何かいい投資ないか子猫ちゃん(’02.10.28大幅に増補)

 うまい話は転がってないものですが、少しでも良い方向に向けるためには、勉強と情報収集、そして少しばかりの努力が必要です。

銀行選び

下記の構成です。リンクあり。
 Ⅰ.銀行選びについてのチェックポイント
 Ⅱ.銀行口座活用法
 Ⅲ.僕の銀行選び
 Ⅳ.海外口座
 ※インターネット・バンキングにつて



Ⅰ.銀行口座選びについてのチェックポイント。
 ハイリスク、ハイリターンも結構ですが、何をするにも足下すら固めていなくては、おぼつかない話です。それに、いろいろ見ていくと、確定金利の世界もなかなか捨てたものではありません。

1.振込手数料などをまだ払っているのですか?
⇒ 銀行を選べば、インターネットバンキングなら振込手数料ゼロもあります。トラベラーズチェックの発行手数料も銀行によってはゼロです。(余ったTCも手数料なしで預金化できる銀行もあります。)外貨交換手数料は1US$につき1円のところが大部分ですが、もっと安いところもあります。

2.無駄な時間を使っていませんか?
⇒ 支払いや振込のためにATMや窓口に並んでいませんか?インターネットバンキングなら24時間自宅などで振り込みできます。銀行によりますが、慣れれば5分もかかりません。

3.超低い利息に甘んじていませんか?
⇒ 定期預金でさえ0.0数%などという超低金利は、当たり前のことではありません。探せば高金利の商品も結構あります。《ただし、外貨預金などは交換手数料(=銀行の収入)が伴うので、よく計算しないと、メリットが飛んでしまいます。》

4.各自、「自己責任」で
⇒ 大前提です。直接銀行のサイトなどを見ながら、十分理解して判断してください。私に、メールしていただいても知る限りのことは、お知らせしますが、よく分からなければ、大抵24時間対応などの電話サポートがあるので、納得行くまで聞いてください。自分が納得できない物件には、絶対投資してはいけません。

5.定期的にチェックすること。
⇒ キャンペーン商品や利率など刻々と変わっていく内容もあるので、定期的に各銀行などのサイトをチェックしてください。



Ⅱ.銀行口座活用法

 では、実際にどう使っていくのか。

インターネット・バンキングの活用
 これは、絶対に必要です。金融機関もこれによって、手数料などかなり条件が変わってくる(安くなる)のに加えて、いざ何かあったときの対応のスピードが違います。
 インターネット・バンキングには何かと不安も多いと思いますので、後に解説を付けています。(インターネット・バンキングについて)

外貨資産の保有と活用
 ドルも、ユーロも怪しくなってきていますが、円は長期的にはやはり円安に振れる、と見るべきでしょうし、最悪「日本売り」や財政破綻の顕在化が始まったときには、大打撃を蒙る可能性が高いのです。円という単一通貨に対するリスク・ヘッジや、為替差益ねらいの流動資産として持つだけでなく、「外貨で保有し続ける資産」(勿論必要な時は円に交換すればよいのです。)として発想を転換するのも良いのではないかと思います。つまり、海外旅行で使う、海外通販で使う、外貨建てのクレジットカードを持つ、などライフスタイルの面からも、考える必要があります。
 さらに、国内の銀行での保有と、海外の銀行等での保有という2つの選択肢があります。

外貨資産、特に外貨預金について勉強すること。
 外貨交換手数料   高利の外貨預金につられて預金してももせいぜい期間は3ヶ月程度。
                ところが売りも買いも通常は手数料1円程度。(1ドルあるいは1ユーロ等に対し)
                銀行ははじめから約2%を手数料でとって、いずれにせよ手数料で儲ける仕組み。
                コストとしての手数料の安いところを探さなければならない。
 為替リスク   中値、TTS,TTB程度のことは勉強しておくこと。
 預金保護    当然対象外
 課税       外貨預金と外貨MMFで異なる。リスクと合わせ勉強してください。
 金融機関リスク    いわゆるデフォルト・リスク。銀行そのものの格付けを事前に要チェック。

分散投資
 リスクを下げるには、分散投資が不可欠です。円、外貨。預金、投信、債券、株。通貨、金地金。etc.の種類。いつ投資するかという時期。
 それこそ幅広く勉強しておく必要があります。



