SOTA サファイア・ターンテーブル http://www.sotaturntables.com/
使いこなしフルコースp.280
以前使っていたDENONのターンテーブルとボックスは、どうしても箱の音が残ってしまい、聞きやすくはあるのだが、正確かどうかは心許ないところがあった。SOTAのサファイアはエミネントとのコンビで、ハイエンド・プレーヤーの定番だった時期がある。贅沢な無垢の仕上げが、とても美しい。(ウォルナットと思っていたら、どうもダークオーク仕上げのようだ。)
まだ、追い込みはこれからだが、演奏中にボックスをたたいても殆どと言っていいくらい音に出ない。
低音の清々しさは、大きな可能性を感じさせる。(’02.12.29)
このプレーヤーには、いくつかの特徴があります。
1.重いサブケースを使い、重量配分を均一化して、チューニングの低いコイル・スプリングで吊り下げたフローティング方式
左の図をご覧願いたい。ターンテーブルやアームが取り付けられているサブ・アッセンブリーの図。一見木の塊のケースは、いわゆる「がわ」だけ。中には4本のコイル・スプリングで、このサブ・アッセンブリーが吊られている、いわゆるフローティング方式だが、いろんな特徴がある。
①逆向きに巻いたコイル・スプリングを対角線に配した4点懸垂
普通3点が多いが、全体の重心であるターンテーブルのセンタースピンドルに向けて、振動を相互にキャンセルし、安定した状態を保つ。
また、下からの支持よりも懸垂の方が、より安定しやすい。(右図参照)
②全体の重量配分を均一にする重量調整
アームをつけるとその重さで、全体のマスの配分が変わり、不安定になる。このため、SOTAでは、アームの重さに応じて、アームボードの下に鉛ビーズ(小粒)を調節して入れることにより、全体のマス配分が常に均一になるようにシンプルな支持システムを選んでいる。
③重いターンテーブル(5Kg)を、より重いサブ・アッセンブリー(10Kg)で支持
約倍の重量で支持して、ターンテーブルの動きを安定化する。上記の結果、支持系の共振周波数は2.5Hzときわめて低い。
④重心の位置をモータープーリーと高さを合わせて上にし、縦振動を抑制
サファイアの円盤をボールベアリングで1点支持する軸受けが、レコード盤の近くの高い位置にある。
以上のような構造で、全体の「動的安定性」を確保している。さらに、
2.アクリル製のスーパーマットとクランパーを採用
外側に向けテーパーしてレコードとの密着性を高め、レコード盤とマッチングした特性の材質で、レコードの振動モードを整える。さらに、クランパーを使い、密着性を高める。
3.張力の弱いベルトによるドライブ
ターンテーブルを回すためのベルトはテンションの弱いものを使い、駆動するモーターは外部ケース側につけて、振動伝達を阻止。
4.足部分にアルミコーン(ティップトゥ)を採用
付属品はハードなゴム足だが、Sumicoから発売されていたアクセサリーのアルミ・コーンを採用。低域から中低域にかけての質感をクリアーなものにしている。
(’03.2.3)
エミネント・テクノロジー・モデル2/トーンアーム
(’02.8) http://www.eminent-tech.com/main.html
マグネシウム・パイプをエアー・フロートさせて、摩擦ゼロで完全なリニアトラッキングをさせるという優れモノ。
カートリッジと反対側のウエイト部分でラテラルバランスも含め、スタティックバランスをきめ細かく調整できる。また、カートリッジ針先位置を変えずに針先が盤面に当たる垂直トラッキング角度(VTA)を微調整できる、VTA(ヴァーティカル・トラッキング・アングル)調整機構を持つ。調整箇所は多い。
このアームが本ADプレーヤーの「キモ」である。
●まず第一に、レコードに張りをおろしたときに、盤自体の「ザザザザ」とかいう音(サーフィス・ノイズ)は別として、リード溝での「ゴー!」とか周期を伴った低い音があまり聞こえない。
またレコードの「反り」や「偏心」も音に反映しにくい。この間、アームは終始機嫌良くレコードに沿って、スイスイと滑るように動いているだけである。(コーン紙のゆれはあるが。)
●第二に音場感がまことに清々しく広がる。
●第三に低域の分離が良い。バスドラムとベースをソリッドに軽々と描き分ける。
●第四に垂直トラッキング角度の微調整がものすごく音に効く。高域の分離やアタック、音場感など、スイートスポットにあたれば、情報量が格段に増えフォーカスが決まる。
