれこそ「使いこなし」のレベルで後からでもいろいろ出来る。まずはキャパを確保するのが大事だし、後はそれをじっくり使っていくのが、僕も良いと思う。
('07.1.4)昨日久しぶりにCDを聞いた。といってもPCオーディオをようやくセットアップしてRMEで聞くヘッドフォンだが、前のHD-430が壊れたので同じゼンハイザーのHD-580を買っておいたという次第。
HD-430には解像度の高さと柔らかくしなやかな音が両立すると言うことを具体的に教えてもらった。
(写真はHD-580です。)
最近「情報量」という言葉をあまり使わないようにしているのだが、それはイコール「解像度」の事だと誤解されるからだ。
「解像度」というのは煎じ詰めればエッジの立った音、つまり「ハイ上がり」の事だ。マークレビンソンが出始めて、「ハイエンド」という言葉が定着し始めた頃は、周波数特性的に明らかなハイ上がりの製品がいっぱい出ていたものだ。スーパーツイーターも結構この方向で、つまり最初に高域が来るという感じで使っている人が多い。
例えば長岡鉄男さんが言っておられたように、仏エラートのLPには「柔らかな切れ込み感」があったし、柔らかさと切れ込み感=解像度とは両立するものだと、僕は思う。