Ⅲ.僕の銀行選び

 具体的には、金融機関と商品選択ですが、以下は私が試してみたごく一部です。
 
新生銀行  

 ご存じの通り、リップルウッドに売却された元長銀です。前シティバンク日本代表だった八城政基氏が代表者となり、シティバンクなど世界的に採用されているコンピュータ・システムを参考に(実際に機能、内容はシティバンク・オンラインによく似ている)、システムが組まれており、コスト削減に寄与しているようだ。その分を客に還元する、というのが基本コンセプトの様である。
 そのため、インターネット・バンキング口座「パワーフレックス」は店頭に比べ非常に有利です。
 日本の公的資金(3兆6千億円!)が注入されているんだから、使い倒して少しでも元を取らないと損です。

インターネット・バンキングでは他行宛ても含む振込手数料が無料。
他行ATM(郵便局を含む)からの引き出しも基本無料。海外でもキャッシュカード引き出し可能。

  (クレジットカードのようにキャッシング利率がかからない。ただし、外貨預金がない場合は円からの交換手数料がかかる。)
外貨交換手数料が低い。基本は平日はインターネットで1US$につき50銭(ただし変更や期間限定があるので要チェック)
円定期もかなり条件がよい。1年もの0.4%。過去には期間限定で5年もの1%(途中解約可)なんてものもありました。(期間限定が多いので要チェック)

その他、
Citibankと同様、毎月取引報告書が郵送される。
海外送金も可能(ただし店頭扱い)
口座維持手数料は一定金額以上残高があれば無料。現在残高にかかわらず無料の期間を延長中。
公共料金の引き落としはメジャーな会社(関電、NTT等)であれば可。紙での申し込み。

サービス面では、
トラベラーズチェック(TC)は、自行発行ではなく、HSBC(香港上海銀行)の宅配サービスを紹介する形。当然、手数料がかかる。
クレジットカードは円建てのみ



Citibank(シティバンク)    

 一時ブームになりましたが、邦銀と違いサービスの種類が桁違いに多いので、海外旅行する場合などの使い勝手が非常によい、ドル建てクレジットカードが作れる、などユニークなメリットがあります。

ソニー銀行や新生銀行に比べ、外貨・円ともに利率はあまり高くない。(キャンペーン優遇利率はあるが短期間。)
外貨交換手数料は売りも買いもいずれも通常通りの手数料1円。

ユニークなのは、
外貨預金があればトラベラーズチェック(TC)は手数料無料で発行。余ったTCは手数料無料で外貨預金に入金可能。海外でもキャッシュカード引き出し可能。
ドル建てのVISAカード(ゴールド)が発行できる。(ただし、年会費100ドル
  年会費はリスクヘッジに伴う費用として考えるべきです。
インターネットバンキングが充実している。海外送金もインターネットで可能。

また、

毎月の報告書以外にインヴェストメント・レポートや投信案内など、HPも含め情報提供が充実している。
投資信託の商品選択の幅が広い。(100周年記念のUS$やユーロの元本確定ファンドもある。ただし期間限定)
口座維持手数料は一定金額以上残高があれば無料

さらに、
⑨2,000万円以上の預金があれば、「シティゴールド」として、特別にプライベートバンキング的なサービスが受けられる。例えば、香港に行かなくても香港口座を作ってくれる、など。利用してメリットのある人は限られると思いますが。(そうなりたいものです。)



ソニー銀行 インターネット・バンキングはMoneykitというサイトから。
 
 ネット専業の銀行です。報告書などのペーパーは一切ありません。〔定期預金満期などはメールで通知)
 HPには「フェア」というコンセプトを大きく掲げている。銀行というものについて考えるために、一度読む値打ちはあると思う。

外貨・円ともに利率が高い。
外貨交換手数料が低い。
(通常25銭。期間限定で10銭の時もあった。)
  この①②を合算すると、外貨預金はかなり利率が高い、といえる。

他行への外貨での送金はできない。(受け入れはできる。)また、国内外で外貨での引き出しはできない。
ディスクロージャー(情報公開)が充実している。

⑤住宅ローンもユニークな商品内容。
⑥サイトがセンス良く、ブルームバーグ等情報メディアにつながっていて、使いやすい。ライフプラン作成ツール、アドバイス・エンジンなども使える。(ただし、個人情報を入力しなくてはなりませんが。)
⑦クレジットカードなし。TCなし。

 この銀行の場合のツボは、③です。つまり単なる両替商に使われてはたまらないので、自行での円預金からの外貨交換しかしない(外貨での送金は受け入れる)、という方針。ドルで引き出して使えないので、最終的には、円にして差益(差損)を確定しなくてはならない。