友人たちが初めて聞いたときに、「LPがCDのように聞こえる。」といっていたのも、これらの効果であろう。
もう、以前使っていたSME(3009s2Imp.)などには、正直言って戻れない。
また、山本耕司さんの関係者多数がゴールドムンドを使っておられるのも、もちろんターンテーブルの凄さもあろうが、リニアトラッキングが効いているのではないかと思っています。
前に説明してよく分からないと言われた事があるので、少し触れておきます。エミネントの大きな特長に、レバーを操作することでカートリッジのVTA(垂直トラッキング角)を
1.演奏中に、つまり音を聞きながら
2.針先を中心に円弧を描いて、つまり針先位置を変えずに
3.連続して可変できる。
と言うのがあります。
まずVTAとはなんぞやから。左図は下記のサイトからコピりました。
http://www.xs4all.nl/~rabruil/ttadjust.html#VTA
要するに針先が何度の角度で音溝に当たるかと言うことです。シュアーV15は15度で、最近は20度くらいが多いようです。
例えば、サブで使っているベンツマイクロ・グライダー(初代)の場合は22度で、しかも「カートリッジの後ろ側をわずかに下げるように」という指示があります。
●モノラルの場合、垂直成分がないので無視できます。
●丸針の場合は、針と音溝の接触点がまさに「点」なので、垂直トラッキング角が多少変わっても影響は少ない。
●問題は「ラインコンタクト針」の場合。
この場合は、音溝と「ライン=線」で接するので、垂直角によって接触する接線の当たり方が変わってしまう。当然音質も変わります。
通常のアームでは、これは「高さ調整」の世界です。しかし、高さを変えると、当然針先の位置もずれてしまいます。第一、演奏中に変えられないし、ビスで留めるような構造では変えられる高さの幅にも限界があります。
※ちなみに、これと同様に水平トラッキング角の問題もありますが、これはラテラルバランスと合わせて調整すべきものです。水平についても押さえなければならないポイントはいくつもありますが、ここでは省略します。
と言うことで、いかにエミネントがユニークなアームであるかお分かりいただけたと思います。
、ZYXは「レコード面に水平に」というのが指定のようです。んで、ZYXについても、音を聞きながらVTAを動かしていくと、これがかなり変わるのですね。シンバルやパーカッションのスピード感やバスドラのソリッドさや、高域低域のバランスなど。勿論、各レコードによっても変わるのですが、ある程度経験すると数枚のディスクで「大体この辺」というポイントを割り出せます。
そうすると、もうこのスイートスポットを動かす気など無くなるわけです。ましてや、カートリッジの交換など「やってられるかよ。」という事になります。
形はオフセットアームでも、グラハム・エンジニアリングやクリアオーディオなど、こういうマニアックな調整ができるアームは他にもあるわけです。
こういう場合単にカートリッジを交換する、という段階は傾向を聞くだけで、いわば「顔見せ」程度の話になります。真価はその後に調整を重ねて発揮されるわけです。
何故、僕がカートリッジを固定して同じモノを使うのか、というのは以上のようなわけであります。
お疲れ様であります。m(_ _)m といっても本人はそう思ってはいないのですが。(笑)
ZYXクライオ 「R 1000 Airy-V」 カートリッジ
出力 0.24mV
山本耕司さんのところで聞かせて頂いて、グライダーやL04,ヘリコンなどとの聞き比べもさせて頂いて、その情報量の多さと、いろんな音楽やディスクへの対応力の高さに惚れて導入しました。エミネントとの相性も特に問題なく、トレースも安定しています。
グライダーと同じくスケルトンですが、ポリカーボネートのボディでわずか自重2.5g。オルトフォンで修行した技術者の手作りで、左右チャンネルが同相・同音質になるようにコイル巻き線を配置し、様々なマテリアルをクライオ処理して発電能力を高めたというモノ。巻き線はWEのヴィンテージ銅銭をクライオ処理して使用。
ローインピーダンスなのでジェンセンのJE-44とのマッチングが今ひとつのようで、ややローのエネルギーが薄いなど、現段階では、全面的に本領発揮とはいってませんが、昇圧デバイス選びが当面の課題というか楽しみ。(’03.3.19)
ベンツ・マイクロ 「グライダー」 カートリッジ
http://www.yukimu.com/jp/bms.htm 出力 1mV