 以上を総合すると、
1.確定金利での外貨預金利殖と為替差益を狙うなら、ソニー銀行。ただし、為替リスクもあるので、マーケットをきっちり見て長期保有する心構えが必要。

2.新生銀行は日常の家計簿口座としても使用しながら、キャンペーンをうまく活用して、円・外貨の利殖をしたり、振替・送金するのによい。

3.Citibankは利殖としては今ひとつだが、TCやドル建てクレジットカードなど外貨を使うのにメリットがあり、海外旅行の際のサービスなども充実している。また、世界的な投資信託・ファンド等投資方法の選択の幅は広いので、そちらのメリットも活用できる。


 いずれも、いわゆる邦銀ではないところが、現状をよく現している。UFJ銀行などインターネットバンキングでは、手数料も低い方であるが、新生銀行にはかなわない。
 みんなそんなもんだと思っているかもしれませんが、邦銀の定期0.0数%、普通0.00数%はあまりに低いと思いませんか?というよりも、ゼロ金利政策の下、預金者の犠牲で金融機関を潤しているのです。にもかかわらず、不良債権処理も進まない。預金者を馬鹿にしていると思いませんか?
 賢い銀行選びをする時期に来ていると思います。


Ⅳ.海外口座


 ただ、実際には高いと言っても、ソニー銀行の外貨で1%程度。目を諸外国に転じてみると、外国では国により違いますが数%の利息が当たり前で、特に香港、シンガポール、ジャージー諸島、ケイマンなどいわゆるオフショアでは、現地非課税(No Tax)です。といっても、利率は最近低下傾向にあるようです。
 ただし、これも十分な勉強と、多少の英語は必要ですし、現地に赴く必要がある場合も多いのです。近くの香港を開拓しようと思っています。まずは、確定金利の世界から。来月、シティバンク香港に行くので、詳細は追って報告します。

海外投資を楽しむ会
 HPをみるだけでも良いですが、当初会費2,000円だけで会員になれます。参考図書の紹介もあり、なかなかおもしろそうです。僕は会員になり、シティバンク香港の担当者や口座開設の依頼方法を教えてもらいました。

村上龍 金融経済の専門家たちに聞く メール編 Q201 - Q252 (2001.3 2002.3)
 作家の村上龍がいろいろな角度からQ&A。大変頭の良い人なので、整理されていて分かりやすい。
   
お勝手国家破産議事堂
 結構過激な意見もありますが、刺激になって良いと思います。ただし、鵜呑みにはしない方がよい。資本逃避は既に始まっています。



※インターネット・バンキングについて

 自分のお金をインターネットで取り引きするには、やはり不安があると思います。多少の知識も必要ですし、リスクに関する判断も必要です。結局はセキュリティとリスクの話になってしまうので、専門的な事まではわかりませんが、僕は次のように考えています。

1.通帳に記入されている情報も、所詮は銀行のサーバにあるデータを印字した物にすぎないこと。
 よく、通帳に記載されているから、紙情報だから安心、と思ったりしますが、絶対に正しく記入されているという保証はありません。みずほ銀行やUFJ銀行の例を見ても分かるようにシステムそのもののトラブルから、入力間違いまでいろんなリスクがあり得ます。要は個々の書類(カード会社の請求内訳や電気、ガスなどの請求書etc)と照合しないと、その真否の確認はできないのです。
 インターネットでの無通帳取引とは、この銀行側のデータを紙通帳で持つか、それ以外の形で持つかという判断の問題(実績の報告書で、あるいはデータの形でパソコン側に持つ、など。次の「2.口座情報の管理」を参照)なのです。

2.口座情報の管理

◆紙情報での管理

(1)銀行からの月刊報告書。(リアルタイムではなく後追いの形になります)
 リアルタイムの情報はサイトにログインして見てくれ、という考え方です。

(2)個々の取引の都度、サイトのページから取引結果を印刷し、銀行から送られて来る月刊報告書(新生銀行やシティバンクなどは郵送されてくる。ソニー銀行は郵送なし。)などと照合する。

※HPのページはセキュリティ上保護されていてコピーできないケースも多いので、その場合はドラッグしてテキストなどをコピーする方法がある。

◆データでの管理

 通帳の替わりにデータで口座情報を持つ場合、その管理方法が必要です。具体的には

(1)金融機関側で用意する「ステートメント」などの形で持つ。(後追いの形は同じ)
  これは、メールが来てそれぞのサイトにログインすれば、各個人の口座情報を開けてダウンロードできる、という形が多い。

(2)資産管理ソフトの活用。
 各口座を分散管理する場合には、データの形で持つ方が効率的なことが多い。僕の場合、マイクロソフトの「マネー」を使って口座情報をダウンロードして、資産情報を一元管理しています。振込だけでなく引き落としなど全ての口座情報を、ほぼリアルタイムで保有できる、といのがミソです。ただし、上記おすすめ3行からのダウンロードはサービスがなく、手入力になります。このため、僕の場合公共料金引き落としなどはUFJ銀行のインターネット支店を利用し、ここからダウンロードしています。(このソフトは良い面も多いが、気をつけるべき難儀な点も多いので、別途使い勝手については書きます。)

(3)ATMを使ったときは、必ず「ご利用明細」を印字して、データの残高と照合し保管する。
 たまたま「マネー」を使っていて、ダウンロードした残高が合わない、という経験(原因は分かりましたので、再発はしない見込み)をしたので、それ以降「ご利用明細」を印字して、残高確認に使っています。

3.証拠書類の保管・管理
 要は請求書や振り替え通知書などを残しておき、データと照合することです。毎回しなくても、必要な時に照合できるように整理(袋に入れておく、等で十分)しておけば良いのです。

4.暗号技術によるサポート
 よく、「セキュリティ上保護されているページ」などというメッセージボックスをご覧になったことがあると思いますが、要は暗号で保護されているかどうか、ということです。最新のインターネット・エクスプローラーなどでは暗号強度が現在128ビットまで上がっており、公開鍵暗号方式が実用レベルに達している、とされています。各金融機関や証券会社で実際に採用されているのですから、基本的には大丈夫と思われます。
 実は、邦銀とは対照的に、米銀がこの10年間余に数々の危機を乗り越えて大発展した背景の一つに膨大なシステム開発投資がありますので、実用性についてはそれなりの検証がされている、と見てよいと思います。
 暗号のことですから、絶対という保証はないのですが、これは、要するに極めて高価なスーパー・コンピューターを相当の台数使って、相当の時間をかけて解読に当たれば、数学的に解けないことはない、という状況のようです。しかし、たかが数十万円程度盗むのに、そこまでばかげた手間をかけることはあまり考えられません。むしろこれまでのコンピュータ犯罪では最も警戒すべきなのは、まず「人間」で、ここからの「漏洩」や、それと連動したサーバへの侵入、攻撃が最も懸念されます。

 われわれ預金者、ユーザとしては、後述するマシンのセキュリティ対策をきっちりとした上で、証拠書類(金融機関等からのメールを含む)をちゃんと保管していれば、何かあっても概ね対抗できる話ではないかと、僕は判断しています。

5.ID、パスワードの管理
 インターネット・バンキングやショッピングをしていると、ID(ユーザID、ログインIDなど)やパスワードがどんどん増えていきます。これらは、パソコンの中に残して置いてはいけません。外部媒体(FDや紙)で保管しておくべきです。僕の場合は、常に1枚のFDに全情報を保管して、別管理しています。

6.パソコンの「セキュリティ対策」をきっちりすること。
 ウイルスやワームに感染したりしたら、虎の子のデータがただのゴミになりかねません。

(1)アンチウイルス・ソフトを走らせて、最新のパターンファイルを常にインストールしておくこと。(自動設定を活用)
(2)OSやブラウザの最新アップデートをしておくこと。(セキュリティ・ホールを埋める。最新の暗号技術。)
(3)できればファイアーウォール・ソフトをインストールし、ポートを隠すか閉じて、使わないサービス(特にリモート関係など)を停止させる。

※「そんな難しいこと言われても、わからんがな。」という声もあろうかと思います。そんな場合は、とりあえず何も考えず「ウイルスバスター」辺りを、デフォルト(当初設定)でインストールしてください。ソフトはコピーも可能と思いますが、不都合が生ずる場合も当然あり得ます。僕は、これからの時代「セキュリティ対策」には、安全を買うための投資として、きっちりお金を払うべきだと思います。
 ただ、ウイルスバスターは扱いは簡単なのですが、かなり重いので、古いマシンの場合、スピードが低下します。その、場合はより軽いソフトを選んでください。

(4)できれば、ブロードバンド・ルータを使い、IPアドレスを変換させて、侵入しにくくする。
(5)可能ならば、インターネットのバックアップ回線を持っておくこと。
 通信事故が発生した場合、復旧までの間インターネットが使えません。例えば、ADSLの他に電話回線で接続できるようにしておく、などの対策が必要です。僕の場合は、ブロードバンド回線の他に日本テレコムのマイライン・プラスに付いてくる、通話料のみのインターネット・サービスでISDNに接続できるようにしています。(接続しなければ、毎月0円)




株はどうよ?