以前はデンオンのDL-103FLやオーディオ・テクニカのAT-33PTGを使っており、これらで十分だろうと思っていた。しかし、一応「ハイエンド」をうたっている建前もあり、また当時はハム問題が未解決で、できるだけ出力の高いカートリッジが欲しかったこともあり、「思い切って」買ったものである。
その結果にはまあ驚いた。格の違いというか、情報量がまるで違う。細かいところまで拾って、なおかつスピードが速い。
やっぱり「ハイエンド」は凄い、ということをつくづく実感させられた。
すでに改良が加えられたL2シリーズがリリースされており、次回は針交換価格でグライダーL2が購入できるので、楽しみだ。しかし、ひょっとして上のクラスに手を出してしまうかも。(^_^;) (’02.8)
ZYXを導入したこともあり当分はお休みの感じ。いずれ、針交換価格で上位機種にアップグレードすることになりそう。(’03.3.19)
マーク・レヴィンソン JC-1 AC MCヘッドアンプ
ZYXを導入したとき昇圧デバイスをどうするかは、結構悩んだ。一時はJensenの最高級のトランス(本体だけで96,000円税別)にしようかとも思ったが、それでは着けるカートリッジがローインピーダンスに限定されてしまう。
そんなとき、山本さんの御手配でJC-1 ACとZYXのトランスを自宅で聞けることになった。結果は音場感や広がり、情報量という点でJC-1
ACの圧勝。なにせ20年以上前の製品だけに、多少の不安もあったが、音もノイズもOK。ただし、電圧は多少アンバラがあるようだが、深く考えないことにする。出力ケーブルにもAETを自作してなかなか良くなった。
とはいえ、トランスになじんだ耳だからというわけでもないが、音の粒立ちや切れという点では、いささか食い足りないところがある。電源のケミコンはアメリカ製のミリタリーグレードだが、それでもケミコンはケミコンの限界がある。そこで、三洋のOSコンに交換し、ぐっとよくなった。
MCヘッドアンプの電源コンデンサを交換(→オーディオ日記)
OSコンのブレイクインで音がどれだけ変わるか、それを見極めたうえで、必要ならオーリキャップなどをバイパスにかまして中高域の密度を上げるなりして、音質を調整しよう。(’03.5.1)
ジェンセン JE-44K-DX MCトランス
~40Ω 20dB (タカチのケースに納め、カルダスケーブルを直出し)
http://www.jensen-transformers.com/index.html
ジェフ・ロウランドが、ライン・トランスやMCトランスを各種アンプへ全面的に導入して注目された。そのハイインピーダンス用MCトランス。Jensenのホームページで見て、日本の代理店に交渉して購入した。
170KHz(ー3dB)まで高域特性がのび、20KHzでの位相ずれがわずかに10度という、トランスとしては信じられないような超高スペック。本命として、マークレビンソンのJC1-ACの中古でも探そうと思っていたが、このトランスを聞いてからは、そんな考えは吹っ飛んでしまった。ともかくも、漂うような微細なパーカッションやシンセサイザーの音まで鮮やかに分離してみせる高性能。今まで自分は何を聞いてきたのかと、空いた口がふさがらない。
今後のために、3Ω用も手に入れておこうと考えている。(’02.8)
BDR : ブラック・ダイアモンド・レーシング
「ピラミッド・コーン」とその受けの「ザ・ピット」
カーボンファイバー仕様のボード「ザ・シェルフ」(写真なし)
これらのパーツもこのADプレーヤーの「キモ」である。エミネントのアームとこれらのコーン等がなければ、アナログはCDに対抗できていなかっただろう。
「ザ・シェルフ」をはさんで上下に「コーン」の先端を向ける「ダブル・コーニング」でADプレーヤーのケースを支持している。いわゆる「ハードサスペンション」のため、直接たたくと音に出るが、それ以外はほとんどの振動伝搬を絶ち、支点を明確に支えている。
まず低域のいろいろな音がはっきりと分離される。よけいなこもりがない。全体として極めてクリアなレコード再生が可能となる。しかも響を殺さない。
各アンプやCD,DATには「コーン」とそれを受ける「ザ・ピッツ」のペアで、電源関係やMCトランスには「コーン」を使って振動対策を行い、全体としてのスピード感やトーンを合わせている。(’02.8)
現在、角形の「ザ・ピッツ」が生産中止になったので、コーン受けには丸い「ラウンド・ピッツ」や「ザ・パック」も使用しつつある。(’03.12)