 ただいま勉強中です。しかしこの間の各メディアを見てると証券会社は要するに「今が買い時。」、つまり、いつでも買い時、という言い方。買ったものは利益確定のためにいつかは売らなければならないので、連中は手数料が必ず入る。過去何十年間の株価総額がどれだけ上がっていても(必ずと言っていいほど物価騰貴には触れない)、それだけで、今、「特定の」銘柄に投資をするのは、早計に過ぎる。ましてや、今のような上下の激しい市況でデイトレーディングは損を重ねる可能性が多い。王道の「バイ&ホールド」をするにしても、もっともっと勉強が必要です。(’02.8.24現在)
 
 以下に、「株式投資家の12の大罪」という文章を引用します。繰り返し読むに値する文章だと思います。

「株式投資家の12の大罪」  '02.8.21 Morning Star HP
    2002-08-15 <米国投資関連ニュース>
 
 私は最近、多くの人たちから「今は市場に資金を戻すのに良い時期ですか」という内容のEメールを受け取っている。こうした人たちの多くは投資初心者のようなので、今回は株式投資の際に誰もが避けるべき12の大罪をまとめてみることにした。

 このうちいくつかは極めて基本的なことのように聞こえるかもしれないが、株式投資で成功するということについて言えば、ミスさえ避ければ半ば勝ったようなものなのである。「1、被害を出さない」というヒポクラテスの誓詞の金融版に従えば、自分の投資パフォーマンスが大きく改善することに驚くだろう。

1. 株の空売りをしてはいけない:確かに、空売りで稼いで生計を立てているプロの投資家はいる。しかしそれこそがポイントなのである。彼らは生活のためにそれをしているのである。そして彼らは弱気な賭けを早くしすぎてしまったときに避けられないマージン・コール(証拠金請求)をカバーする資金を持っているのである。株の空売りをしたとき、自分は株を借りているということを忘れてはいけない。つまりその株が急上昇しつづければ、あなたは底なしの負債を負うということである。1998年にヤフー株を50ドルで空売りした人は、今は満足しているだろうが、1999年にはこの株が4倍の水準に値上がりしたため、莫大な金額を払わなければならなかったはずだ。誰がこんな潰瘍のようなものを必要とするだろうか。

2. コンセプト株を買ってはいけない:大金持ちになるための方法は、第二のマイクロソフトの株を買うといった簡単なことだと誰もが考えたがるが、現実は厳しく、ほとんどの投機的銘柄は結局無残にも敗れ去っていく。(ちょっとした統計を紹介すると、新興グロース株はほとんどの投資分類よりもリターンが悪い。)革新的なアイデアや製品を持った小規模企業の株を買うことは、宝くじを買うようなものである。つまり、興奮が味わえて楽しいが、子供の大学の授業料を払う方法としては最適と言えない。

3. あまり頻繁に売買してはいけない:投資に成功するカギの一つは、自分の投資する株を事業の一部として扱うことである。ウォーレン・バフェット氏の言葉を借りると「チャートがついたチョコチョコ動くもの」として扱うことではない。売買を頻繁に行うと、あなたの焦点は重要なこと(A社が新製品で成功するかどうか)よりも、そうでないこと(A社の株が日々どれだけ動いているか)に向かってしまう。さらに、頻繁な取引はポートフォリオの全体的な取引コストを高める。これは悪いパフォーマンスにたどり着く確実なルートである。私の言っていることが信じられないのなら、カリフォルニア大学バークレー校のターランス・オディーン教授の研究をチェックしてみて欲しい。彼は何千もの個人投資家の証券口座を調べ、頻繁に売買するトレーダーたちのパフォーマンスがゆったりと行動する投資家よりも大きく劣ることを発見したのである。

4. 素早く利益を上げようとしてはいけない:チャートの信奉者も、ウォーレン・バフェット氏も、調子のいいことを言ってくる投資ニュースレターですらも、短期的に株価がどうなるかは分からない。そのため、良いニュースが流れてくると期待している、もしくは株価を押し上げる何らかの動きが近い将来あると期待しているという理由だけで株を買ってはいけない。3~5年後にその会社がどうなっているかが想像できない、またはそれほど長くその株を保有するつもりがないという場合、そもそもその株を買ってはいけない。長期的に言えば、株価は事業の価値にしたがって動く。しかし短期的な動きについては、そう、占星術師にでも相談すると良いかもしれない。

5. 単一の銘柄や業界に大きな賭けをしてはいけない:この世界には予告もなく変わるという悪い癖がある。今日、画期的な素晴らしいことだと思われていることが、明日には疑惑として社会面の見出しを賑わせているということもある。どんなに一生懸命調査をしても、不測の事態は必ずあるものである。そのため、一ヵ所に資産の大部分を集めることを避けてリスクを制限するべきである。(401kの口座に自社株しか持っていない人には、この話しはさらに大きく当てはまる。一にも二にも分散化である。)

6. 恋をしてはいけない:自分の利益や損失がいくらになろうとも、CEOがいかに魅力的であろうとも、その銘柄を保有し続ける理由をいくつ思いつこうとも、その会社の業績が急速に悪化していれば関係ない。あなたはその株の売却を検討するべきである。株を買った日に、それを買った理由を書きとめておこう。そして事態がおかしくなり始めたら、書きとめた理由を引っ張り出してみよう。当初投資したときの理屈がもう当てはまらなくなっていたら、おそらく関係を打ち切るときだろう。理想を言えば、すべての投資は何十年も続くということになるだろうが、企業は変化するし、投資家が判断を誤ることもあるので、時々動かざるを得ないこともある。

7. 業績と比べた株価の水準を無視してはいけない:誤った価格で買ってしまえば、どんな素晴らしい会社の株でもダメな投資になってしまう。安泰だと思われたコカコーラの株を2、3年前に買った人が今でも利益を出すことができていないというケースもあるだろう。重要なのは、上手な銘柄選びには2つの部分、すなわち優れた企業を発見することと、適切な対価を払うことがあるということだ。このどちらにも注意を払わなければならない。

8. 株価が落ちたという理由だけで買ってはいけない:安い株はその後も安くなり続ける可能性がある。そしてご承知のとおり、しまいにはゼロになることもある。「この株は2ドルだし、もうこれ以上落ちようがないだろう」といった話を町でよく耳にする。しかし思い出して欲しい。2ドルの株が1.50ドルに落ち込めば、あなたは自分の投資の25%を失うのである。

9. IPOを買ってはいけない:新規公開株(IPO)の90%は価格が高すぎる。結局のところ、高い株価がつくと思わずに上場する企業などないのである。長期的に見ると、IPOはそれ以外の同種株のパフォーマンスを大きく下回っている。そのためこれらの銘柄に注意を払う必要はまったくない。もちろん、上場してわずかなのに50%も下落したということになれば別である。その場合、買い得の銘柄を見つけられる可能性が高い。(IPOを買うなというルールの例外はスピンオフである。これは過小評価されることが多い。またCITグループのように、親会社が資本を早急に要しているため仕方なく売りに出される銘柄も多い。)

10. 衝動的になってはいけない:どんなに買い得に思える銘柄が現れても、事前に自ら「宿題」をする前にそれを買ってはいけない。最低でも前年度の10-Kレポートは読むべきだ。判断を急いで悪い株を買ってしまえば、お金を失ってしまう。一方、あまり調査しなかった銘柄に対して引き金を引き損ねた場合の最悪のシナリオは、いくらかの儲けを得られないというだけのことである。

11. 特定の銘柄に関するアドバイスを鵜呑みにしてはいけない:雑誌やこのコラムで読んだり、新聞で目にしたりした銘柄に自分のお金を投じる前に、さらに自分で調査をしてみる価値はある。それはなぜだろうか。第一に、投資するのは自分のお金だからである。第二に、どうやって売り時を知るのかという問題があるからだ。お気に入りの雑誌に賢い専門家が再び登場して売り時を教えてくれるのを頼りにすることなどもちろんできない。自分自身で売りの判断をするために、その企業についてよく知っておく必要があるのだ。

12. 自分の株を無視してはいけない:「バイ&ホールド(買った後に長期的に保有すること)」とは決して、買ったら忘れてしまうということではない。これは一部の専門家が投資家にしばしば思い起こさせていたことである。時々ニュースをチェックして自分の買った銘柄の最新動向を把握しよう。そしてアニュアルレポートは(時間があれば10-Qレポートも)必ず読むようにしよう。これさえしておけば、末期的な状態になる前に大きな問題に気がつくだろう。
 
(米国モーニングスター 株式分析ディレクター:パット・ドーシー)



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